真昼間の騎行
薬の効果ですっかり回復したチャティスがご機嫌に朝食を摂っていたのが今朝のこと。パンを頬張りスープを飲み干し、いざ街へと繰り出さん、とした時にクリスから声を掛けられたのがつい先刻。
そのままクリスの後ろをとことこ歩いて、手招きされるがままに移動している。
「今だ、来い」
「う、うん……」
戸惑いながら、クリスの掛け声で通路と通路を隠れながら進んで行く。
クリスはなぜかチャティスに隠密行動をさせていた。そんなアサシンめいたことは無理だよとチャティスは言い訳したのだが、クリスに天才なのだろうと言われ、むきになってできるよと広言してしまったのだ。
そのため、チャティスはこそこそと鼠のように動いている。兵士の巡回が過ぎた後、物陰と物陰の間を素早く進む。
(何でこんな目に……)
チャティスは嘆息しながらも、クリスの勘の良さに驚いていた。クリスの指示通りに動けばまず見つからない。
誤って物音を立て見つかりそうになりはしたが、クリスのサポートで難を逃れていた。
ふうと安堵の息を吐き、クリスの背中へと走ると、クリスが先に指をさす。
「あれだ。馬に乗れると言っていたな」
家屋に隠れて全貌は見えぬものの、二頭の馬の首が視えていた。
乗れるけど、と答えながら先を歩くクリスに追従する。
「そもそも何で隠れながら移動したの? 問題は解決したんじゃあ……」
チャティスはクリスから、チャティスに纏わる問題は解決したと聞いていた。
あの魔術師はもうチャティスを狙うことはせず、国もチャティスの罪に関しては放免すると。
だが、こうもこそこそ裏を掻くように隠れていると何やら悪いことをしているのかのような背徳感が襲いかかってくる。
アサシンやシーフの真似事をしているようだ。
しかし、今のチャティスに後ろめたいことは何もない。あの魔術師は狂戦士と共にいたというだけで罪だとチャティスを糾弾したが、チャティスは魔術師の方が間違っていると確信していた。
絶対に自分の方が正しい。いっそのこと政務官になって政治改革でもしてやろうか。
「ああ、解決はした。あの王と魔術師に関しては、な」
意味深な物言いを不思議に思いつつも、じゃあと反論しかけたチャティスは言いかけて止まる。
「え、これ……は……」
クリスに乗れと指示されたソレを見て、チャティスは茫然と固まった。
ヒヒンといななくその生物はボイドペンギンやファイヤウルフのような魔物の類ではない。れっきとした家畜、長期移動に最適な栗色の二頭の馬だ。
だが問題は馬ではない。その後ろ――人や物を運ぶべく設置された荷車だ。
人員輸送としては十分な大きさで、食料や物資を運ぶことも可能な輸送車。
クリスが乗れと指さしていたのは馬ではなく馬車だった。
「え、いや流石の私でも馬車は御せな――」
「しかし、天才なのだろう?」
「もちろん! 馬車だろうが牛車だろうが竜車だろうが、私に扱えない乗り物はないよ!」
言ってからしまったと頭を抱える。
天才に二言はない。偉大なるチャティスが断言したからには、どうにかして御す以外になかった。
それはチャティスなりのプライドだ。自分を特別と自負する以上はできると言ったことは全てやる。
哀れかつ愚かな自尊心。しかし、その純粋さこそチャティスの取り柄ともいえる。
自分がすごい人間であると疑わないこと。失笑を通り越して呆れ果ててしまうほどのナルシシストであるが、彼女は自分を信じる分他人を無闇に疑わないし、見下したりもしない。
自分を偉大なる存在と信じるがゆえの心の余裕をチャティスは持っている。
しかしながら、その自信はトラブルの引き金にもなりやすい。上手い具合に乗せられて馬車を御すことになった今もそうだ。
「うう……いや、何とかなるよ、たぶん」
私は千年に一度の逸材だし、と言い聞かせるように呟いて、チャティスは御者席に腰を落とした。
「お馬さんたち! 言うこと聞いてね!? 絶対だよ!」
チャティスが馬に命令、もといお願いをする。
だが、馬は舐め腐ったように鼻をフーン! と鳴らすだけ。
