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無法者の詩  作者: 唯の屍
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第四話「そして、星は居なくなった」


「アンザぁぁぁぁぁス?!」


「お前…珍しく撃墜されそうにないな?!?!」


「隊長、ここは、おいらと兄ちゃんに任せて、味方の退避を!!!!!」


(これで良いよな?他の隊員には、あの姿は見せられない...し)


「お…お前…そんなに…(奴の…漢の尻が好きなのか?!)」


跳んだ飛躍した誤解を生じさせながら、戦場は激化する。


互いに一進一退を繰り返す。戦場の中で、詩が聞こえる。


誰かが唄う歌声を聴きながら撤退する機影が去った後には、その耳元に微かな色を残して、その一言が何もない虚空に響き渡る。


「エンコード...、《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》」


(必ず、彼女の…星の行方を聞かせて貰うぞ!!)


そして再びのその唄が戦場を翔ける時、末期の叫びが響き渡る。



音声認識による識別により、使用者権限を確認。


コックピット内部では、身体の各部を飛び出したアームや、拘束具により、パイロットの手足を固定、円筒状に包み込むのと同時に、


機体の外部のバイザーや各種部位内蔵されるロックボルトが解放。長方形のバイザーが上に上がり、それまで隠れていたはずのツインアイが露出。


鬼の角の様に伸びバイザーから突き出されたそのアンテナの一部が枝葉となって発光しながら、その威容を魅せる。


そして、覗く、線型は鋭く無骨で且つシャープな主顔おもがおの景観から分解解放を繰り返すその面差しは、まるで牙剥く鬼の口腔を覗かせ、


最後に後頭部から、一本のブレードアンテナが迫り出して、三本ツノとなり、其れまで、マニュピレーターと思われていた。


肩、腕、脚、背面にそれぞれ設置されている。隠し腕の内、腕部と肩部のマニュピレータと、バックパックの背面全体に刻まれると、


同時に、稼働する展開部と、競合する外部装甲とブースターをパージ。ギミックの展開と共に、射出するブースターを


弾体兵器として敵機に対して放出。


其れまで隠れいてたツインアイの鬼の形相の面が顕れ、そして、2本の腕と脚部には基部に隠れた鬼が踊り、腕部のマニュピレータが可変した


アームカバーは隠し腕状に展開されたまま、独立機構のレッグーカバーとなるその機構にも鬼の面が顕われる。


都合、八つの顔と、六本の腕、偽装されていてそれらが開放され、異形へと変形・変身、いや、変態する。何かを語るように其の不思議な表情を垣間見せるその機体は、八面六臂の修羅と為らん。


その姿を視認して、敵機の反応が様変わりする。襲い掛かるブースターを親機の大出力光波及び炸裂弾頭の誘導兵器を同時展開


命中する寸前で、破壊する。


光の粒子と爆裂が、縦横無尽に跳ね馬の様に暴れまわる空域に、光る火球の群が現出し、同時に、右腕に装備されたロケット砲を連続射撃。


その場限りに撃ち尽くさんと吠える。火獣の咆哮が吠え渡る。


小型の一機がその炎に巻き込まれ爆散し、焔の華を宙に開き、閃光が戦場に深い影と陰影を刻みつける


そのコックピット内部では、備え付けのサブシートに座る少年は、一体何が起きたのかと訝しみ、それまでその身体に掛かっていた。


敵機との追従軌道を描き稼働した結果その身に押し付けられていた強烈なGが、いつの間にか消失している事に気付く。


(あれ?さっきまで苦しかったのに?急激なGが感じられないし今は苦しくない?それにこれは...)


さっきよりも高速かつ急制動の繰り返しで、動き回っている。


其れなのに楽だ?なぜ?


そして頻りに誰かを追い求め、欲するその姿を見やり...


この男…中年のおっさんは...何を探している...。目的は、アイツらと同じなのか?


より一層に警戒の色を強めながら、春幸は、サブシートの隣で、優雅に操作し続ける。その不思議な状況を眺めながら隣で奮戦する男の表情を窺い知る。


コックピット内では、男が持っている旧式の小型レコーダーから誰か、女性が唄っているであろう歌声が、響き渡り、男もその言葉を追いながら輪唱している。


およそ、戦闘中に行う様な行為ではない。


だがその声に不思議と懐かしさを覚える。それが春幸の警戒をさらに深めていく…。


真空の宇宙空間では、外部の音は響かず、無音の世界が唯広がっているだけではあるが、


それでも、密閉された数メートルの狭い空間のかなでは、その唄が響いている。


そしてその詩に導かれる様に、その挙動が、上下左右あらゆる角度で、その視覚情報をどうやって処理して、


その操作をおこなっているか不思議ではあるがが、飛び跳ねる弾体の群が、次々と、飛来する子機と撃ち合いを繰り広げ、


バランスを崩し、バーニアを吹かしながら姿勢制御を試みる《傾城魚》(チンチェンユー)に、返せとばかりに、言の葉の雄叫びをあげて、迫る。


態勢を整え、迫る弾体の雨を、その腕部に保持する盾とオービット・マインを咄嗟に展開。その爆裂と熱量をその壁面に


捉え吸収し、貯めた熱量を、熱線として放出。僅かに、軋んだその光景を目で捉え、


相対するマンティコレと多数の砲撃台を視界の端に捉えたまま、振り向きざまに、弓でのボールベアリングの射撃を試みる


赤雷を引きつれ発射されるそれが、堅牢なる防御を誇るその盾に向かって直撃する。


熱量では、無く物理的衝撃を以て射抜く一撃により、その表面の装甲に破断が走る。


それでも尚、菱形のオービット・マインが周囲に展開されながら、それまで溜めていた熱量を放出しながら迫ってくる。


僚機の一機と渡り合っていた。小型の竜を形どった数機のグヤスクトゥスは、急遽転進、その頭部から光彩のきらめきを放ち


牽制射撃を敢行、此方の行動を(うからか)かす。かの様に、敵機同士の連携を取り始める...。


(唄だ。詩が聞こえるこの詩は...)


