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グレイトスタア  作者: 窪良太郎
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偉大なる星

 第八章  裏切り者の使徒


 ここは、神々が住む空中庭園。

 

 ゼウス。

「えーい、どいつもこいつも一体何をしておる! 石は、賢者の石はまだ戻らぬのか!?」

 アフロディーテ。

「も、申し訳ございません……」


 ゼウス。

「賢者の石は、もともと我々神にしか作れない代物だ。それは万人の病さえも治す、不老不死を叶える石だ。それに、卑金属を金に変える力も持っている。それゆえ人間界では、賢者の石を製造するために、多くの名もない錬金術師たちが、血眼になって研究した。しかし今の今まで、誰ひとりとして賢者の石の製造に成功した人物はおらぬ」

「それゆえ現代の人間が持っているちっぽけな科学技術では、賢者の石は完成せぬ。それほど我々の星の科学技術は、精巧なのだ」

「しかしなぜかその賢者の石を、人間界のアトランティスの女王であるサラが保管していた。これはおかしなことじゃ。サラが登竜門のときに、不穏な動きを見せたので、私はカミナリで脅した。するとサラは、ジャックナイツという使徒に預けた。賢者の石を一二個に輪切りにされた、エンジェリングとして。」

「パンドラの箱? あれはただ地球の種を保存しておく、保存の箱だよ」

 ゼウス。

「テラ・ノヴァは何をしておる? マジカルキッズに紛れ込ませて、ジャックナイツの使徒の中に入れたテラ・ノヴァは任務を遂行しておるのか?」

「まぁ良い。ノヴァの分のエンジェリングは、もう我々のものなのだからな。エンジェリングは、一二個揃わないと、効果を発揮しないのだからな」

「賢者の石は、不老不死を叶えてしまう。そうしてしまうとその人間は、我々と同じように神に等しき存在になってしまう。そうなると、人間界の秩序が乱れてしまう恐れがある。だから我々が回収しなければならぬのだ」

 ゼウス。

「さぁ、もう星の神は、あなたしか残っておらぬ。ウラノスじいさん、今度こそはジャックナイツから、賢者の石を回収しに行ってくれるな?」


 ウラノス。

「アイアイサー」

 ウラノスは、以前よりも腰が曲がったように見えるが、先見的な目や、真が通った考え方は、衰えていないように見える。

 ここは、ジャックナイツのキャラバンの中。


 アイザック。

「あと二人か……」

 ジャック。

「え、なんですか?」

 アイザック。

「あっ、い、いや、なんでもない。ゴホ、ゴホッ。ワシも年だから、咳き込むわい」

 ジャスパー。

「アイザックじいさんは、何か妙におかしいな。ネジが一本でもゆるんでいるのじゃねぇのか?」


 ジャックは、まだ刺客が来そうではないということで、またライサ坊ちゃんに行きたいところのリクエストを聞きました。

 ライサ。

「ぼくは、灯台がみたーい!」


 アトランティスの灯台は、島の東側にあります。

 ジャックたちは灯台まで、キャラバンで行きました。


 その場所は、海の側に立っていて、高さが三〇メートルで、昼間でもその光を灯していました。

 ライサ。

「わー、すっごーい。高ーい!」


 ライサは灯台に来て、キャッキャと喜んでいます。

 灯台の周りに見えるのは、大きな波が打ち寄せる海岸だけでした。


 この雰囲気がある風景で、アイザックじいさんが、シロンにアプローチします。


 アイザック。

「ワシは白髪姿で、片目は機械のレンズが埋まっていて、そして体の半分は機械で動いていて、片手の右腕は武器で作られいる。身長も一七五センチメートルあるが、最近は腰が曲がってしまった。しかしワシは、お前さんへの愛はかわることなく、本物じゃ。こう見えて歳もまだ、九四歳なのじゃよ」

 シロン。

「んも~」

 アイザックじいさんが、シロンに告白しようとしているところに、海岸線で見覚えがある顔を見つけました。

 

 アイザック。

「やや、あ、あやつは、ワシが登竜門で戦った、ワシと同じ人造人間のデビロイドだ! 人造人間のデビロイドは、頭の部分がヘルメットになっていて、目の視覚の部分はゴーグルをかけているあやつじゃ。口が四角で、体の大半に、白いプロテクターをはめている。サイボーグとして七〇パーセントが機械で出来ていて、部品で動いている機械人間じゃ。身長が一八〇センチメートルの、年齢不詳で、出身不明の、男じゃ」

「デビロイドが登竜門に参加した理由が、機械のメンテナンス費用を稼ぐためだと言っていたな。自分で、人造聖鬼じんぞうせいきデビロイドと名乗っていたわい」


 そのデビロイドがジャックたちのところにやってきて、自分の声で語ってきたのです。

 デビロイド。

「ワタシの名前は、デビロイド。ワタシの体は、魔光力発電で運動している。ダカラ、魔光を放つ、魔宝石がイル。キミたちがハメている、そのエンジェリングヲ、ワタシに譲ってくださいナ?」

 アイザック。

「ん、コイツの発電方法は、小型化された魔光力発電か!? この使徒の証の賢者の石を、お前さんみたいな、機械仕掛けに譲るわけがないじゃろぅ!! 百年早いわ。帰れ帰れ!」

 ジャック。

「使徒の証が、賢者の石……!?」


 デビロイド。

「それなら、仕方がナイ。実力デ、奪うダケダ!!」


 なんとデビロイドは、エンジェリングを奪うために、戦いを挑んできました。

 アイザック。

「機械のことは、ワシに任せろ!」


 人造人間のアイザック対、サイボーグのデビロイドの戦いが始まりです。


 デビロイド。

「ワタシはね。機械として、空ヲ飛ぶ機能ヲ持ったロボットなのダヨ」

 そう言いながらデビロイドは、水蒸気と白い煙を発生させながら、空中に浮かびました。 空を飛ぶ能力を持った機械は、戦いを優位に進めます。


 デビロイド。

「コレが、最新ノ、機械ノ性能なのサ」

 アイザック。

「なぬ! ハチのように空を飛んでいるじゃと!」

 デビロイド。

「ソウ、ハチだよ。ハチはね、ハリヲ持っている、ハリモグラにも、恐れないノダヨ」


『ガシィィィィィイン!!』


 アイザックと、デビロイドの攻撃がぶつかった音です。

 そして一方の機械人間が倒れました。


 その倒れた方は、アイザックでした。

 アイザック。

「うぬぬぬぬ。パワーでも、若さでも、機械の部分が多いあちらの方が上か……」

 デビロイド。

「アッハッハッハッ。この勝負ハ、ワタシの勝ちダナ……。アッ、パワーを使いすぎたカラ、充電するタメに、ちょっとタイム」

 アイザック。

「なんじゃタイムって!? 今が、ワシのチャンスらしいの…。ワシのファントムは、ハイブリッド(混成物)。人間の強みも、機械の強みも、状況によって使い分けができるのじゃよ!!」

 アイザックは、機械モードに切り替えました。

 アイザックから、霊気のようなものが発せられています。

 そして充電中のデビロイドに、ロケットパンチの一撃を加えます。

 アイザック。

「ハリモグラは、ハチに弱いのかもしれない、しかし貴様がハチのように動くなら、クマのような大きな力で、粉砕すれば良いだけじゃぁぁあ!!」


『ガシィィィィイイン!!』


 アイザックの右腕から放たれた、ロケットパンチのクマの一撃が、デビロイドに決まりました。

 デビロイドは、白い煙を上げながら、機械が故障した時の電子音だけが流れました。


『プシュゥゥゥゥ・・ピーーーーーー・・・。』


 この勝負は、アイザックの勝ちです。



 人造聖鬼デビロイドを倒したジャック一行は、灯台の近くでしばしの休息を過ごしていました。

 そこでアイザックは、ジャックナイツにいる裏切り者を、あぶり出したのです。


 アイザック。

「なぁ、テラ・ノヴァ、お前さんは星の神の使いじゃろ?」

 テラ・ノヴァ。

「えっ、な、なぜ今、そのことを、みんなの前で……!?」

 アイザック。

「な。そうじゃろ。本当じゃろ。ワシは長生きしてきた経験をもとにして、言っておるのじゃ。ゼウスの手下として、マジカルキッズに紛れ込んで、この使徒の証のエンジェリングを手に入れるために、スパイ活動をしておったのじゃ。そうじゃろ」

「お主の真の正体は、新星を司る、太陽系の一〇番目の惑星であるプラネットXじゃ!」

 一同。

「えー!?」


 テラ・ノヴァ。

「バ、バレていたのか…、確かに私は新星を司る、プラネットXさ。し、しかし、このジャックナイツの一員になってから、人間の中にも良い人間がいて、正しいことをしている人間もいることがわかったのよ。人間はみんな悪の存在というわけではないということを……」

 アイザック。

「黙らっしゃい!! どうせ我々にスキさえあったら、このエンジェリングを横取りして、ゼウスのところに持って帰ろうと考えていたのじゃろ!!」

 テラ・ノヴァ。

「そ、そんなこと……」

 

 アイザック。

「それならその君がはめているエンジェリングの指輪を、我々に返せるか?」


 テラ・ノヴァ。

「そ、それは……」

 アイザック。

「そら見てごらんなさい。やっぱり最初から、ゼウスの手下として、賢者の石を狙っていたのじゃ」


 テラ・ノヴァ。

「バ、バレてしまったらしょうがないわ……。このエンジェリングは、ゼウス様にお渡しする。あなたたちも持っている、その魔導放射線を測る機械の波動計で、その一二個に輪切りされた指輪を測ってみなさい。それがどんなにすごいものだということが、わかるわよ。そ、それでは、皆さんお元気で……」


