第二十七話「破滅の光」
※イメージソング
ミッシングリンク
NOVELS 『ミッシングリンク』Music Video
https://youtu.be/5Mr4EkewrmE?si=QvHkkLpAFnpm5hdV @YouTubeより
朔日 feat. 吉乃
https://youtu.be/mCrM6FqaVQk?si=z1LyFq8lQ62BD99H @YouTubeより
インスタント - BIN(Official Video)
https://youtu.be/ufVRe3aifu0?si=l_49sJKIRgNkUP-9 @YouTubeより
其れは、光点眩き、星泳ぐ、天ノ原を一筋の閃光が通り過ぎる。
光は、何処から来て何処へと還るのか?
背後に惑う。数千万の人属を詰め込んだ円柱状の箱舟を背として、
その叫びは痛切なる想いを載せて、迫る人喰いによって廃棄された箱舟を弾頭として、繰り出す。
攻勢に対して覇を唱えしは、無情の発光する薄幸の希望の光。
第一射を潜り抜けながらも、迫る脅威は、その数を増し、目まぐるしく変わる視界の中で、
遠き星空より来るは、触れえざる者の姿、瞬き、耀喜する。
人を喰らう何者かへと下すは、宣誓するべく唱えられし、無法者の唄、
其の音階は時に優しく、時に激しくその姿を鏡に映し、激しく上下する。
絶える事のない息使いは、荒々しく弄る様に、静かに愛撫する。
掴む自らの操縦桿に、罹るは、熱病にも似た熱狂の傷痕と口付けの甘い香り
青年は成年となる儀式に似た、その行為を経て、掴んだその手は、何処へと向かうのか
欠けた視界と、喪った味覚に、今も尚残る、臭覚を頼りに、稲穂の収穫を得るべく、
欠けた魂の片割れを探し、今でもその手を探す。迷子の手を彷徨わせ、星を観る。
輝が、耀が、洸が、遠く離れた場所より飛来する太陽の光に晒され、偏曲する編曲の打音が、
猛き衣を纏い、真空の星空へと眩き走らせる。
天よ哭くな、譬え見えずとも、その姿を捉えて会いに行く...
...
...
...
胎喰都市である滅びから復興した月都市《静かなる都》(ウルブス・トランクイッラ)での状況把握と、
《アンキャストダイ》(Uncast Die)の処遇に苦慮する事になる。中央ブロックを抜き去り再生の手を止めた物の
このまま何もせずに放置するのも危険ではあるが。その本体は、月都市《静かなる都》(ウルブス・トランクイッラ)と同化し、
一度は滅んだはずのこの都市が8年足らずで完全に復興しているのも、恐らく《アンキャストダイ》(Uncast Die)の機能を都市再生へと転用したからであろう事は想像に難くない。
ここで問題なのが、一度は保護したピチャチュ=レーベンを筆頭に、この都市で何も知らずに、《人喰い喰らい》に加担した一般市民の扱いをどうするか、
そして奪われる餌となった大量のクピドレスの処遇に対しての扱いを決めるべく開催される。遠隔参加式の議場に置いて、波乱が巻き起こる。
その紛糾する一連の状況の最中、一人の人影が、その姿を隠した事に気付くまでには、今しばらくの時間が必要となる。
「一度、人喰いの味を覚えたモノは、その誘惑からは逃れられないッ!!!!此処で処断すべきだ。」《ナンネン=ハイマン》が厳しい意見を吐き出し同意を求めるモノの
「何人いると思っているのだ?!現実的ではない。」宗谷=大石が制止する。
「だがアイジェスなら、奴らを匂いで判別できるはずだろッ!!!」
「落ち着いて、でも青葉さんは、何事もなく過ごしてるじゃないか?喰わせなければいいだけだろ?」外崎が、異論を唱え、
「そうだよ」と、領五が同意を求めるも...
話を振られた青葉は...
「私は...元からアレが好きではなかったから...常習性がどこまで強いのかは...クピドレス達の姿を見れば分る。普通は、耐えられない。」
「親父はどうしたら良いと思う?クピドレス...《人喰い》を解放すれば、また犠牲者が出る。そしてウィンディゴと化した一般市民を放置していたら、クピドレスが喰われる。」
「俺達の食い扶持に関しては、地上で補給したから良いが...其の全てをこの都市の人員に対して開放するには。足りない。一体どうしたら」
無限地獄の様相を呈する状況の中で、出した答えは...
「俺に考えがある。任せて貰えないだろうか?」そう言いだしたのは、其れ迄沈黙を守っていた。アイジェス=ブラットワーカー
「何か案があるのか?」一斉に、紛糾する仲間たちの視線が注がれる。
「問題は、対処に時間か掛かってしまうって事だが...その間、秋桜=アーデルスワット達の対処もあるし、俺が動けなくなる。少なくとも数週間から数か月。」
「それまでの、防衛と長時間の滞在は、時間的猶予として大丈夫なのか?」
周囲の人間を代表して、《ナンネン=ハイマン》が答える。
「いまだマレディクト勢力との勢力図の書き換えは、途上だ。交渉するにも時間が必要だ。暫くの間此処《静かなる都》(ウルブス・トランクイッラ)を拠点として活動しても問題ない。」
「早速で悪いが、青葉手伝って貰えるか?作業に取り掛かってしまいたい。」
「ええ、良いよッおじさん。」
一つ返事で返すと、後の話し合いを仲間たちへ任せ、示し合わせたかのようにアイジェスは、自らが待機していた部屋から出て、
青葉と秋桜=アーデルスワットと合流すると二人を引き連れ、メンテナンスドックへと向かう。
議場の話題は、《人喰い》と《人喰い喰らい》の対応から、マレディクトに対抗するべくCarpe diemの勢力圏を広げる試みへとシフトしていく
使える情報としては、まずは地上でのリン=山崎の演説データと、ここ《静かなる都》(ウルブス・トランクイッラ)を接収した事により、深くその陰に隠れて見えぬ光景を
まざまざと見せつける様に、取得できた映像データで、人々に今まで口にしていたそのモノの原料を知らしめる事とする。
そこで、在るものは人を喰らう事に忌避感を感じるであろうモノと、それでも餌として食み続ける者へと二極化されるであろう。
対策を撃ち続ける議場の人々を背に、作業を行う為の準備を終え、端末の通信を切ると、途切れ途切れに聞こえきていた、その会話が唐突に消える。
《R.I,P》と《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)で、それぞれの場所、船体の管制と警戒を厳にして、戦闘配備中で待機中のコックピットのパイロット達も
その会話に加わるも、
《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の医療室兼、ラボへと向かい到着する二人は、厳しい表情のまま、アイジェスが何をするかに息を飲み見守る
男は、これから始まる。自らの行為に対して、小さく祈りを込める。
徐に取り出すは、無数の何者かの爪と髪の毛、そして大量の血液パック...これを一体何に使うのか?甚だ疑問ではあるが、その脚て
自らの乗機、デスペラード改め《アンチェイン》(Unchain)が待機しているメンテナンスドックへと移動する。
その大量のブツを眺めて、驚く青葉は...
「おじさんに...そんな趣味があったとは...」と渋い顔をする。
「いやこれはアレの素材の加工に必要だから溜めてるだけだぞ?《R.I.P》にも溜めてるモノもあるからな、今度はこいつを素材の加工ではなく...に使う。」
そう言って一抱えもあるそれらを二人に受け渡すと。まるで状況を把握できていない、青葉達に対して、
とりあえず、大量に生成する必要があるからと、一端船外へと出ようと、コックピットのシートへと深く腰を下ろし
左右でおっかなびっくり動きに合わせて揺れる身体を支えながら、その作業が終わる事を待つ二人に、
精製した錠剤は...都市内の港湾設備のあるドッグにでも詰んで置けば良いだろうと、呟き、移動を終えると
小さくサムズアップして任せろと、その場に待たせて、何かを小さな声で伝え。心得たとばかりに頷く男を残し、
青葉だけを連れて、向かう先は、《アンチェイン》(Unchain)の生体認証によるロックを外して、更にその奥深く進む。
手慣れた手つきで、コンソールを操作して、炉の転換機構を固定すると、コックピット内の壁面を開き、その機体の中心部へと進んで行く。
暗く仄暗く、通路らしき空間を抜けて進むと、そこには、やや開けた空間に出る。其処には機体内部に根差した。天井から放射される陽光に照らし出され光り輝く樹木と、
その奥に、それまで春幸と自分以外が踏み入れる事の無かったその場所に
かつての文明で使用された蒸気機関の火室の様に、開閉する投入口が垣間見える。
「なんだこれ?!これがこの機体の動力炉なの?」そう呟き、思考する。
「これは...リアクティブジェネレーターじゃない!!...デスペラードってこれで動いてたの?今まで?どうやって?」
「青葉心配するな。こいつは確かにクピドレスが使っていた。リアクティブジェネレーターだが、その燃料は、此処に生えてる謎の樹木だ。人じゃない。」
その言葉を聞いてほっと胸を撫でおろす青葉に対して、目の前に見える炉へと、持ってきた。アイジェスの身体の一部であったそれらを燈火の灯を入れるかのように
注ぎ入れる。
予め、指定していた組成を生成する事を目標に次々と、それらの血液や素材を百万倍に希釈したタブレットとして次々と機体外へと排出されていく。
大量に吐き出されるそれらを、外で待機していた秋桜=アーデルスワットが、搔き集め始め、
青葉に対して、残りの素材の運搬を頼み、自らは、炉へとの素材の投下を担当する。
何度目かの往路の果てに出来上がるそれらを眺めて、一先ずこれを、配れば良いだろうと。長期的に必要となる為、これから
精製する血液400mlを100万倍に希釈するとして、約40万リットルそれを一錠あたり0.1mLとして、一度に生成できるのは
40億錠程度、一度に排出するには流石に多すぎるなと、小分けにしつつ排出を完了する。
詰み上がった錠剤は手慣れた様に港湾内の電動式のフォークリフトを操作し、一まとめにすると
それらの錠剤らに、飢餓感を抑える為の薬として、流通に乗せるべく、手続きを行うべく
宇宙港の管制官や、税関の担当者へと話を付ける。
格安で届けられたそれらの錠剤を以て、一先ずの暴動発生を抑えたモノの根本的な解決とはならず。
対処療法でしかないが、それでも何もしないよりはましだと、作業を終えると、次は、秋桜=アーデルスワットとオリジナルの《アングレイズ》達の所在と、
解放を謳う必要が出て来る。必要な設備を併設するには、咄嗟の不具合にも対応できるように、《アンチェイン》(Unchain)が存在するメンテナンスドック内が良かろうと、
《デスペラード》に乗り込んだアイジェスは、部材の加工作業へと入る。機体から排出した新しい金属のインゴットとして捻出された《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)を
書き溜めて置いた部品の製図を元にCNC(Computerized Numerical Control)機械と3Dプリンターを組み合わせた、自動実行プログラムを起動
その画面に表示された文字は、《Gifted Unchained Navigators Defying All Misconceptions》と刻まれ
「天より与えられし力を持って、何者にも束縛されず、すべての誤解に立ち向かう案内人」を自称する機構をフル活用して、
出力形成に使用するデータは、機体に残された《アンレコニング》(Unreckoning)と《アンキャストダイ》(Uncast Die)との交戦記録によって、《アンチェイン》(Unchain)に刻まれた
機体データ
10%程度の再現度でしかないが、兵器転用ではなく、人を生かす為の技術として、成形されたその部材と設備は、
それでも、確かにそれはそこに存在していた。
その仕事を見守るは、二つの眼と三つの記憶が混在した何者かの視界。実験台は、自ら一人(三人)しかおらず、
確かな息遣いと共に、「今度は、隊長に逢う順番は、俺が先にして貰うからな...」「帰ったら隊長の...が、殴り合いで決めるぞ」と、
三つに連なる指輪をそっと撫でると...
