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無法者の詩  作者: 唯の屍
23/26

第二十三話「嘆きの人害」

※イメージソング

ダーリン / 須田景凪

https://youtu.be/gwAuvX9i8yQ?si=Xm1i7XGhL_VdbRcK


ビビデバ / 星街すいせい(official)

https://youtu.be/8ZP5eqm4JqM?si=1H5mLeMeyE-ieWC8 @YouTubeより


なとり - プロポーズ

https://youtu.be/VDdLF1YubI0?si=pIILIuCFlEfLZ7em @YouTubeより


「なんで、私の事そんなの好きなの」


「えーだって隊長は、俺たちの事、馬鹿にしなかったじゃないですか?」


「何度も振った相手なんて、嘲笑の対象にもなりかねないんですよ?普通は?」


それなのに...と言葉を切る男たちは答える


...


「隊長ッ、体調が悪いです。きっと隊長の所為です。結婚してくださいッ!」「オ”エァ~!!!」と敵の攻撃をそうは食わないぞとばかりに回避しつつ、


ソウハ=クワナイが抜け駆けをすると、「あッ此奴、抜け駆けしたなぁー。」アーデスワットが、抗議の声をあげつつ


「そんな事より今そこに在る脅威よりもッそこに在る...だッ!!!!」とソコニ=アルナが突っ込む


「私は、人妻だッ!!!!そんな冗談よりも、裏切者の尻穴を掘ってやるぞ。ついてこいッ!!!」「《お調子者》(ストゥルティ)に後れを取るなッ!!」「「「へーぃ。挟撃しまーす!!!!」」」


...



まずはこの二機を墜とす。それ以外の攻撃は、こちらの装甲に致命的なダメージを与える事は叶わない。


思考する間も、操縦桿を操り続け、急速加速を繰り返し、追いすがる敵機を引きはがしに来る。その軌道にやや遅れつつも


「隊長ッ、ヤバすぎです。バナナの食べ過ぎで体調が悪いです。きっと隊長への夏の思慕の暑さの所為です。結婚してくださいッ!」


「オ”エァ~!!!」とソウハ=クワナイが懇願し、「おい、インヴィクトゥス《不敗》03抜け駆けするな。


それに今は夏じゃねぇ。宇宙で夏の暑さは関係ない。」「インヴィクトゥス《不敗》02ッ!!!!それよりも、始終頭の中が沸騰しそうだ。」


...


茹だるような暑さに晒され、冷を求めて、凍ったバナナを取り出し、ほおばると、何かに反応して、操縦桿を斃す、背面から襲い掛かる閃光を回避しつつ、ヘルメットのバイザーを開けたまま、避けながらソコニ=アルナが叫ぶ。


「俺この戦いが終わったら隊長と結婚するんだッ!!!!」


「「「インヴィクトゥス《不敗》04ッそれは死亡フラグだぞ?」」」


降りしきる閃光の柱を、各部に増設されたスラスターを点火しつつ、中距離戦から、接近戦の環の中に入り込むも、再び引き離され、その手が届かない


...


突如の方向転換に狼狽えつつ。僚機からの警告が突き刺さる。


「インヴィクトゥス《不敗》03逃げろっ」


「隊長カバーします。隊長との結婚には邪魔ですけど?!!!!」


「違うッ!?!足を止めるな。ダメだ!!!!!」其の数瞬後に、垣間見えるその光景に、涙し、そして、リン=山崎は、その行動を執る。一直線に足を


...


(・д・)チッインヴィクトゥス《不敗》03こと...は、「そうは喰わない。喰らえ、喰らえ。喰らえ。俺の名はソウハ=クワナイ、お前に一杯喰わせる男だ覚えとけ、結婚式には呼んでやる。」命中した瞬間、返しの一撃が振るわれるのを宙返りしながら、


機体各部のデットウェイトとなる燃料と実体弾の武装が詰まった増加装甲を切り離し、蹴りを叩き込み、その場に投棄、欠けた左腕を庇いつつ、残る右腕のビームライフルを構え、一射を叩き付ける様に、照射と共に離脱。大爆発を上げて、燃える火の手を背に、悠々と離脱していく...ごうごうと燃え上がる火の手に背を向けて、退避していくその背中に、滞留する煙の中から光り輝く光球が迫る。



「それでも隊長は、いつも真正面から受け止めてくれた。怖くて逃げそうになる男の尻を蹴り上げてね。」


「そうそう、あれ痛かったなぁ。でも、不思議と覚悟が決まった。」


(何を言ってるんだ。私は知ってるぞ。お前たちが、繰り出した街の街頭の光で、何人もの女性にモーションを掛けられていた事を)


(なんで、私を...。)


「何度も言っているが、私には旦那が居るんだぞ?」


「知ってますよー。(既に亡くなった旦那さんに操を立ててる事もね。)」


「まぁ、俺達の内、誰かでもいいので、気の迷いから、結婚したくなったら教えてください。」


「俺達に間で殴り合いでもして、決めますから。」


(殴り合いは困るんだけどなぁ。)


・・・



・・・



・・・


「隊長...泣いてるんですか?泣きたいなら俺の雄ぱい、いつでも貸しますよ。」


「泣いて何かないッ!!!」


「いいんです...俺は貴女が振り向いてくれるまで待ちますから。」


・・・


・・・


・・・



「わはっはw」


「なにがそんなに可笑しいんだって?」


「貴女が笑ってくれている事が嬉しいんですよ。」



・・・


・・・


・・・


6年前 UD1982年(西暦4007年)二月二十八日 冬、逃亡中の隠れ家近く、某所...


「准将、例の逃亡者...軍紀を違反し、機体を横領して逃げ出した。者どもの所在地が判明しました。」


「殺せッ、全人類に...が行き渡るまで、この事実は伏せたままでなければならない。老人から子供までその事実を知るものは唯の一人であっても殺し尽くせ。」


「全ては、人喰い共をこの舌のうえで転がす為にある。」



うぅぅぅぅ陣痛きちゃった...


「アーデルスワット、ソコニ=アルナッ隊長とお腹の子を頼んだッ」


「ソウハ=クワナイどこに行く?!」


「嗚呼、奴らの男尻に、銃弾を打ち込んでやる。あとの事は任せたぞ。」


えっ...痛みと腹部の蠕動に合わせて苦痛に呻く、視界が涙で揺れて見えない。


最後に見たその姿は、まるで近所に買い物に出かけるかの様に足取り軽く。笑いながら去り行く背中だけだった。



そこに待ち構えていたのは、無数の機体。同系統の機体である限り、数の優位性は、如何とも出来ず、カルペ・ディエム単騎だけでは...太刀打ちできる筈もなく


其れでも、死への旅路へとでる男の胸は、今から産まれる子供と伴侶への感謝と思慕に包まれ、その足取りは軽く、


踊る歩みは、乗機に移り、踊る様に飛翔する機体は、無数の機体に囲まれる死地に置いても健在し、その震える思いが顕在化する。


その声が(なだむ)るその想いは。傍には、いつも傍に居てくれた家族に注がれる。


「なぁ?お父さんは、立派に生きれたかな?坊や、唯一つ心残りなのは、顔を眺めて、撫でてやる事が出来なかった事だ。」


操縦桿を緩く掴み、めいいっぱい踏み込んだフットペダルに反応して、


機体が、縦横無尽に戦場へと奔る。その動きは、まるで雛鳥身を案じて囮になる親鳥の動きにも似ていた。


繰り出す軌道は、重力下での最短距離の機動、


サイクロイド曲線...


定直線に沿って円が滑らずに回転するときの円周上の定点の軌跡をサイクロイド曲線と呼び、


それは円が直線上を滑らずに転がるとき、円周上の1点が描く軌跡であり。この曲線は「最速降下曲線」とも呼ばれ、


ある地点から別の地点まで重力で物体を落下させると、最も短い時間で到達する経路である。その軌道を寸分違わず再現し、


四機編隊による、射かけられる《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の閃光の一射を目視した。


寸前で、姿勢制御バーニアーを吹かせ回避と半瞬遅れ、機首を上げてのピッチアップを試みコブラ (Cobra Maneuver)の軌道へと試み、


左右から忍び寄ってきた。カルペ・ディエム...且つての友軍機が、振り上げる光剣の奇襲をやり過し、


空振りを誘発すると同時に、左右より接近してきた機体へと蹴りを叩き込み、再加速に入る。


突き進む。その背には、未だ恐怖は見られず。それでも...一歩、一歩と、その歩みを進め、


更には、左右に不規則に繰り返す...交互に旋回するブレイク...シザーズ(Scissors)の軌道を描き、敵の狙いを回避しながら目指すは敵陣。


敵将の首を獲るべく突き進む。


あの時の...感覚を思い出し、不在の僚機の援護を実現する事なく再現を試みる。


追従してくる二機のかつての友軍機に向かい、背面機動取るまでもなく、両手より発振器取り出し、背後より追撃に入ってきた、


敵機に対しして、機体をその場で、回転させ、切り払いつつ、片手の発振器を宙へと放り投げ、構えた牙状の大型ビームライフルでその基部へと照準を合わせると、


一射、二射。


初弾は、低速の低収束による、破壊力と影響面積を広げた一射を試みつつ、次弾は、高速かつ貫通力の高い高収束によるビーム砲の一射を重ねて撃ち放つ。


重なる様に撃ちだされし、閃光は、防御体制へと入った敵機のビームシールドによる防御を貫き破断個所を広げ、本来であれば損傷軽微の筈であった


その一撃により爆散、僚機の撃墜に狼狽えつつ、接近戦を試みるもう一機が迫る中、放り投げた発振器を受け取り、


交差する光の剣の刃を重ね、防御と共に、一方の刃で受け流し、体を入れ替えつつ切り結ぶと、手首を回転させつつ、振り下ろし、その頭部を切り落とすと共に襲撃を叩き込み


光剣の刃を途切れ狙い澄ませた、発振器を瞬時にコックピットへと差し入れ、点火。


一瞬でコックピットごと、刺し貫きその行動をその場に繋ぎとめるも、罹る砲撃の火が、背後を見せるソウハ=クワナイの操るカルペ・ディエムに迫る中


咄嗟に体を入れ替えると共に急上昇。


一瞬の差で、通り過ぎる《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の一撃を機体の装甲を焼かれながらも回避。


敵陣より降り注ぐ光の砲弾の雨を仰ぎ見て、男は呟く。


・・・


インヴィクトゥス《不敗》03こと...は、「そうは喰わない。喰らえ、喰らえ。喰らえ。俺の名はソウハ=クワナイ、お前達に一杯喰わせる男だ覚えとけ、葬式には呼んでやる。」



・・・


・・・


・・・



視界一杯に広がる。銃口から忍びよる死への恐怖に包まれるなか、それでも、一歩前へと踏み出し、操縦桿を掴み、


振り絞ったその手には、やや粗末な鈍色の輝く、指輪が一つ、千切れた左手を名残惜しそうに眺め、


ああ見えて隊長、泣き虫だからなぁ...一緒に居れなくて、ごめん...。ブッツ...


途切れた。通信は、最後に届いたかもわからぬまま。月日は過ぎる。


...


...


...


遠くで遠雷の様に瞬く閃光と爆音がやや遅れて届く揺れる、コックピット内で、安住の地として定めた場所から、退避を決行する。


子供が生まれるその時を待ち、心配そうに長女が母に毛布を掛けて、怖がるそぶりも見せずに毅然とその手を握る。


「隊長...」



また一人、また一人と、櫛の歯が欠けていく様に、みんな私たちの前から消えて逝く...



...


...


...



機体から降りて、自らの無事を確認し、抱きしめるように自らを抱きしめると...震える手を感じる。僕一人じゃ、親父が居なかったら勝てなかった...


そこに走り寄ってくる人影が一つ、何も言わずに抱きしめると、その体温の温かさに、安堵し、何も言わずにその場に佇み、二つの体温が一つに縒り編まれていく...


数秒のその時が流れる中に、二人は、どちらかともなく離れ、気恥ずかしそうに、呟く。「おかえり」



暗転する視界の中で思考が反転する。真逆の二人は逆向きの生の中で、


私は、ズルい。あの娘が居ない間に、身体を重ねて、一人だけ想いを伝えている。


きっとあの娘は、今も一人で居るのだろう。でも、この手は、ずっと放したくはない。


それでもいつかはその時が来る。それが、今すぐではなく、全てが終わった時にこそ、私は望む。が


出来れば今すぐにでも...その手を掴みたい。


でも、もしも、それでも...受け入れてくれるのなら...


「私に愛を教えて欲しい。」ほんの軽い気持ちで飛び出したその言葉に、はっとなる。


ん?でも母さんが言っていた。愛とは、誰かに教えを乞うて、教えて貰うような事じゃないよと。唯々、ふとした切っ掛けで、自分で気付くモノだと、


喩えば、愛する家族に優しく触れられて、無償の愛を受ければ、自然と自分も相手に返したくなる。


中にはその愛を受け入れられず、擦り切れて傷付く人もいる。でももしも、貴方がそういう気持ちになるのであれば、同じ後悔や哀しみを次の世代には持ち込ませない様に、


自分の子供に注げば良い。いつかきっと君にも分るよ。私以外の他人から家族へと変わる様に、君にその愛を注いでくれる人が現れる。


自分がされて嬉しかった事を返し、哀しかった過ちを誰にも味合わせない様に生きる事が一番の近道だよ。


その時、きっと君は、唯の他人である誰かに、本当の愛が何かである事に気付かせて貰えるだろう。


愛は、千差万別、一人一人の胸の中に、違う形でそれぞれ存在していて、その形を変えながらその形を互いに影響しながら、産まれては消えて行く。


だから私に本当の愛は教えられないよ。もし教えられる事があるとすれば、いつか訪れる貴方の隣人ならぬ家族となるその人の愛を大事にしてね。


そんな風な、難しくも簡単なその言葉を思い出す。


その事を想いながら。そうだね。昔話をしようか?と、僕はその時の話をし始める。


その言葉がどこかにいる誰かに届く様にと祈りながら。



「なぁ、領五。お前はホームシックとかになんねぇの?」


「まぁ、そりゃそうだね。でもさぁ、外崎君も知っての通り、アレだしなぁ...」


「まぁ、アレだよなぁ。」


遠く望遠でその姿を望む、ユミナリアの目には...《R.I.P》の甲板上で、洗濯物を干している誰かの姿を見る。


「「「親父(パッパ)たち、一緒に来ちゃってるんだもんなぁ。」」」


家族から離れて一ヶ月程度じゃ、ホームシックにもなりたくてもならないよなぁ。そもそも8年前は、其れ以上に離れて暮らしてたもんな。


「なんでも、親父たち以外にも、アンザスさん家も、家族総出で、《R.I.P》に乗り込んでるみたいだし、落ち着いたら逢いに行ってみようぜ。」




作られし装備と補修作業が進んでいく。


まずは、破損した《セカンドアーヴル》の箇所を練鍛する金属でのパーツ交換を開始、続いて、新武装として


重力圏内での戦闘を考慮した。


連弩式の中折れ装填式クロスボウと《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の鏃を持ち、


ノイズキャンセルの機能を持った隠密用のクロークと静音走行を実現する脚部ユニットに

機体背面部に搭載される矢筒状の装弾及び罠製造ユニットの組み合わせによる。


特殊武装ロビンフッド


大型の脚部強化用途の脚光を浴びせる脚甲に、砲撃戦仕様の大型補助砲身に実体弾投射用の特殊機能を魅せる装備シュートサプレンダー


一対の尾型の換装型のブレード及びハンマー、各種先端部分を換装して主に中距離戦を想定しての装備ヴルカヌス・ツインテール


円筒状の基部を掴んで保持する両腕のアームカバーが肘部分まで覆われ背面部の二尾の尻尾が揺れる。


各種ハンマー(電動ブレーカーとハンマーファルキス、推進式金づち型ハンマー)装備を揃えた重装甲ハンマーブレーカーユニット


地上での高機動戦闘を想定しての大型の円盤型のバイク型装備ハングオンライダー


幾つかのまだ見ぬ案を提示しながら、会話は続き、



他に、新武装としては、いくつかあるが、


《メガエアライド》、《スラッシュライナー》、《ラッドチェスト》、《ぺリ・インカヌス》ら、


の武装図案も作成し作業を続ける父親をながめ、その言葉に耳を貸す。


状況次第では、作成順番を入れ替えるかもしれん。全ては、状況次第だな、ついでに破損した武装の修復もしておこう。



・・・



・・・



・・・


数日が経過する


寄せては返す波間の音に揺られながら、春幸は、海原踊る。《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)甲板の上で、


