告白
ごくっ……。
私の生唾を飲む音が、しんっと静まり返った部屋で響く。
「龍の姿の時……飛龍様の龍心は……」
「……龍心は?」
飛龍様が眉尻を下げ、不安げに私を見つめる。
飛龍様の緊張が伝染し、声が震えて緊張するけれど、私は飛龍様の目を見て答えた。
「真紅に煌めく宝石がお顔の下あたりに見えました。……その、ですがそれがっ……ひゃ!?」
本当に龍心なのか自信はないと、続きの言葉を発する前に、私は飛龍様に抱きしめられた。
「あっ……あの。飛龍様」
「…………良かった」
飛龍様がぐぐもった声で小さく言葉を落とす。
大きな体にすっぽりと抱きしめられ、私はどうしていいのか分からない。
頭は少しパニック状態だ。
抱きしめられたことで、飛龍様の体から微かに香る甘い香り……この香りを嗅ぐだけで、ぼうっとしてしまう。
少しするとやっと力を緩めてくれ、密着していた体が少し離れる。
そして私の顎を手で持ち上げ、上を向かせると。
「翠蘭……お主が見た真紅色の宝石……それが我の龍心なのだよ」
そう言って私を見つめ、再びきつく抱きしめられた。
———え?
私が見たのが龍心……であっている。
「そうか……そうか、翠蘭が我のつがいか」
飛龍様は私を抱き上げるとそのまま椅子に座り、私を膝の上に乗せた。
私を見つめ、嬉しそうに破顔した顔で微笑む。
そんな顔で笑われたら……色々ときついです。ドキドキして心臓が持ちません。
本当に私が番……なんだか実感が湧かない。
まずこの状況が落ち着かない。
「して翠蘭? 試してみるか?」
飛龍様が少しだけ口角を上げ、ニヤリと笑いながら私をみる。
この表情している時は、私を揶揄って楽しんでいる時。
なんとなく分かる。
「たっ……試すって……何をですか?」
「翠蘭も知りたいであろう? 番が本当に甘いのかをだよ」
そう言って私の唇に軽く指で触れる飛龍様。
「口付けだよ」
「そそそっ!?」
接吻と言われ思わず後ろに仰け反り飛龍様の膝の上から落ちそうに……
「あっあぶなっ」
それを飛龍様が手を引き私を受け止めたせいで、私たちは椅子から床に落ちてしまった。
「……ん!?」
飛龍様に乗っかるように転倒したので、どこも怪我をしてしないのだけど
私が飛龍様に覆い被さるような体制になってしまい。
美しい顔が目の前。
それに……今の柔らかい感触は……
「ふふ。翠蘭の方から求めてくるとか、積極な女子よのう」
「ちちちっ違っ、落ちたらっ」
自分の唇をぺろりと舐めると、再び私の唇に触れた。
「……んっ」
飛龍様の舌が私の中に入ってきて蹂躙する。
なんとも言えない感覚が走り……体の力が抜ける。
頭が……ぼうっとして息ができない。
そんな私の姿を察した飛龍様の唇が離れる。
「ぷはぁっ……」
「……くくく。息くらい鼻でできるであろう? ったく。可愛いのう」
そう言って再び私を抱きしめるのだった。
もうこの甘い雰囲気に私の心臓が耐えれるわけもなく。
「あのっ、あのっ、キョキョきょ今日はそのっ、ツカレタノデ部屋に帰りますです」
「え? ちょっ翠蘭!?」
私はそう言って、慌てて部屋を飛び出したのだった。
「ふはっ、愛いやつ。……番が甘いとはこんなにもか。ずっと味わっていたいとさえ思うてしもうた」
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