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無法者の詩  作者: 唯の屍
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第十一話「逆襲の宇宙へ」


古いレコーダーから流れる音楽を聴き、ふと見た、黄昏時の夕焼けが、仄かに空を朱色に染めていく。


その光景を眺めて、心の中で、綺麗だなと、漏らし、


その頬から一筋の涙が流れる


嗚呼、この光景を君と見れなかった寂しさで、千千に乱れて、僕は子供の様に哭く。


既に静まった、戦場では、逃げ惑うモノはおらず。一時的に喪失した視力から回復した人々は、その光景を不思議そうに眺め、呟く。


「あれ?誰?」


その日、狂える炎に焼かれた大地は、その構成する森林部の約80%である百数十キロ四方を焼き尽くし


約24,000平方キロメートルに及ぶ面積を唯の焼け野原に変えた。


止めとばかりに撃ち落とされた。巨神の足は、大地に強くその跡を刻み込み、


衝撃の余波により巻き込まれ、破壊され結晶塗れとなり鹵獲された残骸は...大小合わせて453機にも及んでいた。


それでも、残された人々は生きねばならず。鹵獲した機体から引きずり出したパイロットと共にその物資を奪い取り、


荒涼とした大地に起立する。巨影を仰ぎみる。


「大佐、霧が晴れました。敵識別コード確認...。コールサイン、ドン・キホーテ?????友軍機です?????!あれは?でも何故?????私には敵機の様に見えるのですが???」


其れ迄、沈黙を守っていた。アンザスは...。これは、拙者の尻踊りでは、隠しきれない大きさですぞ...


バレれば銃殺になりかねない。


外れたふんどしを必死に掻き集めながら、打開策を思案する。間も無く、目の前で立ち尽くす。巨影の頭部が、一機の機影へとその姿が解け、


そして、トリコロールカラーの機体が、その姿を隠す事無く、変形…変身、変態を繰り返し、元の紺鼠色の見慣れた姿へと戻っていく。


「あの姿は?一体なんなのだ??」


焼け野原となった大地にふわりと降り立ち、力尽きる様に、その言葉を呟く


「デコード、《 トゥ フイ、エゴ エリス(我は汝であった。汝は我になるであろう)》」


音声認識による識別により、使用者権限を確認。それまで行使していた機体と駆動系等の解放を解除。


解放されたギミックを納め、一息を吐く。


その姿を機体の最大望遠で眺めていた、幾人かのパイロットは、その事実に気付く...


「ボギーワンだと...?!」


今まで何故、気が付かなかった?配色が違かった。そもそも、機体が変形する事も知らなかった。


そして、いつも殿を受け持ちそもそも戦う姿を目撃していたのは...一斉にアンザスが乗り込んでいた機体に向かって視線が泳ぐ…


あちゃー、バレてもうた...。


「もしかして...アンザぁぁぁぁぁス?!」「どういうことだ?」「おい、知ってたか?」


「はひぃッ!!!」


力無く、膝をつく機体を前にして、囲んだ友軍機は、動きを止めたデスペラードを驚異が治まった基地内に運び込むと、荒涼の大地へと変ってしまった。光景を眺めながら、


破損した機体や放棄された武装などの回収が行われ始める。


その過程で、光り輝く結晶体に包まれたコックピットから、少年少女達が、救出され、無断出撃した春幸の駆るディエムは、武装解除を促され、捕らえられる。


「将軍、こやつだで。命令を無視して、人質ごと、敵機を撃墜していたのはッ!!!」


ここぞとばかりに自らの命令無視を擦り付けようとするムーブを決めるソォンナ=コッタネーは、叫ぶ


その言葉を受けて、現場に舞い戻って来た《ヴィキティ》を駆るヴェニ=ヴィディキは、その事に気付く


(。´・ω・)ん?


あの巨大な一撃で一緒に...果てたと思われていたが...拡散反射(ディフューズリフレクショ)の凹面状に


形成された結晶が時間経過と共に、霧散し、解除され、救出されていく。


(…これは一体どういうことだ?)


自らが、救出する事を断念したはずの彼、彼女らが、生きているだと???


無断出撃を行い捕虜を奪って、恐らく子供の声らしいと報告があったパイロットついても気になるが...


何よりも、唯の一機のみで、敵の集団を撃退したと報告が上がっていたその存在に、酷く興味をそそられる。


一体どんな魔法を使ったのか?


脳裏で、且つて、いちコロニー内で、発生した紛争に関する報告も上がってくる。


確かに…


監視者として着けていた部下からは、尻が...。


あの…舞っていてと言う意味不明な報告を額に血管を浮かせながら聞きながら、妨害者の身辺の洗い出しを指示し、


怪しい男の部屋を艦長の許可を受けた上で、総ざらいしたところ、


古びたエロ動画と共に隠されていた、それまで全て提出されていたと思われていた。戦闘データの一部が明らかになる。


その報告を機体内で一瞥しながら受け取ると、現場を指揮する部下に、


問題の機体を回収、封印及び監視と、パイロットの捕縛を厳命し、自らはその映像を吟味する。


提出された動画を眺めながら、コックピット内で響き渡る艶やかな声に...


儂は一体何をみせられてるんだ?と、枯れた精神を奮い立たせながら動画と向かう。


「あッ拙者。ふんどしが外れて…あッ痛い。ゆっくり…拙者のお尻が擦れちゃうッ?!」


同じく、身柄を高速で拘束されたアンザスと春幸は、その姿を僚機達に目撃されながら去って行き基地内の独房に収監された。


四人それぞれが、四つ並びの部屋に通され、互いの身を案じながら、その時を待つ、


「青葉ねぇちゃん大丈夫か?」と春幸が話しかけると


青髪の少女が「私は平気だ。すまないが少年…君の事は何も覚えていない。」と、応える。少年はしゅんっとなる。


その声音を聞き耳を立てて、様子を伺う、尻の人は、へくちッっとくしゃみを一つ答えて、その肌寒さに堪える。


それでも今の気温は温暖な筈。まあ、裸でも、風邪を引くか引かないか絶妙のラインではある。


「アンザス、巻き込んで悪いな。」


「へへッ拙者平気でござる。この尻に掛けて、弁護させて頂くであるますぞ?!」


【まぁ、この状態でも打開策はあるが...それは最悪の札を引いた後で良い。】


未だカードは伏せられたまま、時間は経過する。


・・・


・・・


・・・


その日、三度目の銃声が響き渡る。


繰り返される銃殺刑の光景が、その処断する。意志に、些かの手心がない事が分かる。


「将軍、もう残っているのは...件の四名以外には...」


あれから日数が経過し、破壊された機体に残されていた敵性パイロット達を処断し、


機体内で、籠城していた。その正体不明な二名の虜囚は、抵抗する事も無く、表に出た所を捕らえられた。


《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)は、全て殺す。


目下の端末上で踊る、虹色の光を放つ、《デスペラード》の戦闘シーンを眺め、瞠目する。


ヴェニ=ヴィディキは、衰えた肌の眉間の皺をも見ながら、それでもその頑強な、眼に映る憎しみの炎を燃やし続ける。


其れは豪雨が降り注ぐ、都市部の外れ


「大佐ッ!!!ご足労アリガトウゴザイマス。ご子息の消息は...。」


やや、笑いをかみ殺した様に告げる。部下の声に、声音を出さずに答える。


「それは良い。良いから機体を見せろ。」


そこには、風雨にさらされたヴェリタスの淡いクリーム色の装甲が何かに炙られたように、剥げている。


が、そこには解放されたコックピットに残る。液状の何かが漏れた様な跡がシートに残る。


それにふれ、まだ温もりがある...。その匂いを嗅ぎ、その異臭の正体に思い当たり、酷く落胆する。


任務を放棄しての敵前逃亡…それは、軍人である自分には赦せぬ所業。


「良い、探すな。軟弱ものに帰る家など無い。」


そう震える手は、何も考えられず。憤怒の表情の侭さる。


幾年か後に、日々の任務に忙殺されたある日、私はその男と出会う。


渋滞に巻き込まれ、自らの足で向かう事を選択した、道の途中。まるで私が、そこを通るのをはじめから知って居るかの様にその老人は、立っていた。


ボロボロになった外套の端から覗く手足が、金属製の義手義足が見え隠れする。


「なんだ。放浪者か?私に何用か?」


「その罪深き、怒りも早晩、真実を知るであろう。明日この場所に、また来い。お前に、唯一無二の力の断片を与えよう。」


「その時、貴様は自らの命運の行末を知るだろう。」


「戦え、戦え、戦え、抗い、争い、この世のあらゆる理不尽と戦え、其処にしか、貴様の生きる路はない。」


「そして奪われた大切な何かの行方を知るだろう。」


「人は、儂の事を■■■と言う。」


(■■■だと?あれはお伽話の話の筈だ。いったいこの男は何を言っているのか?)


疑問に思った瞬間に、眼を焼き尽くさんばかりの閃光が瞬き。


視力を取り戻した後にはその姿が見えなくなった。


忙しいスケジュールを推して、翌日再び訪れると、其処には、白く輝く銀嶺の装甲に包まれた機体が


放置されていた。


その出元を調べるべく付近のカメラや人の証言を集めたが、酷く濃い霧に包まれ誰もその姿を確認することができず突如現れた事だけが分かる。


コックピットシートにはには端末が残され、そこには...。それまで確認する事も出来なかった。監視カメラの映像で、映るのは。何者かに連れされれる息子の姿だった...


不甲斐ないとばかりに思っていた息子は、一体どこに?


その行方が判明したのは、それから何十年も経ってからの事だった。


俺も試させて貰っても構わないだろうか?と、申し出るが、技術官が難色を示し、触るなッっとアイジェスを突き飛ばす。


咄嗟に機体の前面に手を触れると、解析作業中の技官が驚きの声を上げ、プッシューと音を立ててハッチが開き、コックピットの各部に灯が入ると、それぞれのモニターに、情報が流れ込んでくる。


「おぃ、どうした?誰か何をした?」「いや、私は何も????」「俺も何もしてないぞ?」そう答えるも、


興奮気味にその光景を見ていた。将軍や、技官たちが、興奮を抑えきれないまま、主機、副機、それぞれの解析機を接続、機体内部からその情報を引き出していく。分かる。


分かるぞ。その全てが...分かる...。(。´・ω・)ん?その条文を見て、一斉に覗いていた人間達の血の気が引いていく。なんだと...?!.........