ぶらぶらとぶらつきながら、レコーダーの音楽に耳を澄ませて、久々に浴びる潮の香りを堪能しつつ、呟く。


俺は親父のようになれない。ユミナリアから貰った唄を戦闘中や暇を見ては聞いていても、親父の様に敵を斃せない。


何が足りないのか?それとも、何を持ち得て居ないのか?詩に集中できない。


その理由が分からないまま、詩に集中できずに、唯、潮騒の響きだけが残っていた。


領五は、夕食用に魚を釣るとか息巻いていたが、あいつらも久々の地球の光景を楽しんでるようだ。重力酔いや潮の香への


拒絶反応は、エメラルドの目を持つ少女、アイ=フライヤーだけが、今も寝込んでいる。


後でお菓子でも持っていって、ご機嫌でも伺おうかな?と、


暫しの余暇を過ごして、未だ作業を続ける《デスペラード》の稼働を横目に、《リペアマトン》(Repairmaton)が動き回る姿を眺め、


且つて日本と呼ばれた極東の地か...1988年年前の世界中に降り注いだ、巨大隕石の爪痕が今だ残る。


その地は、主に五つの大きな島によって構成され、且つて首都があったとされる場所には、


巨大なクレーターが形成されているものの既に、復興は果たされていると、話には聞いているけれども、


そう言えば、リン=山崎さんも...ハルナさんのお姉さん...も確か、今、日本にお子さんたちと滞在していたはず。


流石に、戦線に復帰する様な打診はできないけど、一目でも会えたら良いのにな...


やや寒空を匂わすその気候の中、一路船は、進む。


着実に、そして確かな足取りを以て、洋上を移動しながらも機体の補修作業と船脚は進む。


通常であれば半日と掛からない道のりを、周囲を警戒しつつ、ゆっくりと時間をかけて進むことにする。


半舷休息の指示を出した、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の艦橋では、操舵を外崎が担当したまま、緩いローテーションを組みながら、休息を取り、


今は、通信と索敵を担当するハルナ=山崎と、火器管制を担当する春幸が、


如何にマレディクトの影響力が薄い極東の地で置いても、戦力の落ちた今の状況での戦闘行為は、危うさを孕んでいると語り掛けながら、


その対策として、船体の一部機能として、船体各部の兵装を収納、迫り出した装甲版を操作してその船体形を変えて、偽装を行う。


数日が経過する中、エクィタス=ユースティティアは表情を変えず、指揮席へと座り込むと、手ずから入れたホットココアに舌鼓を打ちながら、フーフーと熱々のその液体を下で遊び、口腔と食道を通して胃へと流し込む。


「ハルナさん、索敵範囲での敵影は?」


「へぃ!艦長ッ!!散布濃度軽微、四方500km。敵味方識別コード共にレーダ影無し、他に映っているのは、小型船舶か民間船が主ですね。」


「目的地の坂東(ばんだお)には、あと数時間で到着する。《セカンドアーヴル》の機体修復は終わったんだろ?だったら、物資の補給は要らねぇんじゃねぇのか?」


「嗚呼、親父があらかたの作業を終えてる。問題は、喪った武装の代わりが必要なのと、《セカンドアーヴル》の機能で、生命線たる物資の補充を当てにしてて、


肝心な時に使えませんでした、撃墜されましたじゃ、困るからな。物資の補充は必要だよ。」


「そうかもなーでもその話はユミナリアにはするなよ。お前の機体が被弾したって話聞いて蒼くなってたからなぁ。」


「そうだな...」


「ムフフな予感。叡智かな?叡智なのかな?Hなことならお姉さんに相談するよろし。」


些か、意味深な振りを振られて、返しの言葉を紡ぐ。


「そうですねー、リンさん、今から向かう目的地に居るみたいだから、今から合うの楽しみですね。」


「なんですとーっ!!!!ヘタこいたッ!!!お姉ちゃんにケツバットされるッ!!!」


フフリ


満足げに笑う春幸に、エクィタス=ユースティティアが語り掛ける。


「嗚呼そういえば、領五君からの贈り物ですよ。」と、コンソールを操作して端末へと音声データを送る。


ん?


これは?母さんの歌?


ノイズ交じりのその声は、酷く不鮮明なモノの唄と一緒に込められたメッセージに耳を傾けると、


もし、この詩を聴いている。彼が今もこの画面の向こうに居るのであれば、地上の目的地に行く前に、日出る国へ、寄りなさい。


そこに貴方の生きる意味に必要な覚悟のきっかけが隠されています。貴方は、そこで愛の欠片を知るでしょう...


ぶつ切りの音声を聞いて、月に続いて、母の唄が流れている。一体誰が何の目的でこれを流しているのか?


謎を残したまま。



時は進み


「細かい対応は、僕の方でしておくよ。作業はこのまま一端停止して、引き続き余暇を楽しんで欲しい。」


「どうやら、機体を使用しての爆破と暗殺事件が同時に発生しているらしい。」


「其の所為で、街中には大部隊が展開されてるらしい。」「街中での散策は控えてくれ。」


伝えられた、状況を通信端末を介して、艦橋内の仲間たちに伝えると


「あーあ、折角の地球なのに下船できないのかよー。」外崎が不満を漏らして、


「じゃぁ、僕は釣りでもするよ」と、画像に映る。《男尻ゆえ、我あり、男尻為し、我が為すのは男尻のみ》の一文字が踊る、


クソダサTシャツを着こなす領五が続き、画面外へと消えて行く、


春幸は、じゃぁ俺は、ユミナリアと一緒に、アイの奴にお菓子の差し入れをしてやろう。


アイ=フライヤー...と書かれた部屋の表札を確かめ、二人で連れだって、手に一杯のお菓子を詰めた袋を抱え、


「入るよー」と、断りを入れて、部屋に入ると、異様な光景を目にする。


暗闇で、エメラルドグリーンの光が、輝き、周囲の無惨な光景を眺める。


一体何があったのかと、部屋の明かりをともすと、バラバラに散らばる、布団と枕カバーが千々に乱れて、


内容物と、鮮血が舞う。


どうしたんだ?と駆け寄るも、威嚇する様に、部屋の隅で縮まる。少女の姿を見やると、


自らの身体を何度も噛んだ様な傷が見て取れる。こちらを一瞥すると、脱兎の様に逃げ出すかに見えた瞬間に


此方の手にあるものを視認して、獲物を狩る獣の如き動きで、袋を掴むと、再度、部屋の隅へと駆け込み、


取り出した、お菓子の中から、飴玉を選択して、貪る様に咀嚼する、



脳裏に嫌な予感が覚えつつ、且つて聞いた話を思い浮かべる


...


私も気づくのに遅れたと、やや大き目な飴玉を差し出す。


「飴かぁ、そんなもん食べてたかな?これはこっそりと処分しておく必要があるな」


ただ、問題は...ウィンディゴ部隊の全般が同様である様に、常習性が存在する...


一度口にすれば、求めずには居られないの...その誘惑はどんなに意志が強くても抗えない。


それは、野生の獣が一度人を捕食すれば、捕食し続けるのと似ている。ただ、その常習性にも個人差があるけど...


だから...事の顛末を聞いて、想像するに、おじさんも、同様の十字架を背負っているはず...


一度、親父に相談する必要があるのかも知れない。何故、親父は、8年間平気な顔をして、過ごしていたんだ?


何故?


もしかしたら、親父も...


...


...


「そうか...折角、日本に来たから、暫くぶりに会いたかったんだけどなぁ...」


「まぁ、お姉ちゃんには、また会えるよッ!!!」」


(よかったーケツバット回避ッ)⊂⌒~⊃。Д。)⊃


親父に、相談したところ、「そうか...」と言葉短く、対応を考えて置く。と、苦虫を嚙み潰したような表情になり、


「暫く、待ってろ。」と、作業を中断すると


何処から取り出した血色の飴玉を手渡し、一つ注意事項を告げる。


「あまり大量には作れない。そして、これはどうしても、耐えられなくなった時に限り与えるようする様に。」


「根本的な解決策ではないが...」


・・・


アイの状況が心配ではあるが、今は、目の問題を片づける事に専念しよう、余計な雑念は、振り払い。貰った飴玉をユミナリアへと託して、


日時は過ぎる


...



...



...


「なぬ?!男尻は健在なの?!」


(?!?!?!男尻?!)


ドン・キホーテ?!もしかしたら懸念点だった《イグニス・エト・スルフル》の対処が懸念点の一つとなっていたけれど...


ドン・キホーテの持つ、超電磁砲(レールガン)があれば...大気圏外からの攻撃に対処できるかもしれない?


これで勝機が見えたッ!!!!


・・・



「一先ず...合流を...ドン・キホーテ...その機体は大分形状が変わってるけど?昔の乗機と同じって事でいいのかしら?」


「そう思って貰っても問題ない。所々は変わっているがな。」


「了解ッじゃぁ、ニヴルヘイム《霧の国》を張って貰える?アジトには...。まだ、敵の目を引きたくないの。」


(奴らを殺すには。仇を討つには、まだこのタイミングで、暴かれる訳にはいかない。)


(苦労して、正規軍の機体を略奪した意味がない。)


(残りの蜂起の準備が整うまでの数日...稼がなければ)


それまでの間に、各地へと一斉蜂起を知らせる檄文を届けるべく、暗号コードを仕込んだ短距離レーザー通信を何度も経由地を経て試みる。


遠く離れたその島の隅々までその檄文が送り届けられる。



私は、母、この国の...いや世界の事実の一端を知る者として、語る。


マレディクト...この世界を牛耳る、者どもは、《人喰い》かつての戦役で、降した人間たちを食料として、素材として、


奴らはその惰喰を思う間がまま、行使している。


何故、そんな事を知っているかと諸卿等は問われるだろうが、今こそ答えよう。


私は、エーリヴァーガル戦役で、戦列の一端を担った。かつてハルズ=アルマイン...アハト=佐伯らと、同じ所属とする


第二部隊を預かる者として、此処に糾弾する。


私の名は、カルペ・ディエム第5方面部隊所属リン=山崎、


汝らは泥濘に沈む家畜として去勢された豚として、朽ちるのか?


断じて、否だ?


奴らは裏切り者を探してる。最初は…だが、いずれ奴らは、手引きをした誘植者を喰らうだろう?


そして、最後には、何も知らない君たちを餌として食むだろう?


卿等は、座して服従して、只喰われる家畜となるのか?


Carpe Diemカルペ・ディエム「今を生きよ」と、今一度述べるぞ。


何時だって、人の尊厳を守るのは、蒼空から雷を降らす神などではなく、唯、戦うべく自らでしかない事を知れ。


決起の時は近い。不死身の山裾が燃える時、一同轡を並べて、その意気を揚げよ。


立てよ。人民。己の意志で、「今を生きよ」


目指すは、中央省庁、


かつての関東平野に落ちた隕石が作る港湾より、北西に数百キロ碓氷峠と呼ばれたその場所は、山に囲まれ本来であれば、


都市部など形成できぬその場所に、いつの頃からか山を平らに切り開いたかの様な平野が広がり、決戦の時を今か今かと待ち続け、


その時が暮れば、奴らの防備は、限りなく緩む。


何時もの自分と違う威厳を演出するのも簡単じゃないわね...


マザー...



一方その頃、房総半島沖の太平洋上、遠洋より僅かに岸辺へと近づいた、沿岸部において逗留中の《R.I.P》内に置いて、


ナンネン=ハイマンは、周囲の状況監視を厳にしたまま、停泊を続ける。


緩やかに過ぎる時間は、嵐の前の静けさの如く、凪の最中に居た


通信機器の操作を行い、陸地のある一点より流れてくる。一節、一節を繋ぐように謳われる詩を傍受して、録音を開始する。


オペレーター担当のマリア=アッカンバーグは、その歌詞に耳を澄ませたものの、違和感を感じる。


あれ?これって...今まで聞いていた歌姫の歌詞には、なかった。


人の意志と憎しみを鼓舞する様に、振るわせられるその歌声と共に、何かのXデーを知らせる様に、その言葉が続く


「もしこの詩を聴いた。死を悼む者が居るのであれば、今すぐ、坂東...と向かわ...たし、その戦場...貴方達を待っ...いる...」


「ん?どうしたでござる?マリア女史?ドーナッツ食べます?」


ペタペタと一丁裸で、歩くアンザス=フライハイが、訝しみ、状況を問い始めるが...。


「えっと、なんで、裸なんですか?」


「失敬な、裸とは何でござる。拙者、褌で括約筋をしっかりと〆てるでござる。」っと、その臀部の脂肉を震わせキュウっと括約筋を活躍する様に、


ドーナッツの差し入れを確約する。


しかして、配役されし、役目は...


