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赤い髪と番の関係


「我が生まれる何万年も前はのう? 龍人と紅赤人(クシュヒト)との婚姻が多かったのだよ」

「紅赤人ですか?」


 初めて聞いた種族の名前だ。それは人族のことなのだろうか?

 クシュヒト……不思議な響きの名前。

 話しぶりからすると、もうその種族は絶滅しているのかな?


「紅赤人とはのう? 翠蘭、お主のように赤い髪色が宝石のごとく輝き、肌が陶器のように白く透き通っていたのだよ。我はお主の祖先が紅赤人だと思っておる」


 私のような見た目……今は私のような姿の人はいないけれど、ご先祖様に居たと聞いていた。

 私のご先祖様が紅赤人?


「なぜ紅赤人との婚姻が多かったかというとのう? 紅赤人たちは特別な力が使えた……それが龍術だよ。その昔は導術と言われていた」

「導術……あっ……!」

「そうじゃよ。導術が使えるのが紅赤人の証拠」

「紅赤人と婚姻し生まれた子供たちは皆導術が使えた。それは桁違いの力だった。紅赤人が使える術の何十倍も凄い能力を持って生まれて来たのだよ。だからその力を我らは導術ではなく龍術と名付けた」


 そうか……元々能力値が高い龍人だから。本来の力を超えてしまうんだ。


「だから男も女も龍人族は皆、紅赤人と婚姻した……だけど」

「だけど?」


 飛龍様は少し寂しそうに、大きく紅赤人が描かれた絵画を見た。


「紅赤人と婚姻する龍人は次第に減っていった。龍術を使える龍人と婚姻するようになっていったのだよ」

「それは……どうしてですか?」

「寿命の違いだ……人族の寿命は我ら龍人と比べると遥かに短い。紅赤人を親に持っても子が赤子の時に死んでしまうのだよ。ほとんどの子は我ら龍人の血を濃く引き継ぎ長寿だった。だから導術が使える龍人同士で婚姻するようになったのだよ」


 それは寂しい。赤子の我が子を残して死ぬのは耐えられない。

 相手を亡くした龍人の人たちも……どれほど悲しかったか計り知れない。


「そしてある時……紅赤人が集落ごと我ら龍人の前から姿を消した。理由は……我ら龍人と一緒に生きていくことを、お互いのためにやめたのだと言われておる」


 お互いのために共存することをやめる……なんだか切ない。

 ん? 姿を消したなら……あの肖像画の人は?


「それならあの絵画に描かれている番の紅赤人は、どうやって知り合ったのですか?」

「それも不思議な縁だったらしいぞ? 先代の龍王が怪我をして休んでいた所、その傷を癒してくれたのが番の紅赤人だったらしい。確か小さな村の少女だったと聞いたのう」


 小さな村……それってもしかして、私の村じゃ? 

 だって私と同じような見た目のご先祖様は、運命の出会いをして村を出ていったと、よくお祖母様が話してくれた。

 

「あの……その村の名前って分かりますか?」

「村の名前? ふうむ……なんだったかのう。シュ? シュ……」

朱赤(シュセキ)村!」

「おおっ! そうそう、朱赤村じゃ! んん? なんで知っておるのだ?」

「朱赤村は私の住んでいた村です!」

「なんと……そんな偶然が」


 私がそういうと飛龍様は瞳を見開き黙り込んでしまった。




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