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無法者の詩  作者: 唯の屍
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第十二話「掴むは天が墜つる宇宙の星」

※イメージソング

空想科学少年

ポルノグラフィティ

https://youtu.be/xfXQ3uMjJ-w?si=NrNw4Z3OGj6YmyiX


キミノミカタ

岸田教団&the明星ロケッツ

https://youtu.be/6eafsGzoN2s?si=n1ILQhrGxp2VDdhN

急報を告げる戦場は様変わりし、その様相を変えて、事態は緊迫感を増して行く。


それでも俺は、宙に手を伸ばし■を掴む。


果てなき闇を見通すその目に見えるのは?



・・・



・・・



・・・



蒼空が滑落する。この世の何処にも逃げ場はなく。哄笑こうしょうする《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共は笑う。


其処に一切の慈悲は無く、己達の目的を果たす為だけに、それは実行された。


阻止限界点を超え、僚機達が破壊を試みるも、天から墜ちるその空に浮かぶ星々は、


幾重にも重なり、地球への重力に惹かれ、落下する。


大気との摩擦により燃え上がり、次々と僚機達が、その破壊を断念して離脱していく。


「何故だ?やつら薪が、燃料となる人が必要なのになぜ、このような真似をするのか???」


イゴールは、僚機達と共に《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を繰り出し、その光の柱で、


コロニーの解体を試みるが、発射直前にその事に気付く...。


「隊長ッ!!!熱源反応がッ」


「当たり前だろ?もう機体も真っ赤だぁ駄目だと思ったら離脱しろッ!!!」


「違いますッ動体反応もあります。このコロニーには人が乗ってるッ!!!」


「ハァッ??????無人じゃないのか?」


・・・


・・・


・・・


「よろしいのですか?薪の無駄になりますが???」


「奴さえ孤立させれば、問題ない。あの存在のみを手に入れさえすれば、全ての問題は解決する。」


「この程度の事ならば奴は、必ず生き残るだろう。あとは...」


・・・


・・・


・・・



戦闘行為から、一先ず僚機達との合流へと舵を切り、今一度の邂逅を優先する。


安全空域へと、移動し、各機の整備及び破損状況を確認する中、《エンゼルフィッシュ》の機内の中で


久しぶりに再会した第四部隊と第七部隊の面々は...。


其れ迄、ヘラヘラとしていた。男達の顔は、アイジェス達の負傷者無し、MIA(作戦行動中行方不明)無し、それどころか


何処か明るい雰囲気のその光景を一頻り眺めると、突如激昂する。


「はんッぅん?なんだその腑抜けたお遊戯大会は?」


ハルズ=アルマイン...。


それこそ…お前の方こそ、一体何があった?


且つて一緒に闘ったその男は、野性味あふれる伊達男を標榜する様な表情から、頬は痩せこけ、片目を隠す様にたらされた片目は、頭部の側面を生々しい火傷で


髪の一部が焼け焦げ禿げ上がり、虚無の空洞を映すその眼窩は、本来収まっているであろう、淡いブルーの瞳が、その手足の一部と一緒に喪われていた。


ぎちぎちと、油の切れた金属製の義手を響かせながらこちらに歩いてくる。


なにか見慣れない糧食を口にしながらこちらに向かってその言葉を激昂する様に叩きつけてくるその男に、一体何があったんだと?問いかける言葉を呑み込み。


同じくアハト=佐伯は、「…」無言を貫き、憎しみの視線でこちらを見てくる。


その手も、顔も、手足も皮膚も、一部欠損し、且つて、比較的幼く見える東洋系の仄かに、無口で柔和な表情を備えた二枚目の顔から、


そのところどころから、悪魔の手に触れて焼け焦げたように、酷い火傷のが見える。


其之面々は、押しなべて何らかの重症と呼んでも差し支えの無い負傷をしていた。


「第六部隊は?どこだ?」


「ああ、アイツらは地球に堕ちたよ。あの後どうなったかは知らねぇよ。お前らと違って、こっちはあれから大変だったからな。」


(機体は破損するし、燃料や弾薬が付き、食料も尽きた...それを...。で補い。なんとかコロニー迄帰投し、ここまで来た。)


「なんだと...」


「なんで、無防備の侭、落ちた筈の《お調子者》(ストゥルティ)が、なんで生きてやがる?」


「どうやら平和ボケしたようだな。」


此処にくる途中で二機のディエムペルディディの姿を見たが、


二足歩行の人型だったそれが、V8気筒の頭部が健在なものの大きくその形を変え、


脚部はササボンサムの足長な其れへと変り、増加装甲とシールドに使っているあれは、オービットマインか??


更に背面には、独特なテールユニットと、黒い板状の部品が隠れし、


いつの間にか、非対称系のボディへと変ったそれと共にサテュラル(虎型)や多数の様々な腕部が互い違いに乱暴に取り付けられ


その異様な二対の腕部には、且つての機体の面影を残す武装を保持している。


機体各部に使用されているのは、ざっと見た限り恐ら破損した機体を


《傾城魚》(チンチェンユー)《ササボンサム》《マンティコレ(獅子型)》《サテュラル(虎型)》《ファーマ》etcのクピドレスの部品で、ちぐはぐに補強したのだろう。


その激戦の傷跡が、負傷した二人の姿からでも確認できる。


「そっちも...大変だったみたいだな...」「拙者たちも大変だったでござるよ。」


「はんッ、なんだ?どこが大変だったんだ?負傷者も欠員もなく、まさに、ボギー1様様だな、これで俺に勝ったと思うなよ。」


「お前が今生きているのは、お前の実力じゃない。偶々運が良かっただけだ。」


「ここに来るまでの間に辞令を受けたついでに、報告を受けた。偶々、性能の良い機体を貰っただけじゃねぇかよ。それで己惚れるな。」


その様子を眺め、改めて目の前で確認したその事実に、心の中では穏やかでないアハト=佐伯は、以前から抱えていた疑問が氷解する。


俺ばかりか?ハルズ=アルマインや大石さん達を撃墜した。ボギー1が奴ならば、今までの戦果も分かる。だがそれを隠していたことに憤慨する。


始めから知って居たら、こんな無様な結果にはなって居ない。体中に浮かぶ火傷の跡を思い浮かべ


「…」


沈黙したまま睨みつける。


「甘ちゃん野郎たちに俺達の苦労が分かるか?そのまるで全て自分のお陰だという傲慢さが気に入らねぇ」


吠えるハルズ=アルマインに追従し、


「…不問にされたと言え、それで自分の方が上だなんて思うな、俺はまだ負けてない...」


アハトは、言葉短く告げる


「そこまで、嫌われる謂れはないんだがな?」


「はんぅッそれは、貴様が常に、勝利を喝采を得てるからだ。負けた人間の気持ちはわからないだろ?」


「さぁなぁ、俺にも一度も勝てない相手なんて、それこそ彼女を筆頭に、いくらでもいたさ。」


ん?なんだ?と訝しむもその言葉に憎しみの視線を叩きつける。


「いや何でもない、もし仮に、お前と違う点があるならば、勝つことなんて、念頭に置かず。」


「ただ、自分の遣るべき事をやっていただけだ。」


「何度、負けたとしても、真正面で、この両脚で、立ち上がり、そもそも誰が上か下か、勝ち負けなんて知るか!それを決めるのは誰でもない。」


「自分自身だろ?」


「そもそもそれを言ったら、お前だって俺が持っていないものを持ってるだろ?」


「違うのか?」


「他人を羨む前に、自分の両手に乗っている物の重さを知れよ。」


「なんだと、前々からその態度が気に入らなかった。すべてを持っているのにまるで自分は何も持っていないですって、卑屈でお気楽な態度が気に入らねぇんだ。」


「俺はてめぇが嫌いだ。その腑抜けた面を撃ってやりたいぐらいにな?」


苛立ちまぎれに言葉を叩きつけ、憎しみを込められた人差し指を向ける。そして改めてその事に気付く。こいつがボギー1だったと、何も知らないような顔して舐め腐りやがって…


俺は、こんな奴に負けたのか?あの時もこいつが居たら???こんな無様な結果になってなかった。


「お前がいなければこんな結果になって無いんだよ。」


そう吐き捨てた、ハルズ=アルマインとアハト=佐伯の二人は、機体の整備状況を確認し、改めて出された辞令に抗議するべく


ブリーフィングの準備を進めていた。会議室へと怒鳴り込んで行く。


怒号が響き渡り、


そしてその声に驚きながら二人の幼女が、春幸の手を左右からにぎにぎして、なんとかその声に泣きそうになるのを堪えて立ちすくむ。


いつの間にか現れた青葉が、それを背後から、抱きかかえ、優しく抱き止め、


バツの悪そうな表情の侭、一同は、一旦頭を冷やす為にも、食堂へと移動する。


作戦会議については...遠隔参加で、後の対応はヴェニ=ヴィディキへ一任する事にする。


俺が間に入ったらまとまる事もまとまらないからな。


其処に、もしゃもしゃと見慣れない糧食を食べる。スタッフらしき男を、


アンザスが、(。´・ω・)ん?にゃにやら美味しそうなものたぶてますな?


と、「それどんな味でござる?拙者もご相伴に...」と、話しかけたその相手は、


咄嗟に、食べていたそれを隠し持ち、


「これは俺んのだやらんぞ!」と飛び退る


「えー拙者の秘蔵の地球さんのお菓子と交換ずっこせん????」


「男尻さんッ駄目です。絶対にあれ食べないでください。」メッっと、何かに気付いた青葉の注意を受ける。


「すまんな。気にしないでくれ。」


そう言って、止めたモノのその男は、いそいそと、食堂から離れてしまう。


「えーしょんなぁ~」


「アンザスさん、なにか他のモノ食べながら、将軍さんのブリーフィング聴きましょう。」


そう言って両手に幼女を抱えた春幸とそろって、端末を使用して、出された熱々の唐揚げを頬張りながら


その話を聞く。


「そういえば?春坊はともかく、他の子供達も結局、宙に上がって来たのでござるか??」と、もしゃもしゃと咀嚼する男尻は、問うも


「「春兄ちゃんといる―!!!離れ離れやー。」」


「ほほぅ。」


「まぁ、コロニーが墜ちて来るなら、宙に上がっても地上に残っても危険だからな。落下想定地は、計算上本部に直撃するらしいしな。」


はふほふと、食しながら、画面に、ヴェニ=ヴィディキの姿が映し出される。


周囲をひと睨みして、何かを探すも、何かを確認できずに、落胆するも、気を取り直して、説明を始める。


「此れより、アン・フォール・へヴン作戦の概要を説明する」


地上から観測できた映像を分析したところ、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)どもは、月と地球の重力圏が釣り合うL2宙域から、


何らかの推進機構を使用して、離脱。想定では、今頃、月のスイングバイを終えて、我らが駐留する空域をやや大きく東に離れたポイントから


地上のギアナ高地近辺へと、コロニーを投下すると思われる。


我が軍は、東から西進するであろう目標に向かい。《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)による長距離砲撃戦を仕掛け、距離を詰めつつ、


艦船の主砲による集中砲火、及び、保有する機体の共鳴発振、限界まで■■して、先ずは第一陣の破壊を試みる。


ここ迄が、第一段階と、第二段階になる。そして...


ここで、肝心の本命の案については...。


(本人から説明するのが筋だが...何故、この場に居ない?????)


その前にと、ばかりに、演壇の上のヴェニ=ヴィディキに対して、鋭い眼光で睨みつける一団の姿が見える。


「大尉なにかね?」


「何故、俺達の機体の使用許可が下りていない???」


「大尉、それは既に説明した。あれの技術は、人が触れて良いモノではない。あの燃料は...人だ。これ以上あの動力炉を使用する訳にはいかない。」


「だったら何故、あんたらは敵の技術を使っているのか?既に燃料となった者たちは還らない。ならば有効活用する方が良いだろうッ!!」


眼を爛々と輝かせ血走った眼窩を見開いてその蒼い眼で睨みつける。


「緊急措置として、機体そのものの使用は許可しよう。問題は...動力炉だ。新型のそれと換装して使用するように。」


くっそッそれじゃ…が、■■が■■ないだろうが?!


「(。´・ω・)ん?何か言ったかね?」


それでは、本命の案について、語ろう。


・・・


・・・


・・・


怒りに任せてブリーフィングルームから、《ASAP》より出向してきたと思われる一団が歯抜けた櫛の如く退出していく


その背後から、詳しい作戦概要は、端末に送るぞッという声が響き、その後をコーディー=スルーが追従していく姿が、


カメラに映り、そして消えた


それを聞いてか聞かざるか...分からぬまま事態は進んで行く。


・・・


・・・


・・・


場面は食堂のテーブル上へと戻り、相変わらず唐揚げを頬張り、もごもごと、送られて来た資料を眺めながら、


アンザスは語り掛ける。


「しかしアイジェス殿、そんな事可能なのでござるか?」


「理論上はな?ただ、予定通りの出力が得られるのかは?実際に試してみないとわからん。」


そして向かい遭う席に座る蒼髪の少女は左右の子供たちの食べこぼした口元を拭き取りながら、答える


「それなら、私も出るよ。機体は予備パーツを組み上げれば一機分ぐらいは...」


「それは駄目だ。」


「私が信用できないの?」


「いや違う。慣れない機体に乗せて死なせるには忍びない。」


歯を食いしばり、意を決して答える。


「だったら貴方が守ってよ。シュミレーションなら何度か経験してる。それにあの機体、クピドレスのマダを元にして作ってるでしょ。それならよく知ってるわ。」


あの敵味方を酔わせる副作用は、改善されてオミットされているのは分かる。それなら...