リアクティブジェネレータ(Reactive Generator)通称ダグザの釜・・・その目的…...行動の謎...。


そして敵の所在地に、由来の履歴が、隊長機であると思われるそれから、次々と引き出されて行くそれまで謎とされていた。敵の動力炉の燃料は...。


人間を一般人に紛れて...。神隠しと称して、薪の回収をして、狩りを行う。その時、触れていた機体のハッチの内側に手をかけて、


その違和感に目を向けると構造体と一部に、何か柔らかく硬いそれに触れる。目を見開いてみると其処には、装甲材と一体化された、


人の指らしき残骸に触れて、慄く。その挙動に違和感を覚え、「一体どうしたんだ?」と声を掛けて驚愕する。



「おぃ、採取したサンプルを成分分析を鉱物じゃない。有機体生物由来とのマッチングで再チェックをしろ」退けっっとアイジェスの身体を押しのき、その作業員たちが騒めきだち、子供達をその場から引きはがそうとする。


ハッとして少女が叫ぶ、「お母さんッ!!!!!指輪ッが」いやいやする様に、抵抗して暴れる子供たちに


「静まれッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」大喝する一斉が辺りに響きわたり、


「失礼した。まずは落ち着くのだ。」「その機体が開いた理由が不明だ。時間制限があるかもしれないここは一先ず調査に協力して頂きたい。」「君達も知りたいだろうが、ここは抑えて貰おう。」


そう言葉を区切り、部外者たる人員をその場から引きはがしていく。


その事実を知り、心が泡立つ様に、心がざわつく...まさか、まさか...。その事実に気付き、


そして、未だに希望を持つ自分の愚かさに晒される。


・・・・・・・・・


別の部屋に、通された子供たちは、用意された紅茶やお茶菓子にも手を付けず、熱々だったお茶は、既に冷めきった頃に、漸くその結果が判明する。



先ず一つ、その機体の構成物質は...99.8%人由来の何か?ジェネレーターから採取された燃料...も人由来である事が判明。


同時に、人を走らせ採取していた。DiemPerdidiディエムペルディディのジェネレータから燃料らしき粘性の液体を取り出し同じく成分分析に掛ける。


その結果、内部のDNAが、行方不明となっていたミーミルの住人と一部一致する消えた住人は何処にも逝って居なかった。ただそこにいつも一緒に居た。


リアクティブジェネレータ(Reactive Generator)と呼ばれるその機構は、捕らえた人間を、生ある人間を生きながら、別の物質へと転換させる機構とのこと、奴らは物資が枯渇するとそれを発覚した現在の遥か昔から奴等はそれを行っていた...。


薪を求めて出没する。まさに人狩りならぬ《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)...



なんだと...じゃぁ今まで撃墜してきた機体...。そして新型の今や忌々しいその意味を持つそれが、消費していた燃料は...


全て我が息子の末路と同じなのか...。


その事実を叩きつけられた。人員たちは、大きく狼狽え…言葉にする。


その後の顛末は...あの場に居た誰もが知っているだろう。


あの謎の男から受け取った機体を使い。私は、戦線を渡り歩き、息子の姿を探し続けた。


だがどこにも息子は居なかった...そう、既に奴らに喰われていたのだろう…


その日、軍事法廷が開かれた。


中央の裁判官の席に将軍が座りその左右に軍人の上層部が並ぶ。


し、尻が震える...ぷるぷると、拙者なんで裸で、法廷に居るのでござる???


「姓名と階級、軍属を応えよ。」


むすっと、尻を結んで、考える人のポーズのまま、沈黙を守る。それらに促す様に告げる


「Carpe Diemカルペ・ディエム第5方面部隊所属、アンザス=フライハイ及び、アイジェス=ブラットワーカ他二名は、前に出て供述宣誓を」


やや、促されるその声に、意を決して答える。


「Carpe Diemカルペ・ディエムッ!自分は、自らの男尻に則り、宣誓致します。真実のみを述べ偽りを述べない事を誓います。」


「ん????(。´・ω・)ん?」


今おかしな宣誓をしなかったか?それからこやつ何故、裸なのだ????


「まぁ良い、続けよ。」


「俺は、自らの矜持に則り、宣誓するぞ。何が真実は俺が決める。何が偽りかはお前が決めろ。」


「その時、貴様は自らの命運の行末を知るだろう。」


「戦え、戦え、戦え、抗い、争い、この世のあらゆる理不尽と戦え、其処にしか、貴様の生きる路はない。」


(。´・ω・)ん?


「「以下同文」」


こいつら、誰一人として正式な宣誓を述べやがらねぇ?と、法廷の気温が一気に10℃は上がりそして


急激に冷めていく。


「時間が惜しい、通常の流れを飛ばして、其れではまずは証拠の映像の確認から、法務官前へ出て説明を!!!」


それでは、ご清聴の程お願いいたします。


大画面のプロジェクターでは、男女が相撲を取る映像がでかでかと表示され、ふんどしに包まれた尻がドアップで映る。


(。´・ω・)ん?


ぽっと頬を赤らめる男尻を他所に、傍聴席で、ざわつきが起こる。


「失礼。映像を間違えました。件の映像はこの後に残されております。」


大画面に映し出されるその機影の戦闘シーンは、虹色の熱分解の炎を上げ、且つて目撃されていた、「ボギーワン」の其れと、色味が違うが、酷似していた。


そして続く海中での戦闘に置いて、そのトリコロールの色に包まれた躯体が、まざまざと見せつけられる。


証言席から歩み出てきた大石は、宣誓を行い。


証言を...と法務官が促し、告げる


「君は、これまで隊を率いる立場でもあり、そして、且つてボギーワンと呼称される。その機体との戦闘経験も報告されている。」


「その感じたままの私見を述べて貰おう。彼は?何者だ?」


尻は添えるだけ、尻は添えるだけ...そう言って突き出された尻が、証言を行う大石の顔の横に添えられる…


裁判官たるヴェニ=ヴィディキは、青筋を立てながら、保安要員に指示をだし元の席へと無理やり押し付け、男尻による攪乱を防御。


保安要員が左右に立ち、背後からその尻を押さえつける。


「はっ我々は、これまで協力して、数々の戦場を潜り抜けました。その要所要所に置いて、彼が殿を務め危機を切り抜けてきたのも事実です。それが、かのボギーワンであるというのであれば納得する面がございます。」


「ほぅ、貴君は、彼の功績が大きいと?そう言うのかね。」


「いいえ、事実のみをお話しています。」


「且つて貴君は、戦場でボギーワンとの会敵により機体を喪ったとあるが?それは間違いないか?」


「はい、あの争いで、貴君の同僚の幾人かは?その命を散したとあるが?それは本当か?」


「はっそれも事実であります。同僚市民併せて百余名、あの紛争でその代えがたき命は失われました。」


「報告書ではその責任は全ては、ボギーワンの一機によるものとあるが?」


「異尻あり!!!!!!!!!」


アンザスは、股間を隠して尻隠さず、異議を唱えて己の意義を見出す。


「(。´・ω・)ん?君、裸だし、発言控えて貰える?」その意見を無視して男尻が吠える


「あの戦いで、失われた命は、同士討ちが主で、ボギーワンは...アイジェス殿は...撃墜はしても民草の命を刈ってはおらぬであります。」


「何故、そんな事を言えるのか?」


「拙者もあの場に居て、戦闘に巻き込まれそうになった時に、助けられたでござる。その時、今回の戦闘同様コックピットを抉り取って無力化していたでござる。」


「接敵したはずの大石殿も、今も生きているではありませぬか?」


大音声で、放たれる援護射撃に、失笑が漏れる。何故あいつは裸なんだ????だれも服を渡さなかったのか?


ヒソヒソ…だって…イゴール…隊長がその方が面白いからって...。


隊ちょぉぉぉぉぉと、抗議の視線を向けるとイゴールは視線を泳がせ、笑う。


回りで傍聴している人々は...失笑を堪えて、悶え苦しむ。


中には、ドーナッツ屋の制服の侭駆けつけた女性が、男尻と一筆書きで描かれた横断幕を翻し、フリフリと猛アピールを繰り返す。


「隊長の仕込みかよ...」「まぁ、でもそうだよな。」ボソボソと聞こえる声に笑いを堪え、男が満を持して立ち上がる。


「申し訳ないが本官の証言を具申したく候。」事前に提出されていた資料を指さし、語り掛ける。


「ここで、本官が且つて行った告発について、述べさせて頂きたい。」


「且つてあの戦場では...同士撃ちと、犯人不明の殺人が横行されておりました。本官も、実際にボギーワンへと、殺人の罪を擦り付けようとした瞬間に立ち会った事があり。」


「その件については、既に告発し、対象者は更迭済みです。」


脳裏に且つての自分が見た光景がフラッシュバックする


...


そして、指揮者が、部下の不甲斐なさに腹を立てて、苛立ちまぎれにその銃口を向け、その命を散していた。


「司令ッ!!!!」駆け寄る部下が、余りの事に抗議の声を上げる。


それでは余りに報われなさすぎると...たが、禿頭に、髭ずらを並ばせた、司令と思しきその男は、なんの悪びれもせず。


「どうせあれだけ撃墜されたのだ。死傷者は鰻登りで増えている筈だ。ならば、あやつに、全て罪を被せれば良い。あのボギー1にな!!!!」


「司令正気ですか?」


若々しく力強い意志を感じる精悍な青年は、震える拳を握りしめ、講義の声を上げる。次の瞬間、叩きつけられた拳に、地面から天井を仰ぎ見ていた。


「死体を片付けて置けッ!!!!死体袋に一緒に入りたく無ければな!」そういって、去って行く後ろ姿を眺めて、立ち上がると...


先任の死体を見下ろすと、「先輩...。」と、無念そうにその声をあげる。


(まぁ、何度も助けられてるしな、これぐらいの援護射撃は、罰は当たらんだろう...)