自意識過剰なチャティスもこれには不安にならざるを得ない。馬は乗れる……乗れるのだが、いつも最後は落馬していたのだ。
「よし、行けるな」
チャティスが席に座るまで何やら探し物をしていたクリスが戻ってくる。
その装備にチャティスは驚き、声を上げた。弓と矢筒、火縄銃まで持ってきている。
「何でそんなものがいるの?」
「これから使うからだ」
「え? 使うって、きゃ!?」
チャティスが悲鳴を発するのも無理はない。クリスが馬車に飛び乗ったからだ。本来乗り場であるはずがない屋根の上に。
「出してくれ」
「え? いや説明が欲し――きゃあああ!!」
説明を要求しようとしたチャティスの意志を無視して馬たちが勝手に走り出す。哀れな御者チャティスのことなど露知らず、馬たちは赴くままに駆けている。
「うわ! わあああ! 止まって!」
チャティスの制止を全く聞く様子がない馬たちは、人通りの多い通りへと突っ込んだ。人々の叫び声が響く中、何とか馬を御そうとしたチャティスは最近聞いたばかりの風切り音に青くなる。
矢が獲物をしとめようと放たれた音。明確な殺意を込めた矢がチャティスの真横を飛んでいく。
「えっえ、え!?」
「頭を低くしろ」
「ひ、ひいいい!!」
チャティスはもう手綱すら放し、頭を守るように両手で覆った。
街に配備された兵士達が弓や銃を手に馬車を狙っている。チャティスは知る由もなかったが、彼女はお尋ね者として手配されていた。
いくら魔術師と王を殺し、災いの元を絶ったとはいえただで済むはずもない。
その点チャティスの見通しは甘かった。チャティスはまだこの国で成り上がろうと考えていたからだ。
「ああ……死にたくない死にたくない」
チャティスの祈りが通じたのか、敵兵の狙撃は馬車に命中することはない。否、それは違う。
クリスが敵を射抜いていた。矢を放たんと銃を穿たんとした敵は、全てその頭に矢を受け何もできずに絶命する。
狂戦士の技量を持ってすれば、矢の速度は弾丸のそれより上回る。
むしろクリスは弓が壊れないか心配だった。とはいえ、仮に壊れた場合は矢を直接投げ射ればいいだけの話なのだが。
「チャティス! 次の通りを左だ!」
「えっ! うえっ!? お、お願いー!」
チャティスは馬たちに頼み込んだ。曲がってください。通路を左に行ってくださいお願いします。
すると、チャティスの誠意ある懇願を聞き届けた馬たちが左に向かう。
「あ、はは! やった! 私ってやっぱりすご――うわっ!!」
自画自賛しようとしたチャティスだが、進行先に敵の死体が落ちてきて跳び上がる。
クリスに頭を貫かれた兵士は哀れ、馬のひづめをたくさん受けて見るに堪えない姿となった。
「次の角を右に曲がった後は一直線だ。問題は門だが――」
クレスト王国王都アルバン。人の出入りは防衛上の都合から一つの門で行われる。
クリスとチャティスが王都に入ったのも門からであり、脱出する時もまた門から出るのだ。
クリスが危惧した通り、門は警備が固められていた。騒ぎを受け、門を閉じようとする兵士すら見受けられる。
「うっ……! 門が閉まっちゃうよ!?」
鈍感なチャティスと言えど、捕まったら終わりだということはわかる。それに、この国に対する不信感が払しょくされた訳ではない。
村と王都、同じクレストでも別次元のようだ。実際、王と政務官たちはチャティスの村のことなどとっくの昔に忘れていた。
不安に顔を青く染めるチャティスに、クリスが屋根上から声を掛ける。
「任せておけ」
そういうや否や、クリスは地面へ飛び降りた。そして走る。馬車よりも圧倒的に速く。
あっという間に馬車と差をつけたクリスは門の近辺の敵をなぎ倒す。反撃する者には死を。逃走する者には生を。妨害する敵を一刀両断し、残りの兵士の戦意を喪失させる。
そして邪魔する者がいなくなった詰所を抜けて、門を通り抜けた。
「ほんの一瞬で……」
狂戦士の凄まじさを目の当たりにしたチャティスは、すっかり馬車の制御を忘れて考え耽る。
(確かにバーサーカーは怖い。でも……あそこまで忌み嫌わなければいけないことなの?)
