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薬師チャティスと狂戦士と  作者: 白銀悠一
第四章 狂戦士ハンターと腐った海と
21/62

狂戦士と狩人と

 小国だったテェンソーを抜けるのにかかった時間は二日程度だった。特にトラブルもなくテェンソーを抜けることができ、チャティスは一安心してお茶を啜る。

 今は山道の途中で休憩中だ。トランド山脈という大自然溢れる山々で少し道を外れると巨大な崖があるらしい。

 だが、そんなものに恐怖する必要はない。道なりに進めば崖側を通ることもないらしいし、クリスが悪路を進むことは滅多にない。

 久しぶりにチャティスは旅の楽しさを満喫することができた。と言っても、まともに旅をできていた記憶はあまりない。

 一番最初の、村からクレストの道筋……盗賊に襲われるまでと、狂戦士の森からテェンソーに辿りつくまでだ。

 冒険心というものを久しく忘却していた。あまりの不幸具合に嫌味の一つも言いたくなる。


「全く、私が聖女の如く懐の深い女じゃなかったら、ストレスで発狂していたところだよ? 神様は私の受容力の底なし具合に感謝して欲しいね」

「チャティス……?」


 倒木の上にちょこんと座るチャティスの隣、同じくお茶を啜るシャルが首を傾げる。

 独り言、と返したチャティスは馬車の点検をしているクリスを呼んだ。


「クリス! クリスも休憩したら? このお茶すっごくおいしいよ! キチュアがよだれをこぼすくらいに!!」


 遠く離れた幼馴染の名誉を棄損しつつチャティスが呼ぶと、後で飲む、という淡々とした返答が。

 むすっとしたチャティスは一気にお茶を仰ぐ。


「付き合い悪いなぁクリスは」

「ふふ、チャティスはクリスが心配なんだね」


 図星だったため、チャティスはシャルに言い返さない。

 昨日も一昨日も似たようなやり取りがあった。どうにかしてクリスを食事中や休憩中に呼び出そうとしたのだが、いつも彼はやることがあると呟いてどこかへ行ってしまうのだ。

 無理やりついて来た手前、強引に事を成そうとは思わないが、せっかく腕によりをかけて作った料理だ。見てる前で食べて感想を言って欲しい。

 そして、自分を安心させて欲しい。クリスはちゃんと食事を摂って、夜もきちんと睡眠していると。


「クリス、私の料理嫌いなのかな……」

「それはないと思う。たまたま忙しいだけだよ」


 間髪入れずに入ったシャルのフォローに、しかしチャティスは気持ちを沈ませる。

 理屈としては理解できる。特に山道を通っている現状では山賊や魔物を念をいれて警戒しなければならない。特に魅了を持つ自分のような存在が居る場合は。

 だが、理屈と感情は別物なのだ。頭は納得しても、心は不満である。

 しかし、それをクリスにぶつけたところでしょうがない。だから、チャティスは神様に八つ当たりするのだ。


「私ほど優れた人間なら何をしてもいいなんてとんでもない勘違いをしてるんじゃないでしょうね? いくら私が世界で一番優秀な人間だったとしてもやっていいことと悪いことがあるよ? 英雄に試練ありき、とは言うけど、私はそこらの英雄とは比べ物にならないのだから、試練なんて免除でしょ? 私を中心に世界が回っても私は一向に構わないんだよ?」


 神官が居れば、怒りを通り越して発狂するかもしれない内容をチャティスは次々と述べていく。

 だがそれがなんだ。私はまだ生きている。当分神様に会う予定はないから、何を言っても全く問題ないでしょう?