「告発の際に、撃墜された機体の損壊状況と被害状況を独自に調査し、検証済みで」


「その戦死者の大半は、ボギーワンが、現れる前までに集中しております。」


「情報の捕捉の為、大石大尉が、戦闘で撃墜された状況をお教え願います。」


「確かに…僚機共々、撃墜はされましたが...誰一人欠ける事なく、無力化されました。」


ざわざわと、その事に、傍聴席の人々が話し合う。


「静粛に」


続いて審議は...銃殺の決まったスパイを庇い、あまつさえ機体を略奪し基地を襲撃した上で、捕らえたスパイを逃がし、


その結果、この基地外の自然が喪われた。是も全くの事実である。とし、証言を求める。


「だから、青葉ねぇちゃんは、僕が住んでたコロニーのお隣さんなんだよ。調べて貰えれば直ぐに分かる筈だよ。」


「ふむ...データーベース上の生体データとの照合は既に完了している。確かにコロニーに在住していた形跡は確認できた。」


「それならッ?!」


「残念ながら少年よ。《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)は、我々の生活に昔から存在し、紛れ潜んでいる可能性が高い。」


「それだけでは?無罪とは成らぬ。」


落胆し方を落とす少年に、アンザスは、そっと尻を向けて寄り添い慰める。


その尻を「もぉぉ邪魔だよぉ」っと、ぺちんと法廷内で臀部を叩く音が響く。


「…」と沈黙を守る青葉を振り向きながら、


痛い尻をさすり、男尻は、経つ


「確かに、少年の行動は行き過ぎた面があったのかもしれぬ。だが、それは隣人を助けたいという思いから、しかも閣下も各々方は、お忘れである。」


「今回の基地襲撃を撃退したのは、此処にいるアイジェス氏の働きが大きい事をッ!!」


デデーンと尻をフリフリ左右に捌きながら、それを強調させる。


「だが、敵機と、機体規格が同じだで、怪し過ぎる。しかも閣下が下された。敵性技術の流用と撃墜を禁じる触れにたいしても、抵触しておるだ。」


そこまで沈黙を守っていたアイジェスは、口を開き答える。


「俺が、何かをいう必要性はないと思うが、俺が、僚機や人間の盾にされた人間を殺した事実はない。」


(全てを助ける事は出来なかったがな...)


「十年前同様、撃墜はしたがコックピットを抉って、投棄してるから人死には出してねぇよ。」


(。´・ω・)ん?


(アイジェス殿、記憶が???口調も少し違う???思い出してた?それとも…?)


「そして、俺は、鹵獲した機体を使用はしたが、内蔵されたダグザの釜。ジェネレーターの燃料については、使用してないぞ。」


「あれは、俺の駆っていた機体から供給された動力のみに動かしていた。故に、問題は何もない。」


「それのに、彼女にもはや敵意は無い。恐らく捕らえられて、利用されているだけだろうよ。ならば、保護するのが筋だ。」


ぐぬぬぬとなりつつ、叫ぶ。


...


ソォンナ=コッタネーは、「そんだらこったねぇだよ。こいつは《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)と、繋がりがあるだ。スパイを庇っていたのも理由になるッ!」


「鹵獲した機体のコックピットが開いたのは...奴のDNA、生体認証が登録されていたからだ。つまりこやつは、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)と繋がっている。」


「そうだでな、将軍ッ!!!!!それは、銃殺に値するだ。」


口角に唾を飛ばしながら必死に抗議する。


髭を摩り、今までの報告を受け…ヴェニ=ヴィディキは、結論を出す。


「まぁ、そうだな諸兄らには処刑を受ける気分で気楽に力を抜いて聴いていただこう。」


物騒な言葉を交えて語り掛ける。


「一つ確認したい。アイジェス=ブラットワーカー。君は、あの機体を何処で手に入れたのか?もしや?」


其れに応える様に起立したイジェスは、緊迫感を失くすためにその顔の横に添えられた尻をそっと押しのけ、証言台へと経つ


【久しいな...】


「あれは、十年程度前のある日に、老人から渡されたものだ。俺の生体認証が敵機に組み込まれている理由は分からないが、あれは...」


「そうか?その時何かその老人は何か言って居なかったか?」


たしか…


「お前に、唯一無二の力を与えよう。」そう言ていた。


そうか...。そう言って老人は天を仰ぎ、裁判の結果を告げる。


「アンザス=フライハイ、アイジェス=ブラットワーカー並びに、他二名について…」


「今後一か月の尻出しを禁ずる。尚、基地内を混乱させた咎により、少年に対しては一週間のトイレ掃除と併せて機体への騎乗を禁止。」


「スパイ容疑者は、拘禁の上、保護する。」


以上。


(。´・ω・)ん?


そんだけ???


「将軍何故です?!!納得のいく答えを!!!!」


「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお後生です。それだけは...。一ヵ月なんて…!!!!」


はらはらとその尻論に、眼を潤ませる。ドーナツ店の女性を他所に


「なるほどな、君の特異性が分かった。」


「えっ何が分かったんですか?将軍。」


「彼は、私と同じだ...。」


「話を聞く限り、彼の乗っている機体も、私の駆るヴィキティと、同じく《調停者》から賜った物なのだろう、そうであれば色々合点が付く」


「そして、《調停者》からその役目を譲られたのだよ...恐らくこの時代の後任として選ばれた。」


「それ故、技術体系の謎は、恐らくその出所が《調停者》たるあの老人がもたらしたものだ。ならば、その仔細は問わぬ。」


「以後、この決定に不服とする事を禁ずる。」


口々に不満を漏らすモノ、その裁定に尻を挟みつつ安堵するモノ、ほっと撫でおろし言葉を紡ぐ。


「マジかぁーそれ???」「なんで今まで黙ってたんだよ。」「というと、今まで...って事か?」「やっぱりあの機体が...特別だったのか?。」


「だからシュミレーションだと...なのか?」


・・・


・・・


・・・


而して、閉廷され、其の身柄が移される。


尻を封ぜられたことに、抗議の声をあげるも、ついでとばかりに、三名が、仲良く、しゅこしゅこと便器を洗う。


「あの爺さん、トイレ掃除って、生易しい判決かとおもってたが...。」


半尻を出しつつ、吠えるも


「おい、尻は出すなって言われてるだろ?」


「それはそうだけど?まさか、少年一人に基地中のトイレ掃除をさせるとは???拙者らも手伝わねば、一週間なぞでは終わりませんぞ?」


「まぁそりゃぁそうだ。」


「青葉ねぇちゃん大丈夫かなぁ?」


その頃、ギアナ高地のCarpe Diem(カルペ・ディエム)基地本部では、異常事態が進行していた。


保護する事になった青葉に対しての尋問が始まるも、頑なに沈黙を守る彼女の口は堅く。


日々が過ぎるかに思えた。深夜に、R.I.P貴下の部隊の中から逃亡者が現れる。


(・д・)チッ


「そろそろ潮時か...。盗聴した会話内容では...情報を漏らした形跡はなかっったが...。」


「私の任務は、薪の情報を裏で流して、追加任務として《慈聖体》を確保する予定だったが...この状況ではそれは難しい。」


一機のディエムが、離脱し、向かう先は...。


「閣下大変ですッ!!!残っていたマスドライバーが破壊されましたッ!!!!」


「なんだ?と?」


と、深夜に叩き起こされ、その報告を受けるも...瞬時にその判断を降す。


「保護している。スパイの身柄を確保しろ。恐らく...」


...


...


...


飛翔するディエムを駆りつつ、目標の抹殺も同時に達成し、意気揚々と引き上げる。


設備の破壊の為に使用した。実弾兵装のデッドウェイトを投棄して、空を飛翔し、


Carpe Diem(カルペ・ディエム)本部に現存していた三基のマスドライバー施設の内、二基は、前回の襲撃に受けた山を削り取る砲撃を受けて、大破し


残る一基が、その不審な機影により破壊された。


これで、次の作戦への布石が終わった。長らく過ごした潜入作戦を引き上げる。惜しむらくは、慈聖体を一体も確保できなかった事だが、


此の引き際を見誤れば...。自らの命も危ぶまれる。


ならば、行きがけの駄賃だッとばかりに、基地内部の重要拠点の破壊行為を実行する。ついでに...。


部屋で眠る。少年をその手に掴んで、居た。


こっそり取得した生体情報から割り出した。AAA係数は、奴の方が多かったが...何故か、部屋を襲撃した際に、そこに成人の男の方は、そこに居なかった???


「何事でござる?!!!?」


深夜に、部屋でトランプに興じていた二人は、その衝撃と轟音を聞きつけ、その震源地に向かうが、そこには、《エンゼルフィッシュ》内の一部居住区画から


去って行く機影が覘く。


【なんだと?おかしい。このタイミングで起きるのは...自室を襲撃される筈だったが...何かがズレている。】


「おぃ、追いかけるぞ!ッ走れ。」


「了解であります!!!だけど、あのディエム、異常に早くないぞなもし?あとなんで通常のディエムなのに、空を飛行できるんだ?????フライトユニットは装備してなかった筈?」


「しるかッ!!!!」


二人が奔る途中で、騒ぐ子供達と遭遇する。見ると、脇の部屋に大きな穴が開き。


春幸は、叫ぶ


「大変だ、おっさん。ディエムに乗った誰かに...■■が連れていかれちまったッよ!!!」


「どうしてだ??」


「分かんないよ。僕はユズリハ達がむずがるから、別の部屋で寝てたんだ。」


その言葉を受けて思案する。


「アンザスは、此処で待機して、新手の襲撃を警戒してくれ、また襲われるかもしれない。追跡は、俺がするッ!!!」


「らじゃー(`・ω・´)ゞであります。」


突然の襲撃により、右往左往する艦船の中で、アイジェスは、乗機たる《デスペラード》を駆り、消えゆく機影の跡を追った。


重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)を起動、


その機影を確認し、追いすがるが...。その距離は縮まらない。


いくつもの隔壁を抜けて、去って行く機影を追いかけ、疑問を呈する。


(可笑しいな...。単純な推力では、《デスペラード》の方が多い筈だが、その差が縮まらない。)


そして、何故か、凄まじい勢いで、基地内の重要区画に対しての爆撃を敢行していく。


その姿を見、もはや一刻の猶予も無いと、男は叫ぶ。


「エンコード、《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》」音声認識による識別により、使用者権限を確認。コックピット内部では、身体の各部を飛び出したアームや、


