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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
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ウキョウ国で強力な魔力発生源の調査を行う事となったトウコ達。

発生源には建物があり、近くまで行くと中から少女が姿を現したのだった。


「人間、何故ここに」


「あなたも人間ですよね?」


少女の問いに対し普通に聞き返すシエラ。


少女には神獣が付いているので魔法少女である事には間違いはない。

しかし少女のそれは一般的な神獣よりかなり大きく、そして常に形状を変化させている、今まで見た事も無い神獣だった。

シエラは少女に名を名乗り、ここに来た目的を説明した。

すると、少女もたどたどしい言葉で自己紹介を行った。


少女の名はルヴィ。

この世界で最初に誕生した魔法少女。

人間に嫌気を差し、人里離れた山奥でひっそりと暮らしていたと言う。


魔法少女が誕生してから既に百年以上が経過している。

ルヴィの言葉を信じるならば百歳以上の年齢のはずだが、ルヴィはどう見ても少女にしか見えない。

シエラはルヴィの言う事を信じられずあれこれとルヴィに詰め寄った。


「人間、嫌い」


ルヴィはそう言うと、(うつむ)きながら戦闘態勢に入った。

それを察知したトウコはレーニア姫を抱きかかえると素早くその場から離れた。

間もなく、オリビア、シエラ、シャノの三人対ルヴィの戦いが始まった。


「ちょっと! 何で逃げてるんですかっ!」


シエラは真っ先に逃げ出したトウコに苛立ちを覚えていた。

しかし、トウコは冷静に自分の役割を理解していた。


「俺の任務は姫様の護衛だ」


姫様の守りは最優先と理解しているシエラはトウコの返答に言い返す事は出来なかった。


戦いに巻き込まれない位置まで離れたトウコはレーニア姫を抱きかかえたまま戦いを眺めていた。


「あいつ凄いな、あの三人相手に優勢とは…」


トウコはルヴィの強さに感心していたら、レーニアが恥じらいながら口を開いた。


「あ、あの…トウコ様…私はまだ結婚するには早いと思いますが…」


「えっ? けっ、結婚!? い、いや、俺、これでも一応女子なんだけど…はっ! まさか…付いてる…だと…」


「そんな訳ないじゃろっ!」


お姫様抱っこはプロポーズの証と思っているレーニア姫。

トウコは護衛の為に抱きかかえただけで誤解だと説明すると、レーニアはしょんぼりしていた。


レーニアを降ろし、オリビア達に目を向けると既に三人は倒されていた。


「げっ! マジかあいつ、滅茶苦茶強えーじゃん! 魔法少女第一号ってのは本当かもな」


レーニアは三人の元へ行き治療を行いたいと言うと、危険なのでトウコは却下するも、レーニアの熱意に負け三人の元へ。


レーニアはSランクの魔法少女。

戦闘では全く活躍出来ないものの、回復魔法に関してはエキスパート。

トウコは治療を行っているレーニアを守りながらルヴィを警戒していると、ルヴィが近寄って来た。


戦闘行為をするつもりは無かったトウコだったが、レーニアを守るため離れた場所で戦う事に。

トウコは猛スピードでルヴィに接近し、懐に入ると強烈な掌打でルヴィを遠くまで吹っ飛ばし、そのままルヴィが飛んで行った方に向かった。


「痛い」


痛いとは言うもののルヴィはトウコの強烈な一撃を受けてもダメージが無い様子。


「マジかよ。並みの魔法少女なら気絶コースだったんだがな」


「キャンセルもリターンも効かない…お前、人間違う」


ルヴィはトウコの攻撃に対し魔法無効と魔法を術者に戻す魔法を発動させていたがトウコは魔法を使ってはいないので、それらは通用しなかった。

魔法に対する魔法が通用しなかったので魔法少女処か人間では無いとルヴィは判断。

そして、久しく会話をした事が無かったので、所々会話がたどたどしくなっている。


「いや、魔法少女じゃない処か人間すら否定かよっ! つーか、この糞みたいな神獣が見えんのかっ!」


トウコとルヴィが口論していると、ポン太がルヴィは複数の加護持ちであることを指摘してきた。

本来、魔法少女は一つの加護しか与えられない。

トウコの攻撃は間違いなくヒットしたにも関わらず魔法を使う素振りを見せていない。

ポン太は少なくとも、不老と回復の加護があるのではと推察。

それならばと、トウコは回復が追い付かないほどのダメージを与えて反応を窺う事にした。

ルヴィもまた臨戦態勢に入った。


ルヴィが先に動いた瞬間、トウコはルヴィ目掛けて突撃した…



……



十数年後。



トウコは十年ぶりに、かつてのホームであったトネシンの街へ訪れていた。

連れの二人には用事があるから先に食堂へ行くよう指示すると二人は(うなず)き食堂へ向かった。

トウコが一人で向かった先はミリア邸、ミリアに会うのも十年ぶりくらいになる。

屋敷を尋ねると、メイドにミリアは裏に居ると聞き屋敷の裏へ回った。

そこは(かつ)てトウコとミリアが鍛錬を行っていた場所。

その場に行くと、美しい女性と魔法少女数人が何やら武術の鍛錬を行っている様子。

暫くの間、トウコはその光景を眺めていると、女性はトウコの存在に気づき振り向いた。


「お、お姉様…」


女性の正体はミリア。現在30歳。

加護の力を失ったミリアからは以前の様な攻撃的な硬い表情とドエム性が無くなり非常に穏やかで上品な女性になっていた。

エリートとなった今ではトウコに教わった武術を次世代の魔法少女に伝えるべく、物理系の魔法少女を集め鍛錬を行っている。


「ああ、やっぱりミリアだったか。成長したんで戸惑ったわ」


トウコは十数年経った今でも当時と変わらない姿をしている。

トウコとミリアがどこと無く、ぎこちない会話をしていると、弟子の一人が口を挟んできた。


「先生、この無礼な者は何方(どなた)で御座いますか?」


ミリアが説明しようとすると、トウコはそれを制止した。

それはミリアの弟子達がどれ程の武術を身に着けているのか興味があったから。


「俺の事が知りたければ、俺にダメージを与える事が出来たら教えてやる。全員でかかってこい!」


トウコの思惑とは裏腹に弟子たちは意外と冷静で、トウコを冷ややかな目で見ているだけだった。

多少の恥ずかしさもありトウコはミリアと少し話をすると連れの二人が待つ食堂へ向かった。


暫くして三人は食事を終えると先にトウコが立ち上がった。


「では、行こうか」


二人は(うなず)くと、トウコ達は食堂を後にした。


第一部 完

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