「それが...」と、状況を告げると、


ふむ、と思い悩む。マレディクトと袂を分かつた《R.I.P》が、港湾内部に侵入すれば、恐らく高確率で、戦闘になる。


かといって、放って置いても良い様な話でもない。


ここは、拙者の《ヴィキティ》で有れば、マレディクトには登録されてない機体のはず、気づかれても問題にはならんでしょうなと、


「よっしッ分かったでござる。拙者が単身、様子を見て着て進ぜよう。」


ん?でも...そっちの方が目立たないかな?と疑問顔のまま、マリア=アッカンバーグは《R.I.P》に搭載されている光学望遠鏡を駆使したものの


特に都市の外縁部や上空に関しては、異常事態は見られず。


艦長であるナンネン=ハイマンは、出撃を渋るも、宥めるアンザスの言葉に、促され渋々、出撃を認める。


オペレーターの離陸許可を受け、格納庫ハンガーから其の歩調は、ゆっくりかつ正確に踏み出しカタパルトに脚部を固定するとオペレーターの声に促され


「アンザス=フライハイ、ヴィキティッ!!!男尻が出るよぅ!!!」


「BLAST OFFブラストオフ」


電磁加速するカタパルトに乗せられた機体が、十分な加速力を加えられながらも、重力の軛を引き千切ると、その衝動を以て、


開いた翼を展開しつつ蒼空へと滑空し、飛翔する。



一路、坂東へと進路を取るヴィキィのコックピット内部では、緩んだ臀部を振りながら、男は唯一人奔る。


機体各部より放出される。粒子と装甲各部に備えられた光学迷彩を展開。


レーダーの通信を妨害する。グレフエフスキー粒子を散布。レーダーが妨害される事により、その存在を感じ取られる可能性も


あったものの坂東内の勢力圏内への侵入に成功する。


我は、男尻を掲げる者


防空県内を守る。坂東軍のオペレーターが最後に見た物は、何故か画面に映った男の引き締まった臀部の姿だった。


あっいっいけねぇ男尻隠すの忘れてた。


てへぺろ


空翔ける。上昇軌道より、大きく傅き、湾岸部に聳え立つ隆起する、断崖部を隠れ蓑として低空飛行を試み


都市部への接近を試みる。



Oh...尻よ。尻ヨ。男尻さん。世界で一番張りのある男尻は何処?それはね?



・・・



・・・



・・・



数日の逗留後


「畜生...あの時と同じだ...みんな私を置いて逝っちまう...だから」


目の前には、千の機体の波、地平線一杯に点となり立ち上るその機影に対し、数年前のあの時、


「隊長、相変わらず体調が悪いけど、隊長大好き!!!」


(`・ω・´)ゞしゅびッ


「お願いです。笑顔で行ってらっしゃいって言ってください。」


「いってらっしゃい...」


「それじゃぁ、逝ってきます!!!」


お願い...戻ってきて...声を押し殺して、鳴く声は、無線のノイズに途切れて、聞こえなかった事は幸いだったのか?


...


其れは優美なる夕暮れの翳が堕ちるまにまに、踊る。最後の光耀輝く、輝の演舞。


秋桜(あきざくら)=アーデルスワットが駆る。式然としたものの現地改修を果たされたカルペ・ディエムが踊る。


群がる機影は、カルペ・ディエムとは世代交代を果たした新型機《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の一団。


振るうは、暴虐の暴風と化した戦場に置いて、放たれし機関銃型のライフルから吐き出され続ける。星空が近づく黄昏時に置いて、深い陰影を刻みつつも、


一陣の風となって吹き付けしまま、その手に弐本の光剣を掲げ、単騎での突撃を開始する。


左右に交互に旋回しつつ回避を行うシザーズ(Scissors)を機体を斜め45度に傅きながら、振り子のように揺れる機体は、敵機への接近を試みる。


弾け飛ぶ粒子の榴弾を掲げる光剣で、打ち払い、やり過ごし、先行する一部隊に対して、降す一手は...


両の其の手の発振器の発光を留めて、刃を消すと、何を思ったのか、その発振機構の軸を合わせて左右から合わせるように構え、


一心不乱に突撃を試みる。


居並ぶ《ブレイズ=ガルヴ・ディム》は、数の決定的な差に驕り、無遠慮に攻撃を仕掛ける一団にして果す。


二つの発振器より放たれし、閃光が、瞬きその両の手からその刀身が現れると共にその軸が、構える機体の中央部で接触し、発振機構が共振して、


通常では有り得ない光芒を放ち、その先端が接触したと同時に、前方へ振り抜く。


ビームサーベルの刃は、空域を一閃する。紫電纏う刃と化して、射撃戦を仕掛けてきた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》を擦れ違いざまに、両断、自らを壱弾の銃弾と化して、


跳ねるように、敵機の頭頂部を蹴り上げて、飛翔、斜め下方部へに対して、煌びやかに輝く弐刀の刃を翻し、飛ぶ斬撃を繰り出しながら、


接触と回避、そして、跳躍と共に吹き上がるスラスターに対して、


最後の御奉公とばかりに、自らのそれを握り込み、消してタイミングを外さぬ様に、絶妙の交差する刃を振りながら、


死角に回り込んだ敵機が、射角を保持し友軍機と共に、十字砲火を叩き込む、連続して放たれる機関銃の射撃の前で回避するも


その狙いが僅かに掠めて、装甲を弄る。


続く、偏差射撃による連射を咄嗟にビームの光刃を縮め、腕部より展開したビームシールドを斜めに傾け、粒子砲の一射を凌ぐと、


その基部を切り離し、機体を上下に、反転しつつ一回転と共に、その発振器の基部を蹴りつけると、


展開されたままのビームシールドの光波輝くその壁面が射撃を繰り返す《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の前方へと迫り、回避か防御の二択かを強要。


敵機は、回避を選択し、その狙いがそれた瞬間に倒れ込み徐々にその光波の壁面が綴じようとした瞬間にビームシールドの側面部に対して交差する


ビームサーベルの刃を叩き込む。


反発する粒子とその刃を形成する斥力が反発、軽快な接触音階を奏でながら、飛ぶ斬撃と弾かれたビームシールドの刃が、回避軌道を描く


《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の獲物を保持する腕部へと突き刺さると、その刃で腕部を切り飛ばすと、別の機体を蹴り上げた反動により、


タイミングを合わせて噴射する推進機構を発すると、中空へと放り投げられた発振器の刃を保持したまま空中を緩やかなカーブを描きつつ


背を向けつつ、飛翔。


空いた右手より、機体と接続された牙状の大型ビームライフルを構えると、一射二射と、蹴撃を加えてバランスを崩した、敵機に対して射撃


得物を喪ったモノの無防備な背を向けるカルペ・ディエムに対して、残る左腕より発振する刃で切りかかるが...


その頭上より、重力に惹かれた光剣の刃が、直下に対して、突き刺さる。


溶断する刃が《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の装甲に対して、抵抗を受けるも、解け往く夏空の雪片如く、その装甲を融解しながら、


迫る刃がコックピットの内部を灼熱の溶溜まりへと変え、崩れ行く機体を背に、機体バランスを取りつつ、消えゆく光剣の発振器を後ろ手で掴むと、再びの飛翔。


目指すは、戦陣の中央部、陣容深い首魁の首を獲る。


追いすがる敵影にして、何度目かの一対の獲物から飛来する飛ぶ斬撃を繰り出し、地面すれすれの低空軌道により其の照準をずらし、脚部が、高速低空飛行に伴い、


底部スラスターを地面に点在する障害物。木や、岩などを掠めて、僅かに火花を散らして、次々と視界の景色が切り替わる。


時間差で背後の大地へと降り注ぐ、光の銃弾の雨や投射兵器の雨を潜り抜けひたすら加速を繰り返し飛翔する。


自機を狙って撃たれた閃光が、闇を切り裂く一条の光と化して、その酷く曖昧な陰影が刻まれる姿を一瞬映し出しながらも、闇へと消えて行く。


その姿を追うべく、暗視装置と、光学照準を駆使して、消えゆくその姿を捉え、一射する。



群がる敵を振り払いながらも尚も進む機影に対して、


既に十重二十重と、つらなり、防御陣形を敷くなか、違和感を覚える。次々と機体を差し向ける機体の中で、接近と共に合わせてその場を抜け出そうとする機影を確認する。


目視する視界の中で指揮官機を表す、通信アンテナらしき、その容貌が見て取れる。


棚引く閃光を、擦れ違いざまに追い抜き、振るう刃が、迫るその光を両断しながら時間差の遅延信管である実体弾の投射を試みる。


周囲に待ち構えていた敵影が次々と、その脚を止めたところへと、同時に炸裂。その接近を阻む


回避軌道を描きながら、進むカルペ・ディエムに対して徐々に周囲を包囲している。《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の動きに変化が見て取れる。


左腕に保持する発振器を刃を仕舞、逆手へと持ち替えると、そのマニュピレーターを背面のランドセルへと差し込むと、自動的に装填される。…鉄の拳、アイゼルネ・ファウストと呼称される榴弾をその手に掴む


群がる一機に対して、擦れ違いざまに投擲、やや気の抜けた反動と共に射出されし、弾体が、零距離気味に残された置き土産たる


投射兵器が直撃するも、噴煙を超えて、光剣と、ビームシールドを手に突撃してくる機体が左右より迫る。


その刃が命中する瞬間に、各部スラスターと姿勢制御用のバーニアーを器用に時間差で点火、噴霧されるその勢いにより、姿勢制御のバランスを崩しながらも、


寸前で回避と共に機体を斜めへと傅かせながら、機体を捻転。左右の刃を構えながら、回転切りを叩き込み。


奮う刃が左右の機体の前腕部をその光の刃を以てすり抜けるように溶断、空中を捻転しながら姿勢制御を行い、勢い余って破断されたその前腕部を


操縦桿の動作を器用に切り替え、投擲する発振器が目標のコックピットへと吸い込まれ往く、その背を視認し、空いたその手に宙を飛ぶ前腕部を掴むと、未だその光を保持する


それをもう一機の敵機に対して叩き込む。


着地と共に、突き立つ光剣の刃が放つ光芒が、次第に薄れ大地へと剥落していく。


瞬時に二機の目標を沈黙させ堕とした敵機は5機にも上るも、その意識と焦燥感が次第に差し迫てくる。


練度は低いが、如何せん数が多い。時間を稼ぐためにもこちらに狙いを集中させ、敵陣の腹を突き破り、離脱と共に、家族の待つ家へと帰る。


帰るんだ。そう言って、落下した発振器を再び回収し、進軍を再開する間に、


そこに決定的な異変が、其の鎌首をもたげて、起きる。



此方の視界の端へと次々と、飛翔し、死角へと消えゆく最新機の姿を、肌の感覚で感じ取り、降り注ぐ砲撃を潜り抜け、


両手の刃を以て防ぎきろうとする最中に於いて、H型装備、G型装備、T型装備、C型装備、を備えた


《ムスペルヘイム (熱の国)》と実験稼働中のアタッチメントたる《アースガルズ(神々の庭)》を持ちだした、数機の機体が一斉にそれらの機能を行使し始める。


「「「悉ことごとく熱に厭いやかされ死ね。《ムスペルヘイムッ(灼熱の国)》」!!!!!」」


「悉ことごとく、重力の()みに堕ちろ《アースガルズ(神々の庭)》!!!!!」


展開される領域は、四方に分かれた。四機のH型装備をした《ブレイズ=ガルヴ・ディム》がその場に存在する友軍機を避けつつ、その目標のみへと集中される様に展開され、


そして更にその同心円状にせまるG型装備が、不完全ながらも発生する高重力によるディレイをカルペ・ディエムに対して其の不利を一方的に押し付ける。


それでも尚、一歩一歩進む歩みが、大地へと御脚が窪む中、まずは《ムスペルヘイムッ(灼熱の国)》の熱暴走により武装の一部がはじけ飛び、


その爆発に巻き込まれぬ様に、機体制動が、誤作動する間も惜しみ、機体からパージ。


実体弾の弾倉を僅かに残したバックパックの一部を投棄して、機体を操り、自機の後方へと


蹴り込みつつ切り放した銃身が破裂、そして熱に厭いやされたバーニアーが噴射するタイミングで自壊。噴煙を覗かせながら次第に破裂と損傷を繰り返し


背後で炸裂する弾体により、後方の敵が、狼狽え、展開される領域に僅かながらの亀裂が入るも、


コックピット内部で、晒される熱に、その喉は潰れ、皮膚が焼きつき、乾いた喉が水を求めて嗚咽する。


それでも...と掴んだ、腕が重力に晒され、半ばから圧し折れんばかりに荷重をかける。


その領域よりの脱出に必要な、脚を喪い。それでも...何か手は無いか?と、手元を見やる。


マニュピレータより零れ落ちた、ビームサーベルの発振器を地面に其の柄を上部に踏み込むと、


時限発動で展開される光刃を地面に向かって発振。


伸びる刃に押し出された反作用を利用して、勢いに抗い、圧し折れたその手をそのままに、離脱。


弾かれる様に飛び出した光剣を踏み込むペダルに合わせて稼働する脚部が蹴り上げると


投擲する刃が、必殺の陣容を描き安堵する右方より、《ムスペルヘイムッ(灼熱の国)》を放つ、一機の胴体へと突き刺さる。


伸びる手が、其の基部を掴んで両断し。返すもう一方の刃を振るい。


駆けるものの、熱暴走の余波により、最後の獲物が、時間差で喪われ、爆発の破片を浴びて、機体のメインカメラに亀裂が入る。


欠ける視界の中で、倒れ込む《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の銃身を掴むと、クルリとその銃把を掴み、


重力波を生じさせる機体に向かい、ブレる銃身を荒ぶる意志と呼応するかの様に狙いを付けて集中砲火を浴びせかける。


機関銃型のビームライフルから放つ光の榴弾が、命中した装甲を無防備な姿のまま溶解と共に弾け飛ばせる。


吐き出した銃口が熱を帯びた瞬間に、


弾切れか?と、逆に集中砲火を浴びせようと残る三機のH型装備と異変を感じて照準を向けるT型がそれぞれ、


勝利を確信して引鉄を引くが、


その基部を何を思ったのか?逆手に持ち手て、空いた重心の圧力より逃れ銃身を左方のもう一機のH型装備の《ブレイズ=ガルヴ・ディム》


へと投げつける。


繰り出された獲物は、衝撃を以て、其の身に直撃するが、それと同時にT型と残りのH型から延びる砲撃に、身をさらし、


機体の装甲と左腕に対して直撃する。


吹き飛ぶ装甲と全部腕を他所に、投げ入れた獲物が熱暴走により起爆、破裂し、


残存するエネルギーを利用しての誘爆により、機関銃同士が、連鎖爆発を起こし、吹き飛ぶ中、飛んできた、発振器の残骸を残る右腕で掴み取ると、


残る脚部のスラスターを全開にして、ややバランスを崩しながらの低空飛行を実行。


振りそそぐ榴弾の雨が有線式の思考誘導の弾道と重なり、敵の狙い先読みして、敵と敵同士の射線をかぶせる軌道を描き、


一対多数の不利を覆す。


見ると一機の機体が、逃げていく姿が見える。


あいつが...頭か...殺ってやるぞと、勇む脚が、着弾する榴弾の衝撃で、崩れ落ちるも、


流れゆく榴弾の次の着弾点を、欠けた視界の中で、一か八かの賭けへとでる。


折れる脚部を残して、着弾する爆風に乗って、敵陣の上空を欠けた手足のまま翔ける。


前方から来る死兵に対して、私兵に過ぎない。陣営は、どうにかその進行を止めるべく、接近戦を試みる。


繰り出される刃をその身に受けて、突き刺さる光の刃によりハリネズミと化したカルペ・ディエムへと次々と襲い掛かる...