拘束具により、パイロットの手足を固定、円筒状に包み込むのと同時に、機体の外部のバイザーや各種部位内蔵されるロックボルトが解放。


長方形のバイザーが上に上がり、それまで隠れていたはずのツインアイが露出。


鬼の角の様に伸びバイザーから突き出されたそのアンテナの一部が枝葉となって発光しながら、その威容を魅せる。


そして、覗く、線型は鋭く無骨で且つシャープな主顔おもがおの景観から分解解放を繰り返すその面差しは、まるで牙剥く鬼の口腔を覗かせ、


最後に後頭部から、一本のブレードアンテナが迫り出して、三本ツノとなり、其れまで、マニュピレーターと思われていた。肩、腕、脚、背面にそれぞれ設置されている。


隠し腕の内、腕部と肩部のマニュピレータと、バックパックの背面全体に刻まれる、其れまで隠れいてたツインアイの鬼の形相の面が顕れ、


そして、2本の腕と脚部には基部に隠れた鬼が踊り、腕部のマニュピレータが可変したアームカバーと、独立機構のレッグーカバーとなるその機構にも鬼の面が顕われる。


都合、八つの顔と、六本の腕、偽装されていてそれらが開放され、異形へと変形・変身、変態する。何かを語るように其の不思議な表情を垣間見せるその機体は、八面六臂の修羅と為らん。


各部のマニュピレーターから噴出する覇劫を煌めかせ、一気に推力を機体後方部へ稼働させ、一気に彼我の距離を詰める。


重力感覚器官《Sensorium Gravitatis》(センソリウム グラウィタティス)により、その機影は確認し、マーキング済み、


地下空洞を抜け、山間部の山裾に隠された建造物に向かい爆撃を繰り返し、外部装備をパージするその姿を目撃する。


その手に捕まった子供の姿を確認し、最大望遠で、覗く姿を見やり、安堵する。今ならまだ間に合う。眼前では、緊急出撃を行い複数のディエムが、群がる様に迫り、


撃ち落とさんと、基本装備されているビームライフルを照射し、放たれる亜高速の光を、すわ、危なげもなく回避し、反転すると、


スラスターを吹かせて跳躍し、近付いてくる僚機のディエムを構えた楯をすり抜ける様に、着弾。


機体の脇を貫かれ、撃墜された機影から、何かが飛び出す姿を目視する。


(・д・)チッ


まずい。通常のディエムでは、勝負にならん。


全チャンネルで、解放された通信により、警告を与える。


「全機、引けッよ。相手にならん。そいつは俺が(無傷で)墜とす。」


その声に反応して、ディエムは空中でスラスターを吹かせて急制動を掛けて、反転攻勢に入る。


右腕に装備していたビーライフルの銃口をこちらに向けて、照射する。


放たれた閃光を右腕の射出孔から光の波動を放射して、反動で機体を水平方向へ360度ロールさせ、回避した瞬間にその劫芒を翻し、


直前でその射線が僅かに歪曲し、構えた肩部シールドをすり抜け、肉薄、命中する瞬間に、偏向フィールドを展開


相殺する間も無く命中するも、減衰された光の穂先が外部装甲を掠め焼け焦げさせると、フレームに直撃した光の粒子が、破片を拡散し、放射状に弾き散らす。


首を振りつつ、急旋回、ブレイク(Break)を繰り返しながら、駆ける機体は、敵機となった友軍機の攻撃に晒される。


コックピットのコンソール内では、危険を知らせる警告文が赤色光に包まれながら踊る。


何故か避けた筈なのに、攻撃が命中し、そして防いだと思った瞬間に防御をすり抜け、偏光フィールドにより減衰しているとはいえ、徐々にダメージが蓄積していく。


(ディエムには、あんな機能は無かったはず?何故だ?あのライフルにに秘密があるのか?)


防御に回るよりも、攻撃に転じた方が良いと、判断し、四肢の噴出孔を全開にして、飛翔する方向とは真逆に急制動を掛け、


通り過ぎる敵機の背面を取って、一気に加速、その掌を翳して、衝撃を伴った波動を撃ち放つ。


背後から狙いすませた一撃を、左右に旋回しつつ、回避するも、二度三度とくりかえした、据えに地面すれすれに急下降、しつつ速度を上げて


急速上昇、《デスペラード》を引き離そうと、スラスターを全開に吹き上がる火の粉をまき散らしながら、本来の射角から考えられない射撃を行う。


何もない前方に向かい照射されビームライフルは、閃光を放つも、その挙動は直前で180度回頭し、背後から迫る


《デスペラード》に向かって放たれる。肩部マニュピレーターを交差し、偏光フィールドにより防御。拡散する光の帯をまき散らし、


その熱量を防ぎ切るも、その目標を見失う。


はっとなり、上空を仰ぎ見ると、急速落下を繰り返しながら、ビームライフルを乱れ撃つディエムの姿を確認。


空中を泳ぎ、降り注ぐ連射を回避するも、回避した傍から、其の弾道が大きく曲がり襲い掛かってくる。


ギリギリでの回避を諦め、大きな安全マージンを取りつつの回避に切り換え


急旋回戦を行い、腕部と脚部を大きく開き空気抵抗を駆けながら、姿勢制御のバーニアを吹かせ急激な横滑りを加えて旋回半径を縮める


背後から迫る敵機の後方を奪い、狙いすませた一撃が、ディエムの腹部…本来ならジェネレーターが収まっている箇所に狙いを付けるが...。


その手には...子供が...咄嗟に腕部の黒いワイヤー状に伸びる手の平を射出、肩部の鬼面から放たれる虹色の陽光と共に、乱れ飛ばせ、


敵機が、虹色の光を回避した、僅かな機体のブレをその手のひらが遅い掛かり、伸びるワイヤーが敵機の左腕...掌に向かってジグザグに伸び


肉薄しながら掠めるとその手のひらがワイヤーブレードと接触、切断される勢いのまま、人が落下する。


「間にあぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」


ワイヤーを戻しながら、各部の射出孔から光の衝撃を放ち、地面にダイブするかのような、急制動を掛け、その姿を掴もうと手を伸ばす。


その姿を、好機と捉え、グレネードを《デスペラード》に向かい放出。機影に重なると、時間差での起爆を見越して盾で弾こうとするその動きに合わせて、


ビームライフルを発振。加速された粒子が淡い光を弾けさせながら命中。タイミングをずらして発動した炸薬により、機体が流れる。


こじ開けたその隙に、追撃の光の雨を肩部の盾を背面に伸ばしガードするが、防御をすり抜け、突き刺さる。


僅かに減衰された光はフレームに弾かれ、周囲に人体には危険な粒子の飛沫をばら撒く。その飛沫を掲げた掌でガードしつつ受け止めようとするが、


その手からすり抜け大地へと落下する...あわや間に合わぬその時に、一葉灼伏…0.1%心の中でそう呟くと、アースガルズ《神々の庭》を


瞬時に発動。その効果は...落下する人体に及ぶ重力の反転。


その手を離れて、ゆっくりと大地へと落下する姿を目視しながら、狙い撃ってくる敵機を見上げ、上空へと腕を翳し、反撃の狼煙を打ち上げる。


僅かばかりの一葉灼伏により膨れ上がった粒子量を纏った一射を、衝撃と共に腹部へと叩き込む。


ジェネレーターをその光で焼き尽くさんばかりに瞬く、其の装甲を光の粒子に炙られ、電子殻チタン合金セラミック複合材の装甲が飴細工の如く、融解、


大音声と伴、爆発する燐光をまき散らし霧散する。


「やったか???!だが、さっきの動き、どこかで見た様な気がする...。」


落下する破損した装甲には、第七部隊所属を示す。トランプのジョーカーを模したエンブレムが、一瞬その目に焼き付く...。


?????第七部隊だと??


剥落する装甲の雨が、ガンガンと、《デスペラード》のフレームに接触して、音を鳴らす。


その光景の中で、爆発に紛れ込み斃したと思われた瞬間、機体内部のコンソール上に、


《サン・ヴァントル》(腹無し)...の文字が踊る。


咄嗟に違和感を感じ、回避行動に映った。その半瞬後...放射状に広がる光の雨がその動きを複雑にくねらせながら肉薄してくる。


其之連打を、繰り返し回避しながら、急加速し、回避する事を断念し、背面飛行をしながら、手掌の射出孔から放つ光の衝撃波を


迫る弾体へと、叩きつける様に、打ち弾ませる。


「何故だ?!アニスぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!?!」


(アハトは、此処には居ない。なのに同じ動きが出来る人間がいるとすれば…それは...。)


【これか...微妙に予測範囲からズレた原因は...?!】


四方八方から大きく弧を描きつつ、楕円の光の檻が押し迫ってくる。


緊急回避を選択し、左右に旋回しつつ、高度を落とし、地面すれすれに急加速しつつ、敵機の再上昇を見計らい、


此方も浮上する隙を伺う。


モニターの端に映るその姿は、腹部に大きな空洞を持ち、細く流線型骨組みのフレームを持った。


異形の機体が噴煙に紛れて、飛翔し、その腹部の穴と、腕部より伸びる光の帯が、その軌道を上下左右に


蠢きながら迫る。


一手先の思考を読んで、狙う場所が...。


(・д・)チッ


腕部より伸びる光の鞭がその遠大なる光刃を振り上げ注がれる遥か先は...。


...


...


...


捕らえられた…役立たずは、...第一目標のマスドライバーの破壊は成功した、ついでの駄賃の《慈聖体》は、失ったが、


念の為…此処で始末する。


《サン・ヴァントル》(腹無し)の光鞭は...伸縮自在、目標に向かって伸び、偏光フィールドの影響も受けにくい。


白夜の如く暗闇を照らす光の束を目標とする施設及び、敵機に向かい投射する。


其の逃げ場はなく、避ける暇もない。


それでも目下の敵機は何を思ったのか?その手を掲げ、その光刃を掴むと...。


次の瞬間、機体は大きく右回りに旋回し、罹る強烈なG、重力に肺の空気を押し出され、大きくその挙動を変えさせられる。


咄嗟に抗弁の展開を止めて、無手となると、腹部の空洞に空気を送り込み、一気に加速し、その場を離脱。


その姿を、空中で見送る。アイジェスは、追撃を断念せざる負えなかった...


思っていた以上にあの光鞭は、間合いが広い。


先ずは、連れ去られた子供と...青葉の無事を確保する事が優先だ...


念の為、今の映像を記録した内容を確認し、各部スラスターと噴射孔から粒子をまき散らしすと、


周囲を警戒ながら、其の数少ない森林の葉に隠れて目を回し、地上で倒れ込む領五=羽住を回収すると、


破られた隔壁と通路を通過し、元居た場所まで戻っていき、


地下空洞では、既に、報告を受けたヴェニ=ヴィディキが、陣頭指揮をとり、基地内部の被害を確認し、消火活動を指示していく。


(何故、奴らは、マスドライバーを破壊した??宇宙に上がらせないようにするためか?)


