難攻不落の攻城戦 バスケ部 vs バレー部 ②
後ろを守るキャプテンの山田が裏取りで倒された事は、三十秒後に俺に伝わった。
何故こんな事になったのか。俺の注意不足か。
どうする。後ろに下がって山田を助けにいく?このまま立ち止まっていて良いのか?
前にはまだ憎きバレー部のリーダーがいる。ここで後ろに下がれば負けは確定する。
やられてしまった山田の為にも、副キャプテンの俺がここで決めなければ、誰が決めるんだ。
そう。ここまで来たからには押し切るしかない。絶対に。
「全員突撃!後ろは振り返るな!前だけを見ろ!バレー部を逃がすな!」
伏兵は気づかれてしまったが、一応警戒して根回しをしていて良かった。バスケ部の後ろの部隊は全滅。
後は馬鹿正直に突っ込んできた奴らをたたきのめすだけ。もし万が一、仮に負けたとしても、私達にはまだまだ作戦はある。絶対にバスケ部に勝つことはできない。
「舞台の上からボンドをばらまけ!ここが最後の砦だ。絶対に上らせるな!」
舞台上からのバレー部のサーブが次々とバスケ部に命中し、ボンドにくっついていく。
バスケ部も負けじと、前に進む。
ついにバスケ部が舞台上に手を掛けた。至近距離の戦い。
バレー部とバスケ部の拮抗。しだいにバスケ部が優勢になっていく。
田村が気付いた時、根裏は既に壇上に上がっていた。
「そんな..」ひどすぎる。こんなのあんまりじゃないか。
ここまで策を練った。リハーサルもやった。バレー部員がもう少し多ければ、この戦いは勝てたはずだった
いや、まだ終わっていない。最後に奴らに報いる手が残っている。
根裏が攻め込んだことで、取り乱したバレー部員は次々とやられていく。
残ったのは、田村と、部員二人のみ。
「二人とも、あの手を打つしかない。」バスケ部員に囲まれながら、私はこそりと言った。
「わかりました。やりましょう。」 あの「生きるより辛い作戦を」
後ろのバケツを持つと、田村は中に入っている物を一気にばらまいた。
チョークの粉。直接的な攻撃は出来ないが、一時的な目くらましにはなる。
バスケ部が咳き込む中、バレー部員は舞台上の床の木を外し、その中へ逃げ込んだ。
チョークの粉がやっと消えると、バレー部員はそこにはもういなかった。
後ろから迫ってくるバレー部員は倒した。
でも、最後の最後でバレー部を取り逃がしたのだ。
山田含む倒された部員たちは復活したが、一部の部員は気を失ったまま病院行き。
ボンドで窒息をした部員もいた。
なんだよ。こんなの負けじゃないか。
根裏は、項垂れていた。