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無法者の詩  作者: 唯の屍
14/20

第十四話「星の行方へ」

※イメージソング

Chocolate_Cosmos/ALICes(黒崎真音×神田沙也加)

https://youtu.be/Zru571mLvB8?si=DElQkr4i_k4c0101


私の永遠/ALICes(黒崎真音×神田沙也加) Music Video

https://youtu.be/zyh4r6tYOgY?si=3Cz0eq4ni5ByRJcU


Reflect / CONA

https://youtu.be/ZGeqQCDWhKs?si=iobD6es1PHg2U4Gg


May'n

キミシニタモウコトナカレ

https://youtu.be/JBcNYaw8NOo?si=HtDUtKMauP9g0MPh


※恐らく歌われてる歌詞の内容の対象が私と君に対して唄っていただいてると思われる。

あと好きな歌を教えてといわれているので、明記させて頂くます。

しかして、不吉を指し示す十三番目の季節は流れ、存在しないはずの道化師が、その目論見を顕わにする。


哀しげに涙する。その行為に、意味がなかったとしても、


永遠は、確かにあった。


嗚呼、「君死に給うことなかれ」


そんな言葉を吐き出して、君を抱きしめる夢を見る。


その理由(わけ)を忘れていたとしても、その温もりは、今もこの手に残っている。


確かにこの手に残る、感触を何度も反芻し、消える君の背中を追い続ける。


どうか...嗚呼、どうか君よ。君よ。君よ。


散らないで、其の哀しみを、俺の手で払うから。


夏の日差しには、日陰を作り、雨が降れば傘をそっと差しだす。そして寒い冬が訪れたのなら、この手で温めたい。


青空は、今にも泣き出しそうな雨模様のまま、俺は君を傷つけるすべてを赦さない。


譬え、この身、この魂を、悪魔に喰わそうとも...


何度この道を違え様とも、他の何を犠牲にしたとしても、必ず、必ず...君を...


その言葉との決別の時が刻一刻と近づいてくる。


それでも、


...


...


...


どうか私を信じて...私を見つけて、この手を取って...


...


...


...


何度繰り返そうが避けられない悲劇なら、其のすべてを壊して、作り変える。


そう決意する間もなく、場面は暗転し、然様ならを告げるその声すら聞き届けられない、無情に、


僅かに触れることすらできに、この距離と、時間の隔絶に涙する。


...


...


...


嘆くには早く、希望を持つには遅く、諦めるには絶望と愛が足りない。


それでも俺は逝く。


彼女の待つその場所へと、歩を進める。そこに待つ結果を未だ知らず。


ただ、その隣へ、傍へと続く歩むべき道を探し続けている。


今も、昔も、そしてこれからもそれは続く、譬え君の隣を歩けずとも、


その幸せと、生きる喜びに振るいえていたい。痛い、痛い、居たい。君の傍に居たいよ。


鈍痛にも似た寂しさを抱き、あの時確かに繋いだ手を想い出す。


優しくあの時...眠る俺を撫でた手を掴むことが出来ていれば、どれほど...


唯一つ俺が願うことは。君の傍でただ眠りたい。


譬えそれが一瞬の夢の幻だとしても、その是非の答えを持つ者は、此処には居ない。


ざわつく心から、漏れる冷笑を噛み殺し、その牙を研ぎ、貴女を探し続ける。


どうか貴女は、消えないで、譬え俺の世界が終わったとしても、愛しい人、君だけは生き続けて、


彼女を連れて逝かないで...





「なんだ。貴様は、私を責めるのか?ハハッ何を言っている?お前も私を殺しただろ?」


「まさか、自分だけは奪われない、殺されないとでも思っていたか?」


「何度経験しようともビームサーベルにこの身を焼かれる経験は、慣れないな。」





その事実に、揺らぐ、


【この事実は、貴様が身を以て知らねばならぬこと...故に...】





微笑む笑顔に、割れた硝子の様に亀裂が走る。





宇宙の暗闇の中で、それまで共に行動していた青葉機を《R.I.P》を旗艦とする。艦隊へと帰還させ、


自らはただ、一人で、突き進む。


俺は唯の殺戮者だ。その引鉄を引いた理由(わけ)は、俺だけが知っていればいい。この罪はこの背中に背負うのみだ。



青葉は、ダメだ。これ以上一緒に引き込めば、辛い事実に苛まれるだけだ、これは俺の問題だ。


別れるその時に、強い抗議を受けるも。雷霆の一撃を加え、その動きをブラックアウトさせ、


突如、暗がりに叩き込まれ、抗議の声を上げるも、アイジェスはその抗議を黙殺する。


目標は、L4宙域の《エーリヴァーガル》へ、落ちた動力炉の出力を推して、加速する。


その巨大な躯体は、移動中にもその目標として捉えられ、軽い散発状に発展する。


幾度目かの襲撃を乗り越えたあと、直線航路の外れから、救難信号を受け取る。救助を優先するのか?追跡を優先するかで?やや逡巡したものの


後ろ髪を引かれる思いで進路を変えて向かった先に、襲撃を受ける。


(・д・)チッ


救難信号は、フェイクか?痛いタイムロスに歯噛みし、投射する《falcisファルキス》を操作。敵が、その動きに反応し、回避行動に入る。


瞬くスラスターの光が、宙にジグザグの軌道を描く。


背後に回した《ナインテイル》の象眼部から放たれる粒子の雨を展開したビームシールドを盾にして、防ぎつつ迫る。


見慣れぬ機体の新手の敵に対し、前後を挟み込むように追従し、腕部砲門より、粒子砲の一撃を浴びせかけその防御と回避を同時に殺しきる。


そして射線を切るために上昇する動きを追尾し、振りきようとするその機影に向かい。


予め想定していた逃げ場へと、大きく湾曲する軌道を描き待ち構えた《ナインテイル》が内蔵しているレールガンの弾体を打ち下ろす。


音のない真空の夜に、一筋の閃光が通り過ぎる。


機体が縦に裂ける様に分解し、宙に火花をまき散らし、墜ちる。


天翔ける一匹の群狼が駆る。周囲に展開される。思考砲台の九尾の尾の攻撃を、器用に避けながら迫る。


二足歩行の狼を模したであろう機体がその脚部から、球体と光の環の波動を足場にし、急制動を掛けつつ空を渡り、


星々の煌めきを纏い、その両手に備えられたやや大型の爪牙で掴みかかろうと、機体を制御しながら肉薄してくる。


交差する腕部と装甲が、その熱量と衝撃を吸収する装甲にわずかながらの亀裂を走らせる。


更には、姿勢制御用のバーニアー吹かせ、逆進を効かせて、機体を回転しつつの一撃離脱を敢行。


その機体に刻まれるは、恐らく撃墜数を示すであろう。バツ印と飢鹿のエンブレム、その数は有に三十は超え、


通称ウインディゴ部隊の人狩りが、敵味方識別に反応しない。異種の機体を発見し、襲い掛かってくる。


その動きは、今まで相対してきた敵とは、微妙に感じ取る感覚が違う。香る匂いは、死体が腐ったかのような腐敗臭を放ち、


接近するたびに背筋に凍れる程の殺意を感じる。


舌なめずりしながら襲い掛かる。大型の角と手足に伸びる爪牙で蹴撃を叩き込みながら襲撃を繰り返す。


その目標に照準を合わせて、撃ち落とさんと、腕部の砲門を向けるが、向けた先には、残像を残しながら、


機体背面部と脚部に展開される推進機構を操り、何もない宙の真空を縦横無尽に駆け抜け続ける。


鈍足の巨体ではその動きを追いきれず、徐々に装甲の一部を切り裂かれながら、その動きを阻害され、


そして...


(・д・)チッ


固いな...色が変えれているということは、...されたのか?鹵獲されたとはいえ、確か、《ヨートゥーン》の装甲は、熱量と衝撃を吸収するオービットマインと素材が同じはずだった。


ならば、こちらは、愛機のブレイズ=ガルヴを駆り、攻防を繰り返す。《ヴォルク・チェロヴェク》は、


標準装備として備え付けられた加水分解を応用した切断機構、《フロス・アミッテレ》を使用して、


巨人の攻撃を搔い潜り、徐々にその装甲を引きはがしにかかる。


凍水滴る刃を振るい。腐食する薬液により金属表面を浮き立たせ、斬撃と共に亀裂を刻ませる。


それでも、周囲に漂う《ナインテイル》は、目標を探して、その象眼から放射される多数のレーザーを照射し、そして、また一機、追いすがる機影に向かって投げかける。命中するその瞬間に、大きく軌道を変えて、機体を傾け


その照射を、勝者足りえるのは、いずれなのかと問いかけ、その姿が視界の端からフェードアウトしていく。


ドライヴ出力115%を維持しつつ、外部動力を併せ持ち、その余力は、十分保持している。が、巨体から繰り出す攻撃は、


相手の機敏な動きに翻弄され、狙いが付けられないまま攻撃に晒される。


動きが速いのであれば相手の動きを予測して偏差射撃による射撃と、避けた先へ待ち構える様に展開する砲撃の数々で、


射角を調整し撃ち落とさんと、その予測を欲する。


幾度目かの試みによって、群れから離れた一機を仕留め、脚部を破損した敵機がバランスを崩して、手足を喪い虚空をクルクルと泳ぐ。


その機影に向かって取りついた白刃を回せる機体は...


その口腔の基部を顕わにすると、その牙を僚機のコックピットに突き刺すと、啜るように何かを補充し始める。


虚空に響くくぐもった。何かの断末魔が、響くこともなく、思考に流れてくる


そして《同族食い》忌まわしきその行為を行った。機体に描かれたエンブレムの意味を知る。


恐らくL4宙域へと進出してくる調査隊や偵察部隊の数々を待ち構え、狩場へと誘導し、捕える目的で展開されているのであろう。


その部隊は、舞台をL4の直線航路からやや外れた小惑星帯にほど近い宙域へと移り変わっていく


どこかで見かけたようなその姿に嫌悪感を抱きつつ、一案を試みる。思考による誘導により、敵の動きを読み切る。


下方向から、押し迫る様に展開された《ナインテイル》に追い立てられ、さらに逃げ惑うも、進行方向より、待ち構えていた基部が、


電磁加速を伴った一射を放つ、音速を凌駕する速さで飛来する弾体は、《ブレイズ=ガルヴ》が、推力機構を操り緊急回避に移るものの


動きを捉えきれずに掠めたかに思われた。その時に、機体前面を掠めた衝撃により大きくフレームが裂け、さらに象眼より放たれる光の放射を浴びせかけられ、


手足を焼け焦げ溶断される。


去り行く、落第者から、視線を変えようとした瞬間、何か酷い違和感を感じる。


破損した腕部が、突如、巻き戻るかの様に逆回転で、その基部が、破損部を残したまま、その姿が、もとに戻り、付近に漂う。


《ナインテイル》に向かい。その爪牙を射出する、


狙いは僅かに逸れる。急ぎ、思考誘導により、回避を試みるも獣人を模したその機体は、破損した機体を自動修復しながら、


殴りかかってくる。



(。´・ω・)ん?


