救済の狂戦士
重い鎧を鳴らしながら、城門へと接近する一人の男。男は仮面のように無表情だが、何かしらの目的を持っているようで一切の躊躇いなく城に向かって進んで行く。
「おい待て! 王城は立ち入り禁止だ」
職務を全うすべく、男に向かって手を伸ばしながら制止する番兵。
だが、門番は迂闊すぎた。相手を一般人だと見誤っていた。
伸ばされた右腕はあっけなく掴まれ、曲げてはいけない方向に曲げられた。
「邪魔だ」
短く警告し、番兵の腕を掴んだままクリスは門を強引に押し通る。男の喧しい絶叫が傍から聞こえてくるがクリスは気にした様子もなく、泣き喚く番兵を拘束しながら移動し続けた。
「侵入者だ!」「警鐘を鳴らせ!」「銃兵を呼べ!」
兵士達の怒号が飛び交う最中、クリスは止まることなく城の中へ入る。
妨害する敵兵はいない。人質にしている兵士がクリスの手中にあるからだ。
と、番兵の身体がだらりと崩れ落ちた。気絶した男の身体を捨て、クリスはチャティスを捜索する。
(どこだ?)
周囲に目を凝らす。だが、やはり目に見える場所にはいない。
どこか牢屋にでも捕らえられているはず。そう思ったクリスはさらに見回した。
丁度、正面から槍を持った兵士が廊下を駆けてくるのが見える。
「侵入者め! 死ね!」
よく訓練された動きでクリスを刺し殺さんとする、鋭い一撃。
だが、その刺突を鋭いと感じるのは人間までだ。
「……ぬが!?」
「チャティスはどこだ。答えろ」
クリスは素手で槍をへし折ると、左手で兵士の首を掴んだ。話せるぐらいに加減しながらその首を絞める。
死の恐怖に駆られた兵士は、素直に居場所を吐いた。
「ち、地下牢だ……助けてくれ」
「そうか」
クリスは首を離し、兵士を解放する。兵士が恐怖を伝播させ、他の兵士の戦意を喪失させると見越してのことだ。
現に、道を阻む敵兵はごくわずかだった。忠誠心から戦いに参じた騎士たちも、クリスと対峙した後には悲鳴を上げながら逃げていく。
クリスが狂戦士だという事実はもう城内全体に伝わっただろう。これ以上の追撃はないはずだ。
「……」
地下への入り口と思われる階段を見つけ、クリスは中へ入ろうと歩く。
が、背後から声を掛けられ歩みを止めた。後ろを振り向き、声の主を確認する。
「何だ?」
「ふん。バーサーカー風情が誰の許しを得て城内に立ち入った? まぁ良い。お前には話があった」
杖を持った魔術師風の男だ。男は軽蔑の眼差しをクリスに注ぎながら話し続けた。
「我らが飼い狗となれ、バーサーカー。でなければお前の女は死ぬぞ」
「あの娘は俺と無関係だ。解放しろ」
クリスは真実を述べたが、魔術師は誤解したままクリスの言葉を一蹴する。
「見え透いた嘘を。お前に選択権はないのだ。ただ屈服し降伏し、我らに従うのみしかな!」
直後、銃声が轟く。
クリスが持ってきていた、チャティスのホイールロック式ピストルを撃ち放ったのだ。
左頬に掠るか掠らないぐらいかの距離に精確に穿たれた銃撃は、魔術師の口上を止めるには十分すぎる威力だった。
「次は殺す。去れ」
クリスは魔術師を黙らせると、チャティスを救出するために階段を下っていく。
「ああ……今はそれで良い。頭足らずの化け物め……」
魔術師が勝ち誇っていたことになど、気付く様子もないままに。
※※※
痛い、辛い、苦しい――。
もはやまともに思考することすらおぼつかなくなり、ただただ苦痛を享受する。
悲鳴すら上げず、助けすら求めず、ひとりぼっちのまま苦しみ耐える。耐えた先に希望があるわけではないと理解しながら。
「う、あ」
思考が混濁している。
目の前の情景すらはっきりと認識することが難しい。
孤独感と、恐怖感。