魔術師の言動を思い出し、チャティスは眉を顰める。
クリスは強い。この国が束になっても勝てないのではないかと錯覚してしまうほど。
だが、彼は本質的には優しい。見捨てても誰も責めなかったのに、二度も自分を助けてくれた。
しかし、同時にあの凄惨さを思い出す。首なしの死体。肉塊になるまで切り刻まれた野盗の頭領。
「……」
凶暴さと優しさ。二つを兼ね備える謎の狂戦士についてチャティスが考えるのを止めたのは、馬がもう飽きたというように急停止した後だった。
「う、わああああああ! うぐ、う」
御者席から放り出されたチャティスは、自分を包むような感触の何かに激突して気絶する。
「……無茶をさせたか」
地面にぶつかる寸前でチャティスをキャッチしたクリスが漏らす。
表情としては無だが、彼は申し訳なさそうに謝罪した。
「今クレストにいるのは好ましくない。俺を利用しようとする輩が残っている。だが、流石に田舎まで追ってはこまい。……目下の問題が解決したのち、君を村へと送ろう」
そのための馬車である。半ば強引に逃走劇を演じたのはそれなりの理由があってのことだ。
すやすやと寝息を立て始めたチャティスを見下ろし、一瞬だけクリスは感情を見せた。
別にクリスは意図して無感情に徹しているわけではない。ある時から突然稀薄になったのだ。
理由は不明だが、原因については察しがついている。
そのことについて、クリスはあまり考えたくなかった。だが、どうしても思い出してしまう。
あの時の衝撃を。
あの時の悔恨を。
そして――何としても叶えなければならない、彼女の願いを。
「……」
今、抱きかかえている少女は容姿も性格も全くと言っていいほど彼女と似ていない。
だが、一つだけ共通点がある。それは……狂戦士を受け入れるということ。
常人ならば化け物と忌み嫌う存在に、平気で近づいてくるということ。
「サーレ……」
クリスはその名を呼ぶ。絶対に返事が返ってくることはないと理解しながら。
※※※
「ねえお父さん。お父さんって何でそんなにすごいの?」
幼い時、チャティスは父の背中に問いかけた。チャティスの父親がお手製の薬でチャティスを治してから、一年ほどたったある日のことだ。
父はチャティスにすごいことはしていないよと笑いかける。
「父親が娘を救おうとすることはごく自然だ。私ではなく、すごいのはチャティスの方なんだよ」
「わたし? 何で? わたしを治したおくすりを作ったのはお父さんなのに」
首を傾げるチャティスを抱き寄せて、父親は嬉しそうに語る。
「薬はね、人を治すために必要な物だ。でもね、最終的に病気や怪我に打ち勝つのは当人なんだよ。お父さんのような薬師はただお手伝いをしてるだけなんだ」
「んー……じゃあ、すごいのはわたしってこと?」
「そうだよ、チャティス。お前はすごいんだ。私が保障する。お前は天才だ。とても賢くて頭のいい、私と母さんの自慢の娘だよ」
「へぇ……わたしは天才なんだ」
褒められて喜ばないこどもはませているこどもだけ。例え身内贔屓だったとしても、天才と言われて悪い気はしない。
チャティスは満面の笑顔を父親に向けた。
「だったら、わたしはすごいことするね! わたしは天才だから、わたしにしかできないことをする!」
チャティスの言葉が嬉しくて、父親は泣きそうになる。泣き顔を隠すため、父親はチャティスを抱きしめた。
そして、呟く。ありがとう、と。
生きていてくれて、治ってくれて、ありがとうと――。
「ああ、そうだな。だが、忘れないでくれ。父さんも母さんもお前が無事に育ってくれるだけで十分だよ」
