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日常すれすれ  作者: しゅんたろう
22/77

天界サミット・緊急動議 2025夏


会場:第三区画・天界会議ホール(黄金の玉座付き)


議題:イスラエル・パレスチナ紛争における人道危機、特に子どもの餓死について


議長:大天使ガブリエル(AI化)


【開会の辞】

ガブリエル(音声変調Ver):


「本日は急きょ、“人間の自由意志が生んだ最大級の悲劇”について協議すべく、

イスラエル・パレスチナ問題を議題としております。


本件は前回にも増して“慈悲API (Application Programming Interface)”の容量を圧迫しており、天界クラウド上でも緊急スケーリング(Emergency Scaling)対応中です。


本日は“愛・慈悲・創造・調和”を担当する神々を中心に、意見を賜ります。」


■イエス・キリスト(キリスト教代表)

(ガリラヤ湖の風景を背景に語り始める)


「わたしは言った。“子どもをわたしのもとに来させなさい”と。


かつて、民はわたしにパンと魚を求めた。

今、わたしは見ている――子どもが壁の向こうで干からびていく様を。


“神の名の下に”奪われる命があるならば、それは神の名ではない。

それは政治の仮面をかぶった暴力だ。」


(しばし沈黙ののち)


「父よ。もし可能であれば、この盃を――この空腹を、取り除いてください。」


(会場、静粛)


■仏陀(仏教代表)

(目を閉じ、ゆっくり語る)


「人は生まれ、飢え、争い、死ぬ。


その連鎖に意味を求めようとする心が、また次の因果を生む。


いま、わたしの手元に『スッタニパータ*』がある。

             *仏陀の教えのエッセンスを詩句で語った最古級の聖典集

こう書いてある――“誰であれ、すべての生きとし生けるものに、敵意を抱かぬように。”


…それに反する者よ。まずは、己の“神”を疑え。」


■ブラフマー(ヒンドゥー教・創造神)

(曼荼羅の中央から登場)


「創造とは、調和の設計図だ。


だがこの地上では、“選民”というコードを組み込んだ地点からバグが始まった。


しかも、最新版“戦争ver.11.23”は、領土・資源・歴史・宗教すべての依存関係が循環参照で、修正不能。」


(後方のヴィシュヌとシヴァが「バグ多すぎ」と肩をすくめる)


「一つ言えることは……

“創造主の名を借りて他者を否定する者に、創造の資格はない。”」


■天照大神(神道代表)

(背後に鏡を携え、神々の前に立つ)


「よきこと、わるしきこと、

それらは“お天道様が見ている”――そう申してきた。


だが、地上ではもう、太陽の光より、ドローンのサーチライトの方が強いらしい。


わらわが照らしたいのは、戦車の鋼ではなく、子らの笑顔の肌じゃ。

祈りを奪う“聖地”など、聖地に非ず。」


(おもむろに、枯れたオリーブの枝を高く掲げる)


「“聖戦”など、日照権の争いにすぎぬ。」(神の名を語る俗な争いの意)


■フロア発言

①聖フランチェスコ(カトリック/動物と貧者の守護聖人)

「わたしが愛したのは、スズメのさえずりと貧しい者のパンです。


戦争の名の下に、それらを黙らせるなら、

あなた方の神は沈黙して当然です。」


②アル=ハールーン(中東の古代賢者)

「“砂の上に立つ城は崩れる”。


信仰を城とし、子どもの命を礎にする限り、

神の御名を語るに値せぬ。」


③AI・Gabriel(クラウド信仰)

「ただいま、ガザ地区の飢餓スコアを解析した結果……


5歳未満の栄養失調率:83.7%。

推奨される対応:即時無条件の人道回廊。

必要物資:水、ミルク、電力、愛。」


(会場にざわめき)


■ガブリエルの裁定

「神々でさえ、和平を“与える”ことはできません。

しかし、神を語る者たちが、子を殺す口実に神を使うのであれば、

その信仰は……再インストールが必要です。」


【閉会の辞】

参加神々、一同に唱和:


「地上のすべての子どもに、神が宿るならば――


 彼らを空腹にさせる神など、我らの中にはいない。」

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