二つの感情に内側から追い立てられる。自分の身体すら親身になってくれているとは言い難い。
いや、彼女に心は警告しているのだ。このままではまずいぞ、と。
今のままずっと閉じこめられていたらお前の精神は砕け壊れるぞ、と。
「…………」
得意の勝気も今や失せている。
無鉄砲でいて自意識過剰だったチャティスの面影は、今や全く感じられない。
焦点が定まらない瞳で虚空を見つめ、肢体の力をだらりと抜いて、牢屋の中で崩れ落ちている。
過去すら顧みれないが、自分が悪いんだろうな、とは思う。
全てきっと、自分のせいなのだ。
具体的に言葉で言い表すことはできない。だが確かに、ナイフのような鋭さで胸の中で自分を糾弾する声が上がっている。
お前が悪い。自分が悪い。私が悪い。
責め立てられ追及され、チャティスからみるみる内に覇気が消えていく。
「わたしが……わるい……わたしが」
「……催眠魔術でも掛けられたのか?」
声がして、ハッとする。
ぐちゃぐちゃになっていた意識が覚醒する。
焦点が定まり、声の主を見定めたチャティスは、怯える子鹿同然となった。
「ク……クリス……」
「安心しろ。今助け出す」
冷静に牢屋の鍵を叩き切り、鎖を引きちぎって虚脱状態のチャティスを背負う。
この時ばかりはチャティスも文句を言わなかった。
「あ、ありがとう……私なんかを……」
「……弱気になるな。行くぞ」
普段とは違う様子のチャティスを励ましながら、クリスは地下の壁を蹴り砕く。
来た道と同じルートを通ってもいいが、弱っているチャティスがいる以上、念には念を押したかった。
(この壁を壊せば別の通路に出るはずだ)
クリスの予想は的中し、崩壊した壁から別の道が現われる。
後はその通路から街へ脱出するのみ。追撃はない、と理解しながらも警戒を怠らずクリスは地下道から城の敷地を後にする。
だが、この時クリスは自覚できていなかった。冷静に見えるのは表面上だけであり、内面は焦っていたということを。
※※※
温かい毛布にくるまれて、チャティスはボーッとしながら天井を見上げていた。茹で上がるのではないかと思うほど真っ赤な顔で。
誰もいない家屋のドアをクリスが強引にこじ開けてそこにチャティスを寝かしつけたのだ。
本来なら泥棒と罵られる所業だが、それはあくまで罵倒する者がいる場合のみだ。徴兵されたこの家の主がもう二度と帰ってこないことは、街の噂から簡単に推測できた。
「あつい……」
混濁した視界の中、チャティスが独り言を漏らす。だが、独り言だと思っていたのは彼女のみで、傍らにはクリスが見守っていた。
大丈夫か? と尋ねるクリスにチャティスは大丈夫だよと笑みをみせる。
強がっているような、ぎこちない笑みを。
「何かしらの魔術を受けただろう」
「……うん」
確信を持って言い放つクリスに対し、チャティスはか細い声で答える。あの光がチャティスによくない影響を与える魔術だったことは明白だ。
ただ、そう悲観に暮れることもない。薬師だったチャティスには解決策はわかり切っている。
力なく笑ったチャティスは、近くのテーブルに置いてあるポーチをぼやけた視界で見つめ、クリスに取ってと頼んだ。
「中に退魔草があるから……黄色い草」
「そんなものはないが」
中身を漁ったクリスだが、黄色い草など発見できない。いくら薬草の類とは無縁な狂戦士とはいえ、黄色などという派手な色合いの草を判別できぬはずはない。明確な事実として、ポーチの中には退魔草は入っていなかった。
「あれ……おかしいな」
苦しそうに息を吐き出しながら、チャティスは過去を回想する。
思考をするのも厳しかったが、チャティスは何とか退魔草の在り処を思い浮かべる。