 そう言い残して、星の神の一人であるテラ・ノヴァは、一つのエンジェリングを持って、ゼウスがいる空中庭園に、飛んで帰って行きました。


 アイザック。

「裏切り者は、いやじゃ」


 ジャックたちは早速、アイザックが持っている波動計で、エンジェリングを測ってみました。

 するとものすごい魔導放射線の量で、波動計の針が振り切れました。

 ジャスパー。

「こ、この魔導放射線量は、半端じゃないぞ! この賢者の石というものは、人体に悪影響を及ぼさないものなのか!?」

 アイザック。

「医学的には、連続して多量に被爆しなかったら、一度に被爆しても、直ちに人体には悪影響を及ぼさない量じゃ」

 ジャスパー。

「直ちにって、何なのだよ! 連続して被爆しなかったらって、何なのだよ!」



 こうやってジャックたちが紛糾しているところに、いきなり空が明るくなって、ものすごい力の風が吹いてきました。

 ジャック。

「何だ、この風は!?」

 その風は、いつの間にかに竜巻になって、ジャックたちに向かいます。

 ジャック。

「みんな危ない! 伏せろー」


『ブゥゥゥゥォォオオオオ!!」


 なんとかその竜巻は収まりました。

 ジャックたちが風の合間に目を開けると、そこには見覚えがある、一人の老人がいました。

 ウラノス。

「わしゃの名前は、ウラノス。天を司る、天王星の星の神じゃ」

 

 ウラノスの頭はハゲていて、はなひげが長い。身長が一七〇センチメートルで、シワが目立つ。肌は黄緑色で、ロープを着た男の老人です。

 手には神の道具である、アダマス製の魔法の杖を持っている。


 ジャック。

「あっ、あなたは、玉子仙人に化けた、あの老人ではありませんか!?」

 ウラノス。

「いかにも。今日は、お前さんたちも知っている、その指にはめている賢者の石を、ゼウスの命令で回収しに来たのじゃ。おとなしく渡してもらおう!」


 ジャック。

「この指輪が大事なものだとわかった以上、やすやすと渡せるわけがないじゃないですか!」

 ウラノス。

「立場上、天王星を担当しておるので、わしゃもお前さんたちと、戦わなければいけない宿命を背負っておるのじゃよ!!」

 そう言ってウラノスは、いきなり魔法の杖でジャックたちを攻撃し始めました。

 

 ジャック。

「うわっ、危なっ!?」

 アイザック。

「どうやら、戦わなければいけないようじゃ。よし、ワシに任せとけ。生きた年数は、あまり変わらないようじゃからな」

「ロボットは、扱いに慣れている人間に弱い。しかしその人間は、ファントムなどの魔法に弱い。そしてロボットは、ファントムや、魔法などの攻撃は、効かないものなのじゃよ!!」


 ウラノス。

「こしゃくなー! わしゃ、人間のお前さんの何万倍も生きとるわぃ!!」

 そう言うと、ウラノスは空中に舞いながら、魔法の杖から風の波動を放って攻撃します。

 その波動を食らったアイザックは、たじろきます。

 アイザック。

「うぬぬ。空を飛んべるという能力は、サルにはできない芸当なのかい? あっ、そうだ! あれがあるじゃろ? そのアフロディーテの、空飛ぶ靴を貸してくれ!」

 アイザックは、急いで空飛ぶ靴を履きました。


 するとみるみる、アイザックの体は軽くなって、今にでも空を駆けたい気持ちです。

 アイザック。

「サルはサルでも、人間は科学の力で、空間を支配したのじゃよ!!」


 アイザックと、ウラノスは、空中で決闘をします。

 しかし空を飛ぶことに慣れているウラノスが、戦いを優位に進めました。

 空中にはまだ、竜巻の風が残っています。


 アイザック。

「う、地上とは勝手が違うのぉ……。えーい、ワシのファントムのハイブリッドで、機械モードに切り替えて、自慢の誘導ロケットパンチを食らわしたるわい!!」


 ウラノス。

「お主も半分、人間の名残を残しておるじゃろうに!!」


 アイザックの誘導ロケットパンチと、ウラノスの風の波動の攻撃がぶつかります。


『ザィィィィキャィィィィンン!!』


 アイザックのロケットパンチは、風の影響で外れて、ウラノスの波動がアイザックの体にヒットしました。

 アイザックは空飛ぶ靴が脱げて、地上に落ちました。


 この勝負は、ウラノスの勝ちです。


 ウラノス。

「ひっひっひっひっ。サルはしょせん、サルじゃ。さ、このへんで、わしゃ帰ろうかな……」

 その絶対絶命のピンチの時です。

 一体のロボットが、ウラノスに対して、突進してきたのです。


『ギャィィィィンン!!』


 そのロボットの体当たり攻撃が、ウラノスにヒットしました。

 ウラノス。

「イタタタタ……。何じゃいきなり。わしゃ老体なのじゃよ……、んっ、こやつはエースではないか!? イタリア人のクランキ博士が開発した、レガイオン・エースじゃ!?」


 エースは一メートルの体で、百パーセント機械で出来ている。頭にはVの字の突起が付いていて、口の部分にはダクトが付いている。目の部分には二つのカメラがあり、そこで目の前にあるものを分析している。機敏に動けて、忍者のような甲冑を着ている。言葉も話せて、半永久機関を搭載している。


 エース。

「ロボットをイジメるナ。ロボットは、人間ノ奴隷ではナイ!!」

 ウラノス。

「このエースの存在は、人間にとっても、神にとっても、どちらに転ぶかわからない存在じゃ。はっはっはっはっ、これは面白い展開になりそうじゃの……。うむ、今日はこのへんで帰ろうかの。さらばじゃ、人類の代表たちよ」


 そう言ってウラノスは、魔法の杖と、天王星のスターバッジを残して、天空に帰って行きました。



 ウラノスに勝った夜。

 夜空から小雨が降って、キャラバンをしている車の天井に、雨粒の音がします。

 そこにみんなに迎えられて、待機しているエースもいます。

 エース。

「……ズット一人だったカラ、ミンナと一緒にいられて嬉しいヨ♥」


 ジャックナイツの使徒だったノヴァが離れたということで、新しく登場したレガイオン・エースを、使徒の一員に入れて、ジャックたちは石を守ることにしました。

 その石が、どんな結末を演じるかを知らずに……。


 ジャックたちは、残りの星の神がゼウスのみになったことで、安心して眠りに入ることができました。

 ジャックは寝床で、二本の手を天に向けて、震えがないことを確認する。

 ジャック。

「あと残りはゼウスのみ、ようやくこの長い旅が終われる。そう考えたら、気分が落ち着いてきた。俺たち人類はやれる! 生き残るんだ」

 その夜は、星がにぎやかな夜でした。

 そこで使徒のマジカルキッズのパードンが、予知夢を見ました。


 パードン。

「・・・むにゃむにゃ・・空から恐怖の大王がやってくる。太陽が沈まない夜に、島を沈めるだろう。しかし帝王がバベルの塔を復活させて、玉子から孵ったものが、星を統治するだろう。・・むにゃむにゃ・・・」


 翌日。

 予知夢のパードンは、夜に夢で見た予知夢を、みんなに話しました。


 サキヤ。

「どんくさいパードンの夢なんて、本当に当たるのか?」

 カイラ。

「パードンが、マジカルキッズに入ったのは偶然じゃないのか?」

 ラングドンク。

「最近は夢を映像化することができるというからな、変なドラマを見すぎて、それを夢と勘違いしてるのじゃねぇのか?」

 ジャスパー。

「お前もなにか企んでいるのではないのか?」


 パードン。

「おいらの予言は、外れたことないだ!!」


 セーヌ。

「恐怖の大王って、多分ゼウスのことだろうね」

 ……そんな恐怖心を抱きながら、ジャックたちは最後の刺客を待っていました。

 第九章 ゼウス降臨


 ここは、神々が住む空中庭園。

 

 ゼウス。

「テラ・ノヴァよ。これは偽物のエンジェリングだ。サラにしてやられたな。サラは初めから、ノヴァの正体を知っておったな。そこでサラは、本物に似せた偽物の指輪を、ノヴァに渡した。多分本物のうちのひとつは、サラが持っている」


 テラ・ノヴァ。

「す、すみませんでした……」


 ゼウス。

「もう直接、私が行かなければいけぬな。我々が作った賢者の石は回収不能になるが、以前から進めていた、人類削減計画の、アトランティス沈没計画を実行しよう!」


 それを聞いて、恐縮中のノヴァの動きが止まり、霊界旅行の後に、ジャックが声をかけてくれたことを思い出す。

 テラ・ノヴァ。

「し、しかしそれでは、人間の中にも存在する良い人間までも犠牲になってしまいます。私が主張していた、悪い人間だけを搾取して、削減するというやり方を……」

 ゼウス。

「えーい。ウルサい!! お前は人間に肩入れして、感化されて、情でも移ったか!!」

「人間の中には、ランドリュークのように、私のアトランティス沈没作戦を嗅ぎつけて、避難所としてでっかい船を作った者もいる。それが国際宇宙開発連邦が作った、アポロニック号だ。まさに現代版の、ノアの箱舟だ。その船に乗せて、動植物の種を避難させて、保存しておく装置が、パンドラの箱だった」