(このプレッシャーは...。奴だ...奴が来た…)


マンティコレを駆る人喰いの少女は、心なしか懐かしいその感覚を思い起こす。その存在。


迫りくる脅威に向かって、答える。


(ミツケタ…)


同じ疵を持つ、存在。ジンボ少佐らが行っていた作戦目標、探してやまないその存在らしき

片鱗を見せるそのモノに。


奴は、唄と共にやってくる。


...。


男は唄に耳を聞かせて、詩を謳う。


俺は、彼女の残してくれた唄を噛みしめる様に聞き惚れる。死と隣り合わせの暗闇の中で、其れのみが、無明の闇を歩く


替え添えとなる灯台の光。


詩を謳うのが好きだった。唄を唱える姿が好きだった。


未だ残るのは数篇のかつて残した唄のみ、残された唄を聞くことが、周りの喧騒や死の恐怖を紛らわす一助となっていた。


それでも男は謳う様に詠う。


宙を駆る。命を刈り取るその舞踏を踏みながら、向かい来るそれに対して


あの時あの場所の異常機体を目にして、異常な期待が膨れ上がる。


突如それまでの緩い警戒網を敷いていた親機と子機が、一斉に不規則な変則軌道へと転換。


周囲を包囲しつつも、推進剤と射出する光芒を惜しむなく牽制と共に、弾幕を張りつつ攻防を繰り返す。


斜め前に更に前後左右から伸びる。射角の光を噴射するマニュピレーターから噴出される


推進器代わりのその衝撃を伴った光と共に、変態機動を開始。


通常時の三倍を超える軌道を描きながら、次々と、射出される。思考誘導の弾体の雨を潜り抜け、


そして、退避していく僚機たちの姿を後方に庇いながら、向かい来る。望外を望むその乱れ撃ちを


器用に身体を傾け、やり過ごし、追尾する弾体を、上下に狙いを外して回避しながら、


後部に展開させた。マニュピレータから吐き出される。衝撃と共に吐き出されるその一射が、


同時にこちらに向かって吐き出された燦然と輝く輝弩の牙が、お互いのその基部へと向かって放たれる。


僅かに、相手の光輝がいち早く弾着する。


到達した光の粒子砲が、命中する直前で、輝弩の牙が放たれると同時に生じた。


機体の前面に放射状に広がる衝撃波に沿って流れ、明後日の方向へと霧散する。


そして、応撃として放たれたアイジェスの駆るデスペラードが放つ一撃が、子機の一機を撃墜。


その姿を目撃し...


今のは?エネルギーフィールド?なのか?単なる物理的阻害なのか?


理由は分からないモノのの阻まれこちらの攻撃が通らない


「各自、目標の死角を狙い、飽和攻撃で押しつぶすのッ!」


気合いと共に放たれたその言葉に併せて


《傾城魚》(チンチェンユー)と数機のグヤスクトゥスが、マンティコレのオールレンジ攻撃に併せて、多重の飽和攻撃を開始する。


周囲を囲まれ、絶対絶命の最中、横合いから放たれた。


極太の放射される高出力の光の柱が、一機のグヤスクトゥスと《傾城魚》(チンチェンユー)を巻き込んで、


御柱となった光が、戦場を切り裂いた。


「ガスの元栓、冷蔵庫のドアの締め忘れはご注意を、そしてプリケツのおいらも忘れずにッ!!」


子機の視覚共有により、思考に過ぎり、仄かに目撃したその視界一杯に、ぷりっと膨らむ男尻が、広がり、

その光景に狼狽える


なによ...ッ?!桃?!驚愕する少女は、思考を走らせ、浮遊する砲台を操作し、親機と子機の三分の一を


大口径の咆哮が叫ぶ方向へと転身させ、


消えゆく閃光の彼方から、楯を構え装甲の一部を融解させた《傾城魚》(チンチェンユー)が、戦場を破損した機体を


立て直しながらも、転進。


ジェネレータをフル稼働させ、次射へと繋ぐ、チャージを敢行するも、向かい来る脅威に対しては、その間は、無防備となる。


それを見たアイジェスは、デスペラードの変態機動を、回避軌道から、僚機のフォローへと切り替え、進む先に


残る三分の二にあたる親機2機と子機4基の砲台が、阻む。思考誘導型のミサイルの弾体と光の砲口を向けて一斉発射。


恐らく残る残弾数を考慮しないその乱れ撃つ攻撃に対し、回避行動と共に、迎撃を選択。


その光る陰影を刻み吠える無音の叫びの中で、


少女は、自らの腹に刻まれた傷…《聖痕》スティグマが疼くことを感じ、身悶えをしながら震え、額から玉の様な汗を噴出させ、思う。


誰だ?誰だ?誰だ?私を苛むのは誰だ?傷が痛む。酷く痛む。そして鼻孔をくすぐる仄かな「にほい…」臭くて堪らない...


この匂いはなんだ?!


疼く疼く、疼く、身体が徐々に熱を持ち、身悶え、狂い。思考とリンクする。子らが、身悶え狂う。


追従うする様に追いすがるそれらに対し、


縦横無尽に、星の輝きを倍するには、遠くとも、視界の先で捉えるには難しいその軌道のまま、


あれだけの軌道を描けば、乗っているパイロットは生じるGに耐えきれず早晩、絶命する筈。それなのにまるで意に帰さずに


此方の放つ攻撃をその数多ある手を使い。砲身を構えたバズーカー砲と腕部のロケット砲の連撃で、潰し尽くす。


残弾数を使い切った。実弾兵装の残りは、頭部の外付けバルカンと脚部グレネード数発、


弓と更に、試作大型ビームラム発生用の機構を残して残りのデッドウェイトとなった外部装甲と共にパージ。


繰り出される攻撃を捌きながら、目前で、アンザスが駆るDiem(ディエム) Perdidi(ペルディディ)に向かい。


収束する光の檻になり切れないままの親機1子機2機の編隊が、大型、小型を含めた


ビーム発信器による砲門が、固く閉ざされたその装甲の奥先に向かい放たれ、


装備するディエムと共通して配備されているシールドを掲げ防御するも、その余波により、装甲の端が


反射した光の端に削られ、そして構えていたビームランチャーが誘爆。内蔵していたジェネレータの補器を巻き込み爆裂の花火を花開き、狂ったように生じた衝撃はに巻き込まれ吹き飛ばされる。


