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無法者の詩  作者: 唯の屍
20/20

第二十話「翳る影法師」

ウォルピスカーター

時ノ雨、最終戦争

https://youtu.be/ziCU0Ci1gU8?si=TBT2gGWcpt6c1JLC


PENGUIN RESEARCH『敗者復活戦自由形』Music Video

https://youtu.be/sOmRlm6vHkQ?si=KUnK-kN2-NKZKEFU



真夜中の虹

スガシカオ

https://youtu.be/upTcTb11lJ4?si=hR_inHF_cgKSE2do


劇上

YOASOBI

https://youtu.be/GuIkxXiVHps?si=TvIlu2_NsflWUHkn

それは、唐突に始まった。危機を抜ける為に、闘争から逃走へとその歩調を変えて、ひたすら逃げ続ける


《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)を駆る春幸達は、一か月にも及ぶ逃走の果てに


更なる局面に出会う。



・・・



・・・



・・・


それは暗闇よりも暗澹とする、装甲に、ホワイトシルバーの縁取りと光輝く深緑の色鮮やかな稜線を描く線が奔る。


その機体は、壊されぬ者...


破顔する表情の如き仮面をかぶったその頭部には、排熱する機構が見え、大きく捻じれた二対の異なる角とツインアンテナ、


機体各部には、盾の如き装甲板。


背面部の二対の副腕(脚部にもなる)の内、上部の副腕が握るは、大型の自立する大型楯の背面武装。


主腕と残る背面下部より伸びる副腕には、二対の凶器、それぞれ二丁の銃身と一対の両刃を構え、その力を振るえる狂喜、喜び獲物を探し、漸く、逃げ場のない宙域へと追い込み


荒ぶる御霊を解放し、《セカンドアーヴル》を有する《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)と対峙する。


そこは、且つての戦役において、コロニー墜としを阻止し、其の残骸が滞留する成層圏の彼方の地点


背後には地球が覗き、墜ちれば燃え尽きるその場所で、


散開する僚機達を他所に、奴が来た...。


「あれは俺が抑えるッ」


宙域に展開された無数の機影に対抗すべく、仲間の僚機も、散開軌道を描き、砲撃戦を仕掛けはじめ


春幸は、どうにか対抗するべく、その穂先を操る。


・・・



・・・



・・・


繰り出す穂先は、《アンブレイカブル》(Unbreakable)が...繰り出すその咢に捕まれ、その希望と共に砕かれる。


Σ(・ω・ノ)ノ!


なんだと?!


・・・



・・・



・・・



同型の金属、同型機のはずなのにその機体の靭性に圧倒的な大差を見せられ、対策はなにも浮かばず


蹂躙する様に弄る様に《セカンドアーヴル》の機体を弄ぶ。



機体各部の推進器を駆使して、回避運動に取り掛かるも、対する《アンブレイカブル》(Unbreakable)は、春幸の駆る機体にも負けず劣らずの


機動と攻撃の波状攻撃を見せ、次々と《セカンドアーヴル》の装甲が徐々に剥がされていく



・・・



・・・



・・・



止めとばかりに振るわれるその刃に対して...



打開策は無く。されるがままに、なけなしの気力を以て、振るう刃で対抗するが、こちらの攻撃は一切通らず、


万事休すとなる。


その刃が...コックピットに到達する。瞬間に...。



...



...



...



見慣れた光がその間に割って入る。



直撃した閃光を、粒子の火の粉を巻き散らしながら、弾く《アンブレイカブル》(Unbreakable)に対して、



微力な何の力も持たない弱者で有っても闘い続ける事は可能だと希望の陽が灯る。



「またせたな...。」



...



...



...



追撃の波状攻撃が光のうねりと奔流となって襲い掛かり、その機体を覆い隠し、明滅するかのように貫く。


春幸は、振り返ると懐かしいその機影を目撃する


「あれは...と、R.I.P???」



・・・



・・・



・・・


其処に放たれし、希望の光は確かに存在した。


その刻を待って、事態の時系列は巻き戻る



・・・



・・・



・・・



乱立する戦場の中で、墜とされゆく機体を他所に胎喰都市は、鳴動する。


そして各自の機体のディスプレイ上には、赤文字の危険を知らせるアラートと共にERROR表記に撃尽くされたそれに...。



メッセージが浮かぶ...



《アンブレイカブル》(Unbreakable)...。我は、壊されぬ者...



何者かの鳴動と共に胎喰都市の未成熟な胎盤が剥がれ落ち、それまで孕んでいた。基部がその姿を現す。


組み替えられた防壁が組みあがり巨大な人型の何かへと変じ、生まれるは、無数の《ヴィヴィアニテ》にも似た巨体の群れ、


その口腔より放たれたしは、閃光の波涛、


流れゆく閃光は一筋の光を残して、春幸たちの背後に着弾すると、その衝撃に煽られ、機体のバランスが崩れる。


アレが壊されぬ者


《アンブレカブル》なのか?と思うも、その姿は、幾重にも現れ出でる。


いや違う敵は巨大だが、そのプレッシャーは先ほど受けたモノとは違う、其の名乗りから推測するに、


あの戦役で、艦隊を一撃で沈めた編纂されぬ者...アンエディテッド (unedited)と、同型機のはず?であれば...


だが機体は一体のみのはず?!


事態は更なる混沌を極め、そして物語は、繋がる。


二つの王冠を外し、光子の粒子を巻き散らしながら滑空する。


この距離ならばやれる。


王冠はかつての夜空の向こう側へと繋がる。虹の橋をその場に刻むべく、


操縦桿をスライドさせ、脚部を180度回転させる。伸びる両手の砲身に浮かぶ王冠を重ねながら、その銃身の彷徨を叫ぶ。


コンソール上の文字列には、バスターモードを選択。変形時に機首となるユニットカバーが、競り上がると、覗く光をその隙間から魅せ、


殴打溶断し収束する其の羽を束ね収束する砲身へと変わると、左右の腕部へと収まり、反転した機体の脚部も、副砲として機能する。


画面に移り込む射程が示すインジケーターは、測定不能を指し占めし、その威容を晒すべく稼働する


重量子崩壊砲奏蒼穿弓アバリス


砲身冷却及び、...ドライヴ及び...エネルギーリチャージ...1000%...



発光する光が、急激に膨れ上がり、一対の羽がその手へと収まり、其の羽を重ね長弓の如き威容がまざまざと現れ、其の引き絞る先に浮遊する二つの漆黒の王冠が、装填される。


冷却機構の出力が、∞の一文字を指し示し、急速冷却を実行。それまで徐々に溜まっていた出力のリチャージが一気に1000%へと到達


番える光の矢が、蒼く、碧く、青く、煌めき藍より青く、一射が、膨大な熱量と、その存在を崩壊しこの世から消し去るべく放たれる覇劫の奔流が、


彼我の距離を一気に縮め、天に向かって唾を吐き、そして己の絶対的優位を誇る。その矮小なる存在へと、無慈悲なる断頭台の刃となって振り下ろされる。


互いに放った一射は、中間の宙域で炸裂し、多大なる熱量と放射する粒子を散らしながら、強大な炸裂の暴風雨を巻き起こし、


その光景を見た者は、眩い光を目撃し、眼窩を光に晒された後遺症により暫くの間その目を開くことが出来なかった。


僚機らの機体は半自動的に、迸る閃光に対する対ショック機構が展開。その光量を抑えたままその光景に目を瞠る


その勢い狙いすますは、胎喰都市と射線上に居る《アンブレイカブル》(Unbreakable)に注がれる。


洗い流す波涛となり二つの(ソラ)と大地を繋ぐ回廊を繋ぎ、襲い掛かると、その射撃延長上に到達した。


矢が直撃した半径数キロに及ぶ、大地の台地が、覆い尽くさんばかりに放たれる。


その絶大なる威力は、射線上に存在するその機影ごと、飽食の徒市を飲み込まんとその牙を振るうが、


直撃した瞬間、その光が、その機体の防御機構に触れた瞬間、放射状に霧散し、無力化される、


高く高く聳え立つ、山のひと柱が、忽然と、緋色の亀裂を走らせ、極光の光を残してこの世界から消えさる一射が、無為のまま終わる。


「春君ッ!?不味い...あれは」


これは俺が今出せる最大火力だぞ?!!!それがまるで威に介さないばかりか...。全く通じない。


波状攻撃となって襲い掛かる機影と共に現れたその姿に、背筋に冷や汗が流れ、危機感を感じ取り、


二人の声が重なる


「「逃げるよッ!!!!」」


「なんでだよ。まだ、アイの母親と母さんがッ!!!!!」


「ダメだよ。戦力差が大きすぎるッおじさんが、単騎で墜とした都市も協力して墜とせない私たちに、そのおじさんと相打ちになった同型機は斃せないよッ!!!!」と、


青葉は、合わせるよとハルナ機と、息を合わせての


実体弾の一斉投射攻撃と、チャフやダミーバル―を一気に放出すると共に、撤退戦へと入る。


(・д・)チッ


「必ず...」


後ろ髪を引かれる思いで、その声の忠告に乗って、春幸もダミーバールーンとチャフの一斉の放出と


機体のモードをクイックモードへと変更。


胴体部を反転させと脚部基部を揃えると、脚部のプラズマ推進機構の出力を一時的に光量を増やして光射を放ち、一時的な目くらましとして、


機体を加速し、一気に敵の追撃を振り払う。


更に、先行する二機を追い抜きざまに、位相空間固定アンカーを射出。僚機に接続すると牽引したまま、急加速を実行。


そのまま母艦である《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)へ、退避する様に連絡を長距離通信レーザーで伝えると、



合流地点を決めてひた奔る。




突如の警告に、渓谷で警戒していた《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、急速離陸と反転を行い。



月面付近の宙域より離脱。



春幸達から先行すこと数千キロ...


吹きすさぶ太陽風に晒されながらもその機体は、無事宙域を離脱し、加速し合流を急ぐ、春幸ら三機との合流を果たし、


そして、すぐさま、再加速を艦船のブリッジへと具申する。


その指示を受けて、慌ただしく操舵と共に警戒色を強めるも、次の目的地に対して、紛糾する。


「次の目的地は...且つて父さんと共に植樹をした。ギアナ高地だ...」だが、父さんとは未だ、合流できていない。


それまで、逃げ回るしかない。


となれば、本艦は。静かな海の北部から更に北に転身している。一番近いのはL1宙域...このまま複数のコロニーを渡って、


合流までの時間を稼ぐ。


暗転したまま暗澹たる。暗闇に浮かぶは目的地が定まらないままの逃避行...へと入っていく







「准将...侵入者は逃げていきました。流石ですね。」


「はっん、そうだな(違う)、体悪く(体良く)追われた(逃げられた)だけだ。待機しろ(追撃しろ)」


...相変わらず准将達の言ってる意味は、わからんがその深謀遠慮しんぼうえんりょは、分かる。部隊を温存しながら追撃しろと言う事ですね。と


納得しつつ、いつも通り反対の指示を実行する。


この引きはがした袖に賭けて、奴らは我ら「袖無し」が追い落とす。


すぐさま追撃の部隊を編成し、追跡へと入る。侵入者が向かったのは。月面の北側となれば、向かう先はL1宙域か?そちらの駐留部隊へも警戒を促す長距離通信を実行、


同じく袖を引き千切り契りを結んだ友軍の奮戦を期待する。と結び


我が名は、名も亡き袖無し...ついぞ振るわれなかった。その手腕と、上腕二頭筋を震わせ、心なしか震える二つの玉は、何を覗き見る。



このポルチーニ=ポポニチン、逃げも隠れもしないぞ。


「隠語で攻めてくるの辞めろッせめて下ぐらい隠せッ!!!!」


「辞めない!!!!!」


「そんな事言ってると、どこかに連れて逝かれるぞ?」


「准将の家に?!...トゥクトゥク!!!!」


「逝くより他に、怖いことなど、このポポニチンにはない」


「いや、准将にその趣味はねぇよ。」


ぶらぶらと揺れる。○○○○ンを弄びながら、男は震える


そして何故か履いていない。パンツと下腹部を晒して、男は進む。


コソコソ


ねぇ、なんであの人、なんでパンツ履いてないの?丸見えじゃん?嗚呼あれはきっとナクト・ア・ポワルに憧れてじゃない?


全裸を表すその単語に、触れぬまま、あれは訓練された人間に、赦されたムーブよ?と語る。オペレーター。


「貴君は知ってるかね。○○○○ンに皺があるのは?あれは、冷やしているんだ。此の熱々のケツカッチンの熱をな、それと同じだ。」


微妙に決定的な瞬間を写さぬカメラアングルのまま、邪心の無い目に映るは、


前張りに晒され肝心の箇所が映らぬ男の尻をスライディングで滑り込むままローアングルで撮影し続けるカメラマンの情熱に絆され、


艦橋内の空気が、次第に冷え切って行く。


ローアングルでの撮影はッ!!!マナー違反!!!!忠司ッ!!!但しおじさんの尻は可!!!!


ねぇっさっきから偉そうにしてる半裸のおじさんと撮影してるあれ誰?でアレは何?


知らない准将の知り合いじゃない?


いや、二重の意味での全裸中年の撮影会はキツいて...


...


...


...


事態は何も分からないまま、男が指差した方向とは、真逆に進む


...



...



...



「まずは、お帰り」と、目立った損傷も欠員も出なかった事を喜びながら、機体の整備を弾薬や推進剤の補充を半自動式の《「リペアマトン》(Repairmaton)を稼働し

メンテナンス作業を実行する領五に擦れ違いざまに挨拶をし、待ち構えていたユミナリアが、


ボトルに入ったドリンクを手渡して、「お疲れ様」と労いの言葉を伝える。頬を染めて抱きしめる。


その光景に...ハルナと青葉は、


へッへへーいつのまにー?!と、喜びながら、おねぇさんちょっと寂しい...。と、しゅんとする。


一先ず、艦橋内に入室すると一緒に戻ってきたユミナリアと三名のパイロット達を、操艦作業を続ける。


舵を任された玻座真=外崎と、指揮と抜けたユミナリアが抜けた後の通信士のオペレーターを兼任し、


軽快に警戒にあたる。


エクィタス=ユースティティアは、その姿を確認しアイ=フライヤーと一緒に


「やぁ?戻ったね?で、なんでまた、いきなり戦闘に入ったんだ。何か問題でも?」「ハルユキ、キズナイナイ???」と口々に話しかけてくる


入れ替わる様に、オペレーター席に入るユミナリアは、何事もなく着席すると索敵作業を引き継ぐ。


「嗚呼、だけど其の前に...」やや視線が泳いだ先にはアイが、こちらをエメラルドグリーンの目で見てくるのをバツが悪そうになっている春幸を見かねて、青葉が、此処は私がと...アイ=フライヤーを艦橋の外へと連れ出していく。


これで話せるなと、月都市で見てきた事を話し始める。


...