 チャティスはふん、と鼻息を荒くして、ポッドからお茶をカップに注ぐ。

 香り高い紅茶は、ミュールが好きだった種類のお茶だ。テェンソーを抜ける時に購入したもの。

 このお茶を一口啜ると、チャティスはミュールに守られているような気分になる。彼女はあの時からずっと、自分を見守っているのだ。

 この偉大なる天才チャティスの冒険談を、ワクワクドキドキしながら見守っている。

 そんな風に期待されているのならば、世にも珍しい最高の冒険をするしかあるまい。それが天才としての務め。

 チャティスが友達にできる、最大限の弔い。

 よし! とチャティスは気を取り直し、木の幹から腰を上げた。


「クリス、はい」


 チャティスが点検を終えたクリスにお茶を差し出す。無表情な顔の目線とチャティスの視線が重なる。

 クリスはお茶を手に取り香りを楽しむことなく一気に煽った。紅茶を嗜むという観点から見るとだいぶズレているのだが、今のチャティスはそれでよしとする。

 とにかく、止まっている暇はないのだ。チャティスにはたくさんやるべきことがある。

 成り上がって皆を笑顔にするという大事な使命が。

 誰かに頼まれた訳ではない。自分でやりたいから、やるのだ。


「この山、さっさと越えちゃおう? お馬さんたちも疲れてるみたいだし」


 チャティスが言うと馬が余計な心配するなと言わんばかりに鼻息を鳴らす。隣のシャルが愛されてるねと小さく笑う。

 この二頭の栗色馬はあろうことかチャティスを御者席から吹っ飛ばした不届き馬だ。チャティスは微妙な顔で馬を眺めつつ馬車内へ入る。


「休憩はもういいんだな?」

「うん、ね?」

「大丈夫」


 クリスの問いかけにチャティスもシャルも首肯する。そうか、とクリスは呟くと馬の手綱を握った。


「……山賊と出くわす可能性がある」

「クリス?」

「いや、問題ないなら一気に行く」


 小声で呟かれた不穏な言葉をチャティスは聞き逃す。能天気なチャティスとは違い、クリスはどんなタイミングでも敵襲を警戒していた。


「行くぞ」


 クリスの一声で馬車が走り出す。馬がヒヒーン、と高らかに鳴いた。



 快眠を誘ういい具合の揺れで寝ぼけ眼になっていたチャティスが目をぱっちり開けたのは、突然馬車が急停車した瞬間だった。


「なに!?」


 どうにか踏ん張って馬車内を転げ回らずに済んだチャティスは慌てて御者席を確認する。

 そこには仲間であり放っておけない狂戦士が座っていた。いっしょに過ごす人間にしか気づけない僅かな変化――表情を戦いのそれへと変えながら。


「クリス?」

「…………」


 クリスは黙ったまま山道の先を見つめている。

 チャティスが視線を辿ると、そこにはマスケット銃を構えたひとりの男が立っていた。

 きざったらしいハットが特徴的なガンマンスタイルの男だ。


「きざったらしい……?」


 その評価を最近聞いた覚えのあるチャティスが眉根を寄せる。

 しばらく考えて、ああ! と大声を出した。チャティスに手を出した狼、もとい銃器店の店員ロードが言っていた男だ。

 横から見つめるシャルが答えを口に出す。


「バーサーカーハンター……?」


 シャルが仰々しい名前を漏らした直後、クリスが降車し腰に提げていたピストルを抜き放った。

 狂戦士相手に銃は無効だが、人間相手には有効である。


「バーサーカーハンターだな?」


 チャティスの眼下でクリスが問う。

 男はそうだと即答し、マスケットの銃口をクリスへ向けた。

 チャティスに緊張が奔る。クリスも身体の一部にでもなったかのような鮮やかな動作でピストルを構えた。


「……戦うのか?」

「まぁ、そういうことになっちまうよな、たぶん」


 男は仕方なさそうに呟くと、苦笑しながら銃口を下ろす。

 予期せぬ動作にクリスが訝しみ、チャティスも疑問の声を上げる。


「え?」


 戸惑いながら男を見やると男はまず自己紹介を始めた。


