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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
40/50

40

スターワールドフェス武部門の出場枠を賭けてトウコはコゼットと戦っていた。

数度に渡りトウコが勝利するも、コゼットは再戦を要求してきたのだった。


「ふふふっ、これであなたはもう逃げられませんよ」


コゼットはニヤリと不敵な笑みを浮かべながらトウコの腕を掴んだ。

だが、この至近距離は完全なるトウコの間合い。


「ここからどのような攻撃をしぎゃあああああああああああああああっ!!!」


トウコは多少呆れた表情で激痛発勁(げきつうはっけい)をコゼットにお見舞いした。


悲鳴を叫び終わったコゼットは四つん這い状態でハァハァしながら呼吸を整えている。


「ふっ。ふふふっ」


コゼットは何処か焦点が定まっていない目をしながら笑みを浮かべている。


「お姉様、お下がり下さい!」


ミリアはコゼットの異変に気付き、トウコをコゼットから遠ざけた。


「この者は……ドエムで御座います!」


ミリアは自分と同じ匂いでも感じたのか同類と判断したのか、自分を棚に上げてコゼットをドエムと言い出した。

しかし、トウコはプレイと言うワードが出た時点で既にコゼットはドエムだと気づいていた。


「ふふっ…次のご褒美…再戦を、よ、要求します」


「こやつは貴様と同様にドエムじゃから、このままでは(らち)が明かんぞ」


「いや、俺ドエムじゃねーし。それに対ドエム用のプレイは既に考えてある、案ずるな」


トウコには秘策があった。

しかし、その策を実行するにはミリアとツバキに席を外してもらう必要がある。

トウコはエリーザを呼び、適当な用事を与え暫く三人で買い物でもしてくるよう指示をした。

三人が居なくなった事を確認したトウコは策を実行する為コゼットの目の前に立った。


「この無様にご褒美をねだるメス豚がーっ! ご褒美が欲しかったら地に頭を擦り付けてお願いして見せろっ!」


コゼットは痛みを快感に変換する、ステージが一つ上のドエムとトウコは判断。

そこから、例によって一度だけ頭を踏んでから口汚く罵るだけに留まった。

するとトウコの思惑通りコゼットは頭踏みを要求してきたが、トウコは言葉プレイにのみ徹した。

最後の仕上げに移ろうとした矢先、ポン太が呆れた表情で口を挟んできた。


「貴様は先程から何をほざいておるのじゃ…」


「言葉プレイからの焦らしプレイ経由の放置プレイを今からやる所だろがっ!!」


そう、トウコの真の狙いは放置プレイと称して、この場から速やかに撤退する事だった。

そうする事により、コゼットもこれ以上再戦を要求してこないと判断したからだ。

案の定トウコが放置プレイの刑を言い渡すと、コゼットは満足げな表情でその場に倒れこんだのだった。

その光景を見ていた運営はしばらくの間、開いた口が塞がらない状態だったが、我に返りトウコの強さを実感した。


その後、トウコはミリア達と合流…したのだったが…


倒れているミリアをエリーザが介抱していた。

話を聞くと、エリーザが誰かとぶつかって尻もちをついた時に、ぶつかった相手がエリーザを殴ろうとしたので、ミリアが出てきて相手を殴ろうとしたら逆に殴られて倒された、との事だった。

その話を聞いて殴り合いでミリアに勝てる相手がいる事にトウコは驚いた。

エリーザの話によると、相手は魔法を使っていた、との事。


「お前か、俺の可愛い妹をヤったのは。次は俺が相手だ。かかってこい」


「おもろい事言うなぁお嬢ちゃん。その可愛い顔ボコボコにしたるわ!」


相手の魔法少女が動き出そうとした直後、背後に何者かが突然現れ、相手の魔法少女の頭を殴った。


「イタッ。グロ(ねえ)!」


「その呼び方ヤメ言うてるやろ!」


突然現れた二人の魔法少女は相手の仲間で、グロ姉と言われた魔法少女が挨拶をしだした。

彼女達はウサカ国から来た魔法少女でグロ姉と言われた者の名前はグロリア。

グロリアと一緒に現れた魔法少女はベル、そしてトウコと一戦交えそうになった者はネールと名乗った。

彼女達の姉妹関係はグロリアが長女でネールが次女、そしてベルが三女。


トウコがネールと先程の続きをしようとしたら、グロリアが口を挟んできた。


「それはやめとき。うちらはフェスの出場選手や。怪我じゃすまんで」


「俺も選手だ、いいからかかってこい」


「いやいや、うちらは武の方や。あんた、何処からどう見ても美の方やろ!」


ネールは笑いながら言い放ったがトウコはそれに対し敢えて否定をする事はしなかった。


グロリアはこれ以上騒ぎを大きくしたくなかったので、トウコとネールが和解するために握手を要求。

しかし、ネールがそれを拒否すると、グロリアは怖い表情になりネールを睨みつけた。

グロリアの表情からネールはその意図がトウコの手を握りつぶせと言っていると勝手に解釈し、親指を立ててグロリアに意図を理解したアピールをした。

トウコにも思惑があり無言でグロリアの提案に(うなず)いた。


両者が握手を交わした、その瞬間。


「死ねやぎゃあああああああああああああああっ!!!」


ネールが何かを言いかけた瞬間、それは悲鳴に変わった。

そう、トウコが例によって激痛発勁(げきつうはっけい)をネールにお見舞いしたのだった。

ネールの悲鳴に驚いたグロリアだったが、ネールを助ける為、すぐさまトウコの背後に回り攻撃を仕掛けようとした。

しかしトウコはそれを察知し、振り向く事なく左手でグロリアの腕を掴んで攻撃を阻止した。


「俺の背後に立つなよ。こいつと同じ目にあいたいのか?」


トウコは正面を向いたままグロリアを見る事なく忠告をすると、グロリアはゾッとした。

トウコに攻撃が出来ないと判断したグロリアは慌ててトウコの手を振りほどき、ベルが居る所へと戻った。

グロリアが戻った事を確認したトウコはネールから手を離すと、ネールはヘナヘナとその場に倒れ込んだ。


トウコ達がその場から立ち去ろうとしたら、ハァハァと言いながらネールが立ち上がりトウコを呼び止めた。

ネールはやられたままでは気が収まらなかったのでトウコに攻撃しようとした瞬間、グロリアが制止した。

それでもネールが食い下がると更にグロリアは強く制止した。


「お前がフェスで勝ち進めば俺と対戦する事が出来るだろう。その時には合法的に処刑してやるから安心しろ」


そう言い残しトウコ達はその場を後にした。


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