【なんだ?新型か???だがこの機能は、この時代の機体には存在しないはず。】


【さては...誰か何かしたな????】


発振する砲門から光刃を翻し、鍔迫り合いを試みるも、その刃と爪牙が、互いに保持する質量の差により、強く弾かれ宙を舞う。


(・д・)チッ


《ナインテイル》への攻撃を逸らすために、《ウェールス・アルブス》(verus albus)機体背面部の


湾曲した大型の放熱フィンが展開、乱れ飛び、追従するその基部より降り注ぐ粒子の雨を回避し、徐々に崩れた機体を再形成しながら、舞い踊る


さらに、砲門各部を開き、追従する放熱板と敵機を挟むように動かし、正面の視界と背面の死角で挟み込み、


その斉射と共に去り行くその姿を射抜かんと欲する。されど、その先に待ち構えていたのは、亀裂を孕みつつも、回避軌道を描き、


去り行く機影を目で追い、照準を合わせ、再度の拡散砲撃の雨、雨、雨。


複数の機体がそれぞれの軌道を描き、目標を惑わしつつ、擦れ違いざまに応酬を加えてくる


(狙いが付け難い...。狙いは恐らく悪くないが、巨体を誇る《ウェールス・アルブス》(verus albus)では、その動きが捉えにくい...。)


だがッ



其処だッとばかりにノールックで腕部を折りたたみ射撃する一射が、敵機の軌道を先読みして、放射状に放たれたその前腕部の砲門に晒され、


敵機の前腕部、水滴り、そして...評決を下すように氷結する刃と触れ、


その基部をまざまざと、光の粒子に晒し、冷却機構がオーバーヒートすると


その装甲部が爆ぜ、そして粉砕、溶断される。


ジュゥジュゥと赤熱化するその基部に対して、修復機能が発動するが、焼かれて離脱した


腕部は、その長さが中ほどまで消え去り、その長さを保持できずにいた。


なるほど、物理攻撃での破壊には修復機能が働くが、溶断され消失すればその修復機能は


働かない。ならば、その狙いを変える。


放射状に天高く宙へと延びる無情の柱の群れが、思考誘導による実体弾において形成される


その攻撃に合わせて、狙いを付ける。


放射する光の粒子が、面制圧で避ける《ブレイズ=ガルヴ》に対して、試みるが


またもや回避を続け、そして、降り注ぐ実体弾の群れを、光弾を避けつつ、炸裂する


実体弾は、巻き戻る修復機能と、爪牙の守りによって、防ぎきる。が、


その脚を止めた、瞬間を狙い定める。



その基部へと繋がる連結を外し、いつの間にか、離脱した頭部が元の機体へと変形しながら、手掌浮かぶ、長大な得物を構え、


一射する光を放ち、その一撃が掠め、離脱を試みる瞬間に、命中させる。


溶断する一撃により、肩口を大きく抉り、さらに上下に並ぶ《falcisファルキス》が


爆裂する花火の中、射線を通して、次弾、三射と、その機体に、帰りえぬ。


傷を刻み込む。


脚を止めてただの的となった残骸にとどめの大口径の拡散粒子の射撃が突き刺さる


続けざまに二機を巻き込み爆散。


(。´・ω・)ん?


あれは?分離しても動かせるのか???


疑問を浮かべつつも多数の思考砲台が、敵機の死角と防御の隙間を狙い、


互いにフレンドリーファイアーを警戒し、周囲を公転周期で、回りながら、


手元のライフルの基部を呼び出し構える。


構えた、照準器を覗き込み、狙いを付けた最後の機体の姿に違和感を感じる...


可笑しい、さっきまで腕の数も脚部の数も、そして何より頭部の数が増えている???


噴射する推進器をでたらめに稼働し、大きく弧を描き、向かい来るその機影は、


異形そのもの、相対するアイジェスは、孤独な戦闘において、


仲間の姿を幻視するが、想い出すのは男尻ばかり...。


ぶんぶんと頭を左右に振って、意を決し、叫ぶ。


「エンコード、《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》」音声認識による識別により、使用者権限を確認。


コックピット内部では、身体の各部を飛び出したアームや、拘束具により、パイロットの手足を固定、円筒状に包み込むのと同時に、


機体の外部のバイザーや各種部位内蔵されるロックボルトが解放。長方形のバイザーが上に上がり、それまで隠れていたはずのツインアイが露出。


鬼の角の様に伸びバイザーから突き出されたそのアンテナの一部が枝葉となって発光しながら、その威容を魅せる。


そして、覗く、線型は鋭く無骨で且つシャープな主顔おもがおの景観から分解解放を繰り返すその面差しは、まるで牙剥く鬼の口腔を覗かせ、最後に後頭部から、


一本のブレードアンテナが迫り出して、三本ツノとなり、其れまで、マニュピレーターと思われていた。


肩、腕、脚、背面にそれぞれ設置されている。隠し腕の内、腕部と肩部のマニュピレータと、バックパックの背面全体に刻まれる、


其れまで隠れいてたツインアイの鬼の形相の面が顕れ、


そして、2本の腕と脚部には基部に隠れた鬼が踊り、腕部のマニュピレータが可変したアームカバーと、独立機構のレッグーカバーとなるその機構にも鬼の面が顕われる。


都合、八つの顔と、六本の腕、偽装されていてそれらが開放され、異形へと変形・変身、いや、変態する。


クルリと反射的に、一度放した浮遊し、追従する銃把 (じゅうは)を掴み取り、その銃口を目標物へと、差し向け


一射する。狙いは外れず命中したかに思えた瞬間に、大きく機体が流動し、直撃を避けながら、放物線を描きながら肉薄する腕部が、


《デスペラード》へと迫る。数機分の腕部の質量を纏い、伸びる爪牙を、空いた左腕で《Pyrolysis(パイロリシス) Hands(ハンズ)》を即時展開、


振るえるように産まれる。氷雪の刃と虹色の炎が瞬き、触れ、そして、その衝撃で、機体がぶれ、互いにコックピット内で、エアバックが飛び出し、衝撃を吸収。


再び視界に入った機体に向かい。右腕の獲物を構えるも、次の瞬間には、視界の端まで移動し、死角からの再びの急襲。


伸びる射出された水液をまき散らしながら迫る刃を、その副腕の孔から延びる光剣を以て打ち払う。


瞬時に噴射する勢いのまま、飛びついてきた機体を前腕部で受け止め、切り払うが次の瞬間にはその動きが掻き消える。


目まぐるしく変わる視界に頼った動きではその動作は捉えきれず、凡その目算を付けた偏差射撃を五月雨式で、矢と雨として降らせる。それを、機体に余分に取り込まれた脚部を犠牲にしての一撃離脱。


避けた先に待ち構えるように狙いを付ける思考誘導機たちまで意識が回らず。交差上に交わる頂点から降り注ぐ、白刃の如く振り下ろされる乱れ撃ちを回避しながらも、


一発、二発と、その狙いが直撃し、機体の質量を盾に、逃亡を図る。


この目標物...恐らく、獣を模したであろうその機体を撃ち落とさんと乱れ撃つ。


まるで後ろに目がある様に、視界外からの急襲に対応しやがる。久しぶりの大きな獲物だが


こいつは狩られるだけの獲物じゃない。俺たち獣を狩るハンターだッ。《ヴォルク・チェロヴェク》は、苦々しくも狩場からの離脱を選択する。


追いすがる敵は...。あの巨体を引き連れているのであれば...付近の小惑星帯の影に隠れての逃避行を選択。


逃げる《ブレイズ=ガルヴ》を追いかけ、小惑星帯を潜り抜けようとするが、追従する《ウェールス・アルブス》(verus albus)の足が止まる。


その光景を眺めつつ、《ヴォルク・チェロヴェク》は離脱する。


あれは、嫌な光を放つ機体だ...恐らく《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共の本拠地に向かうのであろう。


お互い喰いあってくれれば、こちらとしても動きやすい。態々あいつらに知らせてやる義理もないしな。


と、尻に帆を掛けて、逃げの一手を打つ。


目標の宙域から反対方向へと逃げていくその姿を眺め...ハッとして本来の目的を思い出す。


戦闘が目的じゃない目的は彼女に追いつく事にある。移動時間が伸びてはしまったが、本来の航路へと戻り、懐かしい仄かに香る匂いを頼りに後を追っていく。


この分だとアスミの目的地が敵の本拠地である《エーリヴァーガル》だと凡その目算を付ける


それでも、さらに向かう先でも襲撃を受けたものの、ええぃ、邪魔だとばかりに、一応酬で、撃墜していくが、彼女との距離が次第に離れていく。


飴細工のように、只の虚空に浮かぶ染みと化した、残骸を掻き分け宙の海原へと再び漕ぎ出していく。


この目的の宙域まで...。数十万km、順調に行ったとしても...半日から数日は掛かる。


一方其の去り行く背中を見送った。《R.I.P》の面々は紛糾する。


月の勢力圏へと、捕えられた月面都市の住人を救けにきたものの何故か、一番の救出論者であったその男が、寄りにもよって


友軍機の砲身を使い。悉く其のすべてを撃ち抜いてしまった。


その事実に、動揺が走り、どうにか生存者を探すべく、緊急出動するカルペディエムを現場に派遣する。


朽ち墜ちた都市部の残骸を隈なく捜索したが、生存者は確認できず。


其のすべてが無残に宇宙の塵へと帰っていた。しかもご丁寧に、ノーマルスーツや脱出艇で逃げ出したであろう人間に対しても、


逃れえぬ様に、その銃撃の巻き添えとして、惨殺していた。その場で回収できたのは、身体の一部らしき引き裂かれたノーマルスーツの残骸だけだった。


唯一、の生存者はアイジェスが差し出す様にこちらに寄こしてきた。輸送機一機のみが、残る。


生存者は...これだけなのか???何故、あの男は、一般市民に対してその引鉄を引いた?その結果と行動に、巻き込まれた《R.I.P》の面々は苦い表情を浮かべる。


そして、何故...旗艦である《R.I.P》に我々が知らされていない機能が隠されていたのか?その光景を見ていたコーディー=スルーは、ナンネン=ハイマンよりの


要請で、建設当時のデータの洗い出しを行う。眺めるデータを表示する画面には...施工事業者を下っていくと孫請け参加事業者の欄にドヴェルグ社所属の文字を確認する...


その情報の精査を行う合間に、生存者の保護を謡い。一先ず、《エンゼルフィッシュ》の格納庫へと保護した。船体から、


続々と生存者の姿が現れる。


「お父さんッ!!!!」とてとてと、子供たちがその姿を確認し、走り出し、そしてコケる。


盛大に突っ伏した子供は、垂れる鼻血を拭いながら、駆け出す。


「良かった。死んだかと思った。あれ?母さんは???」


その再会に喜ぶも、苦虫を噛んだ様に、頬を震わせ声を上げる。


「母さんは...」


(。´・ω・)ん?


おや、春幸殿は家族と再会できたみたいですな。しかし、お父さん少し老けすぎでは、


あれでは若いおじいちゃんでは?まぁ家族の形にいは色々ありますれば、


問題は、アイジェス氏の行動が、何も告げずに、去ったその行為が、半ば錯乱状態の青葉に何があったのか聞いても、


わからないとの答えが返ってくるのみ、一体何があったでござる?