一人と三人は、二人が見守る中で、新しくできた、二つと一つを掛け合わせた人一人入れるメディカルポットらしき
薬液の詰まったガラス張りの入れ物へとその身を躍らせる。
出力される設定値を《アンチェイン》(Unchain)がはじき出す、物理演算の予測に元付き、青葉=穣が調整をし続け、
機体と有線ケーブルを経由して同調する機体と設備がその機能を十全と発揮し始める。
「おじさん、そう言えば複製体の中からオリジナルをどうやって見つけたの」
手元の操作を続けながらアイジェスが答える。
「機体のシリアルナンバーを確認して上位から選んだし、本人たちにも確認した...まぁ問題は此処からだな...」と、進む作業の中、
本来であればその存在を理を変える効果で分かたれれば、すなわち待ち構えるは、死と隣り合わせの無謀なるその行為に対して、
設備に満たされた薬液とその保全機能が、バラバラになったその身体の命を繋ぎとめる。
・・・
・・・
・・・
で、結局、おじさんどうなったの?そう軽く問いかけてくるハルナ=山崎は、山盛りのポテトフライを頬張り、
肉厚のTボーンステーキを嚙み千切り、目の前でハムスターの如く、器用にサラダを食べる。アイジェスに向かって、言葉を向ける。
「んー、そうだなぁ、暫くの間は様子見だな。分離と接合は上手く行ったが、意識が戻らん。量子コンピューターによる予測演算では、戻るまで数か月かかるらしい。」
「設備の動力をデスペラードに依存してるから、それまで出撃できないが...一応、動力を二方向から分配できるように、予め生成してるからな、
デスペラードの出撃か母艦の機能を落とすかの二択だな。地上で行った、変則軌道は暫く無理だな。」
「ちぇぇー」
返すフォークの先端を、隣で食事する春幸のハンバーグに狙いを澄ませて突き刺し頬張る。
あっ
「ちょっとハルナさんッ!!!」
「でもさぁーあの錠剤で《人喰い》にならないでも良いんでしょ?だったらそれで戦争無くなるんじゃない?」
(成人男性が献血して再び血液が元に戻るには時間が掛かるし、俺以外の他の人間が同じ事をしても、同様の効果は得られない。絶対数が圧倒的に足りない。
更に薄めれば良いが、これ以上薄めると効果も薄まる。そうなった場合飢餓感が消えず。本末転倒になる。)
「嗚呼、一応考えてみるが...難しいだろうよ。」
そう言って、手を付けて居ない自分のハンバーグと唐揚げを、切り分け、春幸の皿へとちゃんと食べろよなと、
渡しながら、いつか親がしたかのように自分もできる様にと、想い行動する。
手早く食べ終えると、熱々のハンバーグを頬張る子供に目を向けて
ニコニコ微笑みながら、ふと見上げると、おーしりッっと、その手に桃の缶詰を持った
アンザスが、男尻を二つに割りながら、その臀部を椅子に卸して、ぽむぽむと音を鳴らしながら
尻を振る。
「アイジェス殿ぉー珍しいもの見つけてきたでござる。男尻の貯蔵は十分か?」
ぐいぐいと、フォークに刺した缶詰から取り出した桃をほっぺたに対して、押し付け喰わせようと
試みる。
「結局これからどうする事になったでござったか?」
男尻はここ!!!ココナッツ
※ここのここは、中村さんがyoutubeで云ってたのを拝借。名前残しておきますねw
ナッツがぶらぶら揺れながら、ぽくぽくと、軽快な咀嚼音を鳴らしながら、会話が進む。
「そうだなぁー暫く月都市で、各コロニー間との連携と説得を繰り返しながら、あの錠剤のストックをある程度作る必要があるからな、一錠飲めば、暫くの間は大丈夫なはずだが、逃げたマレディクト本隊と戦闘状態に入ってから、補充に戻る事はできないからな。ある程度の準備が必要だ。」
「新しい装備の準備もする。作成に当たるデータとアイデアは既にあるが、もうひと捻り加えて決戦に備えたいからな、ゆっくりやるさ。」
「春幸。次の目標は、宇宙でのマレディクトの中枢、ミーミルだ。お前も準備を忘れずにな、定期検査と新型のメディカルポットへの入水も忘れるなよ。」
そう言ってアイジェスは、トレーをかたずけながら、秋桜=アーデルスワットの状態確認に向かい
去って行く。
(*´ω`*)モキュモキュと、ハンバーグを咀嚼する。春幸は、この状況下に置いて、自分がするべき事を探す。メディカルチェックを行うのは良いが、それ以外の時間は、
シュミレーターにおいて、視覚の欠損を補うべく新たな戦術と技術への模索を開始する。
差しだ尻られた。桃を頬張りながら、春幸もその場を離れる春幸の後を、ハルナ=山崎が見送りつつ、
アンザスは、ぴきーんと、何かを感じとる。
まさかっ?!痴情の縺れ?!
「ふぁい?!???」ハルナ=山崎は、何を言っているのか分らないまま、時は進み、
作成される装備類の為に幾つかの装備は《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)内の格納庫が手狭になり始める。《R.I.P》と分譲しつつ次の戦に備えての整備を行いつつ
何やら、多数のソーラ―パネルの群体を徐々に形成しつつ、吐き出されるそれらの基部を構成せしめるは、《アンチェイン》(Unchain)の妙、
追加で船体の上部に電磁磁石式の脚部で固定されていた《コントラファクト》の一団を機動性を重視して、撤去。
次々と組み上がる素体が並ぶ中、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)のメンテナンスドック内で、定期検査を終えた春幸が、格納庫内の外れに設置される戦術シュミレーター用に抜去され改造したディエムのコックピットブロックを前にその脚を止める。
先に到着していた。領五はディエムのコックピットを流用した、疑似シュミレーターの最終調整を終えて、何事かを呟く。
其の一般的なコックピット―シートが放つのは、使い古されて所々の低反発クッションの布地に綻びが生じ、中には、その臀部と背筋に可変稼働し上手くフィットする様に
造られたシートに対して、収まったシートの前方にはコンソール類が並び脚には機動用のフットペダル、
そして左右には、デスペラードやセカンドアーヴルとは違う。手にフィットする様な操縦桿ではなく一般的な旧式機体や現行機体で使用される。
複数のトリガーと備えた天へとそそり立つ、基部が踊る。
「あっ春幸君、注文通りの設定にしてあるけど、本当にこの設定で遣るの?対戦相手、二体一しかもアイジェスさんとアンザスさんだよ?」
「ハードル高くない?しかも半分目隠しするなんて?」
「嗚呼それで問題ない。シュュバルトレーゲン《黒い雨》を使ったら、視界が塞がるからなその予行練習だよ。」
(どうにか、半分の視界での戦闘に馴れなければ...この先の戦は厳しい。)
操縦桿を握り込み、いざ自らの技術が、親父達に通じるのか?試金石として、その試みに一歩踏み出す。
接敵するまで...。120秒...機体データーはそれぞれ乗っている機体の武装と操作性に準拠しているものの、
此方は思考制御の操作性の再現迄は出来ないが、親父が《ヴェリタス》で遣ったように、それくらいは乗り越えなければ...
直進と旋回を繰り返しながら、交互に自らの死角を補いつつ迫る二機の機影、
避けたはずの軌道に、僅かばかりの余裕をもって飛来する。立体光学処理された、《アンチェイン》(Unchain)から迸る。
閃光が、位相空間固定アンカーを使用しての最小円周による軌道に、まるで追尾機能があるかのように、一撃、二撃と、視界の端から突撃してきたかと思うと、
その影は次の瞬間、幾ばくかの光の痕跡を残して、消えると、多段で命中したその連弾により、
疑似シュミレーターのコックピット内が激しく揺れ、そして、自機の撃墜を知らせるアラートが鳴り響く、
幾らなんでも思考制御によるアシストがないと分かりきっては居たモノのまるで相手にならない。
...
...
...
なんで、このタイミングで避けられるんだ?
こっちが撃つ前に、回避軌道に入ってるし、なにかの再現なのか、命中しても、すり抜ける。
避けても、的確にこっちにオートエイムして、追従してきやがる。
「おいっなんだこれ?フレーム回避しやがったぞ。なんで戦闘シュミレーションなのに格闘ゲームの動きをしやがるんだよ。」
しかもこちらの死角を的確に抉り、今日何度目かの敗北を喫する。
「もーそりゃぁおじさんの動きを機械的に再現するとしたらそうなるよ。あの人、亜光速の銃撃、撃たれる前に反応して回避してるのが普通だし。」
「機械上の動作では、フレーム回避の無敵時間で、再現するしかないんだよ。流石にシュミレーターも春幸君が次にどう動く迄は分からないからね。」
糞ぉ、だが親父たちに追い付くには、これぐらいの試練を潜り抜けなければ、追い付けない。
気を取り直して再び操縦桿を握り、戦闘シュミレーターへと向かい合い、己に問いかけ続ける。
...
...
...
戦績。0勝54敗、引き分けすら一度とない、その惨憺たる戦績に、ため息を吐き出す。ただでさえ馴れない操縦感覚と欠けた視野のハンデが、脚を引っ張り、
一向に結果が見えない。学校での戦闘シュミレーターの成績は良かったんだがな...
余りの状況に、全く尻が四つ割れそうだ。
その光景を見かねた。通りがかったアンザスは、男尻に収まりの良い複数のトリガーと備えた天へとそそり立つ、基部を臀部で掴むと、コンソールパネルの類を端に寄せて、
ぶるんぶるんと尻を使って左右の操縦桿を揺らして操作するウィンドミル奏法を駆使してのお手本を披露する。
尻が、男尻が上下左右に舞っている!?!
フレーム回避しているはずの電子再現されているはずの《アンチェイン》(Unchain)の動きを読み切り、繰り出す尻の穂先をケツで磨き揚げ、
タイミングよく、目標に一撃を加え回避する。
「えっ?なんで?」と困惑顔の春幸は、アンザスの尻に向かって問いかける。
「あー春幸殿、もしかして分かってなくて、今まで戦闘してたでござるか?」
「何もアンザス氏は、銃撃の光を見てから回避してるんじゃなくて、相手の視線と銃口の向きと、身体に尻走る直観で、相手の行動を予測して先読みしてるでござる。」
「馴れれば、機械的な動作の再現の相手なら、容易く墜とせるでござるよ。直観に関しては身体で覚えて馴れるしかないでござろう。」
喰いっと男尻を震わせ、飛びあがり着地すると、意気揚々と、周囲にドーナッツを配りながら、闊歩し去って行く。
...
撃ってから避けてはダメか...今まで、僕は、敵の攻撃を見てから避けていた...そう言えば例示された状況に合致した感覚を覚えた事が一度だけあった。
あれは...
奮う刃を、反転する機体の脚部、結晶自在剣の刃で、防ぐと、衝撃を受け、斜め方向に一直線に弾き飛ばされ、空域を占める大気の壁を踏み荒らしながら、着地し、態勢を整えるべく、突撃螺旋戦葬の先端を、《falcisファルキス》として射出、牽制を入れつつ、その手を掲げ続ける。
金属に覆われた大気に固定された金属部の側面へ、何かが発熱し、燃え上がるような嗚咽を吐き出しながら、融解と損傷を伴い焼け落ちる壁面を抜けて、一足飛びに、まるで、誂えたかのように、破損した前腕部へと収まる。コンソールにアガートラーム《銀の腕》の文字が瞬き、《connect》の表示が踊る。その手には銀劫の輝き。
・・・
射撃兵装を腰部の使いきった実体弾装の武装に限定されるもののアンロックツーの効果により、その数がいつの間にか補充され、弾切れを気にせず五月雨式の連続射撃を敢行。
赤外線及び映像認識による追尾を行い放たれるそれらの弾体は、射角を大きく二度、三度と、切り替えながら、悠々と飛翔する目標に向かい飛来し遠雷に雷鳴にも似た着弾音を奏でる。
背面機動を描きこちらの攻撃を空中で撃ち落とした《アンレコニング》(Unreckoning)に対して、左右の旋回と共に、
バレルロールを繰り返し視界の光景を45度、90度、180度、と徐々に切り替えながら飛翔する《アンリミテッド》は、限界の機動と稼働を超えて、
前腕部よりやや肘関節付近より展開され浮遊する球体上に有するのジェネレーターが発振する。
推力と揚力を受けながら、射かけられる敵機が放つ、四銃身による回転射撃の射列をその亜光速の光が放たれるより前に回避行動へとし、
あるいは命中したその攻撃を、偏向するフィールドにより、機体周辺へと分散冷却を行い防御する。
...
あの時の感覚を思い出し、幾度目かの試行錯誤を繰り返し、一度、臀部での操作を試みるが、その機動は千地に乱れ、明後日の方へと飛んでいく
出来るかッ!!!!!!