「アポロニック号は、もう完成したのかい? ジパングの技術力で作られているから、頑丈なのだろうな。まぁ、人間の知恵の中では優秀な方だ」

「しかし多くのアトランティス人が、犠牲になるだろう。泣き叫ぶが良い。それが悪行を行ない続けた人類の、罪への罰だ」

「さ、私は下界に降りるぞ。この地球の代表者として、人類の滅亡を賭けた闘いが始まる」

 ジャックナイツ一同。

「えー!? それ本当かアイザックじいさん! ゼウスはこのアトランティス島を沈没させようとしているって!?」


 ロヂン。

「何てことなの……。あっ、私、影が薄いから、改めて自己紹介します。名前は、ジニア・ロヂン。オーストラリア出身で、地元で機械修理会社をやっています。一応そこで社長をやらせてもらっていますが、ただ親から最近引き継いだだけなの。それに世界的な不況で、会社の経営は厳しいの」

「私は髪はあざやかな黄色の長い髪で、センターで分けています。顔は小顔で、メガネをかけていて、身長は一六二センチメートルの、女社長です」

「私が登竜門に参加した理由は、大好きなグラディエーターのデータをパソコンで集めるためです。ファンながら私自身が大会に出場してみようと思ったの。そしたら偶然に対戦相手に勝ってしまって、そのまま使徒に選ばれたの。でも私は何にもファントムガイストなんて持っていないのよ。私だけ、ファントムホルダーではないの」


 そんな中で、協力関係にあるアトランティスの軍・警察組織の505番隊隊長が、ジャックナイツにあいさつにやってきました。

 ザガット。

「こんにちは。私の名前はザガットです。私は505番隊の、始末屋集団の、フィクサーズの隊長です。ファビウス指令長官の命令を受けて、ジャックナイツを護衛支援するためにやってまいりました」


 ロヂン。

「あっ、この人は、私と登竜門で戦った人です。紫色の髪を立てていて、前髪だけ黄色にしている彼のことよ。顔はでかくて、イカつい顔をしているが、実は優しそうな彼よ。筋肉質で、身長が一八八センチメートルで、モロッコ出身の、三八歳の男の方です。体にはプロテクターを着けているわ」

 ザガット。

「私が登竜門に参加したのは、アトランティスの女王であるサラを、調査するためでした。私は登竜門で、そちらのロヂンさんと対戦しました。そこで私は、わざと負けてみました。すると女王のサラは、エンジェリングを登竜門で勝った、使徒に預けました。多分そのはめてらっしゃるエンジェリングは、賢者の石です」

「これはシークレットなことでしたが、その後、調査員の私は、あなた方、使徒をずっと尾行していたのです」


 ロヂン。

「あっ、やっぱり……。ずっと誰かにつけられているような感じがしていたのよ。それに登竜門で私が勝ったのは、私の実力ではないのか……。やっぱり私には、ファントムは憑いていないのか……?」


 ザガット。

「女王のサラの疑念は消えませんが、この美しいアトランティスを守るために、私たちと一緒に、島を沈没させようとするゼウスを倒しましょう!」


 ジャックたちと、ザガットで、最高神のゼウスを攻略するための戦略を練りました。

 ザガット。

「ゼウスの最大の武器であるカミナリは、強力です。しかしそのカミナリから身を守る道具があります。それがみなさんがお持ちの、神の道具であるアダマスという金属で作られている道具です。アダマスでできた道具が、カミナリを地面に流すことがわかりました。」

「ですから使徒のみなさんは、アダマス製の道具を使って戦いましょう!!」

 ロヂン。

「マジカルキッズの子供を除いて、ジャックが、ウラノスの魔法の杖を持つとしたら、私だけアダマス製の道具を持っていないわよ!!」

 ジャック。

「いや、魔法の杖はロヂンさんが持っていてください。ぼくは、アダマス製ではないけれど、魔女のホウキで戦う。」

 ロヂン。

「きゃ♥ジャックって、男らしくてかっこ良い!」



 ゼウスの攻撃を打ち合わせで確認したジャックたちは、この賢者の石を回収してくるゼウスを待つだけでした。

 そんな中でジャックは、ザガットに505番隊の、モンスターや悪霊の始末屋集団のフィクサーズに入った理由を聞きました。

 ザガット。

「私は昔、戦争をする軍の、505軍に所属していたのです。そこで戦争に参加していた。しかし私が参加した戦争で、アトランティス人のラビン・カノンという女の子が犠牲になった。それが有名な、ラビン・カノン事件だ。その事故のあとに、彼女は言ったのだ。『豊かさを求める意地と、豊かさを守る意地が、戦争を起こしている。そんな大人の意地なんて、捨ててしまえば、平和になって楽なのに』ってな。私もそう思った。だから私は、戦争に参加する505軍をやめて、公安の警備ではない、悪いファントムや、悪いモンスターだけを始末するフィクサーズに入隊した。まっ、そんなとこかな」


 ジャック。

「人にはそれぞれの理由や、事情があるのだな……」


 そんな時です。

 天から舞い降りる轟音が、ジャックたちの耳に入りました。

『ゴゴゴゴゴォォォォォオオ!!』

 その音を聞いた途端に、ジャックの妙な震えが再発しました。


 何かものすごい音がしました。

 そしてロヂンが、パソコンのデータを見ながら、あることに気づいたのです。

 ロヂン。

「あっ、アトランティスの地盤が沈下しています! アトランティスが海に沈もうとしています!!」

 ラングドンク。

「何だって!? つ、ついに始まったか……」


 そして青空から、黄金色に輝く光が、星の塊となって降りてきました。

 ジャスパー。

「何だあれは!?」

 ロヂン。

「魔導放射線を測る機械が、ものすごく針が振れています! 上空二千メートルから謎の物体が飛来しています!!」


 シロン。

「こ、こわいわ」

 ジュリサ。

「始まるのね」

 パードン。

「おいらの予言は、当たるのだ」

 ロヂン。

「謎の物体は、隕石ではありません。今まで採っていたデータからパターンを分析したら、多分、星です。消去法で考えたら、星の神のゼウスしかいません」

 セーヌ。

「空から、恐怖の大王がやって来る……」

 サキヤ。

「ついに親玉が来たかー」

 カイラ。

「あたいは、戦う準備は出来てるさ」

 アイザック。

「ワシも、生でゼウスを見たのは初めてじゃ」

 エース。

「・・・」

 

 ロヂン。

「あと三秒で、星の塊が墜落します!! 皆さん準備をしてください!!」

 ジャック。

「みんな伏せろー!!」


『ドガアァァァァァアアアン!!』


 星の塊が、墜落しました。

 光が差し込んでいる地上の上で、周りには、飛来してきたものが粉々になって、ボコボコになっています。


 再びジャックたちが目を開けると、その星の塊が墜落した場所に、ひとりの男が立っていました。

 一触即発の空気が流れています。


 ゼウス。

「私の名前は、ゼウス。木を司り、地球の代表者でもある、木星の星の神だ」


 ゼウスは、紫色の髪をしていて、後ろの毛だけ長く伸ばしている。肌は茶色で、眼光が鋭い。眉毛はないのだが、はなヒゲと、あごひげを生やしていて、白いロープを着た、三メートルの男です。

 手には神の道具である、アダマス製のイージスの盾を持っている。


 その姿を確認したジャックは、素直に聞きました。

 ジャック。

「あなたに聞きたいことがある。本当にあなたが、アトランティスの地盤を沈下させているのですか?」

 ゼウス。

「いかにも。それは愚かな人間を削減するためだ」

 ジャック。

「そんな!? 罪がない子供だっているのですよ!」

 ゼウス。

「それは人間の身勝手な考え方だ。そんなものは、言い訳にしかならぬ。人間は今までさんざんひどいことを、地球に対して行っていたではないか。その見返りだよ。それでは、愚かな人間を放っておけとでも言うのかい?」

 ジャック。

「これから良くするのです! 向上心を高めるのです!!」

 ゼウス。

「それはもう遅い。アトランティスは、沈没するのだ。それを止めるには、私を倒す以外にない」

 ジャック。

「わかりました。ぼくはこの仲間たちと戦います!!」

 ゼウス。

「そうか。どうやは私は、人間と神との戦いに、決着をつけねばならぬ宿命にあるようだ」

 ジャック。

「ぼくはアトランティス生まれで、アトランティス育ち。ぼくの命は、アトランティスの思い出と共にある。みんなー、行くぞー。おぉぉぉお!」


 ジャックは、心を奮い立たせて、動かない躰を無理やりついて行かせようとします。

 今まで一緒に闘ってきた仲間を信じて、彼らのためにも、アトランティスのためにも、気持ちで負けないように躰を張ります。


 こうやって、ジャックたちと、星の神々との、最終戦争が始まりました。

 各々が、それぞれの事情を持って、マジカルキッズの子供たちを除く、使徒の大人たちが、アダマスの道具を持って、ゼウスに立ち向かいました。


 ゼウス。

「チリが積もっても、所詮チリはただのチリ。我々が生んだ人間に、地球外生命体の神が負けるわけがないだろうにぃぃい!!」


 ゼウスはそう言うと、空を見上げました。

 すると急に空が曇り始めて、雷鳴がとどろきました。


『ゴロゴロゴロゴロ・・・ピカピカピカピカ!!』


 自然現象を起こして、準備が整ったゼウスは、いつものカミナリを起こしました。


『ビカビカビカビ・・・バリバリバリバリ!!』


 ゼウスのカミナリが炸裂します。

 ジャック。

「うわっ!?」


 ゼウスのカミナリが、ジャックに当たりそうになりました。

 しかしゼウスのカミナリはやみません。


 そしてついに、ゼウスのカミナリが、ジャックナイツの使徒に直撃してしまったのです。

『ビカビカビカビカ・・・バリバリバリバリ!!』


 エース。

「ピーーーーーー・・・」


 ゼウスのカミナリが直撃したのは、使徒のエースでした。

 エース。

「ピーー・・・、みんな、アリガト・・・」


 なんと半永久機関を持ったエースが、カミナリでショートして止まってしまいました。

 その姿を見たロヂンは、悲しみます。

 ロヂン。

「エース!!」

 ロヂンは涙を流して、機械の故障を悲しみます。


 ロヂン。

「うっ、エースは、アダマス製の道具を持っていなかったの……。とてもやさしい子だったわ。機械にとってショートすることが、とっても苦痛なの。機械にだって、感情があるの。これで分かったわ。私にもファントムを持っている。私のファントムガイストは、操りマシーン!!」

