あおちゃんとクワガタのぼうけん
「ねぇ、クーちゃん、ノーちゃん。きょうはどこにいく?」
おきにいりのランチボックス型ドクターバッグを首からさげて、
あおちゃんはクーちゃんとノーちゃんをポッケからそーっと出しました。
クーちゃんは、コクワガタのかたちをした、つやつやのふぃぎゃー。
ノーちゃんは、がちゃがちゃで手に入れた、りっぱなツノのノコギリクワガタのふぃぎゃー。
きょうは、おうちが病院じゃなくて――「むしさんのくに」になる日!
「クーちゃんせんせい、しんさつのじかんです!」
そういって、あおちゃんはじぶんの手をひろげて、
ソファにのせたクーちゃんのまえに座りました。
「おつめ、のびてますね〜。あおちゃんのおつめ、ハサミでちょっきんですぅ」
ちょきちょきちょきっ!
「つぎは、ノーちゃんのばん!」
ノーちゃんは、ちょっとえらそう。
「ノーちゃん、クワガタたいそういちばん!さんはい!」
すると、あおちゃんもまねっこして、
「どしん!どしん!」とチラ(チラノザウルス)のようにおどりだします。
おへやのなかに、クワガタと恐竜とおいしゃさんがまざって――
気がつけば、おばちゃんのおうちのまーたん(マルポメ)が、おでこに体温計をつけられていました。
その夜のこと。
あおちゃんがねんねしたあと、ふとクーちゃんとノーちゃんがささやきました。
「きょうも、おおいそがしだったね〜」
「ほんとだね。でも、あおちゃんがやさしくしてくれて、うれしかった」
ふたりはそっと手(?)をにぎりあいました。
「また、あしたも、おいしゃさんごっこしようね」
「つぎはまーたんの、おなかのけんさ!」
「ワン……!」
まーたんの寝言(?)が、ほっこりひびいたのでした。
そして翌朝――
「ママ、クーちゃんがいない!しんじゃった?」
「ちがうちがう、おもちゃだからしなないよ。たぶん、よなかにおさんぽいったんだよ」
「そっか〜。じゃあ、カルテつくっとく!」
(なんで?!)
あおちゃんは、けいさんきを“カルテがめん”にして、
ぴっぴっぴ!と押しながら、
「クーちゃん、たいおん36.7ど、ノーちゃんはちょっとおねつ〜」
と、ドクター・あおちゃんにへんしんしたのでした。
〜おしまい〜
このお話では、2歳になったあおちゃんの観察力、想像力、やさしさを描いてみました。
遊びの中で自然と身体や健康への関心を持つようになっていることも。
「おもちゃはただのおもちゃじゃない、世界をつなぐ小さな相棒」――そんなテーマも込めてみました。




