第八話「星に恋願う人々」
尻が焼ける...そう呟いた。アンザスは、敵機が撃墜されるのを確認すると、いそいそとコックピット内から這いだし、
焼ける尻に、消火剤をばら撒きつつ、這う這うの体で、友軍機の姿を仰ぎ見る。
一方アイジェスは、周囲の敵機の姿を探す。
だが最後に唱えた、疑問の声には応えず
僚機との戦闘を繰り広げていた敵影が、消え去った事を確認すると、当面の危機が去った事を悟り、その言葉を告げる。
「デコード、《 トゥ フイ、エゴ エリス(我は汝であった。汝は我になるであろう)》」
音声認識による識別により、使用者権限を確認。それまで行使していた機体と駆動系等の解放を解除。
次々と各部のロックボルトにより、元の姿へと戻っていく。
荒野の向こうから、車体を走らせ、倒れるアンザスが持ち出した機体を見下ろすセレブルム04の機体と視線を交わす。
敵機が破壊され、放出される粒子に陰りがみえ、無線通話の通りが良くなる。
「さっきの一撃、ドン・キホーテか?救援が間に合ったみたいんだな。他のみんなは?」
(。´・ω・)ん?
その声を聞いて、消火剤の泡の中から淡々するアンザスが...答えようとして
「嗚呼、そう言えば救援は間に合ったはずだが...あの後どうなったか?」と、独り言ちる。
それ受けて春幸は...自分が見てきた光景を説明する
「僕たちが居た時に限れば、墜とされた機体も無いし、寧ろ押していたよ。だから恐らく...」
「そうかぁー良かったー。お陰で死にそびれたよ。」と、ぷるぷると、顔を左右に振り乍ら、唸るアッチ=コッチは、
離脱した兄弟をコックピット内に乗り込ませると、アイジェスと共に、
一先ず、破損した機体や、残骸の改修作業を周囲を警戒しつつ、開始する。
暫く時が立つと次第にクリアーになって良く通信状況に、此方に向かってくる機影と会話が確認できる。
「此方インヴィクトゥス《不敗》01、敵機を駆逐した。脱落者無し、周囲にも他に機影無し、是より帰投する。」
「了解した。各機、不調あれば、整備艦へと向かえ。残りは、旗艦に帰還せよ。」
「任務ご苦労。」
短くやり取りした内容を終えて、それぞれの機体がメンテナンスドックへと戻っていく。
「春坊、戦闘に巻き込まれるなんて大変だったなぁー。ダイジョブだったのか?」
「いや、おっさんどう見てもその尻、あんたの方が大変だっただろう?」
耐熱性があるはずのノーマルスーツの一部が焼け焦げ、赤々とした尻がこんにちわしていた、
そして、身悶え産またての小鹿の様にぷるぷるとそのお御足を震わせ、ケツを弱弱しく振るい。
アイジェスに向かって親指を立てながら、担架に乗せられフェードアウトしていくアンザスの姿を見送って、
大変そうだなと、声を漏らす。
帰還早々、実機のメンテナンスに入る。
他の機体についても破損した部位の修復、大破した機体を見てこりゃぁパーツ取りにしか使えねぇなと、
嘆く声が聞こえてくるも、
毎度のシステムチェックを行いその診断結果を確認する。
各部駆動系、異常なし、操作系統並びにセンサー類に異常なし、ジェネレーター出力に異常あり、動力炉に一部欠損アリ…
最大出力に6%の欠損あり…注意されたし...
換装機構の駆動系とフレームに、やや歪みあり...自己保存機能機動…修復率0.03%...。
(。´・ω・)ん?
何だこりゃ?と???マークが三つ並ぶが、他の疑問点もある。
「ふーん、そういや、なんでこれ、動力炉に、欠損出てるんだ?さっき使ったおかしな機能の所為か?」
「そういやなんでなんだろうな?長期的な記憶の欠損があると、大体、こうなるんだよな?理由も知らん。」
「そんなアバウトで良いのかよ?」
そんな会話をしている所に
4人の幼子たちが様子を見に現れ、声を掛けてくる。
「ドーナッツのおいちゃん、元気ないないの???」
碓氷=ユズリハ、ユミナリア=ニドフェアー、領五=羽住、玻座真=外崎の計四名の子供たちが
作業中の二人の前に現れる。
その面差しは些か翳り、元気が無いように見える。
「どうしたんだ?」と聞いてくるアイジェスに対して、
「そりゃぁ、みんな、重力酔いに掛かってるんだよ。地球の重力は初めてだからな。」
「そういやぁそんな話してたな。まだ数日しか経ってないし、その内慣れるだろ??」
「整備も終わったし、食堂で何か食べ物を貰ってこよう。みんなは、何食べたい?」
「「「「ドーナッツ!!!!」」」」
良し決まったなと、一同を連れて、久しぶりに整備艦内のドーナッツ店に、繰り出す
いつもの様に笑みを浮かべる、なじみの店員の女性に向かって、声を掛けるが、
その声をやや虚ろで、何処か別の場所を向いている様だ。
(。´・ω・)ん?
どした?
「あっすいません。ご注文ですか?」
「ん?なんか気になる事でもあるのか?」
「いえ、今日はいつも一緒の彼が、ご一緒じゃないみたいで…」
「嗚呼、アイツな、なんか知らんがいつの間にかセットで覚えられているがあいつは相棒でもなんでもないからな。」
「あいつは、今日の出撃で、負傷して、今頃、医療用のカプセルに入ってるだろうよ?」
そわそわもじもじする店員の姿に
「ん?嗚呼、別に死ぬような怪我じゃないさ、し...。」
咄嗟に口を塞ぐ春幸の行動に抗議の動きを見せるが、構わず春幸が答える
「大丈夫ですよ、怪我した場所は、命に係わる様な場所じゃないですし、その内ひょっこり現れますよ。」
「ここのドーナッツ大好き見たいですからね。」
にぱやぁーと、微笑みを描く店員が、それじゃぁ、これをサービスしておきますね。
と、何を思ったのか、フリードリンクの全種類詰め合わせを作り出し手渡して来る。
そのご厚意に、(正気か???!)と、少し何かを感じて、会計を済ませたドーナッツを
6人で卓を囲みつつ頬張る。
「ねーねー春幸兄ちゃん、今日のお外での出来事教えて―。」
「(。´・ω・)ん?春坊、軍事機密だから駄目だぞ?(聞かれてもそう答えろってアンザスが言ってたからなぁ。)」
「じゃぁーねーねー、此れからこのお舟何処に向かってるの?」
それぐら良いかな?
「今いるアフリカ大陸の中部、赤道付近のブカヴらしいぞ。」
「且つて起きた気候変動の影響が最も少ない場所の一つで、俺も一度も行った事は無いが、アンザスの話だと、地球圏を統治するCarpe Diemカルペ・ディエムの重要拠点に当たるらしい。」
「船の改装が出来る設備があるらしいし、暫くの間はそこに駐留することになるだろうな...」
(一日も早く。本部に行って、敵の本拠地。彼女が居る場所の情報を得たいが...。)
逸る気持ちを抑えながら、まだ時間かかるのかよーとごねる春幸の気持ちを宥める。
「お母さんたちの居場所まだ分からないの?」
ふるふると幼女が答える。
その声に応える言葉を持ち合わせず。にこやかな表情のまま笑みを浮かべ、その唇を深く咬む。
「もうちょっとだけ待ってくれよな。」
そう言って、差し出された飲み物に口を一口含むと、
親指を立てつつ、そのままソファーの下へと沈んでいく...。
ま...。不味い…。ぐっは(吐血)
...
...
...
医務室へと二人そろって御厄介になる羽目になり、ベットに横たわるアイジェスは、医療ポットで眠るアンザスを眺めながら、
まぁ、こういう時間も悪くはないよな。唯、あのドリンクは今後飲まない様にしようと心に誓う。
そんな、話を横に置いて、船は、ローテーションで整備予定を組みつつ、各自が哨戒任務を行い。
進路をそのまま南へと進む。
途中、湿地帯を通り抜け、眼前に広がる火山帯を避けて東のかつてウガンダと呼ばれた地域を迂回し、二時方向に広がるヴィクトリア湖を右手に映し
それまでの追撃が嘘の様に、穏やかに船は進む...。
そしてアイジェスは何を思ったのか、整備艦の甲板に出ると、徐に、何事かを呟き、最低出力での《ニヴルヘイム(霧の国)》を発動。
進む船足の周囲に深い霧が立ち込め自らのその姿ごと、全てを覆い隠す。
コックピット内のコンソール画面には、、動力炉に一部欠損アリの文字が踊り、その表示されてる数字が徐々に増えてカウントされていく。
そんな事を知らぬ。艦橋では、突然の立ちこめる霧に視界を塞がれつつも船足に衰えは見えない
「むむ、オペレーターこの霧はなんだと?」と問い
(`・ω・´)キリッ?っとした面立ちで疑問顔を偽りの表情で隠す
「分かりません。近くに湿地帯もあるし、その関係じゃないですかね?」
「そうか、微足前進、総舵手、前方を注意し薦め」
そして密やかに、その帆先は、地上にある拠点では、割と大きい部類に入るであろう、改修用のドック搬入路へと向かう。
「本艦はCarpe Diemカルペ・ディエム第5方面部隊所属《R.I.P》ならびに《エンゼルフィッシュ》。船の改修と補給の為、入港の許可を求める。」
「こちらコントロールセンター《管制室》、入港を待て、そのような連絡は受けて居ない。確認する為、停止線に併せて旗艦の停止を求める。」
「了解。但し本艦は、重要な情報を本部へと移送中の為、急がれたし、オーバー。」
・・・
・・・
・・・
数度の応酬の果てに、今までの経緯を軽く説明するも、書面の提出を求められた為、予め作っていた資料を短距離レーザで送付し、その反応を待つ。
その反応はやや硬くぎこちないものの。今まで謎であったunknownの機体を鹵獲したという事実に、色めき立ち、結局は入港を許可され
船体を、改修作業用のドックへと進ませ、其の船底を久方振りに落ち着かせる。
艦長たるナンネン=ハイマンは、念の為、駐留中に、本部への通信を試みるが途絶、更には船の改修に暫く時間がかかる。
とし、
各員に補給の手続きと共に暫しの休息を与えると命じる。
赤道直下のアフリカ大陸に置いて存在するその場所は、且つて、起きた大災害を逃れた人々と、元からその場所に住んでいた人達が、
其の居所を争い、血で血を洗う闘争と共に文化が交じり合い。なんでもかつて現れた《調停者》と呼ばれる何者かによって、棲み分けされ
そして次第に、その血の色や肌の色を気にする程も無く、混血が進んでいる。
街の所どころでは、西洋風の時計塔に中華風の建物や、古い東の都の建物の名残が異彩を放ち、同居していた。
...