※※※
「むあ?」
間の抜けた声を上げて、チャティスは目を覚ました。
どうも懐かしい夢を見ていたような気がする。
「何だっけなー。ん、思い出せない……」
何か自分の性格に影響を及ぼした大事な出来事だったような気がするが、夢の内容を全く思い出せない。
チャティスは頭に手を当てて、顔をしかめた。
「もやもやする……あれ?」
想起しようと奮闘しかけたチャティスだが、自分が見覚えのない場所に寝かされていることに気付く。
馬車の中だ。チャティスは御者席を覗き込む。
そこには、自分をなぜか守ってくれる狂戦士が座っていた。
「クリス……?」
「起きたか」
平淡な物言いでクリスは返してくる。
無意識におはようと応えようとして、はたとチャティスは思い知る。
全く理解し難い逃走劇に自分が巻き込まれたということを。
「ッッ! 説明して! 一体何がどうなって――クリス?」
急にクリスが馬車を止めた。何もない丘の上で。
御者席から降りて遠くを見つめたクリスは納得したかのように頷いて、背中のポーチから遠眼鏡を取り出した。チャティスのことを手招きし、遠方に向けて指をさした。
先を視ろ、ということらしい。仕方なく、チャティスは応じた。
「まだ話は終わってないよ?」
不満を漏らしながらも、渡された遠眼鏡に目を当てる。
拡大された光景。殺風景な荒野がチャティスの目の前に広がった。
「ん……なに?」
「すぐにわかる」
クリスは説明せずに自分で探せと促してくる。
むっとしながらもチャティスは目を凝らした。あっ、と声を上げてその行列を見つける。
「嘘……」
「事実だ。あれがクレストに向かってくる」
チャティスは茫然とその大行進を見つめていた。
クレストの隣国ラドウェール。その大軍がクレストへと侵攻している。
クリスが戦い、斃した狂戦士に深手を負わせた軍勢がクレストを侵略せんと移動していた。
その数、約二万。鎧を身に纏い、槍や剣、火縄銃など各々の武器を持って殺意をぎらつかせている。
「ど、どどどどうしよう! クレストに連絡を取らないと!」
焦り、連絡方法を模索するチャティス。だが、クリスはチャティスの肩に手を置いた。
「無駄だ。彼らに打つ手はない」
「何で……」
「バーサーカーがいないからだ。狂化戦争において、兵士の数など意味がない」
知識としてはチャティスも知っている。狂戦士に対抗できるのは狂戦士のみだと。
でも、とチャティスは反論しようとする。だが、クリスには何を言っても通じないとその瞳を見上げてわかった。
代わりに、訊ねる。あれをあのままにしていいのかと。
「ならどうするの……? ひどい目にはあったけど、クレストは私の国で」
「だが、俺にはクレストを守る理由がない」
「う……」
クリスの言い分はもっともだ。それに、チャティスはクリスにクレストを守ってくれなど頼むつもりはない。会ったばかりの他人に頼むには出過ぎた願いだからだ。
だから、口を閉ざす。もうしょうがないのだ。チャティスを誘拐してクリスに無理強いさせようとする強引な手段を取った時点で、クレストは占領される運命だったのかもしれない。
そうやって自国を諦めかけたその時に、チャティスはクリスの力強い声を聞いた。
「しかし、あの中にバーサーカーが混じっていることは明白だ」
「クリス……!」
「ここで待っていろ。アレを片付けた後に今後の方針について話そう」
クリスはそう言って、丘の上から飛び降りた。己の目的を果たすために。
※※※