...



...



憤慨する外崎と、言葉を失い動揺するユミナリアに、冷静に受け止めるエクィタスが言葉を引き継いで、


これからの行動についての指針を提案する。



まずは追撃者との距離は未だ離れたままで、虚空の宙を行く船は、機体表面に展開したホログラムにより発見は困難となっている。


アイジェスたちとの合流を待つために、このまま、物資の補給を兼ねて各コロニーを回って、逃げ回るのが得策だと思われる


この船は、エクィタス・ウッドスプライト社製の新造艦...船舶登録と、乗組員の身分証明は既に偽装済み。


問題点としてはアイ=フライヤーの所在が分かってしまうという謎の機械の話と、アイの語るお母さんが来ているの話を統合すると...


恐らく、その機械の中には...が...されて入ってる可能性がある。


酷く嫌な予測に対して、そうなると追撃者が持ち出された場合、春幸やアイジェスが、要所要所で香る体臭を頼りに、所在を察知する様に、


ホログラムで船体を隠していたとしても、所在を追跡され続ける可能性がある。



いったいどんな対策をすれば良いのか?思い悩む。春幸の元に、一先ず船室で少女を...アイ=フライヤーを寝かしつけて戻ってきた


青葉が、話を引き継ぎ、問題の対策について指摘する。


「アイは?」


「寝かしつけてきた。グズってたけど鎮静剤を打ったから暫く寝てると思う。今のうちに...」


「確かに、クピドレス同士は、その感覚を共有して、遠隔盗聴の様な事が可能だよ。」


酷く言いにくそうな言葉で、その事実を開示する。


「恐らく、これについては、対策が可能だよ。その感覚共有を保持するには、一つ条件がある。それは...人体を素材とした加工食品を摂取し続ける必要がある。」


「このまま昔の私みたいに、食事を普通のモノに変えていけば、思考の傍受による追跡は振り払えるはず。」


「でも、アイにはそんなものここ最近喰わせてないぞ?」


「これよ...」


私も気づくのに遅れたと、やや大き目な飴玉を差し出す。


「飴かぁ、そんなもん食べてたかな?これはこっそりと処分しておく必要があるな」


ただ、問題は...ウィンディゴ部隊の全般が同様である様に、常習性が存在する...


一度口にすれば、求めずには居られないの...その誘惑はどんなに意志が強くても抗えない。


それは、野生の獣が一度人を捕食すれば、捕食し続けるのと似ている。ただ、その常習性にも個人差があるけど...


だから...事の顛末を聞いて、想像するに、おじさんも、同様の十字架を背負っているはず...


何度となく、厳重に封印された箱の中に残る。食べかけの糧食らしき残骸を眺めていつも泣いていたから...


最後の箇所のみ、春幸達には伝えないまま議論は続く。



「えッあたしアレ食べてたら、人喰いになってたの???てか、この人クピドレスだったの?」


っていうか?


隊長たちってアレを美味しいと思ってたって事???あんなに不味いのに????良かったー。


「それなら、つまりは、その効果が切れるまでとりあえず逃げ続ければ良いって事だね?」


とエクィタスが引き継ぎ。


其れならばと一案を出す。


物資の補充は必要だが、運よく、この船の推進機関は、《Fictumフィクトゥムドライヴ》を転用したプラズマ推進機関だ。


水さえあれば長期的に補給が無くとも航行が可能。


暫くの間はこのまま移動を続けて、水やその他の物資は、L1宙域の有人コロニーではなく、


過去の戦役で無人となった廃棄コロニーを回って時間を稼げばいい。


何も入管の手続きが必要な無防備な腹を晒す必要もない。


凡その方針が決まり、船は進む。


途中、いくつかの宙域へと、船体に蓄えていた。素材、《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)でも《星屑鉄鋼》(スターダストダイト)でもない


通常の工作素材をもって、メンテナンスドックに収まった状態のまま、《セカンドアーヴル》は、左腕を独立させ、且つてのそれを模したかのように


見よう見まねで、拙い工作を始める。


コックピット内部のコンソール上には、


CNC(Computerized Numerical Control)機械と3Dプリンターを組み合わせた、自動実行プログラムを起動


その画面に表示された文字は、《Demi Gifted Unlimited Navigators Defying All Misconceptions》と刻まれ


「天より与えられし半身を以て何者にも限界に制限されぬ、すべての誤解に立ち向かう案内人達」を自称するべく、其の行動を開始する


親父が書き溜めた設計図を元に、試しに機体に備えられた工作機能を稼働。複数の既存素材を組み合わせ、熱とジェネレーター駆動音、太陽光を反射し、


同時に通信波や封入した粒子を定期的にまき散らす《熱反応デコイ》・・・《アンチプレデター・フレア》


何を思って準備していたのか分からぬその品に、設計図の最後に残された一文を読む。


※注意※本来であれば、デコイに誘引したと同時に爆薬を点火し、追手に大打撃を与える事も可能ではあるが、無用な事故を封ずるためこれを禁止する...。


まったくもって親父らしい。その配慮に、クスリと笑い。


分かってるさと、呟き、その日の仕事を終える。


数日の航行を経て、至る宙域に対して、《アンチプレデター・フレア》放流し、追撃の手を誤魔化しながら


その日、廃棄コロニーから、若干の期限切れした物資と水の補給の船外作業を行った。青葉は入れ替わる様に、その席を交代し、


代わりに、エクィタス=ユースティティアは、白磁の騎士の如き、鎧兜に覆われ、T字の面貌に、陽光の様に輝く鬣状の放熱板を掲げ、三方向下に二方向に伸びる金の装飾品の


ツインアンテナの下に一つ目の光が輝く、装甲に、華奢な人体を思わせるようなその躯体と、その背面部には、湾曲した複数の筒状何かを備えたバックパックが覗き


大仰な、その構える正三角形の大楯には、聖杯と交差する剣の絵が掲げられ、盾に収納された。実体剣の柄がその楯より覗く。


更には、上下左右に、バナナ型に湾曲した弾倉を装弾し、多数の弾体を使い分ける奇妙なライフルを構える。その機体は、《ホーリーグレイル》


エクィタス=ユースティティアが、自らの会社の倉庫に眠っていた機体を急遽持ち出し、自らの乗機とし、


偵察任務へと入る。


「今のところ、敵影は無いですね。遅延発動させた《アンチプレデター・フレア》は、どうですか?」問いかけるエクィタスの声に反応して、


オペレーター席に座るユミナリアが、答える


「今のところ無事、遅延発動を確認してます。投棄した5番までの内、1番、2番までが、信号途絶。恐らく破壊されたと思われます。」


「そうですか?敵は、餌に喰いついたみたいですね。このまま6番、7番を緩い軌道で、船の進路上と逆に放出してみましょう。」


《ホーリーグレイル》は、背面、腰部に外付けした二機の《アンチプレデター・フレア》を得物をウェポンラックに懸架しつつ


開いた手を動かして徐々に、船の進路とは大きく離れた宙域の方向へ、放出する。


淡い燐光と、予め指定した軌道のまま、推進機構を噴出しながら、徐々に母艦の航路から離れて行くその姿を見送り、敵の追跡を攪乱し続ける。


一方その頃、船の足跡を辿るべく追撃部隊を編成したポルチーニ=ポポニチンは、


三機目の《アンチプレデター・フレア》をつ掴まされ、激高したままその汚い男尻をぶるぶると震わせ。


もちろん下は履いてない。何故そう確信できるのかは?下を履いてないからである。


そして上着のみ袖を引き千切られた衣服に身を包み、だるだるの上腕二頭筋を振るい。奇妙な上下運動を繰り返し、男尻が震える。


追撃部隊の《マレディクト・レフトガンズ》からの報告に対して、


「ポルチーニ=ポポニチン様、如何いたしましょうか?」


「嫌ッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーポポニチンって言って!!呼び捨てでも良いから、もっと激しく、笑顔で情感と愛情をを込めて!!!」


男尻を突きあげて「逆に読んで貰っても良いのよ?」て呼びかける。


厭...それは無い。


「まぁ、とりあえずそんなもん壊してしまえ。センサーの感知対象を大型の物体のみに絞って、小型の対象は全てカットしてっ!!」と


かっとなって、ぷりぷりと、腕を組みながら、ぷくぅーっと膨らませた臀部を指揮官席に振り下ろす。


「なぁ、同じ事ばかりして、奴さんたちは同じ手に引っかかってくれるのか?」と、操舵する外崎が疑問顔を見せる。


「それに関しては考えがあるよ。」とメンテナンスドックで作業をし続ける春幸が答える。


《セカンドアーヴル》の機構により、実質、弾薬の補充の必要は無くなった。孤立無援のこの状況では助かる。


故に、その生み出した弾薬...ミサイルポットの弾倉と《アンチプレデター・フレア》を更に組み合わせる。


親父は、無差別の対象への攻撃は禁止していたが、それが判別できるとすれば?どうか?


その目印と対象は...その腐臭、通常の宇宙空間で有れば真空の最中では、匂いなど、外部には放出はされないが、


《Fictumフィクトゥムドライヴ》や《リアクティブジェネレーター》が放出するグレフエフスキー粒子は、その透過する粒子によって、


その匂いを、僕らへと伝えてくる。


既存の臭気センサーと組み合わせて、一定の腐臭を匂わすウィンディゴ共だけを対象とする。


接近すれば罠として発動する肉食獣に対抗するべき、牙を放出する。



・・・



・・・




・・・



「《ポポニチン》ッ敵機からの攻撃です。ッ」


「こら様を付けろ!!!!このデコ助ッ!!!!!なんでセンサーが感知出来てない?!ねぇ奸智!!!浣腸しよ!」


(えーさっき呼び捨てで呼べって言ってたじゃん。どっちなんだ?あとそろそろズボン履いてくれないかな?)


突如の襲撃に出撃した。《マレディクト・レフトガンズ》は、目標となる《アンチ・プレデター》を見つけると、


発射されて迫ってくるミサイル群に対して、腕部の砲身より吐き出す、粒子砲の一射を照射し、撃墜させる。


全てのミサイルを吐き出し終えて、無力化されたその残骸を鹵獲すると、一体どういったものかと?


調べるとその構造は至極単純なもので、熱源を発するものの匂いを感知するとその目標に対して、ミサイルを放出するという物であった。


技術者がその構造を解析して判明した事実に


《ポポニチン》は叫ぶ。誰?センサーの対象絞ったの!!!見つけて撃たなきゃ、責任者の艦長に浣腸させるわよッ!!!!!!


いや艦長ってあんただろ?


紛糾する浣腸の行方は要と知れず。事態は膠着していく。


...



...



...



放流する《アンチプレデター・フレア》の数が二桁を超える頃、目くらましの為に大きく迂回路を取りつつ一先ずの目的地としていたL1宙域にあるコロニーオルコメノスへと、到着する。


「恐らくこれで追跡者は、センサーの感度をアンザスさんの男尻の感度ほどに敏感にするしかなくなったはずだ。」


「ねぇ、春君、真面目な顔して変な事言わないで貰える?おねぇさんバナナ吹いちゃったよ。」


「いや俺はまじめに話しているが????」


ふーん...|д゜)コッショリ


その光景を眺める視線に気づかぬまま、艦の責任者を頂くエクィタス=ユースティティアは、


コロニーオルコメノスにもあるエクィタス・ウッドスプライト社の支社に対して、コロニーの入管への便宜を図る様に


働きかける。



「こちら、エクィタス・ウッドスプライト社所属の試験艦サルヴァートル・エクス(超越する救済者)此れより、オルコメノスへの入港を求むエアロックの解放及び、入航の許可をどうぞ。」


「こちらコントロールセンター《管制室》、着艦許可は、エクィタス・ウッドスプライト社より連絡を受けているが、次は早めに頼む。前方を注意の元入航されたし。」



「コントロールセンター《管制室》、クリアランス・デリバリー、[フライト番号OA1257F]クリアランスをリクエスト。」



「[フライト番号OA1257F]、指定ルートの確認了解。オールクリア。入港手順に従い。前進してください。」



「微速前進、準備完了。」



「《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)一番滑走路に入り、微速前進、開始してください。」


大型の駒の如きコロニーオルコメノスのその中心軸に設置されている宇宙港へと接岸を果たし、搭乗者たちは久方ぶりの大気のある大地を踏みしめ、其の解放感を楽しむ。


エクィタスは支社の役員との会談があると、一人船へと残り、メンテナンス担当の領五が、物資の搬入作業を担当、


その他の雑務は、エクィタス・ウッドスプライト社の社員が取り掛かる。


残りの春幸、ユミナリア、外崎、青葉、ハルナ、アイ=フライヤーは、残りの6名は手分けしての久しぶりの余暇と日用品の買い出しに乗り出す。


「なぁ、後の事を二人に任せても良いのかな?」


「まぁあとで交代するし、二人からの買い出しも頼まれてるしな、艦隊戦による、損傷がないから、やる事ないしな、餅は餅屋に任せとこう。」


「で、結局、ここのコロニーってどんな場所なの?」


そうだなぁ?比較的古くから建設されている。バナール球と呼ばれる、宇宙の広い混沌の海の中で休憩する為に作られた球形状の生きる為の休憩所だよ。



その大きさは、直径1.6㎞で、空気に満たされた球状の空間分速は0.64で、回転して、居住区には二万人から三万人の人間が過ごしている。


比較的やや小型の旧態依然とした。工業コロニーで、複数の企業の工場がひしめき、互いにその技術を競い合っている。


それでも、共同歩調が取れているのは、永世中立を謳うこのコロニーの成立由来にある。


Carpe Diemカルペ・ディエムからクラース・テー・イプスム・マレディクトゥス(Crās tē ipsum maledictus)「「明日、お前自身が呪われるだろう」の一文から取った。


マレディクトが幅を利かせるようになっていくと、統廃合を繰り返しながら徐々にその姿を消していく最中に残る。


貴重なそのひと柱に対して...隠れ蓑として、暫しの余暇を過ごすには、十分であろうと、春幸達は羽根を伸ばす。


問題は...通り過ぎる袖が引きちぎられた軍服を纏った数名の集団とすれ違う。


突如、ごくりと唾を飲み込む。ハルナ=山崎に対して、青葉と春幸が訝しむ...


