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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
6/50

06

トウコが不意に言ったメス豚と言うワードにミリアが激しく反応。

珍しく取り乱すミリアを落ち着かせようとするトウコだった。


「と、とにかく落ち着いて、まずは座って!」


少し落ち着いたのか我に返ったのかミリアは着席した。


「お姉様! あんまりで御座いますっ! 私では不服なので御座いますか!」


(何故あいつらをメス豚と言っただけでこうなった…はっ! ミリアにとってメス豚と言われるのが最高の誉め言葉だとしたら…俺はあいつらを褒めた事になる…それに嫉妬したと言う事か…な、ならば…)


「い、いや、そうじゃなくて、ほら、あいつらとミリアでは立ってるステージが違うと言うか…」


トウコは何とか苦しい言い訳をしてミリアを納得させる事に成功した。


(ふぅ、やれやれ、やっと納得してくれたか…)


ミリアは特に気にしている様子は無いが、トウコは周りの汚物を見るような視線が気になって仕方ないのでミリアを連れてそそくさと店を出た。

トウコは何を買おうかと考えながら暫くミリアと色々な店を見て周っていたら前方に魔法少女が立っているのに気付いた。

気にせず店を物色していたら、その魔法少女に声を掛けられた。


「お前がミリアか?」


「知り合いか?」


トウコはミリアに知り合いかの確認をした。


「いいえ、私は存じておりません」


ミリアの知らない相手だった。

どう考えても友好的な相手には見えなかったので無視して進んだ。


「おいおい無視するなよ。お前がミリアなんだろ?」


「はぁ…何か御用でも?」


ミリアは渋々と返事をした。

ミリアは最強と言われている魔法少女。今まで何度かその名声欲しさに戦いを挑まれた事がある。

今、目の前にいる魔法少女もまさにそれだった。


「やっと見つけたわ。私を差し置いて最強を名乗るとは良い度胸だな」


謎の魔法少女は、この場で戦う気満々で身構えた。


「おいお前! 街中でおっぱじめる気かよっ!」


トウコは街中で戦闘になる事を懸念した。


「ふふっ、威勢が良いそっちの可愛い小猫ちゃんはお前の妹か?」


謎の魔法少女はトウコをミリアの妹と思ったみたいだ。

確かにトウコはミリアより小さく幼く見えるので普通はそう見える。


「か、可愛い小猫ちゃん…ですって…許せない許せない許せない…」


ミリアは全然をプルプルとさせながら怒りを堪えてる様子だ。


「いや、ミリア。ま、まあ見た目的には俺が妹と思われても仕方ないだろ。ちょっと落ち着こうな?な?」


トウコはミリアをなだめてはみたが、論点はそこでは無かった。


「わ、私の、お、お姉様を、か、可愛い、こ、小猫ちゃん、だ何て…」


どうやらミリアはトウコが可愛い小猫ちゃんと言われたことに対して怒っていたのだ。


(そこっ!? 全く怒る理由が分からない!)


「お、お姉様、どうか、あの者を殺すご許可を…」


ミリアは何故か殺意満々だ。


(全く悪い事を言われた気がしないが…とりあえず余計な事を言うのは止めておくか…)


「とりあえず、ここじゃアレだから場所を変えよう」


流石に街中での戦いは周りに被害が出るので場所を移す事にした。


「ここなら大丈夫だろ。ミリア、とりあえずあいつが死なない程度に手加減してやってくれ」


ミリアは納得いかない様子ではあったが渋々了承した。


「おいおい、聞こえてるぜ。手加減だぁ? こっちは本気で殺るんだがなぁ」


そう言って、謎の魔法少女は何処からか剣を取り出した。


(あいつ、魔法少女のくせに剣を使うのかっ!)


ミリアには武術の基礎訓練だけで対武器用の特訓は行ってはいない。

ミリアは強いが万が一の事を考えてトウコが戦う事にした。

当然ミリアは納得しなかったが、対武器用の戦い方を見せると言う事で何とか納得させた。


「お前如き小物相手に姉様が出るまでも無いってよ」


トウコは相手に合わせて妹設定と言う事にした。


「じゃあ小猫ちゃんをさっさと倒してミリアと戦ってやるわっ!」


言った矢先、謎の魔法少女はトウコに向かって突っ込んできた。

トウコは謎の魔法少女が振り回す剣を華麗に避けている。


「おのれ! ちょこまかとっ!」


謎の魔法少女は怒りながら剣を振り回している。


(この程度か、視線で攻撃箇所が丸解りだし、我流か…)


