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その魔法少女は物理系  作者: 須美音
第一部
32/50

32

グルーム討伐後、ミス魔法少女コンテスト開催の時期が近付いていた。

エリーザはトウコがコンテストに出場する事を前提で仕込みの準備も行っていた。


「お姉様に楽しんで頂けるよう、ある企画をご用意する予定で御座います」


トウコはコンテストのステージが見渡せる特別室で豪華料理を食べながら的な事を想像していた。


「今回はお姉様が戦う前に希望者を(つの)って敗北して頂き、お姉様の凄さをアピールするのが目的となっております」


「いや、俺が戦う前って何よ?」


「前回好評でしたので、今回も殺神の二つ名を世に轟かせて頂く趣向になっております」


「いやいや、何と戦うのよ?」


「サイクロプスで御座います」


「いやいやいや、何で俺が出る事前提で話が進んでんの?」


「ご安心下さいませ。既に許可を頂いて御座います」


「誰にだよっ!」


「ミリアお姉様に御座います」


「何でだよっ! 俺に許可を求めんかいっ!」


そんなやり取りがあったものの結局は賞金に目がくらんで出場する事になったトウコであった。


「所で、お前も出るんだよな?」


エリーザは前回も出場し、過去に連続出場している上、更に連続優勝もしている。

賞金目当てのトウコにとって強力なライバルが居ると優勝が遠のくと危惧している。


しかし、トウコの心配とは裏腹に、以外にもエリーザは出場せず、今後は裏方に回るとの事だった。

トウコが理由を尋ねると、トウコに優勝してもらう事と自分はトウコの美しさには到底及ばないと言い出した。


「いや、お前も十分可愛いけどな」


「ほっ、本当で御座いますかっ!!」


エリーザはトウコに褒められ非常に喜んでいる。

トウコはハッと思いミリアを見ると、何事もなく紅茶を飲んでいた。

普段なら他人を褒めると大声で叫ぶのにと不思議に思っていた。

そこで試しにミリアが反応しそうなワードを入れて再度エリーザを褒めてみる事にした。


「うむ。メス豚並みに可愛いぞ」


「めっ、めめめめめメス豚ですってっ!!!」


ミリアは持っていたティーカップを破壊しながら立ち上がり大声で叫んだ。


(やっぱり特定ワードにのみ反応するのか)


トウコはあれこれと言い訳をし、何とかミリアを宥めたのだった。


トウコには1つ気になる事があった。それはサイクロプスの事だ。

前回のコンテストで戦ったサイクロプスはエリーザがミリアと戦わせるために捕獲していたのをトウコに使用。

しかし実際にはトウコは戦っておらず、サイクロプスに負けたフリをしてもらった。

その後、エリーザに命令してサイクロプスを元居た場所に戻したのだった。

それで今回はどうやってサイクロプスを連れてくるのかエリーザに確認した所、現地に赴いて交渉したとの事だった。


次の日。


日課の鍛錬を終え、トウコは新たな魔道具を求め、一人で街へ向かった。

街の中心部に近づくにつれて、例のトウコポスターの出現率が増えている。

コンテスト時期になると街中に前回優勝者のポスターが張られるのをトウコはすっかり忘れていた。

ポスター効果でトウコが街中を歩くと必然的に注目を集める。

そんな中、偶然にも自分の屋敷に戻る途中のエリーザと遭遇。

エリーザに街中をぶらついてる理由を尋ねられ、トウコは買い物と答えるとエリーザはお供をすると言い出した。


エリーザと共にいくつかの道具屋を見て回ったが魔道具を売っている店は発見出来なかった。

そもそも魔道具が一般市場に出回るのは稀で、以前トウコが腕輪を買う事が出来たのは偶然だった。

今日の所は諦めて昼食を取るため食堂的な店に入る事にした。

コンテスト時期になると他の街からも人が集まるので、普段は人が少ない食堂も大勢の人で賑わっている。


「相席になりますが宜しいでしょうか?」


トラブル的な何かを期待してか、エリーザは二つ返事で承諾した。

店員に案内されたテーブルに行くと若い二人の女性と相席だった。

着席するや否や、相席している女性に話しかけられた。


「ひょっとして、前回優勝者のトウコさん……ですか?」


話しかけてきた女性は何かを疑っているような疑問形だった。

トウコは返事をするも、女性はとんでもない事を言い出した。


「トウコさんは…魔族ですか?」


「はっ、はあああああ!? んな訳あるかっ!」


トウコは以前、首飾りに宿る精霊のアシュリーにも同じ事を言われた事もあり多少同様している。


「安心して下さい。私達も魔族です」


同席している二人は魔族だった。


「ま、魔族! ま、魔族が一体私達を、ど、どうするつもりなのですか!」


エリーザは相席している二人が魔族と知り、かなり動揺している。

トウコは魔族の二人には敵意が無いと判断し、エリーザが騒がないよう勁で気絶させた。

そして、トウコは人間である事を主張するも、魔族である事が前提で話が進められた。


「私はムディー、そしてこちらはマルーです」


紹介されたマルーはトウコに軽く会釈をした。


ムディーはトウコが魔族だと思い込んでいるので、トウコは仕方なく転生した経緯を説明し人間である事を主張した。


「なるほど…魔族の血が薄い人間の姿をした魔族って事ですね」


「だからちげーつってんだろっ! 何で俺を魔族にしたがるんだよっ!」


「人間には魔法が使えなくても微量の魔力があります。魔力が無くて勁を使えるのは上級の魔物か魔族だけですが…トウコさんは明らかに魔族です。」


トウコは否定するも、ムディーに淡々と魔族である事を説明され反論する材料が無くなったのだった。

ムディーの言はこの世界の魔族観点からであって、トウコは普通の人間である。


「魔族はお嫌いですか?」


「いや、今まで人間と思って生きてきたからなあ…じゃあ、例えばよ?突然、あなたはゴミ虫ですって言われたら、何か凹まない?」


「流石にそれは凹みますが、余りに違うものを引き合いに出されてもちょっと…」


それからしばしの間、トウコはムディー自身や魔族の事を色々と聞きまくった。

ムディーはトウコを魔族と思っているからか、包み隠さず話したのだった。


「それでは、これからこの時期にしか出回らないクレープとか言う物を食しに行ってきますので失礼します」


「まだ食うのかよっ!」

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