(お陰で、計画していた反転攻勢が、数か月は、延期せざる負えない...。)


其処に戻って来た《デスペラード》を目視して、側に控える兵士が保持する通信機を片手に、報告を受ける。



・・・


・・・


・・・


宙へと急上昇した《サン・ヴァントル》(腹無し)は、忌々しく思いながらも空中で待機していたアーガトラームの艦隊と合流する。


解放されたカタパルトデッキに着艦すると、すぐさま、艦橋へと入り、任務の結果を報告する。


「目標の奪取は失敗しましたが、敵陣に残ったマスドライバーは全て破壊しました。」


敬礼をしながら端的に報告を上げる。


それを冷ややかな目で眺める艦長らしき、白髪交じりの男は、


「そうかご苦労だったな...」


(今回の作戦で、戦力を大きく喪った。あまつさえ、天を突く光の柱に巻き込まれ、数隻の艦船迄失った。あれは、我らの手に収まるモノなのか?)


(危うく我が舩すら失いかねず漏らす所だった...最近頻尿なのにな...尿漏れパットが溢れちゃう><)


「それならば問題ない。次の作戦迄、待機し、英気を養いたまえ。」


「あとは、本国に帰還し、補給後、次の作戦を決行する」


「そう言えば...は?どうしていますか?」


「嗚呼、今丁度、7度目の手術をしている。まだまだ、力が足りぬ。その血を脊髄を全て入れ替えたとしても、乗り越えて貰う。」


「・・・」


・・・


・・・


・・・


少年の身柄を受け渡した。アイジェスからの簡単な報告を受け、裏切者…《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)は...


Carpe Diem(カルペ・ディエム)第5方面部隊所属第七部隊所属であるアニス=フライヤーと判明…


その事実を知らされた。面々は...ナンネン=ハイマンを筆頭に、「はぁ?」「なんだって?」…「あっでもそう言えばいつも肝心な所で...」…「そう言えば...あいつは一機も墜としてない...???」


直ちに、アニス=フライヤーの部屋に踏み込んだものの、既にそこに残された情報端末や資料が、破壊され燃えた跡を残して、忽然とその姿を消していた。


これで確定か...だが?何故?脳内で思い当たる様なキーワードを検索し、


・・・


・・・


・・・


思い当たる


「チッふざけた事をやってくれたな...。ブラック・アニス…古い伝承の人喰いの妖精と言う訳か?」


「大佐、破壊された設備の復旧と捕虜の安全確保を優先とし、各隊の隊員の経歴の確認をッ!!!」


激昂する老将は、その脚で、周囲を警戒する友軍機の間を縫って、機体から降りたアイジェスに、


「来いッ」と、一言声を掛けると、歩調を合わせて、小走りに掛けながら


収容していた設備から、別の区画へと移送する途中の集団と合流する。


「以後の尋問は...周辺を新型で歩哨を立てて、基地内部の士官用居住区画へと移せ。」


その移動の間にも、黙秘を貫く青葉に対して、ヴェニ=ヴィディキは、厳しい口調で問いかける。


「主は、既に撃ち捨てられ、口封じに殺される所だったぞ?それでも奴らに義理立てするのか?」


「…」


「黙秘か...まぁ良い。だが何を隠している?話して貰うぞ??」


いくつもの通路と隔壁扉を抜けて、地下空洞の南部にそびえる基地の中心地へと向かい。やや間取りの広い士官用の部屋に、通すと、


ヴェニ=ヴィディキは、「他の人間が聞くよりも良いだろう?あの男尻と、子供も着けてやる。貴様が話を聞け」と、一声かけて、部屋を退出する。


暫くの間、二人きりで、なんとなく、他愛も無い話を振る。


「そうだな、あんまりあれから話をできなかったな。話したくない事であれば、話さなくていい。」


「ただ、教えて欲しい。何故奴らは、捕虜である君の口封じよりも、子供達や基地の施設の破壊を優先したんだ。」


端末に録画した戦闘映像をみせながら...語り掛ける


「君の帰る場所は無くなったのかもしれないが...それでも...俺達が帰る場所にはなれないのかい?」


...


「アイジェス殿ぉー!!!拙者、男尻が解禁されましたぞ!!!!見てくだされ!!!春幸殿もほら?この尻の皮の見事な張を!!!!」


「おっさん、あんがとうな!!領五の奴、眼を回して、意識無かったけど、今頃、医務室でメディカルチェックを受けてるよ?」


「嗚呼、二人とも無事だったか?基地内部はどうなってる?」


「それが、被害は、《エンゼルフィッシュ》の居住区の破損に、新型の工場の一部とマスドライバーが破壊された見たいだ?」


「復旧までに数か月はかかる見込みらしい...まぁでも人的被害は、撃墜されたディエムのパイロットがむちうちになったぐらいだなぁー」


ぴくッっと


少女はその声に反応して...「えっ…」


(。´・ω・)ん?


今の反応、眼が泳いだし、僅かに漏れ聞こえた声に震えがあった...何か知ってるな?


「もしかして...。マスドライバーが、破壊されると不味いのか?????」


(マスドライバー...。電磁力を利用して貨物や船体を宇宙に打ち上げる機構だ。)


(確かに破壊されれば宇宙に上がる手が無い。侵攻や反撃に時間がかかってしまう。だが?基地が存続して、俺の機体があれば、端材の加工や建設のスピードは?それほどかからない筈。)


(なら、?奴らは何を狙っている?)


(宙が...)


僅かに上空を見上げた彼女のしぐさにより、アイジェスはその意図を読みとる。


Σ(゜Д゜)


そうか?宙が堕ちてくるのか?????!


「不味いぞ?アンザス。将軍を呼べ。宙が堕ちてくる。奴等、無人のコロニーを地上に落とすつもりだ???」


・・・


・・・


・・・


その夜、緊急動議が開かれ、場は紛糾する。


「いくら、《調停者》から賜った機体があったとして、マスドライバーを新設するには...多大なる時間がかかるぞ?」


「そもそもそれは本当の事なのか??唯の妄言ではないのか?」


「いや、其れには一理ある」


「いや、奴らの目的は人を薪にする事だ。それはおかしいぞ。」


「それよりも、裏切者を出したこやつらの意見を聞くのは危険なのでは??」


「何故、捕虜が議場にいるのだ?話が筒抜けになるではないか?」


ドンッ


強い力で議場の机を叩くと、ヴェニ=ヴィディキは、言葉を慎重に選び語り掛ける。


「地球から一番近いラグランジュポイントは?大佐どこになる?」


突然、話を振られた大佐は答える


「そんだら、地球と太陽の間に位置するL1だすが?。それが何が?」


「そこからコロニーを移動させるのにどれほどの期間が必要か???奴らが行動に移しているのは...」


(《調停者》の機体を確認して...恐らく...我らの手に反攻できる手段が生まれつつあった。《R.I.P》の面々が到着してからの三か月間のいずれか?)


(本格的に動くであろうタイミングは、基地本部の襲撃から数日たった現状を確認してから行動する筈だ...殲滅して空になった基地にコロニーを墜としても意味はないからな...。)


(問題は、時期の確証が欲しい。マスドライバーの建設は諦め…)


「そうですね、奴らがどのような方法で、そのような事をするのかは、推測の域になりますが、数日から数週間かかるかと?」クルーニー=ブルース特別顧問は概算の予測を報告する。


・・・


・・・



・・・


その絶望的なまでに時間の無い状況に、一人の人物が想い腰を持ち上げその挙動に併せて、アンザスはその重い尻を持ち上げそっと横に添えようとして、


ぴしゃりっと隣で将軍がそのケツをリズムカルに叩き、退席させる。


(。´・ω・)ん?


なんだろう、わたし物凄く話し難い…


「よぃ無駄尻は、席を外させた。話してくれ。」


「私があなた達に教えられるのは...クピドレスの同胞らから、命じられたのは、この基地の殲滅と...(これは話せない...)」


「それにまつわる次善の策についての情報だけです。」


「殲滅作戦は絶対の物量を以て撃滅するはずでしたが...防がれ現在に至ります。」


「なので、私の知る限り、次の作戦が同時並行で進められた形跡はありません。あと、クピドレスは全体的に、推進機の無駄遣いを気にします。」


「(当たり前の話…だが...)だから、彼らがコロニーを墜とすと成れば出来るだけ推進剤となる燃料を節約する筈。其の為、天体の重力を利用したスイングバイを使うと思われます。


その為、実際に墜ちてくるのは、数週間から数か月後になるでしょう。疑問であるのであれば...。鹵獲した機体を調べればよろしいかと?」


「そうか...猶予は当初の予測よりもあると、だがマスドライバーの修復には、数か月から数年かかる...」


「急ぎ建造を急がせるが...我らが目標は、コロニー落としの阻止と、月宙域の敵勢力圏の奪取及び」


「エーリヴァーガルと呼称される。L4宙域に存在する小惑星帯に、存在する敵拠点を撃滅する。」


「各自、訓練及び機体新造とマスドライバーの修復作業に取り掛かれ、時間はギリギリだ。」


始終ぺちぺち尻を叩く音が響く中その決定は下される。


「尻をぶったな。親父にもぶたれた事ないのに。」


「尻よ、私は帰って来たぞ!!!!」ででーんと議場に鎮座する尻をぺちぺちと叩く音は、その議場から人が居なくなるまで続いた。


一度、宙へと上がる為の準備に入り、問題は封印処理対象の、《ヨ―トゥーン》の扱いをどうするのか?


ジェネレーター内の燃料を消費する事は無いモノのその素材は概ね人体、犠牲になった人、人、人、その対応に苦慮しながら、


ヴェニ=ヴィディキは、一部技術の封印を解除。ジェネレーターの使用は禁止したものの鹵獲した機体の技術や武装を暫定的に使用可能とする。

決断を行う。


急遽、下された指示に伴い。封印されたディエムペルディディのジェネレターの乗せ換えと、カルペ・ディエムへの技術転用を試みる。


次々に組み上がっていく追加武装の山を眺めながら、アイジェスは...。図面を引き続け、半自動で動き続ける愛機を稼働させ、


残り少なくなった《黒曜鉄鋼》(ブラックライト)のインゴットを眺めて、呟く、


「新造の機体にも使用しなければならないし、新しい装備を作るには...。精々あと、二回か三回か?」


大事に使おう...