「いや、春幸君、アンザスさんが言ってたのはそう言う事じゃないと思うよ...普通にしようよ...」
既に答えは出ているそれでも、それを再現するべく、あの時の想いを反芻し、
操縦桿を滑らかな雪解け水の如く、流れる様に動かせる様に、日中夜を通して、訓練は続く、
栄養補給として差し出される。ゼリー飲料に喰らい付きながら、仮想目標とした男尻へと喰らい付かんと、
前傾姿勢になりながら、その怒張する基部を掴みながら、画面上に置いて目標を喪わない様に、追従し、
ターゲットからの照準を外しながら、変わる景色を切り替えながら、無数《falcisファルキス》を目で追いつつ、
奮う左腕に保持したシュバルトレーゲン《黒い雨》による砲撃剣閃を加えるも、振るう刃が追従する間もなく
《アンチェイン》(Unchain)が、質量子ブレード...《グラムクァントラミナ》の発振器を構え、間合いを詰め、
迎撃として振るう刃を機体を天と地を分け逆向きの重力推進による。変則軌道を再現する様に、接触する瞬間に不自然な軌道を描き、
獲物である《グラムクァントラミナ》の発振器投棄し、回転する光刃に、銃口から走る一撃で、粒子の散弾を放つ算段を仕掛けるのかと、
スラスターを稼働させ、急停止しながら、後方への退避を選択。背面飛行をしながら回避行動に入り、影響範囲からの離脱を行うが
銃把を無造作に掴む一撃は、飛翔する刃と共に飛来し、、命中する直前ギリギリに迄、引きつけながら、迫る。
伸びる極細のシュバルトレーゲン《黒い雨》の刃により撃ち落とさんと振るうが、追従する様に円弧の軌道を描く刃の基部に対して、
通常の八発分の粒子量が込められた射かける黒と銀劫を纏わりつかせた一射が、回避行動を行い続ける
アンリミテッド(Unlimited)の前方で、《グラムクァントラミナ》の刀身ではなく発振機構へと注がれ、中規模の閃光と爆発を生じさせ、
機体に搭載されている閃光防御機能が発動、一瞬の視界の空白を生じさせ
春幸が振るう刃を、重粒子がまき散らされる勢いでその刃がブレ、シュバルトレーゲン《黒い雨》の刀身が左側の視界だけではなく右側の視界も大きく欠けさせる
見えるのは、右方に僅かに残された斑な視界に、アイジェス機だけではなくアンザス機も同時にその姿を見失い、
光る《falcisファルキス》の砲門の射劫のみに反応し、見える範囲だけを視認し、襲い来るである射線を予測し、その通過線上に、シュバルトレーゲン《黒い雨》の
刃を置き、小口径のそれらが、放出される疑似再現された刃によって逸らされる...
んん?
アンザスさんが言っていたのは?こういう事か?と何かを掴んだ瞬間、衝撃と共に自機の撃墜を知らせるアラートが鳴り響き、強制終了される。
ふーっと息を吐いて、再度の試行を開始する。左腕のシュバルトレーゲン《黒い雨》の刀身を構えながら
何度目かの邂逅を果たす。
向かうは二機編隊で接近してくる疑似再現されたアイジェスとアンザスの二機の機影、互いの死角をカバーしながら遠間の中距離以降から、
無数の牽制射撃を仕掛けるその行動に関して、小刻みに各部スラスターを吹かせ、機体バランスを取りつつ、前後左右に、
変則的な軌道を魅せながら、放たれる銀劫と黒と銀劫を纏わりつかせた一射を余裕をもって見切りつつインサイドチェンジを仕掛ける
シュバルトレーゲン《黒い雨》で切り払いを行う互いに、掠めただけで敵機を落とす程の熱量と出力を誇りながら、
衝きによる砲撃剣閃を繰り出し、左右に分かれた恐らくこちらの視界に当たる左側を集中的の攻撃してくるとばかりに、
見えない視覚の先に、進むであろうその姿を胸中の中で思い描きながら、体を入れ替え
オールコートプレスにも似たプレッシャーを描きつつ、避ける目標を追いかけながら、稼働を掛け
後方宙返りを試み、背中を見せた瞬間に、突き刺さる。八つ手に分かれる銀劫を避けきり、返す刀で振るう刃は、いとはやく
視界の端に確かに存在するターゲットの姿を確かに捉える。と、共に、機体の視界が暗転、宙を見上げる様に、持ちあがった機体の視界は、
既に己が撃墜した事を言外に知らせる。
「やったね春幸君、はじめてあっ立ったよ。ゼリーもっと食べる?でも、いつもはこういうのユミナリアが遣ってるのに、もしかして二人とも喧嘩でもしたの?」
「いや、そうじゃない...ただ、俺が...。をして居ただけだよ。誰も悪くない。もう一度だ。」
「じゃぁもうちょっと手ごたえある様にしてみる?」
「いいや、多いなッなんだこれ!!!!」
「当社比、1.5倍でターゲット、増量してみました。」
…
…
…
月日は流れ、次第に月都市とその周辺で形成されるコロニー間のパワーバランスに、確かな変動がもたらされる。
「おいッ新兵、何故撃ったッ?!」
それは、唯一つの指先から産まれた悲劇、瞬く光のハレーションを起こしながら、誘爆の徒の光が、その暗闇の中で瞬き、そして消え去って行った。
和平交渉を担う為の特使団として、進む艦影と共に護衛として控える随伴機が
マレディクト側の銃口の向きに敏感に反応し、機体が操るハンドサインで、停戦を促すも、
さらに、度重なる戦線の後退により、目減りした。熟練者たちの穴埋めとして、実戦へと駆り出され初陣の新人が、
過敏に反応し、深く考えないまま、その引鉄を引く。
随伴する機体が放つ今わの際の光白に包まれ、その命を散らした。講和派の姿がこの世から掻き消える、
その光景を、仰ぎ見ながら嘆息するソォンナ=コッタネーは、その口から吐息を漏らしてその言葉を零す。
「未だ、切り札たる。箱舟を流用しての手札が揃わぬまま、戦端が開かれるとは?!その程度の腹芸もできないのか、何たること
だ。」
傍に控えるコーディー=スルーは
「首席...、有人の箱舟に仕込むには、時間が足りませんが...且つての戦役で、この宙域まで移動させてきた、廃棄された箱舟が
幾つかあります。推進機構は恐らく未だ健在の筈。」
「それらを使えば...あるいは?」
「間に合うとな?」
問題は、我が軍の切り札である、准将二人と、三柱目の語られぬ者を喪ったという事実。
其の事の顛末については、報告と対応を仰ぐ、救護を求む声は確かに届いてはいるが...と、
顎に手を当てて、ぽちょぽちょと、未だ光源を保ったままの外景を見下ろし、執務室の端を行ったり来たりとする。
「月都市を降し、駐留している敵主力を、どうにかこちらにおびき寄せ...あとは分かるな?」
「御意」と、あわよくば、撃滅せしめるその一手の準備へと取り掛かるべく指示を飛ばす。
「首席...都市内部に取り残されている。潜伏中の部隊に対しては?」
「通信の傍受を警戒し、連絡は抑えるように指示を出せ...報告に上がっている。この下腹部から押し寄せる様な飢餓感を抑える
錠剤が、市内に流通し始めたとのこと。出元は分らんのか?」
「依然として、その材料と製法については、分かりません。現物があれば...良いのですが。」
「良し...しよう。...の使用を認める。」
…
…
…
切り拓かれた戦端は、その先っちょだけを、互いに触れさせながら徐々にその戦火を広げつつあった。
交渉中のコロニーの一つより、救援の依頼を受け、待機中の春幸達は、選択を迫られる。
何時も通り二隻の船の間で繰り広げられる、遠隔通信会議の最中に、その決断が下される。
此処で、暫く準備へを継続するか、求められた救援に答え戦場へと向かうか?
《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)と《アンチェイン》(Unchain)は、此処から動けない。
今動かせば、蘇生作業中の秋桜=アーデルスワット達が死ぬ。
そして、望まぬ理由で《人喰い》となったウェンディゴ達が餓え、係争中の協力関係への今までの調停が無駄になる。
風雲急を告げる。月都市に置いて、決断の時が迫る。
「よし、俺達だけで行こう。親父は俺に代わって《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の後の事を頼む。」
「俺が、セカンドアーヴル...アンリミテッド(Unlimited)を《R.I.P》の部隊と一緒に、救援に向かうよ。」
「いや、行かせて欲しい。」
半瞬、悩み、判断に惑う中...
且つての光景を思い出す。月都市を制圧した後、戦闘中に流れてきた通信光を
機体の量子演算を以て、重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)による捜索により
その所在を特定し、向かったさっきで、数年ぶりの再会を果たす。
しかし、久しぶりの再会に置いても、その邂逅は、湯が沸くほどの時間だけの猶予しかなかった。
言葉短く、別れを告げた。その手には、真新しレコーダーに詰められた。
無数の唄の一節の束。
「お父さん、なんで一緒に居られないの?」
(あの娘からのお願いだ。まだ私が彼に出会う訳にはいかない。彼の決心が鈍るかもしれない。)
「お父さんにも、やる事があるんだ?母さんの唄を世界に広めないと行かけない。」
「さぁ、愛し子よ。その顔をもっと良く見せておくれ。」
差し伸べる手は、羽毛を撫でるかのように、優しくほんの香る程度で、触れると、
後ろ髪を引かれる様に、その場を去って行く。
その手に渡された詩を胸に、決断を降す。
「わかった。だが、無理はするなよ。ダメだと思えば、直ぐに引き返すんだぞ。」
(その引鉄を引く覚悟はお前にあるのか?と、問いたいが、それは愚問だったな。お前には、きっとその覚悟がある。)
「ありがとう、親父ッ!」
「ただ、そうなると、非戦闘員の処遇に問題があるな...エクィタス...《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)に人員の受け入れをする余裕はあるのか?」
「はい、問題ありません。少ない人員で回せる様にシステム化されてはいますが、空き部屋は沢山ありますからね。」
「そうか、じゃぁ、アンザス...家族と一緒に...」
「拙者も移れて、事ですかな?????」でもそれだと、戦力バランスが大きく崩れるのでは...?とアンザスが問い返す。
「いいえ、私どもは、このままR.I.Pでお世話になります。みなさんのご家族は、ご一緒されればよろしいかと?」
と、珍しくシュガー=ナッツが、自らの息子の両肩に手を置いて、その手が微かに震えていた。
「僕も、ちちと離れたくない!!!」
「じじも、男尻と離れとうないッ!!!」プイッと顔を振り、ぴたりと引っ付いて離れない。老人の手を自らの男尻から引きはがそうと苦慮し
「ハニーッ?!」諦めつつ、驚きの声を上げながら、答える。
「守ってくれるんでしょ??」
こくこくと頷くアンザスを他所に、じじは、その男尻から付かず離れず、祭囃子に合わせて奇妙な踊りの構えをとりながら
小刻みのステップを踏みながら両手を凶鳥の様に広げ、「よーいさー、ちょうさや、ようさ...。」を連呼しながら交互に臀部をリズミカルに叩き始める。
互いの人員を入れ替えながら、今後の方針として、
月面に置いて待機と交渉を続け、《アンチェイン》(Unchain)を要する《アイジェイス=ブラットワーカー》と治療中の《秋桜=アーデルスワット》《ソウハ=クワナイ》《ソコニ=アルナ》かつてだったもの達と共に、
《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の操船と防衛を担う。《エクィタス=ユースティティア》、《ユミナリア=ニドフェアー》、《領五=羽住》、《玻座真=外崎》、《アイ=フライヤー》、《青葉=穣》、《ハルナ=山崎》と、その乗機と家族らは待機組となり、
《R.I.P》を任される《ナンネン=ハイマン》、《早田=奨》、《マリア=アッカンバーグ》ら、元第五方面軍所属の人員たちを筆頭に
戦闘部隊となる、
《春幸=ブラットワーカー》《アンリミテッド》(Unlimited)
《アンザス=フライ・ハイ》《ヴィキティ=アンディバイン》と、その家族
第一部隊
《宗谷=大石》
《パルメ=ザン》
《ソッチ=コッチ》
《アッチ=コッチ》
《カルペ・ディエム・アスキック》
第五部隊
《オウ=コワイイ》
《オマエ=ナニモノ》
《シナドロ=アマイ》
《ネライ=アッタライナ》
《カルペ・ディエム・アスキック》
の面々が救援と向かう、
その間、別々の場所で、青年の背中を眺める二人の少女は、別々にお互いの事を認識しないまま、ずっと春幸の後姿を、眺めては、一瞬視線を外して、苦し気な表情のままその姿を見送った。
「なぁ、アレ何だっけ?デカ物、《アルクス・ヴァンフーレンス》だっけ、あれは分割しても、《R.I.P》の格納庫には、入りきらんだろ?あれ如何すんだ?」
呑気に、チューブ式の飲料物を飲みながら、出立する《R.I.P》の姿を見送る外崎にたいして、
領五は、合いの手を入れつつ答える「そうだね、でも、合体したまま牽引するなら出来るでしょ。今回はそれで行くんだってさ。」
「おじさんが作った武装も二隻に分けるみたいだけど、倉庫に余裕があった僕らの船もアレのお陰で手狭になってきてるしねー。」
「デカ物を向こうに移したから大分余裕出来たよ。まぁもしもの時は、尻尾の機能を使えば、直ぐに救けに行けるし、アンザスさん達が一緒だから、大丈夫でしょ。」
内訳の目録の載ったタブレットを操作しながら。宇宙港を抜けていく《R.I.P》と、牽引されていく《アルクス・ヴァンフーレンス》の姿を目で追いながら、
小さく、友人の旅路を祈る二人が、その後に起きる何かを知るのは暫く後の事となる。
《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)
《メガエアライド》
《ヴルカヌス・ツインテール》
《ナインライブス(Nine Lievs)》
《ハングオンライダー》
《スラッシュライナー》
《R.I.P》
《ラッドチェスト》
《ぺリ・インカヌス》
《ハンマーブレーカー》
《シールドメテオフォール》
《ロビンフッド》
《シュートサプレンダー》
欄外、牽引…《アルクス・ヴァンフーレンス》、とコンテナ格納状態の新武装
の姿
仲間たちへと、別れを告げて、進む先は...。ギアナ高地より、宙へと流れた、マレディクト達が潜む。決戦の地である、L5宙域ミーミル。
月軌道より向かう道行きは、一日もあれば到達可能で、トラブルがあったとて、数日から一週間の間で到着するが、
周囲の反抗作戦を指揮する本体との合流を考えればある程度の余裕を見ても良さそうだ。
決戦兵器として、持たされたあれは、あくまで最終手段だ。それまでは《アルクス・ヴァンフーレンス》による高火力、高機動、高面制圧能力を持って押し切るべく、
航行する道すがら、《R.I.P》の空スペースに設置した訓練の筐体と奮戦しながら、唯の一つ残る懸念点に対して想いを馳せながら、
向かい来る疑似的に再現された無数のアイジェスとアンザス機の攻防を繰り返しながら、その光景を思い出す。
アイ=フライヤー...あの娘は、今どうしているだろうか?青葉さん達にフォローを頼んではいるけれども、
親に拒絶された子供に対して僕が言える言葉は...僕は恵まれているから...