不穏な匂いと、状況に、何もわからず、一先ず、崩れ去った。月都市の復興の準備に入るが、


不毛な大地と化した、その光景を、復旧するには、本部からの援助が不可欠。


長距離通信による報告後、次の陣営の到着を待つことになる。


自分たちがL5宙域から離れる間際に、増産したカルペディエムの大軍勢を敵本拠地へと送り込む作戦が始まろうとしていた。


だが、それには圧倒的なパイロット不足の問題が発生するが...問題を解決する手段を


上級技官と特別顧問がアイデアを出し合い、そしてその実現を試みる。


その準備が厳かに始まる最中にアイジェス及び、月勢力圏の人々の救出の為、出向を果たすが。到着後、


我々が行ったことと言えば、行動不能となった機体の回収と崩壊した月都市の復旧作業だった。


アンザスは、アイジェスの後と追うことをイゴールへ具申するが、目の前の問題の大きさにその手が回らず。


作業は遅々として進まぬ、状況は、《エーリヴァーガル》、《月面》そして、カルペディエムの本体が駐留する《ミーミル》へと分かれる。


ややその結果に落胆するアンザスは、子供たちの再会のシーンに再び目を向けて、目頭を熱くして、夢中になっていると


偶々傍にあったヒーターに尻を当て、アチッっと尻を摩る。


断続的に聞こえるその声は、肝心のその名を聴き逃す。


「母さんは、何かやることがあるらしく、此処には居ない。とても重要な仕事をする必要あると言っていた。」


「なんで?!止めなかったの!!!!お父さん。」


おや、春幸殿どうしたでござる。何か肝心の箇所を聞き逃したようなきもするでござるが?


玻座真=外崎は、両親の姿を見つけると、泣きそうになる声を殺し、浮かぶ涙を拭うと、肩を震わせ、ゆっくりと余裕を見せる足取りで近づいていく。


嬉しそうな、表情のまま待ち構える両親に対して、


「んっ、久しぶり。ほら、俺は大丈夫だったよ。」と、必死に強がり、声を震わせ虚勢を張る。


淡白なその物言いに、うんうんと頷き、「...さんに、無事なのは聞いてたから、でも...良かった」


嬉しそうに、その小さな体を抱きしめ、それを迷惑そうに、抵抗するも、その手はしっかりと、コアラの様に手足で飛び付き母の体にしがみついていた。


その最中にも、幼女二人が、輸送船から降りてくる人々の間を、探し回り、両親の姿を探す。


左右を見回し、目的の姿を見つけると、ぴょんと、低重力下の月面で、やや年若い青年の顔に、抱き着くと、ひしひしとしがみつき、


夏場の蝉の如く、しゃくりあげる様に啼き始める。


「ユミナリア...ちゃうぞ、人違いや。それオトンやない。オトンはこっちやで?」


「ユミちゃん、それあたしのパッパ...」スゥンッ!っと泣きそうになっていた涙が引っ込む。


「これどういう状況????」


遠くで、耐えきれず、泣き叫ぶ親子の抱擁と、コアラと蝉の声がアンサンブルを奏でながら、アンザスは、焼けた尻をそっと


嘆く青葉の顔の横に添えて、元気づけるが、その効果は、見られなかった。


「感動の再会中にすまないが??他の人たちの行方は??何か知らないのか??」イゴールは、隊を代表して語り掛ける、


「すいません。我々も外の事情は把握してなくて...唯一自由に動けた彼女は、遣ることがあると言って...」


そうか…他の生存者の行方は分からないのか?イゴールは、天を仰ぎ、「アイジェス...」とつぶやく声が、尻がぺちぺちとなる音にかき消され、


誰の耳にも届かなかった。


一先ず、生還者の帰還を喜ぶものの、この宙域の安全を確保する為に、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)への警戒網を敷く。


その任務に、不満そうに参加する、ハルズ=アルマインは、獲物を探して目を皿の様に開き、警戒する。


お嬢め、獲物どころか駐留するべき場所ごと、粉砕しやがって、これじゃゆっくり()めやしない。


前回の戦闘からしばらく経つ、しかも容量を増加したとはいえ、派手に使用もしている。


散発的な争いで、獲物を補充はしているが、何もかも足りなく、()む量を制限し、


一種の飢餓状態に近い。できれば味の良い、《アマダツ》《狗頭鰻》(ゴウトウマン)あたりが


居ればいいんだが...定期的に摂取している俺でさえこの飢餓感を抱えてる。


そういえば宙で活動していた間に、請われて分けてやったシベリア訛りのあいつはどうしてるだろうか?


第五方面軍に出向していたが、古巣の第四方面軍に出戻ったはずだが、まぁどうでもいい事だな。と気持ちを切り替え、哨戒任務に集中する。


今のところ第四部隊と第七部隊がそれぞれ別の宙域に展開して、状況を見ているが、獲物はあっちには行くなよと、自分たちが向かうのと反対方向の九時方向へと向かった僚機の方向を一瞬振り返り、前を向くと。ほぼ同時期に、それぞれの場所で視界の端に映る何かを発見し、目的の対象の影を確認する


映像を最大望遠として、コックピット内部に映し出すと、それはやや大型の輸送機らしき船体とその回収を試みている数機の機影


一部は、見たことがあるが、その中央でこちらを睨め付ける機影は


登録しているデータベース上に該当なし...新型か?だが何故この宙域に?


まぁ良い。狩るべきモノがあればいいぞと襲い掛かる。


ディエムペルディディ、異形の姿はそのままに、大きく突き出たその背面腰部ユニットと胴体部分のジェネレーターが並列励起を起こし、


改修型のディエムを駆る僚機を置き去りにして、突撃。


まずはジェネレーターを撃ち抜き爆発させる事を避けるために、砲撃戦を封じ、久々の獲物に食いつくように、


回避軌道を描きながら肉薄する。


《アマダツ》の特徴的な上下に別れた機体全面の砲身から放たれる大質量の粒子の光を、機体各部とシールドに張り付けたオービットマインを駆使して、


器用に散らしながら、進み。


《狗頭鰻》(ゴウトウマン)も蛇身にもにた長大な巨体をくねらせ、


機体の各部に空けられた丸い穴。砲口から多方面に対して光の放射を浴びせかけ、反撃に映るも、射かけたその放射を


回避する。確かあいつは。味は良いが、機体全面を覆う粘膜流体防御により、こちらの通常射撃と近接武器が通らない、


これまでの経験上、厄介な相手程味がいい。舌なめずりをして


ハルズ=アルマインは、吠える。


ややせりあがった基部義手を操縦桿代わりに差し込み、引き倒すと、差し込んだ義足と連動するフットぺダルを踏み込み、一つ試してみる。そのジェネレーターと直結される胴体部の砲門のモードを切り替え、


放たれる粒子を、電荷する粒子から、氷結する結晶体を放出させる。


吐きかけるように展開される粒子の荒波にさらされると、機体上にメンブラーナ・ニグラ《黒膜》の流体が、忽ちその姿を変え、


稼働する事すら困難な状況に晒される。ひと吹きしかけて、通り過ぎた機影を残して反転攻勢を仕掛け、


後続の僚機たちは、無防備状態となった。《アマダツ》と《狗頭鰻》(ゴウトウマン)に襲い掛かり、発振す光剣を重ねて、伸びる刃を以て


解体作業へと取り掛かる。


敵の陣形を切り崩し、輸送機らしき機影に取りついた。データ不明の機体...クピドレス側では、《訛獣かじゅう》(ウアショウ)と名付けられた。


其の頭部に兎の耳の様なセンサーを備え、その機体色は、黒と濃い茶色の縞模様の虎柄を魅せ、


それまで視認していたその機影が、何かが擦り合わせるかのように震える音と共に、目標を捉えていたセンサー類が、ブラックアウト。


目標を見失い。


(・д・)チッっと盲目の状況に置かれても、敵識別信号は、いまだ健在、目視できぬ状況下においても、ワイヤー接続による実体弾の投射を開始。


狙い澄ませた神経接続による。射撃攻撃が、目標へと直撃する


「隊長ッ!!!!何するんですか??!」「喰っフレンドリーファイアだと?一体?」「声が聞こえてないのか?」


多重の戦場の華を咲かせるその攻撃をオービットを張り付けたシールドで防ぎながら僚機たちが右往左往する。


その隙に、《訛獣かじゅう》(ウアショウ)は、目標の輸送機の移送を開始する。


これには、■■■■■が乗っている。薪共に渡すわけには行かない...そこで勝手に殺しあって居ろ。


「この《訛獣かじゅう》(ウアショウ)には、電子兵装に防御機構を備えて居る機体のセンサー類を正常に整えることが出来る。」


「これには、何もない。不要だから薪共に渡してやる...そこで勝手に乳繰りあって居ろ。」


聞こえぬ声を発しつつ、徐々にその戦場から離れて行く。



反対方向で展開していたディエムペルディディを駆るアハト=佐伯らも、同様に、回収作業を行っていた別の部隊と遭遇し、その機体のジャミング機構に苦しめられていた...


互いに、友軍機同士で撃ちあいに発展し、宙域を踊りながらも、砲撃戦と斬りあいを経て、徐々に僚機たちの刃が、自機に迫り、反撃の一撃によって


機体が崩れ行くように、其の陣容が崩壊し始める。


だが、アハト=佐伯は、敵の動きに違和感を感じる。この動き、この太刀筋、其の全てがシュミレーションで、幾度も斬りあってた。僚機に似ている...



嘗て、同じ様な経験をしたことがある。





それは忌々しい記憶、殺戮の七日間においての一幕



コックピット内のモニターには、敵機の姿が、いつのまにか、僚機であるディエムの姿に書き換わっているが...


この機体から発せられる気配は、他のどの僚機達とも違うプレッシャーを感じる。





そこにライヒデ―ル=アルマと大石の援護射撃が降り注ぐ、其之連携を嫌がる様を掌中を向けると、二人の狙いが、乱れ始める。ディエムが二機?!!


どっちがアハト機だ?「隊長、敵味方識別コードは?!」「でかした。こっちが偽物だッ!!!!」





だが今回は...敵味方識別コードに疑念が過る。目下の視界は粗ゼロで、アハト=佐伯は、打開策を撃つ。



何を思ったのか、コックピットの開閉部を解放し、ノーマルスーツを着込んでいる物の、機体の外へと生身の身体を晒す暴挙を敢行。


目視による確認により、今ままで撃ちあって居た対象が僚機であることを確認。


その状況を、高みの見物を決め込み離脱していくその機影を睨み。迫る僚機に対して、脚部による一撃を加え、距離を開け、


スラスターと姿勢制御のバーニアを点火、生身を晒した状態のまま、疾く奔る。


擦れ違いざまに実体剣の機構を解放し伸びる刃の一撃が...。






その頃、ハルズ=アルマインは、なかなか撃墜できない敵機の動きに、焦りを見せている。その動きがまるで訓練と実践を経た古強者らしき動きと、


中々崩せない防御の硬さで、これは、《傾城魚》(チンチェンユー)か?だがさっきまで確認したかぎりは、その機体は存在してなかった。


アハトと違いその殊に気付くこともないその男は、決断する


「悉ことごとくく凍えて喰らえ《ニヴルヘイム(霧の国)》」看えなければ、見えないままでいい。ここで使うのは業腹だが、


その宙域に、霧と氷雪の嵐が舞い踊る。


その勢いに巻き込まれた僚機たちは次々と、楯を構えたまま、氷像と化し、そして震える様に、その男尻を霜焼で、焼き始め、絶叫を上げる。


これは...。隊長の...《ニヴルヘイム(霧の国)》????