トウコは素早く懐に入り謎の魔法少女が持っている剣を叩き落した。


「うっ」


「終わりだ。これからデートの続きをするんだ。じゃあな」


そう言ってトウコが後ろを向いた瞬間に謎の魔法少女は剣を取り背後から襲い掛かった。


「お姉様っ!」


ミリアはトウコの危機にとっさに叫んだが、トウコにはこの状況は織り込み済みだった。

トウコは振り向くと同時に剣を避けて、謎の魔法少女の腹部に掌打を叩き込んだ。


「ぐはっ」


謎の魔法少女は吹っ飛び木に激突した。


「お姉様! 流石で御座います!」


ミリアは目をキラキラさせながら嬉しそうに言った。


「くっ…お、お姉様…だと? お、お前は妹じゃ…なかったのか…」


謎の魔法少女は苦痛を堪えながらトウコに聞いてきた。


「ああ、お前が勝手に勘違いしただけで俺がミリアの姉だ。だが安心しろ。ミリアもお前より強い。んじゃな」


トウコが言い終わると謎の魔法少女は気を失った。


「お姉様、とどめを刺さなくて宜しいでしょうか?」


「いやいや、それよりも…」


トウコは戦い方を見せると言った手前、ミリアに今の戦いの要点を説明しながら動きの指導をした。

それをミリアは真剣に聞いていた。


(物騒な事を言わなければ真面目で良い娘なんだがなあ…)


ミリアへの手ほどきもそこそこにして、本来の目的であるプレゼント購入の為に街へ戻った。

街を歩いていると道端で装飾品を売っている、いかにも怪しい魔法使いっぽいおばあちゃんに声を掛けられた。


「これこれ、そこのスターのお二人さんや、買っていかんかね」


「いや結構」


トウコは見向きもせずに断って先に進んだ。


「せめてこっちを見て言わんかっ!」


おばあちゃんは見向きもせずに断ったトウコにご立腹のようだ。

トウコは仕方なくおばあちゃんの露店に近寄った。


「そっちの娘はミリアじゃな?」


おばあちゃんはミリアを知っているみたいだ。


「様を付けんか様をっ! 全く…近頃のババアは礼儀も知らんのか」


トウコはミリアに様付けをしないおばあちゃんに怒っている。

要件は何かとおばあちゃんに尋ねるとミリアに似合いの首飾りがあると言って目の前に置いてあった首飾りを取って見せた。


「汚いっ! いらん!」


むき出し状態で置いてあった現品がトウコは気にいらなかった。


「何が汚いんじゃっ!」


「いやいや、それホコリまみれのバイ菌だらけだろうがっ! どうせ売るならちゃんと箱に入ってる新品を売れっ!」


露店で売ってる商品なので全て現品で、そのままずっと置かれている状態だ。

当然色々な人が手に取って見たりするのでバイ菌だらけである。


「何を訳の分からん事を言っておるのじゃ!」


この世界で露店は一般的である。

当然、目に見えない菌の存在など認知されてはいない。


「とにかく! 俺の大事なミリアにそんな物はプレゼントできんっ!」


「お姉様! 私にプレゼントをして下さるのですか!」


ミリアはプレゼントと言う言葉を聞き嬉しそうにしている。

おばあちゃんはすかさずミリアに首飾りを勧めてきた。


「お姉様! 私、これ気に入りました! 身体強化の魔法が付与されているそうです! 私にピッタリです!」


(おのれババア…そんなバイ菌まみれの物をミリアに勧めやがって…しかし、ミリアは相当喜んでいるから、ここで買わなかったら落ち込むのは目に見えている…)


「そ、それは良かった。じゃ、じゃあ、それをプレゼントするよ」


(後でこっそりと煮沸消毒でもしとくか…)


ミリアは非常に喜んでいる。


「ババア、それいくらよ?」


「50万じゃ」


「ブッ」


トウコは驚いた。何故ならトウコの所持金を超えてる額だったからだ。

トウコはミリアに聞こえない様におばあちゃんと値切り交渉を行った。


「高けえよ! 何でこんなもんがそんなに高いんだよ! ボッタクリか! 負けろ! 手持ち40万しかねーんだよ!」


「顔に似合わず五月蠅い娘じゃ、いいだろう40万で売ってやる」


「えっ、いいのかよ! じゃ、じゃあ、はい40万な」


(あっさりと応じたな、やっぱこれ、そんな価値無いんじゃ…全財産が無くなったのは痛いがミリアの笑顔が見れたから良しとするか…)


「しかし、お主の様なクレーマーは初めてじゃ」


(くっ、ババアのくせにクレーマーなどとハイカラな言葉を使いやがって…)


「じゃ、じゃあな」


「ヒッヒッヒッ。毎度あり~」


(あのババア、してやったり顔しとる!)


店から離れ歩いているとミリアが先程購入した首飾りを付けてみたいと言い出した。

本当は消毒してから身に付けて欲しかったが、ミリアの笑顔をみると断れないので了承した。

早速ミリアは首飾りを付けてみた。


「こ、これは…」


ミリアは真剣な表情だ。


「ど、どうした!」


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