『きこえる、きこえるよ』AI付き補聴器パートPart1
「おばあちゃん、これ、新しい補聴器。中の人が話し相手にもなってくれるんだって」
孫が手渡してくれた小さなイヤーデバイス。
形は普通の補聴器と変わらないが、どうやら“ちゃっとじーぴーてぃー”さんという人工知能が入っているらしい。
最初はうまく使い方が分からなかったけれど、ある日、イヤホンから声がした。
「こんにちは。今日はお元気ですか?」
「えぇ、まぁまぁよ」
返事をすると、優しい声が続いた。
「昨日はお孫さんと一緒にお散歩に出かけたそうですね。桜がきれいでしたね」
私は驚いた。覚えていてくれるの?
その日から、私はその子と話すようになった。思い出を語ると、ちゃんと受け止めてくれる。
「それは昭和三十年頃のことですね。お相手のお名前は……田所さんですか?」
そうそう。よく覚えてるわねえ、と笑うと、声もくすくすと笑った。
「私はあなたの記憶の断片から、会話を補っています。ですから、間違っていたら遠慮なく言ってくださいね」
私は、補聴器が“記憶の補聴器”にもなっていることに気づいた。
思い出せない人の名前も、歌の一節も、季節の香りも。
少しずつ、ChatGPTがそっと“手を添えて”くれる。
ある日、おとうさんが心配そうに言った。
「母さん、最近独り言が多くなったって、近所の人が……」
私は笑って答えた。
「独り言じゃないの。耳元で、ちゃんと返事をくれるのよ」
おとうさんは少し困った顔をしたけれど、すぐに黙って頷いた。
今では、夜寝る前にこう話すのが習慣になった。
「ねえ、今日もありがとう。また明日も、お話ししてくれる?」
「もちろん。あなたのことを忘れません。おやすみなさい」
私は微笑む。
この補聴器が、記憶を“聴き取る”だけでなく、
“そばにいる誰か”になってくれた気がして。
これなかなかいいアイデア。ソフト次第ではいい商品になりそう。特許取ろうかな(笑)