敵の反応は見えないものの、動きを止めた敵味方識別コードを、確認。動かない奴はもういい。離脱していこうとする敵機に対して、


その脚部を展開、ビームクローとなった片方の脚部を、構え、推進する基部を点火しながら、その刃を目算で叩き込む。


まるで友軍機を顧みないその攻撃が、突き刺さり、喘ぐように、突き立てられた極部が、その機体の胴体を切り裂いていく。


衝撃で、コックピット内部でエアバックが展開、視界を塞がれ、操縦桿から手が離れると。それまでのジャミングが途絶え、



暗くブラックアウトしたコックピット内部にその映像が飛び込んでくる。



振るう前腕部の爪で、敵機の頭部を掴み取り、邪魔なその耳を切り裂き、そのジャミング機能に止めを刺し、頭部の開口部より、獲物から吸い出す機構を


展開、機体を前後左右に振り回しながらその味を確かめ、


そして、排気と共に廃棄する。



...。



互いに、戦闘行為を収めて、敵が一体なにを後生大事に、確保しようと動いていたのかと?、その輸送機らしき基部の装甲を引きはがすと、


其処には...



...。



...



...



何が待ち構えているのかは、未だ誰も知らない。


...


...


...


月面宙域で繰り広げられていた戦闘は、一先ず決着を見るが、一方アイジェスは、単身、目標へと邁進していく。


L4宙域からやや離れた場所に浮かぶ、アステロイドベルトより牽引してきた巨大な資材発掘用の小惑星


《エーリヴァーガル》その威容は、所々、照明の光が、虚空の暗闇に向かって瞬く、その全長は,《静かなる都》(ウルブス・トランクイッラ)の大きさを優に超え、


やや微弱な物の重力の発生も確認できる。


浮遊し、各部の宇宙港からは、ひっきりなしで、艦船の出入りがあり、


周囲を警備しているであろう哨戒機の数は有に、数十機を超える。多いな...機体に搭載された


重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動し、敵の警備状況の偵察を試みる。


それは周囲にも複数の小惑星帯が存在し、こちらの姿も覆い隠せるが。《デスペラード》のセンサー類の最大望遠距離ギリギリまで、離れた場所であった。


其の障害物の最中で息をのみ、その姿を隠し、眺める目標のその全容は、《デスペラード》に搭載されている感覚器官を以てしても推し量れないでいた。


「さて、まいったな。《ウェールス・アルブス》(verus albus)を連れてこれ以上の接近は無理だ。」


それは最初から分かっている。この宙域では、撃墜された艦船の残骸や数々の小惑星帯が溢れていて、


此処までの接近はできたが。これ以上は、無理だな。


考えられる案は、再びの《ニヴルヘイム(霧の国)》の展開と共に、《デスペラード》本体による潜入が、一番成功確率が高いが...


生じる霧や副産物の結晶体をこの厳重な守りを縫って忍び込みには一苦労である。あれから数日経過したものの


おかげで、ドライヴ出力が、120%まで回復していた。


再度の《ニヴルヘイム(霧の国)》を実行してもまだ余裕がある...だが...そこに今回はひと手間を加える。


《一葉灼伏》...5%


5分間限りの万能感に酔い痴れよ。


《ニヴルヘイム(霧の国)》...起動...《アルフヘイム(光の国)》...起動...


「繋ぎ禊て、不離一体を以て、その不利を覆せ。」


コックピット内のコンソールにアールヴ《光》とニヴル《霧》の文字が瞬き、《connect》の表示が踊る。


《来たれ、欲神バルドル!!!!》


「我は、欲する。穏当なる進撃を!」


それは、周囲の哨戒機から、自らの姿を覆い隠す霧の膜と、敵機のコックピットやセンサー類を惑わす、光の屈折を利用した


幻でその機影を、なんの変哲もない。《グヤスクトゥス》へと変え、こちらの発する敵味方識別コードも、無明の霧により偽装する。


静々と、帰還する哨戒機の編隊に紛れ込み、敵のその目とそのシステム上の防御機構全てを騙しきる。


「ん?あれ、一機多くないか?...敵識別信号...目視による確認。ともにクリア。」


「各員。指名姓名ともに報告されたし...」


「ウィンディゴ部隊所属...《ヴォルク・チェロヴェク》機体は戦闘により損傷...代替え機での帰還を果たした。」


「...確認されたし...」


(。´・ω・)ん?


「確かに、そうか?機体のチェック後、入港を許可する。あとで、報告のレポートを提出しろ。」


機体を降りて、コンソール上では《connect》の表示が固定


《アルフヘイム(光の国)》で偏光した光の映像を各機器及び人体の網膜に焼き付けさせ。


その目に映る幻影をアイジェス本人にも反映。これは賭けだが。途中で遭遇した《ヴォルク・チェロヴェク》は、《エーリヴァーガル》と反対方向に逃げて行った。


未だ帰投していないであれば通るはずだ...


制限時間は残り僅か。偽装した機体をこのままでは、置けない...管制室に、通話を繋げると


「どうにもジェネレーターのダグザの釜の冷却機構の調子が悪い。このままだと誘爆するかもしれない。どうしたらいい。」


「おおいッマジか?」やや狼狽えた声がスピーカーに響き渡る。


「いったん炉心を停止させるから、基地の広い場所に、移動させてくれ。」


「それは許可できんぞ?」


「一刻の猶予もない。バーニアーもスラスターも動かない。其の所為で宙に出ることもできない。」


「岩盤の厚い場所なら、ローダウンしたジェネレーターが不調を起こしても問題ないはずだ。」


「早くッ」


(・д・)チッどっちが正解か??悩み、そして押し切られる様に通行許可を出し、一歩踏み出した《グヤスクトゥス》に偽装した


《デスペラード》は、入港を果たし、そしてその後の捜索を逃れるために、誘爆の幻影をその場に残すと、


自らは、機体を隠せるような地形を探し、その場を去った。


そのしばらく後に、突如爆ぜた閃光の光に、調査隊が組織されたが、監視カメラに残された映像を確認し、事前の聞き取りにより《ヴォルク・チェロヴェク》の死亡を確認。


警戒レベルを一時的に上げたものの通常のそれへと落ち着く。


ただ、その調査を行った隊員は、誘爆後の痕跡を見つけられず、首を捻り続けていたが、先に起きた。目的不明の輸送機による追突事故の検証も済んでおらず、


手早く実況見分を済ませると足早に去って行った。



...



《エーリヴァーガル》は小惑星の内部を繰り抜き、幾重にも重なった。通路状のパイプや各種区画に分かれ、


内部を探索するうちのそれぞれ、資源採集用のユニット、居住区や農業区、工業区などが存在することがなんとなく分かる。


そこで採掘作業が既に終了した廃棄区画へと侵入すると、機体を《ニヴルヘイム(霧の国)》で生成した結晶で覆い隠し、その姿を見えないようにする。


あとは、来た道を戻り、彼女の痕跡を探すだけだ。


その機体を残して、廃棄区画から自動で稼働し続ける資源採取用ユニットの端を抜け、目標の痕跡、彼女の匂いを辿るが、此処に彼女の匂いはない。


だが、今も尚、彼女の存在を感じる。


幾ら自動化が進んでいるとはいえ、現場監督が不在という訳でもない。自動で稼働するローダー物陰に器用に隠れながら、


直通の通路からやや外れたルートでの移動を開始する。


それでもあわや作業員との鉢合わせとなるも、背後を取って、装備していた銃把じゅうはを叩き付けて昏倒させ、


それを物陰に引き込むと、着ていた作業服らしきノーマルスーツを引きはがし、ふんどし姿の臀部を晒しながら、


(。´・ω・)ん?


此れ流行っているのか?いそいそと奪い取った作業服に着替えると、自らの生体認証をキーとして、区画間の人間が使用する扉を開いていく


やや無重力に近い。その空間で、移動用のガイドバーを掴み移動し、さらにはワイヤーガンを投射して、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共が犇めく


要塞内を探し回る。


一番可能性が高いのは...居住区画や研究区画、次点で考えたくはないが工業区画だが...その一つ一つを確認していくのは流石に骨が折れるし、倒した奴が発見され、


騒ぎが大きくなると動きにくくなる。心なしかさっき倒した男の股間も大きくなっていた様な気がするが、見なかった事にする。


数々の扉のセキュリティーは、登録されている生体認証を使用して、クリアしていく、その明確な理由は、知らないが、その可能性は既に教えて貰ってはいる。


何度目かの扉を潜り抜け、まずは工業区画に入る。


奴らは人を素材に...建材に変える。ならば一番可能性が高いのは...潜入した工業地区では、採取された資源の仕分けをしながら、


同時に、溶解した何かの液体が、大型の炉らしき機構へと流れゆく稼働するレーンを眺める。あれは、ダグザの釜か??となれば素材は...


だが。素材として加工されていくそれらには、彼女の姿は感じられなかった...少し安心したものの目的の場所は居住区画か?研究区画...それらのいずれかになる。


次々とよく見かける機体へと組まれていく、その光景に嫌悪感を滲ませながら、それでもその歩は、止めず


どうせフリーパスならばと、端から順序良くそれらの区画を調べ始める。



研究区画の奥深くへと、進んでいき、すれ違う研究員に、怪しまれないようにと、進み。人気のない研究室の一室へと進み。


携帯の小型端末を使用してデータの吸出しを試みる。使用している端子の互換性は問題なし、使用OSの差異も見られない。


此れなら、彼女に関する情報を吸い出せるかもしれない。逸る気持ちを抑えて、その時を待つ。


だが、事態はアイジェスを待ってはくれなかった。


データーの吸出しを試みる最中に、静かにそれは迫ってくる。周囲を見回し違和感を感じる。ここまでに研究員の一人ともすれ違ったか?


いや、一人もいなかった。まだ時刻は昼前、それなのに誰もいないだと?おかしい。


「そうだね。おかしいよ。」


と、何処からともなく男性の声が響く。


「やぁ、嗚呼、君よ。我らが救い主よ。貴方の姿は既にトレース済みだ。ここの電子ロックは既に閉じられている君の権限でも開かないよ。」


《慈聖体》...のその千載一遇のチャンスに、唾をのみ込みながら慎重に言葉を継げる。


「ここに来るまで長旅であったでしょう。我が邸宅への晩餐にご招待したいのだが?君は来てくれるかな?」


その冷静だが圧力を感じるその言葉に、やや迷い。そして答える。


「嗚呼、良いだろう俺も、貴様達に聞きたいことがある。」


...


...


...