何度目かの燃料となる水と肥料の入れ替えを繰り返し、稼働させ、切り出したマスドライバー部材を、カルペ・ディエムに乗ったアンザスが作業ローダ―代わりに、稼働する姿を眺めて、


別の問題に対する答えを探す。


そう言えば無惨な荒野へと変ってしまった。地上の自然に対しても何かしなければな…と思い返す。食料の備蓄や、生産設備は、地下都市内でも完備されてはいるが、


地上でも育てていたモノも根こそぎ消えてしまった。この問題は、新型ジェネレーターの増産と共に問題解決の一手を打つ必要があった。


それは...


・・・


・・・


・・・


数か月後...。


破損した基地内外の設備と船舶の修理を終える。地上への反転攻勢を鑑みて、


増産した戦力を地上と宙に二分し、宙に上がる為の船をそろえ、着々と準備を始める。


新武装の実弾兵装、通称ランドセル及び、魔改造した思考誘導を模したテールユニットおよび、熱衝撃吸収装甲を加工したシールド。


そして大型の拳護する既存兵器を改良して作り出したマニュピレーターユニット《グレイプル》に、《falcisファルキス》を模した、追加兵装ナインテイルを揃えて、決戦に赴くべく準備を行う


それらの機体を打ち上げる為の脚として


左右に大型の格納庫と射出用のカタパルトを備えた、サイドスワイソン型空母17隻《17隻×20機(10×2)⇒340機》

背後に格納ラックを備え二人乗りしたバイクの様な形のタンデムライド型突撃艇24艇《24艇×4機⇒96機》

旗艦でである大型の局線系の台座に十字架を模した艦橋を備えた「クルクス・プグナエ《戦闘十字架》」 (Crux Pugnae)《1隻×50機⇒50機》


を揃えて総勢486機のMSを格納した、大部隊を形成。前回の戦闘の敵規模と同じ、その精悍な威容を以て、恐るべき敵を撃滅戦と、

意気を吐き、天を墜とさんと迫る軍勢に対抗する。


あとは、マスドライバーの完成を待つばかり。


其処に驚くべき知らせが入る。宙を監視し続ける。天文部の担当者が警告をあげる。基地内で最大望遠距離を誇る宇宙望遠鏡イツァムナーの観測結果により、


既に幾つかのコロニーが-スイングバイから離脱し、そのまま向かってくる目算が高い事を示す。


建設中のマスドライバーの完成を急がせ、出来上がった一号機を稼働させ、組み上がった船を乗せ、試射を行う間もなく、打ち上げ準備に取り掛かる


先ずは第一陣となる船舶は、地球の成層圏を脱出後、合流ポイントで待機後、軍勢を整え、軌道上に進み出てくるコロニー落としの阻止を試みる。


だが、其の頃、地球の軌道上では、展開されたアーガートラームをはじめとする。クピドレスが保有する船舶が集結し、上がってくるであろう。


Carpe Diem((カルペ・ディエム)に対抗すべく、その姿を見せていた


「アニス=フライヤ-…準備は終わっているか?機体の整備は万全だ。薪が上がってくる前に予定通り対処しろ。その後は、本隊が、計画を実行する。」


「了解。《サン・ヴァントル》(腹無し)の調子は良好。破損した箇所は既に修理済み。」だと、今までの鬱憤を晴らすべく、


腕部から伸びる光を放つ基部から、左右にぶれながら閃光の様に瞬く、ビームウィップを操り、成層圏外から、地上へと、其れを降り注がせる。


狙いは...。決まっている。


地上で展開される。マスドライバーに対して照射する。まるでこの戦いに勝者など、存在しないとばかりに吠える。


今まさに発射体制に入っていた第一陣が、加速運動を開始した瞬間に降り注いだ、光の鞭が、まるで熱したフライパンに落ちるバターの様に一瞬で融解、発射体制に入り、


既に加速された船舶が、両断されたレールの途中から、脱線し、空中に向かって十分な加速を得られないまま、明後日の方向に、向かい、咆哮を上げて吹き飛んで行く。


その光景に...。何ッ?今の攻撃は何処から来た?


警備の機体は、何をしていた????!更に二射、三射と降り注ぐ輝の刃から、待機中の船体をその腕部から展開するビームシールドで、防ぎながら、上空へと応撃の一撃を


各自が打ち込むが...こちらの射程外から届くその光の暴力に成すがままに蹂躙されて行く。


地上で待機していた。アイジェスは。その不可解な光の帯の光景に、且つてのアニスが操っていた腹無しの姿を思い浮かべる。


問題は...いくら船団を守ったとしても宇宙に上がる。手段がない...。一体どうすればいいのかと思案するも、打開策は浮かばない首脳陣を他所に、


その男は既に動いていた。


その手に、《HHB》を装備し、春幸から貰った。酷く古く、誰が作ったのか分からぬ合成音声で奏でられる。詩を聞きながら、機体各部に増加装甲を備えた愛機に乗り込み、起動させると...。


通信を本部内の旗艦へと繋げると、突然の襲撃に、あきらめムードが漂う友軍を鼓舞して、迎撃に出撃しようとしていたヴェニ=ヴィディキに対して呼びかける。


「まだ、諦めるには早い。宙に上げるぞ。将軍、迎撃の準備をしてくれ。」


「何を言っている?!ドン・キホーテこうなったら、私が直接...。」


「思い出した。こいつには別の使い道がある...。それを今回やる。」


ブツっと切れた通信に、呼応するかの様に、叫び声をあげてその本来の姿へと機体を解放する


「エンコード、《バラッド・オブ・ザ・デスペラード》」音声認識による識別により、使用者権限を確認。コックピット内部では、身体の各部を飛び出したアームや、拘束具により、パイロットの手足を固定、円筒状に包み込むのと同時に、機体の外部のバイザーや各種部位内蔵されるロックボルトが解放。長方形のバイザーが上に上がり、それまで隠れていたはずのツインアイが露出。鬼の角の様に伸びバイザーから突き出されたそのアンテナの一部が枝葉となって発光しながら、その威容を魅せる。


そして、覗く、線型は鋭く無骨で且つシャープな主顔おもがおの景観から分解解放を繰り返すその面差しは、まるで牙剥く鬼の口腔を覗かせ、最後に後頭部から、一本のブレードアンテナが迫り出して、三本ツノとなり、其れまで、マニュピレーターと思われていた。肩、腕、脚、背面にそれぞれ設置されている。隠し腕の内、腕部と肩部のマニュピレータと、バックパックの背面全体に刻まれる、其れまで隠れいてたツインアイの鬼の形相の面が顕れ、そして、2本の腕と脚部には基部に隠れた鬼が踊り、腕部のマニュピレータが可変したアームカバーと、独立機構のレッグーカバーとなるその機構にも鬼の面が顕われる。


都合、八つの顔と、六本の腕、偽装されていてそれらが開放され、異形へと変形・変身、いや、変態する。何かを語るように其の不思議な表情を垣間見せるその機体は、八面六臂の修羅と為らん。


コックピット内部で、踊るコンソールの文字列が、今まではERRORを表示していた画面に、


《エリンの穂先》と表示され。


この機体の本来の使い道...。移動型のマスドライバーとしての機能を十全に行使する。


居並ぶ大気中の艦船に離陸の指示を出し、その機体船底に回り込むと、弾体装填可能…。例外処理の1000%から出力を抑えた100%へと、変更良し、射角良し、第一陣、各自対ショック姿勢へ入れ。


いざ、逆襲の宙へと舞い踊らん。


「各機宙に上がったら、機体を展開し、宙から攻撃してくる敵機の迎撃に入れ。」


加圧され、光り輝き擬似的に形成された電磁誘導のバレルに誘導されるかの様に射角を着けて船体が斜めに持ちあがり、絶望に包まれるギアナ高地の大地において、


地球の重力の楔を引き千切らんとばかりに瞬光、瞬く間に撃発と伴に発射。


レールガンの弾体として撃ち出すそれは、本来の用途用に抑えた一射を蒼穹の空へと弾きだす。動揺する僚機達を置いて、急激にかかるGを伴い一瞬で加圧され。


遥か宙の彼方へと飛び出して行くそれを見送りつつ、


白と黒の光の影を残して彼我の距離を一瞬で0として、音速の数倍の速度へと加速させる。打ち上げられた船体の乗組員は、身体で受ける強烈なGに晒されつつも


敵の砲撃を回避しつつ、ランディングポイントまで一気に打ち上げられ軌道とその指し示す咆哮の懊悩にに、仄かな彩を添えて、その行為が、本来の用途通りである事を指示す、オールグリーンの画面が踊り男は叫ぶ。


「次ッ」


「艦長、《R.I.P》いけるか?アンザス、打ちあがったら直ちに機体を展開して、上から攻撃してくる敵機の頭を取れッ!!! 」


「了解だ。DEFCONデフコンを発令。第一戦闘配置、各位対ショック姿勢を堅持して、成層圏到達後、各座砲塔を敵機に向けて狙い撃て。」


「それは良いでござるが????アイジェス殿はどうするおつもりで?????」


「それは案がある。コーディー=スルー、上空に上がったら、戦闘空域から離れ、安全圏で待機しろ、打ち上げ次第、俺もあがるぞ?」


その言葉通りに次々と、待機中の船舶が問答無用で宙へと打ち上げられていく。


急加速に肺の空気を押し出され、苦鳴の声を漏らすものの、それは一瞬にして終わり、


不思議そうに眺める地上の人々以外に、その光景を目撃したものは唖然とする。


成層圏で己の仕事が終わったと、悠々と安堵する間もなく、何故か、使用不能にしたはずのマスドライバーからこちらに向かって艦船が打ち上がってくる。


突如、展開されるMSと船舶の軍勢に、アーガートラーム他の艦隊より、迎撃の兵を展開すべく四苦八苦するが、完全に油断していた為、奇襲が敵の尻尾に突き刺さる


更には、地上から光の柱が照射され、我が艦隊に突き刺さる...。あれは?…だと?


何故だ?