「駄目だ。」


まぁまぁ良いでは、無いですかと?アイジェスの頬にそっと男尻を添えると、二人を仲立ちするかのように、答える。


「拙者が、カバーするので無問題ッ!!!!今は一機でも戦力は必要でござるよ。」


「じゃぁッ僕も」


「「「「「ダメです(だめぇー!!)」」」」」


幼女を含むその場の全員から拒絶の意志を伝えられ落胆する少年に、アイジェスは、


「お前には、こいつらの身を守ってもらわにゃならん。戦闘が始まったらノーマルスーツの着用は忘れるなよ。」


「わかってらい!」


にひひと笑う幼女に挟まれ、ふてくされる春幸を他所に、アイジェスは、決意を新たに、


愛機の様子を思い浮かべる。


何もないコックピット内部ではドライブ…稼働率119%の針を指示し、


その横の数字が出番を待ち構えるかのように、静かにカウントしていた。


ASAP《6機》(ディエムペルディディ2機残り全てディエム)と同型の数隻の艦船と合流後、機体の整備や改修と並行し


サイドスワイソン型空母16隻《16隻×20機(10×2)⇒320機》タンデムライド型突撃艇24艇《24艇×4機⇒96機》クルクス・プグナエ《戦闘十字架》(Crux Pugnae)《1隻×50機⇒50機》


にR.I.P一隻《第一部隊+第五部隊⇒8機》エンゼルフィッシュ一隻《第二部隊+第三部隊+α(三機)⇒11機》


カルペディエム482機(内、アンザス専用カスタム機1機)、ヴィキティ1機、デスペラード1機、異形の進化を遂げたディエムペルディディ3機、ディエム40機


に及ぶ、総勢527機の大編隊を以てこの撃滅に従事する。


陣形は、要となる《エンゼルフィッシュ》を中心に、旗艦たるクルクス・プグナエが盾になる様に、前陣を構えR.I.Pが旗艦を守る様に先陣を切り、

それを空母や突撃艇が、カバーする要に展開される陣容をみせ、


船足を最大船速へと移行。敵勢力との交戦予想地域へ、移動を開始する


・・・


・・・


・・・


数時間後、各船舶から、艦載機が次々と出撃して行く。その姿を祈る様に見送る女性を視界の端に捉え、


コックピット内で、笑みを浮かべてノーマルスーツを着込んだアンザスは、差し入れのドーナッツを頬張り、女性もののシュシュに腕を通すと、

満足そうに、出撃の鬨の声を上げる。


「オペレーターより、トルウス04へ、射出タイミングは任せます。良い戦場へ、どうぞ。」


「りょッ!!!アンザス=フライハイ。カルペ・ディエム、フライハイカスタム。満を持して出撃するであります(`・ω・´)ゞ」


開閉する隔壁を潜り、電磁加速を行うカタパルトに機体をセットすると、勢いよく出撃していく。


それを追いかけるかのように、アイジェスは、背後に待機している。青葉機を気に掛け、結局出撃を止められなかった事を思い返し、


その事について、ヴェニ=ヴィディキは、何も告げずに、一言だけ、貴様が責任を持つなら何も言わないと、その話題を一言で終わらせた。


恐らくもしもの時は、撃てよ。と、言っているのだろう。その覚悟を以て、自らもカタパルトへのると


オペレーターに対して指示を出す。


「アイジェス=ブラットワーカー、デスペラードVer0.7ディスラプトハンズHHBカスタム出る。」「BLAST OFFブラストオフ」」


勢いよく先行するアイジェス機を追いかけるように、飛び出し、タイミングをずらして、青葉が駆る蒼く染められたカルペ・ディエムが追従する。


陣容の中央で、白銀の機体を駆るヴェニ=ヴィディキは、大音声の通信を全チャンネルで開放すると


「さて、決戦だ。各機、この作戦を以て、クピドレスへの反転攻勢とする。地上でも、敵拠点を掃討する作戦が展開されているが、全ては、我らが試みに掛かっている。各自、己の領分を守り、僚機を守り、そして人々が生くる。世界を守れッ!!!」


「この宙は、我らが守るべき蒼空だッ!!!散ッ!!!!」


・・・


・・・


・・・


念のため地球の重力の阻止限界点まで、かなり余裕を持った宙域で布陣し、迎え撃つが、目下に広がる。


星の数にも似た、多数の機影が、直進してくるコロニーらしき機影は、未だ遥か後方に存在するが、重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動したデスペラードの


センサーに、熱源に感アリ。恐らく推進機による最終加速への動作を確認。


すぐさま僚機達へと、警戒を促し、そして、進軍を開始する。


彼我の距離までは、百キロ以上離れているもののそれでも、四機編隊のカルペ・ディエムによる《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)ならば届くとばかりに


先制射撃を敢行。


無人と思しきコロニーに対して、砲撃戦を開始。


都合、120条にも及ぶ、飛来する長距離射撃により、宙に緋色の飛沫する悲鳴を奏でる華が開き、そして散る。


天地を呑む程の光の柱を見送りつつ、


アイジェスは、既にヴェニ=ヴィディキと打ち合わせた通り、其れを実行する。


「エンコード...《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》...《一葉灼伏》…15%。」


接敵までの数分、更には数十分の交戦期間で、其之すべての趨勢を喫するべく放たれし一手は、


「その心、姿映し導き出せ。ヴァナヘイム《豊穣の国》…起動!!!!!」


・・・


・・・


・・・


第一陣の砲撃が、敵陣営に直撃する直前、指揮を執るジンボ=ジラマは、《オーグル》こと、アニス=フライヤ-と共に


崩壊した陣容を立て直し、敵の新たな脅威に対して、対抗するべく手段を講じる。


追加補充された、友軍機のリストを眺め...。声を吐く


「敵が使った砲撃は...間違いなくマダの《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)だった。こちらも対抗して、投入したいところだが...」


「《オーグル》よ。敵の機体に関する情報は、どうなっている。」


「はっ(めんどうな事を振って来るなッ)」と、心中で悪態を吐きながらアニスは、まだ自分が仲間と思われていた時に受領した


カルペディエムの操作マニュアルと機密資料のデータを開示する。


「ふむ...」


一読して、答える


「これでは、分からんな?何故、奴らはあれを量産できている。そして何故、一機も墜とせなかった?のだ?あの動きは...《聖痕》スティグマ持ちと遜色なかった。」


「奴らは《聖痕》スティグマ持ちを量産する手段を有しているという事なのか?」


「分かりません。今まであのような現象は、見た事も聞いた事もありません。」


「ただ、考えられるのは…その中心にいるあの存在が原因の可能性が...」


・・・


・・・


・・・



そうか、分かった受領した機体及び艦船を以て対策を取る。


目を落として端末に表示される目録に目を通すと


《ダン・ド・リオン》×1機(MA)

《フレイミングティース(燃え立つ歯)》×4機

《サン・ヴァントル》(腹無し)×4機

《イルベガン》×10機

《マダ(MA)》×28機(4機×28機=112機)

《傾城魚》(チンチェンユー)×40機

《マンティコレ(獅子型)》×40機

《サテュラル(虎型)》×40機

《アマダツ》×15機

《狗頭鰻》(ゴウトウマン)×15機

《ササボンサム》×15機

《アベレ》×20機

《ファーマ》×140機

《アケファロス》×140機

《グヤスクトゥス》×140機

《ピスハンド》×1000機(捕獲用艦載機)


リーティル・ナグルファル旗艦(工廠艦)一隻

ドローン母艦ナール20隻(20機)

戦艦アーガートラーム15隻(20機)

空母艦カレウチェ16隻(20機)

駆逐艦アルナ10隻(4~6機)

哨戒艇チプ15隻(4機)


総勢736機(捕獲用艦載機を含めると1736機)


恐らく薪共は...。《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)による長距離砲撃で、コロニーを破壊しようとするだろう、


長距離砲撃戦に対応できる手駒は...総勢255機か?やや敵陣営に比べて薄い。だが、やりようはある。


それにはあれが使えるが...?


それだけでは弱い。目録にある機体の説明文を読んで、一つ作戦を思いつく...


部隊を…て、奴らを滅ぼし、薪にするぞ?その為には、《オーグル》貴公には...


・・・


・・・


・・・



悠々と敵機迄の距離を100キロ互いの艦船が放つ主砲の射程距離まで、その相対距離を並行してカウントしつつ、その時を待つ。


互いの先制砲撃の数は、此方の120余に対し、81余りではあるが、敵勢力は更に、長距離砲撃戦に対応した、255機のうち遠隔機動砲台たる【falcisファルキス】を展開可能な


機体は90機に及ぶ、其之すべてが複数の【falcisファルキス】を保有し、その一部を残存させつつ、左右に大きく迂回させつつ先行、此方の陣容を崩すべく、迫る。


その中で戦場で展開されたヴァナヘイム《豊穣の国》の副次効果により、戦場に存在する僚機達に、量子コンピューターによる不完全ながらの物理演算により、敵陣の行動を予測し、


各機体毎に繋げられた戦術データリンクにより、仄かな多幸感と共に、その場にいる全員に対して、その恩恵を与える。


スンスン


なんだこの匂いは?機体を操縦するパイロット達に、ノーマルスーツを着込んだ気密性のコックピット内でもその匂いが香り、誰かが謳う、詩が脳内に響き渡る。


いち早く、敵機の接近を察知し、隊を大きく三つに割る。中央部は引き続き敵陣容へと《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を叩き込み続け、


そして左右の陣営から一部を接近する【falcisファルキス】の対応へと舵を切る


三方に別れた自軍の陣形を俯瞰しつつ、その効果範囲から逸脱しない様に調整を繰り返す。


第一陣の《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)が、相対距離を詰めながら、互いの砲撃が空中で正面衝突。60条にまで減じられた砲撃と砲撃が


重なり合い互いの砲門の数が、逆転する。


それでも連続射出する光の柱を操りつつ、敵の牙城を崩すべく狙いを外し、ジェネレーターに負荷を掛けつつ、連続展開。


その光の弾帯が、薙ぎ払う様に繰り出された掃射を以て、敵が誘導してきたコロニーへと着弾させるが...。その手前で、演算結果がブレる。


その結果を予想しながらも、何かの間違いかと、幾人かはそのまま、長距離砲撃の雨を降らせる。


眼前には粒子砲の柱が、何かに遮られるかのように、空中で霧散、散乱、空中分解する。


Σ(゜Д゜)


なんだあれ?