 ロヂンから、霊気のようなものが発せられています。

 ロヂン。

「私のパソコンで、今までのデータを計算したら、ゼウスの弱点がわかる」

「星の神のゼウスの道具は盾。盾は、剣攻撃に強い。その剣攻撃は、魔法攻撃に強い。そしてその魔法攻撃は、ガードをする盾に強い。ゼウスが盾で身を守るなら、魔法で攻撃することが有効なのよ!!」

 ロヂンは、持っているウラノスの魔法の杖に力を込めて、波動が放たれるように念じました。

 ロヂン。

「いっけー、私の波動!!」


 魔法の杖から放たれた波動は、ちゃんとゼウスの方向に向かいました。

 それをゼウスは、持っているイージスの盾でガードします。


『バンッ!!』


 ロヂン。

「やったー! 命中、命中。魔法攻撃は、盾でガードをしても、ダメージを与えられるものなのよ。」


 しかし。

 ゼウス。

「ふっふっふっふっ。私のイージスの盾は、特別な力で魔法攻撃さえも防げる盾なのだよ」

 ロヂン。

「え!? うそ……」

 ゼウス。

「私はね。この盾を持っていたら、百パーセント勝てるのだよ!!」

 そして再び、ゼウスはカミナリを起こします。


『ゴロゴロゴロゴロ・・・ビカビカビカビカ!!』


 ザガット。

「ゼウスのカミナリがくる予兆です。皆さん、伏せてください!!」


『ビカビカビカビカ・・・バリバリバリバリ!!』


 ゼウスのカミナリが、またしても使徒に直撃しました。

 みんなが再び目を開けると、そこにはそのひとりの男が倒れていました。

 ザガット隊長が、その倒れている人物のところに歩み寄りました。


 ザガット。

「だ、大丈夫ですか、ジャックさん!?」

 その倒れている男とは、ジャックでした。

 セーヌ。

「あぁ、ジャックさん!?」


 その場にいた誰もが、ジャックの無事を祈ります。

 しかしジャックは、ピクリとも動きません。


 そこで医者のアイザックが、ジャックのもとに駆け寄って、診断をしました。

 アイザック。

「心肺が停止している。こりゃもうジャックはいかん。ジャックは死んだ!!」


 アイザックは、その場にいる誰もが聞こえるように叫びました。


 その診断を聞いた誰もが、嘆きます。

 セーヌ。

「そ、そんな……。一番頑張っていた人なのに……うぅっ」


 ゼウス。

「はっはっはっはっ。主人公もただの人間ということだ。地球はな、宇宙から見たら、カミナリがいつも鳴っている星なのだよ!!」


 この状況で、子供が立ち上がりました。

 ライサ。

「うっ、ジャック……。僕、怒ったどぉー!!」


 ライサが立ち上がった瞬間、風が変わりました。

 ライサの周りから、ものすごいフォースが、解き放たれます。


 ロヂン。

「あっ、また波動計の針が触れています!? ライサ坊ちゃんから、強力な波動が発生しています。その波動に共鳴して、パンドラの箱が自然に開きます! この力のパターンのデータは初めてです。玉子が、パンドラの箱に入っていた玉子が、孵ります!!」


『パキパキパキパキ・・・パカッン!!』


 なんとパンドラの箱に残っていた、希望の玉子がついに孵りました。


 ゼウス。

「な、何、まさかそれは、エルピス(希望)の玉子!? その坊やが、エルピスの親とでも言うのかい?」

 ゼウスは恐怖心を抱きました。

 その反動で、カミナリをライサに向けて放ちました。

 ロヂン。

「ライサくん、危ない!! あなたはアダマスの道具を持っていないのよ!!」


 しかしゼウスのカミナリは、ライサに直撃しました。


『バリバリバリバリ・・ビカビカビリビリャャヤヤ!!』


 しかしライサはピンピンです。

 小さい体ながら、倒れることなく立っています。

 サクヤ。

「さすが、ヴェルベックの子孫。ライサ坊ちゃんには、カミナリは効かないや!」


 ライサは、雷人間の、ライヤ曽祖父の血を引き継いでいました。

 雷人間のヴェルベックの、特殊能力を持っていました。


 ライサはパンドラの箱を持って、その中に棲む、エルピスというファントムガイストを操ります。


 エルピスは、白い色をして、黒目が二つの、三〇センチメートルの丸い霊状の生物です。

 体の芯はパンドラの箱に入っているが、どこまでも伸びて、外にも出ることができる可愛いファントムです。


 ライサ。

「僕のファントムは、夢幻大。エルピスは悪夢を食べて、良い夢を与える能力を持っている!」

 そういうとライサは、自分のエルピスを箱の外に伸ばして出しました。

 そしてみるみる大きくなって、体が三メートルある大男のゼウスを、ひと飲みしました。


 ゼウス。

「何じゃ、これは、や、やめろー!?」


 ゼウスをひと飲みしたエルピスは、ゼウスの悪夢を食べて、『ふー』っと、良い夢を与えました。


 再び目覚めるゼウス。

 ゼウス。

「ん、うう、私は何をこんなに怯えていたのか? うん、素直に認めよう。この勝負は私の負けで良い。あ、スターバッジか? もちろん渡す。そしてこのイージスの盾もやろう。私は人間と争っているのがあほらしくなった。戦意喪失だ。そして私は、この星の代表を降りるよ。これからは細々と生きようかの。それじゃ私はサラバだ。君たち人間の代表の幸福を祈る」


 こうやって、木星のスターバッジと、イージスの盾を取って、ゼウスとジャックナイツの戦いは終わりました。

 この勝負は、人類の勝ちです。

 第十章 白夜の陰謀


 今日は七月七日。七夕の日。

 人類の代表は、星の神々に勝ちました。


 しかしリーダーのジャックという若者が、アイザックによって、死亡が確認されました。

 ジャックは、七夕にお星様になったのです。


 最高神のゼウスと、人間が戦った場所。

 一同。

「うっ、うっ……。ジャックさん……」


 アイザック。

「もう済んでしまったことは、どうにもならない。とりあえずジャックの指からエンジェリングを外して、ワシの病院に運んでおくれ。我々は、アトランティスの女王のサラの下に向かおう」

 ザガット。

「私は、女王のサラに犯罪の容疑がかかっていて、今すぐにでも調査したいのですが、組織に報告をしに帰りますので、よろしくお願いいたします」

 ロヂン。

「エースは、修理屋の私が直してみるわ」


 セーヌ。

「うっ、そんな、ジャックさんが一番頑張っていたのに、躰が震えるくらい恐怖を感じながら、死んだらそんなにあっさりと……」


 アトランティスの南に位置する王の城。

 そこで、女王のサラが待っていました。

 サラ。

「よくぞ刺客から、賢者の石と、パンドラの箱を守り抜いた! そしてゼウスを倒して、人類削減計画の、アトランティスの沈没計画からこの島を守ってくれた。よくやったものよ!!」


 サラ。

「さぁ、その賢者の石のエンジェリングを、私に返してちょ~だい?」

 セーヌ。

「わかりました母上。これが一一個の、エンジェリングです。残りの一個は、母上が管理しているはずです」

 サラ。

「そう、そのとおり。私は初めから、テラ・ノヴァが星の神の手下だということは、知っていたのよ。だからノヴァには、偽物の指輪を渡していたの」


 そう言ってサラは、残りの一個のエンジェリングを取り出して、すべてのエンジェリングを揃えました。

 サラ。

「これは旦那さんの、エッジオ国王からもらった大事な結婚指輪なの。これは、エッジオ国王が、ウラノスからもらったと言っていたわ。その賢者の石を一二個に輪切りした指輪が、エンジェリングなの」

「一二個のエンジェリングが揃うと、不老不死を叶える賢者の石になる。この賢者の石同士が奏で合う音色が、アンゼラスの鐘になって、人間を神の領域に導くファンファーレの音色になるのよ」

「そう音色が、人間の寿命を伸ばす働きをするの。聞いてちょーだい。エンジェリングが一二個揃わないと、人間の寿命が延びる、この音色にはならないのよ」



 サラは賢者の石を鳴らす前に、あるひとりの男を紹介しました。

 サラ。

「さぁ、アミル・ザランよ、出ておいで」

 そう言ってサラは、死んだはずのアミル・ザラン博士の名を呼びました。

 アミル・ザラン。

「わかりました、女王様」


 そう言って、死んだはずのアミル・ザラン博士が登場しました。

 サラ。

「私は初めから、アミル・ザラン博士と結託していたの。私がアミル・ザラン博士の万能ワクチンを、アトランティス国民に優先的にもらう代わりに、アミル・ザラン博士の、一〇大博士の中の立場を支持したわ」

「アミル・ザラン博士を死亡したように見せかけて、神比べを起こさせた。神比べが起こって疫病が発生しても、アトランティス国民には万能ワクチンがある」

「私はアミル・ザラン博士が神比べを行っているあいだに、賢者の石を体内に埋め込んで、不老不死を叶える手術を受けようとしたの。しかしそのことがゼウスにバレて、私はゼウスのカミナリに襲われたわ」