...
...
「おい、アンザス。もう尻の調子はいいのか?それとその説明誰に言ってんだ?」
「やだなぁアンジェス殿。折角の地球観光ですぞ。この機を逃す手はないのでは?」と、
痛々しいい尻を摩りながらも、いつの間にか購入した。鳥の半身上げを頬張りつつ、答える。
「それはそうだが?」と、受け取った半身揚げにかぶり付き、その溢れ出る肉汁と口腔内でほろほろと解ける肉を味合う。
「ほぃ、地球の食べ物だよ。宇宙でのレーションとも違った味するでしょ。」
「ほうだなぁ」と熱々のその身をたぶる。
「で、《エンゼルフィッシュ》の改修にはどれぐらい時間がかかるんだ?」
「そうですなぁ、艦長と上級技官の話では。数週間から数か月か?」
「ふんふん、旨っって、ええええええーそんなに掛かるの?待てないよ!!!」春幸が抗議の声を上げるが。
弱弱しく尻を摩るアンザスは、申し訳なくともこう答えるしかない
「いくらなんでもこればっかりは...。物理的に不可能ですからな...改修するにはそれなりに時間と手間がかかるものであります。」
「君も、船が突然墜落なんて目に遭いたくないでしょな?」
それでも納得出来なさそうな春幸は、横に居るアイジェスに向かって助けを求める様に視線を泳がせる。
その視線をその身に受けて…言葉を紡ぐ、
そうだな少し俺にも考えがあると答え、其れには、今後の事も考える必要が山積している。
船の改修期間もそうだが、この街で、武装に使う弾薬や失った機体に装備、そして素材を手に入れる必要がある。
今まで作った装備の数々は次の戦場では役に立ちにくい。
其の為対策を練りながら今後の対策を練る。
中には...。脳裏に何かの光景が浮かびそして消える。
しかし、コロニーのクレジット、地球でも使えるんだな。助かる。これで...こいつと土産が買える
一先ず重力酔いでダウンしている子供たちの土産を抱え込みその場を離れると、
街の中心地に、存在する。
巨大な銅像に目を奪われる。どこかで見た様な?気もするし、今まであった事も無い様な気もする。
そんな違和感に苛まれたまま、三人は夜の街を歩き、母艦への帰路に就く。
日がな一日、街に繰り出すのに使用した電動カーに積み込まれて行く荷物を眺めながら、春幸は、遅々とし手進まぬ準備に苛立つ。
第一なんでそんなもん買ってるんだよ?園芸でもするつもりかよ?と疑問顔の侭、料理の感想を思う。
確かに料理はおいしいけれど、どうせなら食べさせてあげたい。早く逢いたいよ...と言葉を零して…その目からぽとぽとと、落涙する
その姿を心配そうに壁の柱から尻を覗かせ、伺うアンザスは。
さてどうたモノかと思い悩む。
船の改修は元々、宙空用の船舶に、地上の重力下でも稼働できる推進器を改めて作る作業に、ブカヴの作業員たちも頭を悩ませる。
どうせなら、放棄して新しい船舶を用意した方が良いのではと言う話も出たが、放棄するわけにも行かず。そのまま無理を押し切り改修作業に入る。
先ずは、船体のデータ収集から、設計と部品の成型と構築、それぞれの担当者が動き出すその光景に、
乗機であるでデスペラードを駆るアイジェスは、
《R.I.P》に搭載されている、地軸の地場と反発して浮遊する《レヴィタス・ヴォラーレ》についてのデータは既に、得ている。
後は...と、
CNC(Computerized Numerical Control)機械と3Dプリンターを組み合わせた、自動実行プログラムを起動
その画面に表示された文字は、《Gifted Unchained Navigators Defying All Misconceptions》と刻まれ
「天より与えられし力を持って、何者にも束縛されず、すべての誤解に立ち向かう案内人」を自称するべく、其の行動を開始する。
唐突に、持ち込んだ素材のインゴットを持ち込み、急速成形を開始。
それぞれの稼働するマニュピレーターが稼働、アイジェスも自らも溶接用ビームナイフを操り、溶接作業に入り、その船体に次々と組み上がっていく基部に、
「なんだあれ?なんか物凄い勢いで何かを組み上げてるが?ありゃぁなんだ?」
「さぁ?なんでしょうね。尻愛同士じゃないので、拙者には、皆目わかりませんな。」と尻を振りながら、適当な事を述べる。
男尻と男尻、二人重ねて男尻遭い。それでも僕らは尻愛じゃない。
ブツブツと呟き、グルグルと手を腰に回して愉快な軽快なダンスを踊り、去って行く後ろ姿に釘付けになり、目の前で起こる作業から目線が離れる。
拙者の尻で幻惑してる内に...
などと、本気か分からぬ思考を垂れ流し男は尻を振り続ける。
次第にリズミカルに重なる様に振るわれる尻に、時に人は笑い、指さし、噂し合う。
そんな状況で、ふと見上げると、いつの間にか、その仕事が凡そ終わる。
「あれ?なんだ?これは?いつの間にか出来上がってんぞ?一体何が起きた?」
「いや、俺もリズミカルな華麗な尻走りに見惚れてて良く分からん。さっきみた作業機体がなんかしてたのか?????」
????
その日の食堂での事、数週間かかると思われていた回収作業のスケジュールが大幅に前倒しされたらしく、
作動試験を含めて、数日中に出発できるかもしれないと、技官連中の会話に聞き耳を立て、
むしゃむしゃと、たぶる、いつもの三人は、
「どうやら、作業が上手く行きそうですな、それにしてもいつもながらのお手並みですな。」
と、口一杯に、カレーライスを頬張りながら、話す。
「そうなのか?良かったな春坊。」
「うん!!!!」
そこに、唐突に、話しかけてくる人影が二つ、
ソッチ=コッチとアッチ=コッチの二人が、唐突に、トレーに入った食事を抱えて、
「そっちとこっちの隣良いか?」と問いかけてくる。
(。´・ω・)ん?
「別に良いが?無い尻は触れないぞ?」
「いやそう言う訳じゃないんだが?」とソッチとアッチに別れて座り、
徐に話始める。
「話しかけるタイミング無かったが、お陰で助かったゾよ。」
「兄貴が世話になったな。流石にあの時は死だかと思ったよ。尻の調子はどうだ?」
同じ顔、同じ表情で話しかけてくるぴっちりとした角刈りが特徴のその双子の兄弟が、礼を述べる
「良いって事よ。拙者は只、おのが尻の赴くまま、振ったのみでござる。」
前から思ってたけど、アンザスさんは、なんで男尻に拘るんだろう???と疑問を思いつつ。
我関せずにもしゃもしゃと咀嚼音を奏でながら、食べる手をふと、止めて
「ところで、誰?」
「おぃ、知らずに、一緒に戦ってたのかよ?第一部隊のソッチ=コッチ、アッチ=コッチの双子の兄弟だ。よろしくな。」
「そうか、死ななくて良かったな。里の叔父さんに、よろしくな。」
ん?
(なんでこいつ、俺達が叔父さんに育てられたの知ってるんだ?偶々か?)
その光景を眺める。何者かが...ペンを走らせ観察日記をつける。
目標は...今日も、三人一緒だ...。
狙い目は一人でいるタイミングを見計らい…接触するべし、確認する必要がある。あの人間が本当に…であることを
...
カレーの匂いに紛れて香る仄かな、甘ったるいその匂いに気付かず、場面の展開は変わる。
船の作動試験を横目に、この街で手に入れた。魚雷や機体用の水中推進器の幾つかを集めて
改修し始める。さらには、アフリカ大陸の隕石落下地点から採掘された。
新金属のインゴットから大型の工具を削りだし、作り上げていく。
(。´・ω・)ん?
「アイジェス殿、そんなデカい工具一体何に使うでござる?戦艦でも解体する気でござるか?」
いつもの様に作業を見守る。アンザスは、アイスと頬張りつつ、その様子を見守る。
自分の乗機は既にオーバーホールを済ませて、なんでもコーディー=スルーが、新武装を付けると意気込んでいるらしい。
「まぁ、事前に何が起きても良いように、準備しているだけさ。」
「そうかッな!!!っと、拙者もシュミレーションでもしながら、励みますかなッ?アイジェス殿もどうですかな?」
「俺は、良い。まだ作業が残ってるからな。」と、固持する。
それに...。今は、やることがある。
ハープーン用の銛を削りだしながら、次第に新装備の形が出来ていく…
その作業は一昼夜続き…その機体を期待を以て組み上げる。
...
...
...
其の頃、地上に降りたアーガトラームは、地上の隠れ拠点で、新しい機体を
積み込んで行く。回収したアイ=アシンは未だ目覚めず。
指揮を執るトルダネード=ゲルジスは、新造しロールアウトが完了したその黒光する
積層状の装甲を纏う4足歩行の牙持つ獣に、大型の推進機構を備えた。威容を持つ大型の機影に、その出来に大きく頷くと
「ゲルジス様、これは未だ試作段階の機体で、慣らし運転も数十時間でしかありません。」
「実戦は?」
「まだ、危険です。推進機構に採用されたビームフィンは、プラズマの熱量を推進力に変える水蒸気爆発を採用しており、推進力と出力には優れておりますが、機体の破損や、操作に難が...」
配備されて機体の注意点を添えて、説明する。
「私は実践派だ。機体には、おいおい慣らしていく。残りの機体は何がある?」
「このアズ=イ=ウに、セイレーン2機、エクウス=ビベスが8機で、後は...。」
「建造中の超大型の機体がありますが...操縦できるパイロットが今だ。おりません。」
「やれやれ、彼女は、地上の拠点に下ろします。何かに使えるかもしれません。」
連日の徹夜によって、心なしか皺が増えた様な疲れ気味の表情のまま、男は、その決断を下す
「我らは、銃身と亀を追います。恐らく獲物は、大西洋を横断して、敵地の本部に向かうはず、その前に叩きますよ。」
( ゜д゜)ハッ!