「ドシタノ、ハルユキ」と心配そうにキラキラとした目で見てくる少女に対して、咄嗟にハルナ=山崎は、その身体で少女の姿を隠す。


ん?


やや訝しんだものの、通り過ぎる一団をやり過ごして、ほっと一息を付く。


「どうしたんだ?」


「しっ...奴ら《袖無し》よ。マレディクトの誇る中央部に対して絶対の忠誠心と引き換えに、その着るもの全ての袖を引きちぎる事を誓った。狂人どもで、見つかったら危なかった。」


幸い、アイ=フライヤーの姿は他5名の陰にかくれて、伺い知る事が出来なかった。


「そうなると、アイを連れて買い出しに来るのは、やや、不用心だったか?」


「そうだね。一旦戻ろうか?春君」


只、このままだと、他の問題が出て来る。アイが偶に舐めている飴を取り上げると、酷くむずがる...何か口に合う代替え品が必要だ...


「でも、春君...必要なものが...」


「フード付きのポンチョでも、買って被せて置こう。それまでは、壁を作って視線をきれば...」


とりあえずと、コロニー内部の交通網の一つである。路面電車に飛び乗り、いくつかの駅を経由して、


街の中心地にある。ショッピングモールが存在する一画に移動する。


道々で、観光客用のパンフレットを読み込み、目的地のあたりを付ける。工場区画が主なこのコロニーに観光客が来るのか?


甚だ疑問では有るものの存外、工場の見学に関する需要は一定数存在する。しかも古い時期か存在するモノとあれば、それを見越したであろう。


その流れに乗ってみる。


猫耳の付いた可愛らしい子供用のフード付きポンチョに身を包み、満足げにクルクルと回る少女に、対して


はいはい、可愛い可愛いと、春幸と外崎は、パタパタと手で答える。


へへへとはに噛みながら笑う少女を見て、自分の行動が間違っていなかったなと、笑う。


一瞬に、目の前の少女の姿が、TVの砂嵐の様にブレて、鋭いその深いエメラルドから、酷く擦れた様なその視線を向ける成年の女性の姿を幻視し、


酷く罵倒されたかの様な、耳障りの悪い声が耳朶に響き渡る。


一瞬の白昼夢に...「ハルユキ、イタイナイナイ??」と見上げる少女の視線と交錯する。


「ん?何でもないよ」


何だったんだ今の光景は??


「春君どうしたの?」とユミナリアも春幸の顔を覗き込んでくる。何でもないよと答え、目的の代替え品のお菓子を見繕う。


アイ=フライヤーの口に合うかの試食を繰り返して、チョコや大粒の飴やグミを大量に買い込む。


こりゃ、車で来た方が良かったかもしてないな、と、思い返すが、六人で持てば良いか、女性の買い物の荷物持ちは、男の嗜みだ。と


次々に山盛りになっていく買い物品を春幸と外崎は、抱えながら、えっちらおちら左右に揺れながら歩く


「おい、春幸。これ買いすぎだろ?いくら支払いはエクィタスの会社持ちとは言えよぉぉあと、領五のクソダさTシャツは要らんだろ?!」と、弱気の言葉を吐く。


「そうだねー。暫くこのコロニーには滞在する予定だし、また来ればいいよね。」


と、荷物を持つ男性陣を他所に、女性陣がおいしそうにスイーツ片手に頬張るその様子を眺める。


親父に、昔、話を聞いたことがあるが、これが男の幸せって奴だぞ?と言っていたが意味が全く分からん。


「春君も食べる?」とユミナリアが自分のクレープを春幸に向けると、モグモグと一口貰うねーと被りつく。


「俺も俺もッ!!!!」


「外崎君はだめですー」「えっーずっこいぞ!!!春幸ッ!!!」


一通りの買い物を終えて、過ぎ去りし、六人の道々の途中で、すぐ傍のガラス張りの向こうで、汚い男尻が揺れる。


ミチミチニ詰まった裸体の尻をそのガラス張りの壁面に押し付け、ポルチーニ=ポポニチンは、オレンジジュースをひと啜りしながら吠える。


「全く持って理不尽ッ!!!!目標は見失うし、お舟は、破損するし、柔肌の男尻がストレスで荒れちゃう。わっすの男尻は敏感なのにッ!!!」


「ポポニチン様、船は、修理作業に入っています。目標の姿はロストしたままですが、まだ逃がしたという事...では...」


ん?なんだ、男尻か...


男尻だと??!咄嗟の事で、二度見するが、次の瞬間にはその姿が、消える。


んー?見間違えか?


男尻が、すっと舞い戻り


視線を前に戻して、歩く春幸はふと思い直してみるが、


次の瞬間には、男尻が引っ込む。


気の所為だったかな、と前を向き、ポルチーニ=ポポニチンは、尻を向ける。


直近で繰り広げられる男尻の饗宴は、誰に気付かれる事もなく続き、終わる


「お客様、猥褻物陳列罪です。」


居並ぶ官警が、その卓を囲み、ポルチーニ=ポポニチンはどこかに連れていかれてしまう。


ドナドナと、背後に流れる懐かしき童謡に誘われ動揺する事もなく舞台の幕は落ちる。


...


...


...



暗転する中、何にも気づかず。春幸達は、メンテナンスドックで搬入作業を続ける《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)へと戻る。


そこに支社の社員たちと会談をすませたエクィタス=ユースティティアが向かい入れる。


「春幸君、困ったことになったよ。」と、切り出された言葉は...


どうやら、自分たちが回り道をしている間に、先にマレディクトの追跡部隊が、このコロニーへと入港を果たしてしまっているらしい。


幸い、目的は、自分たちの船の発見ではなく。どうやら船の不調を治す為の緊急処置の為らしく、


こちらが仕掛けた罠の所為で、戦艦を修理する必要がでたのか?はたまた、単なる機械トラブルなのか?


此処で出航して鉢合わせとなれば、戦闘は避けられない


暫くこのまま動かない方が良いと、判断し、暫くの間の停泊を余儀なくされる。



・・・



・・・



・・・


暫くの間、停泊を続け、親父たちとの合流予定日まで待つことになるが、コロニー間を結ぶ、長距離光通信網での連絡を行えば、通信を傍受される可能性がある。


どこか適当な、タイミングで抜け出す必要があるが、それまでは自由時間の間、工作作業を行うものの、


積み上がたそれらを他所に、春幸は、一人気分転換の為に、街へと繰り出す。


仲間たちは、既に眠り、夜の街には、仄かな電灯の明かりが灯り、その姿の陰影を映し出すも、


偽物の夜空を見上げながら、これからの事を考えながら散策をする。


丁度、警察署らしき一角の前を偶々通りがかると、


その尻を蹴り上げられつつ、申し訳程度の布地の毛布に包まる何者かの姿を見つける。


生まれたての小鹿の様に震える脚に、


興味を引かれて、声を掛ける


「おい、あんた一体どうしたんだ?」


ん?


「(ノ・ω・)ノオオオォォォ-副官かぁ?助けにッって、誰やねん!!!!!」


いや誰ってそれはこっちの台詞なんだけど...


あんたなんで粗、裸なんだ?その姿、流行ってるのか?いくらこのコロニー内部の気温と気候が一定に保たれていると言え?寒いだろ?


と帰すと


「おにょれ副官ッわっすの事を見捨てるなんてッ!!!財布盗られたッ!!!!ここはどこ?私はね。ポルチーニ=ポポニチン!!分らないからおうち帰れないッ!!!」


こういう場合は、警察に頼るべきなんだが...


なんで、この人...警察署から叩きだされてるよな。大方、条例違反での罰金で、すかんぴんになったぐらいじゃないかなぁ?


と、



やれやれ、仕方ないと、春幸は、親切心を以て、近くの公園へと連れて行くと共に、自販機で購入した植物由来のバイオ樹脂による容器に入った


コーンスープを二つ取り出すと、片方をほいっとポルチーニ=ポポニチンへと投げ渡す。


其れを器用に男尻に挟んで受け取るも


あちちちぃっ!!!!と尻が焼け尻落とす寸前のところでキャッチする。と


備え付けのベンチに座るとずびずびと、コーンスープを啜る二人は、どちらともなく世間話をする。


「うーん、やはり既製品は、口に合いませぬな、糧食が恋しい。」


「いや、十分これでも旨いよ。そんなに旨いもんかね?」


「はっはっはッその味と言えば天上より与えられし極上の味、一度食べればあの味は忘れられない。失敬、こちらのコーンスープも美味ではあるますな。」


火傷した男尻を摩りながら、語り合う


「で、家はどこら辺にあるんだ?交通費ぐらい貸すよ。」


ほうほうそれは僥倖ではあるが、生憎と副官以外その所在を知るものは居ない。ホントどうしようかね?スンッ


と、その豊満な男尻を萎ませ、みるみる内に萎びていく。それを不憫に思い。


何かを差し出す。


ん?これは?


「いやね、知り合いへのお土産に昼間買ったんだけど、渡して置く。使いなよ。」


「おや?これはベビーパウダー?何に使えば?」


疑問顔の男は、徐に言われたようにその男尻に、粉を拭かせると忽ち肌の張りを取り戻していく。


御坊童(ごぼどう)一体これは?」


「あー知り合いの人が男尻のメンテナンスには、必須アイテムなんだけど、中々このメーカーのベビーパウダー買える場所が少ないから見つけた場合には買うようにしてるんだ?」


「ほほぅ、これでわっすと御坊童(ごぼどう)はお尻合い。と言う事ですな、僥倖僥倖。ついでにおうち迄送っていただいても?」


はぁー甚だやる気はないが行きがかり上、仕方がないか?と


飲み終えた空き容器をゴミ箱へ投げ入れると、日が開けるまでに帰るよ。明け方になっても寝床に居なかったら、家族が心配するからな、と


言葉を区切り、近くのレンタルサイクルを端末による登録と支払いを済ませると


前籠に男尻を載せ重いそのペダルを踏み込みながら、奇妙な男との交流が始まる。



ペダルをひと漕ぎするごとに尻を弾ませ、肢体をチラ見セするおじさんが、男尻を弾ませ道を往く。


されど、わが身は、男尻を夜空のペンとしてぺペンと男尻を音を立てて、歩む。


男は、なんとなく、自らの仕事の不平不満を語り、少年はずっと気になっている事について、語る。


ああそうか、男尻には国境なんてないんだッ!!!!そこにあるのは?


...


...


...


なにこれ?



一頻りの交流の果てに、終わりが見える。漕ぎ出した自転車は、加速する男尻を載せて夜空を滑空し、そして断片的な証言を元に、どうやらこの男の家があるのが


船が停泊してるいくつか存在するメンテナンスドック付近で有る事が判明し、しらみつぶしによる捜索を行い着地する。


...


ここは...


「もーポルチーニ=ポポニチン様、何してたんですか?心配してたんですよ。」


「やぁ薄情者の副官、忠司=ローアングラーめッ!!!」


御坊童(ごぼどう)助かったぞ、我が船に招待しようぞ。」


そこに、描かれていたのはウィンディゴ部隊の隊章である。人食いの獣の姿に、忠司=ローアングラーと呼ばれた男の軍服は、


良く見慣れたそれでその袖は引きちぎられていた。


《袖無し》...みればこの男の衣服も袖も引き千切られている...軍服ではなかった為気付かなかったが???


もうすでに追っては俺たちの背にその指を掛けていた...


無言になる春幸を他所に、陽気に語るポルチーニ=ポポニチンは、お礼の晩餐に誘うが...。



それを食べれば俺もウィンディゴとなる...。いや良い。とそれまでのにこやかな会話とは一変し、


二の句を告げずに自転車を走らせ。急いで母艦の停泊するメンテナンスドックへと、急ぐ、途中、追跡されて居なのか?を確認しながらも、


帰り道、春幸を酷く陰鬱な気持ちにさせた。



自転車を放り投げ、息を切らせて走る春幸は、コロニー内部の自転による疑似的な昇る陽に照らし出されながら、


メンテナンスドッグを駆け上がり、船体のロックコードを入力し、急ぎ、船長室で眠るエクィタス=ユースティティアへ、


インターホン越しに怒号を上げて叩き起こす。



むにゅむにゃ。


「なんだい春幸君、こんな朝っぱらに、まだ6時じゃないかい?とりあえずココアでも飲むかい?」


最近常備し始めたココアを部屋の中にある電熱式のコンロで熱した牛乳にココアパウダーを溶け込ませ、


グルぐつぐつ煮込んでいくと、


「僕はね。春幸君、熱めのココアが好きなんだよ。本当は煮立てちゃいけないんだけどね?常時、サルヴァートル・エクス(超越する救済者)でも飲めるように搬入用の物資に乳牛を入れたよ。」


で、話って何かね?


...


...


...



はぁなるほどね。


とコクリと頷き


ポルチーニ=ポポニチンかぁ、尻は尻と惹きあうという事かな?と意味不明な思考を巡らしながら


「ねぇ、君が月都市を襲撃した《セカンドアーヴル》の搭乗者だとは、ばれて居ないんだよね?」


「嗚呼そうだ。」


「それなら僥倖だよ。僕の情報網だけでは、追撃者の搬入されたドック迄は特定できていなかった。人をやって監視させよう。」


「何分、事が事だからね。暫くは外には出ないで、次善の策として仕込んでいる船体の偽装工作と合わせて、暫くの間やり過ごそう。」


「なぁに見つかりはしないさ。あの戦闘で目撃されているのは、春幸君たちの3機の機体だけだからね。」


「さぁ、君は仮眠すると言い。僕もこれから手配をしてから、二度寝させて貰うよ。」


・・・


・・・


・・・


時間だけが無為に過ぎ去り、あとは、このまま、追跡者の姿をやり過ごし、追手が退去した後に、しれっと出航すれば良かった。


ただそれだけの事であったが、


監視を続けるエクィタス・ウッドスプライト社の社員の報告を待つだけであったが...


艦橋内部で待機してる、エクィタス=ユースティティアの元に何やら、きな臭い報告が上がる。


理由は不明だが、《スウィーフ・ウィドウ》大型の多脚を備えつつその立体的な造形は


広大な広さを誇る甲板と一つの城を思わせる艦橋を備えた空母から、次々とコロニー内部に《ブレイズ=ガルヴ・ディム》と《マレディクト・レフトガンズorライトブレード》らの


機影が次々とコロニー内部へと侵入と共に、騒動を巻き起こし始める。


その報告を受けて、何事かと、緊張が走るも、理由は不明。


このままコロニーに対しての破壊行為を黙認するか?介入するかの二択を迫られる。


エクィタス=ユースティティアは、ウェンディゴ部隊が有する部隊は、大型空母一隻、巡洋艦と駆逐艦がそれぞれ数機、


此処は正面戦闘を避けて、息を潜める方が吉とみる。


だが、春幸は、事の次第を凡そ予想してみる。


恐らく、ウェンディゴ部隊のポルチーニ=ポポニチンが、逮捕された腹いせに、署を襲撃した可能性がある。


中々愉快な性格をしていたが、それでもあいつはウェンディゴだ...