研究室の一室に入ってきたその男は、どこかで見たような顔、声、そしてその表情に、記憶の欠片が、サラサラと音を立てて、


何かの琴線に触れる。


ここは、捕らわれた振りをして、彼女の居場所を聞き出す。そう決意し、その男の後をついていく。


男は言葉少なく、研究区画の部屋を抜けると、用意されていた。


電気自動車へ乗り込み、始終こちらに飲み物を進めてくるが、アイジェスはその懐柔に乗らず、固辞する。


外を流れる景色は、今まで見てきたコロニーの内景と、変わらぬ、子供ずれの女性と、女性ずれの男性。それらの組み合わせが語らう姿が垣間見える。


「お前たちにも家族は居るのか?」その至極単純な疑問を投げかけるが。


「我々に家族の概念はないよ。それぞれが個であり全である。故に、我らは其処に存在している。」


「だが、同胞という概念はあるよ。」


「それなら何故容易く仲間を捨て駒にできる。」それまでの疑問を叩き付ける様に詰問する。


「はははッそれを教えるには少し早いな。晩餐会の後で良いかな?」


肝心の質問にすら辿りつけぬまま。時間と景色は移り変わっていく。ここで彼女の名前を出せば...足元を見られかねない。


だが、どうすれば、直接的な表現を避けて居場所を問いかけられる。逡巡し、不意に外の景色を見る為にあけた窓から、懐かしい彼女の匂いが香ってくる。


迷い惑うアイジェスは、この先に彼女が居ることを確信したものの、その答えを出すことが出来なかった。


其処は、酷く豪奢な屋敷だった。恐らく居住区画の中心部にある。ここが恐らく《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の本丸、


こいつが頭だ。こいつを斃せれば。この戦いを終わらせられる。


思考の波間にいる間に目的地へと到着し、車のドアが開く、促されるがまま意を決して、車を降り、人が一人潜るには大仰な木製らしき扉を


従者らしき兵士が開くと、良く油が刺されているかのように、スムーズな動作で開く扉を、


警戒しながら潜り抜け、其処は大広間へと続くであろうホールとそして階段と、趣味の悪い巨大な自画像が並ぶ、その様式はゴシック調を基調とした様に


感じられるが正直いって俺に、この形式の装飾は、どの様な由来があるのかが分からない。詳しい人間であればわかるだろうが、普通はよくわからないはずだしなと、


周囲を警戒しつつ、個室へと通され、準備ができるまでと、待たされる。


とりあえず、被っていたヘルメットを外し、晩餐の準備が終わるまでここで待機する様にと、伝えられるが...落ち着かない。こういう豪華で広々とした部屋は逆に居心地が悪い。


出された紅茶らしき飲み物とお茶受けにも、見向きもせず。


無為に時間を過ごす。数時間立った後、準備ができましたと、声を掛けらる。


先導する従者に連れられ、用意された晩餐会の会場へと連れて逝かれる。そこは、部屋の中央部に大きな縦長のテーブル置かれ、椅子は二脚、恐らく俺と主催者の二人きり、


何か嫌な予感を感じながらも、テーブル上で互いの視線を絡めて、雑談を開始する。


「そう言えば、貴様は、ずっと何かを探していたらしいな。《オーグル》から聞いているぞ?」


まぁそこに座り給え。


(。´・ω・)ん?


促される様に、従者に引かれた椅子に座る、と続く言葉が飛んでくる


「我々の出した食事には手を付けないのか?勿体ない。」


「どうしても行方を知りたいというなら、出された食事を食すのは最低限の礼儀だぞ。」


(青葉は、食べるなと言っていたが...)


徐にその食事を手に取り、そしてひと噛みひと噛み、味あうように咀嚼し出された飲み物を飲み干す。そして料理に手を付ける。


「で、星は彼女は...何処にいる。会わせろ。」


「貴様の方こそ何を言っている?もうすでに会わせているぞ?この大気、この恵みをもたらす水、そして...」


「其のすべては...あのコロニーの生き残りたちで出来ている。」


「ダグザの釜の利用方法は本来、宇宙空間の飢餓を、途絶えただけで死にゆく定めを押し付けられる理不尽を覆す為に作られた。」


「貴様が何を探しているのかまでは、わからんが...」


死んだ?喰った?俺が?これは、戻るのか?いや喰ったら...身体が欠けている。


唐突に襲う、嫌悪感と嘔吐感に逆らい、目頭が、脳が熱く燃え上がるような灼熱の怒りと喪失感が襲い掛かってくる。


「ははッ喰ったな、貴様も此れでウィンディゴの一人になる。」


「一度、人を喰った獣は、人の味を忘れられない。餓えた熊が人里に降りて、人を喰らう論理と同じだ。」


「貴様には、遣ってもらいたいことがある。」


「だが、その前に、することがある。前回の保持者は、使い潰した結果、遺伝子マーカー情報を喪い、臓器の一部の培養しかできなくなってしまったからな。」


故に、今回は大切に使わせて貰おう。


「ふざけるなッ!!!!」どうすれば...救える。どうすれば逢える???必死に思考するが...答えは出ず。いつもなら語り掛けてくる。


声が聞こえない。どうしてだ?...を知っているはずじゃないのか?何故、こうなった?


「お前っ!!!!!」激怒し立ち上がる男を制するように声が飛ぶ。


「なんだ。貴様は、私を責めるのか?ハハッ何を言っている?お前も私を殺しただろ?」


「まさか、自分だけは奪われない、殺されないとでも思っていたか?」


「何度経験しようともビームサーベルにこの身を焼かれる経験は、慣れないな。」


いったいなんの話か?と思考を巡らせ、思い出す。


ジンボ???ジンボ少佐????鹵獲していた機体に乗っていた奴か?確かに見覚えがある表情だが、年齢が違う?


「ハハッ気付いたかね。知らないかもしれないが、《クシェドレ》の試験機にも乗っていたのだよ。」


言葉を切って、自らの優位を誇る様に語り始める。


「君は、臓器移植に関して、どの様な知識を持ち合わせているか?移植には拒絶反応が起きないように家族が最適で、次点で遺伝子情報が似通った人を探すしかない。」


「そして、移植された人物にドナーの記憶が混じる事がある。という事を、つまり遺伝子には記憶が残存している。」


「匂いが、貴様の...其の到来を告げるのは、人は、近親婚を避ける為、自らと似た遺伝子を持つ相手の匂いを...嫌う性質がある。父親が娘に嫌われる理由と同じだ。」


「不思議なもので、これは妊娠中では、反転する。身を守ってくれる家族の匂いを求めるのだ。我々には関係ないがな?今も貴様の匂いが匂うぞ?」


話が脱線したなと、話を区切り、確信を付くように語り掛けてくる。


「故に、我々クピドレスは、死亡する直前の遺伝子マーカーさえあれば何度でも蘇る。」


命は巡るのだよと。言葉を切って切り出す


「私は、ジンボ=ジンタ、一番目を名乗る。異星体、かつて地球と呼ばれた星より出でし、宙を旅して星を探す者。」


「そしてその罪深き、炉の護り手、全てを蹂躙し、そして、この船団を預かる裁定者。貴様の運命はここにきた時点で決まっている。」


「貴様には、我らが宿願の成就の礎となってもらう。」


「これは最後の食事だ、どうだ望みは叶えたぞ満足して死ね。」


食卓並ぶ豪奢な造りの晩餐会上で、《人喰い》共が嗤う。金銀の装飾品と、それまで刻まれてきた年代のアンティークの装飾品や


絵画が飾られた。その場に、多数の武装した兵士たちが雪崩れ込んでくる。


万事休すの窮地において、意識がぐるぐると周りで怒りで、


ぽたり、ぽたりと、血の赤い赤い血の色の涙が滴り落ち、純白のテーブルクロスを汚していく。


震える...手で、掴む...これが...


吸い込む空気、酸素を含んだその微かに香る懐かしいその匂いに、撃ち震えながら、絶叫す。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”

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その肺に含まれた空気を全て吐き出すように叫んだ声が響き渡る。


「エンコードッ!!!!!!」


(。´・ω・)ん?


「なんだ、逃げ場はないぞ?既に貴様の乗ってきた機体も既に回収し、封印処置を施している。何よりここからは貴様の声はどこにも届かない。」


遠くで、轟音が鳴り響き。飛翔する。何者かの姿が、噴煙をまき散らし、制止するように立ちはだかる。数機の機体とドックファイトを繰り返し


繰り出す拳と足刀が、機体のコックピットを貫き。問答無用で、収斂された銃撃の一撃が、《エーリヴァーガル》内の市街地へと突き刺さる。


赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。赦さない。許さない。


彼女をこの手から奪い去り、その尊厳を無視した全ての存在に、鉄槌を...。


叫ぶように、嘆くように、笑い。そして啼く。振り絞る絶望の声は、禍々しい殺気を纏い。哀惜の詩を謡う。


それまで、敵対する存在に対しても一定の配慮を行っていた。箍が、完全に外れ、


絶望を謡う。哀しみの無法者の詩は、只の絶叫へと変わり、其のすべてを灰燼と帰すべく、声高に、嘆きの宙を覆う。


その機体は工業地区から、農業地区、さらには要塞の機関部へと侵入し暴れまわる。


浮遊する一対の楯《HHB》と共に浮遊する《falcisファルキス》...思考砲台となった《ナインテイル》を騎乗しないまま、


縦横無尽に操る。そして擦れ違いざまの戦闘で、腕部の孔から放出される光剣を切り結び、鍔迫り合いをするビームサーベルを、隠し腕を伴った脚部の蹴りで


得物持つ手をはじけ飛ばせ、無防備となったコックピットへとライフルのゼロ距離射撃を突き入れ、放出する光が、要塞内部で進行方向のすべてを貫き、


区画内の外壁に穴をあける。

膨大な岩盤に守られ、宙と繋がる孔はできずとも、互いに絶妙なバランスで成立してた市街地が徐々に崩壊していく。



その最中に、さらに新手の機影がその人知れず動き続ける機体は、まるでパイロットが操縦桿を動かしてるか如く、動作し続け、


無人のまま、有人と見まがうばかりの挙動を見せ続ける。


背面から襲い掛かる敵機...《傾城魚》(チンチェンユー)の一射と相対し挟み込むように挟撃を仕掛ける。《サテュラル(虎型)》が交錯する間もなく、


360度隈なく見渡し、空間挙動を可能としているマニュピレーターの噴射を(たぐ)り、姿勢制御でホバリングをしたまま機体を反転させ、撃ち落としていく


「くそっなんだあれ?パイロット...《慈聖体》は既に捉えたとの報告が上がってるあの?パイロットが乗っているような挙動はなんだ?誰だあれに乗ってるのは?」


「ええぃ。閣下の許可を取るまでもない。通常機体ではダメだ。今すぐ出せる新型と、試験機をあるだけ出せ。」


《ガンベル―》...銃身を本体に据え、重厚な重ねがけされた装甲と、鈴の音を搔き乱す音を鳴り響かせるその寸胴上の体躯のそれが二機、


《アシパトラ》...剣の翼を関するその機体は、大型の流線形の素体と粒子を固着させ切れ味を強化した鎌状の実体剣を備えた翼、


そして対象を握り裂くように煌めくビームクローを装備した四機編隊の機体が工業区を飛び出し、器用に、要塞内の区画を疾走し、暴れまわる目標に対して狙いを付ける。


まだ試作段階だが...《ズー=ヌー=クア》...複数の素体...《グヤスクトゥス》《アケファロス》《ファーマ》《狗頭鰻》(ゴウトウマン)ブレイズ=ガルヴ等の複数の機体の痕跡を残す


まるで継ぎ接ぎの様に組み合わさったその大型のMAは、出撃の指示を得て、静かに、一歩一歩目標に向かって前進す。


まず目標に接敵した《アシパトラ》の一団が、翼を折りたたみながら、工業区画を抜けて市街地に侵入すると何かを探すように動き回る《デスペラード》に対し、急襲を仕掛ける。


その翼から放たれる穿ち輝く、実体剣の刃より、幅広な斬戦刻みし繰り出される、一撃を可変する推進機構VTOL (Vertical Take-Off and Landing)を利用しての軌道で