と敬礼をしつつ、その指示を了承する。
・・・
・・・
...
其の頃、ブカヴに置いて、眺め見る。広場に鎮座する銅像を眺めて、その姿に僅かな違和感を覚える物のその違和感を振り払い。
損傷を修復し、改修作業を終えた。二隻の艦船が、
改修用のドック搬入路から、推進器をアイドリングしたまま出航作業を開始する。
準備期間の間、敵機の襲撃を受けずに、作業が終わり、目的地への旅路へと向かう。
「こちら、《R.I.P》此れより、出航す離陸許可を求める」
「こちらコントロールセンター《管制室》、離陸許可OK、貴船の向かう先で、多数の船舶が不明となる事例がある。旅路に注意し出航されたし。」
「コントロールセンター《管制室》、クリアランス・デリバリー、[フライト番号ET616A]クリアランスをリクエスト。」
「[フライト番号ET616A]、指定ルートの確認了解。オールクリア。出発手順に従い。発進してください。良い旅路を」
微足前進のまま、進む船足で、改修作業で新たに搭載された地軸の地場と反発して浮遊する《レヴィタス・ヴォラーレ》を稼働して、一気に加速し、西へ西へと転進し、
いざ大西洋へと躍り出る。
地上の大気を掻き分け進むそのスピードは、当初の予定を大きく前倒しして、進む。
街を出立して、失った機体を補充し新たに、組み直した僚機達がローテーションを加味しつつ、
宙を浮遊できない通常のディエムに、通常状態のデスペラードは、船体の上で、哨戒任務に就く。
代わりに脚部に《マグレブ》磁気浮上式低重力ホバーを使用した第二部隊の面々が、
周囲に展開しつつ、その様子を見守る
機体編成は、前回の戦闘で不調が見られ、そして失った機体を補充し補い。編成を組み直す
第一部隊《頭脳》(セレブルム)...《R.I.P》へ格納
・宗谷=大石・・・乗機ディエム現存
・パルメ=ザン・・・乗機ディエム現存
・ソッチ=コッチ・・・乗機ディエム大破⇒補充済み
・アッチ=コッチ・・・乗機ディエム現存
第二部隊《不敗》(インヴィクトゥス)・・・《エンゼルフィッシュ》格納
・リン=山崎・・・乗機ディエム現存《HHBカスタム》
・秋桜=アーデルスワット・・・乗機ディエム現存
・ソウハ=クワナイ・・・乗機ディエム現存
・ソコニ=アルナ・・・乗機ディエム現存
第三部隊《仏頂面》》(トルウス)+α《ドン・キホーテ》・・・《エンゼルフィッシュ》格納
・イゴール=マッケンジー・・・乗機ディエム ペルディディ※燃料僅か
・フォイマン=ハイマン・・・乗機ディエム現存
・ミスルギ=劉・・・乗機ディエム現存⇒アンザスが騎乗し中破のちに補充済み
・アイジェス=ブラットワーカー・・・デスペラード
・アンザス=フライ・ハイ・・・ディエム ペルディディ
第五部隊《臆病者》(クヴァイリス)+α《切り札》エース...《R.I.P》へ格納
・オウ=コワイイ・・・乗機ディエム現存
・オマエ=ナニモノ・・・乗機ディエム現存
・シナドロ=アマイ・・・乗機ディエム現存
・ネライ=アッタライナ・・・乗機ディエム現存
・アニス=フライヤ-・・・乗機ディエム現存
隊のローテーションを第一部隊+第三部隊と第二部隊+第五部隊にそれぞれ分かれて、今までランダムに交互にそれぞれの艦船に格納と出撃を繰り返していた機体たちをそろえる
第一部隊《頭脳》(セレブルム)は《R.I.P》を担当+第三部隊《仏頂面》(トルウス)+α《ドン・キホーテ》は《エンゼルフィッシュ》の警備を担当
第二部隊《不敗》(インヴィクトゥス)は《エンゼルフィッシュ》を担当+第五部隊《臆病者》(クヴァイリス)+α《切り札》(エース)は《R.I.P》の警備を担当
機体の不調を抱えて長らく参戦で気なかった《切り札》の一人が、
本格的に参戦し、暫く進む船足の先に敵影は確認できず。快適な船の旅を楽しむ。
旅を楽しむ余裕の無かった降下後と違い
其の頃には、海に漂う潮騒の香りに、地球慣れしてない面々が、その匂いに辟易し、
街で補充された。生きた魚を捌いた料理に慄く。
何故か当たり前の様にそれを食す。アンザスとアイジェスに、気味悪そうに、おっかなびっくり食ぶる子供たちの姿が並ぶ、
其処には、危険な旅路の香りは無く、情報の漏洩に関する問題点はクリアしたかに見え、その憂慮は既に平穏無事に終わるかに見えた。
だが、突如、《R.I.P》機関部に不調が発生する。
「機関部ッ?!どうした?!出力を上げろ!!!!」
通話用の受話器を手に取り指示を出す艦長の言葉が無為に虚空へと消える。
「わかりません。急に出力が低下。このままだと、墜ちますッ!」
(・д・)チッ
「各員に、防御態勢を指示。ショック来るぞ。操舵主、何処でも良い無事着水させろッ間違っても転覆させるなよッ」
...
...
...
目下の異常事態に、哨戒のローテーションに入っていた第一部隊+第三部隊が、色めき立つ、盛大に水柱を上げて着水した衝撃で
《RIP》を担当する第一部隊の僚機が衝撃で足を踏み外し海中へと落ち込む。
一体何が?
先行する《R.I.P》が墜落し、続く《エンゼルフィッシュ》が、ゆっくりと機体を傾け衝突しない様に、逆進を掛けて停止する。
推力を墜とし、状況把握をする為に無線で連絡を取ろうとすると...通信のノイズが奔る。
はっとなる
《頭脳》セレブルム01たる宗谷=大石は、各員に警告の言葉を吐く、「通信が乱れた...敵が来るぞ?!!《仏頂面》(トルウス)、墜ちたセレブルム02を拾い上げてくれ。」
「艦長、DEFCON発令。各機、戦闘態勢に入れ。」
(・д・)チッ
タイミングが良すぎる?!何故だ?整備と改修作業中に何かしかけられたか???
その光景に、やはり何かおかしい…
【やはり前回と違う…このパターンは...何度目の時に近いか??だが襲撃タイミングが違う。不確定要素は何か?】
思考する何者かの声は誰にも聞こえず。
自らを主張するかのように、男の叫びが放たれる
「《頭脳》セレブルム01ッ、下だ、撃てッ!!!」
緊迫するなか、艦船の側面に、水柱が上がり、魚雷の一撃が加えられる。
咄嗟に反応した大石が、ビーム―ライフルの一撃で直前に墜としたものの...。
その動きは早く。しかも海面の水で、ビームは減衰するし、狙いもつけずらい。今の一撃は偶々上手く行った。
(・д・)チッ後手後手だ。
「待機中のアンザス、行け…。墜ちたセレブルム02を回収し…。各自、武装で敵の魚雷を撃ち落とせ...。墜ちるなよ?」
「了解、男尻が出る!!!!!」画面一杯に尻を出して吠える男と共に、電磁加速する勢いの侭射出されて行く。
ほぼ同時期に、遠く離れた艦影に、注水作業を行い。トルダネード=ゲルジスも吠える。
「私が出る!!!」
...。何故、尻を出すんだ?と、疑問顔のイゴールは、隣に佇む、その僚機に話しかける
「ドン・キホーテ、その装備でイケるな?」
その手に大型の錨型のアンカーを装備し、空いたてには、ハープーンライフルを懸架し、両肩と脚部の間に備えられた水中稼働用の推進器を備えた蒼くペイントされた換装装甲に包まれたデスペラードはその威容を以て、
設備艦≪エンゼルフィッシュ≫の甲板から海面へと飛び込む
「了解、水中戦は任せろ。」
意を決して飛び出したアイジェスは、三か所の推進器を稼働させ、一路、魚雷の投射を行う機影に向かい突撃する。
「アンザスッ!!!!僚機回収後、ドン・キホーテの援護をしろ…各機それまで母艦に攻撃を当てさせるな。撃て、撃て、撃て。撃てよ。」
自らも装備したビームライフルを手に、迎撃作業に入る。
その僚機の姿を視界の端で捉えて、アイジェスは機体を制御しつつ、敵の機影を探す。
眼前には、10機の機影...。データーベースを検索...。該当と一致…セイレーン2機、エクウス=ビベスが8機…
どれも水中戦用の機体だが、この《アクアマスター》の装備があれば十全に働ける…問題は...
重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動、徐々に接近してくる機影を探し、
さらに接近する巨大な機影を確認する。
さっきの魚雷は此奴だ。彼我の距離は可成り離れているが...。損耗した動力炉を気にして感覚器を常時起動して居なかったとはいえ、
発見が遅れたその一撃は...正確だった。
鹵獲した機体から回収したデーターベースに無い...新型機か?
敵の僚機と連携されたら厄介だ。先に先行する敵機を片付けるぞ?!