刺し貫かれるままに、脱落していく機体の端々に、その残された腕部より


逃げる目標に向かって、通信用の優先ワイヤーを伸ばす。だが命中するもその攻撃機能持たぬ、無意味な光景に、笑う男の表情がその寸前で凍り付く。


自切したものの最後の操作コマンドを受け付けた腕部が、光剣を構えたまま巻き取られるワイヤーにガイドされ。


目標に対して襲い掛かる


最後の絶叫を載せて、貫く基部は、断末魔の声を残して、戦場に悪夢を刻む。


・・・



・・・



・・・



オマエ、子供たちは頼んだよ。次は、私の番だ...子供たちが逃げ出せる、時間を稼ぐ。


あの時も、あの時もあの時も、みんなあいつらが、私がするべき姿を肩代わりしてくれた。だから…


「嗚呼そうだな、次は、俺達の番だ...」


迫る大群の眼前に、二機の機体が立ちはだかる。


「リンさん、貴方が時間を稼ぐよりも、僕たちが、戦った方が、勝機があるよ。」


「だけどッ!!!二機だけじゃ、物量で押されて...」


「貴女は母親だ。子供が生きて居れば、それで僕たちの勝利なんだよ。」


「俺(僕)には、こんな闘いしかできない。」


(俺達二人は、既に8年前から、ずっと負け戦をしてる。彼女を護れず。母さんを護れず。喪った。役立たずの番犬でしかない。俺達に出来る事はこれだけなんだよ。)


「だから、僕(俺)たちは逝くよ。」



数多の軍勢が、湾岸部へと集結共に次々と、軍靴を鳴らして、進撃を開始していく。


その光景を観測する幾人かの人々は、且つて聞いたその言葉通りに、事態が進み、その行動の合図が上がるのを待つ。


人々は、思い思いに手を取り合い。首都である坂東へ挙って隊列を組みながら、進行を開始する。


中には、武装した重機用の機体を持ちだし、中央省庁に僅かばかりに配備されていた防衛隊と衝突を開始、


街の至る所で、火の手が上がり、勢い余って、服を持って来なかった為に、偵察に向かったアンザスは、警官に呼び止められ、拘置所へと収監されていた。


「アイジェス殿ぉぉぉたちけてー、この国に居る人何言ってるか全然意味わかんないッ!!!翻訳機持って来ればよかった!!!」


証拠品として押収された褌を盗られ、叫ぶ男尻は、尻を震わせ、吠える。



すると、遠くの場所で火の手が上がり、収監されていた警察署へと、人々が捉えられた、人々を解放すべく、群がり、警官隊との衝突が始まる。


「おぃッなんであんた全裸なんだ?かわいそうに...。その言葉、異国の人かね?これを履くと良い。」


気の良いおじさんは自分が履いていたズボンを差し出すと、他の独房に捉えられていた人々を解放しに行く。


うーん。一体何が起きているでござる。


スンスンと、差し出されたズボンを嗅ぐと、クッサッ!!!これ履かなきゃダメかなぁ?



よっし、奪われた褌を回収しておこうと、ポイッと加齢臭がキツめのズボンを放り投げる。


一路、自らの乗機へと奔る最中、段ボールに掛かれた拾ってくださいおきゃっつを見かけるも、助けて欲しいのは拙者の方だし、


何か文字が書かれてるみたいだけど、意味が分からないし、持ち主が戻ってきてもなぁ


と、不意に、おきゃっつの肉球あふるる猫パンチが、未だ褌を手に奮戦する。アンザスのアンザスにおきゃっつする。


ちちんぷいぷいと、ちそちそが風に揺られる柳の葉の様に、揺れる。


あっふぅー



・・・


宙が茜色に染まる頃、異常事態を察知したエクィタス=ユースティティアたちは、状況把握に努めるが、不味いッ光学望遠鏡を使用しての観測に於いて


港湾内の盛り上がった山間部の合間から確認できるその光景を前にその決断を迫られる...


入港時にエクィタス・ウッドスプライト社製と、登録している《ホーリグレイル》と《ヴォーパルバニー》は、出撃できない...だけどこの状況は感化出来ない。敵に捕捉されるのも止む負えない。


「ユミナリアさん、今すぐ《R.I .P》へ、打電。最悪、物資の搬入を中断して、合流も考慮するよう伝えてくださいッ!!!」



遠くで、遠雷にも似た、響きと閃光を放ち、重機用の機体が崩れ墜ちる。


省庁を守る《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の中隊が、編隊を汲みつつ、暴徒と化した市民への威嚇発砲と、脅威の排除を選択。


斃れ往く機体を背に、走る。アンザスは、状況の把握も出来ないまま、機体を隠した場所までひた走る。


流れ込む暴徒の中心部へと照準を構え、その引鉄を引き絞ると同時に、銃口を市民へと向けた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》が、滞空する上空で、


突然、コックピット部分を撃ち抜かれ傾いで、揚力を保持できぬまま落下する機体を眺め



人々の目に対してその機体がその姿を現す。


あれは?!「兵長、データベース照合ッ?!78%の確率で...ヴィキティですッ!!!!」


「ええい何故100%一致しない?!そもそも誰が載っている?!将軍は死んだはずだぞ?!なんで、暴徒があの機体を持っているんだ?」


最大望遠の視界の端に、その威容が見えかくれする。空気抵抗を極力減らしたかのような流線型に、


鋭く伸びたバイザーから突起状に見える一対のねじれたアンテナと怪しく光るツインアイに、流線型の盾と実体剣を両腕に装備し、大型のスラスター内蔵の滑空翼に、旋廻する砲門を備えた副腕を持ちて、蒼空を逝く、白と黒のまだらの翼をはためかせると、天使と悪魔にも似たフォルムの機影が踊る。



「あれは?もしかしてヴィキティだ?!形が違うが?!」


「将軍が助けに来てくれたぞ!」


「我らの味方だッ!!!押せ、推せ!!!」


ん?一体何が起きてるでござる???なんか物凄く目立っている様な気がする?


その時、男尻は気付いていなかった、健忘症のおじいちゃんから受け継がれたその機体は、8年の時を経ても尚、その姿の威光は、


相棒である時代の陰に消えた影法師とは違い人々の記憶に深く刻まれていた事に、其の事に一切、気づかぬまま、


その存在が人々を鼓舞し、そして敵である坂東軍を恐慌に走らせる。


「よくわからないけど、まぁいっか?」と、一気呵成に戦闘行為へとその身を躍らせる。


「うわぁぁなんで将軍が?死んだはずでは?」無数の《ブレイズ=ガルヴ・ディム》は、蒼空を舞う、ヴィキティが、(ふる)うは一対の実体剣の刃と、無数の龍鱗の刃が同心円状に乱れ舞い、向かい来る一団をまるで赤子の手を握るかのように


優しい手慣れた手つきで、向かい来る機体の手足を両断し、次々と、大地へと刃に晒され墜ちて行く。


そう言えば...なんで地上で《falcisファルキス》が使えるのだろう???きっと性能が上がってるからなのかな?昔からアイジェス氏が使ってるし、同じ原理で動いてるのだろう?

と、結論付けるも。


やや困惑したままその天翔ける。視界外からの強襲に対して、アンザスは、操縦桿を掴み、フットぺダルをやや浅く踏み込み、逆進のバーニアーを点火、機体を空へと仰ぎ見て、倒し、


突撃してきた機体の刃を回避すると共に、急速旋回を伴う急上昇を仕掛ける。


螺旋状に駆け上がる機体に対して追従しようとする。T型装備の《ブレイズ=ガルヴ・ディム》が、有線接続式の思考誘導弾を投射。追撃してくるその無数の弾幕による。一斉射撃を、



上空に駆け上がる勢いのまま、頂点へと達すると、スラスターの点火を止め、重力に惹かれながら生じる失速


追撃してきた敵機と入れ替わる様にその姿の位置が逆転。


慣性による姿勢制御で失速状態より回復、異常を察知して、振り返る相手の視界から消えては現れるその軌道を以て、その姿、ひらひらと舞し、墜ちる木の葉の如し


背面部の服腕より伸びる銀劫の斉射が敵機の直前で、その射線が、分離しー八つ手の様に分かたれ、


光が、光輝を纏いつつ好機とばかりに襲い掛かる。


逃げ場を失い直撃を受けて爆散する機影を二つ確認し、更に実体兵装による砲撃を加え、急降下を仕掛ける残機に対して


二機の《ブレイズ=ガルヴ・ディム》、繰り出す砲撃を飛散する刃の波紋を波立たせつつ、両断し、


いつ果てる事もない、刃の往来を以て、無惨にも空中分解を果たし、地上へと落下する直前で、


大きく回り込みつつ、強化された背面ユニットを駆使しての急降下により、墜ちてきた機体に、その刃を突き刺し、


直下の群衆へと堕ちる事を阻止する。と、とりあえず邪魔にならない場所を探して、残骸を置くと、


歓声に沸く群衆に対して、


尻を隠して、もろちん隠さず、まるでその目立つであろう機体をおっぴろげつつ、疑問に思う。アンザスは、


まるで自分が乗っている機体の価値を推し量る事も出来ずに唯々、困惑して、虚空に対して、その機能を十全と使用する。


演説用に用意されていた自動翻訳機能と通信チャンネルに強制介入できる権限を以て三次元プロジェクターに映る言葉が、混乱する最中で、至る所で、見せつける


己の男尻の姿に驚愕する。


Σ(・ω・ノ)ノ!


男尻将軍??!!マザーが男尻将軍を遣わせてくれたぞ!!!


なんで?男尻?


・・・


・・・


・・・



夕暮れの空に浮かぶ。リボルバー型の砲身が...。思考誘導に誘われ、その砲身より、粒子攪乱幕の投射を回避行動中の自機へと、降り注ぐ。


着弾と同時に展開される。粒子攪乱幕が、熱波を抑えて、残り一つとなった質量子ブレード...《グラムクァントラミナ》の展開を実行、僅か1秒から2秒...


右腕の副腕が一回り小さい主腕を包み込み、大型の右腕へと形成、腕部中央部で回転軌道する、回転弾倉から排出される弾頭と直列励起を試みる。


構えた獲物を通して、極光を伴う、光学質量兵器たるその刃を以て熱分解の刃を構えたその刃を手掌を回転させ斜めへと流すと共に、


頭部を狙う二刀目を即時性を加味して、疑似電磁バレルを未展開したままの超電磁砲レールガンの射撃により弾くと同時に左脚部を一歩踏み回転しながら体を入れ替え、擦れ違いざまに体当たりを仕掛ける。


勢い余った打ち込みの態勢のまま、前屈みで体を崩し、擦れ違いざまに振るわれた刃がその頭部を切り墜とす。と、背後より、コックピットにその発振器を突き付け、告げる


「降参しろ...これ以上の犠牲は意味がない。」「それは...出来ない。まだ、我らは負けては...」



遠い夕暮れの中で、火の手が上がる。地形データおよび、位置情報から...坂東ばんだおが燃えてる?!


「あちぃッあちち!!!!!男尻は、燃えているのか!!!!!否ッ燃えているのは!!!!...」「きっと貴方達は知るだろう。男尻を覗くとき、男尻もまた貴方を覗いているのだ。」


「あっそこ、拙者の御印籠だからッ、らめぇ、褌が外れて憤怒ししちゃう、拙者の男尻が全国放映されちゃう><放映する時はカメラアングル工夫して隠してぇぇぇー」


長距離レーザー通信による。その声に、アイジェスは...確信する。みんな動いてくれたのか???だがどういう状況?


「一体何が起きてる?!援軍はまだか?」「陸将鋪ッ中央省庁が墜ちましたッ!!!!忘れたんですか?今回の攻撃に、防衛隊の一部を投入していた事を!!!!


そうでなければあの数は集められません。」空いた防空網を何者かが、襲撃したのか?一体誰が??同時に、示し合わせたかの様に、街で火の手が上がる。


その光景を街を逃げ出した一団が、眺めリン=山崎は、事は為ったと、呟く。


「マザーッこれは一体...もしかして、強奪した《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の追跡装置切らなかったんですか???」


「インヴィクトゥス《不敗》08...貴方は、子供たちを連れて行く役だから、知らなかったでしょうがみんな承知のうえよ。」


「この街に、軍を引き付けて、手薄になった省庁を別動隊が、民衆を扇動しつつ墜とす。」


襲撃された街の上空から徐々に離れつつ、離陸していく大型輸送機に揺られ、一路、この争いの終結点が、覗く


中央省庁のある坂東へと...船脚緩く、樹海を大きく東側から迂回しつつ、進む。


・・・



・・・



・・・


そうだよ。この身を塵芥に変えたとしても...必ずあいつらの仇は獲る。「マンマ?お顔が怖い」


・・・


背面部を獲ったデスペラードは、今も尚こちらに敵意を向けてくる指揮官機の随伴機に対し、単連射の射撃を打ち込み開放を謳う。


回避軌道を取り、その束縛より解放されし獲物が、背面機動で左右にスラロームを描く随伴機に対して、自切した基部を思考誘導で、


操作しつつ、噴射する推進器の炎を上げて、圧搾、溶断を試み、それらが沈黙へと変わる。


その周辺では既に動くモノの姿は無し、


数多の機体を屠り、大地に降り立つ二つの機影は、展開した効果に伴い1200秒のクールタイムを必要とし、


そして、上空より滑空する機体と、大地で群がる躯の山の頂で、待ち構えていた、アイジェスと、春幸が合流を果たす。


「あれ?なんでアンザスさんが?確か、《R.I.P》で待機してる筈じゃ?一体何が起きてるんだ。あと全国放送でもろ出しはまずいよ!!!」


あっ、モザイク罹った。しかも顔だけに?!下はモロ見えなのに?!てか、なんで猫が褌を咥えて????


(ノД`)・゜・。


「何が起きているのか分らんが?アレは、一体どういうことだ?」と、問いかける様に動きを止めた機体から、


襲撃を指揮したと思わしき指揮官を器用にマニュピレーターを駆使してひき釣り出していく。


「離せッ」


ん?話せば良いのか?だが墜ちるぞ?