「そうだった……馬車であった子どもにあげちゃった……」
チャティスはクリスと出会う前、魔当たりに苦しんでいた子どもに退魔草を渡してしまっていた。その子は野盗が馬車を襲う前に降りたので、殺されることはなかったが。
「……なら街の薬屋で調達してこよう。入手難易度は高くないのだろう?」
「うん……まともな薬屋だったら常備してるはず……」
チャティスの答えを聞いて、クリスは動き出した。街の薬師がまともであることを願いながら。
「ごめんね……私なんかのために……ごめんね……」
チャティスはずっと、クリスの背中に謝っていた。もはや何で自分が謝っているのかもわからない状態で。
※※※
結論から言うと、街の薬師はまともではなかった。
薬屋に入り退魔草をくれと店主に注文すると、帰ってきたのは品切れの一言だった。
そのやりとりだけならば何も問題はなかったのだが、クリスは店の奥にある金貨の袋を見咎めて、店主を問い詰める。
「本当に退魔草はないのか?」
「……ええ。先程お客さんが退魔草を購入しましてね。全部」
「在庫全てか?」
「ええ。おかげでうはうはです」
にんまりと笑う店主の男。だが、客商売として最低の所業だった。
これが娯楽品の類だったならばクリスとて文句はない。だが、薬は民の生命にも関わる重要な物品だ。
例え大金を積まれたとしても、むやみに売り払っていいものではない。例外が認められるのは大量の怪我人が出た等の非常時のみだ。
「もし病人が現われたらどうする。治療魔術は金がかかる。民の多くは薬屋に頼っているはずだ」
「客は金づるです。私は薬を売ってやっている。金を多く払う者には薬を売りますが、へっ。大して金を持っていない人間に売る薬はない」
片や薬を善意で配る者がおり、片や金にしか興味がない薬師がいる。商売の心得がないクリスにはどちらの在り方が正しいのかはわからない。
ただ、チャティスのやり方に好感を持てるのは確かだ。
ゆえに、クリスは薬師の右手を掴んで、問い直した。
「原料はどこで入手している?」
「それは秘密で――な、何を?」
薬師の瞠目も必然。クリスは男の指を無造作に握ったからだ。やり様次第では、不穏な行為を取れるしぐさで。
「言え。言わねば指を折る。答えろ」
「そ、そんな無茶苦茶なうっ……」
ボキリ、と親指が折れて、店主は悲鳴を上げる。何とか言葉を紡ごうとするのだが、クリスは手を止めはしなかった。
人差し指、中指、薬指……とどんどん折れている指を前にして、店主はクリスに泣きながら懇願する。
「やめて、やめてくれ! 言う……言う! 近くの……森の中に群生しているッ!」
「そうか」
クリスは店主の右手を離し、興味が失せたように背中を見せると店の入り口まで歩いて行った。戸を開いて出る前に、店主に声を投げかける。
「治療代はあるだろう」
クリスが言った通り、大量の金貨は店主の治療代で消えた。
チャティスの容体が芳しくないと悟っていたクリスは、薬屋から出るや否や、壁を昇って屋根の上へと移動した。
そのまま屋根を伝って森へと急ぐ。だが、段々と暗くなってきた視界の中で強烈な光をクリスは捉えた。
丁度、進行方向。退魔草が生えていると教えてもらった森の方角だ。
「まさか」
最悪の展開を予想しながら、クリスは屋根を踏み鳴らす。
狂戦士特有の身体能力で素早く森へと辿りついたクリスが目にしたのは、煌々と燃え盛る森林だった。
誰が火を放ったか考えるまでもない。あの魔術師だ。
連中は狂戦士を使役するためならば、森のひとつやふたつ何の躊躇いもなく燃やす。
「見立てが甘かったか」
口調は平坦。表情も無表情。だがしかし、悔恨を僅かに感じさせる声音でクリスは自身を呵責する。
