番外編 チンさんの場合 〜嫁が異世界に召喚されました〜 1
ある日、嫁の竹子が異世界に召喚された。セブンイレブンでピザポテトを買うところ、部屋着のまま、召されたらしい。竹子から電話がかかってきた。
「チンさーん!帰りたいよォォォ!(泣)」
「ねえ、これ、なんで電話繋がるの…?」
「聖女スキル『iPhone11』っていうのがあって、なんかそれでスマホ使えるの〜。(泣)」
「…。」
「あと、聖女スキル『楽天』でフツーにオンラインショッピング出来る。」
「…?」
「でも、請求先がチンさんのクレジットカード。」
「…?!」
その月のクレジットカード請求額は、俺の一ヶ月の給与を超えた。
どうやら、魔王がいて困っているという理由で呼ばれたらしい。時間が経つにつれ、少しずつ、俺にも事情が分かってきた。
「んー魔王?会ったことない。」
「え?だって、魔王倒さないと帰ってこれないとか、そうあうアレだろ?」
「ううん、聖女スキル『ファッション』で、服取り出す時、私もクローゼット通ってそっち帰れる。」
「…??!!」
「なんか、ナルニア国物語みたいだよねー。」
…いや、ナルニア国物語、わからん。
「魔王は…?」
「ほんとにいない。」
「…???!!!!」
「あ、でも、そうか…。そうだよね…。私、何のために生きてるのかな…。ズーン。(鬱)」
「…えーと、…とりあえず、もう少しそっちいたら…。」
嫁は、勤め先に診断書を提出し、長期にわたり仕事を休む手続きを取った。
次で全部終わり。