その場合考えられるのは、署の破壊のみにとどまると思うが、このまま放っておいても死人が出る可能性がる。


意を決して《セカンドアーヴル》出るぞッ!!!


そう叫び、エクィタス=ユースティティアに、出航の準備を促す。


「嗚呼、そうかい。君ならそう言うと思ったよ。」


直ちに、積み荷の搬入を済ませ、船体の回頭を行う為のターンテーブルの軌道を管制室に進言。


その暇もなく。出撃するその後姿を眺め、青葉たちが、一体どうしたのか?と駆け込んでくる。


「やれやれ、毎度何時もの事ッてか?貧乏くじを引かされるなぁ。」半笑いの外崎は、船体の固定ロックを解除し、発進準備へと入っていく。


・・・


・・・


・・・


コロニー内部では突如始まった戦闘行為により、ウェンディゴ部隊とコロニーの警備を引き受ける。治安維持用の機体。


《アルディエゴ・リム》その角ばった、四角四面状の機体装甲と、その特徴的なリア・ノーズ、そしてその頭部には、目標の前を見据える為の


幅広の視界を確保する為の大型のバイザー型のメインカメラ。手には、低重力下に於いてコロニーの外壁に被害を出さぬような、


収束率を調整できる短銃身のビームスプレーガンと、治安維持とペインティングされた、実体シールドを備え、銃撃戦が展開される。


その光景を、高速フライトモードで、コロニー内部へと侵入した《セカンドアーヴル》は、見下ろし、事態の収拾へと乗り出す。


三機編隊の《ブレイズ=ガルヴ・ディム》は、その機体背面部と脚部から、球体と光の環の波動を足場にし、急制動を掛けつつ空を渡り、


星々の煌めきを纏い機体を制御しながらその推力を駆使して、視界の端へと消え去る軌道を駆使して警備隊の機体を翻弄する。


コロニー内部の破損を気にして、反撃に消極的な警備隊に対してウェンディゴ部隊の面々は、なんの頓着も見せずにその保持する砲身から


高出力のビーム砲を降り注がせ、常に警備隊の上方の地点を取りながら、攻める様に、あのビーム出力的に、警備隊の機体は...核融合炉の機体だと思われる...二重三重の意味でも一方的すぎる。


そこに急ぎ、高速フライトモードからスタンダードモードへと変形し、左腕部より展開される。


熱分解の炎を楯として、その射線に割って入るは、春幸が駆る《セカンドアーヴル》...


追々、仲間の機体も出撃してくるはずだと、見てまずは、機体各部の武装を確認して、低重力下のコロニー内部でも使用できる装備を思考するる。


ガトリング砲...弾がばらけて、多数を巻き込みかけない。選択より破棄


Pyrolysis Breathパイロリシスブレス...威力が強すぎる...防御のみに使用を限定


結晶自在剣...接近戦では可だが、射出による攻撃は、不可となれば...


旋回と空襲を繰り返す《ブレイズ=ガルヴ・ディム》に対して、流石にH型装備はしてないな。あれはM型装備か?それでも十分殺傷能力と、


一般市民を巻き込む威力があるが...


使う武装は...突撃螺旋戦葬の穂先の電磁加速による射出。


狙いを絞り、繋がれるワイヤーに対して、伸びる射程をワイヤーの伸縮距離を調整しての穂先による砲撃、回遊する様に右へ左へ旋回し続ける。


その終点目掛けて注がれる。


咄嗟に直撃をビームシールドを展開し防御するも、光の膜を発生する発生器の一部を破損し、機体が大きくブレて、天を往く編隊に僅かばかりの動揺が走る。


伸びる穂先を急速巻き取りを開始するも、その間も新たな目標を見つけた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》が牙状の大型のライフルと単銃身の機関銃型のビームライフルを両手に構え。連続射撃を行使。


放たれる攻撃による二次被害を抑えるべく左腕の熱分解の盾を器用に操り、敵機の猛襲を捌き、足を止める《セカンドアーヴル》に対し急降下による襲撃を仕掛けてくる


《ブレイズ=ガルヴ・ディム》に、一発、二発と、立て続けに、左右の位相空間固定ワイヤー一番、二番を射出。


絡まり合うように、接続されたその基部に、引かれその軌道が大きくブレる。


高速移動する機体と地上で、その動きを阻害する二機の機体のパワーバランスは...加速による位置エネルギーを考慮しても尚、地上を往く


《セカンドアーヴル》へと軍配が上がる。突如地面に叩き付けられた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》に対して、


粒子によるビーム兵器を封印したまま。機体の追加装備装甲として増設された実体弾を投射、大きく弧を描きながら降り注ぐは、


粘着性捕縛弾...《アド・アストラ》(Ad Astra)が装備していたものを拝借し、それを暴れまわる暴威の鎮圧に使用する。暴れまわるのはボーイだからさ...



粘着性の弾体は、空中で炸裂すると同時に《ブレイズ=ガルヴ・ディム》M型装備の動きをその場に縫い留めると、アンカーを回収しつつ次の獲物へと目を向ける。


その光景を観察していた男尻がひと房あり、


「あれは?実験体を奪い。月都市を襲撃していた機体だ?!」


「ローアングルッ!!!!写せ。」


そう命じたポルチーニ=ポポニチンの指示通りに艦橋のスクリーンに写されしは、半裸のおじさんのローアングル写真。


接写される男尻に魅せられた何人かが、嘔吐する。阿鼻叫喚が巻き起こる


「違うッ、こっち。」


切り替えられた画像には、奮戦する《セカンドアーヴル》の姿。


むむむむッ一体どんな人物が載っているのか不明だが、追加の機体として《マレディクト・レフトガンズ》らの準備を指示し、


逃がす者かと、自らの母艦をメンテナンスドックより、離岸を指示、外に回り込んで、先回りするぞ。と意気込む。


敵の視線を一身に受けて、目的は果たしたとばかりに、戦場からの離脱を選択。やや優速からその機体速度を抑えて、敵を引き付けたまま、このままコロニー外まで誘導する。


その頃...《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、戦闘を開始した機体を出撃させた咎により、コントロールセンター《管制室》より、


コロニーからの退出を命じられる。


致し方なしだと、全ての手順を省略し、メンテナンスドックからの離岸と、出航を開始。


離れ行く船舶の翳を追い越すのは...



暫しのタイムラグにより、先行する《スウィーフ・ウィドウ》の姿と、交錯する様に肉薄する。


ポルチーニ=ポポニチンは、ええい、邪魔だとばかりに至近距離からの主砲の発射を指示...


そこにコロニー内部から離脱した《セカンドアーヴル》の姿が現れる。


「辞めろッ!!!ポルチーニ=ポポニチンッ!!!!!」


ん?この声は、男尻を愛す人?ッ!!!!!ポポニチンは突然の事で慄く、


まさかあの男尻を救ってくれた人がッ!!!目標とは?????


だが、此処は非情にならねばならん。意を決して告げる


「ポルチーニ=ポポニチンッ恩義には恩義に報いる。如何に私でも、恩人を男尻から撃つような真似はせん。」


「各自、道をあけいッ!!!!!通すのだ。」


副官であるローアングルが男尻を零距離から接写しながら、意義を唱える。


「ポポニチン様それは?!ッ」


「案ずるな、体制を立て直したあと、正々堂々と、どちらの男尻かの雌雄は決する。それまでの事よ。」


...



...



...



突如とする敵艦との接敵に、慄きつつも...攻撃してこない?どうしてだ?


そして物語は、繋がり続け、連鎖する。



それは、唐突に始まった。危機を抜ける為に、闘争から逃走へとその歩調を変えて、ひたすら逃げ続ける


《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)を駆る春幸達は、一か月にも及ぶ逃走の果てに


更なる局面に出会う。



L1宙域を悠々を泳ぎ、襲い掛かるマレディクト要する袖ありの駆る。《ブレイズ=ガルヴ・ディム》と


袖無しが率いる《マレディクト・レフトガンズorライトブレード》の混成部隊による追跡を躱しつづけ、

※2025年11月8日修正

徐々にその包囲網が狭まる中、追い出されたコロニーオルコメノスを離脱する中で、それは始まる。


一度の休息を追い立てられ、飛び出した宙で、春幸達はその存在に出会う。


遠くで母艦を護る僚機たちが、追撃者と相対する中、それは起こる


突如として、接敵し、互いに一定の相対距離を取る。と、


「こちらマレディクト所属ウィンディゴ部隊、追跡班責任者たる。ポルチーニ=ポポニチン雌雄を決するべくまかりこした。」


「男尻の人よ。同じ条件での対戦を希望する。」


打電されたその意図を図り兼ねるも、そのオープンチャンネルで全宙域に対して、放たれたその声を受け、コロニーへの影響を考慮して、互いの砲撃による誤射が届かない


位置、太陽から見て12時方向まで動き、春幸は仲間たちに合図を送る。


180度回頭し、向き合ったままの艦隊と《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、艦載機を放出して、相対すると


戦闘開始を告げる信号弾を打ち上げる。意を決して互いの軍勢はぶつかりあう。



《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)側は、艦載機の《ヴォーパルバニー》、《ホーリーグレイル》、《アド・アストラ》の全てを出撃させる


残る艦橋へは、


操舵を任される玻座真=外崎と、オペレーターのユミナリア=ニドフェアー、火器管制を任された領五=羽住


そして、指揮者が座るべき、椅子には出撃したエクィタス=ユースティティアにかわりに、エメラルドの目をキラキラとさせる、アイ=フライヤーをちょこんと座る。


「青葉さん、エクィタス君は、敵機の迎撃に、ハルナさんは、船体への攻撃の防御をお願いします。」


「「「了解」」」


出撃シークエンスを省略して、排出される機体は、それぞれの目的を達成するべく、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の周囲に展開する。


まずは先陣を斬る。


青葉(あおば)(みのる)が駆る《ヴォーパルバニー》は、輝る刃を映しバスターライフルと兼用の巨鎌を構えると、一心不乱に突撃を敢行、


その姿にすわ正気なのかと、疑いの目を向けるが、


突然の指揮者から攻撃のチャンスを止められるも、数の優位性を誇る複数の艦隊は、艦載機を二十余と保有し、その半数を放出。既に春幸が3機撃墜しているが依然としてその物量は多い。


相対して先陣を任されるは、《ブレイズ=ガルヴ・ディム》A型、B型、C型、H型装備をそれぞれ装備した四機が、突撃し、


一機と四機の機体が何もない宙域のその頂点で交錯する。


目標を捉えるべく。手に持った獲物を構えて、スラスターを全開にした《ヴォーパルバニー》は、単銃身の機関銃型のビームライフルによる制圧射撃を試みる敵機の狙いが


確かに自身に集中する感覚を感じ取りながらその機能をONにする。


その可動域を人体のそれに酷似させた、自由自在に動くその各部が、青葉の操作に合わせて、右往左往と、噴霧するスラスターを脚部より噴出し反復横跳びをしながら、次々と走る


高速機動と共に平行処理で展開される。ダミーバルーンの群れが放出され、


ビームの弾体を回避しての流れ弾は背後で《アド・アストラ》が展開する反射板型の【falcisファルキス】で、船体への防御を担当。


その銃身より伸びるその光り輝く刃が、擦れ違いざまに、その首を刈り取り、返す刀で、足撃を叩き込むと、


銃口を構えて爪を構えたB型装備の機体へ向けると其の装備ごと、放出されるプラズマ弾頭により、音もなく焼き堕とす


Σ(・ω・ノ)ノ!


「ポポニチンッ!!!!!チィぃぃぃぃぃ...ン」


「あっ?なんだあれ?あっという間に一機墜とされたぞ?」



「ポポニチン様ッ!!!!あの機体はッ!!!!わが軍から強奪された。試作機ですッなんであいつらあんなものを所持してるのか???”!」


パシャパシャと写真撮影を続ける副官が、報告する


ムムム、流石我が尻友よ...どのような経緯を以て手に入れたのか分からぬが...。


「データーベース上の機体性能は何であるか?」


オペレーターが画面に映し出されている内容を読み上げる


《シンギュラリタス・テクノロギカ》...技術特異点たるその御神体の機能の一部を解析して作られた機体で、


元になった機体の名前は、《アンレコニング》(Unreckoning)・・・1.裁かれぬ者


その凡その機能は、この世の理を変える。とあります。その技術を転用して...。自機と対象の空間に存在する敵機と、回避動作を反転できるという事らしいです。


「ん?となると、こちらが避けると相手には当たらず。向こうが何も回避行動を執らねば、こちらに攻撃が当たるという事なのか?」


むむむ。と思案して、交錯する先陣の機体に、回避軌道を禁じ、先手必勝で撃ち堕とせと指示を出すも...



その隙を見逃す人間は其処には居なかった。


エクィタス=ユースティティアは、《ホーリーグレイル》が所持する。


上下左右に、バナナ型に湾曲した弾倉を装弾し、多数の弾体を使い分ける奇妙なライフルを構える。と、弾頭の種類を炸裂式徹甲弾へと選択。


吐き出される実体弾は、無重力の中で慣性の法則のまま、命中するまで等速直線運動を永続させる。


その弾体は、動きを止めた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》C型装備の実体シールドへと吸い込まれ、


次々とその弾痕を楯へと刻んでいく。


(・д・)チッ


他の機体もこちらを狙っていると、回避運動を再開したところに、《ヴォーパルバニー》が投射する熔解焼夷弾の弾幕が、


残る三機の回避先へと直撃する。膨大な熱量を誇るその弾頭を、咄嗟に展開した


《ニヴルヘイム(霧の国)》を発動。噴出する霧の冷気が、その炎の熱を、冷却する。


姿を霧に隠した三機は、その姿を隠したまま、大きく楕円軌道を描きながら《ホーリーグレイル》と《ヴォーパルバニー》の二機の死角へと潜り込む。


と、敵の回避運動に合わせて、ビームライフルと実体弾装の飽和攻撃を三機同時に繰り出さんと引き金に手を掛け...


