14
トウコ達は大型生物の元へ向かったら、そこに居たのはサイクロプスだった。
サイクロプスはトウコを見ているだけで特に何もする様子は無かった。
(うーむ…襲い掛かって来ないなら、こっちからは攻撃しづらいなあ)
「オマエ、マホウショウジョノ、ナカマカ」
サイクロプスはトウコに魔法少女の仲間か確認をしてきた。
「うむ。この2人は仲間だ」
「マホウショウジョハ、テキダ」
「いやいや、この2人は正義寄りの魔法少女だよ?」
(まあ…俺が監視していれば、だけど…)
「オマエ、マホウショウジョチガウ、ナゼイッショニイル」
「なっ、ななななななな、何を言っているのか、さ、さっぱり分からんし…」
トウコは魔法少女では無い事を見破られ相当同様している。
ミリアとツバキに魔法少女では無いと知られたら一緒に居られなくなると思っているからだ。
トウコが動揺しているとサイクロプスは少女の姿に変化した。
「えっ!?」
3人はサイクロプスが少女の姿になった事に驚いた。
「ふむ、あの姿だと片言になるから伝わらなかったか」
少女の姿になったサイクロプスは片言では無く普通に会話を行っている。
「ヌシは何故、魔法少女と行動を共にしておる」
トウコは驚きながらも自分達の紹介とここに来た経緯を説明するとサイクロプスも話をしてくれた。
サイクロプスの名はルミラ。ここに生息しているエリー草を守っているとの事だった。
トウコはエリー草を分けて欲しいとお願いすると、あっさりと断られたのだった。
「お姉様、ここは、この者を倒しエリー草を分けて頂くのが得策かと」
「私もミリア殿の意見に賛成で御座います」
「いやいやいや、盗賊かっ! それは分けて貰うんじゃなく、強奪って言うんだ!」
「魔法少女は盗賊だ。ここに来た魔法少女は皆エリー草を奪って行こうとする!」
ルミラはエリー草を奪おうとする魔法少女しか見た事が無いので、魔法少女は皆悪者と思っている。
それに対しトウコはぎこちない感じで魔法少女を無理矢理フォローした。
(自分で言っててアレだが、ほんとこの世界の魔法少女って良いとこ無いな…)
「ふむ…ヌシがそこまで言うなら条件次第でエリー草を1株譲ってやらん事もないがどうだ?」
ルミラが言う条件とは、トウコがここに残る事だった。
「えっ!? な、なんで? 俺、食われるの?」
「誰が食うかっ! そうでは無い。ヌシは弱い、我がヌシを鍛えてやろうと言うのだ」
「ほほう…じゃあ試してみるか? ぶっちゃけサイクロプスと戦ってみたかったしな」
「ほう、ヌシは我に勝てると? 先に言っておくが我に勁は通用せぬぞ?」
勁とはトウコの居た世界の武術で力をコントロールする技の総称。
勁には様々な技があるが、トウコが使えるのは力を相手に放出する発勁のみ。
更にトウコは独学で学んだため、それほど上手く扱えてはいない。
「えっ!? いやいや、な、何で、お、俺の世界の技なのに…」
「貴様がやってたゲームと同様に、この世界の者が貴様の世界に転生して広めたのじゃろう」
「だからお前は勝手にしゃべんな! って言いたい所だが、なるほど…と言う事は、こっちが元祖になるか…」
(これは…こいつが俺より弱かったらそれまでだが、強かったら鍛えてもらえる…更なる高みを目指せる!)
「よし、俺の師匠に相応しいか試されて…」
例によってトウコが話し終わる前にツバキがルミラに雷魔法を放った。
それと同時にミリアが突っ込み、ルミラに一撃を加えようとした瞬間、ミリアは吹っ飛ばされた。
更にルミラは一瞬でツバキに接近しツバキも吹っ飛ばしたのだった。
それを見たトウコも飛び出し、ルミラと戦闘状態になった。
傍から見たらお互い一歩も引かず、互角の勝負をしているかのように見える。
(こいつ言うだけあってマジで強ええ。俺に合わせて体術だけって事は俺の実力を見定めているのか…)
「思ったよりは動けておるな」
戦いの最中ルミラは時折、余裕をみせながらトウコに話しかける。
(こっちは全力なんだがな…しゃーない、最後に発勁をぶち込んでギブアップするか)
トウコはルミラに掌打から発勁を叩き込んだ。
「勁は効かぬと言ったであろう」
今度は逆にルミラがトウコに掌打から勁を放った。
トウコは吹っ飛ばされ、その場に倒れた。
(か、体が動かねえ…ふふ、こいつが師匠になるなら文句はねえ…)
「貴様はドエムじゃのう」
トウコはいつものようにポン太にツッコミを入れたかったが、今はそれ所ではなかった。
「お、お姉様…」
ミリアは苦しそうな表情をしながらもトウコに話しかけた。
「約束通りエリー草をくれてやろう。魔法少女はさっさと帰るがよい」
ルミラはそう言いながら3人に触れて勁により動けない状態を治した。
「ふう…そう言う訳だ。2人はエリー草を持って先に帰ってくれ。俺はたぶん…数か月後くらいには帰るから」
トウコは立ち上がりながらミリアとツバキに先に帰る様に指示をした。
「数か月で身に付けばがいいがの」
ルミラは数か月では終わらない感じを匂わせる発言をしたら、トウコはちょっと考え込んだ。
「え、えーっと…俺はたぶん…ひょっとしたら…1,2年後くらいには帰れるかな? いや、帰れたらいいな…」
「お姉様!」
「姉上様!」
「し、心配するな! 俺はもっと強くなって帰ってくる。だから…命令だ! 先に帰って、俺が帰るまで待っててくれ!」
「分かりました…」
「御意…」
2人は悲しさを堪えながら返事をし、ツバキの魔法でその場から消えたのだった。
「ほう、潔いのう。ヌシも逃げ出すのかと思っておったぞ」
「いやいや、ルミラ、いや、師匠には鍛えて貰う約束だからな!」
「それは、人間で言う所のドエムと言う奴か」
「違うわっ! 御託はいい、さっさと鍛えてくれ」
鍛える前にルミラはトウコの事を詳しく聞かせて欲しいと言い出した。
トウコは前世の事や転生した事を包み隠さず話した。
トウコが別の世界の住人で転生してこの世界に来た事について、ルミラは特に驚く様子も無かった。
そんなルミラでも、書物の知識だけで発勁を使えるようになった事には驚いていた。
「ヌシは…人間で言う所の変態と言う奴か」
「だから違げーつってんだろっ! 話聞いてた?」
こうしてルミラの指導の下、トウコの鍛錬が始まった。
「取り合えず、何から始めんの?」