「俺はダニエル・ローレンス。バーサーカーハンターなんていう異名で呼ばれてる男だ」


 ダニエルは名乗り終えると懐を漁り出す。一枚の紙を取り出し、クリスと馬車にいるチャティスとシャルに見えるように掲げた。

 そこにはチャティスの写し絵が載っている。


「私の写真?」


 事態が呑み込めず困惑するチャティスだが、チャティスの冒険仲間はすぐに察した。


「チャティスが狙いか」

「いや、正確には違う。狙いはアンタだ同胞殺し。クレスト、ラドウェール、アリソン……既に四人ものバーサーカーを屠ったバーサーカー殺しが狙いだよ」


 大げさに言い切ったダニエルが笑みをみせる。クリスが言い返そうとしたが、その前に我慢ならずチャティスが馬車を飛び降りた。

 何も考えず、ただ心の赴くまま怒鳴り散らす。


「クリスはバーサーカー殺しなんかじゃないよ!!」

「……おっと、怒らせちまったか」


 飄々とした態度で後ろ髪を掻くダニエルだが、チャティスはそのしぐさも気に食わない。

 クリスは確かに狂戦士を殺している。しかし、別に殺したくて殺してる訳じゃないのだ。

 なのに、どこの馬の骨ともわからない男に好き勝手言われるのを黙って見過ごす訳にはいかない。

 憤慨するチャティスに苦笑するダニエルはコイツを黙らせてくれ、とクリスに頼み込んだ。

 だが、クリスはそう融通が利く狂戦士ではない。怒るチャティスと止めないクリス。

 チャティスの怒りが収まるまで永遠と続くかと思われるやり取りに終止符を打ったのは、チャティスの後に馬車を降りたシャルだった。


「チャティス」

「なにシャル! 今私はね、この失礼な男に――」

「天才は全てにおいて完璧だから、取り乱したりすることはないんだよ」

「っ!?」


 チャティスが驚いて黙りこくる。

 今シャルが呟いたのは、他ならぬチャティス自身の言葉だった。ここに至るまでの道中はチャティスは天才が、つまり自分がどれだけすごいのかを語っている。

 その言葉を逆手にとって――もっとも本人に自覚はない――チャティスを止めたシャルの笑顔はとても愛らしく、同時にチャティスにとって何か恐ろしいものの片鱗を感じさせた。


「うっ」

「そこの面白い格好をしたひと、何か話したいみたいだよ? 自分ばかり話すのはいいけど、たまにはひとの話も聞かないとね」

「うぅ」


 全く以て正論である。

 チャティスは気まずそうに口を閉ざし、クリスとダニエルの会話に耳を傾ける。


「やっと黙ったな。魔写の通り元気がいい」

「……」

「こっちはだんまりか。案ずるなよ、俺の標的はそこのお嬢さん……チャティスって言ったっけか。その子じゃない。もちろん、横の少女でもない。アンタが噂通りの実力者ならそう力む必要ないだろ? 何か妙な兆しを俺が見せたら、その銃で俺の頭を撃ちぬいちまえばいい話だ」

「続けろ」


 ピストルを構えたまま、クリスは先を促す。銃口から吐き出される威圧感を前にダニエルはふぅ、と一度息を吐いて説明し始めた。


「あれだけ徹頭徹尾存在を秘匿してたんだ。アンタは頭が良い。そんなアンタならわかってると思う。この紙がどんな意味を持っているのか」

「ああ」


 クリスの即答。しかし、紙に焼きこまれた当人であるチャティスはどういう意図なのかわからない。

 どういうこと? と彼女が訊くとクリスではなくダニエルが解説し出す。


「わからないか? お嬢さん、アンタがその男の目印になっているって訳だ」

「う、嘘……!」


 衝撃の事実にチャティスが驚愕する。

 とはいえ、魅了などという呪いが掛かっている時点で足を引っ張るのは明確だった。少なくとも今はうじうじしないように我慢して、会話を聞き逃すまいと耳を立てる。


「でだ、この調子じゃいつまで経っても追われることになる。アンタは実力者のようだが、そこのお嬢さんはどうかな? 永遠に追跡されて耐えられるか? いつどんなタイミングで襲われるかもわからない恐怖に抗えるのか?」