万策尽きた、という訳でもない。方策はまだある。
「……」
クリスは今一度城を目視すると、チャティスを救うために駆けて行った。
今度の入城はとりわけ大きな騒ぎを起こすようなことはせず、武装放棄して行った。
武器を兵士に預け、丸腰のまま謁見室へと兵士に連行される。諸侯や貴族が集まる議論の場としても使われる謁見室はとても広かった。
だが、その場にいるのは王と数名の兵士達、そしてチャティスに魔術を行使した魔術師だけだ。
堂々としているのは狂戦士を蔑む魔術師のみであり、身なりのいい王も護衛の兵士達も緊張した面立ちである。
クリスが室内を眼光鋭く見回していると魔術師が声を発した。
「ようやっと来たな、狗め。我らに服従する気になったか?」
「ああ。お前たちに従おう。だがその前に、チャティスに掛けた術式を解くか退魔草をよこせ」
「ああ……これのことか?」
魔術師が掲げるように退魔草を取り出したことで、クリスの眼光は一層鋭くなる。
だが魔術師はクリスに受け渡すようなことはせず、まず刻印をいれるのが先だと突っぱねた。
「狗を飼う時はまず首輪を付けねばならん。エサをやるのはその後だ。違うか?」
その問いに対し、クリスはいつもの鉄面皮で、しかし感情を伴った動きで応えた。
「自由気ままに放し飼いするのもまた一興だ」
クリスは手かせを難なく壊すと、隣の兵士の槍を奪った。そして、そのまま槍を魔術師へと投擲する。
咄嗟に魔術を発動させようとした魔術師だが、クリスの槍の方が速い。魔術師がチャティスを殺すよりも早く、クリスの槍は魔術師の頭を貫いた。
何名かの兵士が剣を抜き立ちはだかってきたが、威勢よく剣を振り上げた兵士の首を殴り砕くと他の兵士は一気に戦意を喪失し、脱兎の如く逃げ出した。
残ったのは豪華な椅子に座っていた王のみ。護衛がいなくなった孤独な王へとクリスは近づいた。
「来るな……私は王だぞ!」
「……バーサーカーに王はいない」
クリスは右手で王の首を掴んで持ち上げる。王は足をばたばた震わせて抵抗を試みるが、そんな些細な抵抗はクリスにとって何もされていないことと変わりない。
王に鋭い視線を送ったまま、クリスは話しかけた。
「お前の噂は聞いた。若い時は善政を敷き、民の尊敬を集めていたようだな。なぜ、狂った?」
「王が……領土拡大を目論んで何が悪い……」
「この国は規模こそ小さいものの、資源も豊富で食うに困ることはなかった。豪勢にとまではいかないが生活する分には問題なかったはず。だが、狂化戦争を行ったせいで今や散々の有様だ」
「勝てば……いいのだ……勝てば! 勝てば全てが解決する。勝利さえすれば……」
「そうか」
クリスは右腕に力を込め、王の首を難なくへし折った。
「眠れ。野心に囚われた哀れな王よ」
クリスは王の死体を玉座へ座らせると、魔術師の遺体から退魔草を奪いチャティスの元へ急いだ。
※※※
とても辛くて、苦しくて、このまま死んでしまうんじゃないかと勘違いして、助けを求めて目を開ける。
すると、そこにはいつも自分を抱きしめてくれる人がいた。
父親と母親。
キチュアは二人がチャティスに甘いと言っていた。
チャティスに自覚はない。二人はチャティスが何かを成すことに褒め称えてくれたし、彼女はそれが当然だと思っていた。
自分は聡明であり秀才であり……天才なのだと。
「ねぇ……お父さん、わたし、助かるかな……?」
「もちろんだ、チャティス。お前はすごい人間だ。歴史に名を残す偉人だよ。だからお前は今日も助かる。父さんの煎じた薬を飲んでいればすぐに良くなるさ」
父親はチャティスが病気で苦しんでいるといつもそう言って励ましてくれた。