「いやッ離すな!!!国際法で、戦時中の捕虜の権利は決められているはずだ。人道的配慮と、特に指揮官に対しての優遇措置を求むる。」


いやどっちだよ?と、心の中でつぶやき、指揮官の捕虜としての扱いに関しての口上を垂れる。それに...対して、


「いや、正統の理由もなく襲い掛かってきたのそっちだろ?虫が良すぎでは?」


先ず、襲撃の目的を聞き取ろうとするも、「春幸、一々追及しても意味はない。指揮官章から、現場指揮官ではあるのは間違いないだろうが、指示しているのはもッと上だ。一端状況を立て直すぞ?アンザスと合流して、リンに連絡だッ!」


その手に乗せた捕虜に配慮しつつ。


到着までの30分程度の時間の中で、それは起きる。


ふわりと浮かんだ、デスペラードは、一路、中央省庁が居並ぶ、坂東へとその進路を変える。


その目的地である、騒ぎの爆心地に於いて、アンザスは悩む。


うーん、拙者これどうしたら良いのかなぁ?事が大きくなりすぎて正直、拙者の手に余る。まぁ、拙者の偶々も肉球の手には余るんですけどねー。と


未だ股間を狙い続ける猫を抱えて、勝利の凱歌を謳う民衆に対して、曖昧な態度のまま、褌をどうにか〆ようと試みた、その時に


深紅の鎧武者の如き、機体が、道一杯に溢れんばかりに歌う。民衆に対して、浮遊する足場でその上空より侵入すると、道々に居並ぶ破壊され原形を保たぬ車両の残骸を超えてまるで厭う気配も見せずに直進してくる。


「ちょぉぉぉぉぉぉぉ」不味い?不味い?!!咄嗟に操縦桿を操り、龍鱗踊る《falcis(ファルキス)》を駆使して迎撃に入るも、


その手に掴んだ、両手の光剣の瞬く、瞬時に、展開と終息を繰り返し、飛翔する斬刃の光が、縦横無尽に飛来し、直上で跳ねる。


粒子の一かけらでも地上の人民に降り注げば、被害は甚大。止む終えず、飛散する粒子をその身を楯として、滑り込み、


鏡面仕様の光学迷彩装甲が、飛散する刃の粒子を浴び、その彩を変えて、反射、吸収し、その急襲を凌ぎきる、


抱える実体剣を前面に、その膨大な推力を以て、逆に向かい来る敵機に対して押し込み返し、交差する刃同士が瞬き、


一気に来た道を戻る様に6時方向へと後退を余儀なくする。


「なんだ?敵の指揮官機か?変わった戦法を獲るでござるな。こんな突飛な攻撃仕掛けてくるのは...アイジェス氏ぐらいなものだが?」


見ると、その機体には、その畏怖を知らしめるかの様に、矢に貫かれし蒼いリンゴのエンブレムが刻まれていた...


それは...唯々、鎧武者にもにた重厚かつ軽快な動きを魅せるその機体は、


夕闇に浮かぶ、二つ目の光が、陽炎の如く揺れ、特徴的な鍬形前立て(くわがたまえたて)面差し深き面頬には朱の色が踊り


その威光を以て、意向を示さんと、奔るその脚は、地軸の磁場と反発する浮遊機構を備え滑らかにその脚を滑らせ、押し込まれた勢いのまま


地上へと掠め、乱杭歯の様に立ち並ぶビルの谷間の道路の端々に残された車列を弾き飛ばし、その肩の大袖の垂れより見え隠れするは、可変式の機動用ブースター


その二つを以て、高速機動を展開する。


「あれのエンブレムは?!第二部隊?この尻を見るでござる。《お調子者》(ストゥルティ)だよ。良い男尻だよ。怖くないよ?ぷるぷる」


脳裏に過るはかつての仲間の姿、インヴィクトゥス《不敗》?!でも誰だ?01か?他のいずれか?不明であるが


此処は一先ず、追いすがる相対するその機体に対して、呼びかけと共に、副腕、砲門より奔る、射撃戦を展開しつつ、射列を形成する龍鱗の《falcis(ファルキス)》の一団が


上方に陣取りながら小口径の砲門より斉射を浴びせかけるもその刃によって、払い。唐突に斬線を傍にそびえる建物へと叩き込み、


溶断される建造物が大きく傅きながら、その大質量を楯として、切り崩し、土煙を揚げながら崩れ落ちる。


粒子の砲者により刻まれる建物と、中央省庁へと(まば)らに行進する民衆が、一斉に散りじりになっていく最中、周辺部から周辺の被害を嫌い。


その手の獲物を蛇腹状に変化、一振りめが、目標を外し返す刃の刃閃が、切り落とし、肩部の機動用ブースターを点火、突撃してくる機体に対して、上空へと逃れながら、


二刀目の蛇腹状の刀身を掲げる光剣に絡ませると、意を決して背面ブースターを点火、一気に上空へと打ち上げながら飛翔する。


吊り上げられる鎧武者の機体...《ルカヌス・ウラヌース》その時点では機体の名すら知られぬ特徴的な機体対して、男尻の猛アピールを繰り返すも、パイロットよりの回答はなく、


無言のまま、何を思ったか、展開していた光剣の刃を切り、その手に絡んだ蛇腹の剣を振りほどかんと、肩部の機動用ブースターを逆向きに火を入れ、


その身をよじりながらその束縛から解き放たれ、緩やかな落下のまま、夕闇の空を滑空し、噴出する勢いのまま、反発する脚部機構により磁場を反発


蹴り脚そのまま、上空で、問いかけるヴィキティに向かい。構える獲物を切り替えると、其の腰部に備え付けられた大型の実体剣らしき刀身を備えた、獲物に手を掛け、


その柄に備わった引鉄を引き絞ると、


炸裂音を響かせながら、空の一文字の緋色の閃光を描き、天に向かって一陣の風が吹く。


機体の肩部を切り飛ばされ、再びの炸裂音が、飛びすさび、大地へと叩き伏せるように放たれる。



実体剣の刃を戻し受ける。アンザスが駆るヴィキティが、大音声を響かせながら大地へと叩き伏せられる。


コックピット内部では、エアバックが起動、罹る衝撃のGを機体の重力制御により相殺しながら、その臀部がぶるぶると上下する


驚き暴れる猫を抱きかかえ、急速離脱を選択


「今?一体何が?」交差する刃で防ぎつつ、スラスターを点火、地上を引きずりながら再加速、離脱をしたアンザスの目に飛び込んできたのは...


鞘が?爆発してる?!


見ると大きく腰部を捻りながら、その刀身の柄に備えられた引鉄を引くと共に、その鞘内部と外部へと炸裂する炸薬がその勢いを増して、空に一文字を掻き描く。


「応答するでござる。ソウハ=クワナイッ?!ソコニ=アルナお前の尻の穴は何処にある?!秋桜=アーデルスワットッ!!!」


(・д・)チッ


ダメか?


「リン=山崎女史ッ!!!!誰でもいいこの男尻に答えてく出されッ!!!」


その名を聴き知って、相対する機体の動きが僅かに鈍る。


歪な手足から覗く手に三つの指輪を見せるが、その動きは次の瞬間には、其の動揺が戻り、再びの炸裂音。


切り結ぶ刃から、熱分解の炎を上げて、対抗すべく、血道をあげて争う。


その合間に、徐々にその渦中へと飛び込もうとする。


ナンネン=ハイマンとエクィタス=ユースティティアが率いる《R.I.P》と《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)が、沿岸部と港湾部より


其々坂東への領空へと侵入していく。


唐突な領空侵犯に、本来であれば色めき立つ、本営も既に陥落し、頭を喪った防空部隊の一部が、反射的に、迎撃任務へと駆り出されていくが、既に大半の戦力を


隠れ里への進行へと投入したため、現存する戦力は、無いも等しく、それでも残された戦力が、空中分解を起こしながらも《R.I.P》をはじめとする。春幸らの手によって駆逐されていく。


それぞれの場所で勃発する戦闘行為が、既に後戻りが出来ない地点まで、到達している事を如実に表し、


「一体何が起きてる?!何故、空に男尻が映ってる?!」宗谷=大石が叫び、


オウ=コワイイが、「(ノ・ω・)ノオオオォォォ-こわぴ?!なんで戦闘状態に入ってる?」


「知りません、尻だけに!!!」


オマエ=ナニモノは、不明な状況を見守りつつ、構える楯を手に、防空体のスクランブルを器用に捌きつつ、機体に備えられた砲身より、伸び行く光の線を目線で追って


その着弾を確認していく。


「べいびー悲しむな。元気な男尻があるという事は、きっと吉兆だよ。ベイビー?」気の抜けたシナドロ=アマイとの会話を早々に打ち切り、


ネライ=アッタライナが相変わらず狙いを外して、母艦への攻撃を防ぐことに専念する。


「セレブルム01より各機、隊列を構えての《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の投射後、弾幕を放て、男尻に遅れるな。」


「「「了解」」」


時間差で、《カルペ・ディエム・アスキック》より放たれし、銃声が、夕焼けの空に一筋の陰影を刻んでは消えて行く。


互い違いに繰り返し放つ砲撃に晒され、向かい来る《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の編隊が、その暴風雨に晒され、一機また一機と一気呵成にその陣形を崩され


火の玉となって、大地へとその躯体を降り注ぐ。


「はぁ(*´Д`)、これじゃァ粉チーズ掛けるまでもねぇな。」


「でも、数が少なすぎるし、確か坂東に駐留する機体数は、もっと多いはずじゃなかったか?」


そうだよなぁっと《ソッチ=コッチ》《アッチ=コッチ》の二人は周囲を経過しながら、ぐるぐると回る目玉をキョロキョロと見回し、


有視界戦闘での強みを遺憾なく発揮しつつ、散発的に発生する空戦機動による戦闘を処理していく。


「やはり、何かが起きてる。」やや出遅れたがと言葉を区切り、宗谷=大石は指示を出す。


「この騒ぎの震源地を確認するぞ。その中心で、きっと《お調子者》(ストゥルティ)が、いるはずだ。」


空に浮かぶ男尻を目印として、八機の現地改修を受けた《カルペ・ディエム・アスキック》が、飛行機雲を残しながら、船速を上げて進む《R.I.P》共に


都市部の空域へと侵入を果たす。


掛かる。状況に応対するべく、艦船用のドックに停泊していた。《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)も、その重い尻を持ち上げて、離岸し、


エクィタス=ユースティティア、青葉=穣ならびにハルナ=山崎も合わせてそれぞれの乗機へと乗り込み封印を破り出撃する


次々とその機体を空へと打ち上げる電磁バレルの射出音と共に、操舵を担当する外崎と火器管制の領五、そしてオペレーターのユミナリアが、


漸く落ち着いた、アイ=フライヤーと共に、戦場へと向かい飛翔する。


《R.I.P》側の状況同じく、警告を受けつつ、迎撃に出てきた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の二編隊を


まるで、意を解せずに、密集形態を展開しつつ、獲物を喪い新たに建造された既存兵装を改良を加えた大型ドラムマガジン製の実体弾投射兵器を抱えた《ヴォーパルバニー》


を中心に、《ホーリーグレイル》と《アド・アストラ》はそれぞれの獲物、上下左右に、バナナ型に湾曲した弾倉を装弾し、多数の弾体を使い分ける奇妙なライフルと


実体剣とライフルを兼用する可変型の銃身を構え、偏差射撃と十字砲火を合わせた、連携と共に三方から降り注ぐ弾体の雨に晒され、


防御する間もなく墜落していく、消えゆく稜線を超えて突き進む船と、落下する機体から漏れる声は。


「なんでマレディクトの最新機が攻撃してくるんだ?納品用の機体じゃなかったのか???」


「敵は...くぁwせdrftgyふじこ」


声にならない声を受信し、それまでの偽装が剥がれて落ちる。もはや取り繕う意味も必要も見失い。事態はするすると進む。


其々の視点のそれぞれの陣営が、それぞれの事態に対応すべく、其の中心点へと向かう。


まず、異常事態を覚えたのは...男尻を出した一等賞。朱に輝く男尻を胸に。アンザスはその違和感を感じとる


どうしたことか?突如、相対する敵機との戦闘中に、機体の制御が効かなくなる。がちゃがちゃと、操縦桿を動かすも反応が見られず、


推進の火が墜ちると共に機体が地上へと滑落する様に、衝撃を以て、墜ちる。


「動かない?」


操作を繰り返し、動かなくなったのは...空を駆け、機体を飛翔させる推進器と機体制御用のバーニアの反応が無い。


これでは空戦機動が行えない。


ビルの谷間よりその姿が見え隠れし、建物越しに、斬線を刻む攻撃を、未だ辛うじて動く機体の手足を駆使して、回避行動へと移る。


弾く鞘走るその勢いのまま突撃してくる。飛び込むように回避し、崩れたバランスを整えつつ、


着弾する噴煙と爆音の最中、どうにか熱分解の刃を展開しようとして同じく、その操作が反応を受け付けない。


地上では、二機の機体が争う戦闘に巻き込まれない様に、人々が口々に悲鳴を上げつつ散開する。


省庁を中心に繰り広げられる暴徒たちは、その戦闘に巻き込まれない様に次第に散開していく。


アンザスは、操作を受け付けぬ機体を操りつつも、被害に出ないよう。徐々に騒ぎの中心地から、引き離そうと、苦慮する。


飛ぶことを禁じられたヴィキティは...


ん?なんだ?機体の制御が...空を飛翔し、騒ぎの中心地、坂東の都市部へと侵入したデスぺラードとセカンドアーヴルの重力制御推進と、推進器の制御が


ほぼ同時に、不能と化し、機体が落下を開始する。


咄嗟にアイジェスを、機体背面に素材する一対の尻尾を射出し、建造物の側面へと叩き付けると、落下する機体を支えて、


起こる慣性を其の手足で殺しつつ、壁面へと降り立ち、


同じくセカンドアーヴルも、異常事態に合わせて位相空アンカーを射出、同様のムーブを行い、墜落を防ぐも。


その違和感に、突然の衝撃に、必死にマニュピレーターの指へと掴み、絶叫する片桐=護は、


「何してる?!殺す気か?!」


何を言っているのか分らず。機体の収音マイクをONにして、アイジェスがこの状況についての説明を求める。


同時に走らせていた自機の機体チェックの結果は、異状なし、ただし、一部機体性能の行使が...との一文が、


「おい、機体に異常が無いのに機体の制御が効かない。何か知ってるんじゃないのか?危うくあんたを押しつぶすところだったぞ?」


「親父、一体何が起きた?」


(・д・)チッっと舌打ちを鳴らして片桐=護がそう言う事かと、説明を始める。


「そうであれば、恐らく、6年前からの亡霊を使った試作機体...《ルカヌス・ウラヌース》が原因だろう。」


「あの機体は、数々の実験的な機能を有しつつ、...を模して、特定の範囲内に入った。機体の一部制御権を乗っ取れる。」


「本来であれば、先ほどの戦場に投入したはずなのに、上の奴ら目、自分可愛さに呼び戻したのだろう。そうでなければ...」


そうか...聞きたい事は聞けた、もう黙れと、声高に叫びつつ、


納得できない春幸は、「6年前の亡霊って何のことだ?」と、詰め寄る。


ん?そんな事を聞いてどうなる?