アンザスは機体のコントロールを失い。機体が振り回され、進行方向とは逆の左のコロニーの基部から展開されるミラーの陰へとその姿が流れていく。



その姿を望遠の画像を確認し、肩部と背部そして腕部を背後に向かって向けると


その手中に備え付けられた噴出口から、耀ける光を放ち、一気に加速をかけて


追いすがる親機と子機の攻撃を一気に引き離す。


それでも、先にバランスを立て直した。《傾城魚》(チンチェンユー)と残りのグヤスクトゥス


が、


前者は、態勢を崩したDiem(ディエム) Perdidi(ペルディディ)に向かい。


機体前面部の砲口から、光り輝く散弾の雨を降らせながら迫る。


それを後者のグヤスクトゥスは、援護に入ろうとするデスペラードの進路を阻み。


増加装甲をパージして、腕のアームカバーと脚部のレッグカバーが完全に展開され


鬼面を施した腕部と脚部から走る様に、七色の虹が噴き出し、展開される


光の帯が、機体の進行方向から、背後に向かって棚引くように流れていく


放射される。


グヤスクトゥスの攻撃が、その虹の幕に阻まれ、命中しない。


その事に、混乱し、腕部を展開して、小型のビーム発信器を握り込み、


意を決して特攻を仕掛けてくる。


その姿を前方斜め前のディエム ペルディディを確認しつつ、


一秒でも早く駆けつけるべく翔ける。


その背後からも射掛ける様に迫るも、その事にまるで頓着しないまま、


それは熾る。


追撃を試みる《傾城魚》(チンチェンユー)は、オービット・マインを展開、


ビームランチャーを喪い。代わりに腰部にマウントさせていたビームライフルを構え、


迎撃の構えを取るも振り回された機体を上手く操縦することが出来ずに、


宙を泳ぐような、動きを見せたまま、その砲口から、


光り輝くその口径から放たれる光景を見せるも、やはりその盾が全てを弾く


脳裏に過ぎるのは、かつてのその男が、なんのしにもなく、手ぐさみする様に


作り出した各部に四つのクリップが備え付けられた奇妙な形のやや中型の発振器を、


背面のバックパックから引き抜くと、


振り回される機体を手足とバーニアから噴出される火の勢いをもってその動きを殺し、

そして、構えるも、無用の長物となったビームライフルを宙に投機する。


各部に備え付けられた小型のビーム発振器を不器用ながらも、クリップに挟み込み


都合、予備も含めた5つのビームサーベルを組み合わせると、


発振するビームの刃が同期され、巨大で長大な、一本のビームの刃として展開。


盾を掲げて、射撃攻撃を交えた突撃を敢行する《傾城魚》(チンチェンユー)に向かって


振り下ろす。


同期された刃は、大きく振れる光の刃となって真っ向からその機影を多い尽くさんばかりに


喰らい付く。


強撃を振るわれ、楯として展開する子片のオービット・マインが熱量に耐えきれず、白熱化を繰り返し、熱暴走を起こして、その菱形の楔が、大きく震えながら、


弾け飛ぶ。


が、受けた熱量と共に貯め込んでいた熱量を放出。


互いにその一撃が、光の勾配を描きながら陰影を作りながら、


光が、熱が、徐々に弾け飛ぶ装甲が、喰らいつくようにその影を映す。


急ごしらえのビームサーベルの同期が、限界を迎えて弾け飛ぶ、と同時に


振るう盾の装甲が次第に、残された熱量を保持したまま


破裂する衝撃を乗りこえて肉薄。構えた楯に叩きつけられると込められた熱量が


その建材を溶かし、溶断して、あわや撃墜か?の瞬間に


その声が響き渡る。


「アンザぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁス!!!!!…を絞って、半歩下がれッ!!!」


そこに現れたのは何事かと振り向いた《傾城魚》(チンチェンユー)のコックピットの望遠スクリーン一杯に広がる。


MS大の大きな何かが迫る...。


少し前に戻り、その光景が眼窩に広がる。


僚機の危機に、思考を一瞬の交差から、1000倍に希釈して、その光景を走馬灯の様に思い出す。


かつて、彼女と別れたのは、人工の水色の雨音が響く、虹が輝く川面の側。


どうしてなんだと?語り掛ける。


君は、一言、ごめんね。あたし好きな人が出来たの。貴方と結ばれない。そう言う運命なの。


そう言って、俺の側から離れて行った。いつもの様にふざけて居るかに思えたモノの、その目には涙が、溜められ、いつも無表情の不機嫌な顔は...


思い出せない。思い出せない。君の顔は思い出せない。唯一つだけ分かって居るのは、あの日君が嘘を吐いていた事だけ...


行かないでくれと言う言葉は、結局言えずに...其の儘別れた。


君が誰を好きでも構わない。もう一度話がしたいんだ...もしも君に好きな人が出来たのなら応援するよ。


君が、幸せならそれで良い。


それには…お前は、邪魔だ。退(しりぞ)け!!!!


脳裏でリンクする思考と操作する操縦桿と共にその行動の動きが、機体をまるで実際の人の動きの様に


機体を盾に進行方向を塞ぐ、敵機に向かい。


それが繰り出される。


くるりと逆さまに機体を姿勢制御しつつ、


その後の展開の期待をする様に、逆向きのデスペラードが、その鬼面の脚部を叩き込み。


反動をつけて吹き飛ばされるその機体を逆さまの腕部から流れるように形成された黒いワイヤー状に伸びる手の平が


その一撃を受けて後方に跳び行く、機体を掴んで離さず。


逆回転で巻きあがるワイヤーに伴い衝撃で、膨らんだエアバックに視界を塞がれた


グヤスクトゥスに向かい、デスペラードは、機体頭部の鬼の口の前に置くと、


狙い済ませた様に其の砲口に備え付け、電磁加速を開始。


加圧され、光り輝き擬似的に形成された電磁誘導のバレルが、音の伝わらぬ闇の宇宙そらで瞬光、瞬く間に撃発と伴に発射。


レールガンの弾体として打ち出されたグヤスクトゥスのパイロットは、一帯何が起きたのか

分らぬまま、コックピット内で、急激にかかるGにより、血煙状の何かに


一瞬で加圧され。


目下の先で、アンザスに止めを刺そうとして盾を構える《傾城魚》(チンチェンユー)に向かい


白と黒の光の影を残して彼我の距離を一瞬で0として、命中


熱量と質量攻撃をその構造物の内部に蓄え、防ぐ絶対の盾が、


MS大の弾体を音速の数十倍までに加速された弾体が宙を通り過ぎる。絶妙に外した射線が掠めただけの衝撃により、


楯と機体を全損及び半壊



コックピット内で、その衝撃に展開したエアバックが衝撃を殺しきれずに、

破裂、直撃を受けたパイロットは、血反吐を吐きながら、自らに起きた何かを何もわからないまま


その意識を失わせた。


コンソールの表記一杯に表示されるERRORコードの奔流が、それまでの軌道とその指し示す咆哮の

懊悩にに、仄かな彩を添えて、


その行為が、本来の用途とは違う事を知らせるが、そんな事には頓着せずに、ERROR画面が踊るのも厭わずに、


男は叫ぶ。


「貴様等ぁッ?!星は彼女は...何処だッ?!」


大喝する声が、周囲に滞留する機影に響き渡るが、その声に答えるモノはおらず。さりとて、その動向を無視する者も居なかった。


咄嗟に実行した。通常での使用方法とは異なるが、本来の元々の用途に近い形でのその一射が、思考した通りに、上手く行く


敵機の頑強さを計算に入れつつも、コックピットへの直撃を避け、一番装甲の厚い部分に向かって、射角を調整し


恐らく敵の指揮官機の無力化に成功する。あとは、残る敵機をかたずけ、敵機の鹵獲を試みる。


パイロットが生きて居れば...星の彼女の行方の情報が手に入る…狙うはもう一機。


捕らえる...。



人喰いの少女は、痛む傷を抱えて...その光景を思い返して、対抗策を考える。


此処からの映像では、その機体が友軍機に奇妙なその体制で、MS戦ではあるまじき、

逆さま状態で蹴りを叩き込み吹き飛ばすかと思った


次の瞬間には


グヤスクトゥスと《傾城魚》(チンチェンユー)が翳め、全損し半壊していた...


