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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
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46

スターワールドフェス武部門の本戦二日目、ミリア対ネールの試合はミリアの勝利で終わった。

本戦初出場国が本戦常連国に勝利すると言う番狂わせな出来事に会場は大いに盛り上がったのだった。


その日の夕方、ミリアが一人になった時に何者かがミリアに接触してきた。

その目的は、次の試合に勝たせてやる、と言う内容。

しかしミリアは相手を殴り飛ばし、トウコ達と合流。


その日の夕食は食堂に向かう途中に偶然会ったウキョウ国の三人と一緒にテーブルを囲む事となった。

食事の最中ミリアが先ほどの出来事をトウコに報告すると食事をしていたオリビアの手が止まった。


「勝たせてやる、か…確かミリアの次の相手って…」


「私です」


トウコが名前を言う前にオリビアが口を開いた。


「先日の事から考えるとミリアに勝たせると言うのは詰まる所、オリビアに敗北させるのが目的じゃろ」


ポン太は突然犯人の目的をトウコの耳元で語り出した。


「なんだお前突然! 勝手にしゃべんなつってんだろがっ!」


トウコの挙動(きょどう)を不思議に思ったミリアはトウコに確認するも、言い訳が思いつかなかったトウコは話題を変える事に。


「つーか、先日の事から考えるとミリアに勝たせると言うのは詰まる所、オリビアに敗北させるのが目的だな!」


「ワシのセリフを丸パクリしよって…」


「五月蠅いぞ。お前は外に出て草むしりでもしてろっ!」


トウコがポン太のセリフを丸パクリした敵の目的を語ると、シエラが理由を訊ねてきた。

するとオリビアは大きな催しでは闇の組織が動く事は珍しくない事だと口にした。

しかし、今回のターゲットは妹の誘拐事件もあったオリビアの可能性が高い。

トウコは妹の誘拐の件もあり宿泊所を別の場所にするか自国した方が良いと提案するも、オリビアは自分で何とかすると言い立ち去ってしまった。



次の日、フェス武部門の本戦三日目。



本日の試合はナガワ国代表モミジ対ヤーギ国代表ルリカ。

お互い典型的な攻撃魔法重視の魔法少女らしい戦いを繰り広げていた。

そして順当通り本戦常連国であるモミジの勝利で終わった。


その日の昼の事、例によってトウコ達は世界食の祭典で食べ歩きを行っていた。

すると、険しい表情をしたウキョウ国のオリビアとシエラに遭遇。

どうやら彼女達はトウコを探していたようだった。

トウコは食べながら話を聞いていたら、いつも彼女等と一緒にいたシャノが誘拐されたと言う内容だった。

その話を聞きトウコは口に含んでいた物をポン太目掛けて噴出した。


「貴様…」


トウコの噴出した物でドロドロになったポン太を他所(よそ)に話は続けられた。


シャノはウキョウ国の代表選手になる程の強い魔法少女。

そんな彼女がどの様にして誘拐されたかトウコが疑問に思うのは当然だった。

シャノとは数分離れた時に行方不明になり暫く探すも見つからなかったので宿舎に戻ると手紙があった。

その手紙には『シャノを無事に返して欲しくばオリビアは次の試合で負けろ』と書いてあった、との事だった。


「いやもうそれ完全にオリビア狙われてんじゃん! つーか、書いてあったのそれだけ?」


トウコの疑問通り書いてある内容はそれだけだった。

オリビアの妹誘拐事件もあり敵は恐らくグルームで間違いないと皆の考えは一致。

奴等は前回の失敗を踏まえ、敢えて場所を明かさず接触を避けているのは明白。

場所が分からなければ助けようが無いと、トウコは半ば諦めていた時にシエラが場所なら分かるかもしれないと言い出した。

見知っている人の居場所を特定する魔法で相手の事を知ってる度合いで精度が変化する。

故に全く知らない人の捜索には使えない魔法だが、今回は普段から行動を共にする仲間なので問題なく魔法が使用可能。


早速シエラは魔法を使うが発見できず、検索範囲を広げても発見するに至らなかった。


「ひょっとして…死亡してたら反応しない…とか…」


トウコは恐る恐るシエラに確認すると、仮に対象が死亡していたとしても場所は特定出来る、との事だった。

シエラ曰く単純にこの国には居ないと言う。

少なくとも今日中には国を特定し明日には救出する必要があった。

それは、トウコとシエラの試合が明後日に控えているから。


急ぎ、まずは彼女等の国であるウキョウ国から調査をする事に。

相手は魔法少女に効力を発揮する道具を所持するグルーム。

皆で行っては不利になる事は明白なのでトウコはルミラと共に行こうとしたがルミラが激しく断ったのでトウコと彼女等の三人で行く事になった。

食事もそこそこに三人は人気のない所に移動し、シエラの魔法でウキョウ国へ移動したのだった。


ウキョウ国に到着早々シエラは魔法でシャノの所在を確認すると以外にも早く発見する事が出来た。

移動魔法を何度か使用し、目的地に一番近いと思われる街まで到着した。

この街はウキョウ国の中心部からは、かなり離れた所にある街。

トウコは空から目的地に行く事を進言すると、敵に気取(けど)られる恐れがあると徒歩で行く事に。

暫く歩くと人気(ひとけ)が全く無い草木が生い茂る風景になり大型生物が出現した。


「あのでかいのは魔物なのか?」


ゲームにも登場しなかった見た事も無い生物だったのでトウコはポン太に確認した。


「アレはモケーレムベンベじゃな」


「でかいな。んで、その何とかベンベって強いのか?」


「モケーレムベンベじゃ」


「んでその、モケーレム何とかって奴は魔物なのか? 何か恐竜っぽいけど」


「モケーレムベンベじゃ」


「さっきからフルネームはどうでもいいんだよ! アホかっ!」


「貴様が先ほどから妙な略し方をするからじゃ」


「普通にキレが良い感じの所でアレしただけだろが!」


「アレはモケーレ・ムベンベと言うのじゃ」


「区切るとこそこかよっ!!」


トウコとポン太がくだらない話をしている最中にオリビアが魔法を発動。

轟音と共にモケーレムベンベは潰されて息絶えたのだった。


「先を急ぎましょう」


オリビアは何事も無かったかのように、歩みを止める事無く目的地を目指した。


「おい! あいつ糞雑魚じゃねーかっ!」


「ワシは強いとは言うとらん」


「糞雑魚ならさっきの名前のくだりとか全く必要ねーよ! アホかっ!」


三人はシャノ救出の為、先を急いだ。


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