「英雄たる、マレディク擁する准将が、主導した山狩りで、捕えた。パイロットをそのまま殺すのは惜しいと、詳細は私も知らないが、作ったらしい。」


「そのパイロットたちは、旧式にもかかわらず単騎で、100機と相対してその五分の一を堕とした。最新鋭のチート兵器で切り抜けた、貴様らには真似できんぞ。」


ん?


何かの違和感を感じる。誰だ?今はまだその事実は分からないものの、アンザスへの救援に入るべく、機体を保持するワイヤーを外し、地上へ降りると、


未だ戦闘の音が鳴り響く、戦場へ向かって、疾走する。


其々の場所で、飛翔する母艦と共に侵入していく仲間たちにも同様の異変が、起きる。


落下する機体、沈む船体。


なんとか状況を読んで、落下する機体を、直下の建造物の屋上に向かって着地し、崩しながらも同時に展開された大型スプーマの発泡素材でその衝撃を殺し、


その役目を終えた、外部装甲をパージ。


「《頭脳》(セレブルム)01なんだこれ?行き成りスラスターが使用不能になったぞ?!」


「第五部隊、《臆病者》(クヴァイリス)各機は、母艦を守れッ!!」


「《頭脳》(セレブルム)各機は、このまま地上を奔り、状況を確認する。行くぞッ!!!」


それから遅れる事数分後


《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)も同様の事象に陥り、動けなくなった母艦を守る為、一時停滞を余儀なくされる。



「一体何が起きてるんだ?」


其々が操る実体剣の輝る刃を撃ち合い、火花を散らせ、その余波で建造物を破壊しながら、戦場が徐々に南部へと移り変わり、


決め手を欠いたまま、それは起こる。


アンザスの必死の呼びかけに対しても無言を貫く、機体を攻めあぐねる。


まるで古強者の如き、その操る刃は、こちらの攻撃をいなしつつ、アイジェスが操るデスペラードの様に、人の動きに近い軌道を魅せる。


刃を一つの音階を奏でる楽器として、撃ち合うも、其処に意思の疎通は見られず。


僅かに鈍ったその太刀が、忽ち、迷うアンザスの手から弾き飛ばされる。


(・д・)チッ


背後に、退避しつつ。スロットルを全開にして...モード...を繰り出そうとする瞬間に、


遠くより飛来する尻尾の基部が、止めを刺そうと構える《ルカヌス・ウラヌース》の手元へと射出されると共に、


咄嗟に機体を防ぐ刃が、その攻撃を弾く。


捕虜となった片桐を一先ず春幸に任せて、先行したデスペラードを駆るアイジェスが戦場へと到着する。



「《お調子者》(ストゥルティ)!!!」「アイジェス殿ッ!!!」そこに、宗谷操る、《カルペ・ディエム・アスキック》部隊も到着する。


事態を収拾するべく、獲物を構え十字砲火による連携で、墜とすべく。目標へと視線が泳いだ先に。



その特徴的なエンブレムが目に映る...


やや離れた場所で、その光景を目撃した春幸は、脳裏で過る。それまでバラバラになっていたピースが組みあがり...


コールサインを叫ぶ事も忘れ呼びかける


「親父ッ!!!みんなダメだ?それに乗ってるのは?!第二部隊...リンさんの旦那さんだッ!!!殺しちゃ?!」


「なぬ?ッ」


一瞬の隙を見て、鎧武者の面頬が嗤う様に展開。その表情が声高に嗤う中、


周囲を取り囲む僚機たちの動きが一斉に止まる。


「動かない?!」


不味いぞ?


不意に、機体各部から水蒸気の煙を吹き出しながら、動けぬアンザス機に対して、蹴りと叩き込みつつ、その反動で再加速を行い。


明後日の方へと、飛翔しながら、機体の装甲の間から、小型の誘導弾道をばら撒きつつ、退避を選択。


降り注ぐ弾体の雨を未だ動かぬ機体を僅かに防御態勢に入りつつ噴煙踊る戦場を後にする。


...


「逃げられた?!」いや、逃がして貰ったのか?


中央省庁を堕としたものの、残りの散りじりとなった坂東軍の一部は、《ルカヌス・ウラヌース》を中心として、


領土の北部に向かって北進する。



空には、泳ぐ、機影を見せる輸送機が一機、障害が亡くなった空を逝く。そこから投下されしは、


其れ迄、置物として置かれていたカルペ・ディエムの機影、その特徴的な林檎を貫く矢を見せる。


落下する機動の最中、離脱する輸送機を予め決めていた合流ポイントへと流し、自らは遅れて戦場跡へと着陸する。


「みんな、生きてる?!」


久方ぶりの再会を喜ぶも、状況は、未だ終結せず。その表情は暗い。


現状の状況は混沌、続く状況を収めるべく、リン=山崎は、脚を止める僚機達へと声を掛け、


状況説明と情報交換を行う。



・・・



・・・



・・・


改めて同じ事を語るのは意味がないとして、繰り返すその言葉は、夕闇の黒へと消えて行く。


そうだったのか?


一同は納得しつつも、試作機のその機体性能と効果に対して。多人数での攻略は、全滅の可能性もあるして、


対策を練りつつ、食事に入る。


リン=山崎は、集まる民衆に対して、声高に何かの演説を行っている。


かつての仲間の変わった姿を見て、それまで歩いてきた道の険しさを知る。



崩壊した街中で、少し肌寒い夜の気温を宥めるために、即席の竈を作り、引っ張り出した廃材を燃料として、


薪を囲む。


如何したら、俺は親父の様に為れる?不安を押し殺し、本を読みつつ、アイジェスが作る料理を待つ


春幸は、合流した子供たちが、母親が堂々と振る舞う姿を羨望のまなこで眺めて、一言、私もという言葉を聞いて


自らも呟く。


その声を聴いて、アイジェスは、誰に語るかもなく唯々呟く。


「子が、親と同じことをせねばならぬは、呪いであり祝福の願いだ。」


「そうあることは美しいが、誰も強要しては、ならぬ。」

「それは、強い強い呪いになる。」


「子が親と同じであれない。それは、血の繋りのあるモノや他人では、代わりは効かない。」


「だが?引き継いで行く事は出来る。」


「お前はお前のままでいい。その事を全力で肯定する。かくいう俺も、親の素質をまったく引き継いでないからな。」


「親から子に引き継がれるなにかについては、誰も、選べない。」


「精々何度か試して、上手くいかなかったら別の方法か?誰かが引き継げばいい。」


「血は重要ではあるが、それほど重要でもない。」奇妙なリドルの様に語り掛ける言葉に春幸は、耳を傾け続ける。


「俺はそんな呪縛から解き放たせたいよ。」


「だから、お前は、お前のままで良い。」


「合わない人間が、無理やり合わせようと、失敗する姿を見て喜ぶ親が居るか?」


「誰かの真似をするよりも、自分なりのやり方をみつけろ。」


「喩え話として、数多ある物語の書き手が、限りなく血縁者に限る事例はそんなに多く無いだろ?」


「俺はずっと変わらないものを探してた。」


「変わらないって事は、変え続ける事なんだ。」


「もし仮に、料理やお前が今読んでいる物語で譬えるのであれば、作り手や気温や素材に、違いがでれば、作り手がそのままの手段で、同じソースを再現するのは、難しい。」


「人は加齢と共に衰えるしそれは、俺も同じだ。」


「いつまでも、同じでは居られない。」


「そもそも観客は残酷だ。」


「つまらなければ酷評し、面白ければ、喝采を送る。」


「そして、観客は、常に、今まで以上を求める。」


「だから、喩え、同じ方法、同じ手法で真似ても観客は、喝采を贈らない。」


「常に試行錯誤を繰り返して、作り手の己だけの何かを求むる。」


「それ以上を出さなきゃならない。其が変わらないって事だ。」


「それは何故か?お前だけに教えよう、観客が常に見ているのは、類似性をただ漫然と見ている訳じゃない、」


「その下地があった上で+αの他とは違う箇所を見ている。そこを勘違いして、真似るだけで上手くいくと誤認する。」


「だから、お前は、お前のままで良い。何度でもいう、お前は...」


「親父...俺は、第二部隊のみんなを助けたい。だけど?その方法が分からない。あの機体を搭乗者を無傷のまま止められるのか?」


そうか、それは俺も同じだ。


「手はある。だが其の為には、お前の協力が必要だ。俺がお前に頼むことは...」


・・・


・・・


・・・


「しかし紙の本なんて嗜好品どこでてにいれたんだ?」


「宇宙じゃ尻を拭くのも水か温風なのに?まさか、掠奪品?」


ちがう、宙を指刺し、買った。


そうか?


「なあ、親父、正論ばっかりだな、そんなの窮屈すぎるだろ?」


「いや、大人が子供を納得させられる様な論理的な正論言えなくなったらお終いだよ。」


「だって大人はすぐ、理論的に言語化できない問題に直面すると、理由を説明しないで、子供に、大人になれと言う。」


「俺は、そんな大人に、なりたくないだけさ。」


「まったく親父は、変わってんなー。でも、そこが唯一無二なんだろうな。」


全くどうでもいいといった風情で最後に付け足す。


「彼女と致す時にはちゃんと、ゴムを付けろよ?なにより、子供が出来ても責任を取る心算がないなら最初からするな?だがな、大人が子供に言わなきゃならん事はこういう事さ」


ブッ、飲みかけのスープを吹き出して、狼狽える春幸を他所に、なんの事も無い話した体で、アイジェスは料理を作る手を動かし続ける。


ずっと君を探してた。ずっとずっと誰かと話したかった。俺の話を聞いてくれる誰かを


あいつは良い子に育った。もし君が生きていて、子供が出来て居たら、嗚呼言う風に成長してくれたのだろうか?


それが違うとしても、それでも今ある事が嬉しい。


そろそろ、索敵と偵察を買って出てくれた第一部隊の面々からの、定期連絡が届くはずだ。


中央省庁と軍部の施設は大方、反乱軍が抑えている。何処まで考えて、この展開を読んでいたのかは分からないが、


その執念が呼び込んだ事なのだろう。他の国に関する事は俺には与り知らぬことであろうが、


俺は俺の出来る事をするだけだ。


数週間が経過、未だ、新しい政府は立たず、反乱を良しとしないであろうマレディクトの勢力との衝突が避けられないものとなる。


アイジェスは、足りない戦力を搔き集める為、リン=山崎に対して、先の戦闘で、パイロットのみを屠り、無力な棺桶として墜とし、廃棄された機体の


改修を具申する。散発的に繰り返される。小競り合いを日々処理しながらも、逃亡した一部上層部を警戒しつつ、機体整備を行う日々が過ぎていく。


数々の機体を整備するなか、アイジェスは、それを見つけ、そしてひっそりと、その手で握り潰し、新たなる装備の整備に余念なく過ごす。


リンやエクィタスの分析では北半球の国々に対して示威を示していた《イグニス・エト・スルフル》が喪われ、マレディクトの勢力に翳りが見え始めている。


其の所為で、周辺のマレディクト派の動向は、未だ鈍く。開示されたその謎にたいしての確認に追われ、未だ本格的な鎮圧行動も観られない。


それでも、できうることの対処を試みるアイジェス達とは、対照的な坂東政府の上層部は北へ北上し、立て直しを図る。


一方、北海道で、態勢を整えるデ・ポク・ポクチン、ポルチーニ=ポポニチンの両人が率いる。船団は、機体の補充と、船体の回収作業に掛かりきりになるも、


そこで、中央省庁が墜ちたとの報を受け取り、驚き勇んで、おまるで排泄を試みる。


「ぽく朕たちどうすれば?!」


「あーもうちょっとでローアングルの良いポジションになるから、もっと男尻を浮かせて貰えますか?」


パシャパシャ


「とりあえず、工廠で整備中の機体を接収しつつ、本部の准将達に、指示を仰ぐのがよろしかろう。」


船体の整備は...まだまだ時間が掛かりそうでがある。


聞くところによると、中央省庁より軍部と政府の一部が、北進しつつこちらへの合流を試みてるらしい。


基地内では紛糾したまま整備作業が急ピッチで続けられる。


(・д・)チッ


これじゃ島に置き去りにできるチャンスが無い。艦長は、嫌々ながら便秘に悩む監察官へと座薬挿入の浣腸を試みる。


「しかし、この島国は、変わった機体があるなぁ。幾つか接収して置こう。」ついでに逃げる準備もしておくかと、その時が来るのを静々と静謐を称えながら、


それが起こる。


偵察へと出て行った第一部隊、大石=宗谷の報告から、徐々に北上する目標らは、恐らく北部に点在するマレディクトの拠点を転々として、次第にその勢力を増やすかに見えた


その数は、徐々にその数を増したものの精々、二十余機に及ぶ、その中心には奇妙な鎧武者の機体が踊り、其の搭乗者の姿はメンテナンスドッグ内で整備中にも一向に確認できず。



現存するのかの確認が取れないまま、停泊する拠点を確認後、長距離レーザー通信による、通話により現状を確認。



問題は敵の試作機の機能により、母艦である《R.I.P》や《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)を向かわせるにはリスクが高い。


となれば、航続距離の長い編隊を汲んで、急襲する必要がある。しかし、守りの薄くなった母艦をそのままにすれば、


南方より迫るマレディクト拠点からの襲撃を放置する事になる。


其の為部隊を、二つに分け、奪取した中央省庁を拠点として、防御と攻撃にその役目を変える事とする。


攻撃陣を、アイジェスが駆るデスぺラードを中心に、先発隊に出ている第一部隊そして、青葉=穣、


防御陣を、春幸が駆るセカンドアーヴルを中心に、防衛を得意とする第五部隊の面々に、ハルナ=山崎と、何故か民衆の支持を受ける。ヴィキティを駆るアンザスに分かれるも、


エクィタス=ユースティティアの処遇が、空いたまま、「僕が見守るのは...君の去就のみだよ。それにあの機体の能力の前では僕は役に立ちそうにないからね」と、防衛陣への参加を表明。