「……っ……それは」


 例え天才だとしても恐ろしいものは恐ろしい。

 チャティスは頑として認めないが、彼女はかなりの怖がりなのだ。特に恐ろしいのは自分を殺しに来る輩。

 自分に死を与えようとする存在が怖くてたまらない。――正しくは自分が恩返しできなくなることが恐ろしい。

 苦しそうな声音を漏らし、小さく震えるチャティス。そんな彼女を一瞥し、クリスはピストルを軽く振った。


「彼女のことはいい。本題に入れ」

「そうだな。俺はそこの嬢ちゃんを脅かしたかった訳じゃない。……ひとつ、交渉といかないか。バーサーカー」

「交渉だと?」


 クリスが訊き返すと、ダニエルはマスケット銃を弄びながらにやりと笑う。


「おうとも。俺はお前を殺したい。お前を殺した、と証明したい。で、アンタは追われたくない。そこのお嬢さんのためにもな。つまりだ、アンタが姿を消してくれれば俺は上手く取り計らう」

「…………」


 あくまでクリスは無言だった。一言も発せず、相手の腹の内を探ろうと窺う。

 しかし、チャティスはまた声を張り上げた。冗談じゃない、と大声で。


「クリスは殺させないよ!」

「おいおい、誤解しないでくれよ。ったく、本当に天才なのか? それとも誰かのためにとかなると頭がどうにかしちまう体質か? 俺はソイツを殺そうって訳じゃない。ただ目立たないように姿を隠してくれ、とお願いしているだけだ」

「う?」

「そう難しいことじゃないだろ? 誰もソイツの正体は知らないし、依頼主もソイツが邪魔だから消そうとしているだけだ。だったらわざわざ殺さなくても騎士サマの邪魔をせずにひっそりと暮らしてくれれば問題ない」

「そ、そっか」


 う、と顔を真っ赤にしてチャティスが俯いた。

 どうも冷静さを失っている。常に聡明で無ければいけない自分が。

 パンパンッ! と両頬を叩いて、チャティスは自分の素晴らしき頭脳に喝を入れた。


「……お前はそれでいいのか?」


 改めてクリスが問いを投げる。狂戦士ハンターなどという大それた異名を持ちながら、あくまで穏便に事を成そうとするダニエルを不審がっているのだ。

 ダニエルはああ、と頷いて心情を吐露した。


「正直なところ、俺はバーサーカーなんて一度も殺したことがない。一度バーサーカーに襲われた時、情けなくも気絶してな。目が覚めたらバーサーカーが近くで死んでいて、いつの間にかハンターなんて呼ばれるようになっちまった」

「それ、ホントなの?」


 シャルが興味津々といった様子で訊く。ダニエルは首肯して、


「そうだ。人の身でバーサーカーなんて狩れると思うか? 奴らは人間離れした怪物だぞ?」

「う、ん」


 シャルが狂戦士だと知らないダニエルの言葉に若干シャルが気落ちする。

 またチャティスはむっとして、声を荒げる。いくら事情を知らないとはいえ、ダニエルの言動はチャティスの癇に障るのだ。


「バーサーカーは怪物なんかじゃ……!」

「ふーっ。いい加減にしてくれよ、お嬢さん。お前はバーサーカーを悪い奴じゃないと思ってる。実際に良い奴もいるだろうし、話が通じる奴もいるんだろう。だがな、バーサーカーは一度狂化すれば誰彼かまわず見境なく殺す。……それはお嬢さんが一番わかってると思うが」


 真実である。

 チャティスは体験している。今横に立つ愛らしいシャルが、大量の人間を殺戮し自分すら殺そうとした現実を。

 この男が語ったことは全て事実なのだ。だからミュールは人と狂戦士はわかり合えないと言って自死した。

 そのことが……人が狂戦士を理解しようとしない事実が余計にチャティスを苛立たせる。


(バーサーカーは確かに危険! だけど、それを利用して狂ってるのはむしろ……!)