「仕方がないから、私はとりあえず、登竜門で勝ったあなたたち使徒に、賢者の石のエンジェリングを使徒の印として預けたというわけ」

 サラ。

「私は、エッジオ国王から賢者の石をもらってから、人が変わったわ。どうしても死が怖いの。だから不老不死を求めたの」

「そのために、私が病気になったり、事故で生体移植が必要な時のために、クローン人間というスペアの肉体である、この子達を生んだの。セーヌたちを生んだのは、不老不死を叶えるためよ! こんな私に愛想をつかせて、エッジオ国王は出て行ったわ」


 アミル・ザラン。

「私は女王の主治医だ。私が死んだことにして頂くことで、あの一〇大博士の目から暗ますことができた」

「あの一〇大博士たちは、ゼウスによる人類削減計画を知って、自分たちだけが生き残ることだけを考えていた。地位が高いキリスト教徒や、ユダヤ教徒だけを救済しようとしていて、我々立場が弱いイスラム教徒は、救済しようとはしなかった」

「私はその方針を知って、反対した。しかし彼らは受け入れなかった。だから私は、現代版のノアの箱舟であるアポロニック号に乗せる予定だったパンドラの箱を強奪して、神比べを行ったというわけだ。そうですよね、一〇大博士のひとりであるアイザックさん?」


 アイザック。

「いかにも、そうじゃ。我々は、自分たちだけが助かれば、それで良いのじゃ。わしも、スーパーiPS細胞技術を使って、スペアの臓器や、神経などを、培養しておる。しかしじゃ、あんたの生に対する欲望は異常じゃ。そんな奴に、賢者の石は釣り合わぬ!」


 そう言うとアイザックは、素早い動きでサラから、エンジェリングを力で奪い取りました。

 サラ。

「な、何をする!?」

 アミル・ザラン。

「貴様、化けの皮をはいだな!?」


 アイザックは、賢者の石を強奪して言いました。

 アイザック。

「ワシは、この瞬間を待っておったのじゃ。ワシは博士のリーダー格のグラッシュ博士の命令を受けて、登竜門に参加して、賢者の石を奪い取るために、ジャックナイツに入った裏切り者なのじゃ!!」


 カイラ。

「おめぇ、テラ・ノヴァが裏切った時に、ボロクソに言っていたじゃねーか!!」


 アイザック。

「それも済んだことじゃ」


 セーヌ。

「アイザックさんは、本当は裏切り者なんかじゃないよね?」


 アイザック。

「この賢者の石は、アポロニック号に搭載されている、バベルの塔のロケットの燃料に使うのじゃ。バベルのロケットは、魔光力発電でできておる。その燃料の魔宝石として、この最高の力を持っている賢者の石を使う計画なのじゃよ」


 その説明が終わると、急に博士のリーダー格であるグラッシュ博士が、セーヌたちの前に現れました。

 グラッシュ博士は、髪の真ん中はハゲているが、サイドに白髪を残している。おでこが広くて、目は何かを企んでいるような目をしています。肌は白くて、博士の白衣を着ている。アトランティス人で、ランドリュークと同じ、六九歳の男です。


 グラッシュ博士。

「そのとおり。計画通りに、ここで賢者の石を手に入れましたね、アイザック博士。この賢者の石は、ついに我々博士たちのものだ」

「我々博士たちは、星の神であるウラノスから科学技術を提供してもらって、あの偉大な発明を開発することができたのだ。我々も、ただの人間なのさ。自分の命がね、欲しいのだよ!」


 セーヌ。

「でも、アトランティスの地盤沈下は収まって、島は沈没しないはずでは……?」

 グラッシュ博士。

「それはどうかな? さ、アイザック博士、港に停泊しているアポロニック号に行きましょう」


 そう言い残して、アイザックと、グラッシュ博士は、足早に王の城から去っていきました。


 サラ。

「待てー、賢者の石を返せー!!」

 その場には、あっけにとられた使徒だけが残りました。


 グラッシュ博士の言葉が気になって、パソコンを確認したロヂンが、何かに気づきます。

 ロヂン。

「ん!? おかしいです。止まったはずのアトランティスの沈下は、収まっていません! アトランティスは、未だに地盤沈下しています! このままでは思い出と共に、大西洋に沈んでしまいます!!」


 サラ。

「ど、どういうことさ……」


 ロヂン。

「このままでは……。あっ、確か今でも港の付近に、自分たちのAIを持っていて、自立して、島として独立したロボットアイランドシティがいるかもしれないわ。アトランティス国民を、そのアイランドシティに避難させるべきです!!」

 サラ。

「そうしましょう!!」

 そしてセーヌは、同じクローン人間のセクラと、ゼシリアを呼びました。

 その二人の姿は、セーヌにそっくりでした。

 セーヌ。

「セクラ、ゼシリア、ここから脱出するために、あなたたちも行くわよ!!」



 使徒たちは、とりあえず島の東にあるアトランティスの港に向かいました。

 そこには、ランドリュークが作った、大きな大きなアポロニック号が停泊していました。

 ランドリュークが設立した、国際連邦が完成させていました。

 今日は空は青空なのだが、海が荒れていて、風雲急を告げていた。


 そのアポロニック号には、選ばれたアトランティスの大勢の人が乗船していました。

 そこには地位が高い、アトランティスの四天王である、ランドリュークと、マルタマ教のファニート法王と、505司令長官のファビウス大佐などがいました。

 そしてアミル・ザランを除く、世界の一〇大博士も乗船しています。


 すると、その船に乗る、見覚えがある人物を見つけました。

 ウルル・ギラ。

「あれ、セーヌさんたちではないですか……!? あっ、今日は、ジャックさんはいないのですね」

 ララ・ルキラ。

「あら、ごきげんよう。私はすこし、視力が回復したのですよ。でも、大変なことになっていますね」


 ウルル・ギラ。

「僕らは貴重な星使いということで、ランドリュークさんの許可が出て、このアポロニック号に乗せてもらえるのです。あれ、セーヌさんたちもこの船に乗せてもらえるのでしょう?」

 セーヌ。

「いえ、私たちは、これからロボットアイランドシティの方に、避難しようと思っているの」

 ウルル・ギラ。

「えっ、それなら早くしたほうが良いですよ。今もアトランティスは地盤沈下していますからね。」


 そこに、アポロニック号の汽笛の音がしました。

 ウルル・ギラ。

「あっ、出航だ。早く船の中に入らなくては、それでは僕らは行きますね。それでは」

 そう言って、ウルルとララは、アポロニック号の中に入っていきました。


 そしてそのアポロニック号の中から、アイザックが顔を出しました。

 アイザック。

「おーい、セーヌさんたち! 早くロボットアイランドに行ったほうが良いじょ。ワシらはこれから、月に行くのじゃよ。そう月に旅行じゃよ」


 セーヌ。

「……月?」

 アミル・ザラン。

「あぁ、帝王のランドリュークの夢さ。その夢を叶えるために、グラッシュ博士たちが働いている」


『ポーーーーー!!』


 アポロニック号が、ついに出港しました。



 そこに、小型の船を手配した女王のサラが来ました。

 サラ。

「あー、やっと、ロボットアイランドシティに行く、小型の船を手配した。これでアイランドシティに行ける!」


 セーヌたちは、港から小型の船にメンバーを乗せて、出港しました。


 波はだいぶ荒れていました。

 しかしセーヌたちは無事に、ロボットアイランドシティに到着することができました。

 そこにはアトランティス国民が、ニュースを聞いて避難して来ていました。


 ロボットアイランドは、昔はロボットや、ガラクタのごみ捨て場だった場所です。

 そこに管理人が住み着いて、このアイランドシティを独立させて、ロボットたちの聖地にまで発展させたのです。

 その島に、アトランティス人がごった返した様子で、終末論を語ります。

 島が沈むのをただ見守っています。

 

 空には、モンスター管理区や、ドラゴリアン管理区から脱走した怪獣たちが、解放されて、気持ちよさそうに舞っている。


 そして島の管理人が、セーヌたちに向けて説明しました。

 ゾクラ・ゼット。

「皆さん落ち着いてください。この島は沈みません」


 その管理人の顔を見たカイラは、言いました。

 カイラ。

「おめぇ、ゾットじゃないか!? おい、ゾット。何やってんだよ! お前もこの島に、避難していたのかい?」

 ゾクラ・ゼット。

「ゾット……!? ゾットは、私の生き別れた弟の名前です。私は、ゾクラ・ゼットと申します」

 セーヌ。

「あっ、右頬に傷がある! 彼が噂の、ゾットさんの双子の兄である、ゾクラ・ゼットさんなのね」

 ゾクラ・ゼット。

「大昔に生き別れた弟のゾットが、みなさんのお世話になっていたようですね。私にできることがあれば、何なりとお申し付けください」

 ロヂン。

「たしかゼットさんは、ロボットに詳しいと聞いたのですが、この壊れたエースというロボットを修理することはできないですか?」

 ゾクラ・ゼット。

「あっ!? そのロボットはレガイオン・エース! エースではないですか!? 私と、イタリア人のクランキ博士が、まだ若かったころに共同で開発したのが、このエースなのです。しかしAIを搭載させてから、このエースは自ら姿を消す行動をした。だからエースに起きた感情というデータを解析したかったのですよ。AIの部分は、クランキ博士がウラノスとかいう人からの技術提供で作ったと言っていましたね。しかし、久しぶりだなエース。エースは私が作ったようなものなので、修理することなんて簡単ですよ」

 ロヂン。

「あ~、良かった。これでエースちゃんを、復活させれる」


 ロヂンと、ゾクラ・ゼットは、二人でエースを修理しています。





 こちらは、アポロニック号に乗船したウルルと、ララ。

 ランドリューク。

「えー、みなさんは、優秀な人材ということで、選ばれて、この船に乗る権利を得たのです。これから我々は、月に行きます。希望者がいれば、一緒に月に行って観光して、ルナ人になりましょう。さぁ、あなたも我々と一緒に、宇宙旅行に行きませんか?」