「そんなの...。ありえない...砲身も無しに専用の弾体でもないのに、機体ごと撃ち出したの?!」


「それに敵の新型...。あの高出力を誇るジェネレーターは...新型ジェネレーターにある。発信器の反応と一致する。」


「奴等…我らのダグザの釜の技術を転用したな?!」


おのれ、おのれ、恐れ慄くが良き、所業を!!!!


「それでも我らが勝利に揺るぎはない」


側転と交点が交錯する好転するその瞬間に割り込む様に、残る親機と子機を掻き集め、残り少なくなった


子機の推進剤と動力を補充する為に一先ず、親機に集約させる。


火器の弾幕が薄まる。その瞬間を操作する機体を押し上げ、その穴を埋める。


多少の危険は、あるとしても...ここで奴を墜とす。


赤く染まる、獅子を思わせる鬣の輪持つそれが、其れまで分離していた尻尾を回収。


そしてその尖端を目標へと向けて、各ジェネレーターを直列励起した。それにより、尾先より、


宙を横断する。プラズマの一射が放たれる。


細く細く、細く、放射される薄刃の一撃が、目標を逸れて背後に浮かぶコロニーのミラーを両断し、


崩れ落ちる、建造物が、側に控える二機の目標へと、爆風に煽られ降り注いでいく。


ガンガンと、金属音が、もしもこの真空の海に音が響くのであればそう鳴り響くであろう音響の最中、


互いに無事を確かめ合い。


今の攻撃が放たれた方向に視線を泳がせ。残る一機の敵機に向かい。


浮遊するビームライフルを掴みとり、迎撃の準備をはかり。


明確な殺意を以て襲い掛かる。その対象は、オールレンジ攻撃を主な攻撃手段としている。


正面を切っての砲撃戦についても、まだ、何かを隠している様な様子をアイジェスは脳裏に、閃く、思考のスパークを感じさせるも、


周囲を警戒して、僚機と共に背中合わせの陣形で、すぐさま次射の一撃を警戒しつつ、いつでも離脱できる様に、態勢を整える


赤い機体の鬣の輪が、途中で分割され、二つに分かれると、其れ迄背面に折り畳み納められた。


黒色のバインダーが展開。蝎の尻尾と黒い翼面を持つ人喰いの獣と也、襲い掛かってくる。


「アイジェスたそ?!さっきの攻撃はなんだ?」


「良いから、周辺警戒を厳に、オールレンジ攻撃が来るぞ?恐らくそれ以外にも直接本体が攻撃に参戦してくる気配がするッ!!!」


(。´・ω・)ん?????


なんでそんな事わるのでせう?!とアンザスは疑問に思ったモノの破砕する破片の衝撃に巻き込まれその衝撃で割れた尻の桃と共に去りぬ、


そしてアンザスは思い悩む事を辞めた...。


暗闇に紛れる疾駆する漆黒の蝙蝠の羽状のバインダーが、光の陰を作りながら、


八方方向に展開しながら発砲する。


光の帯を放出しながら、乱れ飛ぶ、粒子状の鞭が、宙に踊りながらも交錯し


制圧射撃の様に此方の動きを阻害するように囲い込み円周状に浮かび。


光を放ち続ける。


そこに、極細のプラズマの射線が重なる様に飛来。


咄嗟に肩部のシールドを二枚合わせ、ビーム偏向機を最大発振。弄る様に通り過ぎた閃光が、


舞い散る様に、削り取らんと舞う最中、発振する刃が宙に舞い散りながら、防御するも、


遠間から放射されるプラズマ状の射線と絡み合う様に膨張する光の帯が、


二機の逃げ場を徐々に狭め始める。


銃口を構えて、悪態を吐きながらもビームライフルを乱射するアンザスを他所に、迫りくる、包囲網に、


その光景を一人、自らの行動では何も変えられず傍観者として、眺めるしかない少年


春幸は...顔を引きつらせ、叫ぶ声を必死に抑えようとしていたが、


唄声がその窮地にあっても、まるでそんな事、どうでも良いかと?笑う様に、唄の種類が変わる


それは雨音とさよならを謳う詩声、その時流した天の涙は…


アームガードと一緒に移動していた試作大型ビームラム発生用の機構を装甲毎パージ、展開されたビームラムをそのまま弓の弾体として


渾身の力を籠め展開される左腕の弓を無理やり引き絞ると、周囲を回転する目標に向かって


赤雷を纏わせ周囲の光膜を貫き、保護色となっていた漆黒のバインダー状の浮遊体を


絶妙のタイミングで二枚抜く。


何もない空間で突き刺さり、火の華を開かせながらも、散っていくそれを眺めながら、


一言言いさし、腕部を操作し、噴き出す輝よう、光を放ちながら、前進しつつ、全身から噴き出す


煌々 (こうこう)耀く、光彩の輪を伴なう、その閃光の一射が、暗闇に紛れ蠢くモノたちに


的確に一撃を加えながら、前進する。


(おっさん、これが見えてるのか?僕には全然見えないのに?!)


右往左往するアンザスは?その光景を観戦しながら、優雅にサンドイッチを頬張り、その行く末を、指を咥えて見やる。


Σ(・ω・ノ)ノ!


(破られたの?暗闇に浮かぶブラインドアンカーがッ!?何故、此れが知覚できるの?!)


(こうなったらあたしが、前に出る!)