各機体のデーターベース上に送られ、共有した情報がコックピット内のコンソール上に踊る。


《イルベガン》


且つて、古き神話に語られた多頭の人食い怪物を指示すその言葉に、機体各部から突き出した角から展開される、その巨体を覆うほどの光の幕、


360°の死角なしのその多重展開される防御により、此方の砲撃が目標に到達する直前で防がれ、試みが霧散する


ヴェニ=ヴィディキは、悪態を吐く。


「一体、敵の兵站はどうなってやがる。数が?数が多い。なんで?この軍勢が維持できてる????」


「ドンキ・ホーテ、儂は、精鋭を率いて、敵陣に殴り込む。貴殿は、そのまま維持したまま、待機せよ。」


「行くぞ尻男共ッ!」


「了解。」「了解了(リャオジエラ)」「違う私ら男尻好き!!!」「一緒にしないでほしかぁ~」「まぁみんな尻持つ尻合いって事で一つヨロッ!!」「やれやれ...」…


口々に答える、選抜した突撃隊は、


イゴール=マッケンジーを筆頭に、第三部隊+αと、第二部隊、そして第四部隊、第七部隊を引き連れ、


後陣の指揮を大石へと委託。


自らも先陣を斬るヴェニ=ヴィディキを先頭に、背後にアンザスと其の直掩に入る第二部隊、そして右翼を第四部隊率いるハルズが担当し、


サルバトーレ=レトリバー率いる、一機欠けた第七部隊が左翼を務める。後詰に参戦した第三部隊は、欠けた穴を青葉が操る蒼いカルペディエムが埋めながら、


互いをカバーしつつ、友軍機たちの援護射撃を受けながら、敵陣へと突撃を敢行。


その動きに対応するべく、敵陣に動きが見え始める。


前陣の《ファーマ》《アケファロス》《グヤスクトゥス》の混戦部隊が、砲戦仕様の友軍機をカバーするかの様に、


頭部から足元までカーバーする様にビームシールドを展開すると、


戦線を上げつつ、機体に備えられた武装の有効射程距離まで、回避運動を試みながら迫ってくる。


其処に流線型の白銀の機体が、疾駆し、背面の副腕から耀ける銀劫を瞬く、放射する光に当てられ、敵機の防御に阻まれるも、


その勢いに押されて、背後の友軍機と接触、手元が乱れ、その防御がブレる。


穿孔する一撃により爆散し巻き添えになった数機がその動力炉を暴発させ、唯のデブリへと変る。


弾けた破片をその機体に受け、それでも敵機が迫ってくる。


「各員、突撃陣形の侭、各個撃破、兎に角敵の数を減らせッ!!」


飛び出す指示の侭、四機編隊のカルペディエムの二部隊がそれぞれ自らの砲身を持ち寄り、


バレルロールで、機体を入れ替えながら、実体弾を投射、その半瞬後に《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の光の柱が水平方向へと立ち昇る。


放たれた実体弾は、無重力の宙の元で、空気抵抗を受けずに、直進し、敵目標直前で、時限信管により、時間差で破裂。


炸裂する弾帯をばら撒きつつ、放つ次射と共に敵機を薙ぎ払いつつ進む。


敵機からの長距離狙撃は...主に、Carpe Diem(カルペ・ディエム)の陣形を切り裂くべく、《フレイミングティース(燃え立つ歯)》が放つ、《Pyrolysis Toothパイロリシストゥース》の


耀ける太陽の光が、タンデムライド型突撃艇に直撃する瞬間、踊る様に逆進とに姿勢制御バーニア―による急速機動により、出鱈目な軌道を描き回避、


返す刀の僚機の《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の光と交錯して、干渉しつつ波濤を起こして、互いの狙いが外れる。


《サン・ヴァントル》(腹無し)のビームウィップが迫るも、長距離砲撃戦に移行した、カルペディエム部隊を撃ち落とさんと振るわれるが、


集結と散開を繰り返し、撃ち合う僚機達には、触れる事も出来ず、その刃が切り払われ、光のシールドに護られた防御を破れぬまま、事態は膠着。


「フレンドリーファイアーには気を付けろ。互いの射線を予測して、敵だけに当てろッ!!!」大石の指示が飛ぶ中


躍る様に敵機の砲撃を回避する。母艦たちは、短距離レーザー誘導の弾体の誘導を切って、人の目視による照準に切り替える。


予測演算による直撃コースに乗せて宇宙空間では空気抵抗を受けずに進み続けるのを利用しての長距離攻撃に、敵の思考誘導弾の波が、押し寄せ、炸裂。


一手も通らぬ状況の侭、攻撃の二手目は、敵陣に突撃した。ヴェニ=ヴィディキたちの趨勢に掛かる。


「はッ、こんなのチマチマやってらんねーぜ。アハト、俺は先に行くぞ。着いてこい。」


「《自信家》コンフィデンス02、03、04。その新型動力炉とやらの性能を魅せて見ろ。完熟訓練が出来ていないなんて言い訳するなよ?」


「「「了解」」」


いつの間にか機体を複座式から単座式へ改良したディエムペルディディから改修型のディエムに乗り換えたコムラ=ガエルを筆頭に、仲間達が了承した旨を返す


「…」


「アハト、分かってるな?と」サルバトーレ=レトリバーは、僚機に向かって告げる


「分かってる。内から出した裏切者は、俺達で対処する...腹無しは、俺の獲物だ。」


「違うだろ。俺達の獲物だッ!!!」隊を預かる隊長が鼓舞し、「吾輩は仕事をするのみ。残業は御免だな」と、残りの一席が欠けたたままに


本来その場にいるであろう僚機の姿を幻視し、意を決して、四機編隊の第四部隊と三機編隊の第七部隊の面々は、フットペダルを強く踏み込み加速。


互いに右翼と左翼に展開していた数機の僚機達がそれぞれの獲物を求めて、交差しながら、敵陣に切り込んでいく。


「おぃ、貴公ら勝手な事を、将軍の指示に...」、イゴールが慌てて異を唱えるが、


「よぃ、勝手にさせて置け、自分の尻は自分で拭かせろ。」


「いま、拙者を差し置いて男尻の話しました?」


「ええい、ややこしい。男尻は黙っとれッ!!!」


しゅんっ


男尻は今、収穫最盛期なんだけどなぁ...とアンザスはブツブツ告げる。


「我らは、敵陣容を崩しつつ、あの砲撃を無効化する敵機を片付けるぞ?ついてこい」


その命令と共にヴェニ=ヴィディキもスラスターの勢いを増して、閃光の波濤が舞い散る敵陣へと斬り込んで行く


「でも、360°防御可能な敵を倒すってどうするんでござるか???」


「それは、戦いながら考えるって事でしょ。行くよ尻男ッ」リン=山崎が答える。


更に三方へと別れた突撃部隊は、それぞれ、


第四部隊は、敵陣を乱すべく、自軍の右翼側から突撃を敢行


第七部隊は、中央部の《サン・ヴァントル》(腹無し)の排除に向かい


第二部隊と第三部隊は、先行するヴェニ=ヴィディキの跡を追って、敵陣の右翼、自陣からみれば左翼側を中心にして疎らな防御陣形を敷く《イルベガン》の排除へと向かう


先行するハルズ=アルマインが、天球から降りしきる光の星の輝線を戦う人間の気勢を制止ながら、吠える


違い違いにお互いの死角をカバーしつつ、敵陣に到達した頃、其れ迄、散開状況で進軍していたそれに、目新しい動きが見える。


砲撃戦仕様の機体が後方へ退避しつつ、比較的射程距離の短い機体と考えられる機影が、接近戦のドッグファイトをしかけに大きく弧を描きながら


多方面から接近してく。併せて姿勢制御用のバーニアを最大噴射、狙い撃ってくる光の柱を器用に回避しつつ、


本来ならば義手と義足で、反応速度が落ちていると思われた、その軌道が鋭角を刻む稲光となって空中を疾駆する。


その動きは、ややぎこちないモノの人の動きの其れに酷似していた、振り上げる四ツ腕の内、新たに《サテュラル(虎型)》より移植された、その爪牙が、すれ違いざまに


機体を薙ぎ払いつつ、空いた手から射出する。五連装の大型ビームライフルを構え、機体各部の実弾兵装。頭部バルカンと、遅延信管式のグレネードを投擲、制圧射撃を敢行。


五つの光の放射が、光る盾の粒子光と接触、向かってくる機影の防御の左右を抜けてに突き刺さり、爆散する。


伸びる足元を変形させ、大型のビームクローを露出させながら、跳ねる様に切り替えた瞬間、上下逆転で蹴り上げるその刃劫に刻まれ、


数瞬の間に三機が、手足を失い。その動きを止める。


元の姿へと戻りながら鋭い爪をその機体に掛けると


弄ぶかのように機体を上下させ、振り回されたコックピット内で搭乗者が叫び声を上げつつその時の終わりを待つ。


何を思ったのか、頭部を近づけ牙あるその機構の口が開くと、何かを啜る様に、その機体内部に取り込み始める。


その隙がありそうなその背後から迫る機影に対して、背面のテールユニットを起動。義手と連動させた。その機構が、目視することなく反転、


想定していた最大出力を大幅に超え発振するその銃口が、背後の敵毎、複数の機体を巻き込み、その毒針の毒牙に掛けていくが、


その狙いは、コックピットやジェネレーターを避けていく。


多数泳ぐ敵に囲まれる不利な状況であっても、その目は爛々と輝き、そのテールユニットが、ケーブルを伴いながら離脱。


発振する刃を放出しつつ、変則軌道を掛けながら背面の更なる敵に向かって襲い掛かり、達磨にしていく。


獲物を啜る僚機に対して、カバーに入ったコムラ=ガエルは、


イテテ、足がつった...と声を上げながらハルズ=アルマインへと語り掛ける。


「食事の時間ですか?あとで私もご相伴に...それよりもジェネレーターは換装したんじゃなかったんですか?大尉」


「はッそんなくだらない命令に聞いて居られるか?」


「交換作業は偽装した。」キョロキョロと周囲を見回し、群がる敵以外他の僚機が居ない事を確認しつつ、その情事に耽る。


(技官のコーディー=スルーは、俺達の考えに同調してたからな、実に簡単だった。)


円周軌道を描くテールユニットに対して、敵機が撃ち落とさんと、射掛けるがその独特な変則軌道に惑わされ狙いが定まらず


その隙に第四部隊が駆る。改修型のディエムの集中砲火を喰らい、爆散していく。


次の獲物は...舌なめずりしながら、その目標を探し、何やら旨そうな邪魔者を見つける。


情報連携されたデータベースと照合するに機体名は、《アマダツ》《狗頭鰻》(ゴウトウマン)の一集団、


その特徴的な上下に別れた機体全面の砲身から大質量の粒子を放射し、接近する自機たちに狙いをつける《アマダツ》に対し、


大きく弧を描きながら3時方向から10時方向へと抜けていく。敵もフレンドファイアーを気にして狙いがつけられないまま、


真反対の軌道を描き、近付く毒針に襲われ、その機体を毒針に侵され、操縦系統にERRORが奔る。


「旨そうな奴だ、俺の腹を満たさせて貰おう。」


突き上げる様に繰り出した光纏う刃の発振をひと際高く発振し抉る様に繰り出し、その左右対称のあべこべに取り付けられた、左腕と右腕を

振るい、目標の解体を実行


其処に眺めの躯体を捻りながら踊る犬頭の頭部を持つ、蛇身にもにた

長大な巨体をくねらせ接近してくる。


機体の各部に空けられた丸い穴。砲口から多方面に対して光の放射を浴びせかけ、それらに晒されながら、


獲物を啜る暇もなく、長足に備えられたスラスターを点火、


直前で、回避し、迫る《狗頭鰻》(ゴウトウマン)に、腕部で保持した多連装のビームライフの引き金を引き絞り、制圧射撃を行うモノの、


敵機がその破劫に触れるも、何かに阻害されたのか?直前で光が歪曲し、明後日の方向へとズレる


それでも獲物を逃がさぬように爪牙を振るい接近戦を試みるが、

すれ違いざまに切り裂く刃が触れる間も、その刃は通らず、


神経接続による。感触がその手にその理由(ワケ)を知らせる。


その機体各部から排出する。鰻の如き液が、その刃を光を滑らせ

無効化させる。


(・д・)チッ


と舌打ち一つ繰り出して、テールユニットの一部を呼び出し、


一基の神経接続弾頭を射出。伸びるワイヤを引き連れて、


上空から迫るその一射を以て、敵の機体へその一撃を突き刺す。


破裂する弾頭を残して、ワイヤーが巻き取られ、仄かにその装甲に

孔をあけるも、その存在は依然として健在


それでも獲物を狙うハルズ=アルマインは、その獲物にかぶり付くかのように吠え狂う。


「こいつは、俺の獲物だ。誰にも渡さんッ!!!」


空いた穴に爪牙を突き刺すと、握り込んだグレネードを遅延信管で突き入れると、


離した刃を再展開、震える発振機構を突き刺し抉り、その身を三枚に

引き下ろす。


その終点に達成した瞬間に起爆、誘爆を繰り返しながら長大な機体が沈黙する。


次だッ!!!!


一方、隊の一機を喪い、三機編隊となった第七部隊は、異形の形となったディエムペルディディを駆る。


独特の形状の四連銃身のライフルと、左腕のマウントラックに備えられた近接用の実体剣を引き抜き、


追加された、ハルズ=アルマインとは逆向きに歪に形成されたその威容な腕と共に増設された、オービットマイン。


《傾城魚》(チンチェンユー)より鹵獲し、装備されていたそれらの盾を使用して、器用に降りしきる弾幕を防ぎながら、


四連銃身のライフルで敵機に狙いをつける。稼働モードを斉射モードから、連続射出モードへと変更、


回転する銃身から断続的に射出される。ビームガトリングの偏差射撃を試みる。


一発、二発と敵機のビームシールドがその攻撃を防ぐも、断続的に放たれるそれに、シールドの防御がブレる。


直撃を受けたパイロットは、ブレる操縦桿をしっかりとつかみながら応射を加えようと引鉄に手を掛けるモノの脚が止まった瞬間に、


粒子を吐き出しながら稼働する実体剣の刀身に貼り付けられた赤熱化する金属と反応し、そのまま敵機のビームシールドごと両断する。


それを見ていた敵機の集団が、手持ちの獲物から光の一射を、狙いを付けて放つ。


その一撃は狙いを外さずディエムペルディディに直撃するモノの、発光する刀身に遮られ、切り払われ無為に終わる。


構えた四連銃身のライフルのモードを並列励起モードへ偏向、四つの銃身が中央部に集まり、盛大な稲光を発露し、


急速に膨れ上がるその粒子を以て、敵機のビームシールドを貫き爆散させる。さらに背後から後ろの死角をカバーするかのように左右に展開した。


二機の改修型のディエムがアハト機を中心に、ビーム攪乱幕用の実体弾を遅延信管で発動。


三機の編隊が、戦場を通過する絶妙のタイミングで発動し、アハトたちの接近に気付いた。《サン・ヴァントル》(腹無し)の一団は、


4機中の二機が、対艦船用にその場にとどまり、周りの友軍機に指示を出しながらのこりの二機が迎撃体制へと入る。


降りしきる光鞭の雨を左右の僚機が時間差発動するビーム攪乱幕の防御で切り抜け、それを盛れた僅かなその尻尾をアハトは、


手に持った実体剣と、爪牙を以て切り払い着実に自機に纏わりつかせた赤熱する金属…オービットマインに熱量を蓄積させそしてその解放のタイミングを図る。


「あれは?アハト機だな。となると左右に居るのは隊長と...今は敵を墜とす方が先だッ!付き合ってられん。」


だが一向に敵機を撃墜する事が出来ず。徐々に友軍機の陣営に焦りが見え始める。


また、遠くで駆逐艦の一隻が撃沈する姿が視界の端で確認できる。今頃敵陣には、迂回展開させた【falcisファルキス】が到達している筈。


それに合わせて集中攻撃すれば...敵は総崩れになる筈。相手をしている暇はない、それまでは...