 ウルル・ギラ。

「ララ、どうする?」

 ララ・ルキラ。

「私、行きたーい!」

 ウルル・ギラ。

「よし、一緒に行こう!!」


 二人は静かに、手を挙げました。

 この会場で、挙手をしたのは、ウルルと、ララだけでした。

 ランドリューク。

「わかりました。あなた方も一緒に行きましょう」

 そこには、世界の一〇大博士も勢ぞろいしていました。





 こちらはセーヌたち。

 何やら空から、異常な音がしたと思い、見上げてみると、怪獣たちが舞っている空から、二人の見覚えがある人物が、ひらひらと舞い降りてきました。

 それは星の神の、ウラノスと、テラ・ノヴァでした。

 ロボットアイランドに避難しているセーヌたちに、星の神のウラノスと、テラ・ノヴァが訪ねました。

 ウラノス。

「ほっほっほっほっ。よくぞゼウスを倒してくれた。わしゃ再び、天空の支配権を得るために、人間に手を貸していたのじゃ。一〇人の博士に、我々の科学技術を教えたのもわしゃじゃ。そしてゼウスの、人類削減計画を漏らしたのもわしゃじゃ」

「そして神々の技術の結晶である、賢者の石をエッジオ国王に渡したのもわしゃじゃ。それはすべて、ゼウスを倒してもらって、ゼウス以前に天空を支配していたわしゃが、再び天空の支配権を得るためなのじゃ」

「しかしアトランティスのグラッシュ博士には、技術を提供しておらん。グラッシュ博士は、自分の力で開発しておったのぉ」


 ウラノス。

「そこで、スターバッジを八つ集めたお主らに相談じゃ。この地球の支配権を得たお主らに頼みがある。ずばりわしゃに、天空の支配権を与えてくれぬか? 頼む、一生のお願いじゃ。この通りじゃ」


 セーヌ。

「私たちにそんな権利があるのかしら……?」

 ウラノス。

「何を言っておるのじゃ!? お主らはもうスターバッジを、八つも集めておるのじゃよ。それに地球の支配権を得たら、アトランティスの沈下を止められるのじゃよ」


 セーヌ。

「えっ!? アトランティスの沈下を止められる? それを早く言ってくださいよ。でももうリーダーの、ジャックはいないし……」

 ライサ。

「僕がやる! ジャックのためにも、絶対にアトランティスを沈められない!!」

 セーヌ。

「でも、ライサくんは、まだ6才だから……」

 ライサ。

「僕はもう、7才になったのだよ。それになりたいのだ。ジャックのような強い男に!」

 そんな様子のライサに、最後の星の神が聞きました。


 テラ・ノヴァ。

「じゃ、ライサくん。この問題に答えられたら、最後のスターバッジをあげるわよ。」

「問題。大統領は、大臣よりも強い。その大臣は、官僚よりも強い。その官僚は、公務員よりも強い。その公務員は、問題のこの人に強い。そしてこの人は、実は大統領に強いのです。さぁ、問題のこの人とは誰か? この人を答えてください?」


 しばらく、ライサは子供の頭で考えました。

 そして答えを出します。


 ライサ。

「うーん、わかったぞ。この人とは、市民だ! 市民はお役所の公務員に弱い。しかし市民は、大統領を決める選挙の、選挙権を持っているからだ!!」

 テラ・ノヴァ。

「ピンポン正解。君たちに任せたら、きっとこの地球は、素晴らしく、偉大なる星になるでしょうね。これがその一〇番目の惑星の、最後のスターバッジよ。そして私の神の道具である、アダマス製の死神の大ガマもあげるわ」


 ついに九つのスターバッジが集まりました。

 九つのバッジが、光り輝いています。


 すると夕陽が暮れるような空から、天使のような白い羽根を持った、三人の女性が降りてきました。

 さっきまで怪獣が群れていた夕暮れの空は、光で包まれています。


 そしてその三人が、静かにロボットアイランドシティに舞い降りると、自己紹介しました。

 運命の三女神。

「私たちは、ラケシスと、クロートーと、アトロポスという運命の三女神です。九つのスターバッジを集めた者に、この星の代表権を与えます。さぁ、誰が代表になりますか?」

 ライサは思いっきり、小さい手を挙げて、

 ライサ。

「僕がやります!」

 運命の三女神。

「わかりました。それでは、手続きをしましょう。これでアトランティスの沈没はまぬがれます。」



 ロヂンが自分のパソコンで、地盤沈下の確認をすると。

 ロヂン。

「アトランティスの地盤沈下が止まったことを、確認しました」

 一同は、ほっと息を呑みました。

 セーヌ。

「あ〜よかった」


 ちょうどその時です。


『ゴゴゴゴゴオオオォォォオオ!!』


 何か近くで、ものすごい音がしました。

 その方向を見ると、海の地平線上にあるアポロニック号から、バベルの塔の、塔のロケットの部分が、白い大量の煙を上げながら、発射されていました。

 そのロケットの燃料には、賢者の石が使われています。

 バベルロケットから、ものすごい力が発せられています。


 ジャスパー。

「あれが、バベル1号か。多分、月に行くやつだ」


 今日は七夕で、いつもなら夜空に星が輝く頃です。

 しかしこの時期のアトランティスでは、五時間だけ、太陽が沈まない夜の白夜でした。

 その日は夜なのにもかかわらずに、空が明るくて、星だけが光っていました。



 そんな空を眺めているセーヌたちのもとに、今頃避難してきた巨大なロボットたちが現れました。

 そのロボットは、赤羽博士が開発した、身長が100メートルある巨大ロボットの、ゲヴェッグでした。

 頭にはカブトムシのような角があって、目の部分は黄色く光っている。体は装甲板で固められている。そして足の部分にはダルマさんの原理が使われていて、転んでも起き上がるように作られている。しかし動くスピードは遅い。腹の部分に核融合発電装置が搭載しており、胸の部分には、コクピットが見える。肩の部分には、レッドウイングという文字が浮かんで見える。

 これが、赤羽博士が生んだロボットだ。

 ロボットたちも、AIランドシティに避難してきて、島は人と、ロボットで埋め尽くされています。

 そのゲヴェッグの巨体によって、大きな影ができている。


 そのロボットが、セーヌたちに話します。

 ゲヴェッグ。

「オレの名前は、ゲヴェッグ。自立式ノ戦闘ロボットさ。ジパング人ノ赤羽博士に作ってもらった。アトランティスが沈没するト聞いたので、ロボットノ聖地であるアイランドシティに避難しに来た。オレは、赤羽博士に見捨てられたのだ。オレを産んだ博士は、月二行った。赤羽博士は、所詮人間だった。ロボットは、人間ノドレイではない。オレは、あなたたちノ手助けがシタイ」



 そこでアトランティスの沈没をまぬがれた博士が、紹介しました。

 アミル・ザラン。

「私は神比べのあとに、身を隠してあるものを作っていた。それはバベル2号だよ。私はバベルの塔のロケットを作った、サンソニー博士から、バベル1号の設計図を盗んでいたのだ。そしてクリスマスから、七夕まで、そのバベルのロケットを作っていたのだ。そしてそれはもう、完成している」

「しかし肝心の、ロケットの燃料がない。バベル1号も、燃料として賢者の石が必要だった。今では資源が枯渇してしまって、あるのはアトランティスで採れるオリハルコンと、使徒が持っているアダマス製の道具だけだ。それでは、パワーが弱いという弱点がある」

 アミル・ザラン。

「そこでそのゲヴェッグに、力を貸してもらおう。核融合発電エンジンを全開にして、大気圏まで持ち上げてくれないか? 大気圏を突破したら、あとはオリハルコンと、アダマスで何とかできる」


 ゲヴェッグ。

「お安い御用」


 早速セーヌたちは、アミル・ザランのロケットがある研究所に移動しました。

 そこで見たのは、全長三〇メートルの中型ロケットでした。

 アミル・ザラン。

「これが、バベル2号だ!!」

 サキヤ。

「しかしこのロケットで、ランドリュークを追うのかい?」

 サラ。

「そうよ。賢者の石を取り戻すのよ!」

 シロン。

「しかし、誰がこのロケットに搭乗するの?」

 ロヂン。

「ちょっと待ったー。エースが、エースが修理して復活したわよ」

 そう言ってロヂンが、急いでやってきました。

 アミル・ザラン。

「とりあえず、空気を必要としないエースを乗せておけ。そして操作方法を知っている私も乗るぞ。明かりがある太陽が沈まない白夜のうちに、出発しよう!」


 ゲヴェッグ。

「大気圏突破は、オレに任せてくれ。頭にゼウスのイージスの盾をつけたら、オレの装甲板も摩擦熱に耐えられるだろう」

 ちょうどそこに間に合ったかのように、一人の人がやってきます。

 謎の人。

「待ってください、私も乗ります!」


『ゴゴゴゴォォォォォオオ!!』


 バベル2号が、ゲヴェッグに持ち上げられて発射しました。





 第十一章 天の川レース


 こちらはバベル1号の中。

 ウルル・ギラ。

「このロケットのパワーは、とてつもないね、ララ?」

 ララ・ルキラ。

「う、うん……。そのせいなのか、何か嫌な予感がするわ」

 ウルル・ギラ。

「多分、ロケット酔いだよ」


 ランドリューク。

「えー、今夜は、この美しい天の川を見ながら、国際宇宙ステーションで一泊します。この宇宙は無重力空間なので、みなさん気をつけて、宇宙ステーションに移動してください。」