母艦の進行方向からみて三時方向へと進む最中に、敵の機影から多数の魚雷は放出される。
肩部と脚部の推進器を動かし、高速機動を行い。回避するのは容易ではあるが...。
その場合...。母艦がやられる。
咄嗟に、カウンターでこちらの機体にも装備されている魚雷を放出させようとして、一案を考える。
一基の特別製のミサイル…一見普通の魚雷にもにたフォルムのそれが、その基部に搭載された
濃縮された粒子を吐き出しながらも射出されるそれが、水を掻き分け高速移動を行い大きく半円を描くように
眼前の光景を横ぎっていく、展開された尾翼ににた、基部の先頭に展開される刃が、接触した際に内部の炸薬を炸裂させる訳もなく
その速度の侭、魚雷の弾帯を浅く斬りつけると誘爆を起こし次々と水中で灯の華を咲かせ、
その衝撃で、敵機が、デスペラードの位置を見失う。
その場で円を描きながら同じ軌道を描き続けるその一射が、居並ぶ魚雷の群を駆逐していく。
(・д・)チッ
「なんだ、今の?は、(´;ω;`)ウッ…なんだこの底冷える様な、淡くそして仄かに臭い匂いは?!!!」
セイレーンに乗り込んだ、淡い蒼く揺れるシャギーの掛かった長髪の乙女は、その光景に違和感を覚えて
むせ返る匂いに苦しみながら、手に持った呼吸器で、息を整える。
「これが...奴の匂いか?!」
二股の鰭を持つ、長髪を模したフィンを後方に展開し女性的なフォルムを見せたその機影が、その尾鰭に仕込まれた、振動推進機構を展開。
震えるように踊るその優美な姿に、併せて、機体各部の射出口から、魚雷を次々と射出。
(・д・)チッ
魚雷が悉く撃ち落とされて行く、こうなったら...セイレーンに装備している...広域ソナーを転用した。
その声が、大きく開閉した頭部から一斉に放射される。超振動のソナーメスをデスペラードの機影を見失った、海中の海域に広域放射、
海を泳ぐ、魚介類が水性生物たちが、その放射に巻き込まれ、ズタズタの肉塊に代わるモノの???
まるでその見えない一撃を察知していたかのように、
推進を下降し、そして回避し、彼我の距離を詰める。
敵機との方位を12時に固定、左右に展開して居たエクウス=ビベス…海の馬...。タツノオトシゴを模したその機影の
口から放射される。機体各部の注水機構から取り込んだ水を高圧と共にジェネレーターから供給される粒子を混ぜ込み
触れる物を分解する悪しき流水を放つ。
その余波で、水中を泳ぐ、魚が急速に腐敗、分解され、セイレーンの一撃と共に大型の水生生物すら、絶死し、海中が血に染まる中、
アンザスは、海中へ落下した僚機を抱えて宙に浮上したところで、異変に気付く。
接近する機影とは逆方向から迫る何かに気付く...。
センサー類を最大にして、機影と味方識別コードを確認...。
セイレーン1機、エクウス=ビベス4機…奇襲だ?…アイジェス氏は...。向こうに掛かり切り、
ここは拙者がやらねばならぬ...。と
操縦桿を倒して、機動を整えると、無線で僚機に話しかけるが...。その声が...かすれて通じない。
接触回線でセレブルム02に話しかける...
「敵の奇襲に気づいてないッ。ここで迎撃するでござる。今から機体を打ち上げるから、セレブルム01に伝えて欲しい。」
「なんだと?落下の衝撃でスラスターが逝かれやがった!!死ぬ時はパスタを喰って、死にたかったのに!!!チーズが、チーズが足りねぇよ。整備なにやってんだ?!って?」
「打ち上げるってどうやってだ?」
こうだよ。
「私の男尻は狂暴ですッ!!!俺の尻を掴め!!!!!」
《ディエムペルディディCD型》に備えられたテールユニットを起動、噴出するスラスターを吹かせ、咄嗟に掴んだセレブルム02の機体を
水の中から大気ある宙へと打ち上げていく。
「うぉぉぉぉおぉあお!ツ」メインスラスターが上手く稼働できず、叫びながら姿勢制御のバーニアで上手く機動を取り、母艦の船体へと取り憑くと、海中に向かって迎撃を行う。
《頭脳》セレブルム01に触れると接触回線で、奇襲を知らせる。
「隊長…新たに反対方向から敵機5つ、奇襲の更に奇襲だ。待機中の第二部隊と第五部隊も出せッ!!!!」
「《不敗》(インヴィクトゥス)の装備してる装備なら海上を動ける筈だ...」
その意見に追従する間も無く、次第にその包囲網は狭まっていく…
...
...
...
「私は実践派だ。機体には、おいおい慣らしていく。残りの機体は何がある?」
「このアズ=イ=ウに、セイレーン2機、エクウス=ビベスが8機で、後は...。」
「建造中の超大型の機体がありますが...操縦できるパイロットが今だ。おりません。」
「やれやれ、彼女は、地上の拠点に下ろします。何かに使えるかもしれません。」
連日の徹夜によって、心なしか皺が増えた様な疲れ気味の表情のまま、男は、その決断を下す
「我らは、銃身と亀を追います。恐らく獲物は、大西洋を横断して、敵地の本部に向かうはず、その前に叩きますよ。」
( ゜д゜)ハッ!
と敬礼をしつつ、その指示を了承する。
時に、潜入している《オーグル》は、上手くやって居るのか?
情報をもっと正確に知らせるのだ...
他の拠点からも、機体を出せ。多重の包囲網で、奴らを捕縛し、《慈聖体》を得るのだ。
情報以外にも...
・・・
・・・
...
「此方、《頭脳》セレブルム01、待機中の第二部隊と第五部隊を全機出してくれッ」
構えるビームライフルの一撃が9時方向迫る魚雷を撃ち抜き爆散させる。
降り注ぐ水しぶきの中ナンネン=ハイマンは、叫ぶ
「そうしたいのはやまやまだがッ、機体トラブルだ。出せる機体が軒並み不調で...。出せんぞ!!!!現状のまま堪えてくれ。」
「なんでそんな事にッ!!!!」
(やれやれ、外の部隊が不甲斐ないばかりに、こんな工作をする危険を起こさなければならないとは...。)
(他の同胞に比べて匂いが薄い。私が外れくじを引かされたが...。)
(あとは...)
テールユニット―を新たに搭載された。補助ユニットにより、小型のAI端末と連携、周囲に近付く敵機と魚雷に反応して
男尻をフリフリ振り払いながらも、オートの自動迎撃が奔り、海中で減衰したもののテールユニットから伸びるレーザーが、
死を呼ぶ魚影を削り倒していく。
「まずいでござる。拙者の機体のセンサーでもさらに、追加の敵影が確認できるでござるッ!!」
スラスターを器用に動かし、ついでとばかりに改造された強化を施され、銃身下部に新たに設営された
ハープーンを構え、接近してくる機影に向かい。
射撃戦を行う。
重力下での地上戦の経験があるものの、海中での戦闘に不慣れで次第に押され始めていく。
水が...水が無ければ...。
...
...
...
大石の提言により、暫しの混乱を抜け出し漸く、指揮権を発動する。
艦長は、叫ぶ。
「整備員、何でも良い、修理作業を続行。出せる機体を順次出していけ!!!!多少の不調は、この際構うなッ!!!!」
「数で押し返すぞ?機関部、意地でも不調を治せ」
「それまで、主砲及び、レーザー短距離ミサイル発射始め。CIWS(近接防御兵器/機関砲)起動。撃ち落とせよッ魚雷を。」
...
...
...
狂騒の最中で、一人潜航しながら先行するデスペラードの機内に置いて、異常が発生する。
...
...
...
サブシートに掛けられていたシートが、外れ、そこには、春幸の姿があらわれる。
「おっさん、やばいぞ?!船の反対側を観なよ?襲われてる。」
(。´・ω・)ん?
「おまえぇ?春坊いつの間に?潜り込んだ???」
「おっさんが、機体に、荷物用意して詰め込んでた隙になッ」
「そんな事より、空いてたハッチから誰か入ろうとしてたぞッ!!いくら他の人間には動かせないとはいえ、不用心だぞ。」
「なんだってッ?まぁそれは置いて置いて、どういうことだ?」と
センサー類を急速潜航を繰り返し、その状況を漸く把握する。
(・д・)チッ
動力炉の欠損を気にして常時使用してなかったツケが出てきた…急速反転を掛けて母艦に戻ろうとするも
周囲にまで接近していた機影に囲まれ更には、遥か彼方から爆進してくる。何か巨大な機影が、海中に泡を巻き散らし、
弾ける水蒸気爆発を推進剤に変えて突撃してくる。
その口腔から放射される粒子砲の一撃が、水中での減衰を物ともせずに、海中を穿ち、機体を掠める。
その一撃に触れて、半ば融解し脱落する換装装甲の一部をパージしつつ、
敵機に向かって、肩部推進器を可変させ急速上昇、魚雷の弾体を、弾薬の損耗を気にせず、ばら撒きながら、逃げる後ろ姿を
多数の機影が追従し、迫る魚雷を避けつつ、その口腔から、死を呼ぶ歌声と水鉄砲を噴出、
それを機体を左右に傾けギリギリで避けるモノのその動きは次第に包囲されて行く。
「おっさんどうする?!!そうだッ《エンコード》って、いつもみたいにやってくれよッ!!」
(。´・ω・)ん?
問題は、これ以上の動力炉の欠損は...通常戦闘に支障をきたしかねない。
それでも、この状況を打開するには...必要かもしれない。
問題はその間の記憶が不明瞭になる?使っても大丈夫なのか?
【任せろ...この状況を打開してやる。】
こんな状況で聞く唄は...
ねぇ、君は知ってるかな?人は戦うべき時に闘わなかった場合、それが常態化して、本当に戦わないといけない刻に闘えなくなる。逃げる様になる。
それが単純に言葉通り逃げるなら良いんだけど、大抵の人は、逃げる事もままならず、一歩も動けず
されるがまま蹂躙されてしまう。
逃げる事も闘争の一部だよ。逃げるが勝ち、逃げるは恥だが役に立つ。その言葉のどれも間違いじゃないよ。
だから、私は、胸を張って言えるよ。
さぁ?君も闘うがいい。その手を差し伸べる言葉を私は、君(達)に既に渡しているよ?
