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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
43/50

43

トウコとルミラは夜中に食堂へ向かっていた道中、何か急いでいる三人組の魔法少女と出くわした。


「あ、あなたは確か…」


後方に居た魔法少女はトウコを知っている感じで近寄ってきた。

ポン太に確認した所、三人はウキョウ国のフェス出場選手のオリビアとシエラとシャノ。

そして、話しかけてきたのはオリビア。


「あっ、世界最強の…」


「オリビアです」


オリビアは世界最強と言われるのが好きじゃないようで名を名乗った。

トウコも名乗り、急いでいた理由を尋ねた。

しかし、オリビアはその理由を答えてはくれなかった。


「オリビア様、急ぎませんとグルームの奴等が…」


シエラはグルーム絡みで急いでいる様子。

グルームとは以前から他国で問題を起こしているエリート(元魔法少女)で構成されている組織でこの国にも勢力を伸ばしていた。

トウコは以前に何度かグルームと名乗る連中と戦った事があり、連中が加護持ち(魔法少女)に対して効果を発揮する魔道具を所持している事も知っている。

それ故にトウコはグルームの危険性を説明するも、オリビアはその事を知りつつも妹が誘拐されているので行かざる負えない状況になっていたのだった。


トウコはこの事でオリビアがフェス本戦に出場出来なくなる事を懸念し協力をする事にした。

相手は訳の分からない道具を使うグルーム、魔法少女が多いと不利になる可能性があるのでトウコとルミラ、そしてオリビアの三人で行くとトウコが言うとシエラは猛反発。

ここで言い争いをしてる時間も無いのでトウコが折れて五人で現場へと向かった。


約一時間後、グルームに指定された建物に到着。


「よし、んじゃ入るか」


トウコが正面から入ろうとすると、シエラがトウコの腕を掴んだ。


「ちょっと! 馬鹿正直に正面から入る事ないでしょ!!」


シエラは別の場所から侵入して人質を助ける事を提案。

その場合バレた時のリスクが高過ぎると言う理由でトウコはそれを却下。

相手の目的はオリビア。少なくてもオリビアは正面から入り相手の要求通りにする必要があると判断。

正面から入るのはトウコ、ルミラ、オリビアの三人で他の二人は後から入る事をトウコが提案。

シエラは納得しなかったがオリビアが了承したので渋々同意した。


オリビアを先頭に建物へ普通に突入。


中にはグルームのメンバーと(おぼ)しき女性達が待ち構えていた。

グルームのメンバーはグルームA~Fの全部で六人。

そしてその背後に手錠で繋がれた少女の姿があった。

その姿を見たオリビアは怒りで我を失い連中に襲い掛かろうとした直後、突然その場にゆっくりと倒れた。


「くっ、体が…」


トウコの懸念通り奴等は加護持ち(魔法少女)に対して効果をなす道具を使用しているようだが、トウコには効果が無いので何をされたのかは分からない。


「ふふふっ。残念ですが、ここではスターの方は無力です……って、あれ? 片方は良いとして、もう片方はどう見ても…」


六人の中でリーダー的存在のグルームAはトウコが普通に立っている事に戸惑っていた。

この世界の人間は神獣の有無で魔法少女か否かを判断する。

ルミラには神獣がいないので道具の効果が無いのは納得出来るがトウコにはしっかりと神獣(ポン太)がいるように見えるからだ。


そんな時、オリビアの異常に気づいたシエラとシャノは空気を読まず建物に侵入。

案の定、オリビアと同様、建物に入った途端、その場に倒れてしまった。

無策に飛び込んできた二人を見てトウコは呆れていたが、それよりもグルームの処理を優先する事にした。


「さてお前等、俺の前で大人しく正座をするか、激痛拷問を食らうか選べ」


「は、はぁ? 二人で何が出来ると言うのですか! それにこちらには人質もいるのですよ!」


グルームAは強気な返答をするも魔法少女でありながら道具が通用しないトウコに若干不安を抱いている。

トウコにしたらルミラも居るので人質は何時でも助ける事が可能なので、人質は居ないに等しいと答えると、トウコの意図を誤解したシエラは激怒するがトウコはそれをスルー。

トウコの返答に対しグルームAは立場を分からせる為、現在の状況説明をした。

この空間は特殊な道具によって加護持ちは体が麻痺して動けない状態になっている。

彼女等はその道具をヘリテージと呼んでいる。

更にもう一つの魔道具によって、この空間に居る者は魔法が使えない状態になっている。


グルームの目的はオリビアに本戦へ出場をさせない事。

その為に妹を誘拐しオリビアを誘い込み魔道具で暫くの間拘束し棄権させようとしていた。

オリビア以外の者に関しては特に上からは何も指示されていないので、この場で始末する事にした。

オリビアは何とか魔法を使う事を試みるが、やはり魔法が発動しなかった。


「ほう、お前等、正座より激痛拷問を選択したって事か」


「魔法が使えないこの状況で、まだ強がりを言いますか」


グルームAはそう言うとグルームD,E,Fに攻撃を指示。


「いや、お前等も魔法使えないじゃん」


攻撃を指示されたグルームの三人は(おもむろ)に武器を取り出した。

いくら加護で強化されているとは言え、武器で攻撃されると魔法少女にも致命傷を与える事が出来る。

これは以前エリーザが行った事もあり、この状況をトウコは納得した。


「んじゃルミラ。無様に転がってる三人の守りを頼む」


「何故我が魔法少女如きを守らねばならんのだ」


ルミラは過去の事もあり魔法少女をあまり快く思ってはいない。

その事を知ってるトウコは、後で三人に高価な食事を御馳走されると言うと、ルミラはあっさりと了承した。


「ま、魔法が使えない状況でその子に何が出来ると言うのですか!」


「いや、動く事も出来ないお前より遥かにマシだろ」


シエラは自分が何も出来ず、魔法少女でもない少女に助けられるのが屈辱か、麻痺でまともに動く事が出来ないが口だけは動かせるようだ。

しかしトウコに突っ込まれると顔を真っ赤にし、言い返す事が出来なかった。


「愚かな…我が使うのは魔法などではなく…」


ルミラがまた何か余計な事を言いかけた瞬間にトウコはルミラの頭を殴った。


「何をするのだ!」


「だから余計な事を言うなつってんだろっ!」


そうこうしている内にグルームの三人は武器を構えると一斉に襲い掛かってきた。


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