と、マンティコレを駆り、両腕に展開した獅子の鬣型のビーム発振器を展開、接近戦へと踊りでる。


更には、急速充填をおこなった残りの子機6機を先行させ、更にテールユニットと化した


三基の親機のジェネレーターを直列励起を行い尖端から発振される。プラズマの放射が、放射する光が徐々に細く鋭く収束し、


放ち続けるその瞬きの一閃がさんざめく様に、微細な振動を起こしながら左面のコロニーの壁面を削りながら


次々と太陽の光を取り込むミラーの一部が裁断され、次々と崩れ落ちていく。


互いに、射撃戦を繰り返しながら、回避運動と時に接近し、着かず離れず、一定の距離を取りながらの


羽を休める事を忘れた宙を飛ぶ鳥の様に、縦横無尽に走る。


その奇跡の様な軌跡を描くその飛翔するスラスターの陽の光を巻き散らしながら、アイジェスは、友軍機からその狙いを引き離すべく、


中尉の注意を離さず捕らえる為に牽制の一撃を繰り返す。


放った光芒の攻防を繰り返し、追いすがる漆黒のバインダーと、子機の連携をまるで全周囲に目があるかの様に、捕らえ、


一機ずつ処理していく。


次々と自らの子機たちが墜とされていく中、乗機の両腕に構えた武装を全面に押し出し、棚引く光の帯の輝線を描き、


叩きつける様に振るわれたその一撃と共に周囲に展開する。子機たちとの同時攻撃を敢行。


上下左右と正面から襲い掛かるその凶暴な牙たちに、迎え撃つは、八面六臂を振るう鬼面の機体。


格闘戦に邪魔な外装の装備をパージしながら振るう右腕を以てその攻撃と撃ち合う。


大型のビーム発振器となった鬣と、鬼面から噴き出す虹色の輝きに包まれた拳が衝突する。


そこに大気があったのであれば、周囲数キロにわたり響き渡るであろう大音声の轟音が鳴り響いたであろうその衝撃に


互いのコックピット内で、エアバックが膨らみそして、それを押しのける様に操縦桿を倒し続く一手をいち早く繰り出そうと奮戦する。


その姿を見ながら少年は...。最大限の警戒を込めて、この光景を目に焼き付けた。


空中での殴打の応酬の最中、それは交互に体を左右に入れ替えながら、左右の武装でそれぞれ交互に打ち付け合いながら


飛来する子機達の横やりを急制動を掛けて回避。光の檻を形成しようとするそれらに対して、応撃を加えようとした瞬間に


敵機のテールユニットが瞬き、光の毒針が、此方の装甲を破壊しようと迫る。


肩部のビーム偏光用の発生装置で防ぐが、僅かにそれて刻まれた増加装甲の一部が毒針に浸食…


コンソールにERRORを知らせる文字列が現れ、カメラを向けると、鈍色の何かが装甲を徐々に崩れさせ始めている。


外部装甲のパージを行い浸食を防ぐと、振るう拳の武装を切り替え、


コックピットの内部でconversion(コンバージョン)の文字が踊る。


続く、画面には、Pyrolysis Hands(パイロリシスハンズ)


青白い光を放ちながら、繰り出される機体の拳から、極太の虹彩を描く熱分解の光が


赤く発光するビーム発振の刃とふれあい、そして互いに食い合う様に絡み合うと


その牙がマンティコレの有するビームの刃を握りつぶし、そして余剰のエネルギーを以て

圧壊させる。


破損した装備を投げ捨てて、代わりにテールユニットを展開。穂先から細く伸びる


プラズマの毒針が、接近していたアイジェスの乗機へと降り注がれる。


咄嗟に腕部を盾に、起動したPyrolysis Hands(パイロリシスハンズ)により


そのプラズマを掴み盗ると、次第に膨れ上がる熱量をその手に掴み、溢れでるそれを撃ち返す。


放射…いや砲撃となって蒼い炎を伴ったプラズマと也、敵機を包み込もうとした瞬間に、


間に割って入った。エネルギー場の幕を展開しつつ飛来した漆黒の翼の群が、その熱量に耐えきれず爆散する。



その衝撃にくるくると、回りながらも、バーニアを点火して、どうにか姿勢制御をおこなうも、


機体の半身が焼けただれ中破状態。


このままの戦闘継続は困難とみて...。残るバインダーとテールユニットを分離。


最後のコマンドを登録して、機体は、相打ち覚悟の特攻を仕掛ける。


避けるそぶりを見せずに、肉薄してくるそれらに対し、


アイジェスは冷静な表情のまま、それらを駆逐していく...。


接敵した敵機にたいして、繰り出すPyrolysis Hands(パイロリシスハンズ)を放ち


次々と爆散して握りつぶされていく、それらの機影に交じって、その口腔から噴き出す蒸気と


煙を巻き散らし、最大限界稼働を行使するマンティコレの姿を残し


小型の機影が去って行く。


脳裏に...。敵が逃げていく姿を幻視するが、リミッターを外し機体が崩壊する程の


限界稼働を見せるそれらに対し、迎撃の一手を緩める事も、逃げ行くそれを止める事も


出来ずに。対応が遅れる。


そして、奴の狙いが、大破し宙域に漂う。敵の指揮官機に、向かっている事に気付き、


(・д・)チッ


っと舌打ちを一つ鳴らして、此処で、大事な情報源を喪う訳には行かないと、


捕虜の安全を守るために、追撃の矛先を納め、切り離され遠隔操作される


マンティコレの機影を追う。


「アンザぁぁぁース。敵の指揮官機を守れッ!!!情報が欲しい。」


心得たとばかりに、サンドイッチを喉に詰まらせ、んがんぐぐぐっと、操縦桿を倒して


カバーと防御に回る。


その姿を確認しつつ各部のマニュピレーターから、放つ銀劫の光となった。


推力機関を駆使して、踊る子機と親機達を追撃、Pyrolysis Hands(パイロリシスハンズ)を展開した腕部に対して、背面から伸びる鬼面が変化し、手のひらを形成すると


Pyrolysis Hands(パイロリシスハンズ)をその手で包み込む、放たれる


蒼い炎が、踊り覆いかぶさる掌によって、拡散されたプラズマの閃光が、


降り注ぐ暴風をなって、それらの敵機を巻き込み、爆散させる。


鬣状のビーム発振器を前面に押し出し突撃するそれに対して、


すわ、間に合わないと、あわあわ阿波踊りするアンザスの目前で、


急制動を掛けつつ、その機動を追い越し肉薄するアイジェスの乗機は、


思考とリンクするその拳を交差するように繰り出した拳と、打ち合い熱分解を起こすその現象に巻き込みながら、


宙に、無言の詩が響き渡る、


「...」


一瞬、別の何かに切り替わるとたちまち、何がの力が働いたのか、その発振機構が圧壊、


拳大まで圧縮し爆散。その空気の存在しないその空間で、異音を立てながら自壊するそれを眺めながら、


アイジェスは静かに呟く


「デコード、《 トゥ フイ、エゴ エリス(我は汝であった。汝は我になるであろう)》」


音声認識による識別により、使用者権限を確認。


それまで行使していた機体と駆動系等の解放を解除。


コックピット内部では、身体の各部で飛び出したアームや、拘束具による、パイロットの手足を固定が解除され、


包み込まれていた円筒状の基部が、再び収納同時に、


機体の外部のバイザーや各種部位内蔵されるロックボルトが水蒸気をあげて、再度固定。


長方形のバイザーから露出したツインアイが再び、その姿を覆い隠す。


バイザーから突き出されたそのアンテナは光を喪いその姿が消え、それまでの威容が何の変哲もないその機体のモノへと還っていく。


そして、覗く、線型は解放収縮を繰り返し、その面差しが、牙剥く鬼の口腔から鋭く無骨で且つシャープな主顔(おもがお)の景観へと也。


最後に特徴的な一本のブレードアンテナが頭部へと下がり後頭部へと収納され、


其れまで、マニュピレーターと鬼面のカバーとなって機能していたそれらが思い思いの軌道を描きながら


元の手足へと変わり、それまでの変態的な八つの顔と、六本の腕、から一眼、その何の変哲もない四肢へと其の様相を魅せる。


一瞬の法悦の表情を経て、アイジェスは、意識を取り戻すと、はっとなり、360度のオールビューの視界を見回すと、


まるで今までの状況をなにもしらないのか?複雑な表情を浮かべ、目の前の少年に問いかける。


「春幸、大丈夫だったのか?一体これは?」


?????


