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メイドの話によると、ミス魔法少女コンテスト運営本部にトウコのポスターが張ってあったとの事。
それは来年のコンテスト時期になると町中に貼られる予定のポスターだが、出来が良かったのでトウコに見て貰う為、エリーザが張ったものだった。
(ああ…アレか…中々オッケーが出なかったから、やけくそで取ったポーズが採用されたんだったな…)
それは、変なポーズをしながら、てへぺろ的な顔をしたポスターだった。
この世界にはカメラ的な機器は存在しないので、魔法でポスターを作成する。
「まあ、確かに恥ずかしいポーズはしてるけど、大変って程じゃ…」
「いえ、トウコ様はお綺麗でしたが…その…妙な二つ名が…」
メイドは何故か言いづらそうにしている。
特にやる事が無いトウコは散歩がてら、ミリアとツバキを連れて直接見に行く事にした。
数日前、エリーザ邸の一室。
ミス魔法少女コンテスト運営委員長が出来上がった来年用のポスターをエリーザに見せた。
「流石お姉様! 斬新なポーズでお姉様の美しさが一層際立っていますわ!」
エリーザはトウコに敗北してからトウコをお姉様と呼び慕うようになった。
「ですが…何か物足りませんわね…お姉様に相応しい何かが…」
エリーザはトウコのポスターを見て何か物足りなさを感じていた。
すると、運営委員長が二つ名を付けてみてはと提案してきた。
「それよっ!」
エリーザと運営委員長は数時間に渡る思案の末、やっとトウコに相応しい二つ名を考えついたので、早速名前部分を変更したポスターを作らせた。
「素晴らしいですわっ! きっとお姉様も気に入って下さいますわっ!」
ポスターの出来が余りにも良かった為、来年まで披露しないのは勿体ないとエリーザは思った。
エリーザはトウコに褒めてもらう為、トウコの目に留まるよう運営本部に貼っておくよう指示をした。
そして現在、トウコはポスターの目の前に立っている。
勢いでやったとはいえ、てへぺろポーズをしている自分のポスターを見てトウコは恥ずかしさを通り越して落胆している。
そう、来年のコンテスト時期になると、このポスターが街中に貼られるからである。
しかし、エリーザと同様にミリアとツバキは非常に気に入った様子だ。
「お姉様! 素晴らしいです! お美しいです!」
「流石姉上様、気品に満ち溢れています。それに姉上様に相応しい二つ名で御座います」
(いや、そんなべた褒めされても、突っ込む気も起こらんわ…って二つ名って何だ?)
ポスターをよくよく見てみると名前の前に妙な二つ名が書いてあった。
「殺神のトウコっ!!!」
トウコは身に覚えのない二つ名を付けられて唖然としている。
「お姉様なら、いつかそう呼ばれると思っておりました!」
「いやいやいやっ! いや、これ、神殺しって意味だよね?? 俺…神とか殺した事ないんだけど…」
「姉上様は先日、サイクロプスを一撃で殴り殺しておりますれば、この二つ名は当然の事と存じます」
「いやいやいやっ! サイクロプスだしっ! しかも殺してないしっ!」
トウコが必死になっている中、ある人物が姿を現した。
「お姉様! ポスターを気に入って頂き嬉しく思います! 張り切って作ったかいがありました!」
エリーザはトウコに褒めてもらおうと、しゃしゃり出てきた。
「お前かーっ! これ作ったのは! 今すぐ直せーっ!」
「ご安心くださいませお姉様。既に300枚ほど印刷してあります!」
エリーザは褒めて貰う事に夢中でトウコが怒っている事に気づいてはいない。
トウコは勝手に付けられた二つ名の事をエリーザに問いただすと、サイクロプスは神の子と言われている存在なので間違いでは無いと言い放った。
それでもトウコは再度ポスターの作り直しをエリーザに要求したら、印刷魔法を使える魔法少女はもうこの街に居ないと言う。
ミリアとツバキもエリーザと一緒になってポスターを褒めちぎっているのでトウコは諦める事にしたのだった。
(しかし…この二つ名って、口に出して言うと人殺しにしか聞こえないのだが…)
「貴様は似たような事をしてるから問題はあるまいて」
またポン太が余計な事を言い出した。
「だからお前は勝手にしゃべんなっつってんだろっ!」
トウコはポスターの件を諦めてミリアの屋敷に帰る事にした。
街中で歩いていると前にも増して注目を集めている。
以前はミリアが注目されていたが、今は明らかにコンテストで優勝をしたトウコに注目が集まっている。
(うーん…まさか優勝するなんて思ってなかったから、優勝したらどうなるか何て考えてもみなかったぜ…)
トウコ達は足早にその場を立ち去った。
数日後。
トウコは例によって鍛錬に明け暮れていた。
そんな時、スターギルドからミリアの屋敷に人が訪ねて来た。
目的はミリアとトウコへの指名依頼で依頼内容は貴重薬草の採取だった。
鍛練中のトウコも呼ばれ、ギルド職員から話を聞く事となった。
「これが採取依頼の薬草です」
ギルド職員は本を広げ、そのページの薬草に指を刺す。その薬草の名前はエリー草。
(エリーソウ…何故こんな草如きの採取にミリアが指名されるんだ?)
「これはエリークサと言う非常に貴重な薬草で数が少ない上に生えてる場所が問題でして…」
(エリークサって読むのかよっ! ん?エリークサ?)
「この場所にはサイクロプスの目撃情報があるので、依頼を出しても受けてくれるスターの方が居なかったのですが…聞く所によるとトウコ様はサイクロプスを一撃で倒したと聞きましたので足を運んだ次第であります」
(そう言う事か、でも…)
「でも、サイクロプスならエリーザが捕まえてたし、我々じゃなくても他の魔法少女が数人で行けば余裕なんじゃ?」
トウコは疑問に思った事をギルド職員に尋ねた。
すると、エリーザはたまたまサイクロプスが大事にしていた物を発見し、それを盾にサイクロプスを脅して言う事を聞かせていた、との事だった。
本来、戦闘に特化したSランク魔法少女が数人がかりでも倒せないと言われている。
(これ絶対面倒なアレだ…まだお金には余裕があるし断るしかないな)
「お引き受け致しましょう! お姉様ならサイクロプス如き何体いようが問題ではありません!」
ミリアは力強く言い放った。
「えええええっ!!! 引き受けるのかよっ! ていうか、何体もいたら問題しかないわっ!」