響く唄声は、いつくしむ様に、差し伸べるて、例え攻められた事実に反論しヘイトを集めようとも、俺は逝く。
本当に戦うべき時に、戦えなく成らない為に。
人は、道にゴミや落書きをされた建物の窓を叩き割り、それを誰もが汚しても問題モノだと誤認して、汚し壊し蹂躙する。
何故ならば...それが人の本質《弱さ》でであるのだから。
だから俺はそれに異を唱え反論す。
彼女、唄声が聞こえてくる。握る操縦桿を強く、強く握り、そしての言葉を告げる。
君がもし、他に助ける手立てが無く、苦しんでいるのであれば、この手を掴め。
逃げる事は、間違いじゃない。
世界には、何十億も人はいる。小さな箱庭では、必ず、傷付ける個体が生じる。だが、逃げた先で同じ事になるとは断言できない。
逃げた先で、であう誰かが居る筈だ。そう彼女と出会った俺の様に。
意を決してその言葉を紡ぐ、流れる音楽は...「エンコード、《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》」音声認識による識別により、使用者権限を確認。
コックピット内部では、身体の各部を飛び出したアームや、拘束具により、パイロットの手足を固定、円筒状に包み込むのと同時に、機体の外部のバイザーや各種部位内蔵されるロックボルトが解放。
長方形のバイザーが上に上がり、それまで隠れていたはずのツインアイが露出。鬼の角の様に伸びバイザーから突き出されたそのアンテナの一部が枝葉となって発光しながら、その威容を魅せる。
そして、覗く、線型は鋭く無骨で且つシャープな主顔おもがおの景観から分解解放を繰り返すその面差しは、まるで牙剥く鬼の口腔を覗かせ、最後に後頭部から、一本のブレードアンテナが迫り出して、三本ツノとなり、其れまで、マニュピレーターと思われていた。
肩、腕、脚、背面にそれぞれ設置されている。隠し腕の内、腕部と肩部のマニュピレータと、バックパックの背面全体に刻まれる、其れまで隠れいてたツインアイの鬼の形相の面が顕れ、
そして、2本の腕と脚部には基部に隠れた鬼が踊り、腕部のマニュピレータが可変したアームカバーを《錨》のアンカーと接続するように覆われ、独立機構のレッグーカバーとなるその機構にも鬼の面が顕われる。
都合、八つの顔と、六本の腕、偽装されていてそれらが開放され、異形へと変形・変身、いや、変態する。何かを語るように其の不思議な表情を垣間見せるその機体は、八面六臂の修羅と為らん。
肩部の推進器が方向を変え、展開される隠し腕の手のひらの推進機構と伴に、稼働されそして水に包まれた大洋の海で、太陽に照らされるかの様に、輝き瞬き
跳ねる様に飛び回るその姿と共に射出される大型の《錨》が、それまでの不調を覆すかのように、大きく弧を描くように振るわれると、
巻き込まれた敵機にその怒りのままの錨が着弾。
装甲の一部を破砕し、砕かれた装甲内部へと浸水が開始。
そのウェイトによる。制動の身振りを展開される推進器を駆使して相殺する。そして刺さるその得物に仕込まれたスラスターに灯が灯り吹き上がる勢いの侭
背後の二体目にも突き刺さり、生きながら深海の水に飲まれ、圧死、溺死されるその姿を目撃すると。
巻きあがるアンカーを戻し残りの機影に向かって踊る様に囲いを破り、交差する敵機の海水に紛れて飛来する不可視の攻撃と
巨大な機体が放つ閃光を避けつつ、射出するハープーンライフルの銛が、右往左往する敵機の肩口に突き刺さり、
動きを止めた瞬間に時間差で放たれた二射、三射目が着弾。
突き刺さるハープーン…《銛》がコックピットの内部を突き破り、溢れ出す海水共に、突き刺さる。パイロットの嗚咽が
水面の中へと沈んでいく。
それでも、敵の動きは、止まらず、上下左右に敵機が回り込み、追撃に入る
肩部の推進器で逆進かけつつ腕部に搭載された《錨》アンカーを回転させながら、射出。
腕部のワイヤー機構と接続された《錨》が、推進機構を備えたスラスターが火を噴き、回転しながら、敵機を巻き込んみ、その機体ごと別の敵機へと叩きつける。
一射した隙に背後から忍び寄るセイレーンのソナーメスの一撃が、直撃する瞬間に、背面のマニュピレーターが動き、その掌中から、放つ衝撃波で、
その一撃を相殺、脚部の鬼面から放出される衝撃により上昇、ワイヤーを巻き取りつつ、迫る機影を引き離しとんぼ返りして、
逆落としを決行。
追いかける様に浮上し始めた敵機が、突如の反転に驚き、勢い余って、浮上するスピードを緩められないまま、下部に向かうデスぺラードの動きに、
翻弄される。
それでも何とか食らいつこうと、高出力の粒子砲を乱れ撃つ機影に対して、各部の推進器を利用して、ジグザグに回避運動を繰り返す。
「クソッたれ!」
ぶっ
あっちょっと出た。
「なんで、宙空戦用の機体で、水中戦用の機体より、高速機動を嚙ましやがる。普通あのでっかい《錨》水の抵抗を受ける筈だろ、なんで逆に加速してんだ?!」
その疑問が鎌首をもたげ脳裏に刻ませるが、我関せずと戦闘を続けるアイジェスは、
《錨》アンカーを前方に構え、噴出するスラスターで、前進するスピードを更に加速させ、どうにか狙いを自分にひきつけて魚雷の攻撃から母艦を守ろうと奮戦する。その動きにまるでついていく事が出来ず。
その狙いは悉く外れ、そして、悩まし気な表情を浮かべる。乙女は、一案を考える。
「ゲルジス殿、埒が明かない。ここは我らに任せて、これより母艦を狙うべく願います。」
トルダネード=ゲルジスは、暫しその提言に耳を傾けるも、それもやむおえないと、意を決して
操縦桿を握り、水蒸気爆発による推進器をフル稼働して、一気に目標点まで向かう。
その間にも、敵機は、デスペラードを包囲しながら、徐々にその距離を詰めての接近戦へと迫ろうとする。
その動きを察知し、水中での格闘戦は...足を止めた瞬間やられるッと、
急制動を掛けて、肩部の稼働する水中用の推進器を前方に向け、構えた《錨》を前にスラスターを吹かせ、噴出する水流の渦を吐き出させると、推進する位相が相殺されその場に、固定したまま
水流の大砲となって敵機を巻き込み、交差する勢いの侭、水中で機体を叩きつけ、
その衝撃で、コックピット内で、エアバックが作動、噴き出す鼻血が舞い、同時にヘルメットの吸引機構に吸い込まれる最中に、自爆覚悟の特攻を仕掛ける。
破損した機体を無頓着に、一気にスロットルを最大にすると、振動推進器が、オーバーフロー状態のまま
突進してくる。
周囲を自爆覚悟の特攻を仕掛けるその時に...。
...
...
...
一方、艦船上で、奮戦する第一部隊と、第三部隊の面々は、十 重 二 重と重なる
魚雷の連続攻撃に、一方的に防戦に回される。
いつの間にか敵の援軍は、2セット、3セットの追加が重なり
水中で奮戦するアンザスも迫る攻撃をマニュピレーターを含めて四枚ある盾で、
その攻撃を防ぎ続けるが、
水中での戦闘に手こずり、防戦一方次第に、流れ弾の魚雷が、母艦へと、ボカンボカンと
炸裂音と放ちながら炸裂していく、
更には、後方からの敵機の接近を知らせる。小型のAI端末のアラートで、
直撃コースに入る。閃光の瞬きを察知、操縦桿を倒しフットメダルを強く踏み込み、
メインスラスターと、テールユニットの推進器を同時に展開、その攻撃から母艦を守るべく転進。
大質量のビーム兵器の一撃を遮るもののその余波が、身動きの出来ない母艦へと突き刺さる。
特大の振動に苛まれる船体に、艦長のナンネン=ハイマンが吠える
「ダメージコントロール!!被害は何処だ?!浸水される前に隔壁を閉じろ。巻き添えになって取り残されない様に奔れッ」
その一撃に震える足場に取られて、第一部隊と第三部隊の面々が、水面の先へと落下し、
叩きつけられるまま、膨らむエアバックに視界を奪われ迫るッ
更に砲撃の二射目の閃光が、瞬き、母艦への直撃コースで放たれ、僚機に向かって狙った獲物を狩り取る様に
敵機の魚雷がまさに突き刺さるかに思われた瞬間、
その絶死の産声に包まれる僚機達が確かに幻視した、結末へと至る道行の中で、
アイジェスは、流れる唄に夢心地の侭で、起死回生の一手を放つ。
脳内に流れる。その言葉が確かな覚醒のトリガーを引き絞る
貴方から隠れた私を探してッ!!!!!