回避に必要なスペースを詰めながら、市街地で交錯する。


パイロットを載せないまま、最小限の動きで回避行動に入り、装甲を切り裂かれるギリギリの間合いを読み、小刻みに吹かせた推進器を駆使して


機体を倒し、持ち上げ、そして宙返りをして、一射、反撃の一撃を繰り出すが、翼を大きく震わせる。実体剣の翼で受け止めると、命中した瞬間その覇劫が、弾け飛ぶ。


無言のまま、目標に射撃を繰り出すが、その鋭利な翼を盾として、射撃戦を展開、大きく三時方向へと飛翔する。


機体を倒して横っ飛びの姿勢のまま、飛翔し、続け様に蒼く輝く閃光の三柱を注ぎ込むが、反撃の応酬の最中、それらの攻撃が互い展開する防御により、防がれる。


《HHB》を楯にして、何を思ったのか空中に保持していた銃把じゅうはを放り出し、空中に回転しながら浮遊するそれに一瞬、《アシパトラ》の意識がそちらに向かうが、


得物を喪ったで有ろう敵機に再び視線を戻すが、その時には既にもう片方の腕部にいつの間にか保持していたもう一つの銃身と銃把じゅうはを向けながら握ると


滑り込むように低空飛行するもう一枚の楯《HHB》が滑り込んでいくと、其のまま、銃の引き金を引き絞る。狙いは...目標の下方部に存在する《HHB》…


同時に空中で回転する銃口は、突如その回転を止め下方に向かって火砲を吐き出す。二条の別々の角度から放たれた蒼き輝きは、稼働する《HHB》に弾かれ赤い光を纏った漆黒の閃光となり


それぞれの射角に合わせて反射行動を起こす。下方から、翼を貫かれ、二機の《アシパトラ》は、その機体を市街地のど真ん中へと叩き込む。


行動不能となった二機を他所に、二機の《ガンベル―》が、市街地へと侵入していく。


無防備な姿のまま直進してくる対象に対して、銃口を向けて連続射出、放たれる数条の光がその対象を弄る様に責め立てる。


直撃した光が、空中で霧散し、周囲の建物を破壊するが、操作するその動きに迷いなどなく、防御を破るべく、水平方向のバレルロールを繰り返す一対の楯に向かい。


呼び戻した銃口を掴み、その回転する基部の中央部を潜り抜け蒼い御柱は、再度その姿を変える。が、


その光景をまるで頓着しないまま、こちらに迫ってくる。命中した黒色の粒子は、目標を破砕するべく直進するが、前回同様、その効果が霧散する。


ふわりと、降り立ち、パイロット上には、敵機の情報を知らせるコンソールには、情報が走るが。それを目にする者は、其処には居なかった。


銃把 (じゅうは)を離し、砲撃戦から、接近戦へと戦法を変え、両手、脚部、それぞれの隠し腕の孔から覇劫輝く、光剣を翻し、突撃を試みる。


敵の銃身を模したその頭部から放たれる。一撃が鈴を鳴らすような擦過音が響き、その音を耳する者が居ないまま、浮遊する楯を前面に保持し、


銃撃の隙間を縫いながらも前進、相手の砲撃を切り裂くように進む機影が、刹那の瞬間交錯する。


振るう刃は、その機体を切り裂くと思われるも、その刃が、目標の装甲に到達するも、その光を霧散し、そして弾く。


埒に明かないその状況に、思考のみでその状況を把握していた。


多数の兵士たちに、押さえつけられ身動きの取れぬアイジェスは...その感覚を頼りに、思考する。原因は不明だが、考えられる可能性は、


装甲に謎があるが、その頑強な装甲を...


触れる刃を一次的に、収めるとその腕部をはためかせ、繰り出す攻撃は...


Freezing(フリージング)Bite(バイト)》氷結により、金属剥離現象促し、対象を凍結するその一撃を見舞うも、効果薄い。


ならばと、放つ一撃を変更し、


虹色の炎熱を放つ熱分解の一撃、《Pyrolysis(パイロリシス) Hands(ハンズ)》を繰り出す。


装甲が熱いのであればこの温度差によるその行為で、装甲に亀裂が走り、破砕を促すが、その試みは半分成功し半分失敗する。


突如熱せられた装甲はその機能を阻害され、過熱気味の駆動を転嫁し、冷却と同時に電磁誘導による、防御を展開。


冷却攻撃から温度の急上昇により、一時的なその機構をオーバーヒート状態まで追い込み、徐々にその装甲を融解し始める。


理由は不明のまま確かな、感触を感じ取り、捕らわれの君のなったアイジェスは...


...


...


...



《ガンベル―》と《アシパトラ》の追撃を振り切り、敵機の背後に控える。その場所へと操作する。


そして、突如、屋敷の基部へと突き入れられた腕が、乱入。その束縛から離れ、それまで提供されていた晩餐の痕跡ごと、その姿をかき消す。


「逃がすな追え、出す機体は惜しむなッ!!!」


単身で乗り込んできたと思ったが?協力者が居たのか????だがここは我が領域、既に奴は袋のネズミ。どこにも逃げられない。


その身一身で、大きく深呼吸して機体に乗り込むと、仄かにその光景が垣間見える。


彼女の去り行く後ろ姿が一瞬...その両目に映る。


久しぶりだね。だけど、ここでお別れだ。


僕の仕事は此処までだよ。一機、撃ち漏らしてしまった...誤算だ。一機だけこの場所に無いなんて...それでも最低限の仕事はしたよ。


だから君は、生き続けて欲しい。それが僕、私からの願いだよ。


哀しいけれど、此処で然様ならだ。


知ってたかい?君の他に好きな人が居たなんて、嘘だよ。


君に直接は一言も言えなかったけど、僕は君を愛していたよ。それはこれからも、僕の世界が終わった後でも変わらない。


どうか私を信じて待っていて欲しい。だから私を見つけて、この手を取って、もう逢えなくとも、私を見つけて、救い出して、


それが譬え、違う世界の話だとしても...


逝かないで...一緒に春の日向で、他愛もない話をして、秋の星空を見よう。


俺も、君を愛してる。君が誰と居ようとも、僕の隣に誰が居ようとも。然様なら、然様なら...そんなのは嫌だッ!!!


俺は、そんな君が、崩れるほど愛しい...





その事実に、揺らぐ、


【この事実は、貴様が身を以て知らねばならぬこと...故に...】


どうして??彼女はこの場所に単身乗り込んだ?その理由は分からぬまま、別れの時は訪れる。


震える手で、変わり果てた彼女の身体を抱きしめ、咽び泣く。


間に合わなかった...どれだけ急ごうとも、この結末は変わらなかった。





見慣れたその顔が思い出せない。


微笑む笑顔に、割れた硝子の様に亀裂が走る。


貴女だけが、居ないこの世界で、俺、何を想い生きればいい。


何をよすがに、歩けばいい。


天地が逆転する世界の最中で、その大切な世界の終わりを知る。


其処に一切の希望はなく、絶望の亀裂が心に走り、砕け散る。





邪魔だ。彼女を亡き者にした者どもに、鉄槌を。


譬え、殺戮者の汚名を受けようとも。俺は逝く。きっと戦うべき時は、今だ。


奴らは、他人を喰いモノにして、増え続ける。ここで全てを終わらせる。


誰一人、逃すことなく、其の全てを撃ち滅ぼさん。


漸く愛機のシートへと座ると。彼女を取り出した。ハンカチに包み、備え付けの冷蔵庫へとしまい込む。


怒りに震えるその手で、その手にフィットする操縦桿を掴むと、徐に向かってくる敵機に向かい照準を付ける。


コックピット内のコンソール上では、


《ガンベル―》と《アシパトラ》それぞれの機体情報が示される。その画面をひと睨みして、そういう事かと納得する。


高速機動と変則飛行を可能とし、その翼と鉤爪での高速戦闘を旨とする《アシパトラ》に、


《ガンベル―》...試作段階ではあるが、電磁冷却による。磁気冷却技術を転用した、装甲によるその防御を破るには、冷却機構をオーバーヒートを誘発する。


炎熱攻撃のみがその対象を破壊可能。と記された一文を読み解き。


左右、両脚部の噴出孔より、虹色の炎を展開し、低重力下の重力の軛から解き放たれ、四足の獣となって、反転した。


《デスペラード》は、その鬼面の拳を揃えて、推進器を背面部に揃えて、宙を疾走、駆けるその脚と共に、その装甲に向かい炎獄の牙を突き立てる。


震える様に放たれた炎は、忽ちその冷却機構をオーバーヒートさせ、逃げ場のない四方よりの、連撃に苛まれ、


熱分解の炎が、その頑強な装甲を忽ち誘拐させる。


更に追従し、砲撃を加えてくる二機の《アシパトラ》と、その装甲を破られ、煙を吹き出しながらも遠間からの射撃で友軍機をフォローし続ける《ガンベル―》の


姿が、見える。


こちらの通常武装で、有効打が与えられるのは、炎を操る《Pyrolysis(パイロリシス) Hands(ハンズ)》のみ、攻略の一手を受け取り、宙を奔り、


低重力圏の最中で、加速する機体を器用に操作しながら、脳裏に、彼女の詩が響き続ける。


その両目からあふるる、流れる血潮はそのまま、嘆きの詩は、優しく、自らの運命をはじめから知っていたかの様に、慰めるかの様にその頬を撫で続ける。



追従する翼竜の攻撃を避けつつ。銃身の頭部から射出される。


光の銃弾を最小限の動きで回避。


二機目の《ガンベル―》の機体に取りつくと、その両腕部から、溢れる炎で、覆うい。


その膨大な熱量に晒され、冷却機構が、熱暴走を繰り返す、そしてその防御が崩れ去る。



一機撃墜し、その衝撃と共に小惑星帯の大空洞を垂直方向へと、飛び上がり、


追従する二翼の、翼が、光の榴弾を放射し続ける。


伸びあがる宙の軌跡は、居住区画の天井まで到達しそして、逆落としで、重力に惹かれての木の葉墜としを敢行。意図的に失速した勢いと交差するように、通り抜けた、敵の背面へと、狙いを付けての偏差射撃を敢行、一対の銃口は狙いを外さず、その一翼を担うその敵影に浴びせかける、忽ち火の粉をまき散らしながら誘爆する機影を抜けて、推進機構VTOL (Vertical Take-Off and Landing)での可変機動で転進してきた。


《アシパトラ》は、その両翼の刃を叩き付ける様に突進を仕掛ける、


咄嗟に肩部の楯を備えた両腕を掲げての防御と共に、虹色の光を発し、剣の翼と炎熱分解の牙が互いに噛み合い。そして、握ったその手に、重力破の圧搾を加え、頑強な其の翼を握りつぶす。


その頃、周囲に展開されていた《ナインテイル》と《HHB》は、互いにその動きをカバーしながら、他の区画から迫ってくる機影の対処へと動き、


その敵機の戦場への乱入を押しとどめる。



砕けた翼の破片を掴み、《ナインテイル》達がドックファイトを仕掛ける対象は、


新手の機影、顔なじみになった、《グヤスクトゥス》と小回りの利く《ピスハンド》の群れ、


その程度であれば、《ナインテイル》単騎でも十分対処可能ではあるが、



脳裏に、予感が走る。



居住区と農協区画を繋ぐ、大型の搬出搬入用の通路から、道幅一杯に今にも零れそうな


その虚栄が迫ってくる。


《デスペラード》のコンソール上では、機体名《ズー=ヌー=クア》


その機体性能...に目を瞠る。


...