親父は、親や子供を本気で憎む人間はそんなに多くない。譬え喧嘩をしたとしても、親や子供を殺す程憎む事例は、さほど多くはないが、
それはあくまで多くないというだけで、世の中にはそのような、親子関係も存在する。
そこに部外者である誰かが、仲を取り持ったり、蟠りを無かった事として処理する事は出来ないし、やってはいけない事だ。
誰も当人の気持ちを慮る事は出来ない。何故ならば...だからだ。
泣き叫び嗚咽する彼女の背中をそっと抱きしめる事しか、あの時、僕には出来なかった。
あれからアイの奴は...アイ=フライヤー。忌子として意味を見失ったあの娘は、あれから自室に籠って出てこない。
僕は僕で、訓練の合間に様子を見に行ってみるが...
後の事は親父と青葉さん達に任せるしかない...
...
...
...
拘泥する意識の中、僕は其の全ての懸念を忘れた...其処に本当の...が待っているかを知らずに。
それは、目標であるL5宙域ミーミルへ向かう途中に点在する、L5宙域のコロニー群に関しては、凡そマレディクト達の勢力圏となっているが、
その途中に点在する外縁部のコロニーと、比較的、近い距離に存在するL4、L1 からの艦隊が、陣形を整えつつ、
軍靴をスラスターの炎進へと換え無音の宙を泳ぎ続ける。
L4とL5は、地球と月のそれぞれ正三角形を描く位置に存在し、月面都市の地球⇒月⇒L1と、いった位置関係上、L5宙域への航路上にやや近く
L1からL5への進路は、月の表面の重力圏を掠めていく。
さらに月の裏側に存在する為、L5宙域から離れたL2宙域からは遅いタイミングで参戦を表明するも其の船足は遅く、鈍い。
そして遠く地球の反対側に存在するL3宙域のコロニー群は、我関せずと沈黙を守った。
打診された流地点は...
L1–L5間の三つの星による重力が干渉しあう不安定な「重力中間点付近」...カオス・アンステイブル・レギオに存在する
マレディクトが誇る、駐留基地、ヌン・アビュッソスにおいて、L5への進軍を阻む、同様の複数拠点への同時進行作戦の一端として、
月の軌道上より合流するは?《R.I.P》の船体、
進む方向では、既に戦端が開かれているであろ、無数の光が散っては、瞬く、
恐らく位置関係上。L1コロニー所属の艦船と機体であることが推測される。
重力の荒れ狂うその宙域に置いて、船体の備わった重力制御機構を駆使して、バランスを取るモノの曳航中の武装の数々が暴れる中、
春幸は《アンリミテッド》(Unlimited)への騎乗を選択。
「アンザスさん、俺は、先に外に出てるよッ!!!合流地点に到着したら離脱後、艦隊戦を仕掛ける。」
「了解でござる。第一部隊、第五部隊共に、各兵装を装備した上で、出撃準備に入るでござる。」
「各々方、第一種男尻態勢に入るでござるよ。」
ん?んなんだ、それは?聞いたことないぞ?
ごほっん
《ナンネン=ハイマン》は気を取り直して、
「《R.I.P》最大船速のままDEFCONを発令、ランダム回避運動、はじめ、射程距離まで接敵する直前に、ダミー放出。エネルギー充填開始。」
「アイジェスのフォローは、今回ない、味方機への誤射の恐れがあるぞ。実体弾兵装による慣性射撃は視認距離まで待て、接敵直後、各座、僚機との偏差十字砲火により仕留めよ。」
艦橋を船体内部へと格納し、臨戦態勢へと入り、格納庫内に置いては各自の兵装の換装作業に終わりが見えていく。
それぞれが備えしは、
《アンザス=フライ・ハイ》《ヴィキティ=アンディバイン》は、通常装備のまま背面部の砲門に、イグニス・パルヴァスを二門被せ、
第一部隊が率いるは、《宗谷=大石》&《ぺリ・インカヌス》狂えるペリカンを模した三方向に開く其の嘴を称え、その咢から繰り出される重力波により敵機を飲み込まんとその時を待つ
続く《パルメ=ザン》&《シールドメテオフォール》がサーフボード型の装甲支援機たるその防御とし、部隊の防御と機動を担当し、その底面で、敵の攻撃から身を守る。
《ソッチ=コッチ》《アッチ=コッチ》の両名は、作られたアタッチメントではなく両手に、大型のビームライフルと同化した。
イグニス・パルヴァス...且つて地上を席巻した《イグニス・エト・スルフル》を小型化した。その砲身を両手の大型ビームライフルと接続し、大火力による殲滅の一手を担う。
第五部隊を率いるは、反射装甲の鎧となる子ネズミ型の《falcisファルキス》で、部隊の防御を担う《オウ=コワイイ》&《ラッドチェスト》、
その摩擦係数を限りなく0とする装甲とハンマーファルキスや電動ブレーカー推進式金づち型ハンマーを備え、防御と攻撃の一手を引き受ける《オマエ=ナニモノ》&《ハンマーブレーカー》
砲撃戦と近接攻撃を担当する《シナドロ=アマイ》&《シュートサプレンダー》その姿は、脚部強化用途の脚光を浴びせる脚甲に、砲撃戦仕様の大型補助砲身に実体弾投射用の特殊機能を魅せる装備の砲戦仕様。
最後に《ネライ=アッタライナ》&《ロビンフッド》が担当するは、アイジェスが抜けた穴を《アンザス=フライ・ハイ》の《ヴィキティ=アンディバイン》と共に、
その連弩式の中折れ装填式クロスボウと《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の鏃を持ち、ノイズキャンセルの機能を持った隠密用のクロークと機体背面部に搭載される矢筒状の装弾及び罠製造ユニットの組み合わせによる。惑乱と挟撃を担当する。
共通で乗り込む《カルペ・ディエム・アスキック》が構えし、獲物には、各地の隕石落下地点より回収した《星屑鉄鋼》(スターダストダイト)をふんだんに使用し、
貴重な《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)の素材も局部的に使用した、その武装は、高速戦闘に寄与するべく仕込まれた。背面テールユニットの数々、各機の背面武装に干渉しない様に増設された
そのスラスターは、装填されたカートリッジを消費しての瞬間的な加速を生み出すスラスターユニットと数発の黒蝕穿劫弾…
その弾頭を《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)で形成させた実体弾を備えつつ、使用の際に関する注意事項が、存在する。
撃ては通常素材の砲身では耐えられぬ故、一度しか行使できない切り札として存在させる。
最後尾に控えるのは...
春幸が操る《アンリミテッド》(Unlimited)の外部装甲で有る《アルクス・ヴァンフーレンス》の現身たる姿。
大型の武装コンテナを山と積み込みフルアーマの外装に接続する背面ユニットとし、左に大型拳部ユニット右手には中央に長銃身と上下に短銃身を備えた三丁の砲門と言って良い程の超大型ビームライフルに大型のクローユニットを脚部の補助とし、
それらを繋ぐように可変式の中小の多機能アームの数々と、マトリョーシカ人形の様に重ねる外装フルアーマーユニットを要するその威容を以て
重力乱れし、戦場に置いて制圧射撃の一手を引き受ける。
最後尾から、僚機達の出撃を待たず、春幸は、己の怒張する意識をその手で掴みながら、連動する操縦桿と思考の手綱を操り、
噴射するスラスターと多重に展開される推進機構を駆使して、重力場乱れる暗闇の海へと漕ぎ入れ、各部のスラスターを器用に点火させ優雅な軌道を描きながら、艦隊戦を仕掛け始め、
掻き絞る様に放たれし、粒子の咆哮は、噎せ返る程の情熱をその身に浸しながら、繰り出される軽く触れる愛撫の様に、逢瀬を重ねて、その銃口を引き絞る。
無惨にも散華する痴態を魅せる。無数の巨躯を描く艦隊の傘開く、光の花弁を容易く貫くその意志は
重量子&輕量子の二種混合式大型ビームライフル...デュオ・クァンタム・ランスの一撃、
欠けた視界の不利を己の肌感覚と、未だ覗く右目の視界から逆算し、狙いを付けて慎重に這わせた指先は、優しくそのデリケートな箇所を花開かせ、
其処の生じる結果は、まずは中規模や小規模の目標ではなく、敵要塞の障壁及び、陣形を形成しながらも無数の艦砲射撃とミサイルによる弾幕を張り続ける
敵の艦影へその華を一本一本手折る様に、撃滅さしめる。
その姿は、まるで悠々と大海を泳ぐ、クジラの如く、目標の上下二対のカタパルト備えた巡洋艦。巨大な片刃の穂先にも似た大型のカタパルトデッキを備えた空母
それぞれが此方の動きに呼応する様に、船体の前面にビームシールドの開き、あるいは、発艦する機体の射出を優先し、多数の機体が保持するビームシールドによる防御を
主砲の一斉斉射と共に牽制の実体弾装兵器による迎撃を試みるも、その防御は、蕾が開き斬らないその花弁を一枚一枚引きはがすかの様に、引きはがしていく。
背筋にぞくりとする感覚を放つ感覚を頼りに、欠けた視界より《マレディクト・ペルフェクトゥス》の機影を確認
照準を次々と、感覚を頼りに荒く、荒ぶ激情のまま荒々しい手付で、武装選択を促す。まるでその本体が意志を持かの様に、脳裏に選択すべき兵装の数々を指し示し、
デュオ・クァンタム・ランスの二色を交えた二つの蜜が、滴り落ちるかのように、その突き刺すミツバチの尾の如く、激しく上下する
同時に無数の腕である。簡易コッレクティオハンズを多数展開、更には、救援対象とする機影を敵味方識別コードで仕分けながら、
誘爆の巻き添えを避けるべく、複合追尾式マルチロックオンミサイルの弾頭を無数の弾頭の数々の内から簡易的な装薬を施し、
焼夷弾、凍結弾、粘着弾、粒子攪乱幕、EMP弾頭、の中其の全ての弾頭を選択、断頭台の露と消え去るべく
追尾方式を画像、熱源、位置情報追尾、条件の真偽を扱う式論理演算式の複数を同時展開、機体を横方向にロールを繰り返し斜め45度の機体を傾け、
さらに反対に180度の斜度を掛けながら戦場を駆け抜ける。
武装コンテナより、棚引く噴炎を駆使して青、赤色、橙色、緑、紫etc色とりどりの推進機構の火を噴出しながら、向かう先は、
十二機編隊の《マレディクト・ペルフェクトゥス》の姿、奴らには惑乱する切り札《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》が存在する。
予めジャミングを掛ける粒子を展開する間も無ければ、一方的に不利を押し付けられる。奴らの射程に入る前に、叩き潰す。と
射線を確保しながら、悠々と押し潰す様に面制圧力を遺憾なく発揮し、愛欲に塗れた己をその手で掴み取り、
反撃の《天地刹喰》メランディルソールとメランディルオール《天地暴喰》による極光を引きつ入れ放つ、反撃の数々を、機体を傾け、あるいは、背後の母艦や僚機を守る為その重厚な障壁と銃口を掲げて、
撃ち落とさんとデュオ・クァンタム・ランスの暴虐なるその先端を解き放ち戦端の一翼となして戦場を翔ける。
官能に覚える感応波を受信して、その威を徐々に広げていく。救援対象となっているそれらの《Carpe Diem》に参加したであろうそれらの機体に対して
退避勧告を行使、降りしきる複合追尾式マルチロックオンミサイルにる凍結弾が生じさせる凹レンズによりジャミングにより、《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》の効果範囲より
脱した自軍の数々の機体らしき光の煌めきが千載一遇のチャンスとして離脱を選択。
それに、一射、二射とデュオ・クァンタム・ランスの二色の閃光が穿孔する様に交じり合いハレーションを起こしながらも並み居る敵を薙ぎ払い
遅れて戦闘態勢へと移行していった《カルペ・ディエム・アスキック》の4機編隊×2の宗谷=大石とオウ=コワイイが率いる第一部隊と第五部隊は、
それぞれ、いつも通りの攻撃と防御に分かれて。
オフェンスを第一部隊、第五部隊が、ディフェンスを担当、其処に遊撃として、アンザス=フライハイが操るヴィキティ=アンディバインが、春幸が抉じ開け綻んだ戦場の亀裂をその指先軽やかに、巧みに更に押し広げていく。
「《臆病者》(クヴァイリス)04、《お調子者》(ストゥルティ)両名は、それぞれの手段を使って、敵の妨害行為へのジャミングを展開しろ」
「《臆病者》(クヴァイリス)04は、狙いを付けずにも構わん、ありったけの空中地雷を駆使して罹る事態に対処しろ。」と宗谷=大石が、告げ、
《ロビンフッド》を操る《ネライ=アッタライナ》は、心得たとばかりに腰部に連結した罠生成ユニットを解放、
僚機達へと空中地雷を展開、張り付いたストラクチャーシールドに停止し、吹き出す結晶体の凹レンズを形成し、《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》から身を守る
準備を終えると、
さらに、続く次の手は、アンザス=フライハイがモードセラフィムを発動。白と黒のまだらの翼をはためかせると、天使と悪魔にも似たフォルムの機影が踊り、悪魔の角が反転し後方へと流れると、代わりに生じる天使の環の如き光り輝く威光を以て、白と黒のまだらの翼が白色の光に包まれ転身する。翼の光が、舞い散る羽根と化し、目下の直上より降り注ぐ。
何時もの様にフロストフェザーを展開するかに見えたモノの起動する御手は、その品を変え、繰り出すは《グレフズフェザー》
其の粒子が集まり形成するその羽が、触れた瞬間、放たれる粒子砲の一射が、その途上で掻き消え、その姿か降される。
粒子攪乱幕にも似たその光景は...