病弱な彼女がその面影も見せることなく元気に育ったのは奇跡だと言っても過言ではない。
つまり、自分は選ばれたのだ。チャティスはそう考える。
自分は特別な存在なのだ。
だからこそ、自分は偉業を成すのだ。
誰もできないことをを成し、今までの恩を返す。
死にかけた自分を救ってくれた村人たちに。
寝ずに自分を看病してくれた両親に、恩返しをするのだ……。
「チャティス、しっかりしろ、チャティス!」
「う……ん……」
どうやら幼い頃の夢を見ていたらしい。
クリスの呼び声で目を覚ましたチャティスは彼の手に黄色い薬草があるのを見て取った。
「手に入ったんだ」
「ああ。どうすればいい?」
ずっと変わらない無表情なのに、その顔がとても困っているように感じられてチャティスはくすりと笑う。
「磨り潰して。後は水といっしょに飲むだけ」
「そうか」
言うや否や、クリスは素手で退魔草を握り潰し、団子状に丸め始めた。
「あはは、すごいね。手で握りつぶしちゃうんだ……」
「……俺にはこんなことしかできない」
そう呟く顔はとても悲しそうで。
何か悲しい出来事があったことがわかる顔で。
チャティスはどうにかして元気づけようと起き上がる。
「水、持ってきて。それを飲めばすぐに良くなるから……」
「わかった」
クリスは台所から水の容器とコップを持ってきた。
渡されたコップと草団子を見比べて、意を決したように息を呑むと、チャティスは団子を口の中へと放り込み一気に飲み干した。
「うっ……まずい」
「毒でも混ざっていたか?」
不安そうに、しかし感情の読めない顔で案じてくるクリス。
チャティスは微笑んで違うよと答えた。
「良薬は口に苦し。苦ければ苦いほどいい薬ってこと。まぁ甘いに越したことはないんだけど」
しかし薬というものは基本的には毒である。いくら身体にいいものと頭の中で訴えても、身体はなかなか受け入れてくれない。
そういう意味合いで言えばクリスの問いにはイエスと答えるべきだったが、チャティスはあえて応じなかった。
今のクリスにそう返事をすれば、チャティスをひっくり返してでも吐き出させようとしただろうから。
「今日一日安静にしてればもう大丈夫だよ。……ありがと」
「礼ならば――」
「私の、自分勝手のお礼。あなたが勝手に私を救ったように、私も一方的にお礼する。これで、いいでしょ?」
礼は要らないと言わんとしたクリスの先手を取って感謝を述べるチャティス。
術者が死に、退魔の薬草を摂取したことにより、チャティスの顔色はどんどん良くなっていった。
キチュアにナルシシストと評されるその自意識過剰な性格も復活する。
「ま、私が魔術如きに屈するはずないけどね! 私は選ばれた人間なのだから、魔術なんか一瞬で無効化だよ!」
「……そうだな」
物静かに相槌をうつクリス。その顔から漂っていた悲壮感は消え、いつものよくわからない仮面めいた表情のそれへと戻っていた。
「フフ、フフフ! 早く元気になって、儲けられそうな仕事を見つけて成り上がり――!」
「一つだけ、訊いておきたいことがある」
上機嫌となったチャティスは不敵な笑みのまま首肯する。
「いいよいいよ! 神に選ばれし天才少女チャティスちゃんに何でも聞いてくれたまえー!」
「馬に乗れるか?」
「馬……? もっちろん! 私は天才だからね!」
無意味に高揚し、豪語するチャティスは知らない。
その問いにもっと複雑な意味が隠されていたことに。
「私は天賦の才を持っているからね! 馬だろうが猪だろうがボイドペンギンだろうが何でも操って見せようぞ! あはは!」
退魔草の副作用で若干ハイになっているチャティスは、疲れて眠るまでずっと笑い続けた。