表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パラノイズ〜人生の選択〜  作者: ムーンキャット


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/38

第21話 嘘で守る日常

「おかえりー」

玄関のドアを開けた瞬間、

いつも通りの声が飛んできた。

エプロン姿の綾華。

湯気の立つキッチン。

変わらない、幸せな光景。

「どうだった? 打ち合わせ」

「……ああ、まあまあ」

翔は視線を逸らしながら靴を脱ぐ。

胸の奥が、ずっとざわついている。

(言えるわけ、ないだろ……)

「今日さ、新しいアイデア思いついたの!」

楽しそうに話す綾華を見て、

翔は無理やり笑顔を作った。

「へぇ、どんな?」

会話は成立している。

でも、どこか噛み合っていない。

夜。

ベッドに入っても、眠れなかった。

身体の奥に、鈍い痛みが残っている。

咳き込むのを必死に堪え、

隣で眠る綾華を起こさないように息を殺す。

(……一年)

その言葉が、頭から離れない。

翌日も、その次の日も、

翔は「普通」を演じ続けた。

仕事をし、

漫画を描き、

笑い、

嘘を重ねる。

だが、確実に身体は裏切り始めていた。

ペンを持つ手が震える。

階段を上るだけで息が切れる。

視界の端が、一瞬歪む。

(……バレる)

(このままじゃ、絶対に)

翔は、あの部屋を見た。

クローゼットの奥。

埃をかぶった、あの装置。

(使わなければ……)

(使わなければ、寿命は縮まらない)

そう思うたび、

頭の奥で“何か”が反論する。

――本当に、それでいいのか?

その夜。

部屋の明かりを消した瞬間だった。

「――――」

空気が、震えた。

視界が、一瞬だけ白くノイズに侵される。

耳鳴り。

そして――

装置が、勝手に起動した。

次の瞬間、

頭の中に直接、声が響く。

『……まだ、逃げるつもりか?』

翔は、息を呑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