「親父、それだけの戦力で行けるのか?」


「嗚呼、なにより敵の性能からみて多人数で掛かっても足止めされて戦力が浮くから、意味がない。お前はリンの奴をフォローしてくれ」


と、後の事を頼むと、自らは現場を指揮する。女傑へとその足先を向ける。一言三言告げ、去り行く男の背に、


リン=山崎は、現場の混乱を収める為動けず、..その路を阻むのであれば...して、良いから...と


手に何かの記録端末を握らせ、その声はか細く、そして強がるように笑うもその笑みは強張っていた。


「任せて置け、息子を頼んだぞ。」そう言って別れ、北進を開始。先遣隊とは別に、僅かに援軍として出すのは、二機のみ、


長らく作成を試みていた新装備を生成し終えたアイジェスは、其々分かたれた僚機を以て其の装備を冬のコートを羽織るが如く様変わりさせる。


対多数を想定して特殊装備のロビンフッドをセカンドアーヴルが着込み、デスペラードは、新型機の対策として、重装甲のハンマーブレーカーをその身に宿す。


其々が向かうは、違う場所違う戦場、防御陣側には、その時迄の猶予は、在るものの。


新たな戦場へ向かうその速度は、やや遅滞をみせるも鈍重にも思える重装甲の機体を罹る増加装甲の推進器と、重力制御推進による加速とともに、


いち早く進む。


更には追いかけるように出立した《メガエアライド》砲身とスラスターを組み合わせた可変する大型の支援機らしきその機体に、随伴する形で、乗り込むと、生じる加速を以て、


二機の機体を戦場へと送り出していく。



「親父たちは行ったな...」あとは...。空域、海域への侵犯に対しては、血糊の除去と整備を試みる《ブレイズ=ガルヴ・ディム》を再利用しての


防空網へ組み込みと、練兵に対しては第五部隊やハルナさんらが対応、


地上から来るであろう陸上部隊とにたいしては...斥候と思わしき、


数機の機体との接触のなか、ノイズキャンセルの機能を持った隠密用のクロークで、姿を隠し、連弩式の中折れ装填式クロスボウより無音で射出される


《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の鏃が、その先ぶれを知らせる間もなく、闇に紛れて、討ち取る。


デスペラード用に調整された、本来であれば、機体背面部に搭載される筈の矢筒状の装弾及び罠製造ユニットを実体弾兵装のウェポンラックを除去して


左腰部に変更、緊急時には切り離し浮遊する随伴機として稼働させる事も想定しつつ。


罠製造ユニットより、次々と小型の円盤型の子機を投射、振動と共に、地面へと滑り込むように設置されると、


その頭上を歩く先遣隊の一部をその罠を以て釘付けとし、静音の狙撃による矢が、コックピットを狙い続ける。



姿なき機体に狼狽えるマレディクトの偵察部隊を処理しながらも、春幸は、別動隊の成功を祈る。



しかし、事態は、南進する春幸らの行動を待たずにやや、東北へと北進するアイジェス達は動き始める


先行する宗谷=大石ら第一部隊は、遠間よりの観察に終始するも、慌ただしく東北地域に鎮座する


千岱駐屯地、において、



一斉にスラスターの動作を止められ、制空権を封ぜられしかも、メイン武装である射撃兵装のトリガーも一切反応を見せなず。


追い込まれる。ビームシールドと蓄熱機構を備えた実体シールドに更なる機構を加えた三重兵装である。ストラクチャーシールドを展開、


一方的に押し込まれる危機に於いて、


宗谷=大石は、接近戦に活路を見出すべく、袖口より、光剣の発振器を取り出すと、その追い足短き、脚部で掛けつつ、



奮う刃が、接近してくる敵機の目前で、機体の制御権が奪われ、空振りを誘発され、そも防備が欠けるストラクチャーシールドで、


刃を防ぎ、ヤケクソ気味に、武装が展開出来ない素手で、相手のメインカメラを狙っての殴打を試みる。


「糞っがッ機体の制御を邪魔されてどうやって、闘えばいいんだよッ」


「出来るかッ!!!!!」


飛散するカメラカバーの破片が舞う中、機体を傾け盾を全面に押し出し体当たり気味に、相手の体制を崩し大地に押し倒すと、浮かぶ敵の獲物である光剣を、空中で掴むと


その光が途切れる間もなく、目標のコックピットへと差し入れる。


沈黙する機体の背に向かい。敵機の攻撃が迫る。


ソッチ=コッチとアッチ=コッチは、丘陵地の遮蔽物により射線を切りつつ、


「アッチOK!!!」


「コッチOK!!!!」


すかさず、左右を確認しつつ、カバーに入る。土煙を上げて、左右前後を取り囲むように、放物線を描き着弾する砲弾の数々を


潜り抜けつつ、徐々に下がりつつ、轡を並べて楯を壁とし防壁を築く


遣えぬ操縦桿の反応に対して、どうにか?穴を突く方法で回避と応戦を試みるも、手足を縛られたままでは、反撃の余地などなく、


何度目かの行使により、タイミングの合わない状況で、砲撃の引鉄が反応する。


タイミングを外されたことによりその狙いは、明後日の方向へ飛んでいき、パイロットたちの集中力の維持も難しくなる。


なにより、回避タイミングに合わせて、機体のフットペダルが反応しない。


何度も踏み込むも、反応しないいかんしがたいその状況で、敵陣中央部に陣取る《ルカヌス・ウラヌース》が


水蒸気を噴き出しながら鎧武者の面頬が嗤う様に展開。その表情が声高に嗤い。戦場を見守る坂東の首脳陣も呼応するかに嗤う。


「さぁ、君の大切な家族のピンチだぞ。その命を以て楯として(私の思惑通り)戦うが良い。」


その声に答えるかのように発動した。《ハーヴィージャック》「Harvey(戦いに値する者)」を「Jack(奪う/乗っ取る)古い言葉を繋ぎあわせて名付けられたその機構により


第一部隊の面々は、防戦一方になり、反撃の手も次々と封ぜられる。


四機編隊×2のT型装備を纏った《ブレイズ=ガルヴ・ディム》、実体弾兵装の砲身と有線式思考誘導弾が、雨あられと降り注がせる。


俄然いっぱいに降り注ぐ絨毯爆撃にも似た飽和攻撃に晒され万事急す。


空を翔ける一筋の粒子の砲撃が、複数の弾体の雨を宙で撃ち抜き爆散させ、長大な光の帯をその空域へと滞留させつつ、


続く第二射が、巨大の質量を纏った何かが、音の壁を突き破りながら飛来してくる。


《メガエアライド》...変形機構持ち、砲身に高機動用の推進器を載せたる支援機の姿が遥か後方の大地を翔けながら賭けに入る。


砲身より吐き出される疑似電磁バレルを展開。


艦船より射出される電磁カタパルトよろしく、自らを砲弾として、デスペラード自身を弾体として撃ちだす。


「おじさんッ!!!流石に機体を超電磁砲で撃ちだすのは?不味いでしょ?!なんで?!破裂しちゃうよ。」


「そもそも対策出来てるのか?」


「今からじゃ通常のやり方じゃ間に合わん。どうせ、発生する強烈なGは、機体が相殺してくれる。やれッ!!!!」


もぉぉぉぉぉ~急かせても知らないんだからね!!!!風速好し、照準補正好、


敵の操縦権の妨害範囲外より、引鉄を絞り、射出を実行する。


加速する勢いのままやや、地軸のコリオリオを逆算し東に向きがちの照準をやや左側へとズラす。


過大な加速度と共に、電光稲びく、その光る尾を見送り、本来であれば仕様外の手段により、弾体とされれば、機体は兎も角


乗っているパイロットは、人体が唯の血を詰めた血袋に過ぎない事実をまざまざと見せるはずだった。


だが、初手から、アイジェスはその手を切る。


「エンコードッ!!!!!!!!!!!!!!!」「一葉灼伏…5%」そして射出と同時に心の中で小さく呟く、その声を繋げる言葉を超えて、一斉開放を行う。


機体内部に搭載されたジェネレーター内部で、それは熾る。中央部に鎮座する。赤黒い表皮を備えた樹木に向かい。


内部から伸びるマニュピレーターが起動、その腕部で、樹木の一部を切り取ると、樹皮から流れ出る血の色に似た樹液を流し、心なしか痛みに耐えて叫ぶ声が響き渡る。


ジェネレータ内部のかつての文明で使用された蒸気機関の火室の様に、開閉する投入口が開き、手折った枝を放り込むと、炉の灯によって、焚き付け、一気に貯蔵、放出される。


その粒子量が爆発的に、推し広がって逝く。.........


左右非対称へなった全景にV字のツインアンテナには左右から延びる一対の角、吠えるように叫ぶその線型は、煽情的なまでに戦場を翔ける。


やや大型のそのツインアンテナは、開閉機構が稼働し、機構展開すると、V字から、左右に横倒ししたY字状に展開して、


やや歪なX型の様相に変える。左目に当たるメインカメラは大きくその開口部を開き、耀劫を滾らせながらも、


その姿を変え見通す先は遥か遠く連動して鬼面の表情となった口元の放熱機構が開いて牙が覗き、肥大化した右腕の大型楯となる大型マニュピレータは、都合二つの主腕と副腕が、


重なりされやや大ぶりのその指と腕部を形成展開される副腕となって、大型の副腕が、一回り小さい主腕を包み込むと其の手掌から漏れ出る覇劫が、且つての姿を幻視させる。


「その想い。二度と亡くさない様に、啼け《アースガルズ》(神々の庭)!!!!」


「悉ことごとく凍えて、その姿を覆い隠せ。《ニヴルヘイム 》(霧の国)!!!!」


「繋ぎ禊て、不離一体を以て、その不利を覆せ。」コックピット内のコンソールにアースガルズ《神》とニヴル《霧》の文字が瞬き、《connect》の表示が踊る。


《来たれ、餓える餓狼よ。!!!!》


「我は、繋がれざる者、その絶望を世界ごと、飲み込めフェンリル!」以降を威光を以て修正する

※2026年1月14日修正


射出に伴い生じる強烈なG...重力を機体より溢れる重力場で、相殺。さらには、機体周辺に対して、氷結する結晶体を纏わり付かせながら、戦場の敵陣の真っただ中へと


その姿を現す。


着弾の衝撃を振るう推進器式、金づち型ハンマーを大地に突き刺し、相殺。凄まじい量の噴煙を巻き散らし


丘陵地の斜面へと轍の土道を刻みながらも、その動きを止めると、同時に、スラスターを点火。


その光景を嗤う鎧武者は、悠々と迎え撃つ。


起こるべき状況は制御権を奪われ慌てふためく姿ではなく、キラキラと舞い散る砕氷の細雪が舞う。


《ニヴルヘイム(霧の国)》の結晶体による凹面レンズを重ねて、対象の操作権の強奪をジャミングし防ぎきる。


「既に答えは出ているッ!!!」


あとは、コックピットより引き釣り出すのみ...。


重装甲の増加装甲に備え付けられた、四つ一組であるハンマー型の《falcis(ファルキス)》を展開、周囲で射撃戦を試みる敵機に対して嗾けて、細雪の氷壁を以て僚機達への援護とする。



焦る宗谷=大石の元へと、僚機達の歓声が踊る。


操作権が?戻った?!


「各機、偏差射撃による十字砲火により、削れッ!!!」


理由は分からんが、あの土煙と、周囲の結晶体の動きから...アイジェスの奴が来たな?と、慣性を殺しつつ歓声を上げる。


各機が四方に編隊を汲みながら、互い違いに単独での《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を


各機が放つのではなく。四つの光の柱を、一度に放出させる。メランディルオール《天地暴喰》を倍にもする


光の柱が、同様に奔る。遥か後方よりせまる《メガエアライド》の砲撃が、敵陣の奥深くまで、その建物の一部を焼却し、


出撃準備まじかだった機体すら巻き添えにして、戦場を火の海へと変えていく


そこに対峙するは、二つの翳、


《デスペラード》《ルカヌス・ウラヌース》の二つの機影、


自らの機体の効果が、いつの間にか減じられている事実に、違和感を覚えつつも、ヘッドセットのゴーグルを付けられたまま、


背後からの激高する指揮官よりの激が飛ぶ。


腰だめに構えた鞘と、実体剣の刃を手に掛け翔ける様に戦場を二分する。


「応答しろ。ソウハ=クワナイッ?!ソコニ=アルナ?!秋桜=アーデルスワットッ!!!誰でもいい俺の呼びかけに応えてくれッ!!!」


其の呼びかけに応えるそぶりも見せず。その柄に備わった引鉄を引き絞ると、


炸裂音を響かせながら、地平線へと一文字の緋色の閃光を描き、大地と並行して一陣の風が吹く。


目にも留まらぬ速さで繰り出さられし、死を呼ぶ斬閃が、瞬く間に、《デスペラード》に命中する。



鈍重な重装甲であるその外部アタッチメントを何故、優速を誇る対象の鹵獲に選んだのかは?


その手ごたえに違和感を感じる。


まるで分厚い硬質なコンニャクを切る様に、刃筋が立たない????


双眼鏡でその状況を見守る坂東の上層部はその意味を知る事なく、戦闘行為が続く。


擦過つ音を響かせながら、刻む斬閃は、外部装甲アタッチメントであるハンマーブレーカーが誇る


流体金属による軟性装甲により摩擦係数を限りなく0とし、且つ電磁場での防御機構を合せ持つことにより、


その刃に対して摩擦係数0を叩きだす防御に弾かれ、その攻撃が無為へと変わる。


「それはアンザスの戦闘データーで既に見せて貰っている。それはこいつには無意味だぞ?」


それでも、其の勝敗は、未だ見えず。分離したハンマー型の《falcis(ファルキス)》が、視界の端で踊り、


多数の敵に対して、その軽快な殴打を叩き込み、戦場の趨勢を期するべく、獲物を構えて、


数合の打ち合いを重ねる。


それでも諦められないのか?鞘に納めての、抜刀を試みる。


加速する実体剣の刃と、点火する推進機構による加速する鈍器の一撃が、中空で、叫び声をあげる金属音を響かせながら交錯する。


互いに弾けるその打ち合いを演じながら、戦場を右へ左へと、横断を繰り返し、巻き添えに巻き込まれた数機の機影が


唯の鉄屑と化し、其の手足が乱れ飛ぶ。


空には、30秒のクールタイムを終えての《カルペ・ディエム・アスキック》の砲撃が戦場を切り刻む。


無数の光の柱が走るなか、二つの翳は、その速度と加速を増しながら、告げるは、金属の打音による音階、


されど、無数に刻まれる斬閃は、相も変わらず、真へは到達しない。対するパイロットも、その装甲に対しては


効果が薄いと見ぬき、装甲に覆われていない、頭部や関節部を狙っての抜刀を繰り返すが、


其の全てが構える鈍器によって上に下にと相殺され到達しない。


どれほどの時間が経過しただろうか?続く抜刀の炸裂音が、生じず。空撃ち


ハンマーが信管を叩く音だけ鳴り響く。


Σ(・ω・ノ)ノ!


(・д・)チッあいつは何をしてる?


「《炸薬鞘》(ウァギーナ・エクスプローシーウァ)の残弾が切れたのか?!一体なにをしてる!」


と怒りに震えて、双眼鏡を地面へと叩き付ける。


(漸く弾切れか?これで次の準備に入れる...問題はこっちも時間切れだという事だが?)


