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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
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47

トウコ、オリビア、シエラの三人はシャノ救出の為、ウキョウ国に訪れていた。

シエラの魔法でシャノはウキョウ国の中心部より離れた場所に居る事が判明。

シャノが囚われてるであろう近くの街まで移動し徒歩で目的地へ向かった。


道中は人気(ひとけ)が無い草木が生い茂る風景で、トウコがプレイしていたゲームには登場しなかった魔物も出現した。

目的地を目指し歩いていると大きな川があり、その川から得体の知れない生物が顔を出した。


「おい、何か川から変な奴がこっち見てるぞ」


「アレはアルタマハハじゃな」


「でかそうだな。んで、その何とかハハって強いのか?」


「アルタマハハじゃ」


「んでその、アルタマ何とかって奴は魔物なんだよな? ゲームでは見た事ないけど」


「アルタマハハじゃ」


「だからフルネームはどうでもいいつってんだろがっ! アホかっ!」


「貴様が先ほどから妙な略し方をするからじゃ」


「またかっ! んじゃ今度はどうせアルタ・マハハだろ? ネタは上がってんだよ!」


「これはウキョウ国のアルタマハ川に棲息(せいそく)するアルタマハ・ハと言う生物じゃ」


「どこで区切ってんだよっ! つーか名前のくだりはもういいつってんだろがっ!」


更に暫く歩いていると、大きな建物を発見。

どうやらシャノはこの建物の中にいるとシエラは言う。

この様な全く人気が無い場所にグルームと思われる連中が居るなら間違いなくここが本拠地ではないかとシエラは考えていた。

ウキョウ国ではグルームの動きが活発で優秀なエリートを動員し、何とか対応を行っていたが本拠地を突き止める事は出来なかった。

今まで探していた本拠地を発見し、シエラは我を失いかけていた。

シエラはこの場から魔法で建物ごと破壊すると言い出したがオリビアがシャノを犠牲にするのかと一喝するとシエラは冷静さを取り戻した。


相手は我々が来る事など考えてはいないと言う理由でオリビアは奇襲を提案。

オリビアとシエラがそれぞれ建物の両サイドから窓を破壊し突入、間髪入れずに視界に入った者全員に拘束魔法を使用。

その後トウコが正面から突入し、拘束されてない者を麻痺させると言う作戦。

相手は油断しているので、その作戦で問題なしとトウコとシエラは合意。


三人それぞれ配置に着くと、トウコの合図と共にオリビアとシエラは窓を突き破って突入した。

二人は各々目に入った者に拘束魔法を発動。

トウコが突入した時には全員が拘束状態になっていた。シャノも。


「ふっふっふ。お待ちしておりました。スターの皆さん」


敵のボスらしき人物は拘束されながらも余裕のある表情をしている。

その異様さに気づいたオリビアとシエラはトウコの元に集まった。


「いや、そんな変態的な格好で言われても…」


トウコの疑問は当然だった、他の者達は普通に拘束されているのに何故かボスらしき人物だけは特殊な格好で拘束されていたからだ。


「これは失礼しました。改めまして、ようこそグルーム七幹部の一人、ヴァンテの館へ」


ヴァンテは自己紹介をしながら魔法で拘束を解除し、お辞儀をした。

ボスらしき人物はグルーム七幹部の一人、名はヴァンテ。

姿や口調からは清楚さを感じる女性だが妙な性癖がある感も否めない。


シエラはヴァンテが自ら拘束魔法を解除した事に驚いていた。

ヴァンテはエリート。本来なら加護で強化されている魔法少女の魔法をエリートが解除する事は不可能だからだ。


「ふふふっ。驚く事は御座いません。ここでは皆平等。スターの皆様も我々エリートと同じで御座います」


ヴァンテの言っている意味が理解できなかったシエラは半分キレながら理由を尋ねた。

すると、意外にもヴァンテは丁寧な説明を行った。

その内容とは、グルーム七人の幹部は皆ヘリテージと言う道具を所持している。

このヘリテージは魔法少女の加護を無効化する事が出来る道具。

加護の力を失った魔法少女は能力的にエリートと同等になる。

以前捕まえたグルームが所持していた道具もヘリテージと言っていたが、どうやらそれは模造品で本物の様に加護を無効化は出来ないが加護持ちに何かしらの効果を与える事が可能。

更に何故我々が来るのが分かったのかとシエラが訪ねると、建物の周囲に設置してるセンサー魔法で侵入者の存在を知った、との事だった。


「それで私達の侵入を察知して…でも、加護の力を失ったなんて…」


シエラには加護の能力を失った事が信じられなかった。


「お気づきになりませんか? ご自分の神獣をご覧下さい」


オリビアとシエラは自分の神獣を確認すると、地面に落ちている事に気づき愕然とした。

神獣は常に魔法少女の周りを浮遊している、その神獣が地面に落下しているなど異常事態だからだ。


トウコも二人の神獣が落下している事に気づき、慌ててポン太の頭を殴り落下させた。


「何をするのじゃっ!」


「いやいや、お前も一応俺の神獣って事になってんだから、二人の神獣と同様に地面を舐めまわしてろやっ!」


しかしポン太はトウコの(げん)を拒否し、またふわふわと浮き上がった。

トウコとポン太が言い争いをしているのを他所(よそ)にシエラは何故そんな重要な事を話すのかとヴァンテに問うと、お約束の様に、侵入者を排除するからと返答。


「他にご質問が御座いませんのでしたら、そろそろ……えっ!? そ、そちらの可愛らしいお嬢さん、神獣が落下していませんが…」


ヴァンテは何かを仕掛けようとした時、トウコの神獣が健在な事に気づき動揺した。


「くっくっく。よくぞ俺の神獣が落下していないと見破ったな! 見事な観察眼だ!」


「いえ…見事も何も、見たままなのですが…」


ヴァンテはトウコの言葉に多少呆れていた。


「ならば教えてやろう。俺の加護は、加護を無力化するアレを無力化する能力だ!」


「貴様、何を無茶苦茶言うとるのじゃ」


「お前が黙って地べたを舐めまわさんからだろがっ! アホかっ!」


「くっ。そのような加護があろうとは…」


苦し紛れで適当に言った能力をヴァンテがあっさりと信じた事にトウコは逆に驚いた。


一方、ヴァンテの表情に焦りが出始めた。

エリート同士の戦いなら、数の上でグルーム側が有利と思っていたヴァンテの考えが覆ったからだ。

ヴァンテは部下の拘束を解除すると部下はシャノに刃物を突き付けた。


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