更には自陣の四機編隊の《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の姿が敵陣の厚さを見せる。


エクィタス=ユースティティアは、消えた敵影と迫る敵機に前後を取られるが、


短距離レーザ―通信で、青葉とハルナに対して手短に合図を送る。


「三秒後...。発光する光に合わせてッ...」


前方の敵機との接触の寸前で突然、宙返り気味に機体を180度、反転、何かが炸裂する光が、覆い隠す霧より漏れいでて、


反転する軌道のまま。銃身の弾倉をエネルギーパックへ変更し、その光を頼りに《ホーリーグレイル》放つ、フルオート射撃を引鉄を引く指を短く切り、


眩い光を放つ光撃に晒され、何かに命中すると共に誘爆の華が咲き、それまで姿を隠していた霧が晴れ、同様に同じ軌道を取った《ヴォーパルバニー》の


通常時より遥かに巨大な、プラズマの榴弾が、奇襲を掛ける敵機の機体を巻き込み、炸裂させる。


前から迫る《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の編隊は、機体背面部と脚部から、球体と光の環の波動を足場にし、急制動を掛けつつ空を渡り一気に加速を開始


後ろを向けて、撃ちあうとは...愚か者の所業とばかりに、撃ちかかるが、


背面飛行をし続ける《ヴォーパルバニー》は、後方に向かって脚部実体弾兵装の弾頭を散弾投射を実施、まるで狙いを付けない、其の無意味な行動に対して、せせら笑う《ブレイズ=ガルヴ・ディム》を操る獣たちは、


その機動力を以て回避運動を開始、


無防備な獲物の腹へと、視界外へと消える高速機動を描き、その範囲より離脱する様な動きで散開、ランダム回避の様相を呈す。


星の野に描く、流星の軌道は、本来の星の動きにはない、軌道を描きその隆盛を誇る。


四方より、の射線の交差攻撃、十字砲火(クロスファイア)を叩き込むが。どうした事か狙う《ヴォーパルバニー》は、まるでこちらを見て居るかのように、


こちらと同様の軌道を描き、背面飛行をしたまま《ブレイズ=ガルヴ・ディム》部隊の視界から消え去る。


思い直し、白い未確認機体へ狙いを写すが、その瞬間には既に反射板型の【falcisファルキス】によってその背面は護られ、


こちらの攻撃が通らない。



大きく楕円形の軌道で迂回し、視覚のフレーム外より躍り出てきた、光る死神の鎌を振るい。


《ブレイズ=ガルヴ・ディム》C型装備が振るう実体剣とその発光する太刀筋が、交錯する。


絡まり合う刃の応酬の最中で、その刀身で、長物の砲身を両断せんと、絡め取る様に刃筋を経てて、その刃を上方へと、受け流し、返す刀で


敵機の胴体へと叩き込もうとするも、するりと、空いた左腕により、抜刀された実体剣の刀を抜き払うとその刀身が警棒の特殊機構の様に伸縮し、ロックが掛かると


至近の距離で交錯すると共に、逆進を掛けつつ、勢いをつけて繰り出された蹴り脚の直撃から数瞬遅れて、発射された粘着性捕縛弾の弾頭を炸裂。


直近で炸裂した粘着性の粘体に包まれる二機の挙動が...


その対象を別の地点で、回避運動をしながら、《ホーリーグレイル》と撃ちあいをする


敵機を指定すると、突如として連動するかのように、回避運動が発動。


逆進を掛けて、効果範囲より離脱した《ヴォーパルバニー》は、身動きの取れぬ敵機に対して、大鎌を振り上げると同時に基部を離脱させ


繰り出すは円周状に回転する死神の鎌は、飛燕の瞬き、大きく下方より楕円の軌道を描き、敵機に接近すると、


藻掻き続ける機体に肉薄する。


更には、単銃身となった銃口を向けて、止めの一撃を放つ。細く鋭くとがった粒子の刃は、構えた敵機のに命中すると


その砲口から延びる粒子の一射を防御するも下方より接近する。断頭台の刃に両断され。


二の句を告げぬまま爆散する。


その間にも、瞬く砲撃の応酬にたいしても青葉は、回避運動を自機の対象の回避行動と自らの運動を逆転させるその機構に任せ、


戻ってきた銃身を再度組あげ、更なる砲撃戦へと繰りだす。


多方で、互いに目標の視界から消える様に、高速機動の乱打を繰り返す《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の残存部隊が応酬を重ねる物の


事態は膠着するも、飛燕の速さで戦場を謳歌する。


高速フライトモードになって翔る直線軌道の《セカンドアーヴル》が一撃離脱の襲撃を実行。


目標の視界より消える様に乱れ飛ぶ為に単独飛行を余儀なくされた《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の無防備となった


胴体へと偏差射撃を浴びせかけると、同時に、射出された位相空間固定アンカーが、投射され、


最小限の旋回半径を描き転進、再度の直進と共にガトリング砲の偏差射撃を実行。


前方より襲い掛かる《ホーリーグレイル》の射撃に挟まれ、一方を防いだものの、もう一方の銃撃に晒され、


放たれた弾痕が、大きく機体を抉り、コックピットへと潜り込んだ銃弾が、機体前面の装甲を貫き、視界一杯に写された破壊と共に


貫かれ、鮮血の華を巻き散らし、映る姿は...


その光景に慄きつつも、第一陣のみならず、第二陣も半壊する最中で、


ポルチーニ=ポポニチンと《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の留守を預かる外崎たちは、ハルナに守られつつも、独自の行動に入る。


互いに艦砲射撃を繰り返しながら、一体どういう原理で実行しているのか?分らぬ、謎軌道を魅せるべく進撃する。


射線を確保するべく。旋回戦中に船体各部のスラスターやバーニアーを駆使して、


急激な横滑りを加えて旋回半径を縮め。何を思ったのか、外崎は舵輪を回し、艦隊戦での捻り込み(Snap Roll)を試みる。


すべる様に進む船体が操るは、半ば自動化された、火器管制システム。照準に捉えた、巡洋艦の後方、


五時方向を獲ると、敵船の背面を楯として、敵船団の射線を塞ぐと、一撃離脱と共に爆炎包む、敵船をその砲門で切り開きながら


味方機の動きにより、撃ち方を辞めざる負えない状況へと持ち込まれた空母へと肉薄していく。


狼狽えるポルチーニ=ポポニチンの今も尚、ローアングルで、接写し続ける副官は、万事休すとなった瞬間に


空母の敵機の進路上へと別の艦船の機影が割り込む。


「ポポニチンッあんたの男尻ッ最高だったぞ。」


「艦長ッ再考してくださいッ嫌だ汚尻の代わりに...」


突然の闖入者に、狼狽えることなく、ユミナリアは、敵機の接近を知らせ、それに合わせて外崎は舵を切り、領五は、武装の変更をすぐさま実行。


放たれしは、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の船体中央、前面より稼働する発光する。トングの様な大鋏と船体覆うビームシールの光、大きく迫り出しその咢を開いた牙に、蹂躙されるは、敵の艦船。


互いに、母艦を撃沈させるチャンスを見失い。船の進路は過ぎ去っていく。



通り過ぎる戦船の翳を仰ぎ見るポルチーニ=ポポニチンは、副官へ砲撃の指示を出すも、その姿は、放出されるプラズマ光の姿に


一気に引き離され、過ぎ去っていく。


「春幸ッ!!!こんな奴らに関わっていても時間の無駄だ。逃げるぞ」


左右に大きく左右非対称の船形。


右翼側に、大型リニアカタパルトによる可動式のカタパルトデッキの射出口と砲門に、


さらに左翼側に艦橋らしき陽光放つ建造物に、ソーラパネルを備えた一対の尾翼の


やや小ぶりの双発機を思わせる様な大型艦は、離脱した中央部の機構が、外れたのち、左右の機首が左右から挟み込むように中央部を飲み込みその姿を変え、


逃げの一手を描くかと思われた瞬間に



と、その言とは裏腹に、ハサミ型の基部が、大型の《falcis(ファルキス)》となって離脱すると、その前面より噴出される


スラスターが徐々に旋回軌道を描き、180度回頭、追跡に入った、艦船に向かって、その砲門を開き、


極太の粒子砲の一撃を斉射と共に突撃。


複数の艦船を巻き込みながら、撃墜の華を戦場へ咲かせる。


「なんだあれ?忠司ッあんな戦艦見た事ないぞッ!!!!」


反射的に砲撃を仕掛けるも、光刃の輝ける光を纏うその基部は、その攻撃をまるで意に介さず、縦横無尽に戦場を駆け、


母艦となる船を撃墜していく。


その光景の最中に、いつの間にか戦場を駆けるは、巨大な大鋏状の《falcisファルキス)》以外に、小型の《falcis(ファルキス)》も同時に展開、


光の弧を描き小口径の砲身を操り、その身を焦がす無数の光の檻を形成し、


迎撃に出撃しようと艦載機の発射シークエンスに入る直後に集中砲火を浴びせ、爆裂の火を咲かせ、その行動を先回りするかのように


撃墜していく。


その光景を把握することなく出撃した


《マレディクト・レフトガンズ》、《マレディクト・ライトブレード》で構成された四機編隊の二部隊は、


《マレディクト》と、自らが所属する組織と同じ名前を冠するその機体は、四本の腕を保持しつつ、背面部にテールユニットが備わる。


それは《ハルズ=アルマイン》や《アハト=佐伯》が、且つて駆っていた。


異形の進化を遂げたディエムペルディディの機体を更に洗練し、規格化したモノとなる。


機体半分に分かれて塗装される藍と白の互い違いのブロックが彩を魅せ、その威容は、


且つてコリストス=メギトスが騎乗し、アイジェスらと戦闘を行った機影と同じか、はたまた逆手に、大ぶりの実体剣兵装を構える


もう一つの機体の《マレディクト・ライトブレード》の姿が顕わになる。


その敵陣の左翼側より、其の陣容を切り裂く一筋の剣となって振るわれるは、榴弾の雨、


月の夜には降る事の無かった。その実弾兵装の雨は、春幸が既存のインゴットを使用して、《アド・アストラ》の外部兵装を


模倣し取り付けたその弾頭が炸裂し、熔解焼夷弾の炎の華を夜空に映る花火の如き一瞬の陰影を宙域を染める。


前方に注意を払ったままの《マレディクト・レフトガンズ》、《マレディクト・ライトブレード》の混成部隊は


その機体の装甲に軽い煤の様な汚れを纏わせながら、通り過ぎる一陣の閃光に対して、その目標を変える。


機体後方部のテールユニットが、離脱し、放たれしは、無情の咆哮を上げる。コンパクトな躯体の小型の死。


自由自在に戦場を横断する。思考誘導とAI制御による物理弾体は、疾走し続ける《セカンドアーヴル》が、先ほど放った。


弾体の数倍にも達する。数に達し、逃げ場のないほどのその濃密な弾頭の雨と機体に備わる固定武装。左腕の連結式の銃口による制圧射撃に


晒され、左右の旋回半径を最小限へと抑える位相空間固定アンカーによる空間にその座標を固定してのワイヤー軌道を行い回避と共に


機首を180度反転。追いすがる弾頭の雨をやり過ごすと、目標は、思考誘導弾を操る、本体。


そこに同時に、《ブレイズ=ガルヴ・ディム》の残りを危なげなく処理した。僚機たちが、援護に回り、挟み込むように挟撃を仕掛ける。


飛来するは、実体弾と粒子によるビームとプラズマの応酬。


ポルチーニ=ポポニチンより、現場部隊の指揮を預かる。ラ・パンド=チョトネは、


「我、裸は、ラ・パンド=チョトネ、真理足る見えぬ肌着を纏わぬ者に、憧れる《袖無し》の一翼。子細は問わぬ。いざ尋常にッ勝負!!!!」


引き千切られた袖からぷるぷると震える二の腕を震わせ、操縦桿の動きに合わせて、その腹の贅肉が震える。


其の名乗りに、対して、無言のまま答える春幸は、射かける、ガトリング砲による斉射を、事気もなく、機体各部のスラスターを器用に吹かせ回避


時に隣で、砲撃戦を仕掛ける《マレディクト・レフトガンズ》の砲門とは逆手の右側のその脚部と脚部の底の蹴り脚を合わせる様に、


弾くと、直進しながら一撃離脱を仕掛ける《セカンドアーヴル》の斉射を回避。と共に、実体兵装による投射と流動する光の穂先が、


宙を奔る白と黒のコントラストの空戦機へと注がれ、両断する様に放たれた。大型の粒子の刃...。


《マレディクト・ライトブレード》の右腕より放たれる。


単独で、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を超える出力を誇る光の奔流の大型のビームサーベルとなった刃が、燐光を放ち宙へと繋ぐ天橋立となって告げる。


断頭台の様に宙域をまるで白いキャンパスの上を自らの描く筆の如く振るい。


対峙する機体へ回避行動を強制する。さらに、ラ・パンド=チョトネは、機体のコックピット内部より、


操縦桿の他に赤く染められた。安全カバーを備えたレバーをその封を破る形で、押し込むと、


友軍機に合図を送り、それまで砲撃戦を仕掛けていた《マレディクト・レフトガンズ》の左腕が離脱、同時に《マレディクト・ライトブレード》の左腕も離脱。


戦場の宙域で、何事かと目を瞠る最中、その機構が重なる様に往来を果たすと、そこには、大型の砲門と実体剣を備えた。


異形の機体が、形成される。


変形...いや、武装の交代が終わる前に墜とすとばかりに、集中砲火を仕掛けるが、他の《マレディクト・レフトガンズ》と《マレディクト・ライトブレード》が、


頑強なビームシールドの防御と、侵食する結晶弾の襲撃に反応しての盾の投棄。


避ける動きを反転させる《ヴォーパルバニー》の機体特性を把握し、回避運動を抑えたその対応と、戦場を横断する光の御柱により、その狙いを避けつつ。時間を稼ぐ。


真なるマレディクトと化したその機体は、入れ替えた腕部を前面に押し出し、宙域を焼潰す粒子の応酬を試みるべく、


その軌道が。それまでの緩慢な動きから、一気に機動戦へと移行する。


交換した腕部より放出される粒子を推力偏向ノズルとして活用、急激な減速や方向転換を行う機動を仕掛ける。


左右にブレる旋回軌道を描きながら、一度回避された思考誘導弾の雨を呼び寄せ、


大きく、3時方向へと流れた自機と合流させると、左右の砲門と粒子の刃を振るい、その射線と剣穿を重なる様に挟み込み、まずは狙うは、


高速機動を行い、こちらに反応して追撃を仕掛けてくる...