其処に突撃しようと進行する三機の機影が、二機の《サン・ヴァントル》(腹無し)の一団と接触する。


「…」


あれは一度動きを観た。あの日から何故か調子が良い。あれほど苦戦した奴等の動きが手に取る様に解る。理解し行動を分析して、次に何をして、どう避けるかが分かる。


きっとあの激戦を過ごした経験がそうさせるのだろう。


地上の甘い空気を吸ってきた奴等とは違う。当て外れなその思いに気付かぬまま、戦闘は継続され、そして事態が動く。


それまで、左右に展開していた【falcisファルキス】一団が、目測ではCarpe Diem(カルペ・ディエム)陣営を切り裂くはずだった…


ナンネン=ハイマン艦長は、一体何が起きているのか?頭の中では理解しつつもその状況を理解できないでいた。


発令艦橋を船体内部へと格納し、臨戦態勢へ移行し、最大船速で、コロニーの迎撃に出たモノの敵との相対距離が、いまだ主砲の射程距離まで入らないまでも、


実体弾兵装による慣性射撃による長距離発射を試みるがその全てが、敵に着弾し、そして敵から降り注ぐ光鞭の乱れ撃ちを何故か脳内に響き渡る


その詩と共に、操舵手が「ロックンロールだッ!!!!」と何かの熱に浮かされるかのように、大幅な軌道変更をし、その直撃を回避。


「速力は、そのまま、ランダム回避行動開始ッ、射線を確保次第、撃て。弾幕は密に、ビーム攪乱幕は、僚機と連携して展開しろッ!」


「それから…」


此方が、弾幕の照射。ビーム攪乱幕やダミーバルーンの投射にタイミング、其之すべてが指示を飛ばす前に完了し、今も、慣性機動を掛けながら器用に僚機達を避けつつ、


船の尻を振りながら、その攻撃に対処する。艦影が、瞬く、砲撃に晒され、


あわや直撃、するかに見えた光波の波も、複数のカルペディエムがビームシールドを重ね、強制発振させ、長大な光の盾として、その攻撃を防ぎ、返す刀で砲撃の応射を繰り返す。


問題は、接近しつつある【falcisファルキス】とブラットアンカーの奇襲の対応だ、左右の自陣では、射撃モードを収束から拡散モードへと換えた


カルペディエムの一団三分の一ずつ割り振られた都合、20余条あまりの《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)が拡散モードで放射される。


逃げ場のない広範囲に広がる。砲撃の数々が放たれて、左右の陣地で、何かが破壊される光が、空一面に描かれる。その光景は、地上の一部地域で開催される花火の光にも良く似ていた。


パラパラと舞い散る線香花火がその弱弱しい火花を散らせ、爆散するそれを見送りながら、第二波を警戒しつつ、稼働するジェネレーターを休ませ、戦場はまた別の場面に移り替わる。


二機の《サン・ヴァントル》(腹無し)の一団と接触した、第七部隊は、振るわれ展開される光の鞭を器用に避けつつその隙を伺い。


意を決して、アハトを中心に突撃体制へと移行する。


振るわれる湾曲するその刃を、振るう赤熱化する実体剣の装甲材に触れ、その熱量を奪い取り、その攻撃を無力化。


組合わされた、武装の数々を使用させ、更に袖口から射出した発振機構を四本腕の空いているマニュピレータを稼働しつつ、


いつかみたクリップ型のビーム発振器に束ねて、実体剣の接続部へセット、震える刃が熱量を放出しながた、振るわれ。


溢れ出たその刃を以て、振るう光鞭の先を切り裂きながら、僚機の援護射撃を受けつつ、右往左往する敵機の混乱する一瞬の隙を突き、その腕部を切り払い、吹き飛ばす。


武装の一部が破損しそれでも空いた穴から多数の光鞭を射出、溢れ出る光る触手の乱舞を


構えた実体剣を最大解放、その刀身から光るフレームの一部が覗き、一刀を以て突出し、吐き出される粒子の解放と共に払われた剣が、


大きく展開され刀身が彼我の距離を一気に詰めて、振り払うようにその細身のフレームを両断し、そして伸びた刀身が戻りつつ、手元に戻る。


排熱される機構を以て冷却を最大限に、次弾の準備に取り掛かる。


その瞬間背後から迫る光る触手の応酬を後ろすら振り返らずに、一閃、切り払い。展開される爪牙の刃との二刀流で、切り払い、


次の獲物であるもう一機の《サン・ヴァントル》(腹無し)に対して、機体を転進し、滝昇、鯉の如く、龍にならんと断ち昇る。


周囲に展開される。ビーム攪乱幕の投射により、俄かにその効力を減じられたそれらの攻撃に対し、、切り払い抹消するその実体の刃が踊る。


距離をあけて光鞭を振るう敵の姿に、ガトリングモードの四銃身ライフルで、偏差射撃を敢行。


振るう刃を以て、叩き落しながら急速機動、上下左右に舞いながら、僚機を盾にして、此方の攻撃を防ぐ、その動きに、


苛立ちを隠せぬまま、震える刃を発振し、刀身を伸ばさず、連結したオービットマインを射出、周囲に展開しつつ、振るう刃の光の熱を吸収しつつ、


脚部の大型ビームクローを展開、都合五刀流の刃を操りせまる刃を上下左右に斬り払い続ける。


相対する《サン・ヴァントル》(腹無し)は、宙に信号弾を撃ち出し、友軍機への救援を求む。


それを視野の端に確認した《オーグル》ことアニス=フライヤーは、(・д・)チッ一先ず成果の上がらない砲撃戦を放棄して、三対三の高速機動戦を


しかけ、其の意図を受け取るかのように、五月雨式に打ちあう軌跡を描きながら互いに放つ一撃に巻き込まれ、


一般兵らしき機影が、次々とジェネレーターに直撃を受け、誘爆し、被害を拡大しながら、舞い踊る。


「…」


(敵の動きは、中心のアニスに比べて他は、精細を描いている。動きが手に取る様に解る。修羅場を潜り抜けた結果なのか?この程度なら数合以内に墜とせる。)


戦場の趨勢が徐々に傾き始める最中、《イルベガン》の対応に向かったヴェニ=ヴィディキと第二、第三部隊の面々は、即席で参戦した青葉のぎこちない動きをカバーしようと


動くが、蒼く染められたカルペディエムを駆る少女は、周りの僚機達と遜色のない動きを魅せる。


何機目かの敵機を撃墜し、涼しい顔をする少女に向かい。


機体の尻を振って鼓舞しつつ、その汚い尻をしまえとばかりに第二部隊の隊長機が蹴りを叩き込む。


叱咤激励され、尻をフリフリ、大型ライフルを収束モードに換えて、四機編隊を二対に分けて、二方向に向けて砲身を発振共鳴させ震わせる砲撃を乱れ撃つ、


都合、ややこぶりな四条の光の柱を放ち、周囲の敵を屠りながら、其之側杖を喰らい爆散する姿を視界の端に捉えつつ、


降り注ぐ敵機の攻撃をワイヤー射出するテールユニット及び、展開する偏光フィールドを全開に先頭に立つひと際異彩を放つアンザス機は、


周囲に、ヴェノムレイン…光の毒針を放射状に撃ち放ち、ケーブルを操りつつ、敵機の襲撃を警戒しつつ、降り注ぐ光の弾体を弾き散らしていく、


「先行する。」


短く断りを入れたヴェニ=ヴィディキは、アンザス機の防御の影から身を躍らせると、周囲に副腕に備えられた銀劫の砲身を瞬けさせると、すれ違いざまにまた一機撃墜し、


12時方向の眼下へ、僚機が放つ遠距離砲撃を防ぎ、コロニーへの攻撃を邪魔する存在に対して、砲身を向け照射するモノの


展開された光る盾に阻まれ、機体まで届かない。


光の盾に護られて、攻撃の一手はないと思われたその瞬間、周囲三百六十度ぐるり囲むように展開されていた。


思考砲台の【falcisファルキス】が乱れ飛び、何もない空間に射線を描くその小口径の光の網目を


その狙いを把握しつつ、機体を傾け回避、飛び回る実機を切り払う実体剣を振るい叩き落し、可変式の副腕の砲台を操り


一基ずつ処理していくも、敵の防備は頑強そのもの。


そこに割って入った。四機編隊の二部隊が至近距離から放つ、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を展開。


水平方向から、斜めに切って落とす射線を描き、複数の機体を巻き込みつつ、その防御を押しつぶさんと振るわれるが、


機体から突き出した基部を中心として展開される盾により防ぎ切られるかに見えた瞬間に、遠くから飛来する別の部隊からの


《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)が長距離射撃の間合いから飛来し、一射目の射線と重なる様に放たれたそれを


銃身の発振を生じさせた、フォーメーションから、分離四機に別たれた、機影の中心部を通り抜けた、光の柱が、


一度目の射撃が着弾した直後に更に突き刺さり、そこに...。


「狙い目だ、尻男ッその無駄尻を重ねろッ」


そう叫ぶ老兵は、振るう様に天高く伸ばしたその切っ先を、真一文字に振り払うと同時にその機構を解放する。


コックピット内のコンソールには...《Pyrolysis Edgeパイロリシスエッジ》の表記が踊る。


虹色の炎を纏った、熱分解の一撃が、戦場を横断し、直撃若しくは機体を掠めた敵機をその膨大な熱量で、罪深きその装甲を焼き散らし、燃やし尽くし、コックピットシートと共に、蒸発した。光景を眺めながらも、


お尻はそのぷりぷりの男尻を振り乱し、寸分たがわぬ、その炎の刃に重ねる様に、テールユニットを分離伸びるケーブルの先で、光る毒針の掃射を注ぎ、


独特の破砕音を奏でながらも、その劫壁が、叩き割られ霧散する。


毒蛇の牙たるその光に侵され、対象機体の装甲へと、徐々に蝕み、崩壊の一途を辿り、前面を覆っていたその光彩が、衰えた


その瞬間に、戦術データリンクによる思考統一で、隙を察知した僚機達の《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)が