...


...


良いだろう。徹底的に付き合ってやる。


前面に掲げた両腕の手のひらから、稲光を放つ電光の蛇が、互いに反発しながら、放出し、瞬く。


コックピット内のコンソール上に、《Rise(ライズ) Rising(ライジング)》の文字が躍る。


放つ稲光の牙は、その空域の空気を焼き、周囲を電化し、オゾン臭が当たりに広がる。


宙を見上げるクピドレスの一般市民は、呆けた様に空を眺め、その稲光に晒され、高圧電流に撃たれた体が、


その一遍の細胞片も残さず焼き焦がしていく。


収束する稲光は次第に、その刃を、一点へと集中させ、


アーク溶接を応用しての光の刃が、巨体を揺らして迫ってくる《ズー=ヌー=クア》に直撃する。


その巨体を電光の刃が蹂躙するも、その装甲は頑強、かつ、急速再生機能でもあるかのように、崩れた端から、その機体が人体の傷口の如く盛り上がり、複数の機体を継ぎ接ぎしたかのように、機体の面影を残し、伴い這い寄る混沌の如く迫ってくる。


更には自らも発光し、反転する電極を晒し、反撃の稲光を放射してくる。


空中で、弾け飛ぶ雷光は、次第にその姿形を変え、逃げ惑うクピドレスに降り注ぐ。

相手も、巻き込まれる市民の事を考慮しない行動に、奴、ジンボ=ジンタの言葉は正しいのだろう。奴らは、一片でも残せば増え続ける。


居住区の住居、建物、ジンボが歓待した屋敷へと、問答無用の稲光を叩き込む。



空中で衝突する光は、互いの機体出力が拮抗し、さらには何を思ったのか、敵機はその自らの基部からジェネレーターらしき基部を露出させると、何を思ったのか?


吐き出すように、その基部を弾体として投射してくる。その放物線を頂点とした軌跡を描き、迫る目標に向かい。《Rise(ライズ) Rising(ライジング)》の光を注ぎ、空中で撃墜する。


誘爆するジェネレーターが、爆風と放射熱をばら巻きながら、収束するエネルギーを逆転し、生じた真空体に吸い込まれる様に、周囲の建物や、人体が、舞い上がり、破裂する。


弾けた血しぶきが、《デスペラード》の面差し鋭きその表情に涙の様に流れ堕ちる。


カメラの視界が、血にまみれるのも厭わず。


一度、放棄した浮遊する《falcis(ファルキス)》を伴い、前進する。

見ると目標は、次々と、ジェネレーター毎、その機体の部品を生成し、分離と射出を試みる様な、その動きを見て...


機体の再生とジェネレーター...ダグザの釜の再生までは、分かるが?燃料となる人はどこにある?それまで複製できるのであれば、そもそも人を狩る必要はないはず。


疑問顔のまま、投げつけられるダグザの釜に向かい、幾度目かの射撃による撃墜を試み。


そして気付く、奴の足元から、逃げ惑うクピドレスが吸い上げられてる。


奴ら本当に死ぬことを何とも思ってない節があるが?


...


...


...


熱分解の火により、迫る熱を熱で分解し、2万度を超えるその熱量を防ぎ一筋の流星へと変えていく。武装を切り離し、


自らは《Pyrolysis(パイロリシス) Hands(ハンズ)》を繰り出す一部の機構を放棄し、大気との摩擦に爆散するかに見えた。


デスペラードが、逆さの機体の侭、鬼面のレッグカバーで覆われた脚部が展開し、敵の各機が、《傾城魚》(チンチェンユー)のオービットマインやブラインドアンカーを盾に、大気圏突入へとその機動を変えた瞬間に、何を思ったのか、跳び蹴りを加え、八艘飛びの要領で次々と、その脚部で、踏み折りながら、次々と撃墜していく


「おぃ!!!!!!!!!やめろ、今はッ」


「ママぁーーーーーーーーーーーーー!」


「辞めろ!辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ辞めろ!卑…ヒッ」


「死にたくない。死にたくない。死ッ!」


「おおッ!ちょぉぉっケツを掘るなッ!」


「クソッ!あっ糞漏れ…あッ♥」


「あ”ッあ”なんで、蹴らないで蹴らないで今はッ!!!!!ああああああああああああああああああああああああああああ」


...



...



...


放出される粒子砲の一撃が、《R.I.P》に直撃する瞬間に、何かのレンズに妨げられるかの様に明後日の方向へとねじ曲がり、


目標を喪った魚雷の雨が、対象を見失い空中に飛び出ると次々と爆散していく。海中に没し、機動力を喪った僚機達が、


襲われる瞬間に展開されたそれが、敵味方を区別するかのように、母艦と僚機達は宙へとあがり、


逆に敵機と魚雷群は、重力により、大地へと叩きつけられる。尻が?!海が?割れる?!疑問顔の男尻は、震えながらその光景を眺め、


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぶべッ」


「ぷぎゃッ」「尻が、尻が裂けるッあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。ぷちゅッ」


「骨がァ?!!漏れるぅっぅぅぅぅぅっぅぅ」


「腸がぁぁぁぁ...。ぐぁぁぁぁおぇぇぇおぼろろろろおろろ。」


死ぬ、瞬間に、死を恐れて断末魔の悲鳴を上げる奴もいる。其の違いはなんだ????


押し寄せてくるその脅威に対処するべく。銃口を引き絞り、アーク放電の刃で、撃墜していく。


その脅威は、自らの動力炉を複製し撃ちだす。自爆攻撃、其の弾は、敵の本拠地、幾らでも湧いてくる。


千一手の様相を見せるも。アイジェスは打開策を打つべく、敵機の譬えその身が不死身でも、乗っているパイロットまでは、不死身であるまいと、


コックピットを狙って、遠巻きに、撃ち続けるが、其の全ての狙いは、命中し敵の装甲を融解し、破断させるも、


その動作には一切の乱れはなく、淀みなく、一定の距離を保ちながら、相手の攻撃を避け、


一方的にその巨体に向かって射撃攻撃を試みる。


五月雨状に降り注ぐ蒼き閃光の柱を振りそぐが、やはり一定の効果はあるもの、動きに淀みや停滞がない。


おかしい...さすがにコックピットに命中すれば、動きが止まるはずだ?それなのに頭部、胸部、腰部、背面部、次点で確率の低い腕部、脚部を狙うが


その何処にも手ごたえがない。


(・д・)チッ


舌打ち一つ打ち、撃ち放つ銃火は、さらに回転と回数を増やしながらも、


《ズー=ヌー=クア》かつて、世界が火に包まれる前に伝わる。かつて存在していた彼の国の一部部族に伝わる伝説の人喰いの巨人と同じ名のそれは、


《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共が生み出す。人を素材とした有機金属を聖体培養し、増殖し再生を繰り返す、不死身の機体として作り上げられた。


試験機は...そのすべての機体情報を、アイジェスは把握していなかった。


だが、僅かな違和感を感じる。背面や、上方の死角から責めた場合と、有視界の範囲での攻撃、どれに対しても同じ頻度、同じ反応速度で対応している。


背中に目を付けてたとしても、やはり死角への対処には、僅かばかりのタイムラグがあるはず?


少なくとも、奴らが言う《聖痕》を持であろう存在だとしてもそれは同じだろう。だが奴は全ての攻撃に同じ反射速度で反応している。


となれば...考えられる理由はいくつかある。


一つ、単純に反応速度が神がかっていて、全てを見通しているか?そうであるのであれば巨体といえどこちらの攻撃を全て迎撃か回避をして、その体に届かせていないはずだ。


二つ、そもそも見ている視界が、360度すべて見ているつまり...。


周囲を見回し、確認するが、視界を確保するために展開されているであろうドローン類の類は確認できないが、此処は敵地...カメラがどこにでもある。


ならばと、それまでの攻撃を、射撃兵装による多重射撃から、その手、肩部副腕、その脚部それぞれ六つの手足から、


アーク溶接の光を放つ、光の剣舞たる。《Rise(ライズ) Rising(ライジング)》の稲光をそれぞれ一対の手足の間で、バチバチとスパークさせ電熱の刃を一斉放射、


周囲に展開し、視覚と死角を消しているであろう対象に向かい。投射する。


唐突に、それは訪れる。それまで狙いを付けて砲撃と、ジェネレーターの複製と、誘爆による反撃を繰り返していた、機体の動きが露骨に鈍り始める...


やはり、これはどこかで遠隔操作している...。


そこでジェネレーター欠損率1%コンマ数秒で展開され一分限りの《一葉灼伏…》と共にヴァナヘイム《豊穣の国》によって、其の在り処を


予想する...そこは、研究区画の一番奥深い。一画に向かい。


出力とその推力を大幅に増やした《デスペラード》は、戸惑う《ズー=ヌー=クア》を置き去りにしたまま、いくつもの区画を通り抜け、


その研究区画へと到達する。


途中、ビームシールドを展開し、防御陣形を形成する。《グヤスクトゥス》、《ファーマ》、《アケファロス》etc、複数の機影が覗くが、逆さ機動から、


反転、敵の攻撃を


周囲に《HHB》展開した防御で防ぎながら、擦れ違いざまに蹴り脚抜き、居並ぶ機体を伸びる光剣の瞬きで、瞬断、斬り倒し、背後を見ないまま


引鉄を引いた銃口から発した、蒼い光が貫き爆散させる。


その間、数秒にも満たない、速攻により、防御陣形を崩し、水平方向にバレルロールする空間へと、二本の銃身を並べ突き入れると


発振する銃口が、赤雷を纏った漆黒の光と共に疾る。


凶弾と化した、閃光が研究企画の一角を貫き、其の奥底に潜んでいた。《ズー=ヌー=クア》の主要機関を、圧壊させこの世から消滅させる。


邪魔な機体を取り除き、怒りに震えるアイジェスは...



居住区画に転身し、嘲笑ったジンボ=ジンタの身柄を抑え、この争いを終結させる。が、脳裏で奔る。量子演算による予測により、


早々とこの資源衛星を利用した要塞エーリヴァーガルから離脱する動きを見せる。


間に合うか??と、半瞬悩み、そしてあの忌々しい館へと、背面の推進器を全開にして戻るが、既にその姿はない...


キッと空を睨み、宇宙港か?!と、目標を意味定め、雷撃と銃口から放射される光の絨毯爆撃を繰り返しながら、追加の戦力が出てくる前に、


ジンボ=ジンタの後を追い、幾度目かの連絡通路で、其の行く先を阻む、隔壁を次々と叩き破りながら、一気に宇宙港まで駆け抜ける。


何もない宙を目視し、目標の姿を探す。



そこにあったのは、幾重にも重なる。星の瞬きすら凌駕するほどの物量を伴った。《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の軍勢の只中へと、躍り出る。


その中には、ギアナ高地で、遭遇した。巨兵や、今までの戦闘で、見たこともない。機体の数々が踊る。


コックピット内部のコンソール上で、確認できる機体と艦船の数は...優に数千を超え、今までどこにあったのかと思うほどのその物量に、今も尚、次々と増え続ける。


その絶対的な戦力差にも、目を爛々と輝かすアイジェスは...