「黒頭めッ!!!!!墜ちろ。俺は帰って艦長に浣腸して貰うんだッ!!!」



弾速が一気に加速した、思考弾頭の雨を操りながらも翔けるは、夜空の星、繰り出すは、目標を追う螺旋状にロールを繰り返すは、バレルロール(Barrel Roll)を実行


敵機の動きを予測しながら、追い立てるその軌道に追従するは


そこに主武装を譲った。唯のマレディクトと呼ぶべき《マレディクト・レフトガンズ》の馴れの果ての一機は、主武装を喪ったモノの近接戦闘用の発振する爪と、ビームシールドは


健在、更には友軍機との連携の為なのか、空いた腕部よりワイヤーを投射すると、機体同士を繋ぎ、突いては、機体の脚部や腕部を反発して使用する機動により離脱を試み、


こちらの射撃戦での狙いを外し続ける。


見ると、青葉が駆る《ヴォーパルバニー》の姿が視界の端から消えている...。


回避行動の反転を強制するその機能の効果範囲外にいつの間にか抜けた事に気付くも、青葉もエクィタスも敵の襲撃に晒され、


あくまでも足を止めての撃ち合いに終始する。敵機に手を焼く。


春幸は、機体のモードをスタンダードモードへ切り替えると、スラスターで逆進を掛けつつ、伸びる剣穿の一撃を振り返りざまの宙返り気味に回避と共に、


結晶自在剣を展開。伸びる穂先の狙いを澄ませ、一射、二射と、その刀身を電磁加速により撃ちだすも、


ラ・パンド=チョトネは、操る《真なるマレディクト》は、操縦桿を倒し、


左腕及び右腕より放出する。粒子放出機構を可変させ、急激なピッチアップを行うと、機体をその場で直進する事を拒絶し、大きく後方宙返りを魅せると、


目標と対峙する様に、見合い。更なる加速へと入ると共に、思考誘導弾の弾体を目標後方より接近させ、


簡易的な挟撃を仕掛ける。


自らの危機に反応する春幸は、後方より忍び寄る弾体の群れに対して迎撃を選択。


武装スロットの選択を結晶体として各部砲身より射出するは、粒子体を応用しての誘導弾の豪雨。


突撃螺旋戦葬の根本の砲身より放たれしは、結晶体誘導弾の連打を後方に向かい射出、前方より迫る光の斬線を左腕、龍牙連爪より放出される。


Pyrolysis Breath(パイロリシスブレス)の熱分解の炎により撃ち合い、遮るものの無い宇宙空間において、


バレルロール(Barrel Roll)を繰り返すと共に回避軌道を描くと、その視界が、世界が回転する。


簡易的なミサイルバルカン砲と化した砲身が焼け付く迄、吐きつ連ねた斉射は、狙いを付けないまま、


その思考誘導を元に《マレディクト》各機の思考誘導弾と、正面、側面から衝突し、炸裂する粒子のプラズマの光を放ち、その姿を消し去っていく。


そこに、母艦を操舵する玻座真=外崎は、自らの通信を声に乗せるようにユミナリアに頼むと、二の句を告げぬまま


短い言葉で指示をだす。


「敵の巣穴は叩いた。追撃する為の脚が向こうにはない。此処に用はねぇし、逃げるぞッ」


引き気味に、車列を形成する陣容との、足を止めての打ち合いを行っていた青葉とエクィタス=ユースティティアは、


プラズマの砲弾と曳光弾を交えた機関砲の斉射で、撃ち堕とさんと奮戦するが、敵の防御は固く四本の腕から交互に展開される


《マレディクト・レフトガンズ》《マレディクト・ライトブレード》のビームシールドと、連結式の砲身と剣身より放出される。超大な粒子の砲撃と刃に阻まれ攻撃が通らない。


膠着するなかエクィタス=ユースティティアが駆る《ホーリーグレイル》は、構えたライフルの弾倉を交互に切り替え、


回避を封じた敵機の下方より急上昇しながら射撃を繰り返し敵影へと肉薄を開始。


推進機構を最大にして、歩む目標は、《マレディクト・ライトブレード》の一機、こちらの射撃をシールドの防御で防ぎながら、


《ホーリーグレイル》との接近戦を選択。


迎え撃つべく、思考誘導の一斉投射を開始、


ばら撒かれる思考誘導の弾体をエクィタス=ユースティティアは、器用に機体の軸をずらし回避と共に撃ち堕とす。


さらに多重で襲い掛かるそれらに対して、構えるは、正三角形の大楯に聖杯と交差する剣の絵が掲げられし、盾に収納された。実体剣の柄がその楯より覗く。


すると楯を保持する持ち手を中心にその基部が光の粒子を纏いつつ、回転。


回転刃の刃は大きな光を纏う楯となって、左右に振りまわすと降り注ぐ弾体の雨を防ぐ傘とし、追撃に入る。


さらには交錯する回転刃と連結式の剣身より放出される大型の粒子の刃が交錯し、その刃が弾かれる。


一合、二合と切り結びながら、射撃戦から接近戦へと切り替え、構えた銃身を機体脚部のマウントラッチに収めると、


回転する刃を一時停止、盾から実体剣の刀身を引き抜くと共に再度の回転を開始、


宙を翔ける二条の光は、星空のキャンパスを螺旋状に回転しながら、無数の刃を撃ち合い、


火花の如き華を咲かせて逝く。


そこに外崎からの通信が入る。


「敵の巣穴は叩いた。此処に用はねぇ、逃げるぞッ」


なるほどね。外崎君たちはアレを使ったのか...ならば、ここら辺が潮時かなと、推進器に逆進を掛けて、


唯、行きがけの駄賃は貰っていくよと、何を思ったのか楯を投棄


次々と放出される【falcisファルキス】の小型の砲身による射撃が、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)が放つ《falcisファルキス》の襲撃に


襲われ次々と離脱し、《ホーリーグレイル》の刀身が、擦れ違いざまに、一振り、二振りと振るうごとに撃墜されていく。


その間合いの間に、放出された回転刃となった楯は、伸びる剣穿の一撃と交錯し、その勢いを抑えながらも、徐々に光の粒子の粉を巻き散らし、足を止めた


《マレディクト・ライトブレード》に対し、繰り出すは、実体剣を掲げた単純な突撃。


「こちらが動けないとみて、驕ったなッマレディクトにはなぁ、まだ腕があるんだよッ!!!」


名も無きパイロットは、その名乗る事も無く。叫ぶ


離脱したテールユニットを右腕へと接続するとヴェノムレインの輝る毒針の照射により、迎撃に入る。


《ホーリーグレイル》は刀身を構えその照射と交錯する様にその斬線を重ねると、その光が刀身に弾かれ、その照射を切り裂きながら前進。


(・д・)チッ


と残る二つの腕部より発振する光の爪を更に数倍の長さへと伸長させると、伸びる剣穿を放つ大型実体剣を振るい、襲い掛かる回転刃の一撃を弾くと


都合、三つ展開された光の刃を前に、向かい来る《ホーリーグレイル》とその刃を交える。


弾き飛ばされた楯を回収しつつ、機体を操りつつ、敵機との相対距離を縮め目標が繰り出した光刃に対して、《ホーリーグレイル》の刀身が触れ合うと...


その刃が、霧散し粒子の粉を巻き散らしながら、まるで紙を切り裂く様にその基部ごと、叩き切る。


Σ(・ω・ノ)ノ!


「粒子が、反射される?!干渉を阻害されたのか?」


左腕の一部を喪った《マレディクト・ライトブレード》は、右腕の実体剣による迎撃を選択、


伸びる剣穿を放つ大型実体剣を振るい叩き付ける様に振るわれたその刃に推されるかに見えるも、その刃は、


実体剣の刃と触れ合い粒子を乱反射しながら、徐々にその基部を横断していく。


半ばから両断された獲物に驚きつつも。


退避を選択した敵機に対して、再びの回転刃の投擲、防ぐ術を喪った《マレディクト・ライトブレード》は、その躯体を半ばまで


断裂されて、誘爆の蒼い炎を上げながら撃墜される。


「ふー、少し見せすぎたかな?さて、僕も撤退に入らないと、みんなに置いて行かれる。」


春幸ら《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の面々は、敵艦船へ大打撃を加えると一様に撤退戦へと、移行。



その目標は...


機体を収容し、一時休息へと入る中、《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)は、一路、合流地点へと急ぐ、



到着まで数時間



・・・



・・・



・・・



・・・



・・・



・・・



その頃、遅い...追撃者を追うのに1ヶ月など、時間が掛かりすぎているッ!と、


痺れを切らしたハルズ=アイマンは、脚の早い拙速を貴び、僅かばかりの手勢を引きつ入れて、追跡部隊が残した最後の連絡を元に、


目標が向かう先を予測する。


実験体が向かう進路は、追撃部隊が追い込んだ...懐かしき戦場跡。


不味い...どうして先回りされている...と《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)の艦橋内では、


DEFCON 1を発令。再びの戦闘態勢へと移行し、次々と艦載機の出撃を果たす。


メンテナンス担当の領五が告げる。


「みんな、推進剤と弾の補充は作業機械《「リペアマトン》(Repairmaton)が済ませてるけど、機体の整備までは...。気を付けて。」



それは暗闇よりも暗澹とする、装甲に、ホワイトシルバーの縁取りと光輝く深緑の色鮮やかな稜線を描く線が奔る。


その機体は、壊されぬ者...


破顔する表情の如き仮面をかぶったその頭部には、排熱する機構が見え、大きく捻じれた二対の異なる角とツインアンテナ、


機体各部には、盾の如き装甲板。


背面部の二対の副腕(脚部にもなる)の内、上部の副腕が握るは、大型の自立する大型楯の背面武装。


主腕と残る背面下部より伸びる副腕には、二対の凶器、それぞれ二丁の銃身と一対の両刃を構え、その力を振るえる狂喜、喜び獲物を探し、漸く、逃げ場のない宙域へと追い込み


荒ぶる御霊を解放し、《セカンドアーヴル》を有する《サルヴァートル・エクス》(超越する救済者)と対峙する。


そこは、且つての戦役において、コロニー墜としを阻止し、其の残骸が滞留する成層圏の彼方の地点


背後には地球が覗き、墜ちれば燃え尽きるその場所で、


散開する僚機達を他所に、奴が来た...。


「あれは俺が抑えるッ」


宙域に展開された無数の機影に対抗すべく、仲間の僚機も、散開軌道を描き、砲撃戦を仕掛けはじめ


春幸は、どうにか対抗するべく、その穂先を操る。


位相空間固定アンカーを使用しての高速機動により、最小限迄、その回転半径を縮められた《セカンドアーヴル》の描く輝線が、


S字を絡みつくような太極図を描き、目標の背面部の死角へと回り込むと、これ以上のないタイミングで、


迎撃及び強襲へと至る。


その突撃と共に放たれた槍撃の一撃が、今も尚、目標を見失ったかに見えるそのホワイトシルバーと深緑輝く稜線に包まれた機影へと吸い込まれていく、


同型機での攻撃で有れば、先に攻撃を当てた方が勝つ。


先手必勝、その戦術に基づき襲い掛かる。春幸は勝利を確信するも、その獲物から伝わる感触は異質、まるで巨大な岩山を素手で殴ったかのような手応え


により、凄まじいし痺れを感じたまま、先制攻撃が決定的な隙となりその動きを止める。


堪らず、零距離から放たれる電磁加速による射撃を行うと同時に、ガトリング砲の一斉射と共に、追撃を挟むが


その多重攻撃を何事もなく振り返る《アンブレイカブル》(Unbreakable)は、その一撃を繰り出す穂先は、


《アンブレイカブル》(Unbreakable)が上部副腕から繰り出される大型シールドの裏側から覗くその咢に捕まれ、その希望と共に砕かれる。


Σ(・ω・ノ)ノ!


なんだと?!


装甲と武装は恐らく《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)を使用しているはずなのに、その硬度に決定的な差異が産まれる。


徐々に拉げ曲がり、破砕される其れに対し、穂先と柄の連結を強制分離、離脱と共に、濃密な弾幕による防護陣形を形成、


追いすがらる《アンブレイカブル》(Unbreakable)を叩き堕とさんと、紡ぎ続ける。


が、暴風の中を何事もなく突き進む戦車の行進の如き歩みは、背面部ユニットより吹き上がるスラスターの推力に押し出され、背面飛行しながら


相対する《セカンドアーヴル》へと肉薄する。


構えたその背面ユニットの咢、獣の牙を模したその機構が大きくその咢を開くと、そこから延びる砲門から、波涛押し寄せる青白い粘着性の熱線を放射状にバラまき始める、


ワイヤー軌道による回避行動を繰り返す。位相空間固定アンカーの光り輝くワイヤーが、その熱量に炙られ、切断される。


高速機動の最中の猛襲により、操作バランスを崩したまま、推力に振り回されるも、脚部を180度回転させ、クイックモードを選択、


放出される脚部のプラズマ推進機構で無理やり崩れたバランスを戻すも、その機体各部には、トリモチの様に粘りつく炎の粘膜が徐々に


装甲を侵食しながらも、その動きに制限が掛かる。


炎に対しては炎で制するべく、左腕より伸びる龍牙連爪よりPyrolysis Breath(パイロリシスブレス)の熱分解の照射を伸びる光剣の如く振るい、


引きはがす。


謎の武装に晒されながら、同型の金属、同型機のはずなのにその機体の靭性に圧倒的な大差を見せられ、対策はなにも浮かばず


蹂躙する様に弄る様に《セカンドアーヴル》の機体を弄ぶ。


主腕には、主武装となる。長銃身の二丁の銃が踊り、その銃身から放たれるは、単純な炸薬と電磁加速による弾丸を投射、


なんの工夫も、特徴もないその回転弾倉式の銃口から延びる弾丸は、足を止めた《セカンドアーヴル》に襲い掛かるも、


その程度の射撃で有れば...と、一気にコックピット内に備えられたジャイロセンサーで、天地の方向を確認しながら咆哮をあげ、


水平飛行から急上昇し、ループの頂点で背面姿勢から180度ロールを試み、進行方向を逆転させると、追いすがる敵機の後方を


その死角を奪い去るインメルマンターン(Immelmann turn)を試みる。獲ったッ!!!