突き刺さり爆散させる。


半壊したその機体を眺めつつ、半身半傷の侭浮かぶ機影に対して、次射までの冷却完了を知らせるクールタイムのカウント眺め次の一手をなんとする。


未だ健在の敵機は、防御から、その突き出た突起物から全方向へ照射する。粒子の槍を放ち始める。


やや、撃つべき射線の一部が破損して、その放射する光に陰りが観えるモノの先に展開された【falcisファルキス】を


持って迎撃に入る。


左右に旋回しつつその狙いを外す。二対の四機編隊+αのヴェニ=ヴィディキが、その光芒の攻防を避け、動きを予測し、


大型ライフルの収束モードを拡散式に切り替え、放射状に放たれる閃光の散弾を右往左往するその基部へと叩き込みつつ、


敵機の一団が友軍機をフォローするべく次々に集まってくる。


ヴェニ=ヴィディキは、自らが駆る銀鱗の装甲を一部、開放。


飛翔する龍鱗の如く、とがった先端を翻し、飛翔するそれが、空を泳ぐ死神の鎌と、競演を果たす。


ガスガスと、音の聞こえぬ無音の空間で、物言わぬ金属片の刃が、震える様に振動し、


敵の基部をズタズタに切り裂きながら飛翔、そして展開される、都合12枚の震える鱗は、敵機を解体しつつ、


互いに撃ち落とさんと、宙に局線を描きながらドックファイトを互いに、仕掛け、


其処から漏れ出た目標を振るう実体剣で切り払いつつ、そのギミックを解放させる。


此処は重力のある地上じゃない宙だ。前回の様に全開戦闘を人の盾で、制限されぬからな?とばかりに、振るわれたそれは、


奇妙に刃渡りを換え、その形容変えていく。冷却状態を維持したまま、その刃を加速する電光を纏いながら、カッターの刃の様に分離射出。


撃発され飛翔するその刃が、敵機の射線を潜り抜け一発、二発と、次々と着弾し、光り輝く光子を振り撒きながら、突き刺さり


機体内部へと潜り込んだそれが、コックピット内部で、コントロールヲ喪い、右往左往するパイロットの断末魔を残し、


その刃が機体中央部…人が居るであろうその場所で集合し、何かが潰れた音共に、哀しげになく声をその耳に残したまま


そのフレームを切り裂き上空に飛翔し、再びその手に持つ二刀の刃へと舞い戻る。


敵の防備の一機を屠った物のその陣容は未だ厚く、コロニーへ弾着する。砲身の数は依然として、増えない。


このままでは、阻止限界点まで、間に合わない。


状況はやや、有利なものの時間的制約の為、完全にその趨勢が決したとも言えず。


戦う僚機達の尿漏れの心配も出てくる。


「隊長、ビームシールドの残量はあるますが?残尿感が途切れませんッ!」


「尿漏れパッドの交換を具申します」


「右に同じく」「左に同じく」「中央でも同じく」


「隊長、尿漏れ激しく、被害甚大、溢れちゃいそうです!!!!」


「ええぃ何を言ってる。依然として損耗率は軽微。尿漏れがどうした、俺は恐ろしくて糞を漏らしたぞ!!!働けッ!!!!」


第五部隊の面々は、腰が引けたままでも、母艦へとの直撃コースに対して、その機体を合わせて、発振する効果を重ねて


ビームシールドを展開しつつ守りに徹する。その攻撃は、いつも通り狙いが当たらない物の、十分な戦果を与えつつ、


じょぼじょぼと糞尿を漏らし続け、不満を漏らし続ける。


その様子を眺めながら、ナンネン=ハイマン艦長は、徐に勝負に出る。


「本艦は、是より敵陣を突破し、コロニー破壊へと向かう。後続の艦船は続け、良く分からんが、敵の弾なぞ当たらぬ。」


「各機、主砲及び副砲に、残りのミサイルを投射しつつ、CIWS(近接防御兵器/機関砲)を起動。突入後、敵の攻撃を防ぎつつ、曲芸飛行を行い、各座砲門の一斉掃射でコロニーの破壊を試みる。続けよ。」


やれやれ…自陣の中央部で、機体制御に専念していた。アイジェスは、物理演算による予測で、阻止限界点までの展開を読み切る。


此処で勝負を掛けなければ、其れら、全ては地球に落下する。


「《頭脳》セレブルム01、本機は、是より敵陣に突撃して戦線を押し上げる。」


僚機達に、この光の輪の範囲外に出るなッと、厳命し、「戦闘を継続、それぞれが最大限の奮闘を期待する。」


(。´・ω・)ん?


大石は、八面六臂の修羅と化した、モノノフのその声に応えるべく、頭を巡らし、了承する。


「各機、これより攻撃を第二段階へと移行する。最大火力を以て、集中し、あのこけしを破壊するぞッ!!!」


その声に応えて、やや疲れが見えるも、投射する光の柱の数が徐々に増え始める。当初伏兵を、警戒しながら、展開していた


砲門の一部が、コロニー攻撃へと加わり始めていた。


それでも…何かを察知して、警戒を厳にとのオーダーも引き続き継続。


アイジェスが駆るデスペラードは、耳に残るフレーズの一節を口にしながらも、一昔前の合成音声の誰かが作った詩が流れる。


その声は、誰かも知らぬその音階を含んだものの、何処か懐かしく、訴え掛けるように心に届く、


機体各部の推進機構をフル活用し、両手に掴んだ獲物を構え、一対の浮遊する盾が、


いつか見た光景の様に周囲を回転しつつ中央の機体を堅固するかのように舞い踊る。


遠く星空の先から瞬く、砲撃の光をすれすれで回避し、あるいは、その赤黒いフレームを露出する盾が、粒子を四散させながら、突き進む。


銃身を構えて、目標に照準を合わせて、引鉄に手を掛けるが、


目標とされた機影を確認し、データーベースと照合。それまで僚機達からの火線に晒されず、無傷のまま直進してくるその姿を


視認し、そのスカートを履いた女性の様なフォルムの機影が、僚機と思われる機体を引き連れ、現れる。


コンソール上に踊る《アベレ》の文字に、嫌な予感を感じ取るが、物理演算による想定によると、脳内に、人間の盾を使う卑劣なその存在に


思い至る。僚機達が、狙い撃てなかった理由に気付く、


敵機は、主機たるそれが狙い撃たれぬように、一般人を乗せた機体を前面に押し出し、自らに長距離射撃の射線が及ばぬように浅知恵を試みる。


その姿に不快感を表しつつ、その対策を講じる。


稼働するマニュピレーターを背面に集中させ加速させるまま、進む。


CQC(Close Quarters Combat)…近接格闘による、人質の解放にはその距離は離れすぎ、実行できず。


CQB(Close Quarters Battle)の距離までは今一歩足りない。


構えた銃身の照準を僅かに下方へと向ける。ジェネレーターとコックピットの直撃を避けつつ、墜とすには、その手足の端から落とす必要がある


機体全面を覆うように展開されるビームシールドを、器用に避けつつ、その防御が薄い。足元へと照射する。


刹那の瞬間に、瞬く、収斂された一撃が、前面を覆う光の幕を撃ち抜き、その脚を止めさせ次射で、獲物を持った右腕を吹き飛ばし、


その攻撃能力を奪い始める。応射を回る盾の軌道で防ぎながら、思案する。一基の盾を防御にもう一基を敵機が挑発する様に踊り舞う


方向へ差し向け、射撃戦を繰り返しながら徐々に接近する。


足元を狙撃するには...その機体を逆さに反転しつつ、狙いを定め、コックピット内外で展開される重力場のアシストを受けて、


三射、四射、誤射を恐れず狙い撃ち五射目の光が四機目のアベレの脚部を撃ち抜きその脚を止めさせる。


其の最中、人間の盾の影から、差しだされた円錐状の槍から放出されるビームラムが襲い掛かる。


その一撃を回避しつつ、明後日の方向からササボンサムらしきその基部から照射される長距離狙撃を浮遊する《HHB》を操り盾として防ぎ


返す照準を見定めるが、やはり人間の盾とする思考誘導機を壁として、攻防が重なる。


スカート上のスラスターを、たくし上げるかの様に展開し、円周上に展開冴えた光刃を揃えた大型のギロチンを携え、


破損した脚部や腕部をそのままに、数機の突撃する。四方八方から迫るギロチンの刃に、対峙しながら、天地を逆手にし、


慎重にその狙いを付けた一射が、明後日の方向へと射出される。


それをあざ笑うかのように盾から陰を表わし、攻撃の手を緩めようとしないそれに対して、


外れた一撃が敵機の背後に忍び寄る《HHB》に命中すると、親和する黒く赤く輝く異質な光を放つ、偏向フィールドを展開、


その一撃が、その勢いを殺さぬまま偏向され、背後から卑劣なその存在に突き刺さる。


姿勢制御を兼ねたスカートごと斜めに撃ち抜かれた機体が失速するまま、離脱し、そこに逆天井の機体が放つ一撃が


前方の展開された《HHB》が、その光を遮り、転調す。


黒く赤く輝く、その弾丸は、敵の主機を撃ち抜き...。急速に展開された重力崩壊に巻き込まれ、黒い球体に圧搾されつつ


圧壊し、その姿を塵へと変えていく。


思考による誘導を喪い戦場に漂う。それらの機体に対して、重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動。


無事を確かめながら、僚機達に回収を指示し、自らは戦線を離脱。浮遊する《HHB》を回収しつつ、その敵の狙いを外しつつ、宙を翔ける


幾度目かの応酬を重ね。


クルリと回る一対の《HHB》が水平方向へ筒状に旋回し、その中空の産まれる。黒球上の何かに両手の獲物を一射し、


放たれた閃光が、その球体に触れた瞬間に、放射状にはじき出された。赤い光を纏った漆黒の閃光が、


その射線を大きく曲げつつ、同じように人間の盾を行使するその存在に突き刺さり爆散させる。


続いて、回転する《HHB》の斥力を展開するその中央部に機体を差し込むと...機体の加速度を最大化し、目標の戦域へと


宙を奔る一筋の弾丸と化して、射出する。


赤雷を纏い、奔るその姿に、不思議なものを観るかのように通り過ぎるそれに、気付かぬまま、乱れ撃たれる粒子砲の一撃を


巻き散らし、戦場の華を咲き散らしながら、その戦場へと到達する。


逆さのまま、《傾城魚》(チンチェンユー)が前面に構えたオービットマイン毎、その着弾した、衝撃に貫かれ、


コックピット内では多大なる衝撃に身を晒し、展開されたエアバックが衝撃で破裂。蹴破られたハッチが圧搾され、


抜き刺し、姿勢制御の推進機構を逆進させ、離脱後、衝撃でジェネレーターから漏れたエネルギーが逆流し、ショートした瞬間、


「あ”ッ」その一言以外話す事も出来ないまま緋色の炎を巻き散らしながら、周囲に爆散した破片が巻き散らされる。


そして、目下の目標へとその視線を覗かせ、遠く離れた《HHB》を手元へと呼びよせ、


第二部隊と第三部隊たちが、撃ち合い攻めあぐねている敵陣から見て右陣に集中する《イルベガン》に対してその照準を合わせる。


再びの加速を行い。


光の壁面を展開するその獣に対して、有効打を与えるべく、ジグザグに奇跡の様な軌跡を描きながら、


それでも襲い掛かってくる敵機を蹴り上げ、その反動をもって加速し、跳躍と同時に、ゼロ距離射撃の一撃を放ち、撃墜


加速と一撃離脱を繰り返し、徐々にその戦闘空域へと肉薄していく。


エンコードにより解放された機構に更なる一節を書き加える。《奏魄魂業》(そうはくこんごう)...。


且つて別たれそして、集うた。その肉体と魂を和合し、繋げる。


機体色を三色のトリコーロールカラーから、白と黒の二色の色分けされた機体が、


発振する粒子の色をそれまでの緑から黒い指向性を持たされた粒子を赤雷の光が包み込むように変わる。


周囲を漂う。その淡い光に包まれながら、


コックピット内のコンソールにカウントし続ける数字が、その数を減らし、吠える様に、唄うように、願うように、その引き金を引く


思考の創造と予測を超えろ


「お前の力を見せて見ろッ!!!」【お前の意志を見せて見ろッ!!!】


周囲を取り囲む敵が、その咽かえるような、その匂いに反応し、一斉に狙いが、その存在に集まる。


急加速と急制動を繰り返し、乱れ飛ぶ光の乱舞をその光が生じる直前には、その射線から...。


既にその陰は消え去り、次の瞬間には敵機の目前に跳躍、


ゼロ距離で連射される。その迫撃にさらされ、その装甲、脚部、腕部、武装が、バラバラに解体されて行く、


沈む敵機に蹴りを叩き込み更に加速し、乱れ飛ぶデスペラードは、目標の《イルベガン》に向かって、射撃を繰り返すものの


弾け飛んだ、光壁の装甲を消し飛んだ瞬間に再展開を繰り返し、迎撃する為に、防御を固める前に展開していた【falcisファルキス】を


操り、攻撃の手を妨害しようと、時間差で放つ光の檻を形成して、前後左右、上下に至るまで、連続射出されたそれを


僅かな隙を縫って、姿勢制御の噴出孔を操り、機体を回転させ、転進しつつ、グルグルと視点と視覚を回し、そのままその場にとどまる機体を足下にし、


天球を仰ぎ見ながら、その左右の銃身を構えて射出する。


狙うは一点...。その目障りな、防御帯を発生するその吐出した…


其れのみ、放たれたライフルが収斂する一撃を放ち、寸分違わず、その狙いが命中、その鉄壁の防御の要たる基部を穿ち、


その高温の粒子に蝕まれ耐えきれないその装甲が一瞬で融解、


粒子を偏光し、かき乱すその力場が空中で霧散、四散、爆散する。


ビーム装甲の一部を展開不能になるも、【falcisファルキス】を操りつつ、反撃を試みるその姿を見やり、


別の《イルベガン》に対して攻勢を仕掛けていたアンザス達は、その機影の独特なフォルムを視認して叫ぶ。


「詩が...歌が聞こえる。アイジェス殿?!?!あれは?来てくれたでござるか?自陣のフォローは?良いのでござるか?」


その声に応える様に、跳躍を繰り返し、レッグカバーより発振する光の刃を瞬かせながら、次々と複数の機影を蹴り破りながら、徐々に近づいてくる機影を


受け止めるべく、副腕に装備した盾を構えて、着地の足場を作りつつ、その接近に備える。


逆進の噴射を仕掛け、伸ばしていた光刃を仕舞い、着艦する様にその脚部を盾に添え、答える。


「「後の事は大石、髭面のオッさんとオムツ共らに任せてきた。」」


「「お前も、手を貸せ。敵が多すぎる。」」


「分かってるでござるが...。敵の防御は、厚く間に合わな…」


「ふむ、手があるという事かな?」と、二人の会話に入りながら、振るう刃の軍勢を操りながら四方八方へ、副腕の砲門を全開にしながら、問う。


「「お前らも、出来るだろ。狙う先が違う。狙うは一点…ついてこい。」」


次の瞬間には再加速を掛けて、楯を蹴り上げ、それまで対峙していた目標へと向かって飛翔する。


飛来する。数々の思考誘導砲台の吐く光を、その副腕と、脚部から放つ光刃を振るい、切り裂くと両手に構えた。銃口を向けて、突撃。


一撃、二撃、三射、四射を交えて、込められた光の弾丸は寸分違わず着弾し、更に敵のビームシールド発生機の基部を射抜き、徐々にその姿を丸裸にしていく。


その光景を最大望遠で覗く僚機達が...「あれを俺達にもやれというのか?」


困惑する男尻を、鼓舞するかのようにクルリと舞う二枚の大楯が、早く早くと急き立てるかのように、こちらを誘導しそして、追従するかに


赤い閃光を纏った漆黒の色を魅せ、去って行く。


「我らも行くぞ...」とヴェニ=ヴィディキが号令を掛け、


「うえぇうー拙者精密射撃苦手でござるよよ?」と情けない声を出すアンザスを他所に


「うん...でも、今のこの感覚ならできるかも?男尻もきっと出来るよ。感じてるでしょ?」と青葉が問う。


(。´・ω・)ん?


