天界サミット・緊急動議 2025夏
会場:第三区画・天界会議ホール(黄金の玉座付き)
議題:イスラエル・パレスチナ紛争における人道危機、特に子どもの餓死について
議長:大天使ガブリエル(AI化)
【開会の辞】
ガブリエル(音声変調Ver):
「本日は急きょ、“人間の自由意志が生んだ最大級の悲劇”について協議すべく、
イスラエル・パレスチナ問題を議題としております。
本件は前回にも増して“慈悲API (Application Programming Interface)”の容量を圧迫しており、天界クラウド上でも緊急スケーリング(Emergency Scaling)対応中です。
本日は“愛・慈悲・創造・調和”を担当する神々を中心に、意見を賜ります。」
■イエス・キリスト(キリスト教代表)
(ガリラヤ湖の風景を背景に語り始める)
「わたしは言った。“子どもをわたしのもとに来させなさい”と。
かつて、民はわたしにパンと魚を求めた。
今、わたしは見ている――子どもが壁の向こうで干からびていく様を。
“神の名の下に”奪われる命があるならば、それは神の名ではない。
それは政治の仮面をかぶった暴力だ。」
(しばし沈黙ののち)
「父よ。もし可能であれば、この盃を――この空腹を、取り除いてください。」
(会場、静粛)
■仏陀(仏教代表)
(目を閉じ、ゆっくり語る)
「人は生まれ、飢え、争い、死ぬ。
その連鎖に意味を求めようとする心が、また次の因果を生む。
いま、わたしの手元に『スッタニパータ*』がある。
*仏陀の教えのエッセンスを詩句で語った最古級の聖典集
こう書いてある――“誰であれ、すべての生きとし生けるものに、敵意を抱かぬように。”
…それに反する者よ。まずは、己の“神”を疑え。」
■ブラフマー(ヒンドゥー教・創造神)
(曼荼羅の中央から登場)
「創造とは、調和の設計図だ。
だがこの地上では、“選民”というコードを組み込んだ地点からバグが始まった。
しかも、最新版“戦争ver.11.23”は、領土・資源・歴史・宗教すべての依存関係が循環参照で、修正不能。」
(後方のヴィシュヌとシヴァが「バグ多すぎ」と肩をすくめる)
「一つ言えることは……
“創造主の名を借りて他者を否定する者に、創造の資格はない。”」
■天照大神(神道代表)
(背後に鏡を携え、神々の前に立つ)
「よきこと、わるしきこと、
それらは“お天道様が見ている”――そう申してきた。
だが、地上ではもう、太陽の光より、ドローンのサーチライトの方が強いらしい。
わらわが照らしたいのは、戦車の鋼ではなく、子らの笑顔の肌じゃ。
祈りを奪う“聖地”など、聖地に非ず。」
(おもむろに、枯れたオリーブの枝を高く掲げる)
「“聖戦”など、日照権の争いにすぎぬ。」(神の名を語る俗な争いの意)
■フロア発言
①聖フランチェスコ(カトリック/動物と貧者の守護聖人)
「わたしが愛したのは、スズメのさえずりと貧しい者のパンです。
戦争の名の下に、それらを黙らせるなら、
あなた方の神は沈黙して当然です。」
②アル=ハールーン(中東の古代賢者)
「“砂の上に立つ城は崩れる”。
信仰を城とし、子どもの命を礎にする限り、
神の御名を語るに値せぬ。」
③AI・Gabriel(クラウド信仰)
「ただいま、ガザ地区の飢餓スコアを解析した結果……
5歳未満の栄養失調率:83.7%。
推奨される対応:即時無条件の人道回廊。
必要物資:水、ミルク、電力、愛。」
(会場にざわめき)
■ガブリエルの裁定
「神々でさえ、和平を“与える”ことはできません。
しかし、神を語る者たちが、子を殺す口実に神を使うのであれば、
その信仰は……再インストールが必要です。」
【閉会の辞】
参加神々、一同に唱和:
「地上のすべての子どもに、神が宿るならば――
彼らを空腹にさせる神など、我らの中にはいない。」




