序章 ~こんな俺なんて死んで当然ですよね……~
俺はごく普通の高校生……と名乗っていいのだろうか。俺は自他共に認める底辺ゴミ屑陰キャである。
「よぉ!俺たちとカラオケ行かね!?」
こいつは俺と同じクラスの陽キャだ。こんな感じで頻繁に俺に声をかけてくる。しかしどうせ碌なことを考えていないのだろう、こいつからの誘いには一度も乗ったことがない。
「きょ、今日は用事があるから……」
「そうか!じゃあまた今度行こうな!」
俺はさっさと走ってその場を去る。そして学校から出て、1人になったところで立ち止まる。
「ああああああああ!!!!!!クソがよぉぉ!!!陽キャなんて消えてしまえ!!!なんなんだよあいつらよぉぉ!!!」
叫ぶと少しすっきりした気がするが、まだどこかに嫉妬心のようなものが残っている感じがして気持ち悪い。
「なんだよ……なんなんだよ……本当になんだってんだよ……やめてくれよ……」
再び歩き出したとき人にぶつかった、しかし運が悪かった。相手は不良が数多くいることで有名な隣町の高校の生徒だった。
「おい」
「あ……あ……」
殴られる……!!そう確信したとき、全てがスローモーションのように見えた。しかし俺はその場から動くことができなかった。
しかしいつまで待っても俺に拳が触れることはなかった。俺の目の前には先ほどカラオケに誘ってきた陽キャの姿があった。
「え……なんで……」
「今のうちに逃げろ!!」
気付いた時、既に駆け出していた。無我夢中で走り続けた。しかし哀れかな大型トラックが衝突し、俺の身体は宙を舞っていた。
陽キャも不良も呆気にとられたように俺を見ていた。
薄れゆく意識の中で俺は、今日の晩飯は何かなと考えていた。