「何故それを??!拙者の尻が敏感なのはいつもの事でござるが?」と、自らの尻の具合を確かめる。


「そうだね。(やっこ)さん尻は敏感すぎるね。」とうんうんと、リン=山崎が僚機達に同意を求めるも、


「「「姐さん、そう言う意味じゃないと思います。」」」第二部隊の面々が疑問を呈し


「いや違うだろ」とイゴールが、珍しく突っ込みを放つ。


「そうかならば、青髪と、男尻は、ドン・キホーテ―の直掩に回れ、群れから離れたら狙い撃たれる、途中まで送り届けてやる、我に続け、敵機を駆逐するぞ。」


スラスターを点火し、離れ行く、アイジェスの跡を追うように、飛翔するヴェニ=ヴィディキが駆るヴィキティが、砲身から銀劫を放射し、展開していた


刃の群を回収し、その最大船速を以て、戦闘の火花散る戦場へ向かって飛翔する。


つられて、10機の僚機達がその後を追従し、その銃口を、敵機に向け…精密射撃戦へと突入していく、


宙を奔る、コックピット内では、周囲の闇に浮かぶ星空が、光の尾を引いて、流れる。


視界の端で、防御を崩され、一気呵成に責められた機体の装甲に、其の銃口差し込むと、銃撃を繰り返し、光の瞬きが機体各部から溢れつつ、


その膨大な粒子に耐切れず、その機構の大部分を融解し...誘爆が起きる瞬間に蹴り脚を叩き込むと、勢いを反転。


自機のバランスを取りながら、遠くの二方向の銃口を別々に構え、目標を観ないまま...銃口を引いて、一射、二射、


此方の攻撃を察知して、回避行動に移るその動きを予測して、偏差射撃で、避けた所に向かって直撃、同じくその基部が破壊される。


近付いてくる僚機達の姿を確認し、二機と八機の編隊にそれぞれ分かれた機影に、次の行動を予測し、自らが操る《HHB》をそっと直掩に入る様に接近する僚機の援護に回す。


以前として降り注ぐ光の雨を避けながら、


アイジェス、アンザス、青葉の三機編隊、残りのヴェニ=ヴィディキと第三部隊、第二部隊の二隊へと別れ、それぞれの目標を見定めて3時、10時方向へと、転進する。


急速旋回する機体を互いにフォローしつつ、次の目標へと接敵する


先ずは先行するアイジェス機が、敵の弱点たるその基部に二斉射は放ち、破壊、続く青葉が、大型ライフルを収束モードで狙いを付けながら、同時に実体兵装を射出


軽い楕円のレーザー誘導を受けて狙いつけられたそれが、照射される光りと共に命中する。同じく爆散し、大きくその防備に大きな穴が開き、


其処に三機連隊の最後尾に控えたアンザス機が、ワイヤー射出されるテールユニットを展開、同時に大型ライフルを構え…偏差射撃を試みる


狙いを...。照準に併せて、そしてゆっくり尻は添えるだけ…引き絞られた引鉄がその結果を、数瞬後に、現実化させる。


二条の閃光は、瞬くと同時に、視認する範囲から逃げるように離れ行く機影の僅かに吐出したその機構に命中。


防御を破られ丸裸になったそのフレームに...


《ディエム ペルディディCD型》から移植した補助ユニットにより、小型のAI端末と連携…量子コンピューターよりの演算を受けて、その照準を補正、


狙いは成った光の毒針…《ヴェノムレイン》を照射、ビーム発生基部を貫きそして蛇行するその射線が器用に厚い装甲面を避けつつ、切り上げその躯体を分解、破断させ


コックピット内で危険を知らせるアラートを鳴り響かせながらその存在を、放逐。半瞬、間を置いての起爆により流れた機体が複数の敵機を巻き込み消失する。


「拙者にもでけた?!?!」


「「今ならば...出来る筈だと言っただろ?」」そう語り掛ける言葉を耳にして、次の目標を探し、更に10時方向へと移動する。


其の頃、敵機を思うまま貪り喰みながら、逃げ惑う敵機を追い回す。ハルズ=アルマインの姿が其処に在った。


その姿は、獲物を駆る猟兵となり、その爪牙を以て、機体上部と下部を捕まえると、機体内部のアクチュエーターを最大稼働、


押しつぶすように機体を圧搾しつつ折り曲げると、そのまま露出したジェネレーターへと被り付く。


コックピット内では、クピドレスの叫び声が上がり、その末路に涙し、そして絶頂を迎え果てるのみ、


喰む様に、啜るその姿を畏怖をもって、眺める敵機をまるで相手にしないまま、機体を上下に振りつつ、内容物がなくなった事を確認すると


用が済んだとばかりの残り滓を反撃しようと振り向いた敵機に叩きつける。


さらにバランスを崩した目標に向かい。背面のテールユニット―を展開光の一刺しを行い爆散させ、振り返りながらその尻尾を回収する。


次はどいつだ?敵陣を思うさま噛み砕いた猟犬の牙は、次の目標を見定める。


それは、自陣から撃ち込まれる《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を防ぎながら反転攻勢を試みる《イルベガン》の威容だった。


その残りの数を10機から7機まで減じられたもののその強固な防御は健在。


だが侮る獣は、意を決してそれを喰らうべく、スラスターを吹かせて慢心する...


先ずは牽制として多重連装のビームライフルを構えて、一斉斉射、何処かに当たればめっけもんとばかりに、甘い照準で放たれたそれは、


その攻撃の結果が無為で合った事を知らせる。


(・д・)チッ


次は《ヴェノムレイン》と、ワイヤー式の思考誘導弾だ...此奴と主武装の一斉射なら...ばと、随伴する僚機に対してもビームライフルと実弾兵装の射撃をオーダー。


頭部のバルカン砲すら使用する乱れ撃つ弾体に対し、その攻撃を避けるような動き見せつつ、向かってくるその機影に、


短く


「さぁ、お前の味を教えろッ!!!!俺にお前を喰わせろッ!!!!」


叫び、震え、そして、狂乱する。その声が響き渡り、度重なる応酬の果てに...依然として顕在するその姿に、忌々しくも防戦一方になる


こちらの攻撃は通らず、向うは一方的に 【falcisファルキス】を展開し、背面や上下左右に、小口径ではあるモノの粒子砲による


時間差攻撃を嗾けてくる。


其れを直掩の改修型のディエムが、器用にそのオービットマインの破片を張り付けたシールドで、防ぎながら、弾倉を増加させたものの


その数が徐々に目減りしていくビームライフルの残量を気にしながらも、邪魔な思考砲台を一基づつ撃ち落として行く、その数は無数。


全て撃墜していては、こちらの残弾が尽きかねない。


その危機的状況に、一筋の閃光が瞬く。突き出た基部を狙い撃つ様に放たれた一射が、防御を破り、次々とその姿を丸裸にしていく。


(。´・ω・)ん?


「誰だ?!いや...。これは奴か?」半瞬遅れて察知したハルズ=アルマインを他所に、


天球から降りしきる光の星の輝線を戦う人間に貴賤などないばかりに、吠えながら、


赤い稲光を纏い、敵陣を突き破る。


迫るアイジェス機が、宙を翔けつつ、敵機に蹴りを叩き込み。停止。


更に、離脱と共に爆散する。光景を眺めならが悠々と機体を近付け問う。


「「苦戦してる様だな」」


「そんな訳ないだろ!!!」


「「そうか、まぁ良い。狙うんだったら、防御のその起点を狙え。あとは分かるな。出来ないとは言わないよな?」」


「その程度できらぁ!!!」


「「そうか...なら良いぞ。」」と、離脱する動きを見せるも...。


その傍に、二機のカルペディエムの姿が遅れて到着する。


「あっん、おじさん、速いよッ。」


「待つでござるッ!!!」


そのついでにと、ばかりに、目標を見定め、蒼の染色と改良を施されたカルペディエムが、互いに構えた。


大型ビームライフルを射出。狙いは、能わず。敵機の防御の基部を撃ち抜き、沈黙させる。


はっ…それさえ分ればと、勢い込んだ。第四部隊の面々は、その目標を敵機の基部へと集中させる。


その光景を眺めながら、事のついでだと、面倒そうな、目標を片付けて置くか?と、周囲でこちらを狙い続ける


【falcisファルキス】に照準を付けて、回避行動を行いながら、其れを撃墜していく。


粗方の目標を片付けると、後の事を、任せて、僚機と共に、その場を後にする。


攻撃の芽を摘まれ、無防備な状態となった《イルベガン》を縦横無尽に跳ねながらその毒針で、周囲を囲み


解体し、そして組み付き毒牙で、その哀れな犠牲者に対して、最後の止めを降す。


...


其処からの運命は...黙して語らず。


ただ、暗闇の中で、残響する最後の叫びを震わせる。通信が聞こえるのみ。



その光景を知ってか知らずなのか?


三機の赤黒い閃光を纏う機影は、次の舞台を中央で展開している。アハト機たちの支援に向かう。


その道すがら、数多の敵を屠りながらすすむその戦場では、


三機の《サン・ヴァントル》(腹無し)と共に、支援防御を担う為に、馳せ参じてきた《イルベガン》姿が見える。


此方の攻撃を、その鉄壁の防御を以て防ぎ続けるも、アハトは、ある事に気付く。


確かにこちらの手持ちの射撃兵装では...その攻撃に対処できないだが...


だが、此方の直掩機の二機の改修型ディエムには、オービットマインの破片を張り付けたシールドと、弾数を増やしたビームライフル以外にも...充実させてはいるが…


「アニスッお前の機体の対策は既にしてあるぞッ!!!」


幾重どめかの行使によって、そのデットウェイトとなった、ビーム攪乱幕の用の増加装甲をパージし、その互いに互いの死角を奪い合うように、左右の旋回を繰り返し


空域を占有する敵機に対して、異を唱える。


(…)


アハトは無言のまま、その状況を俯瞰し、そして僚機たちに、珍しく指示をだす。


それは...あの敵機が、居る空域に対して、


「時間差で、ビーム攪乱幕の投射開始。タイミングは05秒…1。15秒後に2。」


その短い指示内容を聞き取り、その行為が何を指示しているかを、把握し、そして実行に移す


大きく下方にカーブする楕円軌道を描きながら《サン・ヴァントル》(腹無し)を支援するべく現れた《イルベガン》の直前に、展開された


ビーム攪乱幕を以て、追撃する様に放たれた、光の鞭がその影響範囲かに置いてその勢力を喪い、狙いが逸れる。


其処に防御シールドを展開し、此方に展開していた【falcisファルキス】を差し向けるが、ビーム攪乱幕により


その小口径のビーム兵装が、空中で霧散し、そして《イルベガン》本体の防御に関しても、その様相が、変貌し始める。


TV画面の砂嵐の様に、ブレた光の壁が、その影響下に陥る。


その隙を逃さず、四連銃身ライフルの射撃モードを並列励起モードへ変更、、其之多大なる威力をブレた防御へ叩きつけ


さらに、全スラスターを点火し突撃。た実体剣を最大解放、その刀身から光るフレームの一部が覗き、一刀を以て吐出し、吐き出される粒子の解放と共に払われた剣が、


その効力を弱めたその防備に穴をあけ、突き入れた剣と共に、吠え、そして腕部の爪牙の追撃に晒し、


あられもない姿をさらした躯体に向かい。各部に付けられた、オービットマインの破片が、渦を巻きつつ。叩き込む


時間差で叩き込んだ、それらの攻撃に耐えきれず。絶命と共に果てる。


展開中のビーム攪乱幕に惑いつつ、三機編隊の《サン・ヴァントル》(腹無し)の内、中央部のアニス機が、機を伺いながらも、


その既存兵器の応用に阻まれ、事態は膠着するも、其の頃になると遠く離れていた艦隊と砲撃戦に専念していた僚機達の姿が、


徐々に敵陣を侵食しながら向かってくる。


《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の砲撃を喰いとめていた《イルベガン》の姿が半壊し、やや離れたもう一機の《イルベガン》機影が、


何かが瞬き、そして光る刃の群れに襲われ撃墜される姿が見える。


その状況に歯噛みしつつ、続いて、遠くもう一つ、破裂する破劫を瞬かせる。


状況は大きく傾き、残る厄介な敵を屠るべく、慢心するの部隊同士の争いに、その機影が現れる。


「(。´・ω・)ん?どうやら、アハト機は...自力で斃したのか...流石だな?エースを張るだけはある。」


だが問題は目下の敵影、《サン・ヴァントル》(腹無し)が展開する広範囲に伸びる光の鞭に対して、


状況を見るに、ビーム攪乱幕の特性を上手く使って対処した様だ。このまま任せても良いかと思うが...


