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ルミラを雇ってもらう為、ヌエットが在籍するルバモリウの街のスターギルドへやって来たトウコ一行。
ヌエットが受付嬢に説明するも納得していない様子だったのでトウコが説明する事にしたのだった。
「ならば俺が説明しよう。師匠」
「うむ」
トウコはルミラに声をかけるとルミラは徐にヌエットに近づき腕を掴んだ。
「えっ!! ちょ、ちょっと、まさかぎゃあああああああああああああああっ!!!」
ルミラは例によって激痛発勁をヌエットに放った。
「と、この様にルミラは俺の師匠で魔法少女なんかより遥かに強い。安心して雇うが良い」
受付嬢は以前に見た事があるヌエットのやられっぷりに驚いている。
「こ、この様にじゃないですよ!! なななななんで説明するのに私を使うんですかっ!!」
ヌエットの惨状を確認した受付嬢は一応納得をしてルミラをギルド用心棒として雇う事にした。
「じゃあ後はルミラが住む馬小屋でも適当に用意してくれ」
「何故我を雑に扱うのだ! 馬小屋に何て住みたく無いわっ!!」
「いや、今まで住んでた所って馬小屋と大差ないし、それに家賃も安いぞ」
「人間らしくしろと言ったのはヌシであろうがっ!」
ルミラはまだブツブツと文句を言っているので普通に人間が住む物件にしてもらう事にしたのだった。
それから一週間が経過。
スターワールドフェスの武部門に出場する為、出場枠を賭けた対戦を行う日取りを聞きにフェス運営本部に来たトウコ一行。
「あっ、来たんですね。ちょうどコゼットさんも居るので、さっさとやられちゃって下さい」
運営の態度にミリア、ツバキ、エリーザの三人は今にもキレそうになっていたが、何とかトウコがそれを宥めた。
運営本部裏の広場にトウコとコゼットの戦いを見る為に皆が集まった。
「申し訳ありませんが、この後予定がありますので早く終わらせます」
コゼットには負ける気は全く無く、予定時間に間に合うかだけを考えていた。
強い魔法少女には相手が使用できる魔法を調べる探知魔法を使える者が多い。
逆に言うと探知魔法を使って有利に戦う事が出来るから強い者が多いと言える。
コゼットもまた探知魔法を使いトウコの使用魔法を探るも魔法を発見出来ずガードされたとおもい、相手に対して使う魔法は使わないようにした。
皆が見守る中、トウコとコゼットの戦いが始まった。
コゼットは大会で優勝してるだけあって魔法を使わなくても普通に強く果敢に攻めている。
それに対しトウコは防戦一方……のように見えるが、コゼットの攻撃を的確に防いだり受け流している。
なかなか攻撃を当てる事が出来ないコゼットに焦りの表情が見え始めた。
気が付けばトウコはその場から一歩も動いてはいなかった。
見ている者達でその事に気づいている者はいない。
しかし、コゼットだけは気づいていたので尚更焦りを感じていた。
「攻撃魔法とか使わんの?」
トウコはなかなか攻撃魔法を使って来ないコゼットに確認を行った。
それは、実戦で内勁による魔法を返す技の完成度を確かめてみたかったからだ。
「白々しい事を…」
魔法が通用しないのに攻撃魔法を使わせ、その隙を突く作戦とコゼットは思っていた。
トウコの言葉を警戒し、コゼットは距離を取った。
「えっ!? 白々しいってどう言う事よ?」
トウコはコゼットの言っている理由が分からなかったのでポン太に理由を尋ねてみた。
「嘘や見え透いていると言う意味じゃ」
「言葉の意味じゃねーよっ! 奴が言った理由を聞いてんだよっ! アホかっ!」
「魔力が無い貴様に探知魔法でも使ったのじゃろ、魔力が無い貴様に。それでガードされたと勘違いしておるのじゃろうて」
「いや、いちいち魔力が無いって2回も言う必要ねーから。まあでもそう言う事か…んじゃこれ以上引っ張ってもしゃーなしだな」
トウコは内勁を試す為、敢えて攻撃をせずコゼットが攻撃魔法を使うのを待っていたが、その必要が無いと分かったので、さっさと終わらせる事にした。
その矢先、コゼットが急接近し攻撃を仕掛けてきた。
トウコはコゼットの蹴りをガードするとコゼットは更にパンチを繰り出してきたがトウコはその腕を掴んだ。
そして間髪入れずに発勁を放ちコゼットを麻痺させた。
コゼットは身動きが出来なくなりその場に倒れたのだった。
今まで有利に事を運んでいた様に見えたコゼットが突然倒れ、運営は何が起きたか分からない様子。
「おい糞運営、終わったぞ」
トウコが戦いを終わった旨を宣言しても運営は信じられない様子で暫く固まっていた。
数秒後、運営は我に返り、以前ヌエットが言っていた捨て台詞を思い出した。
運営はトウコの勝利を認めフェス武部門の内定者に認定したのだったが…
トウコはコゼットに近づき勁で麻痺を解除した。
コゼットは徐に立ち上がり、再戦を要求した。
「いや、お前、何かこの後予定があるから急いでたんじゃないの? まあ俺は別に構わんけど」
「失礼しました。次は全力で行きます」
運営はこの勝負に勝った者が内定者と改めて宣言した。
その直後、コゼットはトウコから距離を置き、自分の持っている全ての身体強化魔法を使用した。
準備が整ったコゼットは猛スピードでトウコに突進。
トウコは素早くコゼットの懐に入り、向かってくる威力を利用し腹部に掌打を放った。
コゼットはそのまま吹っ飛び、木に激突し意識を失った。
「ちょっとやり過ぎたかな? まあでも身体強化魔法を使ってたっぽいし大丈夫か」
トウコはコゼットの元へ行き、勁で応急処置をしてからコゼットを抱きかかえて皆の元へ戻ってきた。
更にツバキが回復魔法を使うとコゼットは目を覚まし、徐に立ち上がり、再戦を要求した。
「まだやんの!? 予定はっ!」
コゼットは当初、予定があるから早く終わらせると言っていた。
しかし、何度も再戦を要求してくるので面倒に思ったトウコはコゼットに予定がある事を思い出させようとしたのだが…
「予定より今はこのプレイの方が重要なのです! こ、今度はどのような攻撃をしてきますか…ハァハァ」
コゼットはハァハァ言いながら、うっすらと笑いトウコの腕を掴んだのだった。