・・・


・・・


・・・


アンザスが駆る新装備のランドセルを背負うカルペ・ディエムが出撃し、基本装備の牙を模した大型のビームライフル以外のやや小ぶり銃身を持つ銃を背面の

ランドセルへと差し込むと、自動的に装填される。…鉄の拳、アイゼルネ・ファウストと呼称される榴弾を装填。


狙いを着けて構えると、同時に展開した、僚機と共に一斉発射。


今回は、先ぶれとして出撃した。《R.I.P》には、第三部隊と第二部隊が便乗し、


後詰の《エンゼルフィッシュ》には、第一部隊と第五部が担当する。今も尚連続射出を繰り返す。移動型のマスドライバーと化した。


その機体が地上を謳歌する様に舞い踊るさまを今しくも確認した《サン・ヴァントル》(腹無し)は、これ以上の打ち上げを阻止するべく、


その光鞭を以て、妨害しようとするが、舞い踊る計8機の二部隊に別れた機影が、それぞれの獲物を構え、


編隊を組み、此方の艦隊に向けて艦隊戦をしかけ、敵母艦の砲撃が、油断しきっていたその腹を喰い破らんと、暴れまわる。


艦隊を指揮する。 ジンボ=ジラマは...そのどこかで見た事がある様なその表情をこの時点では伺い知ることはできないが、


急ぎ、友軍機の出撃を促し、自らも指示をだし各砲座を展開しての艦隊戦へと移行していく。


が、次々と射出され上がてくるその敵機の群に対し、次第に押され始める。


まだ、敵艦隊…Carpe Diem(カルペ・ディエムの軍勢はまだ集結していない。一方的に攻撃できると驕ったクピドレスの船足と対応は遅い。


「各位、アイジェスが打ち上げ終わるまで、場を荒らすぞ。奴らの好きにさせるな!!!」


「《仏頂面》トルウス02了解」《仏頂面》「トルウス03了解了(リャオジエラ)


「《仏頂面》トルウス了解。拙者の男尻は狂暴ですぞ?!」


「《不敗》インヴィクトゥス01から04は、男尻の直掩に付くぞ。やってやるよ。お茶の準備は出来ている。ティーパーティーを開いてやれ、お客さんは入れ食いだ。」


迎撃に出撃してきた。数機のグヤスクトゥスの一団をすれ違いざまに振るった銃撃の光によって、叩き落し、その無防備な腹を見せて墜落していく様を


眺めつつ、互いの死角をカバーしつつ戦場を翔け、出撃しようとカタパルトから飛び立つ敵影を大型のビームライフルを構えて、狙い撃ち、


宙にその姿を現す前に轟沈していく。


敵の船団の勢力は、それまでの数の有利を覆され、徐々に押され始める。


後詰に回され《エンゼルフィッシュ》と旗艦であるクルクス・プグナエ《戦闘十字架》に乗り込んで、その状況を見ていたヴェニ=ヴィディキは、


満足そうに頷き、自らも戦場へと舞い踊らんと、準備に入る。


やや戦闘空域から離れた場所に射出されたサイドスワイソン型空母16隻と突撃艇の一部(6艇)に、


直下の戦場へと撃ち出された《R.I.P》とタンデムライド型突撃艇18艇、


更に後詰で射出された《エンゼルフィッシュ》とクルクス・プグナエ《戦闘十字架》が、安全を確認した空域から、それぞれ戦場の中心に向かって機を出撃させる。


戦闘空域の制空権を奪い取る為に、《ヴィキティ》を駆るヴェニ=ヴィディキは、僚機達を引き連れ、奔る。


《エンゼルフィッシュ》を指揮するコーディー=スルーは、自らが作り上げた。機体の雄姿を観る事が出来ない事を不満に思いつつ、アイジェスからの要望通り、


地上へと武装コンテナを投下する。最後のパーツ《ヨ―トゥーン》の躯体を戦域から離れたエンゼルフィッシュと空母が待機する地点へと、打ち出し、


自らもトリコロールカラーの配色を起動させたその勢いにのって粒子を推進剤として、宙へと上がる。


ドライブ…稼働率119%


・・・


・・・


・・・


暫し、打ち上げるまでの状況に戻る


「アニスッ!!!!!!叩き落せ。アーガートラームに、近づけさせるなッ!!!!撃て撃て撃て!撃てよ。」


...。


命令を受諾しつつ、地上の目標に狙いつつ、忌々しい。且つての同僚共など、どうでもいい。その腕前は知っている。


ここにはエース部隊の同僚も、居ない。


ならば、狙い撃つのは、上がってくる奴等じゃない。地上で今も尚打ち上げ続ける奴を斃す。


其れこそが至上の命題。


鈍足の艦隊を地上から宙へ打ち上げる関係上、奴が、拙速に動けない。ならばこの射程距離の彼我の差を利用して、墜とす。


そう言って《サン・ヴァントル》(腹無し)のフレームから放出される光鞭を、舞い踊る海月の触手の様に、宙から地上へと放射する。


その光景を黙って見ている男尻好きは、此処には居ない。


「アニスッどうしてだ???!」「どうして男尻を裏切った?!」「えっでもあの娘、別に男尻に興味なくなかった?」「それはそう…??」


男尻を振り乱すアンザスは、口々に言葉を紡ぐ第二部隊の面々の援護を受けながら、その機影に向かって突撃する。


コーディー=スルー上級技官とクルーニー=ブルース特別顧問の共作による。アンザス機には、且つてDiem(ディエム)Perdidi(ペルディディ)に装備されていた


テールユニットと共に、副腕と偏光シールドも追加武装として付け加えられていた、若干ゴテゴテに加工されたそれを中心に、増加されたスラスター類を吹かせながら、


第二部隊の面々が、編隊を組み尻を出した変態をフォローする。


四機の《カルペ・ディエム》は、その特徴的な牙を模した大型ビームライフルの砲身を一点に集中し発振させ...。それを放つ。


一切の容赦なく、その天を覆わんばかりに飲み干そうとするその閃光の柱が放たれ、空を蒼く染め上げていく…


「マダの《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)だと?何故地上からもこの空域でも放つ機影が確認できるのだ?」


...


...


...


其れはかつての日々の事。クルーニー=ブルースとトゥルス=スミスとの開発機体の協議の最中


「良いんじゃないか?試しに試作品を作ってみたい。協力して貰っても良いかな?」


「それは構わない。技術的なその他の問題に関しては、後で詰めるとして、問題は素材にされた人々を元に戻す方法だが...」


・・・


(。´・ω・)ん?しかし何故、パイロット達にもこの仕様を伏せておくんだ?


別に私たちはそれでもいいがそれじゃぁ試射ができないぞ。


【このルートでの裏切者が誰だか分からん。一発勝負にはなるが、そもそも機体データーは既に所持している。試射の必要性は少ないだろう。】


【もしもの事がある。地上から宙に上がる時に必要になるかもしれん。裏切者が判明するまで伏せるのが重畳。】


「まぁ、問題はないだろう。動作に問題があれば緊急停止を出来る様に保険を掛けて置けば良い。」


・・・


・・・


議論は白熱し始めるも、その答えは出ず。その場は一時解散として、


次回の打ち合わせまでに、お互いに試作機を作成して進捗状況の確認をすることになる。


地上と空域から放射される本家に比べてやや細めの《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)に対して、回避しつつ、