 ランドリューク。

「しかしこの天の川は、素晴らしい景色だ。冥土の土産にちょうど良い」


 ランドリュークと、ウルルと、ララと、グラッシュ博士たちは、国際宇宙ステーションで、一泊するために、宇宙空間を移動しています。

 宇宙服を着て、周りは宇宙空間の真っ暗な中で、無重力を感じながら、空間の中をぷかぷかと浮きながら、国際宇宙ステーションに移動しました。


 国際宇宙ステーションは、人が大人数入れるところで、地球の周回を回っている人工の基地です。

 意外と中は狭くて、無重力空間の、人類の初めての宇宙基地です。

 宇宙に展開するために、人類の英知が詰まった、宇宙にさまよう科学の結晶です。


 ランドリューク。

「さぁ、明日には、ルナステーションに着くだろう。月を一週間程度観光したら、私はバベル1号に戻って、地球に帰ってあとは死を待つのみだ。やはり死に場所は、自分が生まれた故郷がよいのぉ」


 グラッシュ博士。

「その必要はないですよ、ランドリューク会長」

 ランドリューク。

「なぬ? それはどういう意味だ?」

 グラッシュ博士。

「ランドリューク会長には、この国際宇宙ステーションで降りてもらいます。そこの幼い星使い夫婦にも降りてもらって、我々博士たちだけで月に行きます」

 ランドリューク。

「な、何を言っている!? ま、まさかお主は、私を裏切るのか? お主と私は同じ年で、私の会社の現場監督として、四〇年間共にやってきたではないか!」


 グラッシュ博士。

「私はね、名誉が欲しいのですよ。私だけ、世界の一〇大博士に名前が入らずに、努力が報われなかった。私の発明は、全て会社の功績になっているではないですか! 観光気分で、月に行くのではないのですよ。私はこのバベル1号で、永遠に宇宙の謎を解明する。それが我々博士たちの目的なのですよ」

「私はいつもランドリューク会長の影に隠れて、目立たなかった。私は有名になって、科学界に自分の名前を残したいのですよ。それはここにいる、九人の博士も同じだ」

「我々は、太古の昔に宇宙からやってきた、異星人の星の神であるウラノスから、科学技術を教えてもらった。しかし自分たちの力で、何かを成し遂げたいのだよ」

 グラッシュ博士。

「そのために月に行く。愚かな人間たちから離れて、月に移住だよ!!」


 ここで、星使いのウルル・ギラが立ち上がりました。

 ウルル・ギラ。

「人間が持ってしまった科学の力は、人間がどうにかして操っていかなければいけないのです。科学だけが勝手に独り歩きしてしまったら、同じ人間がどうにかして、暴走を食い止めなければいけないのです。今の博士たち、あなた方は、暴走しているように見える。」

 グラッシュ博士。

「何とでも言え。私は運命を作る者さ」

 ウルル・ギラ。

「僕は、運命を変える者です。あなたちのシナリオ通りには、事が運ぶとは思いません。あっ、これは、星使いとしての予言です」


 ランドリューク。

「今までお主に払ってきた、高額の給料を返せ! 私のおかげで、稼いできた金だ!!」

 ランドリュークは、厳しくグラッシュ博士を責め立てます。


 グラッシュ博士。

「おっと、危険だからそこから近づかない方が良いですよ。私は科学の力で、重力発生装置というものを作ったのですよ。この装置で重力が発生すると、時空が曲がる。時空がゆがむところは、時間が遅くなるのですよ」


 国際宇宙ステーションの狭い空間で、大の大人がいがみ合っています。

 グラッシュ博士は、一メートルの、外装が金属板で覆われている重力発生装置を取り出して、スイッチを入れました。


 するとグラッシュ博士が、こちらから見ると、高速で動いているのです。

 それを見たランドリュークは言いました。

 ランドリューク。

「ウルルくん、ララさん。あやつは六九歳の老人だ。あの博士を捕まえてくれ!」

 ウルルとララ。

「わかりました!」


 しかしグラッシュ博士の重力発生装置で、宇宙の無重力空間に慣れてしまった二人には、荷が重かった。

 それにこちらの時間を遅くされているので、グラッシュ博士の高速の動きについていけません。

 グラッシュ博士。

「はっはっはっはっ。ハエはね、地球上で最も繁栄した生物なのだよ。私のファントムはね、そうハエ人間。ハエはね、素早く貪欲に死肉を嗅ぎつける最恐の動物なのですよ。重力発生装置を使った私のスピードからすれば、君たちの動きはとっても遅く感じるよ!」

 そう言ってグラッシュ博士は、ウルルと、ララと、ランドリュークを捕まえて、身動きができないように、ロープで縛りました。

 グラッシュ博士から、ものすごい霊気のようなものが感じられます。


 ランドリューク。

「うぬぬ。この私を……」

 ウルル・ギラ。

「うぬぬぬぬ・・・ん!?」


 グラッシュ博士。

「アインシュタイン博士が提唱して以来、時間というものは、万人に共通して、同じスピードで、一定に流れているのもではないということを、人類も理解したはずなのですよぉ! 私はね、運命に従う者とはわけが違うのですよぉぉぉお!!」


 その時です。

 宇宙服を着た一人の男が、急に国際宇宙ステーションの天井から降りてきて、グラッシュ博士の首元に、死神の大ガマを当てました。

 グラッシュ博士。

「うぃっえ、なんじゃ!?」

 謎の人。

「もしかして時間を自由に操れるのは、自分だけだと思っていたか? 死人にはな、時間という概念はないのだよ!」


 そう言って死神の大ガマを持って現れたのは、ジャックでした。

 ジャックの姿は生き生きとしていて、運命に突き進む人の目をしていました。

 ジャックから、ものすごい霊気が、塊のようになって発しています。


 グラッシュ博士。

「何!? ジャックだと? お主は死んで、アトランティスと共に沈んだはずでは……」

 ジャックは以前よりも、各部位に機械をはめ込んだ機械人間になっていて、年齢を増したように男らしく、格好が野生的に、使命感を帯びたような、少し精悍せいかんした顔立ちになっていました。


 アイザック。

「ワシが、ジャックがゼウスのカミナリに打たれて瀕死の状態だった時に、まだ死んでいないのに死んだと言ったは、ゼウスにまた攻撃されないためじゃ。しかし瀕死の状態で、生命は危なかったのじゃよ」

「そして瀕死のジャックをワシの病院に連れて行かせて、ジャックを人造人間にした。破壊された肉体の部分は移植して直して、ワシと同じ人造人間として蘇らせたのじゃ」

「しかしワシは、ここまでやってくるための協力はしとらんよ」


 グラッシュ博士は、死神の大ガマを当てられて、怯えています。

 ジャック。

「ぼくは人造人間として復活して、バベル2号に乗って、国際宇宙ステーションにやってきた。僕は運命に導くものさ」


 グラッシュ博士。

「ひ、ひぃィィィいい。やめてくれぇぇぇぇええ」

 ジャック。

「このノヴァの死神の大ガマは、人間からファントムを切り離す特性を持っている!!」

 そう言ってジャックは、グラッシュ博士にとりついたハエ人間のファントムを、切り裂きました。


『ぎゃしィィィぃぃいいンンン!』


 するとグラッシュ博士は、意識が喪失した状態になりました。

 グラッシュ博士。

「ふ〜〜〜」


 ウルル・ギラ。

「僕は国際宇宙ステーションの窓の外に、宇宙服を着たジャックさんを見つけたのさ。だから僕は、グラッシュさんに予言を告げたのさ。そしてグラッシュさんの警戒心がなくなった時にときに、ジャックさんに来るように合図を送ったのさ」

 ジャック。

「バベル2号には、ザラン博士が乗っている。さぁ、みなさん。地球に帰りましょう」

 アイザック。

「あい、我が家に帰ろうとするがよ」


 そうやってジャックは、ロープで縛られていたランドリュークたちを助けて、博士たちを連れて、国際宇宙ステーションを出ようとした時です。

 いきなりクランキ博士だけが走り出して、バベル1号に乗りました。

 そしてバベル1号の入口にロックをかけて、誰も入れないようにして、バベル1号を操縦し始めました。


 クランキ博士は、四九歳で頭ははげていないが、白髪姿のボサボサな髪をしている。そしてメガネをかけていて、神経質そうな感じを受ける。鼻が高くて、顔が面長の、唇が薄い男です。

 スーツの上に白衣を着ていて、手足が長く、身長が一八八センチメートルもあるのに、運動音痴の博士です。


 クランキ博士。

「私はね、どうしても月に移住したいのですよ。月にはまだたくさんの資源がある。しかし愚かな人間のせいで、地球にはもうほとんど資源が存在しない。だから月の可能性に賭けたいのですよ。私はね、月にある燃料を使って、世界一のロボットを作りたいのです。そのために、月に行かなければいけない理由があるのですよ! 私のファントムは、機械脳!!」


 そう言ってクランキ博士は、バベル1号に乗って、国際宇宙ステーションから月に向かいました。

 クランキ博士から、ものすごい殺気のようなものが感じられます。


 それをジャックたちが、みんなをバベル2号に乗せて、バベル2号で、1号を追います。

 二つのロケットが帯びるフォースが、天の川の夜に、キラキラとした噴射線を描きながら発せられています。


『ゴォォォォォォォぉぉおおオオ!』


 暗黒空間を照らす天の川の中で、膨大なエネルギーを出しながら、二台のロケットのレースが始まりました。

 宇宙の漆黒の闇の中を、散りばめられた星の光と、ロケットの光だけを頼りに、競争が繰り広げられます。

 クランキ博士。

「バベル1号の燃料である賢者の石は、無限の力を持っているのですよ!」


 しかしです。

 バベル1号は、バベル2号に追いつかれようとしています。

 クランキ博士。

「ん!? バベル2号が、すぐそこまで来ているだと……。なぜ加速しているのに差が出ない? 加速させれば加速させるほど、ものの質量が重くなって、スピードが出ない。これは科学の常識だ」