アイジェスは、唄を謡い。言葉を紡ぐ、「一葉灼伏…15%」
「その想い。二度と亡くさない様に、啼け《アースガルズ》(神々の庭)!!!!」
機体の各部が、紺鼠色の機体色から、三色の鮮やかなのトリコロールカラーへと
その表情が変わると、機体各部から、放たれる高密度の粒子が、海中の海水を一気に押し上げ、そして海を断ち割り
覆われていた筈の海底が、それまでの景色を改定し、その定めを捻じ曲げる。
放出される粒子砲の一撃が、《R.I.P》に直撃する瞬間に、何かのレンズに妨げられるかの様に明後日の方向へとねじ曲がり、目標を喪った
魚雷の雨が、対象を見失い空中に飛び出ると次々と爆散していく。
海中に没し、機動力を喪った僚機達が、襲われる瞬間に展開されたそれが、敵味方を区別するかのように、母艦と僚機達は宙へとあがり、
逆に敵機と魚雷群は、重力により、大地へと叩きつけられる。
尻が?!海が?割れる?!疑問顔の男尻は、震えながらその光景を眺め、
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぶべッ」
「ぷぎゃッ」
「尻が、尻が裂けるッあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。ぷちゅッ」
「骨がァ?!!漏れるぅっぅぅぅぅぅっぅぅ」
「腸がぁぁぁぁ...。ぐぁぁぁぁおぇぇぇおぼろろろろおろろ。」
暗転する何も見えない暗闇の中、
加圧される重力波に押しつぶされ、まっ平にプレスされ、煎餅状に押しつぶされると、口から内臓を吐き出し絶命するその姿が、地上に汚泥の様な叫びを残し、影を墜とす染みとなって逝く。
汚物を放り出すかのように、溢れ出るそれを必死に掻き集め、それでも叫び声をあげ向かってくる機体に対して、掌中を掲げて、射出する《錨》アンカーを怒りを以て叩きつける。
直上から打ち下ろされたその一撃が、コックピットを貫きそして、その圧力によって圧死する。
海底から伸びる大地の巨岩が次々と天へと突きあがる様に伸びあがり、機体を爆散させ、
その光景を見て声を漏らす。
「なんだ?報告に上がっていた敵の機構か?だが?水中では、《ニヴルヘイム(霧の国)》も《ムスペルヘイム》(灼熱の国)も効果が薄い筈???!」
「少なくとも発動しても...。不完全なものになるはず?敵機の機構の謎は、熱量の変換じゃないのか?一体何なのだ?!」
アズ=イ=ウには、まだ武装が残されいる。この尾の一撃さえ当てられれば一撃で死滅させあれる筈...。
問題は彼我の距離だ。
砲口から放つ粒子砲は、前方に展開される。光を屈折する障壁に阻まれ通らない...。
「何故だ?ナゼだ。貴様は何者だ?!?!」
海中に置いて、水蒸気爆発を推進力へと還る。強力なビーム兵器であるビームフィンを駆使して、四足歩行のその脚で接近戦を試みるが、その手に掲げた。黒く歪む空間と白く輝く空間が
繋がり、突如背後から現れた機影が、獲物を投棄して空いた拳を機体へと掬い上げる様に叩き込む。
瞬間、その距離が0から100へと変り、一足飛びに、大気圏外へと打ち上げられ。
宙から見下ろすその光り輝く光景の元で、爆散し、果てる。
一機が一気にに空へとあがる。
海面ならぬ、大地へと変わった海底の底面に、重力の力場に抑えられた機影が、次々に爆発炎上を繰り返し、
上空で果てた、巨大な機体以外の都合、18機にまでのぼる機影が、大地の染みとなって消え去る。
突如の異常事態に?僚機達は、狼狽える。
利かぬ機体のコントロールをどうにか取り戻そうと足掻くが、一向にその束縛から逃れられず、足掻いた先で...
太陽の光に照らし出され輝くエメラルドグリーンの海面に対して、静かにその荘厳なる光景を胸に次々と、着水していく。
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これは?またアイジェス氏が何かやったな?!?!
問題は、ボギー1であることが発覚すると多少気まずい事になる...。
最悪、快く思わない誰かに討たれるかもしれない。
ここは、拙者がッ!!!!!!
「みんなぁー見てみて―」
コックピットを解放し、海面に浮かぶ機影の中から、叫ぶ
「尻はでているのか?!!」
(。´・ω・)ん?
「なんだありゃ?アンザスがケツを出してるぞ?」
綺麗なまんまるお尻を晒して、左右にふりふり、陽光が煌めきその美しき臀部に反射しキラキラと光り
その注目を集めると、
なんだこりゃという空気が流れる。
「おい《仏頂面》トルウス04何のつもりだ?」
よし…罹った!!!!
「大変だ!敵の巨大な機体が何かしたみたいだぞ?!!急に跳びあがったと思ったら、勝手に爆発した。」
「みんな退避しろッ!!!!」
????????
????????
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謎の現象に、疑問顔の面々が、調査に乗り出す。
特にコーディー=スルーは、その光景に興味をそそられ、破壊された敵機の破片の回収を求める。
そこで、敵機の巨大な機体であろうその底尾に備え付けられた推進器の機構に目を付ける。
確かにその機構は、生じたプラズマや粒子ビームを急激に展開し水蒸気爆発を起こして推進力とする機構である事を
看破する。
なるほど…これが誘爆して、自滅したな?
だが、なんで海が割れたんだ?
「海中に居たのは、《仏頂面》トルウス04とドン・キホーテ―の二人のみだ?一体何があった?」
其処に大気圏外から落下してきた、機影が、僅かに可変し、その姿が、いつもの見慣れた其れへと還っていく。
...
...
...
スラスターを吹かせ乍ら、着水する機体を眺め。
「なんだ。ドン・キホーテも飛ばされてたのか?平気か?状況を説明しろ。」
その声に応えるアイジェスは?
( ゜д゜)ハッ!となり、その声に応える
「なんだ?一体何が起きた?母艦は無事か?????」
「いや、貴殿の方が大丈夫か?可成り上空まで吹き飛ばされていたが????」
コーディー=スルーは、敵機からサルベージしたデーターベースで照合するもその機体のデータが存在せず。
恐らく、新造の試作機を投入して、機動実験に失敗したとの推測を以てこの件を、クローズさせる。
その行為の真なる意味を、把握しているのは、少年唯一人。
(このおっさんなら...。きっと母さんを)
...
...
...
一機のセイレーンを駆る乙女は、その効果範囲無いから脱し、母艦への帰還を果たすが...
その人が唯の肉塊へと変わるその一部始終を、コンソールに映る。画面で目撃し、震えながら呟く。
「化け物...め。」
態勢を整えて、大西洋を横断し、無事。南米に存在するギアナ高地の地下本部へ入港を果たす。
突如、「本艦はCarpe Diemカルペ・ディエム第5方面部隊所属《R.I.P》ならびに《エンゼルフィッシュ》。UNKNOWNに関する重要な情報源を確保した、協力を求む。」
「入港の許可をされたし。」
「こちらコントロールセンター《管制室》、入港を待て、貴船が入港する様な連絡は受けて居ない。確認する為、停止線に併せて旗艦の停止を求める。」
「了解。但し本艦は、重要な情報原を移送してきた為、急がれたし、オーバー。」
突如、予定の無い入港申請に、手間取りつつ、船は入港を果たす。
広く間取りを区切られた、基地内の作戦室に置いて、会話が続く
「しかし、君達が報告してきたことは、事実なのだろうか?」と、そう疑問を呈するのは
Carpe Diemカルペ・ディエム本部で、将軍の地位に着くヴェニ=ヴィディキは、慎重に言葉を選んで問いかける
「将軍、そんだらこったねー話を鵜呑みするのは?ここは現場を預かるわたすが、用件を伺うだす」
「大佐、君も同席して貰うが、この件は私が直接対応する。」
不満顔のソォンナ=コッタネーは、苦虫を噛んだ表情のままその場に控える
「で、現存するのだろう?UNKNOWNの機体を鹵獲したとの報告を受けている。それは確かか?」
その問いに、ナンネン=ハイマンは、敬礼をしつつ、その問いに答える
「( ゜д゜)ハッ!その通りであります。敵機を鹵獲しております。つきましては、この本部での解析を実施して頂きたく、馳せ参じました。」
「ふむ、何故、直接通信を行わなかった?」
「長距離通信は敵に傍受される危険性がありましたが、数度試みたものの返答がありませんでした。」
「もしかしたら...通信が妨害されているのかと?」
確かにな…と小さく頷くと、
「しかし、俄かに信じがたい。月に、その周辺のラグランジュポイントも悉く敵の手に渡って居るとは?」
「今だ月との連絡は取れているな?」
「そうでごんす!!!!定期連絡は異常なしでごんす。定期的に送られてくる資源も滞りなく搬入されておる。」
「確かに地球圏では、確かに奴らの跋扈が目立ち始めている。我々も対処に負われているが、いかんせん敵の能力が不明で押されている。」
「手が回って居ないのが実情だ。もし君達の言っている事が本当であれば、どうして敵の勢力圏から、逃れられたのか?」
「( ゜д゜)ハッ!、現地にて、鹵獲した敵機の動力炉を使い、新造機体を活用し、その危機を潜り抜ける事が大きのかと思われます。」
背中に冷や汗をかきつつ、用意していた言葉を吐いて、相手の表情から、其の意図を伺いしろうと此処とみるが、
やや恰幅のいい体躯に、蓄えられた顎髭をさする将軍に対して、視線を外さずその答えを待つ。
「大佐、基地の技官を集めてくれ、鹵獲した機体をチェック後、基地の研究棟へ搬入、機体の解析を行う。」
「敵の目的。そして、本拠地を割り出し、奴らの不可解な技術を識るのだ。」
そういって、基地内から招集された。技官やメカニックの作業員が、一斉に、鹵獲した機体を収容している整備艦に集まっていく。
基地内から派遣された作業用機体が、運搬用の荷車に収容して、基地内へと運び込んでいく。
「ほぅ。これが、君らの言っていた新型機か?その名は確か...Diem Perdidiと言ったかね?」
「戦闘記録と機体データの提出を求めても構わんかね。宇宙の同胞よ。」
「( ゜д゜)ハッ!問題ありません。」
「解析までは、時間がかかるであろう。暫くの間、基地内で長旅の疲れの羽を休めると良いだろう。」
...
...
...
「なぁおっさん?」
ぴょっこりと、格納庫の柱から顔を出す少年に、やぁ?なんだい?と其の尻で答える
「いや?真面目な話をしてるんだけど?どうにか機体の解析に立ち会えないかな?」
「んぁ~それは難しいかな?軍事機密に当たるし、拙者やアイジェス殿でも、難しいでござるよ。」
「精々同席できるのは、艦長や、コーディー=スルー上級技官ぐらいじゃないかな?」
「そこを何とか?」
んー尻をふりふり、左右に振りながら、漸く傷がいえたそれに満足しつつ、答える
「向うから、協力や情報を求められたら…あるいは?だけど…」
(そんな事、あるのか?疑問が残る...可能性的には、コロニーの唯一の生存者である事で、なにか質問される事があるかもしれない。)
(その瞬間に、情報を聞かされるかも?それとも...。)
(それも大事では、あるけど、ボギー1の事実が露見すれば...銃殺刑になるかもしれない。)
そんな心配事を我関せず
「なぁ、心配してても仕方が無いし基地を散策して旨いもんでも喰おうぜ。」
(俺にはやましい事はないからなぁ...問題は、鹵獲機体から収集できるであろう。彼女や、春幸達の親の居る場所…敵の本拠地の情報をどう知るべきなのか?)