なにゆえに疑問形、全てあんたがやった事だろ?なんで、僕に聞くんだろう?


と、不思議な疑問を呈しながらも答える。「敵は、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)は、みんなあんたがやっつけちまったよ?」


「...。」


そうか...。そうだったな。( ゜д゜)ハッ!となって敵の指揮官機は如何した?


まさか撃墜されたのか?彼女の行方は?と?半狂乱にも似た、その挙動に驚きつつも


少年は答える。


「あんたが、大破させて残骸が、一応原型を止めて居るし、パイロットは生きているか分からないが、少なくともコックピットは無事だから、探れば、何か情報は得られるかもしれないよ。あんたもそのつもりで斃したんじゃないのか?」


「いや?嗚呼、そうだな。アンザスは無事か?」


「はいはいおーぶじだお!!相変わらずそいつは大したもんだな、そんな機構が隠されてたのか?流石は...おっとこいつは秘密だったな。」


「まぁなんにしろ敵機を確保できたし、ついでにパージした装備も回収して置くか?」


「隊長たちも心配してるだろうし、さっさとこいつを回収しようぜ。きっと乗ってる誰かが何か知っている筈だ。」


そうだなと力なく答えると,パージした外装をトリモチで固めて回収し、スラスターを吹かせて、母艦の存在する宙域へと向かう。


敵機の残骸をえい航しながら、向かう途中で、


母艦に帰還した部隊たちが、友軍機を引き連れ、その中間地点で、邂逅を果たす。


事の顛末の状況説明を要領の得ないアイジェスの代わりにお調子者のアンザスが、面白可笑しく、多少自らの戦果を適度に盛りながらも、


事実を隠して、報告を行う。


それを、微妙な顔で眺める少年を他所に、隣で我関せずと、前を向く男に、少し薄寒い、恐怖を覚えながらも、


次々と周辺警戒緒行う僚機を除き、着艦していく。


エンジェルフィッシュの気密されたハンガー内部で、敵の指揮官の残骸から、パイロットを引き出す為の作業が、試みられる。


規格の違うハッチに、技術者たちが四苦八苦したもののの、程なくその封印が解かれる。


《傾城魚》(チンチェンユー)内部で、血反吐をぶちまけ、ヘルメットの吸引機構により、それらを吸引され残る血しぶきが視界を塞いでいたモノの


気絶していたジンボ少佐は、目を見開く、


そこに広がる光景は、仄かに光が差す。どこかの格納庫らしき景色と、周囲を囲む人の姿だった...


「こいつら、やっぱりエイリアンじゃない?俺達と同じ人間だ?!」


「おい、コロニーの1500万人の人たちは、どこにやった?!」そう詰問する。


ハルズ=アルマインをイゴールが制止する。


「貴君の疑問も確かだが。ここは、一先ず傷の手当てをする必要があるぞ。」


そう言ってジンボ少佐の身体に触れた瞬間、激痛に悶え絶叫する。


見ると身体の所々が、不自然に凹み、そして本来関節が存在しない個所が、歪曲して曲がって居る。


そう言って、担架を運び込み医務室へと移動させ、事の経過を見守りつつ、敵機のコックピットに踊る。コンソールの画面を見ながらどうにか


機器に保存されているであろう。敵の本拠地の場所と、1500人の住人たちの行方、そして、どのような敵の機体と其の陣容を知る為に、


情報の捜索を行うモノのそのコンソールの動きが微動だにせず、煩雑とした状況で...。上級技官のコーディー=スルーは、暫く奮戦したものの


此処での解析には難色を示す。この解析は...。コロニー内部で鹵獲した敵機と違い。コックピットが丸々残っている。


前に鹵獲したものは、コックピットがイゴールの駆るディエムのビームサーベルの一撃で失われ、そして残っていたサブコックピットは、


電装が悉く破壊され、データの回収ができていなかった...


「そうですね。この艦の解析装置だけでは、骨が折れそうです。やはり、本国の解析班に、システムの解読して貰う必要がありそうです。」


コンソールの画面を触れても、一向に反応すら見せずに、データの吸出しも出来ない。これ以上の情報を得るには、負傷したパイロットの回復を待ち、端末を操作させるか?尋問するしかない。


そう結論と付けて、一先ず、作業員は各種艦載機の整備と回収作業に取り掛かる。


パイロットたちは、ここぞとばかりに休憩に入り、今回の戦果について、アンザスに問おうと、群れるが、我関せずと、籠一杯のドーナッツを頬張りながら追及を逃れる。


(。´・ω・)ん?


ドーナッツがあるのか此の艦に...と訝しみながら、問うその声に、アンザスが反応して、口をモゴモゴ言いながらも明後日の方向を指さし、そして咀嚼を繰り返す。


その方向にふらふらと歩きだした、アイジェスに向かい。


「生き残ったのは、あの調子物のお陰だからな、生き残ったからって言って調子に乗るな!」そう声をかけてくる声を無視して、


懐かしいドーナッツの香りを追って、向かう。


それまで気づかなかったが、食堂から少し離れた一画に、ドーナツ屋の看板が見える?


店に入って、店員の顔を見ると馴染みの店員さんが、今日のおすすめを提示しながら答える


(。´・ω・)ん?


あれ、君は?


「あーそうですね。実はこちらの艦船に出店してまして。」


「どうです?ドーナッツビックチャレンジしますか?」


いや、良いと、その誘いを丁寧に断りつつ、いつものおすすめのふわふわドーナッツの山盛りを注文し、


そう言えば、あの坊主たちも、腹を空かせてるだろうと、艦内を捜索しながら、ドーナッツを頬張り、かっぽかっぽと闊歩する。


唯一の生存者とされる子供たちは、今はメディカルチェックを受けている筈。


さて、何処を探したもんかな?と、むっしゃりしていると、角を曲がった。居住区画の一角で、誰かとぶつかる。


吹っ飛ぶドーナッツを空中でキャッチしつつその姿を見ると、件の少年が其処に居た。


「おおう。若人よ如何したのか?」


「おっさんか?!!捕まえた人喰いは、何処にいるんだよ?!母さん達の居場所を聞き出さないとッ!!!」


嗚呼、こいつも同じ理由で、探し回っていたのか...堂々と同道を申し出て、手に持ったドーナッツを少年の口へダイレクトアタック


無理やりぶち込んで、むがむがと答える口をふさぐ。


敵機の解析には時間がかかるし、其れよりも捕虜の口から情報を聞いた方が早いが、今無理に、聞き出したとしても

不都合があるだろうさ、


逸る気持ちを抑えて、その不安を糖分で押し殺す。当分、この関係は続きそうだなと、ひとりごちる。


その背中を不思議な気持ちで春幸は見入る。こんなぽやぽやしていたおっさんが、人喰いを倒したパイロットと同一人物とは思えない。


無理やり食わされたドーナッツを頬張りながら、どうにか捕虜と接触できる方法は無いものかと、思い悩む少年の前に


唐突に現れたのは、コケティッシュな風貌をした、且つて東国に住んでいたと言われる人種の微かな面影を残した。


アイジェスよりは、少し年若い女性が、話しかけてくる。


確かリン=山崎とか言ってたな。確か第二部隊の若くして荒くれどもを引き連れる隊長だったな...