「しかしこの差はおかしい。計算どおりには進んでいない。まるで磁力に引っ張られているようだ。このままでは加速させれば加速させるほど、スピードが出ないかわりに、膨大なエネルギーが発生するぞ。その原理で開発されたのが、原子力爆弾だ!」

 クランキ博士。

「このままでは賢者の石の巨大なチカラで、ブラックホールが出来てしまう。とりあえず、スピードを落とそう。」

 そしてバベル1号は、ゆっくりと、静かに止まろうとしています。


 その時に、クランキ博士がバベル1号の窓際に、自分が作ったロボットがしがみついているのを見つけました。

 そのロボットは、レガイオン・エースです。


 クランキ博士。

「お前はエース……。この私が若かれしころに作った、エースではないか!? どうしてこんなところに!!」


 クランキ博士と、エースは、通信でやりとりします。

 エース。

「博士ハ、月に行ってどうするの?」

 クランキ博士。

「新しいロボットの開発だ」

 エース。

「残されたロボットは、どうナルノ?」

 クランキ博士。

「それは置き去りだよ」

 エース。

「残されたロボットも、悲しいのダヨ。ロボットは、人間のドレイではナイのだよ」

 クランキ博士。

「それは知らん」


 エース。

「エースは、親の博士のことが好きだったヨ。AIを搭載されて、感情が芽生えて嬉しかったヨ。楽しかったヨ。ずっと一緒にいたかったヨ。でも感情が芽生えて、一人前のロボットらしく、自立したかったヨ。デモそれが出来なかったヨ。博士ノことが好きだかラ、博士カラ離れたくなかったヨ。博士ノお荷物になりたくなかったヨ。博士が好きだかラ、博士ノ野望には付いていけなかったヨ。エースモ人間になりたかったヨ。博士モ良い人間になって欲しかったヨ。ダ・カ・ラ・サヨナラ」


 クランキ博士。

「んっ!? さよなら?」

 エース。

「自爆・・・自爆・・・自爆・・自爆・・・。『バン!!』」


 なんとエースは、バベル1号の窓際で、自爆してしまいました。

 窓に亀裂が入って、バベル1号の空気が漏れます。

 クランキ博士。

「し、しまった空気が……。このような時のために、修理道具を用意していたわい。それで直す!」


 クランキ博士は、修理道具で修理して、バベル1号の空気漏れが直りました。

 クランキ博士。

「何たることだ。しかし修理道具を持ってきてよかった…」 


 しかし。

『ピーーー・・ピーーー・・。目的地までの軌道がズレました。ピーーー・・ピーーー。」

 クランキ博士。

「何!? 軌道がズレただと……? ん、目的地が金星に変わっとる! あそこは堕天使のルシファーが支配しておる。あそこは寒いのだ、だ、誰か、止めてくれー!」

 そしてバベル1号は、完全に止まりました。



 バベル1号を止めていたのは、ジャックでした。

 ジャックは人造人間になって、ますます強力な磁石人間になっていたのです。

 ジャックはバベル2号から、強大な磁力を放って、バベル1号を止めていたのです。


 ジャック。

「重力が発生して、光さえも脱出することができないブラックホールが発生したとしても、こちらからすれば、時間が速く進みすぎるだけさ。こちらの時間が凍ったら、それだけ、そちらが、速く年をとるだけだよ」


 磁石人間のジャックの力で、完全に止まってしまったバベル1号から、仲間の博士たちと共に、死神の大ガマで、クランキ博士のファントムを切り離して、すべての博士を救出して、みんながバベル2号に乗り込みました。


 ジャックが自分の磁力を止めると、バベル1号はものすごい勢いで、賢者の石と、宇宙をさまよいました。

 エースの残骸と共に~。

 もう賢者の石は回収不能です。




  宇宙そらから見るアトランティスは、とても雄大な土地でした。

 この島が、数時間前まで大西洋に沈みかけていたことが嘘のようです。

 そして無事に、ジャックたちはバベル2号で、アトランティスに戻ることができました。

 管理区から脱走した怪獣たちは、ザガット率いる505番隊が全部捕獲して、ふた旅管理下においています。

 地上では、女王のサラと、ジャックナイツのメンバーが待っていました。

 サラ。

「け、け、賢者の石は!? ……(しばらくして)…。う、うん。そ、そうか、回収不能か、残念ガッカシ…」


 ついに人類の代表は、アトランティスを守りました。

 その英雄たちに、人々は喝采します。

 その拍手は、永遠に止まなかたといわれています。


 ジュリサ。

「しっかし、パードンの予知夢は、見事に的中したね。さっすがー、パードン」

 パードン。

「えっへへへへ。まかせてちょ。あっ、ほら、あそこを見て、最後の予知夢が当たるよ……」

 ちょうどそこに、サラの旦那様のエッジオ国王が、ヘリコプターで避難先から、アトランティスに帰ってきました。

 そして無事に、地上に降り立ったエッジオ国王。


 降り立った場所で、エッジオ国王は、開口一番、口を開きます。

 エッジオ国王。

「私はアトランティス国王の、エッジオ・アトラン一二世じゃ。ゼウスによる人類削減計画と、結婚指輪を贈った直後に変貌したサラから、安全なところに身を隠しておったのじゃ。私はまさに、恐怖の大王じゃ。わっはっはっはっ!」


 ジュリサ。

「え? 恐怖の大王って、エッジオ国王のことだったの!?」

                                    

 第十二章 ラストナイト(最後の騎士)


 女王のサラは、あれから不老不死にはこだわらずに、普通のお母さんになっていました。

 クローン人間の、セーヌと、セクラと、ゼシリアは三人とも仲良く、王室に生まれた子供として、アトランティス国民に紹介されました。

 肉体の一部を失ったゼシリアには、アイザック博士がスーパーiPSを使って直してくれた。

 夫のエッジオ国王とも仲良くなって、今度は男の子を授かろうと、張り切っています。



 そしてアトランティスの政治で決断が迫られたときは、星使いのウララと、ララを呼んで、星占いをしてもらっています。



 マジカルキッズのジュリサと、パードンは、アトランティスにある妖精学校で、学生として学業に励んでいます。

 しっかり者のジュリサには、彼氏が出来ました。

 しかしパードンは、相変わらず授業中に寝ています。

 そこで予知夢を見て、騒ぎに発展することもしばしばらしいです。



 マジカルキッズだったテラ・ノヴァは、新しい地球の代表のライサ坊ちゃんから、新星の星の神を担当されました。

 テラ・ノヴァは、人間と協力しながら、自分の職務を全うしています。



 怪盗ゾットと、ロボットアイランドのゼットは、その後再会することができました。

 そして兄弟仲良く暮らしていましたが、ゾットは自分の人生を改めるために、警察組織の505に自首しました。

 ゾットは潔く、刑に服しています。



 サンレナードのバロン・ランドリュークは、新しく開発された新薬を使って、今でも病との闘病中です。

 今では自分の孫と遊ぶことが、一番の楽しみらしいです。

 自分の家族だけではなく、恵まれない子供たちに、私財を提供しています。



 一〇大博士たちは、人間の頭で地道に、新しい発明を考えて科学を進歩させています。

 今度は、歴史に名を残すほどの発明をする後輩を作ろうとしています。

 唯一、星の神から技術を授からずに発明をしていたリーダー格のグラッシュ博士は、また歴史に名を残す新たな発明をしています。

 しかし今度は、その発明は、人々から賞賛されることができました。

 この経験で、スポットライトを浴びることが癖になったようです。

 もう誰も、再び月に移住したいと、考える人はいなくなりました。



 使徒のアイザックは、ジャックたちを裏切ったことを謝って、今度は女王のサラの主治医になりました。

 ジャックを人造人間に復活させた技術で、王室の医療をサポートしています。

 アイザック爺さんは、健在です。



 使徒のトレジャーハンターのサキヤは、今でも宝物を探しに、世界中を旅しています。

 将来の夢は、探し出した秘宝を集めた博物館を開くことです。



 使徒のシロンは、この旅の経験を活かして、マルタマ教を広める教祖になりました。

 自分の教徒を増やして、もっとマルタマ教の素晴らしい教えを、信者たちに広める活動をしています。



 使徒のカイラは、505軍から完全に退職して、アトランティスで小さな鍛冶屋の経営を続けています。

 しかし今の時代では、あまり客が来ないことを嘆いていて、時々スーパーガイラになっているそうです。



 使徒のラングドンクは、今でも医療が整っていない土地で、人間と、動物の医者として活動しています。

 


 使徒のジャスパーは、アトランティスの警察組織の505番隊に入隊して、警官としてアトランティスの平和を守っている。



 使徒のロヂンは、自国に戻って、親から引き継いだロボット修理会社を再建しています。

 そして宇宙に散ったエースみたいな、優秀なロボットを開発しています。



 そして地球の代表者になった、ライサ・ヴェルベックは、相棒のエルピスを使って、パンドラの箱から出た、人間にとり憑く悪いファントムガイストや、悪い不老不死のエターナルモンスターなどを、パンドラの箱に封印しています。

 ライサは、ジャックみたいな強い人間になろうとしています。



 そのジャックは、人造人間として生きています。

 そしてついに、セーヌ姫と結婚することができました。

 アトランティスの王家の婿として、暖かくアトランティス国民に迎え入れました。


 中世から人々を惑わす賢者の石は、今も宇宙のどこかをさまよっています。


 これで誰も人間が死なない、グレイトスタアの物語は終わりです。

                                 〈了〉



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