第三話
なんとか瀕死状態のタカを復活させ、俺たちは店でポーションを買いまたダンジョンに出ることにした。装備は素材をあつめてからエリナさんに作ってもらうことにした。
現状の目的はスキルを主にレベルを上げることだ。とりあえず数をこなす。
「ほら、ファイヤーバレット」
「こっちもだ、《スラッシュ》」
通常攻撃からスキルを使用して周囲にいたゴブリンを圧倒していく。
スキルをガンガン使い、敵を倒し、MPが尽きると待機をしばらく繰り返す。
三時間ほど経過したように思う。流石に先頭は面白いが疲れてきた。ゲーム内なので肉体的ではないが精神的にくるものがある。
「タカ、街に戻ろう。持ち物も増えてきたし、そろそろ装備揃えて次のとこに行きたいしな」
「そうだな、エリナさんだっけか。あの人のところに行こうぜ」
かなりゴブリンとかも狩ったしな……
「あ、そういえばタカ、今何時だ?」
「今は五時くらいじゃないかな」
いかん。夕飯の買い物をしなければ。うちは両親が共働きなので料理は僕が作っている。
「すまんが、夕飯の支度があるから抜けるわ」
「いいよ、じゃぁ俺も抜けるな」
また7時に遊ぼうぜ。そう言って俺たちは一度別れた。
「お兄は今どこまで進んでるの?」
彩里沙が食事の時、僕に訪ねてきた。
「ん~、最初の森でゴブリンとか狩りまくってるぞ」
「まだそんなことしてるの? あの辺もう人居ないよ?」
彩里沙がいうのだからそうなのだろう。僕らが森の中にいた時も人がかなりへっていたからね。
「でも僕らは僕らのペースでするさ」
「そうだね。そういえばお兄の武器と種族とか教えて」
「なんでさ?」
「アドバイスしてあげるってこと」
僕は彩里沙に僕の武器、その他もろもろを教えるとため息をつかれた。ん? なんでだ。
「お兄、なんでそんなにむちゃくちゃに組み合わせてるの? もっと考えようよ」
「なんで? 今のままで十分戦えるぞ?」
「ほんとに? じゃ、このあと見せてくれる?」
「勿論。最初の森で待ってるよ」
アドバイスは結局流れたが、僕は彩里沙に僕の戦いを見せることになった。兄の威厳を見せてやる。
「なるほど、それでリサちゃんがね。いいよ俺は見とくから」
予定の7時にゲームにログインし、タカに事情を話すと二つ返事でOKしてくれた。
「リサ、見てろよ?兄の威厳を見せてやるからな」
僕が言うと二人が息を揃えて言った。
「「いや、威厳はもうないから」」
なんてひどい人たちなんだ。もういいさ。
僕らは少し歩くとゴブリン×3を見つけた。
「よし、あれに行くぜ」
僕はゴブリンに突っ込む。一体を銃剣で斬る。
そしてすぐさまその隣にいたゴブリンの頭部に銃口を当て、撃つ。
「《ファイヤーバレット》」
ゴブリンは顔面が吹き飛び。消える。残りの一体が僕の後ろから攻撃しようとしているのがわかる。
これは【心眼】が【心眼・改】になったことにより敵の攻撃をある程度予測できる。という能力が追加されたからだ。
後ろ回し蹴りから銃剣、そして《ファイヤーバレット》で一気に倒す。
「まさか本当にあんなスキルで倒すなんて。馬鹿お兄」
「失礼な。普通だよ」
我が妹はそんなに兄を認めないのか?
「まぁ、いいです。私はこれから仲間とダンジョンに出るので」
それだけ言うとリサは街に戻って行った。最近冷たいな。
「まぁ、いいさ。タカ、エリナさんのとこにいこう」
「ああ、装備新調して新しいとこいこうぜ。
俺たちはエリナさんの店にいそいだ。
「確かこの辺に……お、あったぞ」
《鍛冶屋・ミスュティース》エレナさんの店だ。エレナさんはβ版プレイヤーらしく金はかなり持っているらしい。すごいよね。
「あ、リンちゃんとタカ君。いらっしゃい、待ってたよ」
店に入るとエリナさんが迎えてくれた。
「どうもです。早速で悪いのですが、装備を作って欲しくて…」
「あ、いいよ。もう作ってあるから」
「「はい?」」
もう作ってある? どういうことさ。エリナさんは「待ってて~」とメニューを開き何かを操作している。
「はい。二人の装備送ったから。お金はいいよ。今後他の店を利用しないならタダにしてあげる」
ニコニコ顔で告げるエレナさん。僕たちは顔を見合わせ、それぐらいならいいか。とアイコンタクトで伝える。
「はい。それでいいです。ありがとうございます」
早速装備する。
全身が一瞬光に包まれ、その後に出現……え?
まずはタカの装備だ。
漆黒の大剣に黒い鎧。まるで黒騎士だな、かっこいい。
それに対して僕は
黒を主にしたフリルいっぱいの服。これは俗にいうゴスロリというやつではないのか? なぜか髪も伸びており、ツインテールになっている。機巧剣銃は白銀が眩しい。リボルバー式で、ショットガンみたいだ。結構大きいな。
「あの、エリナさん。装備はありがたいのですがこれは一体…」
「あ、やっぱり似合うよ。すごく可愛い。戦場に咲く一輪の華だよ」
ギュっとエリナさんに抱きつかれる。苦しいし、恥ずかしい。
「僕は男なんですよ。こんな格好で外に出られません」
「大丈夫よ性能はかなりいいはずだから」
そう言われて装備の性能を確認すると
MP最大値UP 消費MP減少・大 詠唱省略
とあった。確かにすごい。でも、姿が……でも、ん~……
「背に腹は代えられないよね。ありがとうエリナさん。これ、使わせてもらうよ」
「そうか。気にってくれたなら何よりだよ」
と、すごくいい顔をしている。
「俺もだ、初期でこんなスゲー装備手に入ると思わなかったよ。サンキューな」
タカも少し興奮気味だ。……僕にじゃないよね?
昔からタカはなぜか「お前ってかわいいよな」とかドン引き発言をたまにするから。
「じゃ、エリナさん、また来るね」
「うん。その時は感想待ってるよ」
僕らはエリナさんの店を後にした。
このゲームの中ってのは常に昼みたいでどうも時間感覚がおかしい。エリナさんの店の中は暗かったので外にでると眩しくて目を細めてしまう。
「リンちゃんほんと似合ってるよそれ。ほんとに女の子って感じだ。知ってるやつからは男の娘だろうけどな」
「それやめてくれ。本当に傷つく」
タカは「はいはい」と笑ってやがる。くそう。自分はかっこいいからっていい気になるな。
僕が肩を落としていると、服の中に違和感を感じた。
そこを探ると一枚紙が入っていた。中身は…
「りんちゃんへ。実はその装備、特殊能力で傘がさせるんだよ。キーコードは「パラソル」だよ」
だった。いらねぇよ、エリナさん。
だが、それから僕たちの進撃はすごかったと思う。新しいダンジョンに入ってもガンガンスキルを使い、敵を屠っていく。そのおかげでまたレベルが上がった。
RIN Lv16
【機巧兵器】Lv16 【心眼・改】Lv7 【ステップ】Lv12 【魔力】Lv14 【魔術師の才能】Lv13
今はこんな感じだ。一日で結構上がったな。
その日は、朝が早いのでもう切り上げた。俺はゲームも悪くないな、そう思った。