「やあやあ、ドン・キホーテ君と、《お調子者》(ストゥルティ)」


「我らが艦隊は、調査を終えて、消費した物資や機体を補充する為にも一先ず月都市に、

補給を向かう予定だよ。」


(`・ω・´)キリッっと真面目な顔で答える。


だから救出した子供達も、その時に下ろすことになるから、君達ともお別れかな?と、答える


春幸は、「それは、困るよ!母さんを探さないといけないんだ!!!!」と、抗議するも、


「それは、軍の大人に任せなさい。君達は月基地で保護されて後のことは心配しないで。お母さんはそう思うの。」


(。´・ω・)ん?


「そこ!内緒話しないの?!プライベートだぞ?」


そう言って、いそいそと方向転換を行い。ブリーフィング予定の会議室へ、向かう途中で、


その声が響き渡る。


「(`・ω・´)キリッ進展確認はよ。続きはよ。」


ん?なんの声だ。


通りかかった廊下から、途中の食堂で騒ぐ一段を眺めて、背後に控えるリンが、


d('ε'〃)しぃーっと、


ジェスチャーを行い。


(。´・ω・)ん?


何事かと振り返ると、気もそぞろに、明後日の方向を向いて、器用に口笛を吹き鳴らす。


(。´・ω・)ん?


そこに、アンザスが軽快な足取りで、その場に斬り込んでくる。


シュばばっっと、華麗にスライディングを制止しながら、ぷりっと震える。


尻を振ってポージングを決める。


「おや、アイジェス氏、壮健でなにより。吾輩、少し、少年と一緒に三人でお話ししたい疑義あるでござる。」


「別に良いが?ブリーフィングまで時間が無いから、手短にな。いいか春幸。」


少年は答える。「僕は別に良いけど?」


「それより少尉、なんかキャラ違くないか?」


「こっちが素でござる。」


そう言って部屋から退出してる三人を送りだし...ついに告白か?!周囲がざわつき始める。


それを知ってか知らずでか、艦内の一室に入ると、


周囲を見回し、少年とアイジェスに向かって、アンザスは語り始める。


「少年よ。あの戦いでの事は、他言無用ですぞ?」


「アイジェス氏は、言わなくても分かってるでござるな?!」


(。´・ω・)ん?


一体なんの事だ?


(。´・ω・)ん?


(。´・ω・)ん?


(。´・ω・)ん?


三者三様にそれぞれが首を傾げて、思い悩む。


「拙者が一応、処理した事にはしておりますが?」


「うん?それで?アンタがそう言うなら、そうなんだろう?」


(。´・ω・)ん?


(。´・ω・)ん?


(´・ω・)(・ω・`)ネー


「もしかして、アイジェス殿、覚えてらっしゃらない?」


「ん?何の事だ?」


裏でごにょごにょしながら、少年と、コソコソ話をし始める。


「マジかよ、このおっさん何も覚えてないのか?」「少年よ、ボギーワンの噂話はしってるぞな?」

「いや僕知らない。」「知らないならそれで良いが、あの機体の変形体の存在は秘匿して置いた方が良い。」

「事が露見した場合、銃殺に処される恐れがある。」「誰にも話すてはいけないよ?」


少年は、こくり、こくりと、頷きながら、相談をする。


アンザスは、その結果、極力、アイジェスのあの機体の変態には、頼らない様に何とかできないかを模索し始める。


とりあえず。敵機のオールレンジ攻撃に対しては、新規に追加されたバックミラーと散弾兵器に、鹵獲した敵機を研究して

コーディー上級技官が実装を目的に試作しているそれを活用して対応する事にするが...。


今後のあの機体の強化プランについても、各種の変態機構を阻害しない範囲で構築実装する必要があるな?と、

頭を捻りだす。


それをこの肝心な事を覚えてないカボチャ頭のジャックオーランタンに、詳細を説明せずにどうやって言い含めれば良いのかと悩み始める。


そんな状況を知ってか知らずか?ドーナッツを頬張りながらその百面相の表情を冷めた目で見るアイジェスを他所に


アンザスは思い悩み。考え続ける


...それを見守る少年は、なんか大変そうだなと、思いつつ、どうにかこのおっさん達を言い含めて仲間になって、

何とか母さんの行方を捜すのに協力させられないか?と密かに自らの思惑を計算し始める。


そんな時に、


「なぁ?坊主。袖すり合うのも多生の縁だし、親が居ないなら、俺が親代わりになってやろうか?まぁ、本当の親が見つかるまででだけどな?」


(母親や父親を捜してるみたいだし、それを探す手伝いをしても罰は当たらんだろう、俺がそれまで守ってやれば良いだろう。)


「ただ、その場合、俺はこの調査隊と一緒に行動を共にするし、争いごとに巻き込まれる恐れがあるから、俺は君にそれを押し付けない。」


「まぁ、お試し期間って奴だな?」


「えっ?」


驚き振り返る


「えっ良いの?僕は...母さんを探せれば良いよ!!!ッ」


「それじゃそれで決まりだ。あんたも、艦長に口添え頼むぞ。」


(しかし、どうしてこいつは、急に俺に親身に内緒話なんてしはじめたんだろうか?子供好きなのか?)


「そりゃぁ良いけど、おいらよりも、それは隊長に頼んだ方が良いかも?でござる。」


「それと、アイジェス殿も、コロニーの戦闘の時みたいに、何か新しい武装を考えて欲しいでござる。」


「直近の戦闘で、武装の殆どが失われたし、そこら辺何か?ないのか?」


「一応、いくつかは予め考えてた構想はあるけど、まぁそうだよな、後で一緒に艦内に残ってる武装や搬入して貰った素材を見繕ってみるかな?」


と、話がまとまり


そうして、即席の3人組が結成される。


取りあえずの方針が決まると、月基地への補給と今後の母艦の進路に関する。ブリーフィングに参加しに行く事にする。


今後の方針について、三隻の船のそれぞれの会議室でブリーフィング同時開催され、


大型のディスプレイに映し出された資料とナンネン=ハイマンの姿を見ながら話が進む。


艦隻の搭載機を何機か失い。推進剤を消費して居る為、物資の補充が急務であり、鹵獲した敵機の解析には、本国の解析班に渡す必要がある。


一応、月基地でも、解析を試みてみる予定ではあるが...もしそれで駄目なら、今後の身の振り方を含めて月の通信施設を使っての長距離通信により、


本国へ調査の結果及び判断を仰ぐ事になる。


待機命令を受けて居ない隊員は、整備艦エンゼルフィッシュに搭載されている。採掘船、通称、《子亀》に同乗し、


月に到着次第、採掘作業及び搬入作業に従事されたし。


三人仲良く子連れで参加するアイジェス達をみて、各自の声が漏れる


...。子連れだ...。まさヵ?もう子供が?できたのか?