周囲に点在する重力場の不均衡を是正し、常にスラスターを小刻みに噴射、自機の位置取りと射線の確保をしない戦場に置いてもその有用性を指し示す。
嗚呼、そういうことなのかと、宗谷=大石と春幸は気付く、これはアイジェスが配備してる装備の技術はさては、此処から来たのだと、納得しつつ
その厚い守りに守られ、8機と1機の親鳥が、一匹の巨大な雛鳥に先導され、戦線へと投入される。
繰り出される一手は、それぞれ二門ずつ備えたイグニス・パルヴァス...且つて地上を席巻した《イグニス・エト・スルフル》を小型化した。その砲身を構え
敵対する目標へと照準を合わせて、連続発射
射手として選ばれた《ソッチ=コッチ》《アッチ=コッチ》の両名と《アンザス=フライハイ》の三名はそれから起こる美しくも儚い光景に、
敵味方分かれたとしても哀悼の意を禁じ得ない。
アルクス・ヴァンフーレンスを駆る春幸の援護を受けて、悠々と離脱していく、その距離凡そ100000、粒子濃い戦線に置いて、センサー索敵範囲外の長距離にも対応した
アンリミテッド(Unlimited)の重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動、味方識別コードで対象を検索し、
互い違いで存在する《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)を有する背面スラスター類と武装を介して僚機達との思考で結んだ戦術リンクを形成、
その姿を捉えた。イグニス・パルヴァスの一撃が敵艦と、敵基地へと大打撃を与えんと、その情念を込めた一射は、誤謬なくその目標を捉え
その原理は、小型のオービット・マイン製の流体金属を射出形成させた弾頭に対して直列接続したビームライフルの基部へ実体弾の砲身を重ね、生じる粒子と熱量を蓄積集中させ、目標に対して狙いを付けて、電磁射出を実行、目標に命中後に爆発四散、衝撃と共に熱量を解放。小規模の破壊兵器となるその威容を見せつける。
目標に命中後に爆発四散、衝撃と共に熱量を解放。周囲数キロを巻き添えにして炸裂する都合六発のそれらの砲撃に対して、
敵陣に展開される《マレディクト・ペルフェクトゥス》の姿が掻き消える。
砲撃と共に射出しデッドウェイトとなった、砲身をパージし、長距離戦闘から、中距離戦へとその戦型の形を変えさせる。
「これで、凡その脅威は、排除した。後は...」と、安堵する。その束の間の乱れる重力場の視界の端から、何かが接近してくるその機影を捉える。
しかしその機体のデータは、アンリミテッド(Unlimited)には、存在しないモノの何かのきっかけで封印が解けたのか?
交戦記録を確認。
対象を深淵と断定。その機動は、重力を無視する。注意されたし、重力場の乱れが存在するこの宙域においてその速度は、こちらの倍と優速を誇ると、
母国語の危険を知らせる映像と共に、脳裏に特大の警告文を知らせる。
思考通信を介して、僚機達へと散開と、集中防御の指示を出し、それらを受け取った宗谷=大石が、こまやかな指示を撃ちだしていく。
各地の隕石落下地点より回収した《星屑鉄鋼》(スターダストダイト)をふんだんに使用し、貴重な《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)の素材も局部的に使用した、その武装は、高速戦闘に寄与するべく仕込まれた。背面テールユニットの数々、各機の背面武装に干渉しない様に増設されたのスラスターは、
装填されたカートリッジを消費しての瞬間的な加速を生み出すスラスターユニットの機構へと灯を入れ、最大加速まで一気に加速させるその機構により
縦横無尽に入り乱れる重力場の嵐を、直進する勢いのままその機体を45度、90度と傾けながら、僚機達の盾となるべく前進する
反射装甲の鎧となる子ネズミ型の《falcisファルキス》を前面に立てて、迫る穿孔する閃光を左右に逸らしながら、その猛攻を防ぎ続ける
部隊の防御を担う《ラッドチェスト》を操る《オウ=コワイイ》の姿は、神経過敏なまでの、反射速度を以て飛来から数瞬後にその反応を見せる。
伸びる砲撃の中に、粒子砲ではなく強烈な重力場の発生を検知、咄嗟に警告の一文を唱える間もなく、一機の子ネズミ型の《falcisファルキス》がその突如発生した重力場の一射に巻き込まれ圧壊、消失し、互いの僚機達の警戒の色を深めていく。
罹る重力場の嵐に中で、それは怪しく、その全貌を新たにする。
黒よりも深く深淵を覗く闇ににも似た配色の機体は、頭部にやや大きめな逆三角形に覆われた頭蓋と円球状の頭部に、その外部を覆う様に白んだフレームでその頭部を覆い
覗く暗闇より仄かに輝く二つ目が踊る。その機体の肩や背面部には無数の副腕の数々が、その手掌より光を放ちながら縦横無尽と重力場の嵐を
悠々と泳ぎながら接近してくる。迎撃の一手となる。無数の《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の光が目標であるそれらに接触した瞬間、
何かに遮られるかの様に、寸前で湾曲しその狙いが外れる。その数、先ほどの《マレディクト・ペルフェクトゥス》と同数の十二機、砲撃戦による激戦により対象の艦船や通常の機体である《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の数が目減りしていくが...それでも健在なのは怪しく翳る。その姿に
且つての何かを見る。
敵機目標までの目算30000前後、宙間戦中距離戦に一歩踏み出す様相を呈する戦場に置いて、機体の各部スラスターを調整しながら飛行する僚機達を距離50000の地点で置き去りにして更なる加速と砲撃の速度を速めるアルクス・ヴァンフーレンスに対して、無数の重力場の漆黒の打撃力を内包した。砲撃が進む
そして僚機よりアルクス・ヴァンフーレンスの傍へと進み出るヴィキティ=アンディバインと共に
我らが誇る重厚な装甲へと降り注ぐも、その機体を覆うツェルレークト・ヴァント《分解壁面衝撃楯》を全面に展開し防御を重ねて、
戦線を徐々に上げて。反撃の簡易コッレクティオハンズの砲撃をまるで且つての何者かの動きとシンクロする様な跳ねる様に飛び回るその姿に
翻弄され敵機の背面より照射される光の柱が、何もない空間を刺し貫きその攻撃が交わされた言葉により躱された事実を知る。
手応えが全くない????目標のまるで部屋を縦横無尽にと跳ねるボール球の様にその行く先は予測不能且つ、
返す応射が、ツェルレークト・ヴァント《分解壁面衝撃楯》を張り続けるアルクス・ヴァンフーレンスの機体を揺らす。
こちらの戦力は、重力場の嵐に巻き込まれ、不用意な機体軌道を封じられている。
薙ぎ払いながら多く旋回を続け、次々と投射兵器を繰り出し、迎撃に乗り出し接敵迄の二十秒前後の間に、交錯されしは、不和へと続く同衾
機体との接触まで数秒を残して、その姿を捉えると、無数の光の刃を展開しながら突撃する重装甲の己の姿を思い描き、
各機体の手掌から延びる黒い重力場を表す。刃での迎撃へと入り、アルクス・ヴァンフーレンスが誇る
リーゼンクラウエ...巨大な爪を掲げ、その鉤爪の間より発振する大型ビームクローより粒子体である光波ブレードを展開、繰り出される
刃と刃か絡み合い、濃密な交合を果たして、鈍重な体躯では、不利とみて、中央部のフルアーマー装甲と、デュオ・クァンタム・ランスの砲身に
ツェルレークト・ヴァント《分解壁面衝撃楯》を備えた大型の左腕と、一本のリーゼンクラウエ...巨大な爪を残して、分離を選択。
武装コンテナ群が、それぞれを同時に自立稼働させ、十二機編隊で、こちらを囲む様に展開された深淵に対し、反撃を試みる。
独立した基部と、深淵は、互いを穿ち貫かんとその尻尾を死角より突き入れんと、周囲、十数キロの範囲で、
斜め上方に旋回しながら、敵機の翳が陰る中に置いて、水平飛行中から45度バンクし、斜め上方へと宙返りを繰り返し
速度を高度に変えながら、更に相対するもう一面の宙に置いては、逆方向へと進む、シャンデル (Chandelle) を繰り出し、
更に反対の軌道を描くスライスバック (Slice back)が敵機よりの追尾を振り払うかのように、暗闇の星空の戻で、その姿を拡散と奮戦する
平飛行からマイナス45度(135度)へとバンクし、そのまま斜め下方へと宙返りを試み、高度を速度に変えると共に
宙へと掲げるその足元へと、マルチロックオン複合ミサイルを追尾方式を画像、熱源、位置情報追尾、条件の真偽を扱う式論理演算式の複数を同時展開、
コックピット内部のジャイロセンサーを確認して、天と地の落差を転換し、射角を付けづに、発射と共に後方へと流れ、飛翔体が目標を捉えると
無数の弾体が、追従する深淵の二機が其の炎に巻き込まれ、その機体を爆散させるも、分離した武装コンテナを追尾に入った都合四機の機体が、
一気に重力場による真空上でエアブレーキにも似た、挙動を描きながら、急制動を翔け、一気に距離を取りながら
もう一方では、残りの六機の深淵は、重力場による防御を駆使しながら、こちらのデュオ・クァンタム・ランスが狙う射角を外し、
視覚の死角より忍び寄りその防御を崩さんと相争う。
(・д・)チッ
(この動き、こちらの左側が見えてないのがバレてるのか????)
