妖ーあやかしーノモノ 中編
さて、さて、読んでください
暗い暗い闇の中…サクラは彷徨っていた。
灯りのない道なき地をひたすらただ、ただ、
歩いていた…
何も考えず吹き荒れる荒野を目を見るように、
闇の中を歩いた。
恐怖なんてない…望むものなんてない…悲しみなんてない…ただここにあるのは、絶望に果てた苦しみの風景だけだ。
“仲間が欲しい”
そんな事を思い始めて、何年か経つ。
ヂリリリリリリリ!
朝、6:35にサクラは闇から現実に戻った。
無駄にうるさい目覚まし時計に起こされ、
ボーッと天井を見つめ、
身体を布団から起こし、部屋の襖を開け、居間に行った。
7:30。分校に行くため家を出た。
分校の事だが、本校の方は、山をいくつか越えた小さな町にある。
それに、分校と言っても小さな小屋のようなものなので、狭い。
まあサクラと教師には、ちょうど良い感じのスペースだった。
「あれ?僕と、先生だけだったけ……あ」
思い出した。
昨日の出来事だ。
確か、女の子がこっちに住むことになっていた…
薄茶のロングの髪の毛で白いワンピースをきた女の子…確か名前は…
“ユリ”
そんな名前だった。
分校に着き靴を玄関で脱ぎ、そして自分の席に座るが、隣にもう1つ同じ机が置いてあった。
その真新しい机を見つめながら、先生に聞こうとすると、
「やっぱりサクラも気になるか?」
「え、と…まぁ」
「女の子らしいぞ?」
「へー」
ガラガラ…
玄関のドアが開いてそこに立っていたのは、
「おはようございます先生!」
薄茶のロングの髪の毛に麦わら帽子をかぶり、
白いワンピースを着てニコニコ輝かしい笑顔を放っていた。
分かっていたことだが、なぜか自分は驚いていた。
「おはよう!早速だけど紹介するぞ」
先生がその言葉をサクラに言うと、
ユリは、教卓の横に立ち
「私の名前はユリ、よろしくね♪」
「はい、よろしくねじゃあサクラの横の席に座ってくれ、ユリが座ったら授業を始めるぞ!」
そして、ユリが横に座って授業が始まった。
5時間目が終わり、
「放課後…昨日の山に来て、待っているから。」
そうユリに、言われたので、
急いで家に帰り、昨日スケッチをしに行った山へ行った。
すると案の定誰もいなかった。
と、思ったらユリが大きな石に座っていた。
「案外早かったね。嬉しいよ」
そう言われ、サクラは照れたのか頬を赤らめた。
「サクラ君に…言わなきゃならない事があるんだ」
「何?」
ユリは笑顔で、でも辛そうな表情で、言った。
「出会って、まだ2日だけど早めに見せておかないと、大変なことになっちゃうから…」
ユリは息を荒くして、何かに怯えていた
するとユリは、目を閉じて手を左右に広げ、クチパクで何かの呪文を唱えていた。
そして、ユリは目をガッ!と開き、
「ウアァァァ!」
とわめき声を出し、次の瞬間
体から白い毛が生え、頭にとんがった耳が生え、
腰から、ふわっと柔らかな尻尾ができて化け狐
となった。
これは、サクラと全く同じ現象だった。
そして、ユリは息をハア…ハア…と切らしながらサクラに言った。
「これが、私の本来の姿。パパやママは、こんなんじゃない。でも…私は何故かこんな姿になっちゃった…」
ユリは胸に手を当て、目を閉じた。
“僕もだよ”
その言葉が出せなかった。
自分でもわからない。
今、真実を言ってしまえばユリはきっと気持ちが楽になるだろうに…
きっと怖いのだ。いうのが怖いのだ。
本当に僕はダメなやつだ。
「ねえ…サクラはどうなの?」
「…え?」
ユリの表情が変わった。
「何故かはわからないけど、サクラ君から獣の匂いがするんだ…私と同じ…獣の匂いが…サクラ君ももしかして…」
「な、なんでそう言うのが…わかるの?」
「何故かは…わからない。でも私には、サクラ君の体から獣の匂いがするんだよ」
「…」
「お願い。本当のことを教えて?」
ユリは必死だった。サクラの両手を握って目から涙を流していた。
きっと、不安なんだろう…
サクラはユリに
“安心して”
と言っているかのように、ユリに心の底から発している笑顔を見せ、
「僕もユリと同じだよ」
ユリは安心したかのように、涙を流した。
読んでくれてありがとうございます。
さて、想像×創造のネタが無くなり、困っている者です。
ノモノシリーズと言っておきましょうかね。
短編で終わらせたいのに、
連載という形になってしまいました!
まあ次完結するように文章を細かく、読みやすくそして、面白くしていくように頑張らなくちゃですね。
次を最終回にするように頑張ります。
では、また次回お会いしましょう