放置して被害を出されても困るからな、と、


戦術データリンクで、同期した弾道予測コースを選定。このままだと、数十秒後に、自軍の主力艦隊と共に、カルペディエムの随伴機も突入してくる。


ならばと...物理演算による先読みで...。投射される《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の射線を予測し


目下に展開される。《ファーマ》や、《グヤスクトゥス》の残存兵力を目視した瞬間に狙い撃ち、


その背後で、回避機動を描いていた《サン・ヴァントル》(腹無し)と《イルベガン》の姿をその射線に捉え、貫通した勢いの侭巻き込み、


更には、曲芸飛行を行いながら、突撃してきた。母艦たちは、器用に回避運動をこなしながら、左右の砲門を敵機若しくは、


コロニーへと照射を開始。乱れ飛ぶ短距離レーザー誘導によるミサイルの砲撃が、砲門の一撃が、


降りしきる秋雨の如く、なだらかな放射線描きつつ直撃する。


交錯する砲撃と、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の光の輪が、重なり、敵性戦艦の射列を崩し、


徐々に撃滅戦の様相へと向かう。波濤を呼び起こす波状攻撃に晒され、崩れ行く敵性戦艦と、巡洋艦の群の姿を眺めながら、


更には、合流した。アイジェス機が、指示を出しながら、二丁ライフルを構え、連続射撃。


一連鎖、二連鎖、三連鎖と、繋ぎ続けるその砲撃の嵐に、そっと男尻を添える何者かと、蒼い機体から、忍び寄る鉄の拳、アイゼルネ・ファウストの一射が、


ものの見事に重なり、その存在を防御する間も無く。死滅させる


「うーむ、威力があるが装填と弾速に難がありますな...」


ややあって、鉄の拳、アイゼルネ・ファウストの使い心地に対して不満を漏らす。使用頻度が少なければデットウエイトにもなりかねない物の、一度銃身をランドセルに差し込む手間がある為、


鈍足の艦船向けや、予め準備した奇襲にしか使えぬ…中には機体重量を削減する為、投棄後、そのままタイマーでの遠隔点火によるスラスターを吹かし、そのまま大型の弾体として使用する者も現れる始末。


その様な不満を抱きながら戦場は変わる。


残り敵の盾と矛になる機体の残数は残りは僅か…


(・д・)チッ


《サン・ヴァントル》(腹無し)が、一機落ちた...ヤドカリ野郎目と…《イルベガン》の不甲斐なさに、腹を立てつつ、握る操縦桿を掴む手に力が入り、


四方八方へ出鱈目に機体を振り回し、次第に戦場を覆い始める敵の援護射撃に対応する。


その状況下の中で、作戦が第二段階へと移行する


多数展開していたカルペディエム、総勢465機は、左翼右翼に展開される、予備兵を除いた。数百機を何段にも重ねて横に一直線に並ばせ、


そして前方へと向けられたその銃口を並列同期させ《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を機体の共鳴発振を限界まで励起して、先ずは第一陣の破壊を試みる。


互いにジェネレーターをフル稼働。その産み出された粒子の三段撃ちは、ものの見事に敵陣の防御を切り裂き、


《イルベガン》の防御を至近距離から屠り始め、残りのコロニーを守る防備が消滅する。


一方的な乱打戦の中、アニスは、自らの不利を悟り、撤退も視野に入れつつ、友軍を盾にしながら、自らを省みせずその不甲斐なさに唾棄する。


アハトが、「逃げるなッ!!アニスッ戦え!!!」とばかりに吠え続ける最中に、


天を覆うほどの光の柱を伴う触れたモノを量子の塵へと還す。極太の放射される白い粒を巻き散らす光の柱の投射により、


コロニーの各部から、その躯体が徐々に崩壊し始める。


急報を告げる戦場は様変わりし、その様相を変えて、事態は緊迫感を増して行く。


次々に崩落していくコロニーへ、更なる一撃加える為に数百機に及ぶ機体の同時展開と用兵に、その効果は甚大


その作戦は成功したかに見えた。だが、大地に投下する目標物は、それ一基ではなく、想定してた通り、複数存在し、


そして、敵陣の後方で立ち並ぶマダの射列と、現存する《フレイミングティース(燃え立つ歯)》が、それでも攻勢を緩めぬまま、迫る。


本家の《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)と複製の模造品だとしてもその威力に差異はなく。


これまでの射撃戦に置いて、互いに撃ち合いつつもその射列の一部を崩壊させたものの、依然としてその数は健在。


「チッ盾が...。マダを前線に押し上げ、酔わせてやれ」


其れ迄の戦略と手段を切り替える。そして、徐々にその絶望的な光景が、目の前に広がる。


幾度目かの《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を繰り返すも、次々と、地球圏へと墜とすべく迫ってくるそれの数は...。


想定以上の数に昇る...その全容が今まで見れなかったのには...


アイジェスのコックピット内部のコンソール上に、《ニヴルヘイム(霧の国)》の反応を検知…


確かデーターベース状の情報では、奴等にはMS大の大きさでは実現できなかった筈…疑問顔の男に、


恐らく何かの事情に気付いた青葉が、叫ぶ。


「クピドレスは...《ニヴルヘイム(霧の国)》の搭載は、無理だとしてもコロニー程の大きさであれば...実用化は既にされている。」


その数は、十基にも及ぶ。


徐々に戦線は地球の阻止限界点へと迫ってくる。姿勢制御バーニア―を吹かし、逆進を掛けつつ、砲撃戦を繰り返すも、


大きく枠外の戦場では、異変が起き始める。


やや人よりも少し大きさであろう。何かの機影が、砲撃戦中のCarpe Diem(カルペ・ディエム)の陣容に群がり始める。


その小さな、躯体の為発見が遅れたディエムのメインカメラが破損、更には、機体各部の関節が徐々に分解され、気付いた頃には、


既に周囲を1000基を超えるほどのその羽虫…《ピスハンド》に群がられ、徐々に機体の不具合を誘発されて行く。


互い違いで、重なる機体同士を隣り合わせにして、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を放ちながら、異変をいち早く察知した


僚機達は、《ピスハンド》に対応し始めるモノの


「小さすぎる拡散モードにするなッ、友軍に当たるぞ?!」


大型の獲物を振るうカルペディエムの不利が露呈する。獲物を射程武器から、袖口方射出した、発振器。ビームサーベルを展開し振り払いつつ


対応する。


放つ《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の砲門の数が減じられる。


それでも、接近してくるマダが放つ《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)の砲撃と撃ち合いながらも、コロニー二基目のコロニーへと照射する光の柱の乱舞により、


降下進路を大幅に離れ、離脱していく。徐々に押されつつ迫るそれに、三基めの其れを解体した


後に...それは起る。


・・・



・・・



・・・



蒼空が滑落する。この世の何処にも逃げ場はなく。哄笑こうしょうする《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共は笑う。


其処に一切の慈悲は無く、己達の目的を果たす為だけに、それは実行された。


阻止限界点を超え、僚機達が破壊を試みるも、天から墜ちるその空に浮かぶ星々は、


幾重にも重なり、地球への重力に惹かれ、落下する。


大気との摩擦により燃え上がり、次々と僚機達が、その破壊を断念して離脱していく。


「何故だ?やつら薪が、燃料となる人が必要なのになぜ、このような真似をするのか???」


イゴールは、僚機達と共に《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を繰り出し、その光の柱で、


コロニーの解体を試みるが、発射直前にその事に気付く...。


「隊長ッ!!!熱源反応がッ」


「当たり前だろ?もう機体も真っ赤だぁ駄目だと思ったら離脱しろッ!!!」


「違いますッ動体反応もあります。このコロニーには人が乗ってるッ!!!」


「ハァッ??????無人じゃないのか?」


友軍機のその手に掛ける引鉄の重さが一段と重くなる。四基目、五基目は、無人であったが、


それ以降のコロニーには、人が、有人の侭、奴等地上に投下するつもりでいやがる。


悪態を吐きながらも、その照準は...。鈍る。そして展開していた陣形が徐々に崩れて


その攻撃が、散発的な砲撃に陥る。


・・・


・・・


・・・


「よろしいのですか?薪の無駄になりますが???」


「奴さえ孤立させれば、問題ない。あの存在のみを手に入れさえすれば、全ての問題は解決する。」


「この程度の事ならば奴は、必ず生き残るだろう。あとは地上を壊滅させ逃げ場がなくなり孤立し《慈聖体》を捕獲するだけだ。」


「既に、月面都市に運び込んで調査していた。機体たちの封印が何故か解放されつつある。あとは、その技術を使えば、問題ない。」


遠く、離れたコロニー群の脇で、リーティル・ナグルファル旗艦(工廠艦)一隻へせっせと、コロニー内から、人を乗せた往復便で橋渡しを行い。多数の《ピスハンド》へとの加工作業に入る。


人は、いくらでもいる兵站なぞ、墜とすコロニーごと、持ってくれば事足りる。敵が、先読みし、避けるならば、避けられない程の物量で責めれば良い。


落下するコロニーを曲芸飛行しながら、一斉射を繰り返しながら、限界点付近まで随伴していた《R.I.P》と《エンゼルフィッシュ》の船体各部に


《ピスハンド》が群がり、其の装甲板と武装を解体、分解しながら、その魔の手を乗組員たちへと伸ばし始める


船体内で、ノーマルスーツを着込んで、戦闘の様子を見ていた。春幸達の眼前にも《ピスハンド》の姿が襲い掛かる。


装甲板を引きはがし、船内へと雪崩込んだその時に、自動的にトリモチ…補修材が放出され、その穴を埋めるも、その危険は終わらない。


侵入してきたその姿を、いち早く察知した春幸は、ぎゅっとその手を握り、握り返された確かな感触をうけながら、子供達を連れて、中央区画へと逃亡を図る。


だが、その先には、既に先回りした《ピスハンド》が...


・・・


「アイジェス氏、やばいでござる。」


「援護してやる。作戦の最終段階だ。頼むぞ。」


「私も援護するよ。だから...。」


アンザス、イゴール、青葉がそれぞれの言葉を伝え、意を決して空に意を決して、異を唱える。


・・・


それでも俺は、宙に手を伸ばし天を掴む。


果てなき闇を見通すその目に見えるのは?


且つて夢見た。蒼き地球…そう言えば、彼女も何時か言っていたな、


僕は、さほど地球には興味ないよ。海は磯臭いだろうし、重力は、宇宙で暮らす僕にとっては重いだろう。


でも、君が居るなら、厭々ながら…一緒に行ってみても良いよ。


それに、夕日とやらには、興味がある。


且つて地球で望んだ、その光景を思い出す。


古いレコーダーから流れる音楽を聴き、ふと見た、黄昏時の夕焼けが、仄かに空を朱色に染めていく。


その光景を眺めて、心の中で、綺麗だなと、漏らし、


その頬から一筋の涙が流れる


嗚呼、この光景を君と見れなかった寂しさで、千千に乱れて、僕は子供の様に哭く。


...