この腐臭漂う香りは、間違いなくウィンディゴ部隊の醸し出す。臭気に相違ない。目減りする武装の弾数を観測しながら、打開策を撃つべく奮戦する春幸の元へ
進む《R.I.P》の一団は、容赦なく襲い掛かる十機の深淵と、要塞内と、沈みゆく艦影から吐き出される無数の機影に対して接敵を解する。
その動きは、やや鈍いもののまずは船脚軽い。アルクス・ヴァンフーレンスに集中するも、イグニス・パルヴァスによる一連の投射攻撃を終えた
《カルペ・ディエムアスキック》の一団は、その正面にストラクチャーシールドと《ラッドチェスト》を構えた《オウ=コワイイ》による防御では
防ぎたり得ぬ事に気付いた《パルメ=ザン》が《シールドメテオフォール》と共に、戦線の全面にそのサーフボード型の装甲支援機の底面より
重粒子による光波防御を展開、重力破の一撃をいなしながら軽いスラロームを描き、
敵の一打を捉えた瞬間にその姿が加速と共に展開され、《ソッチ=コッチ》《アッチ=コッチ》が交互に吐き出される大型のビームライフルの一打を解し、
その言葉を唱える様にアッチコッチの敵へと照準を揃え、撃滅せんと吠えたかる
防御陣形から一転し攻撃へと変わる《シナドロ=アマイ》&《シュートサプレンダー》は、「泣くなよお嬢ちゃん?!ベイビー」と、可愛いらしいお手てを震わせ
やんのかステップを小刻みに震わせ砲撃戦仕様の大型補助砲身であるサプレッサーを解して砲撃戦を仕掛ける
攻撃によって生じた集中攻撃を受けた深淵が、その機体の所々から火を上げて滑落する最中、
《宗谷=大石》の指示が飛ぶ
「重力破は、《ラッドチェスト》では受けられん、《頭脳》(セレブルム)02が担当、防御をで防ぎ、防いだ瞬間に引き付け集中砲火で墜とせ。」
「《頭脳》(セレブルム)01よりスノードロップへ、追い込み漁をやるぞ。網はお前で、追い手はこちらの《臆病者》(クヴァイリス)03と、遊撃の男尻が担当する。行けッ!!!」
宙域を支配するべく、分離隊形より、密集体型へと変わるアルクス・ヴァンフーレンスが、次々とその基部から思考導索を一対投射しながら宙域の空間を覆う様に
展開を繰り出し、飛び行くその基部より放たれる砲撃の数々に逃げ場を失った九機の深淵は、逃げ惑う様に、
散開を試みるが、《ソッチ=コッチ》《アッチ=コッチ》に《シナドロ=アマイ》が繰り出す砲撃の数々に、追い立てられ、
サポートに徹していたアンザスが?
「拙者も?」と疑問顔のまま、両手に掲げた実体剣と十二枚の龍鱗型の《falcisファルキス》を引き連れ、敵機の追い込むの軌道を描くべく
背面のスラスターを全開とし、その機体を水面に飛び込み入水するかのような急加速と共に、並み居る敵の姿を追いながら
無数の小口径の砲身と背面の大型砲身から延びる八つ手の銀劫の射線を器用に投射する。
その狙いは、前方でその動きを大きく変えた
九機の深淵が、三機の僚機が放つ、砲撃の一手を回避するべく旋回軌道を描きながら散開を試みた瞬間に、宙を蹴り上げ、
奔る機影は、計算し放たれし、簡易コッレクティオハンズの射列を回避すべく、更に、その進行方向を制限されたまま、
射撃戦と機動戦を仕掛けながら、追いすがる四機の機影を振り切らんと
水平飛行から急上昇、ループの頂点で180度ロールを実行しながら、進行方向を逆転させ
友軍それぞれが歪む重力レンズの防御により、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の一斉射を捻じ曲げ奔る姿は、
無謬の徒となりて、逆に《カルペ・ディエム・アスキック》の背後を獲る動きを見せるが...。
240度視界のヘルメットに映る姿により、一早く察知して、簡易コッレクティオハンズの射線を交互に放ち
その後方を取べく動くその姿を見送り、自らの網へと誘導を開始。
違和感を覚えつつもその防御に穴をあけるべくそれまで指揮に徹していた《宗谷=大石》が動く、
《ぺリ・インカヌス》狂えるペリカンを模した三方向に開く其の嘴を称え、敵が重力を操るのであれば...。同じものをぶつければ良い。
周囲に浮かぶ、撃墜された機体の残骸をその手に収束し、圧縮、重加速を加えながら吐き出される弾頭と化したそれらが
インメルマンターン(Immelmann turn)を決めた深淵へと吐き出される。
寸前で、その脚軽やかに、重力場を発生させながら、そのAMBAC機動で、虚空を蹴り上げ、寸前に回避するかに見えるが、その軌道上に、宙を泳ぎその宙域を席巻する
思考導索の末端へと触れた瞬間、ジェネレーターをオーバーライドし連鎖爆発するその光景に、
その姿を捉えていた眼に、光のハレーションを刻み付ける。
思考導索は...《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の小型ジェネレーター内蔵式の《falcisファルキス》を単純に流体金属による伸縮自在の
有線で繋いだだけの簡単なモノのその推進機構すら備えぬその基部が縦横無尽に奔る事を可能にしているのは、
且つての《HHB》やナインテイル...《ナインライブス(Nine Lievs)》と同様にその素材自体に蓄えられた。
グレフエフスキー粒子…рех (グレフ) - 「罪」や「過ち」を意味するそれを、放出して自機の推進力へと換え、内臓のジェネレーターをオーバーライドさせ、自壊する事により
周囲の敵機を纏めて焼き尽くす。
その一手により、広がる爆炎の連鎖は、その品と光景を変えながら、戦場を描く筆の如くその趨勢を大きく傾かせる。
戦場の周囲を覆う様に展開され放たれた、爆炎の波涛は、流動する戦線の中で、猛威を振るう深淵の姿を掻き消し、
追加で投入される。《ブレイズ=ガルヴ・ディム》、《マレディクト・ペルフェクトゥス》の煌めく光点を飲み込み、
破砕、爆散、退散せしめる。
その爆炎の中を抜けて三機の深淵と四機編隊のG型装備を備えた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》が、互いに、重力場を形成する。
不完全ながらの試作アタッチメントたる《アースガルズ(神々の庭)》を同時展開。
「悉ことごとく、重力の止やみに堕ちろ《アースガルズ(神々の庭)》!!!!!」更に追従する二機の《マレディクト・ペルフェクトゥス》が
「「「「「悉く恐怖に厭いやかされ死ね。《グリムズヘイムッ(陰鬱な世界)》」」」」」と、次々と、展開する界域による陣取り戦を仕掛けてくる。
その界鏡面と接しながらも、宙空の設置点では、ヴィキティ=アンディバインが展開する。《グレフズフェザー》の防衛網と衝突、
陰る宵闇の影に踊る重力場と惑乱するその効果が、対消滅を起こしながら、先行する。
分離軌道から、再びの合体の姿を魅せるアルクス・ヴァンフーレンスに対し、砲撃戦での不利を悟り、集中攻撃を仕掛け
その手に掲げる刃をそのマニュピレータの手掌を高速回転、円周状に展開される刃を縦代わりに、都合七機の深淵と《ブレイズ=ガルヴ・ディム》
が楔型の突撃陣形のまま、直進、一機また一機と、マルチロックオン複合ミサイルとデュオ・クァンタム・ランスによる、彩とりどりの破劫の
祭典により、無数の輝軌跡を描きながら、撃墜を果たすも、防空網を抜けて飛来する。
三機の深淵が、降り注ぐマルチロックオン複合ミサイルの弾幕を刃の盾を使っての強行突破を仕掛け、三方向から
春幸が操るアルクス・ヴァンフーレンスの防御機構の隙間へとその重力刃を差し入れ、機体が振動と共に、その頑強な装甲に
攻撃を受け破損を知らせるアラートがの音が、春幸の耳へと届く、
奮う隠し腕より無数の刃を展開し、防御行動へと思考を走らせるが、敵はこちらの死角...左側を執拗に攻め遅い掛かり、
ままよッと、意識を切って、春幸が選択したのは...機体の強制パージによる。敵機への反撃...ではなく。
機体を大きく下方へと沈み込む様に、姿勢制御バーニアを吹かせ逆心を掛けつつ深く深く沈み込みながらその大きな機体を後方宙返りを敢行。
コックピット内に掛かるGを重力制御機構でその勢いを殺し、
機体の進行方向と角度を如何に変えながら、狙う砲身は、デュオ・クァンタム・ランスの光、瞬く光は、互いにその干渉を受けながら、
時間差で、弾速の遅い弾と初速を上げて加速する弾帯を器用に、弾け飛ばしながら、その反発しあう斥力混じるその姿は
無謬無き理不尽を嫌う無頼の弾け飛び合う。二色が交じり合う閃光は、遅れて参じてメランディルオール《天地暴喰》による砲撃支援を行う
《マレディクト・ペルフェクトゥス》へと突き刺さる。
宙空で爆発四散するそれらを他所に、回る周転の刃に対するは小回りの利かぬ機体での不利を推して、その手より発振器を固定したままの
シュバルトレーゲン《黒い雨》を威力を絞った漆黒の極薄刃を砲撃の様に展開
震える事無くその存在に覇を唱えし、その暗闇に踊る刃は、敵が展開する回転刃に衝突し、その刃を輝すら曲げる重力の井戸の盾により湾曲、
その砲撃にも似た一撃を凌ぎながら最接近を果たすべく、再度の攻撃が...迫る中、
その回転刃の一翼に銀劫瞬く、遅れて参じたヴィキティ=アンディバインの中距離射撃の弾体が、その回転する刃の起点たる、手掌へと吸い込まれ、
直撃を受けた腕部がその熱量を受けると破断と破裂させ、一機の深淵がバランスを崩して、アルクス・ヴァンフーレンスへの追突コースから
外れゆく。
「この男尻は貰ってくぞ!!!!!」
ブルンブルンと左右の腕を振り、ウインドミル奏法を繰り出しながら、突如参戦した機影が反応し向かい来る数機の機影を引き連れ、未だ残る春幸が見る右方の視界を抜けて、
アンザスが操る白と黒の入り混じった機体が、綺羅星の如く前進する。
「アンザスさんッ?!!」
「違うッ男尻と言ってよ!!!!スノードロップーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!作戦コードは、男尻の可愛い男の子ッ!!!!」
やや離れた場所よりの支援砲撃を試みる《R.I.P》と《カルペ・ディエム・アスキック》の面々は、攻撃の一手として、それまでの単騎、単独での《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)から、四機編隊でのフォーメーションによる。
砲撃戦へと移行。四機編隊での四つの光の柱を、一度に放出させる。メランディルオール《天地暴喰》を倍にもする光の柱が、同様に奔る
その行為により、マレディクトの陣営に対して、大打撃を与えつつ、砲身冷却の時間を分け合いつつ減少させ、さらに空いた弾幕の孔には、実体弾兵装による
慣性射撃による砲撃で、その穴を埋めつつ、戦線は、目標である敵の前線基地であるヌン・アビュッソスへと肉薄していく
其れは、宇宙では見る事が稀となる水生生物にも似た頭部に大きな鋏をその手に持ち、四脚獣の如き、その威容は...巨大な歪なその姿から
放たれるは、天に頂く水瓶の如く溢れる。混沌の海を吐き出す。重力場の波涛。
まるで暗闇の宙から溢れ出す。その流れにより実体弾頭による砲撃支援が、目標へと到達する前に、圧壊、誘爆の果てに無為と還る。
その間にも、迫る一機の深淵を抑えるべく、慎重に狙いを澄ませ、遠くで、撃ちあう友軍の輝光点を視界の端に捉えつつ、欠けた視界を感覚で、
その引鉄を引く。
死角である左方から迫ってくるのは...分る。それならば、その反応を予測して、その刃を...光を曲げるその楯の中心部へと、激しく、突き入れる
繰り出される威力を絞ったシュバルトレーゲン《黒い雨》が放つ、漆黒の極薄刃は、まるで吸い込まれ、其の中心点を怪しく溢れ出す。愛潤す唄を書き出す様に、
駆け巡り、触れた瞬間にその熱い情熱に絆され、その快感に身をよじらせ、爆散する。
と、同時にブレイク(Break)急旋回を試み、その姿を見失わせようと、上下左右とその機体を揺らし、叫ぶように、その機体の船尾を振る。
其処には、それまでの優位性は消え去り、唯々逃げ惑うのみ。
二つの弱装状態のシュバルトレーゲン《黒い雨》と重量子&輕量子の二種混合式大型ビームライフルであるデュオ・クァンタム・ランスの多重一斉放射に、
背面飛行に切り替え、跳ねる様に機体を飛び上がらせ、回転する重力場により、その光を弾かんと欲するが、
まずは極小の刃による一射、その光を捻じ曲げ防御、更に二射目を迎撃、防御を成功させるもののその勢いに押され、機体がブレた瞬間、最後のシュバルトレーゲン《黒い雨》による一撃が
その基部の中心点を射抜き。命が奪われし愚行にすぎぬその姿を何故人は美しいと表現するのか?