(その一点に集約される。他はどうでも良い。)
(最悪、機体を使って...。)
「はぁーやれやれ、仕方ない。どうせ解析が終わるまで、動けないし、いっちょ旨いもんでも喰いにいきますかな?」と、同意の言葉を吐く。
...
...
...
其の頃、基地の技官たちは、鹵獲した機体《傾城魚》(チンチェンユー)の解体を試み、
未だ厭かぬコックピットの開錠を試みるが...
一日目…なんの進展も無く時が進む
二日目…何も判明せず...この際、物理的に解体する事を検討し始める
三日目…本部での解析では、コックピットの開閉すらままならぬことが分かる。
一週間後…メインハッチを強制的に開放した場合データーが自動的に消去される様な、仕組みを発見し、作業が停滞する。
一向に進まぬ、その状況に、大佐は痺れを切らし、将軍はため息を漏らす。
側に控える艦長とコーディー=スルー上級技官は、本部の真新しい設備に、期待を込めていたが、二週間を経過する頃になると...
それまで抱いていた徐々に翳り始める。
「時に、艦長。」大佐と呼ぶとソォンナ=コッタネー大佐と混同しそうであると断りをいれてその呼称を選ぶ。
「件の機体を回収したと言われるコロニーの生存者に、話を聞きたい。呼んで貰えるかね?」
「なにかこの膠着状況を打開できるような情報が欲しい。」
それから...。
「機体データと戦闘記録を見せて貰ったが、俄かに信じがたい。我々のディエムの五倍以上の出力を誇る動力炉に、数々の経緯、実際に目にしない限りでは...」
「時に、記録でちょくちょく現れる。黒い機体…あれはいったい何かね?前時代的な旧式機のヴェリタスとも、他の作業ローダーや機体とも違う機影が要所要所に現れる。」
その問いに...興味を失いかけた。コーディー=スルーがスルーせずに喰いつく。
「それは興味深い問いです。L5のコロニーで、現地調達した協力員が乗る機体で私も詳しい事は知りませんが、実に興味深い。」
(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪と唸りながら、それまでの経緯を話し始める。
「ほぅ…」
少し含みのある笑みを浮かべるもその思考は、一向に伺いしれない。
「すまないが、今は手がかりが欲しい。呼んできて貰えないか?」
(敵機が密集する戦場に置いて、重要的な場面で必ず...そこに居る。そして...敵の狙いがいつもこの機体に集中している。それは?一体何故なんだ?)
疑問顔の表情を隠したまま、にこやかな笑みを浮かべ、その要望を依頼する。
...
...
...
(。´・ω・)ん?
何かの予感を感じて、基地内部で光々に大地の天井を仰ぎみる。
今何かが確かに動いた...
「どしたでござるー。艦長に呼ばれたでござる。拙者がエスコートするでござる。」
先導するアンザスに連れて、向かった先の建物で、厳重にボディーチェックを受け、
アンザス、アイジェス、春幸、碓井=ユズリハ、ユミナリア、羽住、玻座真=外崎、らがそれぞれ厳重なメディカルチェックも受ける。
数々の密閉された廊下を潜り抜け、進んだ先で、待っていたのは。
何処か好々爺の柔和な表情を浮かべる。老人が居た。
会議室らしきその部屋で、入り口を固める軍人らしき人物を左右に
「さて、そう格式張らずに、君達に私は、話を聞きたいんだよ。」と、問いかける。
見ると目の前の机には、お茶菓子と、ティーポットが置かれている。
自らその椅子を引いて、座る様に促す姿を忌々しそうにソォンナ=コッタネーが睨む。
...
...
...
各自の此処迄の経緯と、状況を聞き取り、何か閃く様な、インスピレーションの発露を観る。
「どうやら君達も大変だったようだね。」
「親御さんたちの動向も知りたいだろう。すまないが、続きは、場所を変えよう。何か気付いた様な事があれば、儂に教えて欲しい。」
優しく語り掛けるその言葉に、春幸は弛緩し、現在の作業状態を聞くが、
その結果が芳しくないことを知る。
研究棟の奥深く収容されたその機体に、多数の作業員や研究員が様々な機器を取り付け、
何か作業を試み続けるがそのすべてが無為に追わる。
其処にちょっと良いかね?と、語り掛ける老人に、
「将軍、困ります。部外者を入れては?」
「なぁに問題ない。君たちこの機体に関して、我々よりも知っている事は多いと思う。なんでもいい、キーワードや奴らが何を話していたか?その情報を教えて欲しい。」
「パスワードや機体の解析作業に、手こずっていてな」と、正直その状況を知らせて、何かの情報を引き出そうと試みる。
口々に、少年少女が、コロニーでの生活で見知った情報を次々と話し...
パスワード解析に掛けるが、それで無反応
そこで、徐に乗り出したアイジェスが...その機体の開閉作業…俺も試させて貰っても構わないだろうか?と、申し出るが、
技術官が難色を示し、触るなッっとアイジェスを突き飛ばす。
咄嗟に機体の前面に手を触れると、
解析作業中の技官が驚きの声を上げ、プッシューと音を立ててハッチが開き、コックピットの各部に灯が入ると、
それぞれのモニターに、情報が流れ込んでくる。
「おぃ、どうした?誰か何をした?」
「いや、私は何も????」
「俺も何もしてないぞ?」
そう答えるも、興奮気味にその光景を見ていた。将軍や、技官たちが、興奮を抑えきれないまま、
主機、副機、それぞれの解析機を接続、機体内部からその情報を引き出していく。
分かる。分かるぞ。その全てが...分かる...。(。´・ω・)ん?
その条文を見て、一斉に覗いていた人間達の血の気が引いていく。
なんだと...?!
...
...
...
リアクティブジェネレータ(Reactive Generator)通称ダグザの釜
・・・
その目的…
...
行動の謎...。
そして敵の所在地に、由来の履歴が、隊長機であると思われるそれから、次々と引き出されて行く
それまで謎とされていた。敵の動力炉の燃料は...。人間...。
神隠しと称して、薪の回収をして、狩りを行う。
その時、触れていた機体のハッチの内側に手をかけて、その違和感に目を向けると
構造体と一部に、何か柔らかく硬いそれに触れる。
目を見開いてみると其処には、装甲材と一体化された、人の指らしき残骸に触れて、慄く。
その挙動に違和感を覚え、
「一体どうしたんだ?」と声を掛けて驚愕する。
「おぃ、採取したサンプルを成分分析を鉱物じゃない。有機体生物由来とのマッチングで再チェックをしろ」
退けっっと
アイジェスの身体を押しのき、その作業員たちが騒めきだち、子供達をその場から引きはがそうとする。
ハッとして少女が叫ぶ、「お母さんッ!!!!!指輪ッが」
いやいやする様に、抵抗して暴れる子供たちに
「静まれッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
大喝する一斉が辺りに響きわたり、
「失礼した。まずは落ち着くのだ。」
「その機体が開いた理由が不明だ。時間制限があるかもしれないここは一先ず調査に協力して頂きたい。」
「君達も知りたいだろうが、ここは抑えて貰おう。」
そう言葉を区切り、部外者たる人員をその場から引きはがしていく。
・・・
・・・
・・・
別の部屋に、通された子供たちは、用意された紅茶やお茶菓子にも手を付けず、
熱々だったお茶は、既に冷めきった頃に、漸くその結果が判明する。
先ず一つ、その機体の構成物質は...99.8%人由来の何か?
ジェネレーターから採取された燃料...も人由来である事が判明。
同時に、人を走らせ採取していた。DiemPerdidiのジェネレータから
燃料らしき粘性の液体を取り出し同じく成分分析に掛ける。
その結果、内部のDNAが、行方不明となっていたミーミルの住人と一部一致する
消えた住人は何処にも逝って居なかった。ただそこにいつも一緒に居た。
リアクティブジェネレータ(Reactive Generator)と呼ばれるその機構は...生ある人間を生きながら、
別の物質へと転換させる機構とのこと、奴らは物資が枯渇するとそれを...。
薪を求めて出没する。
まさに人狩りならぬ《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)...
なんだと...じゃぁ今まで撃墜してきた機体...。そして新型の今や忌々しいその意味を持つそれが、消費していた燃料は...
全て...。
その事実を叩きつけられた。人員たちは、大きく狼狽え…言葉にする。
「じゃぁ、変えられた人たちを助ける方法は???」
「現状では、存在しない。遥か未来の誰かが発見するかもしれないが、現在の科学力では...奴らの力を持ってしても、その姿を元に戻す術は持ち合わせて居ないようだ。」
「うぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”そんなの無い!!無いよ。嫌だよ。」
「春幸ッしっかりしろ。大丈夫だ。きっと大丈夫だ。」
叫ぶ少年を抱えて必死に答える。
(そんな、じゃぁ、彼女は...でも、此処で狼狽える訳には行かない。俺が冷静にならなければ...。)
【そうだ、其の為に私は、此処に還って来た。】
脳内に響くその一言を受けて、アイジェスは冷静に務める。
幼女が泣き叫び、少年が吠える。そして過呼吸気味に、嗚咽を繰り返し、「指輪ッ、指輪と叫ぶ」、「母さん…」「嘘だッ、嘘だそんなの?!」
呼ばれた軍医が、手に持った袋を使い過度な呼吸を袋に向かって呼吸させる事により抑える。
「しっかりして、調べたが、あの指は、君のお母さんじゃない。違う別の人の物だった...君もメディカルチェックを受けてたろ?」
「本当?」
「嗚呼、それに…時期的に合わない。もし仮にあれが君のお母さんなら、襲撃に使用された機体の一部になっているのはおかしい。まだ、猶予はあるはずだ?」
「将軍、しらせながった方が、えがったのでは?」
「そうもいかないだろう...何がキーになっていなのかは…分からないが、パンドラの箱は空いた...敵の目的と正体そして本拠地の場所は判明した。」
その言葉に、はっとして、抱きしめる腕の中で嗚咽する。春幸を抱えて、「それはいったい?」と次の言葉を促す。
「そうだな、今、詳細なデーターは、収拾中ではあるが、奴らは...《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の正体は...」
「且つて地球に存在した。星降る夜に絶望し、この星を捨てて逃げた人々の末裔だ。」
「外宇宙を目指して旅立ったものの、新天地を見つける事なく、宛てのない旅に疲れて、この星に戻って来た。」
「恐らくこれは推測だが...奴等、ステリス・クピドレス (Stellis Cupidores)を自称するモノどもは、資源の枯渇した宇宙で生き延びる為に、
生物を資源に変えるリアクティブジェネレータ(Reactive Generator)を発明し、それで喰い繫いでいたのだろう。」
「それを我々の住む星で同じ事をしている...」
その説明を受ける中、コーディー=スルーは、打ち震えていた...