最後の時間切れを待たずに、氷結する大地の楔と共に重力の重圧による荷重を目標の一機を残して、発動する。


無情の鉄槌となって降り注ぐは、霜と重力の檻、堪らず血の袋より吐き出される内臓と鮮血が、


人が唯の血と糞尿が詰まった肉の袋で有るという事実を示す。


無防備のまま受けた本陣の首脳陣が、合わせて大地の染みへと変わるも、


デスペラードも一葉灼伏の効果時間が終わりへと地下ずく、その彩が紺鼠色へと戻っていく。


その一瞬に、宙へと、黒き陰影を深く刻みながら霧氷の牙と共に重力加速により射出されしエリンの穂先が、放たれる。


意を決して、各部に纏った装甲片をパージ、バラバラと剥落するそれらを待って、獲物だけを構えた


デスペラードの本体のみが現れる。


握る操縦桿とフットペダルを全開にして、湧き出す怒気にも似た決意と共に、


掛かる推進機構を全開にして、突撃を開始する。


互いに無用の長物となった獲物を取り換え、振るうは、


一対の光剣の刃が、刃と刃を結合とともに反発。繰り出されるは一閃の飛翔する一陣の飛翔する刃。


それに対抗すべき一手は、質量子ブレード...《グラムクァントラミナ》


腕部の袖口より射出され、掴んだ、発振器らしき柄を掴むと、黒と銀劫を纏わりつかせた収束する様に、掠るだけでも質量を持った光刃に晒され圧搾と衝撃と共に、溶断する刃を


両手に掴むと、同じような合わせ鏡の様な動きで、飛来する光刃を推進機構を駆使して加速と減速の繰り返し、やや前傾姿勢のまま突撃してくる《ルカヌス・ウラヌース》に対して、


後方へのスラロームの軌道を描き交代するその機影が、勢いのまま、衝突する。


突撃の勢いをまるで真綿が衝撃を吸収するかに、沈み込む手足と共に、駆動するアクチュエーターを全開して、各部間接より火花を飛ばしながらも衝突と接触を繰り返す。


相対する左方の刃が翻されれば、受ける右腕の獲物がその動きを捉え弾き、右方より迫る刃が叫ぶような異音を奏でながら、


大気が焼けるオゾンの臭を纏わせながら、互いの刃が噛み合いは、弾きながら、三時方向へと次第に流れながら、


数合の討ち合いの最中で、何を思ったのか、アイジェスも相対する。目標と同じく、刃を交錯し、弾け飛ぶ粒子を飛翔する刃に変えての迎撃行動へと入る。


質量を持った劫刃は、迫る光の刃を推し返し霧散させ、たった一度視認しただけで同じ挙動を繰り出すその運転技術に


遂にはX字に構えた刃を、振り抜き、交差する刃を同期、誘導と反発を繰り返し、飛来する刃を繰り出し、徐々に追い詰めていく。


その頃、遠く離れた別の戦場跡においては、交代で見張りに立つ、春幸が、宙に向かって投射される光の帯を視認する。


「あれは?親父の合図?!」


意を決して、春幸は己にまだ捨てられるモノを探し、決意を新たに、その覚悟の意味を探る


耳に残るは、彼女より送られし、歌声、ダーリンと、亡き母とは違う呼び名で語り掛けてくるその詩に耳打ちされ、


漢は、もしも自分が、同じ立場であれば、もしリンさんとあらゆる逆の立場であったのであればと、出した答えは...


「音声認識による命令を受諾しろ。キーワードは...《Eleos is white(エレオス・イズ・ホワイト)


その詩は、憐みを以て慈悲を捨てよ。純白の慈悲亡き慈悲を謳え《セカンドアーヴル》...我が名は、春幸=ブラットワーカー。」


「俺が与える慈悲は、常に、弱き踏みつぶされる者と共にある。其れゆえ我思う故、我は、天より振る、其の泣き顔を晴らせッ!!」


二人が高らかに歌うは、無法者の唄。「愛する伴侶を彼方より呼び戻せ」


コンソール上の文字列には、バスターモードを選択。機体の上半身を180度回転させ下半身の機構をそのままに、それまで隠れていた異貌が顕わになる。


燃え上がる様に光る左右非対称の、ツインアイは、その大きく輝く相貌が反転し、変形時に機首となるユニットカバーが、競り上がると、


覗く光をその隙間から魅せ、それまでフライトユニットであったブースタは、其の羽を束ね収束する砲身へと変わると、左右の腕部へと収まり、反転した


機体の脚部も、副砲として機能する。更には、深緑の光るその眼の中から、何かが産まれる。純白の彩を魅せる機体が、それまで掲げていた。


五つの王冠の内、四つが外れ、隠れていた頭部と稼働する王冠の如き装飾品に覆われた左右の腕より離脱、備えられた幾何学模様の文様が顕わになる。


象る、無限を撃ち抜く螺旋の大渦、アンロック...ワン、フォーー画面に移り込む射程が示すインジケーターは、測定不能を指し占めし、


その威容を晒すべく稼働する重量子崩壊砲奏蒼穿弓アバリス砲身冷却及び、...冷却機構の出力が、∞の一文字を指し示し、急速冷却を実行。


出力のリチャージが一瞬で1000%へと到達番える弓がらは、何か?


投射される光の矢は、狙い能わず。戦場を直進する《デスペラード》に対して降り注ぐ。


「俺が欲したのは、栄光や唯の繁栄じゃない。世界中のどこの誰にも届く、無限に届くこの手だった。」


光に覆われた《デスペラード》の躯体が虹色に輝き、そしてそれまで、強制されていた二重奏による1200秒間のクールタイムを破却する。


コックピット内部で、クールタイムを知らせるカウントが0となり、再度の一葉灼伏を展開。


降す効果は...


《一葉灼伏》...5%


「人と人の想いの手と手をを繋げ《ヴァナヘイム》(豊穣の国)」


「鳴り響く鐘と共に福音をもたらせ《アールヴヘイム》(光の国)」


を平行励起、起動…


「繋ぎ禊て、不離一体を以て、その不利を覆せ。」


「輝ける凱歌を掲げよ、光鎮フレイ」


...


...


...


記憶が混濁している。目に映る一瞬のそれにより、視界が血で塞がれ、猛烈な痛みと渇きを覚える。


水...水が欲しい。ふと見ると視界の端にコンソールに表示された時刻が映る。日時は深夜、そして日付は今より4年近く前になる。


UD1984年(西暦4009年)七月十七日、ジャイロ式の羅針盤が指し示す経度緯度は、かつて近畿地方と呼ばれた山間部のどこか


その光景を見て、隠れ里で見た子供の姿が混濁する意識の中混じる。丁度あの頃の子供が生まれる時期か?


これは誰の意識で誰が見た光景なのか?


ふと見ると千切れた左腕が浮かび、その指の薬指には鈍色の指輪が嵌っていた。


己の口からは怒りに震える言葉が飛び出す


「俺の大切な...を傷つける...に、ケツの穴に、...をブチ込んで、ゴポゥ」


食道が裂け喀血する勢いのまま、血の泡を吹き出し吠える。


なんだ...これは誰の記憶だ?俺の記憶か?隊長...子供たち...は何処にいる。


最後にこの手に抱きかかえたのは、いつの頃だろうか?もう数年は経過している...



「なんで、私の事そんなの好きなの」


「えーだって隊長は、俺たちの事、馬鹿にしなかったじゃないですか?」


「何度も振った相手なんて、嘲笑の対象にもなりかねないんですよ?普通は?」


それなのに...と言葉を切る男たちは答える


...



且つての光景が疎らに、其の網膜に残るかつての姿を幻視して、想う。


...



「それでも隊長は、いつも真正面から受け止めてくれた。怖くて逃げそうになる男の尻を蹴り上げてね。」


「そうそう、あれ痛かったなぁ。でも、不思議と覚悟が決まった。」


(何を言ってるんだ。私は知ってるぞ。お前たちが、繰り出した街の街頭の光で、何人もの女性にモーションを掛けられていた事を)


(なんで、私を...。)


「何度も言っているが、私には旦那が居るんだぞ?」


「知ってますよー。(既に亡くなった旦那さんに操を立ててる事もね。)」


「まぁ、俺達の内、誰かでもいいので、気の迷いから、結婚したくなったら教えてください。」


「俺達に間で殴り合いでもして、決めますから。」


(殴り合いは困るんだけどなぁ。)


・・・


うわぁ...本当に殴り合ってるよ...


ボコボコに晴れ上がった顔を晒して三人のだいの大人が、拳で殴り合い、誰が先にプロポーズするかの順番を競っている。


それを眺めた女性は、嘆息しつつ、救急箱を抱えて、


やれやれ、何をやってるんだか?


・・・


「隊長...泣いてるんですか?泣きたいなら俺の雄ぱい、いつでも貸しますよ。」


「泣いて何かないッ!!!」


「いいんです...俺は貴女が振り向いてくれるまで待ちますから。」


月は満ち欠け、その表情を変えて、宙に輝き、四人の姿を映す。


もうあの戦役が終わってから一年はすぎたある日、何度目かのプロポーズを繰り返す


全く何度断れば良いんだと、苦笑いがいつしか微笑みへと変わる。


・・・



「わはっはw」


「なにがそんなに可笑しいんだって?」


「貴女が笑ってくれている事が嬉しいんですよ。」


「だから結婚してください。」手には鈍色の指輪、物資が乏しい僻地での暮らしで、用意できたのは、


認識票を加工して作ったそれをそっとその指に差し入れる。


「婚約指輪と結婚指輪...材料が足りなくて別々に用意できなくてすいません。」


クソぉぉぉぉぉソウハ=クワナイの奴め旨い事やりやがったなぁ、


俺も結婚したかったなぁ、


パチパチと、叩く拍手の中、映る景色の視点が切り替わると、目の前には簡素な純白のドレスに身を包む一人の女性の翳


その両目には、涙が溢れ、そして回転し、その境界線が曖昧になる。


もはや誰がどの記憶なのか判然としないまま、混濁する視界の中で、



・・・


笑って


貴女と一緒に在れた、この瞬間を火に包まれる最後の一瞬迄、噛みしめる。



今も見える光景は、隊長の姿が映るこの取り付けられた機械の上でしか会えない。向かってくる者は全て敵だ。


あの時の様に、この身に変えて叩き潰す。


俺は唯の銃弾だ。どこにでも飛んでいき、隊長と子供たちの敵を叩く...だが得物の残弾は既に尽きた。


思い悩んで獲物を弐刀のビームサーベルへと切り替える。


鈍重そうな体躯からは、見て取れぬスピードで襲い掛かってくるその見慣れぬ姿に対して、


弐刀を以て対峙する。光り輝く弾道を描きながら振るわれる光刃が瞬き消えゆく先には、既に目標が掻き消え、光の粒となって...


背中にピリ憑く違和感を感じ後方へと振り抜くと、目の前から掻き消えた敵の姿が浮かび上がる。


奮った刃の第弐刃を叩き込もうとして、噴霧され粒子の波が充満する戦場の中で、思考が繋がり、その事実を知る。


奴ら、死体の肢体を継ぎ接ぎしやがった...二人はもう既に...


それでも残された命に対して、声を繋げて、その想いを伝える。


そこに映るは...


「隊長ッ?!」


争いを焚きつける姿と、争いを止めようとするその姿が、交互に映る。


「どっちが本当の隊長なんだ?!」


無音の世界の中で、何かの音がなる。その声は...この数年間一度として聞けなかった。欲しかった言葉...


「お前ら、私の元に戻ってこいッ!!!!!」


「隊長ッ!!!!!」


次の瞬間、いつの間にか周囲に浮かぶ装甲や武装の一部が浮遊し、《ルカヌス・ウラヌース》に対して降り注ぐ。


その接触部位が装甲へと接触した瞬間、二刀の獲物を放りなげ、飛来した戦槌にその手を掛ける。


更に脚を止めた隙に振るわれた戦鎚の一撃が命中と共に、その打突基部を展開、噛み合う四つの牙がコックピットエリアだけを避け、掴むと、


コックピットブロックのみを丸ごと引き抜く。



沈黙する機体と、周囲の戦闘の火が呼応するかの様に。消えて行く。



その場に残されたのは遅れて遅参した、青葉と、奮戦をしていた第一部隊の面々と無頼を気取る機体が一機のみ。


戦場は家に帰るまでが戦場だ。と、添えた言葉に、手向ける華は、華々しく散って行った面々の面影、


僅かにコックピットから延びるその手には、特徴的な三つの指輪が嵌り。


そして...


凱歌を謳い。凱旋するアイジェスと青葉そして第一部隊と、且つての第二部隊の何かが、日が昇る朝焼けの中、


占領された中央省庁の並ぶ一区画へとその歩を進める。


不安そうにこちらの姿を朝焼けの陽の光に照らされながら、左右をアイジェスと青葉らしき人影に、支えられふらふらと歩く誰かの姿が、


逆光に晒されながら、一歩一歩、こちらに歩いてくる。


何かを察して、今にも駆け出しそうなその歩みを、押し殺して、二歳の秋光を抱えて、歩みの歩調を上げてリン=山崎は、


残りの三人の子供たちがさめざめと、眠気まなこのまま。何かを感じ取り、母親の跡を茉莉、ナクワイ、ナルアの三人が、手を繋いだまま


向かってくる。


「隊”長”ぉ”ぉぉ」


潰れた喉を震わせ、秋桜=アーデルスワット、ソウハ=クワナイ、ソコニ=アルナのどれともに合致しないその声に、


嗚咽の漏れる声音が、山彦の様に、答える。


その姿は、無惨な継ぎ接ぎの手と明らかに、肌の色とその顔かたちの表情は、三人の内、誰かそれぞれの特徴を持ちつつ、


其の誰とも違う姿に...


「おかえりなさい...」


「だだい”ま”」


「あたしのパパは?」ナクワイが、不思議そうに眺めてくるその表情に、継ぎ接ぎで繋ぎ留められていたその手が、まるで何かに導かれる様に、


ナクワイの頭を撫でる。


頭を撫でる手は...焼けただれた薬指には、いつかみた光景のまま三つの鈍色の指輪が並ぶ。


その様子を眺めて、駄々を捏ねるナルアを空いた手で抱きしめる。


「「「ここにいるよ。俺達はいつも一緒です。」」」


えっ一瞬、声にならない声がその耳朶を叩き、風に流れて掻き消えた。


あとに残されたのは、濁声の濁音の声が響く。人の犯せし、嘆きの人害。


嬉しそうにはにかむ、少女に向かって、その光景を眺める子供たちに対して、春幸は呟く。


大丈夫、君達のその想いもきっと空に届いているよ。


毎月、月末最終日に2話更新予定。

⇒家事をしろという意見があったので今後は月に一話更新とさせていただきます。敬具

誤字脱字、誤りがあったら修正するので、教えてください。

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