無為に消え去りし、光景は、無意味なる高揚感を残して、その場には何も残さない。
遠くで遠雷にも似た瞬きが過り、他の戦局に置いてもその趨勢の決着が、尽き、そして崇敬にも似た笑みを浮かぶ間もなく、深淵の波涛が、その意識を刈り取るべく
襲い掛かってくる。
急速に広がるそれらに対して、何を思う。
其の理を捻じ曲げ現実の事象では有り得ぬ光景に対して...。これは...如何なることかと、不振を覚えたものの其の水面へと、飛び込む様に更に更にと、その場へ潜り込むように
コックピット内で動くジャイロセンサーにより天地の逆転を感じ、潜航し、閃光する瞬きに合わせて、機体の角度を180度変え
多重連装の砲撃の雨を繰り出すも、接敵する間もなく其の全てが重力の波涛に押し流されその威を封ぜられる。
直前で危機感を感じての自逆進軌道を描き、それまでの加速軌道から、細かいスラスターの噴出により、迫る攻撃を回避しながらも
背面飛行へと映り変わるコックピット内の視界に置いて、コンソール上に、交戦記録によるデータを取得。
ヌン・アビュッソス…試作型反転重力炉を搭載、周囲の重力変動を出力へと還る。設置場所を「重力中間点付近」に限定される為
その仕様の為、戦力的にも限定的である...が、資源リソースも限定的となる為、有用。
と、記せられるそれらを読み解き、その打開点を探るが、その動力炉の原資が周囲の重力場の乱れとなると...無尽蔵である可能性がある
そうなれば、アンリミテッド(Unlimited)の切り札を切る必要が出て来る。だがここでこれ以上の視覚の欠如は
死活問題となり、その引鉄を躊躇する。
対策として考えられるのは...。
急ぎ機体を反転し、迫る波涛を振り切りながら、その最後のキーを探し当てるべく、僚機達が奮戦する後陣へと退避を試みる。
急速反転から、僚機への邂逅を果たし、短距離レーザー通信により目当てである宗谷=大石へと、
通信を繋げる。
「どうしたスノードロップ?!こちらの攻撃が一切届かなくなった。ばかりかなんだあれは、敵味方区別なく巻き添えにしながら、何かが迫ってくるぞ。」
「《頭脳》(セレブルム)01、それ貸してくださいッ!!!!」
「ん?何のことか?」と思いつつ嗚呼そうか、こいつにはそう言う使い方も出来る様にしてたな。と
腕部に接続していた《ぺリ・インカヌス》の接続を解除、
接合部が挟み込む様に開閉するその基部が、春幸の思考誘導に伴いその腕部の機構を回転しながら、離脱と共に、アンリミテッド(Unlimited)の腕部へと装着を試みる。
繰り出す一撃は、全てを飲み込む重力の坩堝...今必要なのは、夢幻を彩る無限の雫、
行使する無限を最小に、喪うモノ全てを必死に繋ぎ留め、語るは、カタルシスへと続く声
喪ったのは、せめて...であれ
「デカいのが行くぞ、各自退避...」
《アージナリーワン・ウェポンⅠ》ツー、ファイブ「音声認識による命令を受諾しろ。キーワードは....Life is whiteライフ・イズ・ホワイト命を謳う無垢であれ、
俺は、憎しみに染まる復讐者よりも、弱者に寄り添う当事者でありたい。
続け、《Lufu is whiteルヴ・イズ・ホワイト》見返りを求めぬ無私の親愛で白く覆え、その愛は、己を捧げて、愛を守る為に愛を捨てよ。失う事を恐れて、嘆くより、譬え無為に終わるとしても、唯、君の為にその愛に殉じよう。
...我が名は、春幸=ブラットワーカー。この命が絶えようとも、その想いの火は消えない。」「無限の一の中からその鍵を掴み取れッ!」高らかに歌うは、無法者の唄。
その腕部より展開するこの紅玉は、膨大な熱量と共に自機にエネルギーフィールドを形成し、五つの王冠の内、五つが外れ、隠れていた頭部が顕わになる。発光する光が、急激に膨れ上がり、浮遊する漆黒の王冠が、輝ける御手へと装填される。
多重展開されるその基部に見守られながら放つ覇涛は、全てを飲み込む重力子の一撃、限界を超え発振するその嘴より火花を発しながら放たれる。
其れは大いなる。無限を描く衝撃を以てその場へと到達し、何もかも飲み込まんと、無理を通す。
敵のその機構には、一点、欠陥が存在する。それは周囲の重力場の変動をエネルギーと換えているのであれば...其処に通常の何倍もの重力破をぶつければ...
ジェネレーターは、その周囲を巻き込みながらオーバーロードを繰り返し自滅する。
その単純な解を解きほぐしながらも、この身体より喪われる何かを感じながら、その手に握る。操縦桿と連動する様に、その引鉄を引き、夢想し、そのすべてを解き放ち無念無想をの一心不乱に注ぎ込む。
周囲を巻き込むオーバーロード迄のカウントダウンが生じる中、噴出される重力場の乱れが、遠く離れたこの場にも影響を乱し始める。
「各員、全力離脱ッ!!!推進器の燃料は気にするな力の限り退避ッ」
「そう言うのは早く云って欲しいんだがッ!!!!」
「ごめん、でも...忠告は前からしてるぞ?」
一目散に駆け上がる僚機達と180度回頭を試みようとする《R.I.P》に対して、その動きに独自性が現れる、
重力場の乱れが此処までくるという事は...先の戦闘で逃げ出した他のコロニーの戦力が、巻き込まれる。
次善に、《R.I.P》が艦隊戦による要塞撃破用に温めていたその砲身を、急遽、本艦に備え付けられている安全弁を解放。安全装置を解除し、放出されるジェネレーターの出力を全て艦首に備え付けられた砲門へと集中。
紫電を纏いつつ残された時間に放出される粒子をさらに加え、唐突に放たれた。開戦の狼煙ではなく、戦闘を終わらせる終焉の嚆矢を打ち放つ、船体に内蔵された動力炉の出力より放つその一撃は、広大な範囲を覆う要塞の中心部を容易く、只の鉄屑へと星屑をまき散らしながら、両断する。
崩落する基部が、圧し折れる装甲、ジェネレーターのオーバーロードを待たずに、誘爆する火薬庫、光に貫かれし人影は、只のその痕跡を僅かに影として残して消失する
動力炉が、繰り出す膨大な出力を暴れまわる勢いのまま、撃ち抜き問答無用で、穿ち続ける。
その絶対の熱量は、熱い装甲に守られた要塞の擁壁を分解し、ガラス状に変質させる事もなく、只の粒子の塵へ変えていく。灰を灰として、塵は塵に、その絶命の声を、炉にくべてひたすらその命を奪い去る。崩れ落ちる破片は宙に滞留することなく消滅、消えゆく無数の命と、輝に包まれし、断末魔の声を上げる者どもに慈悲はなく、唯々、降り注ぐ光の奔流をもってその対象をこの世から消し去る事にのみ注力する。
その光景は、その行為が起こした無残さとはかけ離れ、酷く美しい一幕だった。
黒点の中心点に添えられた光点は、事態の好転を知らせる嚆矢となり、真空の宇宙の中で響き渡っていく。
迫る脅威は、駆逐した。その後合流を果たした。Carpe Diem陣営は、
一路、L5宙域へと逃れたミーミルへと進路を変えると...集まったのはこれだけか...
確かに艦隊としての体裁は持ったモノの未だ参陣し勢力には、配備されているであろう機体は、中には、《ヴォーパルバニー》を有する陣営も現れるも
比較的新しい部類の機体は、主に《ブレイズ=ガルヴ・ディム》に留まる。
殆どの物は、作業用機体を改造したものや、旧世代の《カルペ・ディエム》を改修した機体が目立ち、、
それでも続々と集まる戦力を改版し、十二の部隊へを統廃合を試みるも、その様相から主力は、《R.I.P》に依存する事となる。
凡その戦力は
《R.I.P》一隻(8機+2機)を基軸とし、
反転式甲板を備えた大型空母1隻(20機)⇒20機
巡洋艦3隻(6機)⇒18機
駆逐艦3隻(2機)⇒6機
合計54機
《アンリミテッド(Unlimited)》1機
《ヴィキティ=アンディバイン》1機
《カルペ・ディエム・アスキック》8機
《ヴォーパルバニー》4機
《ブレイズ=ガルヴ・ディム》14機
《改修型カルペ・ディエム》10機
《アルディエゴ・リム》10機
《アル・ディエゴ》6機
と、やや心もとなくも、艦隊同士のレーザー通信による、遠隔会議を行い、議題は紛糾を繰り返し、主導権の取り合いを見せた。
指揮系統の混濁もあったモノの前回の戦闘に置いて、果たした意義が大きいとみて、とりあえずの戦闘指揮に関しては...任される事となった
「やぁ、助かったよ。」《R.I.P》との交信を続け、他の主要コロニー群の船長たちを宥めながら、漸く議論が下火になった頃合いを見計らい
春幸へと話しかける。
「私は、ユリス=ユースティティア。息子がお世話になっている。生憎、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)が動けないのは、痛いが、事情が事情だ。君の事も息子から聞いている。君の奮戦には期待しているよ。わが社の新機体を投入してはみたものの、如何せん、決め手に欠ける」
「我々は、唯一参戦している空母へ乗艦している。何かあれば協力しよう。」...
続く会話に中で、《R.I.P》に搭載されている光学望遠鏡を駆使して観測し続けていた。観測手が、異変を察知する。
敵艦船の影らしき光点を捉えた人員は、急ぎ艦内の有線通信を以て、艦長へと打電。
「艦長、恐ろしくデカい何か?あれはコロニーが三基、艦隊と共に随伴しながら、敵船団の一部が転身してどこかへ向かっていきます。」
「あっこの進路だとL1宙域へ向かう様に見えますが...」
交錯する光点は月面への進路にも入る様に見える...どう伝えるのか思い悩み、見た状況をそのまま伝える。
「艦長...私の見立てが正しければ...。三基のコロニー群...過去の戦役でのコロニー墜としを阻止した際に牽引した三つのコロニー...」
「アネモネ、エニシダ、カレンデュラの三基です。もしかしてまたコロニー墜としを仕掛けてくるのかもしれません。」
「地上へ退避勧告を出さねばッ?!?!」
焦る観測手に対して落ち着きを払ったナンネン=ハイマンは、答える
「落ち着きなさい。マリア=アッカンバーグ少尉...この階級も今では機能しては居ないが...この進路だと地球に堕ちるというよりは...」
「コロニーへの攻撃に使われる可能性がある。」
「クルーニー=ブルース特別顧問...見解を聞きたい。」
「そうですね...。過去の事例を見ると、コロニー自体を破壊兵器として使用した例もあるにはありますが、外観上では、その様な加工や改造を施された
形跡はありませんね。熱源反応もここからでは正確な情報を捉えられませんが、人の活動を知らせる形跡も観られず、コロニー外に確認できる。太陽光を取り込む
パネルの一部が破損したまま、修繕されてませんね?それに確か、件のコロニーは、既に破棄されたはず?無人のコロニーを牽引して何をするつもりなのか?」
L5宙域のミーミルへの攻撃を取りやめた一向は、来た道を戻りながら、敵の攻撃の阻止へとひた走る。
飛来するは、この胸に去来する違和感と嫌な予感に苛まれながら、その光景が白日の下に晒される。
全てを薙ぎ払うかの様に、再加速へと入ったコロニーアネモネが、第一宇宙速度にも迫る速度とと思わしき、
狙い撃つ、その姿はアンリミテッド(Unlimited)の弾道予測を行う。軌道プログラムを並列起動。
その目標が、遥か後方に控えるL1宙域のコロニー群の存在する一画へと向かう姿を捉え、最大限の警告を放つ。
其れ迄、備えていたアルクス・ヴァンフーレンスの装甲や装備をパージ、緩い回収軌道を見せながら僚機がその背を捕まえて係留作業へと入る姿を確認し
自らは、《R.I.P》後方で係留されていた武装コンテナを解放、
展開される無数の反射板らしき基部を慎重に、思考誘導と、ビーコンによるレーザー誘導により、組み上がる一枚の鏡絵とし、
次々とアンリミテッド(Unlimited)の機体へと繋がっていく、やや大き目のそれを無数のミラー状の基部を操作しながら形成される
壁面と連動するかのように、
《R.I.P》の艦橋に、アンリミテッド(Unlimited)の背面ユニットの射出も、指示し、自らは荒い息を整えながらその時を待つ、
親父が託してくれたこの一撃で...
その手には銀劫の輝き。操縦桿のスロットを開閉すると、それに合わせて何かが映る。腕部に接続された球体状のジェネレーターらしき基部が発光しながら離脱、腕部の接続を180度回転し、それに合わせて手掌も回転、反転した前腕より元の一へと還ると、左右の腕より、球体状のジェネレーターがその基部を揺らしながら離脱し、一定の距離を保持したまま浮遊する。
その異様な光景を威容を以て伝えてくる。
目標のコロニーには重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を介して、人の熱源反応や生活に由来する動態反応は確認できていない。
此方に迎撃に出てきた、敵艦隊ごと、この一射をもって撃ち払わん。
その不倶戴天の決意を以て、青年はその引鉄に手を掛ける。
其れは、光点眩き、星泳ぐ、天ノ原を一筋の閃光が通り過ぎる。
光は、何処から来て何処へと還るのか?