歓喜にも似た笑みを浮かべながら、端末に表示されていくデータを眺め、何度目かの絶頂を果たす。
その歓喜に拘泥し続ける。男を他所に、苦々しい表情のまま、説明を受けるナンネン=ハイマンは、
「将軍、続きを、それに各員この事は、何処まで公開するか?慎重に検討する必要がありますな。」
「そうだな、君達も、公開される情報以上に、喧伝してくれるな。」
そして、判明したミーミルの住人たちの結末に、アンザスをはじめ軍人たちに動揺が走る。
俺達が今まで戦う為に使っていた燃料は...。救うべき人々を削り燃やし薪として走っていた...
其之動揺を受けつつ、続く言葉を跳ねさせる。
「奴らが変えたモノをこれ以上使用する訳には行かない。Diem Perdidiは、封印。敵の技術を友軍機に転用するのを例外を除き固く禁ずる。」
その命令に、抗議を上げる声があがる
「しかし、将軍、我々が戦ってこれたのも全て、新造機であるDiem Perdidiの性能を以てしての結果。」
「寧ろ、解析し、増産すべきですッ!!!!ご再考を!!!!!燃料は奴らをッ」
「諄いぞ、技官ッ!!!この決定は絶対だ。同じ穴の貉になる訳にはいかん!」
「尚、是より話す情報については、公に出来ないモノある。」
その決定に、不満げな、表情を浮かべる幾人かと、動揺する軍人に、違う意味で狼狽える技官、それぞれの思惑が混ざり合いながら
その問いの答えが紡がれる
「そして、問題の奴らの本拠地は...。」
...
...
...
震え嗚咽する少年を抱えて、歩くアイジェスと、元気の灯を失くした《お調子者》は、これまでの経緯を仲間達にどう伝えようかと思い悩む。
今後は、乗機たるDiem Perdidiも使えなくなった。
それで戦い続けられるのか?
ジェネレーターについての顛末は、恐らく臥せられる。公開するには、危うすぎる。
以後、月を含めた敵の勢力圏の解放を求めての軍事作戦の準備に入る。
新型機が使えない為、それを補うには...
喧々諤々、意見をぶつける技官たちの声に、其の内の一人、やせ細ったその眼鏡を描けた
おかっぱ頭の技官が、アイジェス達に話しかけてくる。
「やぁやぁ君達、ちょっと話をしても良いかね。」
(。´・ω・)ん?
どなた?
「初めまして、僕は...ここ本部で活動してる、クルーニー=ブルース特別顧問だよ。」
「少しいいかな?アイジェス=ブラットワーカさんで、いいのかな?君の機体に少し質問をしたい。」
「因みに、将軍からの許可は貰ってる。」
やや、その話しかけてくる青年に、警戒色を魅せるモノのその柔和な表情で、警戒心が薄れていく。
ところで、君達は知ってるかな?僕らが使うディエムに使用されている動力について。と話を切り出していく
根本的な問題、奴らの世界の動力炉とここ迄差がある我々の世界での核融合炉とどう違うのか?
我々が使用する核融合炉は、超伝導放射能吸冷却材(Superconducting radioactive coolant)SRCと名付けられた放射能を吸収し冷却し、超伝導を備えた金属を使用したもので、我々が使用してるビームライフルは、そこで生じたプラズマのエネルギー一部流用している。
それなのに、何故ここ迄、戦力差があるのか?
その問題について議論したいと、話しかけてくる。
(。´・ω・)ん?
そうだったのか?でも、そんな技術の話をされても困るんだが?と、返すと
「確かに、将軍は、敵の技術の転用を禁じられたが...例外はある。要は、人体を使用したジェネレーター技術の転用を禁じているだけだ。」
「敵の人間を薪として燃やすことを禁じるが、敵の使うビームシールドや稼働させる特殊機能について、どうにか現用の我々の動力炉で再現できないか?」
は、論ずるに値すると、僕は思って居るし、その許可は取り付けている。
それには、君の力が必要だ。
( ゜д゜)ハッ!っとなって、少年は泣きはらした顔を上げて、その手の内から降りると、大きな声を上げて抗議する。
「なんで奴らの技術なんて使うんだよ。おっさんもそんなのに協力するなッ」
「しかし…春幸…」
(戦うには...力が必要だ...。奴らと同じ動力を使うのは業腹だが...。戦力の増強は必要だ...)
「奴らと同じ事するおっさんは、嫌いだッ!」
そう言って通路を走り、何処かへと消えていく背中を、アンザスが、「ここは拙者が!」と、後を追いかけ
名残惜しそうに特別顧問との会話に戻っていく...。
...
...
...
後を追う、アンザスは暫くしてその姿を見失い。少年の姿を探す。
...
...
...
追いかける姿を振り切って、元居た整備艦へと、戻り、格納庫に鎮座する。
機体…デスペラードの姿を眺めて、意を決してメンテナンス用の《点検歩廊》(キャットウォーク)に昇ると...
さっきは、言い過ぎたかな...と、ぽとりと言葉を零して、コックピット付近のハッチに手を触れると、
ひとりでに、開き、見慣れたコックピットの姿がその目に映し出される。
えっなんで?この機体って、おっさんにしか起動できなかった筈なのに?
おっかなびっくりしながら、乗り込むと、コックピットの座席に座り、その操縦桿を握り、コンソール画面に灯を入れる。
これを僕が操縦できれば、今すぐにでも母さんを助けに行けるのに...。
灯が入り画面に映るその文字を次々と切り替え、
そう言えばこの機体の動力炉って何を使ってるんだろう?そうふと思い。画面を操作すると...。
コンソールに表示されている稼働中のジェネレーターに関する文字を見てしまう。
リアクティブジェネレータ(Reactive Generator)…稼働率100%…《...ドライヴ...》欠損率20%
えっ?!?!?!?!
なんで?奴らの《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)と同じ動力炉で動いてるの?????????
もしかしておっさんが裏切者だったの?
でも、おっさんは、僕を助けてくれたし、奴らを何度も撃退してるのに?????
今までの疑問が脳裏に過ぎり、そして意を決して、備え付けのマニュアル端末を開き読み進めていき
機体の動力炉の場所を確認。
コックピット内の壁面を開き、その機体の中心部へと進んで行く。
暗く仄暗く、通路らしき空間を抜けて進むと、そこには、やや開けた空間に出る。
其処には機体内部に根差した。天井から放射される陽光に照らし出され光り輝く樹木と、
その奥に、春幸は知らないが、かつての文明で使用された蒸気機関の火室の様に、開閉する投入口が垣間見える
「なんだこれ?!これがこの機体の動力炉なの?」
そう呟き、思考する。
でも、なんで?樹なの????これはいッ?!?!先日、遭遇した戦闘でも、その出鱈目な機能を見せつけ、
海を断ち割り、そして巨大なMAを拳の一撃で遥か彼方へと打ち上げたそのその機体の動力炉が、唯の樹木…木だなんて
一体何の冗談だ???????????????????????????????????
それまでの怒りが消え去り、新たな疑問が残る。
そこに目に入ったのは、ラテン語で刻まれたプレートの一文だった...。
それを読み。反芻するもその意味は未だ分からず。物語は進む。
...
...
...
自室へと引き籠もり、日課の誰にも届かない手紙を書き始める。
孤独を愛する君と人が好きな俺じゃ釣り合わないなんて、分かりきって居た。
いつか離れるなら最初から出逢わなければよかった。
自らの半身抉られる様な痛みに、支えが啼ければ、立って居られない。
そんな、いつも、この手で、描くこの手紙が最後の言葉にならないのか?
そう思いながらこの手紙を描く。
宛先の無い手紙だけが、うず高く積み重なっていく。
唯々、未練がましい言葉の羅列を繰り返しては消す作業を繰り返し、
寄せては還す潮騒の如く、思考は千々に乱れて、その波間に揺れる心の様に、
眼前の己の心たる海岸線を次第に削り、嗚咽が漏れる。
必死に声を殺して、流れる一筋の雫が、心の動揺を誘い。
その手でその涙を拭う。
きっと大丈夫…きっと…譬えどんな手段を取ろうとも、何者をも屠ろうとも、
必ず彼女をこの手で救い出す。譬え、悪魔にこの魂を売り渡すとしても...
...
...
...
その日は、夢を看た。いつもなら、不機嫌そうなその無表情のカをがその時は、微かに高揚し、静かに笑う顔が、一瞬現れ、そして消えた。
眠る夢の続きは、何処に残らずそして、消え去る。
それでも...。
朝、目を覚まして、泣きはらした目を擦り起き上がる。
「俺は、泣いていたのか?」
これでは、駄目だな、春幸の奴に笑われる。俺がしっかりしなければと、
熱いお湯を沸かして、コーヒーを一杯注ぐと、一息に飲み干す。
その嚥下する喉は、苦みを交えた不安を飲み干す様に、この物語も休息へと入り
一先ず終わりを観る。
次に待ち構える悲劇に、そして気付くことも無く、閉幕する。
続く
〆
毎月、月末最終日に2話更新予定。
誤字脱字、誤りがあったら教えてください修正するので、ちょっと早いけど。前倒しします。