第四話
翌日は、昼からログインしました。なぜか、午前はバイトだったのです。
タカも一緒だったので、そのままダンジョンに移動。今日もレベル上げに勤しむ。
「そら、《ツインバレル》、こっちはこいつだ《クラッシュバレッド》」
「こっちもだ、《デルタ・クラッシュ》」
僕はタカの援護をしつつ、目の前のホブゴブリンを倒す。《ツインバレル》は風の魔法で空気の玉を連射する技だ。《クラッシュバレッド》は射程範囲は短いが自分前方に爆発を起こす。
「順調だな。そのうちボスとかいけるんじゃないかな?」
「ああ、俺もそう思うぜ」
もう、装備が新調されてからすこぶる調子が良い。
防具の性能は勿論、この機巧銃(エレナさんにより剣がなくなりなした。でも一応部類は機巧剣銃)――【神への反逆者】はすごくいい。リボルバー式になっているので魔法を六つストックすることができる。これで連射できるのだ。ちなみにゴスロリ服の名前は【月夜の乙女】は相変わらずスゴイ性能だ。なぜエリサさんが作れたのかが不明だが。
「なぁ、タカ。確かこの先ってさ、分かれ道になってんだろ?」
「ああ、そうだな。このまま森を進むと洞窟エリア、海エリア、草原エリアに別れるらしいが……」
「どこに行く?」
「人気どこは草原だな。その次に海だ」
「なぜに海? じゃ、洞窟に行こう」
僕たちは人が少ないという理由で洞窟に向かうことにした。
洞窟になぜ人がいないか。僕はようやくその理由に気がつくことが、いや気付かされた。
洞窟に入るなり目の前には蟲、ゾンビ、骸骨。しかもなぜか異様にゾンビが多い。
「おいおい、こりゃ人もいないはずだわ。《ファイヤーバレッド》」
「マジでキモいな。《スラッシュ》」
人がいないせいかモンスターがうじゃうじゃ湧いて出てくる。はっきり言ってキモい。
「くそ、キリがないな。タカ、下がって。デカイのぶち込むよ」
「了解!」
タカが攻撃を切り上げて走り出す。射程範囲を抜けたところで。
「《ヴォルカニック・ファブル》」
MPが根こそぎもっていかれるが構わない。
銃口から赤い魔法陣がいくつも重なり出てくる。
標準を定めトリガーを引く。
「いっけぇぇぇぇ!」
すると魔法陣の先から赤い光線がゾンビ共に向かってまっすぐ走る。
モンスターの群れに直撃した瞬間。大爆発、爆音。熱風。とにかく凄まじい破壊力だ。ダンジョンが破壊されるのでは? くらいのレベルだ。
砂埃がしだいに晴れるとモンスターの群れはどこにもなかった。
「よし、あいつらが再生する前に帰ろう」
僕たちは急いで洞窟をでた。
洞窟を出ると俺たちはその場に倒れ込むようにして座った。
「はぁ、しっかし危なかったな」
「ああ、メッチャキモかったな。流石に俺でもドン引きだった。ところで、最後のデカイやつ。いつ覚えんだ?」
「魔術師の才能ってスキルあるだろ? あれで稀に大技覚えるみたいなんだよ」
彩里沙に教えてもらったことだ。本当にごく稀ではあるらしいが。僕は運がよかったみたい。
「なるほどね。とりあえず今日はもうダンジョンやめないか? レベルも上がったし、流石に疲れた」
確かに僕も精神的にまたあれはきつい。その提案には賛成だ。
というわけで僕らの洞窟攻略は後回しにされた。