《元お姫様、現平凡少年の場合》
説明回でゴメンナサイ。
というか全然進んで無いな……。
まあ、精一杯頑張ります。
――目が覚めると、再び私はベッドに寝かされているようだ。このまま一生ボーッとしていたくなるようなこのふかふかの布団は間違いない。
……そんな事は頭の片隅に置いておき、私は先程の頭痛について考えてみる事にした。
といっても、既に原因は解っている。この世界の知識が頭に刷り込まれたからだ。この世界風に言えば、インストールだろうか。
ともかく、私が何故此処に居るかも、身体に感じる違和感も、全ては神の仕業だと頭にインストールされた。
私が此処に居る理由。それはただ単に、神に私の願いが届いたからだ。でもそれでは、誰でも簡単に届くのではないかと思うが、それは間違いだ。
一つ、どの神も信仰していない事。
神様と言われて、思い浮かべるのは一柱では無いだろう。それもそうだ、世界中には数多の神話が語り継がれているのだから。
だが、それらの神は一柱たりとも実在しない。人間達が作り上げた、ただの偶像にしかすぎないのだ。
本当の神はただ一柱。だがそれを知る者はだれ一人居ない。
神に願う時、誰か有名な神を頭に浮かべて祈るから、本当の神には届かない、聞こえない。
だが私は偶然、縋るべき神の名を思い浮かべなかった。
――するとどうだろう。数奇な事に、神を騙った偶像ではなく、私は本物の神へと願った事になったらしい。
この身体の元の持ち主も、私と同じ状況だったらしい。ここ日本では、無神論者が殆どらしいが、八百万と言わしめるぐらいに神の数が多いらしく、何となしに思い浮かべる神の偽物は多いのだから、その彼はかなり珍しいのだろう。
世界を創った神なんだから、しっかりと世界を整えろー! なんで不平等なんだ! 何て言う人も居るだろうが(かく言う私もそうだった)、それは無理な相談らしい。
そもそも、神と私達とでは流れる時間の感覚が違う。私達は、例えば一万年を気の遠くなるような時間だと感じるが、神はそうは感じない。
神にとっては、一秒も一万年も一瞬に等しいのだ。
何故なら神は、無限の時を生きているのだから。無限の前には、どんなに長かろうが短かろうが些細な違いなのだ。
更に言うと、人間の偶像信仰の産物である、偽神が神の『座』を狙っている。まあ、この話は置いておこう。
――ともかく、そんなこんなで私と彼の願いは神へと届き、それを叶える為の手段として、魂の入れ替えを行った。
因みに、魂を入れ替えると簡単に言っても、実はかなり難しいらしいのだ。
魂は、一人一人それぞれが決定的に違う。例え血が繋がっていても関係は無い。
そして肉体は、そんな同じ物など一つも無い魂をベースに形作られている。
魂がそのまま顕在化したのが肉体といっても過言では無いのだ。それは植物然り、動物然り。 そう、魂は有機物全てに等しく宿っている。普段良く目にする何気ない物にだって、魂は宿っているのだ。
そして、そんな魂を入れ替えるのが容易では無い事は、直ぐに解るだろう。
魂を基に肉体が創られたのだ、入れ替えるとその魂の癖に合わせて肉体は変質する。
しかし一度形作られた身体は、長年染み付いた癖のように滅多に変わらない。そこに無理矢理別の魂を捩込んで身体の変質を起こすと、身体が目茶苦茶になるのは想像に難くない。
……私の居た世界には、魂についての魔術の研究は盛んに行われていた。もし戻ったのなら、早急に止めなければならない。
ではどうすれば良いのか。簡単だ、魂を入れ替え先の身体に馴染みやすいよう似せれば良い。尤も、そんな神業を成す事が出来るのは、文字通り神しか居ないが。
だが、魂を似せるだけでは駄目だ。似たような魂を身体に入れると、前の魂と全く同じに変化する。身体に魂が引っ張られるのだ。
だから、似ていても決定的に違うという、かなり無茶な事をするしか無い。
そしてそれを易々と、神はやってのけた。
――どれくらいの時間を思考していただろうか、この部屋へと向かう足音が聞こえて来る。
それにしても、身体の元の持ち主は、こんなに恵まれた環境なのに一体何を望んだのだろう。……女になりたい、とか?
……無い無い。そんな考えを頭から振り払って、部屋へと入ってくる可愛らしい少女にどう対応しようかと考えを巡らせるのだった。
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……因みに、感想や評価なんかも凄く嬉しいんだよ? 本当だよ?
はい、調子に乗りましたスミマセン。