次の瞬間には副腕が掴む、背面部ユニットがそのスラスターが噴射をしながらも副腕との接合部を180度回転、推進機構の回転と共に《アンブレイカブル》(Unbreakable)の動きも捻転し、回転しながら逆方向へと転身する。


と、その動きを追って穂先を喪った銃身から膨大な熱量と粒子放出を誇る一射が突き刺さらんと発する瞬間に、それまで空戦機動を駆使して引き離したはずの


銃弾が、同様の機動を描き《セカンドアーヴル》の背面から襲い掛かり、数発の弾痕が刻まれ、その軌道がブレる。


更に穿孔する様に抉り続け、弾丸が機体装甲を突き抜け、その衝撃に動揺を禁じ得ず。


「そんな馬鹿な?躱したはずだぞ?!!弾道を曲げたのか?????!」突き抜けた銃弾は、大きく旋回を繰り返し更なる加速を以て襲い掛かってくる。


「いや違うッ?!あれは唯のライフルじゃない?【falcis(ファルキス)】の射出機構だッ!!!放つ弾丸全てがあいつの...」


「はんッ小僧が...その声は、春幸か?その程度の腕で俺に負けると(勝てると)思ってたのかよ。考えがお子様だ。お里が知れるな。」


「お嬢の陰に隠れて何もしてこなかったお前が負ける(勝てる)と思うなッ!!!!」


機体各部の推進器を駆使して、回避運動に取り掛かるも、対する《アンブレイカブル》(Unbreakable)は、上部副腕がその左右の手の間を行ったり来たりするその基部が


縦横無尽360度回転と可変を繰り返し、背面ユニットによる、変態機動は、春幸の駆る機体にも負けず劣らずの


機動と攻撃の波状攻撃を見せ、次々と《セカンドアーヴル》の装甲が徐々に剥がされていく


(・д・)チッ。


空戦機動をしても、追従してくる。その動きに、翻弄されるも、《切り札》のクイックモードの0と1の間に滑り込む軌道の制限時間は5分間。


今のまま使用したとしても、只防戦に回り、蹂躙されるだけに陥る。


何故ならば、敵機の物理的な攻撃は透かせるが、別の対象である炎や、粒子砲に由来する光撃の一撃には、防ぐ術を持たぬ故、


その手札を切る事を躊躇する。


残る手立てはエラディケーションシュラウドモードによる接近戦で、その装甲を切り崩すしかない???


武装もさっきの接触で、突撃螺旋戦葬の穂先は、半壊、更に龍牙連爪の動きも鈍い...続く危機の中で機器の調子をたしかめながら奮戦する。


持てる武装は...突撃螺旋戦葬の根本のビーム発振器とガトリング砲、八基中一基離脱し七基となった位相空間固定アンカー、無傷の結晶自在剣 二基、


動作不良を起こしPyrolysis Breath(パイロリシスブレス)の発動は、あと一回できるかできないかの龍牙連爪一基、機体前腕に仕込まれているビームサーベルに、


プラズマ推進器での蹴撃...だが、


他に使えそうな武装は...外部弾倉である実体弾兵装に、目くらまし程度しか使い道のない、弱出力の粒子光発生装置のフラッシュ機構に、ダミーバールーンとフレアチャフに、スモークによる目くらまし、


操縦桿をスライドしながら、次の一手を捻りだそうと奮戦するも、やはり、あの装甲に対抗できそうなものは、


蒼穿弓アバリスと、クリュセイオン・アオルの二択


他に選択できそうな機構は存在はするがその名は伏せられ、そして選択するモノの反応が返ってこない。どうやらこの手札で切り抜けるしかないらしい。


「クッソっ親父こんなものしかない機体でどうやって勝てば良いんだよッ!!!!俺には無限の中での一なんて見つけられないよ。」


目まぐるしく移り変わる敵と自機の動きをその相対距離を変えながらも、戦闘は続く、


繰り出される牽制射撃はその意味を失い。


背面スラスターユニットと、前腕、脚部にそれぞれ備わった位相空間固定アンカーから射出される。其の糸を辿り、自らが描く意図を探り始める。


何もない虚空の闇にその穂先を波紋を波立てつつ、係留すると、大きくスイングバイによる急加速と方向転換を実行。


そのブレイク(Break)...左右に急旋回する。その旋回軌道の円周半径を最大限に縮め、目標の背後を取り、


突撃螺旋戦葬の穂先を喪った銃身より、迸る粒子の放射を一秒でも長く照射するべく放つが、事も無げも無く、


背面ユニット...楯状のそれに命中すると、粒子は拡散して、霧散する。


(・д・)チッ


噴射する。推進器の穴に直接叩き込めば、損傷を与えられるか?と思ったが、背後の防御は完璧か?回転し可変する背面ユニットのスラスターに


当てるには、至難の業、ならば、直下より滝登りの如く攻めるしかないとばかりに、


急激な下降軌道を描きながら、その狙いを気付かれない様に、牽制射撃を続ける。


やはり他の部位に当てたとして、其の全身は満遍なくその装甲に覆われている。一か八かのこの賭けは、乗るか反るか二つに一つ、


ロー・ヨー・ヨー(Low Yo-Yo)


下降して速度を上げ、重力による加速は得られないものの、その不利を、推進機構の推力でカバーしながら急上昇上昇し敵機を追尾


敵機もこちらの軌道の先回りをして、放射状に炎と銃弾の迎撃行動に入る。


展開される炎に対して、左腕の袖口より、展開する発振器を掴み、伸縮と収縮を繰り返す確変する刃先を振るい燃え上がる炎を切り裂きながら、


肉薄する。


...こちらにも《falcisファルキス》があれば...追い立てるように後方から迫る銃弾型の【falcisファルキス】...を


高速機動による急旋回を繰り返し引き離さんとするが...


その勢いは、徐々に低下していく。機体の旋回機能は、差異は無く、推進機構の限界を超えるには時間制限が...ある早晩このままだと追い付かれる...


宙を泳ぐ軌道の端で、漂う。切断された位相空間アンカーの先端部分を視界の端に見やり、その機構について...一つの考察共に、ある事を思いつく。


前方に、位相空間アンカーの一基を射出すると共に、虚空に対して撃ち込まれたそれに対して、


何を思ったのか、そこを起点とした、空戦機動による旋廻周期を描くのではなく、直進し、そして...


展開されるその壁面に対して、飛び込むように突撃する。


と、その姿は、突然前方より、その姿が消え、そして別の場所へとその機体がいつの間に移動し、周囲を旋回していた銃弾型の【falcisファルキス】が目標を見失う。


潜り過ぎるは、その戦域の中心とはやや外れた切断された位相空間アンカーの先端部分。


通り過ぎると共に、一度切れた輝るワイヤーのラインを結び直すと、再び接続。


更に噴出する脚部推進器に逆進を掛けて、流れる機体の方向転換を実行。回収した位相空間アンカーとは別のアンカーをその基部をワイヤーと結ばないまま投棄。


射出された基部は、上下中央部の三方向に進むと、前方より、収束する炎の砲撃をその位相の壁面で受け止めると、


猛る炎は、壁面を通り過ぎると、位相をズラされ、何処か違う空間へと受け流される。


更に一基の位相空間アンカーを投棄し、その壁面を潜り抜けると、


次の瞬間には、《アンブレイカブル》(Unbreakable)の上方へとその姿が突如現れ、その動きに気付いたその咆哮が回転と共に、炎の咆哮を上げて、撃ち抜かんと欲するが、


気付くとその姿は...魔法の様に掻き消え、背面部のスラスターを吹かせつつ、機体を制止して、消えた機体の姿を探すハルズ=アルマインは、


対物センサーに感アリ。


下方より突如現れた《セカンドアーヴル》から延びる戦場を横断する千畳を覆す程の光の奔流が、《アンブレイカブル》(Unbreakable)の脚部及び背面部のスラスターへと


吸い込まれそして、真空の宙の中で、聞こえぬはずの爆裂が響き渡る。


...


これで...殺ったか?少なくとも敵の脚を削れれば、少なくとも勝ち目が見えるはず...と仰ぎ見るが、


到達した射線より、居場所を確かなものとし、破壊できたであろうその基部より灯を拭きながら再加速、


(・д・)チッ


「クソ、一体何で出来てるんだ?!スラスターの内燃機関にも達するはずだ?この機体に脆い箇所と言う概念は存在しないのかよッ」


悪態を付きながらも、次々と投棄していく位相空間固定アンカーを渡り、その位置と方向を変えながら、どうにか打開点を探るも、


スラスター部は、破壊不能、背後からの奇襲も効果なし、後は、装甲の継ぎ目ぐらいか?


だが、今の接触で、こちらの狙いに気付かれたかもしれない...



急反転するワイヤー軌道と共に、撃ちこんだアンカーを起点とした瞬間移動にも似た空間渡りを駆使して、


死角に入ろうとするが...突如、目標の動きに異変が起こる。


今までのやや直線的な軌道から、左右に機体を急旋回し、こちらの攻撃を避ける動きを魅せ続ける。


「音声認識による命令を受諾しろ。俺は、憎しみに染まる復讐者よりも、弱者に寄り添う当事者でありたい。キーワードは...Life is white(ライフ・イズ・ホワイト)命を謳う無垢であれ...無限の一の中からその鍵を掴み取れッ!」


蒼く光るその眼の中から、何かが産まれる。純白の彩を魅せる機体が、それまで掲げていた。


五つの王冠の内、二つが外れ、隠れていた頭部と稼働する王冠の如き装飾品に覆われた右腕より離脱、備えられた幾何学模様の文様が顕わになる。


象るは宝食の宴、アンロック...真なるその名は、ダグザの大釜...


其れ迄、限りなく0に近かった僚機の武装のインジケータが100%まで上昇し、遠くで、僚機たちが振るう射撃兵装や光の刃がひと際高く伸び行く光の柱とひて振るわれる


その不思議な現象は尽きる事ない無限に食を供する大鍋コイレン・アナンとなる。


消耗した推進剤の残量すら回復するその現象に、不思議な感覚を覚えるも、操縦桿を掴むその手にすら覚えていた焦燥感すら綺麗に消え去っていた。


そして...


操縦桿を操作し、モード選択を起動。


コンソール上の文字列には、エラディケーションシュラウドモードを選択。機体の上半身と下半身の機構を180度回転させ、反転すると、それまで隠れていた異貌が顕わになる。


燃え上がる様に光る左右非対称の、ツインアイは、その大きく輝く相貌が反転し、変形時に機首となるユニットカバーは降下したまま、覗く光をその隙間から魅せ、


それまでフライトユニットと思われていたブースタは、其の羽を刃煌めくアームカバーへと変じさせると、左右の腕部へと収まり、安宅締め反転した機体の脚部は、そのまま高速機動とプラズマによる脚撃を見る基部のまま稼働、


画面に移り込む出力を示すインジケーターは、測定不能を指し占めし、その威容を晒すべく稼働する


重破砕塵刹双皇刃クリュセイオン・アオル。


発光する光が、急激に膨れ上がり、一対の羽のそれぞれに、漆黒の王冠が、装填される。燐光を巻き散らしながらその暴風雨が、


全てを洗い流さんと振るわれる。


乱暴に繰り出された右腕が、脚部より噴出される推進機構に後押しされ、回避軌道を見せる《アンブレイカブル》(Unbreakable)に、これならば通用するのかと、


一抹の希望を胸に、その手を振るう


機体半面部のスラスターユニットを駆使して、動き回るその動きにやや、近接特化のその機動が、追従する事なく動作が遅れる。


となれば、と、


展開する、複数の位相空間固定アンカーを投射すると、中継地点と活用し、其の展開、鏡面を潜り抜け、


乱れ飛ぶ《アンブレイカブル》(Unbreakable)の動きを先回りし、咄嗟に踏み込んだその脚が、その彼我の距離を10から0へと瞬時変じさせ

その剛腕を振ってその穂先を、その機体へと叩き付ける。



繰り出されたその護拳する刃が、敵機の背面部スラスターユニットが稼働し、大楯と交わるように振るわれ


触れた端から、その機体の装甲を塵へと帰し、焼却する、熱量を感じさせない冷たく熱い、その衝動に身を炙られるはずの波動が広がるも...


接触した瞬間に急激な熱量の上昇と共に膨れ上がる爆裂の炎が、巻き起こり、そして二つの機体の動きをその衝撃で弾き飛ばし、衝撃を受けてコックピット内のエアバックが発動


急激な重力加速度のGを受けるも機体に備えられた重力制御機能により、鼻血も出さずにその衝撃を無効化すると、目標物は...何事も無く上昇し続け、


《セカンドアーヴル》の上方を執るべく。


稼働する出力のまま伸びあがる軌道を魅せる



追従するべく高速機動へと入ろうとした瞬間、腕部の不調が、走り、コックピット内部で、ERRORの警告音が鳴り響き


整合不整合を知らせるメッセージが流れる。


(・д・)チッ


「さっきの損傷かッ!!!」


突如変形が解除され、機体は反転...スタンダードモードへと切り替わると、


くそっ、此処で、こいつを抑えられないと...今も遠くで戦い続ける仲間たちが...


春幸は意を決し、まだ不調ではない脚部の稼働を確かめつつ



更には...自らを囮にした


機体の不調を装う空戦機動を試みる。争いの火種、濛々と燃え、戦闘は続く


・・・



・・・



・・・


乱れ飛ぶ閃光、申し訳程度に、反撃する実体弾兵装の応酬の果てに、


その基部を、振るう刃と銃身を重ね、可変する刀身が、構えた銃口の上下に組み合わせると、一対の牙となった砲口より、


電磁加速と流動する稲光を放ちながら投射される。閃光の一閃は、中空に漂う、滞留物...デブリの破片を焼き散らし、


その蒙昧たるその対象に対して降り注ぐ一撃が、緋の明星の如き星の輝きを照らし出し《セカンドアーヴル》の装甲の一部を焼きながらひと際大きな滞留物を貫き溶断する。


(・д・)チッ


《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)製の装甲を焼くのかよ?!その光は、エーリヴァーガル戦役の最終戦で見た時の光に似ていた。


実際は《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)の弾丸を分解し重粒子として質量のある組成を付与して放出、触れた対象を崩壊させる粒子砲の一種による砲撃だが、

 

其の事に気付かぬ春幸は唯々その戦力差に慄く。


止めとばかりに振るわれるその刃に対して...


打開策は無く。されるがままに、なけなしの気力を以て、振るう刃で対抗するが、こちらの攻撃は一切通らず、


万事休すとなる。


その刃が...コックピットに到達する。瞬間に...。



...



...



...


通常のビームライフルに使用される6発分の粒子量を一射へと込めて撃ちだす。その銃口から伸びる。


射線に纏わりつく様に展開された余剰エネルギーと共に、その光撃が、直撃する。


発散する粒子の勢いに、振りかぶったそのマニュピレーターの機動が、僅かにズレその狙いが外れる。



「誰だッ!!!!」


「はっん?その動き、その機体...報告に受けてない(受けた)。アイン・アングリフと《ブレイズ=ガルヴ・ディム》を墜とした旧式機か?」


(武装は...旧式に似合わない。高出力兵装?何かの無理をして成立してるな?発射と共に、後方宙返りを繰り返してる。あれで砲の反動を殺しているのか?)



