~教育の奪い合い~
3月31日
「何で俺らがこの教室なんですか!前に教室の改修を依頼したのに..」
「大桐隼斗」大声を出して訴える高校一年生を尻目に、高校生徒会長「飯田晴」は答える。
「それなら、君自身が教室を勝ち取れば良いんじゃないの?」
それが、全ての始まりとなった。
4月1日。
誰もが期待に胸を膨らませ登校する新学年の初日。
名門「私立大近畿学園」では、日本一の偏差値を持つ中高一貫校として、日本中から注目を集めているが、
この学校も例外ではない。
「青田匠」中学三年生の彼は、教室で始業式を行う。
彼の横に座っているのは、「井谷俊介」周りに人気で、いつも誰かと話しているが、先日、青田の所属する科学部を辞めてしまったので、とても気まずい。
放送が始まった。中学生徒会長、「佐野全」の声が学校に響く。
「おはようございます。中学生徒会会長、佐野全です。本来は、ここで先生方に教室の移動について発表をしていただくのですが、今年度からは、大きな変更点があります。」
思わぬ発表に教室はざわついた。
もちろん、青田や井谷なども例外ではない。佐野の司会で、副会長の「神道隆也」がルールを発表した。
①全員にはスタンガンが与えられる。
②クラブやグループで教室、教員を奪い合う。
③その過程で、スタンガンを受け気絶した生徒は学校に連絡され次第、その生徒は退学となる。
④ ③の確認は生徒につけられた電子時計で判断する。
⑤どの生徒が教室を占拠しているかは、生徒会が定期的に発行する新聞から確認できる。
ルールの説明が終わり次第、青田匠は科学部に向かった。井谷などの帰宅部の生徒は、
それぞれでグループを組むことに必死である。
科学部では、物理教師の「鶴谷裕吾」の説明の元、一週間後に迫るクラス替えのための説明が行われた。
「いいか、始まったときは全員各教室からのスタートになる。だから、始まった直後にこの教室まで走ってきてください。集まった生徒から防衛体制を整えます。」
「あのー...」高校二年生、「安藤太一」が手を上げる。
「この前に作ったコイルガンがあるので、磁石の玉だけ用意してもらえれば使えます..」
「それなら、生物班は明日蜂の巣取ってきます!」 「野中秀」が声を上げた。
青田はこんな事をわざわざする意味が全くわからなかった。そもそも何故面倒臭い方式を取るのか。しかも平然と他者を攻撃できる精神も理解出来ない。
一方で安藤たちはこう思っていた。
(折角この学校に来られたのだから、絶対に退学は避けなければならない)