 堪え切れず耐え切れず、チャティスがまた怒声を上げようとしたその時に。

 全くの唐突に、予想もしなかった出来事が起こった。

 シュッ! という風切り音。何者かが弓を射った音。

 矢がチャティスとダニエルの間、草草が生える草原へと突き刺さる。


「なにっ!?」


 突然の射的にチャティスが縮こまる。


「山賊か」


 クリスが瞬時に状況を理解し、ピストルを木々の中へ向けた。

 響き渡る銃声。人を殺すには十分な弾丸は、木の上に立ち弓矢を構えていた山賊の頭を見事に撃ち抜く。


「山賊……!」

「シャル、チャティスを下がらせろ」


 クリスが銃口に弾丸と火薬を滑り込ませ、火皿に火薬を装填しながら指示した。

 シャルはわかったと二つ返事で応じるが、チャティスはでもと言い返す。


「この人は……!?」

「チャティス、離れろ。そいつは」


 クリスが言葉を言い終わる前に、チャティスはダニエルへと接近する。

 ダニエルは呆けたように固まっていた。先程までのきざったらしさも飄々した態度もどこへやら。

 一瞬、弓矢に射抜かれたのかと勘ぐってしまうほど、完璧に停止している。


「早く! あなた、戦えそうにないし」


 せっかく手に構えるご自慢のフリントロック式マスケット銃も、持ち主が戦意喪失していれば宝の持ち腐れだ。

 狂戦士に対する意見の相違から、チャティスはダニエルが気に入らない。だが、だからと言って死んでしまえなどと薄情なことを思う訳ではない。

 それに、むしろ意見が違うというならば、自分の圧倒的説得力を持ってして言いくるめてやろうという算段だった。

 自分が正しいのだから、相手もわかってくれる。自称天才と言い現わすナルシシズムで……狂戦士たちが真の天才と表現した懐の深さを発揮して、チャティスはダニエルを助けようとした。

 しかし。


「ぐ……ぅ……!」

「え?」


 ダニエルはいきなり、苦しそうに胸を押さえた。うぅ、と苦悶の声を放って膝をつく。

 ちょっと!! と驚き、薬師としての顔をみせたチャティスが診察しようとする。

 ダニエルに駆け寄ったチャティス。だが、今は山賊が襲来中である。

 当然、その無防備な動作を敵が見逃すはずもない。山賊の一人がチャティスに向けて弓を構える。

 

「チャティス!」


 駆け寄ったシャルが口笛を吹いた。ぴゅう、という独特の口笛に呼応して、鷹が鳴く。

 直後に、うあっ、という山賊の悲鳴。鷹に襲われた山賊が、木の上から転落した。


「シャル、早くチャティスを下がらせろ。チャティス」


 あくまで冷静に後退を促すクリス。左手にピストル、右手に剣を抜き放ち、数十名の山賊と戦っている。


「急げ」

「でも、この人……っ、この感覚は」


 チャティスはやっと気づく。

 どうにも既視感のある光景だ、と彼女は思っていた。

 ここ最近似たように苦しみ出す人物を見たことがあると。

 それが誰だったか、やっと思い出した。

 忘れたくても忘れられない、自分に新たな目標をくれた……優しい優しい、お姫様。


「この症状……ミュールと同じ!! まさか――」


 愕然とするチャティスの目の前で。


「グ、ウオオオオオオッ!!」


 狂戦士ハンターが、人間であるはずのダニエルが狂化する。


「え、う、あ――」


 あまりの恐怖に動けなくなってしまったチャティスに向けて、ダニエルの銃剣が本能のままに振り下ろされる。

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