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スターワールドフェス武部門の本戦、オリビア対ベルの試合が開始された。
ツバキの話により、オリビアが光の剣の様な物で魔力を吸収する攻撃をする事が発覚。
その事を知ったトウコは対策を考えていたのだが…
「光の剣っぽい物か…実態があれば受け流す事も出来るかもだが、しかし、触れただけで効果があるなら…」
トウコがあれこれと思案しているとポン太が口を挟んできた。
「魔力が無い貴様に魔力吸収攻撃をしても無意味じゃろ。魔力が無い貴様に」
「いや、いちいち魔力が無いって2回も言う必要ねーから。まあでも、よくよく考えたら魔力を吸収するだけなら俺には無害って事か」
オリビアが使うその技は対人間用の技で魔力持ち以外の魔物等には効果が無い。
普段は悪事を行った人間に対して使っているのだろうとポン太は言う。
そんな話をしている内に客席から歓声が響き渡り、オリビアの勝利宣言が聞こえた。
「お前がいらん情報を長々と言うから見逃したじゃねーかっ!」
試合を見逃したトウコは暫しの間、ポン太と言い争いを行っていた。
試合が思いのほか早く終わってしまったので皆と協議した結果、特に見たい競技も無いので外国の食べ物を食べ歩く事に。
世界の食の祭典広場へ向かう道中、ツバキは突然トウコの前に来て立ち止まった。
ツバキは予選で負けて以来、罰と称したご褒美を貰う機会を窺っていた。
そして…
「姉上様、どうか予選で敗退した私に、ごほ、罰をお与え下さい!」
ツバキは突然、人が行き交う道の真ん中で土下座をし、この状態で頭を踏まれるという罰を要求。
ツバキがご褒美と言いかけた事よりもトウコは周りの視線の方が遥かに気になっている。
「ここでかよっ! 流石に人が多すぎて注目を集めまくるから別の場所で…」
「注目されなければ意味がありません!」
「何でだよっ!!!」
誰も居ない場所ならばトウコも本人の希望を叶えるのは吝かではないものの、これだけ人が多いと羞恥プレイでしかない。
しかしツバキは頑として動こうとしないので、これ以上人が増える前に罰を執行する事に。
トウコがツバキの頭を踏むとツバキはミリアに不敵な笑みを見せた。
それに気づいたミリアは悔しそうな表情を浮かべたのだった。
更にタイミングが悪い事に、たまたま通りかかったウキョウ国の三人がその光景を見て立ち止まっていた。
シエラに何をしているのかと問われたトウコは上手く返答する事が出来ず口籠っていたら、鬼畜の烙印を押され、三人はその場を立ち去った。
満足げな表情をしているツバキとは裏腹に、周りから汚物を見るような視線を向けられるトウコは落胆していたのだった。
「ヌシは何時もこのような辱めを仲間に強要しておるのか?」
ルミラにはトウコが無理やりツバキを土下座させ頭を踏んだように映っていた。
「いや、状況見てた? ツバキが自ら志願してただろがっ!」
「そんな事は知らぬ。我にはヌシが喜んでやっているようにしか見えぬ」
「何でだよっ!!!」
第三者から見たら自分は喜んでやっているように映るのだろうかと考えるトウコだった。
次の日、フェス武部門の本戦二日目。
「皆さん長らくお待たせ致しました! 選手の入場です!」
一人目は本戦では常連国、ウサカ国代表ネール。
そしてもう一人は本戦初出場国、カイドウ国代表ミリア。
「えっ! この国ってカイドウって名前だったの!?」
トウコは初めて自国の名前を知ったのだった。
「なんじゃ貴様、自分の国の名前も知らんかったのか」
「知る訳ないだろ! ゲームじゃ国なんて無かったし。つーかお前は知ってたのかよっ!」
「無論じゃ」
ポン太はトウコが転生する際にゲームキャラと一緒に居たので付属物として作成された。
そしてポン太にはこの世界の情報と神々のある程度の知識も与えられている。
幸か不幸か神の配慮かポン太の存在によりトウコはこの世界で魔法少女と認識されている。
そうこうしている内に試合開始の合図が鳴り響いたのだった。
試合開始早々ミリアは身体強化魔法を使用するとネールもまた身体強化魔法を使用。
ミリアとネールの間で何やら会話を行っているようだが客席からではその内容は分からない。
先に動いたのはネール。
ネールもまたミリアと同様に自強化魔法のみで戦う物理攻撃タイプの魔法少女。
二人はいきなり激しい攻防を繰り広げていた。
「ふむ。身体能力は相手の方が上回っておるな」
ルミラは冷静に二人の戦力分析を行っていた。
「そうだな。身体能力だけは相手が上手だな」
トウコもまたルミラと同じ見解ではあるが意味深な言い方をした。
ネールは本戦常連国の代表選手だけあって非常に強い。
しかし、いくら身体能力が勝っていても武術を知らないネールは、その速さと腕力だけで戦っているので動きに無駄が多い。
武術を知らない相手ならば、その身体能力の差で圧倒されてしまう。
それに引き換えミリアはトウコに教わった武術で冷静にネールの攻撃を防いでいた。
「何で当たらんのやっ!」
なかなか攻撃を当てる事が出来ないネールは苛立ちを覚え、大振りで雑な攻撃が増えた。
ミリアはネールの攻撃を捌き、懐に入り強烈な掌打を叩き込むと、すぐさま距離を取った。
強烈な一撃を受けたネールは腹部を押さえ苦しそうにしている。
「ほう。ミリアとか言ったか。あの者が使う技はヌシも使っている技か」
「武術だ」
「読めたぞ! ヌシはあの者に、その武術とやらを伝授されたと言う事だな!」
「いや、張り切って言ってる割に全く読めてねーからそれ」
ネールは気合を入れ直す為か突然大声を上げてから再びミリアに猛スピードで突進した。
しかし、依然ネールの攻撃はミリアに当たる事は無かった。
ミリアは攻撃の隙を突き再度ネールの腹部に掌打を叩き込んだ。
ネールが蹲る瞬間、更にミリアは下から突き上げるように顎に掌打を当てるとネールは気を失った。
だがミリアはネールの髪を掴み倒れない様に立たせておくと、今度は拳で執拗にネールの腹部を殴り始めた。
ミリアの勝利宣言がされても、ミリアは攻撃を止めようとはしなかったので慌てて審判的な人が止めに入ったのだった。