・・・


・・・


俺は正義の味方じゃない。誰かを率先して助ける様な事もしないし、正義を掲げて悪を挫くような真似もしない。


唯、日々に追われて、唯々、君の生きる今日を守りたかっただけだ。


だから...弱い自分を奮い立たせて、此処迄歩いてきた。


その手に掴んだモノは、君の手じゃなかったでも…俺は、俺達は、ずっと君を探し続ける。


君の為にこの地球を守るよ。


俺は、正義でも、誰の味方でもない。君だけの味方になる。


その手に掴んだ一対の盾は、その様相を変えて、その真の姿を露わにする。


重力子増幅強化マニュピレーターユニット《グレイプル》…《HHB》…《Hand Hundred Babylons》(ハンドハンドレッドバビロンズ)に


握る銃把(じゅうは)をその基部に差し込むと、折りたたまれて、巨大な掌状に変形したそれを掲げ、


俺は、蒼空を掴む。


「《一葉灼伏》…20%。」


地上への落下迄までの数分、その湯が沸くほどまでの時間の中、其之天を掴むべく放たれた一手は、


「その想い。二度と亡くさない様に、啼け!!!!アースガルズ 《神々の庭》…起動!!!!!」


周囲に噴霧される赤色に縁どられた漆黒の光すら飲み込むその孔に、見ていたモノが吸い込まれそうになる。


拳部の圏部には、大きく蒼空を穿つ大穴をその手掌に刻み付ける。


展開されるアースガルズ 《神々の庭》の影響範囲は、自陣と敵陣の両方を包み込み、


精製された重力子が、《グレイプル》を通過する事により、更に加速、増速、増幅され色相反転が起こる。その影響は、先ずは、質量が軽く数ある


《ピスハンド》から波及していく、今まさに春幸達へと襲い掛かろうとする。その光景に...。何かがその機体に干渉し、来た道を引き返すかのように、


その姿が逆回転で巻き戻り、トリモチで封鎖された、基部から放出。再度のトリモチの補修を受けて、


蒼空の一点に《ピスハンド》の姿が集められ、圧力を掛けられつつ圧壊、破片をばら撒きながら、大気圏を突入し空に一筋の流星を刻む。


副次効果による酔いにより、Carpe Diem(カルペ・ディエム)陣営を追い詰めようと迫る。牙の様な砲門を向ける先に小型の色相反転した、何かが生じ、


見えにくいその何かに向かって、《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)照射。


光を捻じ曲げる斥力と引力に惹かれ、その攻撃が自らの背後に繋がる孔を通って、次々と自爆する。不毛な応酬が始まる。


その光景を眺め、構えた両手を前に、徐々に堕ち行く、コローニーにそっと添える。


男尻はそっと添えるだけ...。脳裏に同僚の言葉がリフレインし、笑みを零し、自らの仕事を実行する。


その躯体と腕部が触れた瞬間、対象の質量は有に、 三千万トン以上~百十数億トンにも及ぶ、其之掛かる重量を100から0へ逆方向へと還る。


白と黒の色に染まり、墜ちる、堕ちる、失墜す。


されど、我が身はその事実に叛逆する。


機体後方へ、多重展開されたその推進機構と、腕部の重力子機構を今ある一葉灼伏による、粒子増加量での条件化の最大出力を行使し、


抵抗する反作用をその身に受けながらも、生じる絶対的な粒子量の出力に任せて、その反作用を力業で押し切りる。


その巨大な躯体を押し戻して行く。腕部を稼働させクルリとその進行方向を逆転させ、僚機へ指示を出し、背面部の推進器を破壊を試みる。


大型のダグザの釜を破壊し、無力化させた最中に、敵の旗艦、リーティル・ナグルファル旗艦(工廠艦)へ、コロニー内から、人を乗せた往復便が、加工作業に入る直前で、何かに吸い込まれるように徐々に離れて行く


コントロール不可のその状況に、慄きつつもジンボ=ジラマは、描くコロニーに設置した、超大型のダグザの釜のジェネレーターを転用した推進機関に最大船速へと命令を続行、


自らは、敵味方を巻き込みかねない《ダン・ド・リオン》に騎乗しないまま、その場からの離脱を選択。


虎の子の《フレイミングティース(燃え立つ歯)》四機を以て敵陣に切り込み、発動した《ムスペルヘイム(灼熱の国)》により敵味方区別なく燃やす。


焦土作戦を実行するも。何故か敵の陣容は、これらの機体が近付くと蜂の巣を突いたかのように逃げ惑い、距離をあけつつの砲撃戦に終始する。


まるでその範囲に入ったら、絶死であることをまるで分かって居るような動きに、各機の撤退の指示も含めて、徐々に後退へと舵を切り始める。


その姿を知ってか知らずでか


星詠う詩は、何時までも何時までも、その浮遊感を、大質量の物体に伝え、続く6基目のコロニーが迫る。


重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動。


更に量子演算による予測によって、生存者が居ないコロニーである事を確認。


先ずは一基押し戻し、安定軌道まで押し戻す。さらには、入れ替わる様に墜ちて来るそれに対して、


重力子増幅強化マニュピレーターユニット《グレイプル》を最大発振...。振るうように、空気の無い宙で、震えるその力場を行使して、


全長約40km、直径約6.4kmの大質量に向かい叩き込む様にその機構を撃発させる。


ジェネレーターとドライヴより供給されるその膨大な粒子を動力炉から機体各部を通過する過程で、変換された何かが


腕部から、銃把、そして重力子増幅強化マニュピレーターユニット《グレイプル》へ到達され、そして、増幅された、その威を以て、迫るコロニーに急激な重力場を生み出し、破断、半壊、空中分解、

※2025年8月20日修正


溢れ出す暗闇の波濤が、人の命を模した星空をその黒一色に染め上げ、外殻を赤雷に包まれたそれが、発する力場に襲われ、


巨大なミラーが、横方向に捻じれながら飛散し、割れた外壁部から、大地と水、そして空気が漏れ出し空中に放出されていく。


次々と崩壊し、崩落する基部は、大気圏へと突入して、次々と燃え上がり、その光景は地上では流星群の天体ショーの如く眺められていた。


地上へ落ちて、カルペディエムの地上拠点奪回作戦へ参入していた。第六部隊アスハ=ワガミ、ココロ=アラズ、アイ=スクリーム、ディ=ストレーズの面々は、撃墜した敵機と中破した自機の間で、


死んだ、敵兵の姿を明日は我が身だなと、思いつつ心、ここにあらずとばかりに空を眺める。


八基目、九基目…

※2025年7月6日14時44分誤字修正


それぞれ人間の動体反応が混じるも、時に、押し返し、時に破砕、圧壊、捩じる。


最後の一基を残し、敵の姿が次々と撤退していく、が...


その最後の一基には...


無人のドローン機体がひしめき、機体のセンサーが、何かを察知し、黄色い背景に黒い三つ葉型のシンボルがコンソール上に表示され…


なんだこれは???描きだされた文言を読みつつ...。放射能??核…爆弾????そんなものを仕込んでやがるのか?


悪態を吐き出し、呼吸を整える。しかも最後のコロニーには、人が満載されている。


破壊して対処する事も、押し出して軌道を変えるのも、どちらもやや危険が孕むも、


コロニーの基部に到達すると、同じように質量を0へと変えて、押し返す。隔壁を開き、無軌道の輝線を描き、


押し迫ってくる。敵の目的は、予測演算により、此方の捕獲である事に気付く。無人機に対して重力を掛けたとて、その動きは鈍化するものの


パイロットを圧死する事は叶わず、その動きを封じるばかり、罹る強烈なGを機体背面部のスラスターを全開にしつつ抗い。そして捕獲用の腕部を展開しつつ


あっちへふらふらこっちへふらふらと、その挙動が怪しく踊る。その本体には、それぞれ核弾頭の弾頭らしきものが備えられ、重力波による圧壊攻撃は...。


コロニーに存在する人々や周囲に僚機達に危険が及ぶとし、圧壊しない程度の圧力をかけ続け、最後のコロニーの押し戻しを試みる。


「なんだこの反応??!核兵器だと?」


(。´・ω・)ん?


「なんでござる?」


「いや、貴君…訓練の座学で学んだはずだろ?」


いまいちピンこないアンザスと青葉に対して、イゴールが説明する。


「とにかくヤバい毒と威力を持った爆弾だ。」


「じゃぁ、撃ち落とせないんですか???」


「そうだな至近距離ではダメだな。ここからじゃ、ドン・キホーテ―が巻き込まれる...」


一体どう対処したものか、悩みつつ、僚機達が次々と、大気圏の重力圏内から離脱していく。


その光景を眺めながら戦域に広がるその声でジンボが語り掛ける


「化け物め、人の叡知の炎を受けるがいい。」


(あの機体がもしも、アレに連なるモノであれば、核の直撃を受けたとしても、パイロットだけは守り切る筈...)


(炸裂後に回収すれば何の問題もない。)


降下速度が、拮抗しながら宙に浮かぶコロニーの基部にとりついたアイジェス機は、意を決してその手を取る。


「人の犯した罪を更に重ねるのか?」【何をいまさら、奴らは生きる為ならばどんな手も使う。其れは人類の歴史から見れば当たり前のことだ。】


だが、それであっても其の行使には、異を唱える。次の一手は...。


向かってくる機体に対して、直前に、黒い染みの様な重力圏を展開。


やや、胡乱な動きを見せるその機体が、進行方向を変えられないまま突入。そしてその機体が、掻き消える。


次々と送り込まれる無人ドローン機体の数々が、重力圏の誘導と共に消え去る。


遥か、遥か、何もない無明の宙へと繋がった穴を通り、その姿が...


放逐された空間の先で、目標を見失ったドローンは、抱えた爆弾を破裂させ、遠く星空の先の空域に一瞬の煌めきを残して消え去る。


肉眼では見る事が出来ずとも、その場を覗いていた誰かが居れば、遠く夜空からも垣間見えるその一瞬の閃光に、想いを馳せ、


邪魔者を処理しつつ、コロニーの基部に取りつくと、マニュピレーターを可変し、銃把を引き抜き、離脱した重力子増幅強化マニュピレーターユニット《グレイプル》で、


コロニーを押し返しながら、本体は大きく迂回コースを取り、背面の推進機構の破壊を試みる。


尚も、襲い掛かってくる機影を爆弾の有無を確認しつつ撃墜し、コロニーの背面部に到達すると、両手に構えたビームライフルの方向を横に揃えて


発振させ、機体各部のフレームから赤黒い光を放ち、一斉射を試みる。


コックピット内では、ドライブ欠損率、31%...。69%稼働...。の文字が踊る。


基部の一部を破損させるも、火力が足りずに、試みが止まる。


既に徐々にその粒子の放出量が先細りし始める。


周囲に展開されている僚機の姿はなく。自力で対応する必要が...再度の《一葉灼伏》を考慮し始めるも、


其処に、直掩機を伴わず、荒ぶる獣と化した、三機のディエムペルディディが、驕る様に、騒めくように、獲物を探して、此方と視線が絡み合う


二機のあの姿はアハト機と、ハルズ機だが?三機目?あれは誰だ?


「はっ良いところは渡しませんよ。私の技術の粋を集めたディエムペルディディが揃えば、《調停者》の機体なぞ、何するものぞッ!!!」


「その声は...コーディー=スルー上級技官???エンジェルフィッシュの艦橋に居る筈では???」


疑問を呈するその声に対して無視すると


「はっあれを壊せば良いんだろ?そっちはガス欠気味だが、俺達は、まだジェネレーターの燃料に余裕がある(喰いまくったからな...)」と、ハルズが答え


最後の時まで戦場で獲物を探し続けていた三機と合流する。


「…時間が惜しい、一斉射で片付けるぞ。」アハトが促す。


其れに応える様に、何やら三機目のその機体は、大型の炉心と繋がった大型の砲身を持つその得物を構え、


複数ある増幅器とジェネレーターを経由し、粒子の加速と増速を繰り返し、∞に交差するエネルギー循環路を通り放たれる。


その射線は、大型の光の柱を扇情に残しその威力で、戦場を謳歌する。


ハルズは、テールユニットに格納されている残された有線誘導弾の全弾及び、ヴェノムレインを照射、更に、アハト機とアイジェス機は、構えた銃火を揃えて


その攻撃を直撃させ、コロニー背面部に備えられた推進器を舐めるような、軌道を描きながら破壊し、


そして、この戦場の火種を完全に消し去った。


何故か、この三機は、友軍が撤退する中でも、獲物を探し続けそのジェネレーターの容量にも余裕がある様に見える。


だが、その一抹の不安に、答えは無く。物語りは終わりを迎え、事態は転調する。


続く


毎月、月末最終日に2話更新予定。


誤字脱字、誤りがあったら修正するので、教えてください。

※2025年7月6日14時44分誤字修正

※注意※

尚、規約に許可があるか記載しろってあったので、末尾にこれを付け足します。


一応掲載許可は得ている筈。キミノミカタのキミは、私と既に描いた別の物語の主人公と、作中のヒロインを指してる詩なので。そもそもキミの好きな詩を教えてって言われてるし大丈夫かな?


なので、規約違反のレギュレーション違反には恐らくならないとは思う。適当なタイミングで、聴きながら読んでいただければ。

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