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シャノ救出の為、トウコ、オリビア、シエラの三人はヴァンテの館に乗り込んだのだが…
ヘリテージとか言う意味不明な道具によってオリビアとシエラは加護の力を無効化された。
しかし、トウコだけは道具の影響を受けてないと知ったヴァンテは部下の拘束を解除すると部下はシャノに刃物を突き付けたのだった。
「ふふふ。こちらには人質がおります。可愛らしいスターが一人いた所で状況は何もお変わりありません」
ヴァンテは人質を盾にするとまた余裕の笑みを浮かべた。
「言っときますけど、これでもこの子はフェスで本戦出場選手ですよ」
オリビア妹救出の際、トウコの人間離れした動きを知っているシエラは意外と冷静だった。
「ほーっほっほっほ。確かにその容姿でしたら納得で御座いますが、それは何かご関係がおありですか?」
「いや、そっちじゃねーし」
ヴァンテはトウコのその容姿から美部門だと決めつけていた。
トウコも軽くツッコミを入れたものの、相手が勝手に勘違いしてるなら都合がいいと判断。
そしてトウコはツカツカとゆっくり歩き出しシャノの元へ向かった。
トウコのその行動にヴァンテは一瞬戸惑ったが放置する事も出来ないと判断し部下で対処する事にした。
「ちょ、ちょっと! 勝手に動かれては困りますので阻止させて頂いきます!」
ヴァンテは部下にトウコを止めるよう指示。
部下の一人がトウコの前に立ちはだかりトウコの腕を掴むと部下はその場に倒れ込んだ。
部下の異常に気付いたヴァンテは更に部下二人にトウコを止めるように指示。
だが、新たに現れた部下の二人もトウコに軽く触れられただけで、その場に倒れてしまった。
ヴァンテは状況が理解できず固まっている間にトウコはシャノの前まで到達した。
「こ、この、む、娘がどうなっても、い、良いのですか…」
シャノに刃物のを突き付けている部下がトウコに恐れながらもシャノを盾にしていたが、トウコに触れられその場に倒れた。
加護が封じられていないスターには歯が立たないと判断したヴァンテは残りの部下全員にオリビアとシエラを攻撃するよう命じた。
トウコは二人を心配し、加勢するかと声をかけるも、オリビアは条件が同じなら負ける理由は無いと、トウコの加勢を断った。
しかし、オリビアの強さは、その加護があってのもの。
一対一なら加護が無くとも勝てる相手でも多勢に無勢。
オリビアとシエラは苦戦を強いられていた。
二人の状況を見かねたトウコはシャノを連れて二人の元へ移動し、勁で間髪入れずに数人を麻痺させた。
残った敵は何とか二人が倒して、残りはヴァンテ一人となった。
「はぁはぁ…な、何であなたは、この状況でそんなに強いのですか!」
シエラは、この加護が封じられた状況下でも圧倒的な強さを見せたトウコに疑問を感じていた。
「さっき言っただろ。俺の加護は、どんな状況下でも良い感じにアレする加護だと」
「さっきと言ってる事が違うじゃないですかっ!」
トウコは話を逸らす為、残ったヴァンテの処分をどうするかオリビアとシエラに確認をした。
二人は当然捕まえると言いヴァンテを睨んだ。
「私を捕らえると、その方の手錠の鍵は手に入らなくなりますよ。ほっほっほ」
シャノには封魔石の手錠が掛けられている。
ヴァンテは手錠の鍵を渡さなければ、まだ勝機ありと強気な態度を取っている。
しかし、シエラも強気な態度でそんな物は必要無いと返答。
それはトウコが封魔石の手錠を破壊出来る事を知っている為。
トウコはまた自分に頼るのかとシエラと言い争いをしていたらヴァンテは魔法を使う素振りを見せた。
「お取込み中申し訳ありませんが、私は引かせて頂きます」
奥の手が通用しないと判断したヴァンテはテレポートの魔法を発動。
シエラは逃してなるものかとヴァンテの元へ向かおうとしたがトウコはシエラの腕を掴んで引き留めた。
例によってトウコとシエラは言い争いをしているとヴァンテは姿を消したのだった。
幹部を捕らえる事は出来なかったが今回の目的はシャノ救出。
シエラは悔しがっているが、無事目的を果たしたのでカイドウ国へ戻ったのだった。
次の日、フェス武部門の本戦四日目。
本日の試合はナガワ国代表ノール対ロシマ国代表リリルーヌ。
これまた順当通り本戦常連国であるノールの勝利で終わった。
更に次の日、フェス武部門の本戦五日目、トウコ対シエラの試合が開始された。
シエラはトウコに思う所があり、攻撃をする前に口を開いた。
「貴方は確かに強いかもしれない…しかし! それは、我々が実力を発揮できない状況で貴方だけ従来の力を出せただけの事! 何も封印されてないこの場なら、あなたに負ける道理は無い!」
「終わったかー? ならさっさとかかってこい」
トウコは耳をほじりながらシエラの話を真面目に聞いてはいない。
その態度にシエラは怒りを露わにし、攻撃魔法を放った。
「遅い!」
トウコは魔法が当たるよりも早くシエラに接近し掌打を放った。
「ふふっ。あなたの行動パターンはお見通しですよ」
シエラは予めトウコの行動を予測し、防御魔法を発動してトウコの攻撃を無効化していた。
直ぐ様シエラは数歩下がると、何か危険を察知したトウコも素早く後ろに下がった。
その瞬間、見えない何かで地面が押しつぶされたのだった。
「あっぶねーっ! 今のってアレだよな? オリビアが訳分からん魔物に使った魔法だよな?」
「モケーレムベンベじゃ」
「ゲームでは無かった魔法だし、見えないってのは厄介だな」
「モケーレ・ムベンベじゃ」
「だからそれはもういいつってんだろがっ! アホかっ!!」
トウコがプレイしていたゲームには存在しない魔法。
ゲームの舞台はカイドウ国のみで外国と言う概念が存在しなかった為、ゲームに無い魔法は当然トウコも知らない。
ポン太曰く、今の魔法は上空から押し潰す重力魔法でトウコでも、まともに食らったら無事では済まないと言う。
通常であれば優秀な魔法タイプの魔法少女であれば、相手の魔法を警戒し探知魔法で相手の魔法を探って対策を立てる。
今までの相手はトウコに探知魔法を使用し、ガードされたと勘違いをして、相手に効果をなす魔法を使用してはこなかった。
しかし、シエラはトウコが物理タイプと判断してか、お構いなしに攻撃魔法を放ってきたのだった。




