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第二話

 俺は目を開いた時、少々驚いた。

ここまで忠実に再現できるのか。まるでリアルだな。感動は置いておき、隆也を探すか。

俺達の他にもたくさんの人がログインしたみたいで探すのに手間がかかりそうだな。

しばらく探していると人の波もどこかに行ってしまい、目的の人物を探すことができた。


「お、リンちゃんか。とりあえず合流できたな」

「ああ、隆也は――っとネームはなんだ?」

実名で呼ぶのはマナー違反だったな。


「おれはタカだ。リンちゃんは?」

「リンだよ。そのほうがお前にしてもいいだろう」


リンという名前にしたのは馴染みのやつ一発でわかるようにするためだ。


「とりあえず、ジョブ屋に行こう。僕がタカを探してるとき、みんな話してたからな」

「ああ、俺も聞いた。早速行こうぜ」


俺たちはジョブ屋に向かった。

ジョブもかなりの種類があるが……お、あった俺は【魔法使い】のジョブを購入した。タカも最初から決まっていたようですぐに店から出てくる。


「タカはジョブなににしたんだ?」

「俺は剣士にした。お前は?」

「僕は魔法使いだよ。銃にした理由でもあるな」


そう、ぼくが機巧剣銃にした理由は銃から魔法を打ち出す。というのが面白そうだったからである。

「なるほどね、早速ダンジョン行こうぜ。あんまりもたもたしてると乗り遅れる」

タカの提案に僕は頷き、僕らはダンジョンに向かった。





 「ファイヤーバレット!!」

初期装備の機巧銃の銃口から火の玉が三つほど飛び、ゴブリン共に当たる。ゴブリンはそのまま燃え、消えてしまう。

「ほら、これで終わりだ」

タカが大剣で最後の一匹を真っ二つに切り裂き、戦闘が終了した。

「ふぅ、敵もかなり楽に倒せるようになったな」

そうだね。僕たちが森に入ってから一時間は経過していると思う。もともと連携は息ピッタリなので問題はなかったし、レベルが上がれば更に戦えるようになった。

「リンちゃん。一度街にもどろうぜ。MPも少ないだろうし、ドロップアイテム売って装備買おうぜ」

「そうだね、それがいいかも」

僕たちは一度街に戻った。




「で、馬鹿お兄。あなたは今までどこに行ってたの?」

彩里沙――もとい、リサさんがジト目でこちらを見下ろしてくる。そして僕は正座中。タカはリサに殴られダウンしている。白目むいてるぞ、大丈夫か?

僕たちがなぜこんな拷問のような仕打ちを受けているのか。それは数分前のことだ。


僕たちは街に戻り、ドロップアイテムも売り、さぁ装備を買おうと思っていたところ。

「やぁ、そこの人たち。私のところで装備、作らないかい?」

と、一人の女性が声をかけてきた。

褐色のその女性は片目をショートの前髪で隠していた。そして、何より目が行ってしまうのはそのスタイルのいい体にだ。身長は170cmくらいあると思う。モデルか? と疑ってしまいたくなる。だからタカがこんな質問をするのも無理はない。


「それ、天然物ですか?」

「ん? ああ、そうだよ。いじるのは面倒だったから」


すごいな。びっくりだ。


「あ、あのう。お姉さんの名前を聞かせてもらってもいいですか?」

見た目、二十代後半なので多分正しい言い方だ。

「私はエリナだよ。それより君可愛いね、名前は?」


笑顔が眩しいが頭を撫でるのはやめてほしい。確かに僕は163cmとチビではあるが。

「僕はRINです。あと、男なので可愛いとかはやめてほしいデス」

僕が言うと、驚いたという顔をしている。ほんとにやめてよ。傷つくんだから。


「ごめんね、てっきり女の子かと。そちらの彼は?」

「俺はタカだ」


握手をする二人……なぜか俺はエリナさんに抱きつかれた状態だが。


「あ、あのうエリナさん? 本題を聞かせてください。あと、離れてください」

しかし、エリナさんは満面の笑みをこちらに向けてくれるだけで離れてくれない。

ほんとに綺麗な人だな。

「いやだよ。えっとね、キミたちは私のところで装備作る気ない?」


話から推測するに彼女は生産系の人なのだろう。

「いや、でも俺たちは素材とか持ってないし……」

タカがエリナさんに答える。

だって先ほどドロップアテムはすべて金に変えてきたところだ。


「そっか、残念。じゃぁ、フレンド登録だけでもしておこうよ。君のこと気に入ったからこれから仲良くしていこう」

そう言ってエリナさんは俺とだけフレンド登録をした。


「ちょ、エリナさん!? 俺はどうしたの」

「え、私は気に入った人以外は登録しないの。ごめんね」


悪びれもなく答えるエレナさんにタカは両膝を付き、放心してしまった。

その間に「じゃぁね~」と去っていくエレナさん。

僕はとりあえずタカを慰めようと肩を叩こうとした瞬間。誰かに顔面をけられた。


「あべしッ!」


不意の激痛に耐えながら顔を上げると見慣れた妹の顔があった。


「……ねぇ、おにぃ。いままでどこにいたの?」

背後にゴゴゴゴゴゴと効果音が付きそうなほどの迫力だ。額に青筋がいっぱい。


「は、はい。あの、タカとダンジョンにいました」

僕が正座して答えた瞬間。タカが彩里沙にけり飛ばされる。

「た、タカ! あ、彩里沙さん。一体なぜ怒っているのですか?」


「別に。ただ私が誘ったハズなのに私をほっぽいて馬鹿と一緒にそのへんほっつき歩いてた馬鹿お兄には関係ないでしょ」


ヤバイ。これは本気でキレてる時だ。素直に土下座で謝るのが一番だ。

「すみませんでした。ただ僕の可愛い妹は友人もたくさんいるのでそちらの方と一緒にしているのだとばかり。だからタカといました。ほんとにゴメン」


僕が言い終わると少し頬を赤くした彩里沙が

「いいよ。そこまで気にしてないし。それに今はリサだから気お付けてね、お兄」

と、手を差し伸べてくれた。

僕はその手をとり立ち上がる。


「ありがとう。ところでリサはどうしたの?」

「馴染みのメンバーと会って、少しダンジョンでモンスター倒してただけだよ」

リサも同じか。


「お兄はレベルいくつなの?」

「僕? 僕は8だよ。リサは?」

「私は12だよ。まぁ、お兄は初心者のわりにいい線いってるね」


……同じ時刻に始めたのにここまで差が出るのかよ。へこむな。

そのあとはリサに情報を提供してもらい、フレンド登録だけして別れた。

その間タカは瀕死状態だった。



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