背後に惑う。数千万の人属を詰め込んだ円柱状の箱舟を背として、
その叫びは痛切なる想いを載せて、迫る人喰いによって廃棄された箱舟を弾頭として、繰り出す。
攻勢に対して覇を唱えしは、無情の発光する薄幸の希望の光。
第一射を潜り抜けながらも、迫る脅威は、その数を増し、目まぐるしく変わる視界の中で、
遠き星空より来るは、触れえざる者の姿、瞬き、耀喜する。
人を喰らう何者かへと下すは、宣誓するべく唱えられし、無法者の唄、
其の音階は時に優しく、時に激しくその姿を鏡に映し、激しく上下する。
絶える事のない息使いは、荒々しく弄る様に、静かに愛撫する。
掴む自らの操縦桿に、罹るは、熱病にも似た熱狂の傷痕と口付けの甘い香り
青年は成年となる儀式に似た、その行為を経て、掴んだその手は、何処へと向かうのか
欠けた視界と、喪った味覚に、今も尚残る、臭覚を頼りに、稲穂の収穫を得るべく、
欠けた魂の片割れを探し、今でもその手を探す。迷子の手を彷徨わせ、星を観る。
輝が、耀が、洸が、遠く離れた場所より飛来する太陽の光に晒され、偏曲する編曲の打音が、
猛き衣を纏い、真空の星空へと眩き走らせる。
天よ哭くな、譬え見えずとも、その姿を捉えて会いに行く...
直撃する閃光の一撃は、天を焼き、星を焼き、箱舟による愚かなる自爆攻撃を仕掛けしは、
コロニー自体を弾頭に変えての攻撃に対して照射される光...その役目を終え、多数の敵陣を焼きながら
対峙した。無数の人々を焼き滅ぼしていく破滅の光。
死にゆくそれらに対して、感じるモノは、感覚が麻痺しているのか?
その中心点で何かが蠢く、蠕動する突起物を前に、その機体を操るものは嗤う。
それはかつて見た僅か一年足らずの共闘で逢ったが...未だその姿は目に焼き付いている。
その脚を止めて、その巨体の進行方向を整え、其れ迄牽引していた、ワイヤーを切除し、周囲へと展開される
「あれは?エンゼルフィッシュ????」
工廠艦たるその亀の如きそのフォルムに対して、その中心部には、備え付けられた人型の姿。
我が名は触れ得ざる者...《アンタッチャブル》(Untouchable)
且つての仲間の墜ちた姿と声に...コーディー=スルーは、相対するCarpe Diemカルペ・ディエムに反撃の糸口すら与えぬまま、
その機体の誇る様に回遊するその姿は、直立不動の、パズルを組み合わせた様に、次々とその構成体を切り替えながら、
其の身に宿りし、機能を十全と働かせる。
天を焼く炎は、目標の直前で、その接触を禁じられたまま、事態は急転直下、散華する。
その破滅の光は、自らが放つモノではなく、その理不尽なる、触れ得ざる存在が見せる。破滅に繋がる光に出会う。
「ヘリアントゥス・インサヌス効果ありません。敵陣形およびコロニーは健在です。次射を急がせますか???」
観測状況を報告するマリア=アッカンバーグが、次の指示を促すも。背後には、何も知らずに揺蕩うCarpe diem陣営のコロニーがある為、その進路を阻む以外の選択が取れ得ぬ
不利へと晒され、指揮者であるナンネン=ハイマンは、打開策を撃ちだせないまま、現場指揮を預かる宗谷=大石も戸惑いを見せる。
されど一早く正気を取り戻し、勝機を得るべく奔る機影が一柱、
「作戦コードは、男尻の可愛い男の子ッ!!!!」
「えッ男尻?お城じゃなくて??」
「なんだ男尻って?」
アンザスは、その手に持った操縦桿を荒ぶる様に右へ左へと倒して、一端上昇しつつ急激な捻り込みを掛けながら、下降運動を仕掛け、
周囲に対して、防衛の要となる。グレフズフェザーの展開を開始する。
周囲の機体には、その効果の注意点として、展開している最中には、射線上にある場合こちらの攻撃も途切れる可能性がある為、多用するには操作の一手を
になうアンザスの手腕と、攻撃を行う僚機達との連携が不可欠ではあるが、少なくとも粒子攪乱幕の展開には馴れている、春幸や大石達にはアイコンタクトでその状況を把握し、一斉に行動を促させる。
一端発生した攪乱幕の効果範囲を抜ければこちらの攻撃は通る。其の道標となるは、白と黒のまだらの翼をはためかせると、天使と悪魔にも似たフォルムの機影が踊り、
生じる天使の環の如き光り輝く威光を以て、白と黒のまだらの翼が白色の光に包まれ転身する。翼の光が、舞い散る羽根と化し、周囲の空域を埋めるも
その先頭を走るアンザスが駆るヴィキティ=アンディバインの後姿を目標に、各機は攪乱幕が影響を及ぼさない角度と範囲を見切りながら、投射攻撃を開始する。
背後より撃たれる砲撃の数々を240度の角度を視認可能のノーマルスーツのヘルメットに映る映像と、男尻に感覚を集中し、その尻尾を器用に振りながら、
迫る弾速早き攻撃に尻を軽く炙られながら、十字砲火による多重攻撃を扇動する。
瞬く戦火の炎が、無窮の宙へと還るべく無数の火の粉を散らしながら星が、また一つと消え去って行く。
その最中で、アンリミテッド(Unlimited)の機体内部では、未来の技術で作られた機体...、同型機を認識するアラートが鳴り響いている。
交戦記録は取得できたもののその全容は未だ知らず。
先の戦闘で喪った何かが還る事もなく、その激闘へと雪崩れ込んでいく。
新たなる脅威を感じ取り、分離し浮遊するアルクス・ヴァンフーレンスの基部を操り
徐に解き放たれるは、デュオ・クァンタム・ランスとの一撃、オービットマイン式のの蓄熱弾体に、粒子を加速と共に貯蔵して、弾頭として射出させる。ミニマム式の《イグニス・エト・スルフル》であるイグニス・パルヴァス。ラテン語で 「小さな火」 と示すその一打を以て、
並み居る敵ごと、殲滅を試みるが、何も行わず、眼前に反りたつその基部が、怒張する器物の如く細かく震えながら、
吸い込まれ、直前で触れる事すらできずに霧散する。
その行為に、判然とする春幸は機体を大きく旋回しながら、更なる射撃戦闘を此処とみる。
相対する陣営は、二十四の艦船による大部隊を形成、目算で確認できる範囲の攻勢は、未だそれだけの戦力を保持していると、
ばかりに其の戦慄が過る空域に揃いしは、数多の光
工廠艦エンゼルフィッシュ《アンタッチャブル》(Untouchable)1隻(20機)⇒合計21機
大型空母ウニラ・エンシス3隻(20機)⇒60機
戦艦2隻マグナ・トゥッリス(15機)⇒30機
駆逐艦ディミディウム10隻(4~6機)⇒60機
巡洋艦ハンマーウォー級1隻(6機)
巡洋艦ビス・カンナ3隻(10機)30機
補給艦テストゥド4隻
合計206機+α
番外1機
《アルクルージ》6機
《深淵》20機
《マレディクト・ペルフェクトゥス》40機
《ヴィヴィアニテ》20機
《ヴィ・ペイン》10機
《アド・アストラ》10機
《アイン・アングリフ》10機
《ブレイズ=ガルヴ・ディム》40機
《コントラファクト》 30機
《モルス・デンテスト》10機
《ミヌラ・トルビオー》10機
で構成され、その中には今まで確認できていない機体が見えるその兵力と兵站には、何があるのか分らないまま、その蠕動は始まる。
進み出るコロニーミサイルを中心に、防御厚き、空母と友軍機の防空網を敷く、輪形陣を試み、
ビームシールドを展開する艦船を前面に敷きながら、その中央前面には、不気味な《エンゼルフィッシュ》と同化したような《アンタッチャブル》(Untouchable)の姿が、
此方の攻撃を防ぎ続け、通る気配が見えない。
目標とする対象を中央前面の《アンタッチャブル》(Untouchable)から、周囲の空母や、巡洋艦、駆逐艦の数々に対して変更し、その敵陣を切り拓かんと、
一人の尻が舞う。コックピット内でも縦横無尽に跳ねながら、多数のCarpe diem陣営の機体が、その動きに追従し始める。
相対するは、マレディクト側の艦影の数々、上下二対のカタパルト備えた巡洋艦ビス・カンナ。巨大な片刃の穂先にも似た大型のカタパルトデッキを備えた大型空母ウニラ・エンシス
一隻の船を半分に分けた様な駆逐艦ディミディウムそれらが、円周状に折り重なる陣形を形成し、その多数の砲門と実体兵器の投射による迎撃で、
天を掛け先行するアンリミテッド(Unlimited)に対して、集中砲火と、包囲殲滅を旨とする先陣へと切り替わり、無数の実体弾の雨を
飛翔するその翼に射かけられた位相空間固定アンカーを射出、互い違いに振り子の様に機体を操り、回避と迎撃を選択、
分離したアルクス・ヴァンフーレンスの基部を操り、簡易コッレクティオハンズを多数展開、迫る砲撃の数々を撃ち落とさんと、放つ光の光芒は、劫百の光となって、億劫の時を駆ける
その側杖を喰った、何者かが、霧散し消失する。
前方に展開されたビームシールドに分離した、デュオ・クァンタム・ランスから放たれる二色に彩られた三条の熱気を称えた、その一撃が吸い込まれ、一隻の駆逐艦が爆散すると同時に
放たれるイグニス・パルヴァスの投射によりその小さな火とは名ばかりの、殲滅兵器の瞬きが数キロにも及ぶ爆裂範囲を誇りながら、埃を払う様に
数機の《ブレイズ=ガルヴ・ディム》と《アイン・アングリフ》の姿を掻き消す。
膨大な熱量を誇るそれらの攻撃に対しては《アイン・アングリフ》の粒子吸引機構は無意味となり果て
小型のオービット・マイン製の流体金属を射出形成させた弾頭に対して生じる粒子と熱量を蓄積集中させ、目標に対して狙いを付けて、電磁射出され、
命中後に爆発四散、衝撃と共に熱量を解放。小規模の破壊兵器となるその威容は、敵の防御を掻き消す様に次々と着弾していく。
その視界には、宵闇の天をその無惨なる光景によって世界を塗りつぶさんと、縦横無尽に飛来する光景を前に、己の思考で操る《falcisファルキス》となって
乱舞するアルクス・ヴァンフーレンスを操り、其の天を往くは、逆回転に捻り込み、機体を斜め下へと下へと潜り抜ける様に先行しながら潜航を試みる
水面に映るは、急上昇天へと昇るかに見えしその姿は、滝昇りし龍の如く、
そのループの頂点において180度ロールを実行、その進行方向を逆転する機動を操り、
更には、構えるシュバルトレーゲン《黒い雨》を降り抜ける、その閃断する黒白の瞬きは、二つの艦影を巻き添えにして、コロニーの船体へ叩き込まれ、
その壁面が崩れ去る様に、大きく傅く、
《アンタッチャブル》(Untouchable)との直接戦闘を避けながら、コロニーを弾体としてぶつけるコロニーミサイルに対して、どうにか破壊を試み
シュバルトレーゲン《黒い雨》による一太刀を浴びさんと、あらゆる人達へのその威を通す。
掲げる手に始まるは、相対する何者かの魔の手、手を翳す《アンタッチャブル》(Untouchable)は、その手で何かに触れるように握り占めると、
「興味深い、その検体、私に捧げて貰おう、《アージナリーワン・ウェポンⅥ》アンロック ツー マヌス・デイ《神の手》 」
触れた瞬間、デュオ・クァンタム・ランスの砲身が、萎びた植物の様に枯れ果て、電磁放電を繰り返しその砲身が、空中分解を起こし自壊する。
主力の一端を担う武装の一つを喪い、驚愕する。春幸を他所に、
さらには、反転する攻勢の勢いを推して、参りしは、無数の光点瞬く星の煌めき、こちらの攻撃に倍する砲撃の数々が戦線を構築する。
Carpe Diem陣営へと突き刺さる。
その戦場で繰り広げられし暴風の名は...破滅を彩る光の一柱...
その全容は未だ見えず。そして...物語は次に続く
〆
毎月、月末最終日に2話更新予定。
⇒家事をしろという意見が頻繁に届く場合や、家族の体調不良が重なった場合、
月の更新が一話のみか若しくは、休載となる場合があります。
また、作業の邪魔や文章の勝手な削除が発覚した場合、問答無用で休載します。