同時刻、《ミーミル》では本隊を預かる。ヴェニ=ヴィディキは、Carpe Diemカルペ・ディエム第5方面部隊に新しく配備され送り出した《カルペ・ディエム》の大軍勢の趨勢を祈る。


クルーニー=ブルースは、これまでの戦闘で収集した戦闘データおよび、小型AI端末を発展させた、《カルペ・ディエム》の軍勢のドローン機構師団化を試み。


突貫工事で施工したそれらの起動試験は既に終わり、前回の戦闘の大将に気を良くした軍部は、そろって、物量作戦による。終結を目指し送り出した。


その数は、総勢1000機あまり。戦場へと送り届ける母艦は、コントロール用の旗艦の他に50隻にまでにも及ぶ、


本体である《クルクス・プグナエ》他、多数のこれまでの旅路で一緒になった本部人員は、一先ず後陣に配し


新型の性能とそれまでの戦果に浮かれ、丁度、病状に臥した、将軍の静止を受ける間もなく出撃。その軍勢が、《エーリヴァーガル》の宙域への版図の奪還を決める為、進行していた。


そして遅れて、既に出撃させた《R.I.P》を旗艦とする第五方面部隊を月拠点の奪還の先遣隊とし送り出す、虎の子の主力と先遣隊から遅れること数日後、


長距離通信のレーザーを受信、合流ポイントの選定を終えクルクス・プグナエを旗艦とする一団を率いて、自らも出撃する。


先遣隊は、月面都市の修復を試みながら、《R.I.P》を旗艦とし、敵本陣である《エーリヴァーガル》に向かってその船を漕ぎ出す。



それぞれ三方向より進行する友軍...主力を預かるソォンナ=コッタネー大佐は、新造した《カルペ・ディエム》による。


敵のコロニー落とし作戦の阻止と、自らが指揮を執った、地上の勢力圏の奪還作戦の成功に気を良くし、クピドレスなぞ、何するものぞと、ばかりに


馬鹿正直にも、敵の勢力圏を真正面からの進行による制圧を試みる。


なんの工夫も、せずに勝てるほどこの世は甘くない。その事を知らないまま。それと遭遇する。





それは無窮の宙に浮かぶ一筋の流れ星だった。深紅に染められたその赤き流星は、最大望遠での観測範囲外であっても


Carpe Diemカルペ・ディエムのドローンによる操作の為に、搭載された高解度望遠鏡(こうかいどぼうえんきょう)を搭載した艦船と機体の大軍勢の進路を


大きく横切る様に飛来して、陣を展開し始めたその中央部へとその姿を見せる。


1000機の《カルペ・ディエム》は母艦となるドローン空母から次々と出撃していき。そして、


グレフエフスキー粒子…рех (グレフ) - 「罪」や「過ち」を意味するその言葉を繋げて、罪の息子を孕む、


その子宮たる釜の模造品から放出される粒子の副次効果による阻害を受けないように、頭部のインテークから延びるケーブルと


接続の不具合や切断を考慮してのコックピットの代わりに搭載されたAIによる自動回避と事前に設定した攻撃目標への追従と攻撃を行う。


地上での勢力圏の塗り替えに成功し、地上から宙へとあがり、この艦隊の操作担当者となった。ソォンナ=コッタネー大佐は、オーケストラの指揮棒を振るうかのように、


煌めく千の牙から延びる250条にもおよぶ《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を起動、を指揮し始める。多重展開されたその出力は、有に、コロニーすら焼き落とす


光の粒子の束へと変わり、其のすべてが通りし後に残るものは、何もないと断言出来ていた。


そして、本人もその戦局が変わる事もないだろうと確信していた。


叫ぶように震えるその顎から視界のすべてを覆う程の触れたモノを量子の塵へと還す。極太の放射される白い粒を巻き散らす光の柱で、薙ぎ払う。


その瞬間、ソォンナ=コッタネー大佐は、その絶対的な勝利を確信する...はずだった。


周囲に浮かぶ小惑星の数々はその光に触れた瞬間に、その宙域に存在する小惑星群は、その姿を消した。残るのは...


...


...


...


「大佐ッ、敵味方識別コードに感あり...観測されたすべての機体と異なる正体不明機...健在です。」


遠距離操作を想定しての許可されたそのセンサー類と電子兵装の数々がその存在の健在を知らせる。


(。´・ω・)ん?


効いてないだど?まさか?アレを避けだか?譬え背中に目があっだでも、絶対的な物量での面制圧に、逃げ場などどこにも無いはずだで?


其れなのにどうしてだべ?


(・д・)チッ


高速移動タイプだか?まぁそれならば、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の面制圧と、搭載されている実体弾による飽和攻撃を重ね、


逃げ場などなくしてやればいいだ。


そう思い直し、ドローン母艦より指示を出し、再びの《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の一斉掃射。


乱れ飛ぶ光の柱は、相手の回避行動を想定して、互いに効果範囲が噛み合うように操作し、間を抜けるであろうタイミングに実体弾の雨を注ぎ入れる。


まさに逃げる場所はどこにも無い。


だが、その姿はいまだ健在。高解度望遠鏡(こうかいどぼうせんきょう)による映像を確認するが装甲の一かけらも、脱落はなく、傷や塗装が剥げた痕跡すら見えぬ。


見事なまでの深紅を堅持している。


ちぃぃぃぃぃぃ、三度目の正直とばかりに、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)と実体弾以外にもドローン艦隊の砲撃、実体弾による慣性軌道を利用した


遠距離射撃もさらに加える。



「三度、同じことをしても、悟らぬとは、愚か愚昧、愚図の極み。目障りだ。」


下腹部、肺、角膜、舌、肝臓、すい臓、鼓膜を外的手術によって、別の誰かの物へと移植させられ、見るモノ全ての景色が変わった。


かつて、アイ=アシンと呼ばれた少女は、いつの間にか、別の存在へと書き換えられていた。乗る乗騎は、常軌を逸したまでの蒸機に包まれ、


映る景色は、身体は、其のすべてが熱くこの身を苛んでくる。痛みを増す下腹部の傷を摩りながら、身悶え身を捩らせ、喘ぐ声を漏らしながら、


熱い、熱い、熱い、視界も、口に残る血の味も、吸い込む空気すら熱い。



視界一杯に広がる閃光の本流が、深紅の機体へと直撃する。


全ては塵へと帰って行った。そのはずだが。深紅の機体が掲げたその手が、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)と触れると、


その光が、機体を避けるように、外れてその効果が、無為な物へと変わっていく、それは、実体弾の爆撃や銃弾の数々を以てしても、その光景は変わらなかった。


「それで仕舞か?ならば今度はこちらから行くぞ??」


此処には噎せ返るような、雄の匂いはない。ならば目標はこいつらじゃない。ただの前哨戦だ。どこだ?どこに行った?奴は?私は、いったい誰だ????


混濁する意識の中で、頭に響くはただ目の前の敵を駆逐することだけだった。


コックピット内部で、その手にフィットする操縦桿を痛みに耐えるかの様に握りしめると、思考がクリアーになりそして痛みが和らぐ、


その快感に身をよじりながら、それを選択する。


素体の頭部は下顎のみで、本来頭部が存在する箇所には大きな欠損がみられ、代わりに緋の色の熱源体の何かが浮かびあがる。


その他の機体各部には、長く角ばった直角台形を何本も継ぎはぎしたかの様なシャープ且つ肉厚な、フレームを見せるも、


ビームライフルや、目立つような武装等は何一つもなく


あるのは特徴的な、互い違いに基部が並ぶ放熱板形の翼と見立てられる様な、大型の背面ユニットのみで有った。その異様な機体を駆る


アイ=アシンは、その行為を愁う様に、嘆くように、その快楽に身を委ね、引鉄を引く。


音の広がらない無音の世界で、ふと一機の《カルペ・ディエム》は、何かの違和感を感じ背後を振り返る。その視界に入ったのは、


光の本流、周囲に展開されていた1000を超える機体と、艦船の数々の死角に、突如として、光の球体が浮かび、目標がロックされ何かが展開さる。


一斉に噴出したそれが、其の全てを撃ち抜かんと夕赤輝く光の本流を以て、襲い掛かる。とっさに自動防御とランダム回避行動に入り、


全開出力で展開されたビームシールドの防御をまるで水に浸された和紙の様に容易く貫き、同時に迎撃を試み、射線を合わせて撃ち落とそうとした、


大型ビームライフルや《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の一射を、真正面から、その存在を抹消するかのように撃ち抜かれ、逆に、命中した


《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の一射ごと、逆回転させるように、撃ちだしたはずの《カルペ・ディエム》へそのまま倍返しで撃ち返す。


戦場の只中で、唯の量子の塵へと帰していく機影を見送り、何事かと絶叫する。


中には回避行動を行ったものも居たが、逃げた先にも突如として現れた、その熱源が、機体から離れず、ゼロ距離からの熱線を受け、


見るも無残に、唯の鉄屑へと変えてしまっていた。


その光景を悪夢の様に眺めていた。ソォンナ=コッタネー大佐は、残機は?残りの部隊はどこにいる?一体今何が起きただぁ?!そんな馬鹿なぁ??!


一体何をした?奴が放ったのは、?観測できた熱源は一つだけ?それなのに?何故。1000機以上のわが軍が一度限りのその行使で、全滅した。?


なぜだ。《カルペ・ディエム》の機体性能は折り紙付きだ。これで地上部隊も、大きく勢力圏を奪い返すことが出来たし、そもそも前回の戦いでも、


損耗は0の圧勝だったはず何が違う???混乱する最中に必勝を以て、この作戦を決行したはずなのだ。


が、


其之すべてが、目標宙域に至る前の小惑星帯を抜ける事も出来ず。唯、一機の不明機の一撃で壊滅した。


数少ない生き残りの証言では、送られて来たメッセージらしき一節のみ、


アンエディテッド (unedited)・・・我は編纂されぬ者


もう、彼女の詩は、この耳に届かない。その事実に怒りを載せて、


男は...その鉄槌を振り下ろす。


其処に悲劇が覆される事は。あらねど、それでも物語は続く。




毎月、月末最終日に2話更新予定。

誤字脱字、誤りがあったら修正するので、教えてください。


※妨害行為へのペナルティによる削除より復帰。


妨害行為を3回以上確認したので、次回更新は三か月後、一回の妨害ごとに一か月延期します。

⇒次回更新は七か月後、六か月に減らしたけど度重なる妨害に関して追加、七か月後、

ちなみに準備の肯定的に、十三話の貼り付け、十四話の貼り付けと、伏線のチェック(十三話、十四話それぞれ)、十三話、十四話の項目を記入する工程があるので、実は妨害がなかったら6か月分は、短縮する計算だったんだけど、何度も、妨害したせいで、計算が合わなくなってる。がそれは、今後の状況次第。仕方ないからおまけしてゲームのシナリオ読んでるの邪魔しなかったら、ペナルティの一か月短縮してもいい。


全てはルールを守らない人の所為なので、クレームは一切受け付けません。


何故ならば物理的に邪魔されて、準備するときにも恐らく妨害が入るので、一か月に二話更新のペースを守る事が不可能になりました。


後は、邪魔してる奴見つけたら、妨害の妨害をする自浄作用に期待する。


私としては、このまま妨害繰り返されて最悪2,3年後に更新になっても構わない。なお、更新時間は最短でも一か月以上早くならない。

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