一方その頃、ラドウェール軍の司令室では指揮官が地図に目を落とし、進軍度合を見定めているところだった。
ラドウェール軍が展開するブラン大荒野から遥か離れた本拠点。ラドウェールの前線基地であり、かつてクレストの防衛拠点の一つテヘロン砦だった場所から、地図によって進軍を俯瞰している司令官。
そこに訪れた新人の士官が司令官に進言する。
「カフラ司令官殿。我が軍の戦力が多すぎるのでは」
「いや、これくらいが丁度いい。向こうの戦力は大して残っていないはずだからな」
だからこその疑問なのだが、カフラは部下にさも当然のように言い放つ。
ラドウェールはクレストに大打撃を与えた。先の戦闘では文字通り敵軍を壊滅させ、狂戦士にも深手を与えている。
敵の戦力はごく僅かであり、投降を待つだけでもいいと思われた。だというのに、カフラ司令は軍を動かしている。
若い士官には度し難い行為だった。そのために、無礼を承知で上官であり魔術師でもあるカフラに進言しているのだ。
「だからこそ、最低限の戦力で向こうの出方を窺えば……」
「最低限だよ。この兵力は」
椅子に座っていたカフラは杖を手に持って立ち上がった。そして、地図に向け杖を向ける。
その動きに呼応して地図が動き出した。クレスト側に一人の男が写り、ラドウェール側には一人の女が描かれる。
「君はまだ若いから知らぬのだろうな。狂化戦争で重要となるのは人間の数でも作戦の良し悪しでもない。バーサーカーの強弱だ。兵士など、狂化が解けぬままバーサーカーが帰って来ないようにするための生贄でしかない」
「……では、先日の戦闘で我が軍の兵士が一人も砦に帰還しなかったのは――」
上官の言葉に困惑し、戸惑いながらも思い当たったことを述べようとする士官。
そうだ、とカフラは頷いて真実を告げた。
「ああ、皆死んでいる。君や前線に赴いた奴らには国に直接帰郷したと言ったがね」
カフラは魔術を発動させ、士官の頭を吹き飛ばした。
『――あら、困ります。危うく私に影響を与えるところでしたよ』
地図から女の声が聞こえ、カフラは再び地図に目を移す。
「アーリア。今度こそあのバーサーカーを始末しろ。そうすれば我が軍の勝利は確実になる」
『ええ。わざわざ無能者を集めて下さったあなたの期待に応えます』
アーリアはとても嬉しそうな声音で応えてくる。まるで恋人に囁くような甘い声色で。
「無論だ。お前がバーサーカーを倒さねば私のやれることは限られてしまう」
狂戦士相手に戦術など無意味である。どれほど優れた戦術を立てようと、狂戦士は必ずそれを打ち破る。
第一前提として彼らに戦術で勝とうなどと考えてはいけない。それは自殺に等しい愚策である。
だから優れた戦術家として成るためには、まず優れた狂戦士を確保することが絶対条件だ。
次に、死んでも補充が可能な無能者を選りすぐること。有能な人間と無能な人間の選抜を入念に行うこと。
最後に、腐海が発生しないように、相手の戦力を見極め両軍の戦力値を調整すること。
その全ての条件をカフラはクリアしていた。現時点でこの大陸で一番の指揮官であるとカフラは自分を疑わない。
「通常のバーサーカーは一騎当千。だがアーリア、お前は一騎当万。命令を果たせ、バーサーカー」
『果せの通りに……愛しい人』
アーリアは心底嬉しそうに通信を終えた。
誰もいなくなった司令室で、カフラはひとり吐き捨てる。
「忌々しいバーサーカーめ。だが、大陸統一のためなら何だって利用してやる……。それに、万が一のための保険もあるからな」
薄ら笑いを浮かべるカフラの瞳は、野望を果たさんという野心に溢れた瞳だった。