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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
42/50

42

スターワールドフェス武部門の予選が開始された。


「今更だけど、俺魔法少女じゃないのに、これ出てよかったんかなあ」


「今更臆したか。この世界の人間が勝手に貴様を魔法少女と認識しておるのじゃから問題はあるまい」


ポン太はそう言うものの、トウコはギルド登録時の様に魔力を要求される事がないか懸念したが、考えても仕方ないので開き直る事にしたのだった。


予選会場は全ブロックの試合を同時に行える広い場所で観戦も可能。

各ブロックの試合の際は他のブロックや観客に被害が出ないようにバリアが張られる。


そして、トウコの順番が訪れた。


「ぎゃあああああああああああああああっ!!!」


「ほーれ、さっさとギブアップせんと、この激痛がずっと続くぞー」


トウコは試合開始早々相手に素早く近づき手を取り激痛発勁(げきつうはっけい)を発動。

トウコは相手にギブアップを要求するも、相手は激痛でまともにしゃべる事が出来ない状態。

トウコが手を離すと相手はヘナヘナと倒れ、力が無い声でギブアップを宣言した。


次の試合まで何処かで時間潰しでもと思っていた矢先、見知った者がトウコの目の前に歩いて来た。


「相変わらず容赦が無いな、ヌシは」


「た、対戦相手に同情します…」


「あっ、師匠と……ドエムか」


そこに現れたのはルミラとヌエットだった。


「ド、ドエムって何ですかっ! ヌエットですよっ!」


ルミラとヌエットはトウコ達が出場すると知り観戦に来ていた。

この国でフェスが開催される事もあり、多くの人達が、ここヘレロビの街に集まるので、ギルドは暇になったとの事。


「あ、あの…も、もう少し手加減をなさった方が…あ、相手の方もトラウマとか抱えそうですし…」


ヌエットは何度も激痛技を食らっているので対戦相手の気持ちがよく分かる。


「馬鹿野郎! 相手に肉体的ダメージを与えず心を折る。これが最も効果的だろがっ!」


「ひいぃ、ご、ごめんなさい」


ミリアとツバキも合流し二人共、危なげなく一回戦を突破したと報告してきた。

ルミラは他国の食べ物を食べてくると言い、ヌエットと二人で会場を出た。

トウコ達出場者の三人は、まだ予選の試合を控えているので、この場を動く事が出来ない。


その後の予選試合は、トウコは一回戦と同様に全試合激痛技で相手をギブアップさせ予選を突破し本戦出場を果たした。

全試合一分もかからずに終わらせた為、トウコのブロックは他のブロックより早く終わってしまった。

暇を持て余していたトウコはミリアとツバキの本戦出場を確信していたのでルミラを追う事にした。


他国の食べ物を売っている通りを目指し暫く歩いていると妙に人が集まっている所を発見。

その中心部に目をやるとルミラの姿が見えたので、トウコはため息をつきながら人をかき分け中に入った。


「おい、ルミラ。また問題を起こしたのか」


「またとは何だ! 我は一度も問題を起こした事なぞ無いぞっ!!」


現在の状況をヌエットが解説しだした。

小さな少女が突然、路地から飛び出してきてヌエットと激突。

そこに、如何にも悪そうな三人の魔法少女が現れ、いきなりヌエットを殴ろうとした所、ルミラがそれを阻止。

相手は少女を渡す事を要求したが、少女の怖がっている姿を見てルミラはそれを拒否し三人の魔法少女を麻痺させ動きを封じた。


「なるほどな、しかし、一つだけ分かった事がある」


トウコには何かが分かったようだった。


「そ、それは…」


ヌエットはゴクリと唾を飲みトウコの次の言葉を待っていた。


「お前何もしてねーじゃねーかっ!」


トウコはそう言いながらヌエットの頭を殴った。

それに対しヌエットはパニくりながらも弁明。


その後すぐに数人の魔法少女が駆け付けた。

やって来たのは、この街のギルドに所属する警備担当の魔法少女とナガワ国のノールと言う魔法少女。

ノールは泣きながら少女の名を呼び抱きしめた。


追われていた少女はノールの妹で、予選の合間に二人で観光を行っていた所、目を離した隙に姿を消した。

ノールは近くに居た人達に聞き込みを行うも手掛かりは得られなかった。

そこに通りかかった警備担当の魔法少女に事情を説明し一緒に探している所に人盛りを発見して現在に至る。

こういう世界的な催しでは珍しい事件ではないとの事だった。

ノールは何度もお礼を言うと予選があるので慌てて会場へ向かった。

トウコ達も他国の食べ物を求めてその場を後にしたのだった。


数時間後。


他国の食べ物に満足したトウコ達はミリアとツバキの様子を伺いに予選会場へと向かった。

会場へ着くとミリア達を発見し合流すると、ミリアとツバキ、そしてエリーザは浮かない表情をしていた。

その理由を聞くとトウコは驚いた。


「なにいいぃぃっ!!!」


それは、ツバキが予選敗退と言う内容だったからだ。

エリーザの話ではツバキが負けた相手はウキョウ国のオリビア。

トウコは食堂でオリビアを見て魔法少女の中では別格の強さと思っていた。

しかし、まさか身内が予選で当たるとは夢にも思ってはいなかった。


ツバキは非常に落ち込み、トウコに謝罪するがトウコは事故のようなものだとツバキを慰めた。

トウコは重い空気を打破する為、他国の食べ物でも食べに行こうと提案した。


「ヌシはまだ食べる気なのか…」


先程食べてきたばかりなのに、また食べに行くと言い出したトウコにルミラは呆れていた。


「アホかっ! ここは何か食べて気分転換とかする流れだろがっ!」


数時間後。


皆での食事を終え、昨日と同様に運営が用意した宿泊所に泊まる事に。

空き部屋もあった事からルミラとヌエットも宿泊。


トウコが部屋で寛いでいると突然ルミラがやって来た。

話を聞くと、どうやらお腹がすいたらしく、何かを食べに行こうと言い出した。

確かにトウコも皆と食事に行った際にはあまり食べてはいなかったので今頃お腹が減ってきていた。

廊下で会ったヌエットに食事してくると言い残しトウコとルミラは食堂へ向かった。


夜ではあるがフェス中と言う事もあって通りはそこそこ明るく人通りも多い。

トウコ達が歩いていると、後方から何者かが凄い勢いで走ってきてトウコに激突しそうになったが、トウコは振り返り両手で相手を押さえて激突を阻止した。


「前向いて走らんと危ないよ」


そう言うと、トウコは押さえていた手を離した。


「こ、これは申し訳ありません。急いでいたもので…」


そこに居たのは三人の魔法少女だった。


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