見慣れた光がその間に割って入る。



直撃した閃光を、粒子の火の粉を巻き散らしながら、弾く《アンブレイカブル》(Unbreakable)に対して、



微力な何の力も持たない弱者で有っても闘い続ける事は可能だと希望の陽が灯る。



「またせたな...。」



よし、ちゃんと合流地点に遅滞なく到着してるな...


「春幸ッ、合図と共に離脱しろ。後は俺がやるッ」


「親父無理だ。逃げてくれ。」


ふふんっと鼻を鳴らして、告げる言葉は、


「大丈夫だ。みんな来てくれてる。行けッ!!!」


満身創痍の《セカンドアーヴル》の機影が、転進し戦場から消えゆく姿を見送り、


続く連続射撃で


《アンブレイカブル》(Unbreakable)の機体へと寸分たがわず精密射撃による連打を叩き込みつつ、その宙域にその機体を釘付けすると共に


後方宙返り。


伸びる粘着性の炎をばら撒く咢が周囲へと展開されるもその隙間を縫うかのように《ヴェリタス》は、器用に避けていく。


「アイジェスッ逃げるなッ!!!(逃げろ!!!!)」


その声に答える間もなく、アイジェスは呟く。


「予測確定。照準、射線ともに友軍機無し、撃てッ!」



...



《Fictumフィクトゥムドライヴ》そう表示された動力炉が、繰り出す膨大な出力を暴れまわる勢いのまま、



かつて月面での行使において、射線を阻むクレーターの縁をその隆起する壁面ごと撃ち抜き問答無用で、穿ち続け、


対象を覆う絶対の熱量は、且つて月面の地形の裾野を、分解し、ガラス状に変質させる事もなく、只の粒子の塵へ変える。


その一撃は灰を灰として、塵は塵に、その絶命の声を、炉にくべてひたすらその命を奪い去る。崩れ落ちる大型のデブリの破片は宙に滞留することなく消滅、


消えゆく無数の命と、輝に包まれし、断末魔の声を上げる者どもに慈悲はなく、唯々、降り注ぐ光の奔流をもってその対象をこの世から消し去る事にのみ注力する。


投射される粒子が、何を物語っているのかは?未だ不明のまま、破壊の極光は遠く離れた地球の大気圏を掠めながらその光を放つ


その光景は、その行為が起こした無残さとはかけ離れ、酷く美しい閃光の煌きを放ち、


追撃の波状攻撃が光のうねりと奔流となって襲い掛かり、その機体を覆い隠すと、明滅するかのように貫く。


春幸は、振り返ると懐かしいその機影を目撃する


「あれは...と、R.I.Pに、《ヴィキティ》だ!!!《アンザス》さん?!!」


R.I.Pの誇る月都市を焼き尽くした其の咆哮が、完全なるその威力を再現してはいないもののその一撃は、後方で待機していた


袖無しの一団の一部を焼ながら、漆黒の暗闇に光の陰影を刻みながら通り過ぎた後には、



無傷の《アンブレイカブル》(Unbreakable)が残る。


「アイジェス殿、全然効いてないでござるよッ」


「アンザス、子供たちのフォローを頼むッ!!!こいつは俺一人で殺るッ!!!!」


その光景を目撃した誰もが、この一撃でも無傷なのかよ?!と絶望の声を上げるも、ただ一人、構えるリボルバー型のライフルへと


ラピッドローダーを使用しての、高速リロードを行う


その男の目には、何ら絶望の彩は見えずに、只ひたすら前だけを見る。


「はっ驚かせやがって、そんな豆鉄砲は俺の愛機には通じないんだよ。!!!!」


「お前が8年前に俺に勝てたのは、ただ、偶々俺が載っていた乗騎より、優れた機体に乗ってただけだ。ただ、それだけの理由だ。」


「その証明に、お前は一度もシュミレーターで俺に勝てていない。そのオンボロでは刃が立たない事を証明しないでやる(してやる)」


「嗚呼、そうか、言いたいことはそれだけなのか?」



其処に放たれし、希望の光は確かに存在した。


その刻を待って、事態の時系列は再び動き出す。



既に投射済みの銃弾型の【falcisファルキス】の軌道を《セカンドアーヴル》から、


向かってくる矮小なる存在、旧式の《ヴェリタス》に注がれ、その脚は、増加装甲や増設されたブースターで機動力をあげては居るものの


その推力差は、優に、三倍以上か其れ以上の差異がある。


こちらが到達する間に、向こうは射程外の彼方へと退避する事すら可能な、その絶対的な不利を覆すべく、


アイジェスは...。数手、先の行動を予測し、そして反応する。


目まぐるしく機体の周囲を公転する天体の如く、振り回し、視界が縦横無尽に奔り、


旧式の機体ではその動き全てを捉えることが出来ない。



その弄る様に繰り出された銃弾型の【falcisファルキス】の包囲が完了すると同時に、転進、


射かける銃口を構えてのオールレンジ攻撃を展開。



前後左右から、襲い掛かる。破壊不能の《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)のその武装の雨を


通常のビームシールドでの防御すら放棄して、最小限のバーニアーの噴出で、回避と共に前進、


投射される弾丸を発射される射線上から回避は既に終え、左右から挟み込むように放たれた


右方からの銃弾型の【falcisファルキス】をスラスターの逆心を掛けて、一射を回避、二射目の一撃が、回避不能のタイミングで襲い掛かり


更に前方から重粒子の砲門が狙い澄ませたかのように一射される。


光に包まれるその瞬間に、あわや直撃かに見えた瞬間に、機体の増槽の一部を投棄と共に、振り往く、ビーム発振器...の光刃を差し込み、


燃料への誘爆を誘いつつその衝撃で、加速と共に回避、


引き離すも、追従してくる銃弾型の【falcisファルキス】の一撃を僅かに展開したビームシールドの側面、集中したビーム刃の一部で、撫でるように、その一撃を


するりと真っ向から受けるのではなく受け流し気味にその進行方向をずらして、回避。


数合あわせるだけで、攻撃と回避するために行使したその余波により、既にボロボロとなって向かってくる。


《ヴェリタス》とアイジェスに対して、ハルズ=アルマインは、絶対的な有利を確信したまま、止めの一撃を放つべくその勝負に受けて立つ構え、



その動きの時点で既に勝負は決まっていた。



何故ならば...


既に、十数発と撃ち込まれたその銃弾型のを撃ち放つ銃口をリロードを繰り返しながらも放ち続け、その宙域では既に回避する術を持ちえない。


万事休すとなるその刻、鬨の声を上げるべく、投げつけられるは、



左腕のビーム発振器...ビームサーベルのその基部を《アンブレイカブル》(Unbreakable)へとむかってその光の刃...


ビームサーベルを展開したまま縦回転を加えて投擲すると、構えたリボルバー型のライフルを構えると、


威力を絞ったビームライフルの一撃をその刀身に向かって一射、


一撃を加えると同時に、交差する光の曲線と直線が交わった瞬間に、ビームとビームの干渉により、


粒子状の散弾を巻き散らしながら、回転する刃が回転し、《アンブレイカブル》(Unbreakable)を駆るハルズ=アルマインへと襲い掛かるが、


そのような小細工をしてどうなるものか?と、寧ろ止めを刺すべく絶好な好機とみて、獲物の照準を慎重に取りながら、


迎え撃つ。その刃の軌道をビームライフルの一撃で、捻じ曲げそして、狙い撃つその小細工に対し、せせら嗤う。


それでも散弾状のビームが【falcisファルキス】の動きを僅かながらも推し留め、わずかなスキを機体の各部を致命傷ではないものの抉られ、貫かれるも、


その手は既に、届いていた。


回転する光の刃は、奇妙な軌道を描きながらも《アンブレイカブル》(Unbreakable)の装甲へ僅かながらもその刃を届かせる


弾切れとなったビームライフルを投棄して更に反対の手からびビームサーベルを展開、推進力を全開にして繰り出す刃同士を


重ねるように切り結ぶと同時に、開いた手で、柄を掴んで


交差状に切り結ぶ。


機体の関節部分、如何に強靭と言えど、一番弱いその部分に対して交差する光の刃が、その基部に噛み合ったまま、


その前腕部を弾け飛ばし、その手より、衝撃で、構えていた両刃の獲物が弾き飛ばされる。


更にスラスターの逆進と、バーニアーの推進を限界まで点火と加速を繰り返しその機体を回転、上を責めれば、


下へと流れ、下へと流れれば、右へと左へと、連続推進を繰り返し、脚部を稼働し噴出する推進器により、機体のコックピット内部では、前後左右に暴れ馬の様に急激なGが掛かり、視界はブレるも狙いは外さずバーニアーとスラスターのオーバーヒートを指し示すERROR表示が踊る。


それでも其の方向と機体が流れる方向を制御しながらも


その狙いは変わり続け、交互に回転しながら目標の後方へと方向転換を繰り返し、機体の脚部を《アンブレイカブル》(Unbreakable)の四つ手の副腕へ叩き込むとその基部より銃身が零れ落ちる。


と、


同時に手に持つビームサーベルの基部を目標のコックピットが存在する胴体上部の装甲の隙間へと突き入れる。粒子が乱反射し、その運命を贖うかの様に、陰影を刻む影が、翳る様に瞬く、


それでもその刃を刻み続ける二つの光の柱が、発振器の柄の投棄と共に


何もない空間へとその手を伸ばす。


度重なる破損と、銃弾の雨を潜り抜けその脅威にさらされた《ヴェリタス》は、マニュピレーターの五本指を僅かに欠けさせ動作不良を起こしかねない状況下で、


伸びるその手はその獲物を確かにつかむ。


(嗚呼、そうだろうさ?確かにお前と俺の機体には埋めがたい差がある。だが...)


「バンデラス...矛盾て言葉は知っているか?」


なにも、武器は自分だけが持っている物だけ使わなければならないなんて縛りはない、最強の盾と鉾を持つのならば、


相手の持つ鉾を奪って、ぶつければいい。


その至極簡単な問いの答えを実践し、浮いた得物を流れる軌道を予測して掴むと、破損するその刃を振るい。


先の一撃で重ねた装甲の隙間へとその刃を突き入れ、そして掴んだ銃身を構え、零距離のその超近接で、その引鉄へとその指を掛ける。


「お前の敗因は、俺を舐めて...。真っ向勝負を受けた時点で終わってるんだよ。バンデラス。」


「嗚呼そうだな、お前の負けだよ(勝だよ)。お嬢さんッ!!!!」


「お前の敗因はその絶望的なまでの甘さだッ」


ハルズ=アルマインは残る主腕が握る銃口を遥か彼方の何もない空間へと向けると、


その動きに止めとばかりに照準を合わせるアイジェスの操縦桿の手が一瞬躊躇し、半瞬も開かずの刹那にその意図を感じ取り


構えた銃口を、《アンブレイカブル》(Unbreakable)の銃口へと狙いを変えて、銃撃するも、


そのわずかなタイムラグを読み回転し可変する背面ユニットのスラスターに稼働させ、機体の制動を駆けると、


機体を回転させ、回避。


発射した反動で破損する《ヴェリタス》のマニュピレーターから零れた大型リボルバー型の銃把を掴むと、


残る両刃の獲物を掴む腕部を、撃ち抜き、攻撃の手段を刈り取っていく。


その光景をやや、遠い間合いで目撃していた春幸は...。


なんで?親父ッ動きが止まったんだ??まさかアイツがさっき狙っていたの俺か??!?


「はっは、言ったとおりだろ、お前と俺の実力は歴然としている。何よりお前は甘い。どこぞの誰とも知らぬガキと家族ごっこをしている


お前は、甘すぎるんだよ。その甘さでお前は負けるんだッ」


返す刀で、奪われた両刃の獲物を掴むと...


逃げ道を塞ぐべく、衝撃で、ブレ流れる機体を制御できないまま、


その無防備な両の脚部すらその刃の前には、まるで紙細工の様に無惨にも散る。



・・・



・・・



・・・



親父死ぬなぁーッ!!!


大丈夫だ...切り札は、俺の手元にいつも来る。


・・・


何かを絶叫するも、その声は破損した危機に遮られ、その声は誰にも届かない...


破損したディスプレイ、割れたヘルメットのシールド、赤い危険を知らせるメッセージとエラーを吐き出し続ける。


何が大丈夫なんだよ。今行くッ。


其のままで仲間を護れ


はっん。これで実力差は決定したな。俺とお前とじゃ雲泥の差なんだよ。死ね


五体満足ではないその機体に向かって、黒く輝く弾体の群れが襲い掛かり、


そして放たれた閃光が、大破したヴェリタスが、光爆に包まれ、消え去る。


糞ッ


「良くもやってくれたなッ!!!(感服したぞ!)」

※2025年11月11日加筆修正

握る操縦桿に力を込めて、無謀な特攻に身を窶そうとする中で、その自分以外は塵芥だとでもいうその声が耳朶へと叩く。


「はっんひよっこめ、俺とお前との機体性能の差も運転技術の差も一目瞭然だ(難解だ)。」

※2025年11月11日加筆修正

「お前の親父は、所詮、三級運転技師者。太陽たる俺の光を受けて翳る影法師に過ぎない。影は翳らしく歴史の陰に埋もれて消え去れッ(陽の元に出てこい。)」

※2025年11月11日加筆修正

「親父と同じ場所に送ってやる(置き去りにしてやる)。」

※2025年11月11日加筆修正

(ははっ死んだやったぞッ)





誰にも届かないはずだった声は、いつかのどこかで吐いたくだらない。唄の一小節、それでもその一音は、


何も音を通さない真空の耳朶を叩き、震わせ告げる


「エンコードッ!!!!!!!!!!!!!!!」


「一葉灼伏…???%」「その想い。二度と亡くさない様に、啼け《アースガルズ》(神々の庭)!!!!」


黒く淀んだその想いと共に、開かれた重力場を抜けて何かが現れる。


つづく。


毎月、月末最終日に2話更新予定。


誤字脱字、誤りがあったら修正するので、教えてください。

※ちなみに今回は三つほど、昔のオマージュネタが練り込まれてます。可成り古いから同年代以下の人は分からんと思うけど、一応TV画面の向こうで大丈夫とは言われてる。のは確認した。ホンマに大丈夫なんか?

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