おい!どっちだ?産んだんだ?!どっちがお母さんで、どっちがお父さんなの?逆カプ許すまじ?!!


知らないのか?男同士でも子供を作る方法はあるんだぞ?なにそれ初耳。


私は二人が幸せならそれで良いよ。


ゴホッん!咳ばらいを一つして、当たりのざわめきを納めると、次々と今後の予定を離し始める。


艦長の一言が、場を納めたかに見えたのも束の間。ざわめきは次第に喧騒へと変わっていく。


後ろを振り返ったハルズ=アルマインが、三人に向かってサムズアップしながら、にこやかに笑いかける。


その光景を目にしてイゴールは、呟く、いや違うだろ...住人が失踪したコロニーの生き残りだろ...


その突込みは宙に掻き消えて、ヒートアップする喧騒に覆い隠された。


それを知ってか知らずか、ミーティング中であってもドーナッツを頬張り、さて、これからどうしたものか?と思案し続ける。


問題は捕虜の意識が回復するのが先か、月に到着するのが先なのか?


なにか違う事で紛糾する中、同時に不穏な影が踊る。


中破した機体の修復と、コロニーミーミルにおいて鹵獲した機体から回収した4基のジェネレーターの内一機は、新型機に試験運用され、アンザスの活躍によりその実績が認められ、急遽他に三機増産し、取りあえずの失われた機体の補充に当てられる。


合計で四機となるDiem(ディエム) Perdidi(ペルディディ)を組み上げる為に、奮戦する作業者を横目に


アイジェスとアンザスは春幸少年と共に、アイジェスの乗機デスペラードへと向き合っている。


相変わらずのメンテナンス不要のその機体に、アンザスは質問する。こいつの燃料ってなんなんだ?補充している様子が見えないんだが?と疑問に思いその質問を返す。


「一応、...定期的に補充している物もあるぞ。水だけだが...」


(。´・ω・)ん?


水かぁ、水素にでも分解して核融合の動力炉として使ってるのか?

まぁ、疑問に思う事は多々あるが、ここは、月までの旅路の間に、こいつの改修作業を行うかな?と、


三人で、あーだこーだ議論しつつ、その姿を、眺める数人の待機者たちが、ごにょごみょ、写生を行いつつその様子を観察している。


それを知ってか知らずか部品と部材を選択し、デスペラードへと乗り込んだ、アイジェスが、コロニーより出立した時に積み込んだインゴットの部材を掴み、多数の動作するマニュピレーターを駆使して、削りだしを開始。


掘削機構と、レーザー研磨機を互いに切り替えながら、削りだして行く。


作り出すは、フレームが剝き出しのその機体に装甲を施す為の各種装甲板を形成、


更には、既存の兵装の流用として、複数の銃口を束ねたガトリング砲を胴体装甲と併せて仕込んだ、マシンキャノンと共に


機体のあらゆる角度に向けて砲身を設置する方針を決め装甲と共に組み込んでいく。


これで、装甲が施されていない事による。防御の薄さをカバーする


フルアクチュアリーカスタムVer0.1こと、ガトリングマスター。


砲身を装着させるのは、アンザスが、目視で、変態時の稼働を邪魔しない様に胸部、腕部、肩部、腰部に前後斜めにその砲身を


散らばらさせつつ、そして脚部には、新たに、西部劇のガンマンが佩くブーツのかかとに着くスパー(spurs)の如く煌めくは、


正式な武装として削りだした、チェーンソーらしき形状の何かが踊る。


装弾数を大幅に増やした為、増加した自重を補う為に、バックパックに改良を加えたいが、

正直、背面に現れるあの顔が隠れる為、上手く改良ができない。


あれ何で背後に顔があるんだ?ああそうかメインカメラとサブカメラを増設して360度の視覚を保持する為なのか?


それとも他に何かのギミックがあるのか?


それを知っているであろう、アイジェスは相も変わらず変態時の記憶が無い。謎であるので、とりあえず。


フェイスオープンを邪魔しない程度にガトリングを装着した肩部というか人体で言えば首の後ろに迫り出すように


後方へ流した外付けのプロペラントタンクと一体型の大型バーニアを増設。


設備艦であるエンジェルフィッシュの工作用機器とデスペラードの合作になるが、上手く噛み合う様に設置する。


まぁ変態の動作と競合すれば、その時は強制パージをおこなえば良いだろ。と、結論づけて、


整備を再開する。


次々と組み上がっていく新武装のデスペラードとDiem(ディエム) Perdidi(ペルディディ)を他所に


都合、四機のペルディディは、それぞれA(アドバンスド)装備、B(バリスティック)装備、C(コンバット)装備、D(ディフェンス)装備と別々の兵装モデルを構築し、


更なる敵との遭遇に備える。新型に搭乗するのは、


第三部隊の隊長、イゴールに、戦果が認められたアンザス=フライ・ハイ


エースを自称する、第四部隊、隊長ハルズ=アルマインに、エース部隊と目される第七部隊のエース。アハト=佐伯に、


それぞれ別々の武装を施す為に、作業員が奮戦する中、


数日、周辺宙域へと滞在したまま、手の空いたモノたちが念の為のコロニー内部の再調査を行うも、


やはり結果は芳しくなく、数人の少年少女以外の生存者は見つける事は出来なかった。


調査を終えて手の空いた、各自は、急速に休息をしながらも、その船足は徐々に速められ、一路、進路を調査を終えたL2宙域から


補給を行うべく向かう月へをその機動の進行方向を変え、周辺を警戒しながら、次の戦いへの備えを行う。


捕らえた捕虜は、未だ何も語らず。


彼女の姿を見つける事は出来ず。


「そして、星は居なくなった」


そして、明確な敵意を以て、月に向かう我らがドン・キホーテの進路を塞ぐべく悪意の澱が、


次第に降り積もって行く。


その命運は今だ知れず。L2宙域から離れ数時間から半日かかるであろう。その比較的近い距離にもかかわらず。長距離通信の返答も無く、


何故かL2宙域に月の主力艦隊の姿が見えない。その不気味な、疑問を乗せて、


彼らの進む船は、その目標へと至る。指標は未だ定まらず。


そこには...が待ち受けて居ようとしたとしても、その結果が変わる事は無い...。


彼は謳う。例えそれが枯れ葉の様に舞う。無惨な積み木で在ったとしても。


続く


更新時期は、毎月、月末最終週の火曜日に二話更新を予定していましたが、月末日に変更します。

よく考えたら準備期間が一か月未満は無理だった。申し訳ない。

⇒予定より早く描き終えたので、更新します。唯、読み直しの工程を一部省いたので、

誤植や抜けや墜としたカウントに間違いが残ってるかもしれないので、何かあれば指摘して頂ければありがたいです。

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