【美少女(どりーまー)の場合】
長くしようと思ったけど、何故か駄目だったんだ。
誰か、私に文章力を授けて下さい……。
――あれから約二時間経っただろうか。俺は、絶望していた。
俺が眠った場所は、小川に架かる橋の根元だ。そして普通に考えて、川が城下街の中に流れている筈が無い、多分。
だから何なのかと言うと、普通に考えたら城下街の入り口には、戦争が起こった時なんかの為に門が在るって事が解るよな。
つまり俺は――――町から閉め出されていた。……そこ、間抜けとか言うなよ。昨日は浮かれていて失念していたんだよ、仕方ないだろ。
しかし、俺が通過した時には兵士も誰も居なかったが、どうやって門を閉めたんだろうか。いやまあ、普通に何処かから閉めに来たんだろうが。
だがまあ、そろそろ門が開く時間だろう。今は多分六時ぐらいだし。俺の体内時計を侮るなよ。
……にしても、この門いかつかっこいいな。
見るからに重厚そうな黒光りする門には、何かの紋章のような意匠が施されている。あれか、王家の紋章とかかな?
しばしの間、呆けたかのように門を見つめていると、いきなり腹に響くような巨大な音が聞こえた。
「うおっ!? 何だこの音」
ゴーンゴーンと鳴っているこの音は、鐘の音だろうか。
しかし辺りを見回すも、そんな鐘は何処にも見当たらない。 俺のイメージでは、なんか塔みたいな場所のてっぺんにあるんだが。
キョロキョロしていると今度は、近くでゴゴゴゴゴと音が鳴ったのでそちらを向くと、さっきの門が凄い事になっていた。
あの紋章みたいな意匠が青く光って、門がひとりでに開きだしたのだ。
「ま、魔法……!?」
ふ、やっと俺の時代が来たな。
それにしても魔法かー。炎の玉とか出してみたいよな、男なら。……今は女だけれど。
まあとりあえず門が開いたので入るとするか。
入ってみるとそこは、昨夜の静けさも姿を消し、賑やかな様相を呈していた。道行く人々の顔には、一様に笑顔が浮かんでいる。
何かお祭りでもあるのか? と思い、人々の会話に耳を傾ける。
「聞いた聞いた? あの第四王女が重い病気なんだって!」
「コラ、一応様を付けなさいよ。にしても、あの我が儘な第四王女様が病気とはね」「もう助からないみたいだし、これで王宮の人達もやっと解放されるよね」
「そうね、特に団長様なんてお可哀相に……。第四王女様の我が儘に振り回されて、いつも大変そうでいらっしゃったから」
「本当にね! …………」
……んー、と。つまり、その第四王女様って人が凄い我が儘で、王宮の人々が振り回されてて、更に団長様が一番大変だったけど、その王女様がもう助からない病気になって、皆万々歳と。
一人の不幸でここまでの人間が喜ぶなんて、その王女様はどんだけ我が儘だったんだ。
……それよりも、言葉はキチンと聞き取れるみたいだ。日本語では無いが、脳内で勝手に日本語に変換された。この分だと、喋る事も可能だろう。
――よろしい、ならば情報収集だ。
……フフフ、フハハハハ!! 馬鹿共め! 情報を搾取してやったわ! 俺の大事なナニカを失って、な。
……とりあえずこの世界は、エァースと言うらしい。それで現在地が、世界最大の国であるドゥエカイの王都、ウォータだ。
水の名産地であるウォータの周りの川には、とても澄んで綺麗な水が途切れる事無く流れている。
基本的な情報はこのくらいで、後は生きて行く為のモノに絞った。
まずさっき考えていた図書館だが、あれは俺には利用出来ないらしい。何故かと言うと、図書館は王宮に出入り出来る人間でないと入る事は出来ないんだと。
一人一人の魔力ってヤツを登録していて、未登録の人間が入るとブザーが鳴るとか。
図書館がダメだと解ったので、次に聞いたのは仕事だ。
なんでもこの世界には、『ギルド』と呼ばれる組織が存在するらしい。
職にあぶれた人なんかが利用する場所で、有り体に言えば日雇いの仕事を斡旋する業者なのだとさ。
ただ、職にあぶれるくらいだから、ギルド登録者の殆どが荒くれ者だと聞いた。気持ち悪い表情で、俺に向かって忠告(?)をしてくれた中年オッサンの言葉が頭に浮かぶ。
『ぎ、ギルドは、お、お嬢さんみたいな美しい人が行くには、ああ危ないんだな。良かったら、おじさんの家に来るんだな……』
……明らかに、オッサンの家に行く方が危なかったよな。女の人は、あんなあからさまな下卑た視線をいつも向けられているのかと思えば、男としてかなり申し訳なくなってくる。
それは置いといて、ひとまずギルドとやらに向かうとするか……。
地球→Earth→エァース
大きい→でかい→ドゥエカイ
水→water→ウォータ
安直過ぎてごめんなさい。