その威力に慄き、地上で今も忌々しい蠅を撃ち出し続ける。アイジェス機に向かって光鞭を振り下ろす。


射出準備に入り、無防備な機体を晒すそれに向かって、光の刃を伴った鞭が襲い掛かる。


其処に展開された《HHB》が、その偏光フィールドを駆使して、防御に回り、その一撃を空中で阻害するも、その防御をすり抜け地上に光の雨が降り注ぐ。


このままでは...艦船が撃ち落とされかねない。


意を決して《一葉灼伏》…15%を起動。


「その心、姿映し導き出せ。ヴァナヘイム《豊穣の国》…起動!!!!!」


機体の各部が、紺鼠こんねず色の機体色から、三色の鮮やかなのトリコロールカラーへとその表情が変わると、それまでの僚機達の動きが目に見えて精細を極める。


地上の僚機達は、予測不能の動きでうねり降りしきる光の尾をまるでそこに在る事が分かって居るかの様に、艦影に当たらぬように空中で撃ち落とす。


それは地上で発射体制に入り身動きのとれぬ艦船の砲手達にも波及する。


迫る成層圏から及ぶ光鞭に対して、艦の主砲が瞬き撃ち落とし機銃がその動きを牽制し、僚機達の光波の閃光が刺し貫く。


その間に、次々と地上から宙へと、無傷のまま上がる希望が、陽光に照らし出され不吉な影を墜とす事無く。蒼空を覆う。


機体各部から溢れ出る粒子を触媒として、機体内部の頭脳部にまで浸透したそれが、量子コンピューターによる予測演算を開始。


僅かコンマ数秒先の未来を予測しそれを戦術リンクを介して、その予測結果を僚機や母艦へと届け、


反応速射する光の援護射撃が、攻撃をシャットアウトする。


最後の積み荷を送り込んだ後、その手に《HHB》の更に加え武装をその両手に掲げ、二丁拳銃とした其れに一対となった浮遊する盾を軌道運動を描き、目まぐるしく

※2025年7月6日2時41分誤植修正


敵機の攻撃から本機を守り続ける。


・・・


「俺も...戦場へ…」


悲しげにも己を鼓舞する聞きなれぬ其之声と唄に励まされ、一人の漢は、宙へと駆けあがる。


一直線に、打ち上げ花火の如く、撃ち上がる一筋の星が、迎撃態勢に入った敵機らしきその姿を確認


すれ違いざまに、肩部副腕に備えられた噴出孔から、劫煤が瞬く、


伸びる剣閃をビームサーベルで迎撃するべく一機のグヤスクトゥスが待ち構え、


その刃筋を見切り、背面スラスターとバーニア―を吹かせて絶妙のバランスで、間合いを外して半身を向ける。


そして相手の軸と自らの軸をずらして、目標に向かって自らの刃を相対する様に打ち込む。相手の刃先は届かず、此方の刃筋は、先に届く...はずだった。


だが、その発振する刃が突如その間合いと刃を広めて、ギリギリを狙って避けた距離を詰めて、一刀両断で切りつけられ爆散する。


身長を倍するまでの長さに伸びた其れを、慎重に元に戻すと、


先ずは一つ


地上から高度100kmは離れたその空域で、両軍が乱れ争い、戦場の華が咲き乱れる。


そば杖を喰らい、吹き飛んだ機影から、別の敵機に向かい。敵機を着地点として逆さに着地すると、レッグカバーの鬼面から噴出する。


劫牙の刃が抉る様に蹴り込まれ、弾き飛ばされ、別の場所で、切り結ぶ、二機の機影に向かって肉薄する。


次の瞬間、何かに気付いた僚機が、姿勢制御のバーニア―を吹かせつつ後退、両腕を掲げて、ビームシールドを展開。


内蔵するジェネレーターと反応し、背後から迫るそれに気付かぬまま、巻き込まれた敵機が爆散四散する。


ガンガンッと、機体の破片が、カルペ・ディエムの装甲にあたり、誘爆の炎を光の盾で防ぎながら、悪態を吐く。


「あぶねぇッ!!!!」


事前に知らせただろ...蹴りの反作用で離れ行く機影を見送りつつも、抗議を上げる声を無視して、


二つ、


次の獲物を探す。


戦場を覆う粒子により、戦場を俯瞰し、眺め、僚機達の状況をフォローしていく最中に、


「各座、砲戦用意。弾幕を密に、敵機を近づけさせるなッ艦載機は出せるだけ出せッ!!!」エンゼルフィッシュを指揮する艦長の声が飛ぶ。


一斉に放射される弾幕を抜けて迫る敵に向かい出撃した僚機達が次々と出撃し、展開し始める。


第一部隊と第五部隊の面々は、主要な戦場から離れつつ整備艦(エンゼルフィッシュ)の防衛と、援護射撃に終始徹底している。


ササボンサム…その特徴的な長い足を備える機体が射程外より、長距離狙撃を繰り返す。


大石は、敵機の攻撃をいち早く察知して、第五部隊の《臆病者》クヴァイリス01、02に対して、指示を出す。


「《臆病者》クヴァイリス01、02前に出て防御後、《頭脳》セレブルム各機は敵機の射線を狙ってカウンタースナイプ開始」


船舶の前に躍り出て、第五部隊のオウ=コワイイとオマエ=ナニモノが二機のビームシールドを合わせて光を発振させ展開。


迫る長大な光の帯の一撃をやや斜めにズラし展開されたその盾を以て、粒子の流れを防ぎ、絶妙のバランスでその防壁を展開し続ける。


第一部隊の面々がその隙を埋める様に、四機のカルペ・ディエムの砲身を合わせて《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を発動。


カウンタースナイプの直撃を受けて、遠くで爆散する機影を確認し、


オウ=コワイイは、呟く


「(ノ・ω・)ノオオオォォォ-おおおコワイ。がくぶるだな。シッコが漏れるぞ。」とばかりに疾呼する。


「そういえばオマエ=ナニモノ。お前、裏切者じゃなかったんだな?」


「えッ隊長なんで???僕の事疑ってたの?酷いッ!!!!」


「だってなぁ?そんな、名前してるしな?」


「僕はそんな事思ってなかったよー。べいびー??」とシナドロ=アマイがウィンクしつつ甘い台詞を吐く。


「「それはお前が甘いだけだろ!!!」」


「そんな事より、狙いが当たらないよぉー隊長―。」とネライ=アッタラナイは嘆く、


「「「いや、お前の狙いが当たらないのはいつものことだろ、ウチは、エースのお膳立て部隊だからなッ!!!」」」


「えッでも僕らがサポートするエースが...」


「「「それは言うなよ~」」」


...。


「会話は終わったか?各機、防御態勢のまま、この空域で待機。もしかしたら敵機の遠隔武器が襲ってくるかもしれん油断せずに行こう。」


「でも、大石さん、うちらの仕事、ドン・キホーテに盗られてませんか???」


「最終的に勝てれば、誰が指揮しても構わない。お嬢に笑われない程度に仕事するぞ。」


主戦場から6時方向にズレた空域で待機する大石たちを他所に、主戦場となる敵母艦と《サン・ヴァントル》(腹無し)が、展開された空域で


死神の鎌が、その首を描き切らんとばかりに【falcisファルキス】舞い踊る。


「敵が来るぞ。打ち合わせ通り各機、出撃。各砲座準備開始、敵機までの距離補足。狙えッ」


艦長ナンネン=ハイマンが吠えて、クルーたちが指示に従い。各砲座から牽制射撃が展開される。


応戦すべき敵機の接近を察知して出撃した複数のマンティコレ(獅子型)とサテュラル(虎型)が、地上戦では使用できなかったその思考砲台を全面解禁。


一気に解放されたそれが、360度の上下前後左右のあらゆる角度に展開されたそれが、狙いすませたかのように、


アンザスと第二部隊を送り込んだ、イゴールら残りの第三部隊の面々と、集結した突撃艇から出撃してきた僚機達へと襲い掛かる。


合計十機に及ぶ、マンティコレ(獅子型)とサテュラル(虎型)から五月雨式に放たれる親機4×10+子機16×10の合計、200基以上にまで及ぶ《falcisファルキス》大編隊に向かい


その動きは酷く緩慢に見え、そして射出された光の檻は、逃げ場などどこにもない事を知りつつ包囲する。


先ずは斉射の第一陣を僚機達を指示するイゴールが、飛び込みながら、先読みしつつ回避行動に移り。推進機構に火を吹かせ、後方から迫る一射を何も観ずに、機体を傾けて避けきる。


追従する僚機も同じく背後を観ないまま、左腕に展開したビームシールドで、低出力の輝の牙を弾きながら振り向きざまに、上空に大型のビームライフルを向けると、射出モードを拡散式に変更。


光に照らし出された《仏頂面》トルウス02、トルウス03の機影に描かれた道化師を描いたエンブレムが一瞬映り、そして消える。


其れと共に発射された拡散式の粒子砲が、上空から放たれようとした【falcisファルキス】に向かって斉射、そして撃墜。


前方に銃口を向ける《仏頂面》トルウス01、イゴール=マッケンジーも、同様に射出モードを拡散式に変更。


連続射撃を繰り返し、撃墜していく。


その間も降り注いている筈の光の檻の網目をまるで事前に分かって居るかの様にすり抜け、機体が通り過ぎた後にワンテンポ遅れて、


次々と其の断頭台が卸されるも、その行為が無為に終わっていく。


その光景は、他の空域でも行われ、それまで優勢だと思われていた《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)に激震が走る。


一機も墜とすことが出来ない????!


放たれた光を受け、爆散する光景を目の当たりにして、


アニス=フライヤーは違和感を感じる。おかしい、なんだ?こいつ等完全に【falcisファルキス】に対応してるぞ?


「各機、思考制御弾を一斉展開後、ブラインドアンカーを使用しろ。」


(如何に、新造機体の性能が上がっているとは言え...。目に見えぬ死神の鎌は、避けれまい。)


自らは、指揮をしつつ、目の前の敵に視線を向ける。


次々と集結していく両陣営の機体数は、《R.I.P》搭載のカルペ・ディエム4機×2+タンデムライド型突撃艇18艇+カルペ・ディエム4機×18=合計80機の


僚機と相対する《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)の軍勢は...。


イゴールが操るカルペ・ディエムのコックピット内のコンソール上で、確認できる敵味方識別コードによると...


アガートラーム3隻×20機、哨戒艇6艇×4機、中型の駆逐艦6隻×6機、総勢百余機、僅かながら敵の艦載機の数が多いモノの


その趨勢は、Carpe Diem(カルペ・ディエム)側に大きく傾き始める


「ビーム攪乱幕は、僚機の攻撃の邪魔だ。指示あるまで撃つな。射程距離に入り次第敵母艦に砲撃戦を仕掛ける。」


「主砲及び、ミサイル装填開始。CIWS(近接防御兵器/機関砲)敵機体を近づけさせるなッ!!」


侭ぐるしく視界が切り替わっていく最中に、視界の端でCIWS(近接防御兵器/機関砲)の偏差射撃へんさしゃげきを実行。


曳光弾(えいこうだん)が混じり棚引くように光る射線を以て迎撃する。


展開された【falcisファルキス】が、今までの脅威がなんだったのかと、疑問に残したまま冴えわたる射撃で射抜き爆散させる。


「ヤッハー見えるぞ、視える。奴らの縮み上がったパンツの中迄見えるぞッ!!!」


「曹長それは...」


痺れを切らした、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)は、思考誘導弾の絨毯爆撃を敢行。一斉発射された弾体の群を共に、突撃を開始。


Carpe Diem(カルペ・ディエム)の軍勢は、一糸乱れぬ連携で、回避と共に振り向きざまに拡散粒子砲の斉射を実施。


機体を通り過ぎ、自軍の母艦へと降り注ぐ直前にその全てを撃ち抜く爆散させていく。


《仏頂面》トルウス01こと、イゴールは、僚機達に指示を出しながら、三度目の《天地併呑》(ウニヴェルスム・デヴォラーレ)を放ち思考砲台達の大本であるその機影に向かって照射。


咄嗟に危険を察知して回避行動へと移るマンティコレ(獅子型)とサテュラル(虎型)は、まるで自分達が逃げる方向を知っているのかの様に横一線に薙ぎ払われた一撃に巻き込まれ、


申し訳程度に展開されたビームシールドごと、その装甲を絶対の熱量を以て溶解させ、耐熱仕様のノーマルスーツごと、此の世から影を残して消滅させるも、


後詰で展開された。周囲の景色に溶け込む姿なき死神の鎌、ブラインドアンカーが、戦場を優勢に進めるCarpe Diem(カルペ・ディエム)に襲い掛かる。


其の頃、《仏頂面》トルウス04ことアンザス=フライハイは、第二部隊の《不敗》インヴィクトゥスを引き連れ、


その馬脚を現した且つての同僚と対峙する。


《サン・ヴァントル》(腹無し)...確か装備しているのは...あの直前で間合いとその方向が直前で変化する。光鞭...。


その動きは、直前まで分からず。避ける事や防ぐことは可成り難しい...。


放射状に迫る。ビームウィップが途中で枝分かれしながら、何重にも折り重なり迫ってくる。


一旦、狙いを外す為に、姿勢制御用バーニアを吹かして、逆進を駆け、袖口から射出し飛び出した棒状の何か???


光を発振するその刃を構えつつ、寸前で回避し曲がるビームを切り払い。あるいは、展開したビームシールドで凌ぐ、


一方的な攻撃に見えたその瞬間に、吠える。


「視える。看える。観えるぞ!!!明日の晩御飯の献立が!!!!!!!」


「カニクリームコロッケっ!!!嬉しいなぁー。」


するりと光の鞭の影響範囲外まで潜り抜けた、アンザス駆る、カルペ・ディエムは、まるで


「おいッ!!!それより敵の動きを見ろよッ!!!」


「隊長ッ、体調が悪いです。きっと隊長の所為です。結婚してくださいッ!」「オ”エァ~!!!」と


敵の攻撃をそうは食わないぞとばかりに回避しつつ、ソウハ=クワナイが抜け駆けをすると、


「あッ此奴、抜け駆けしたなぁー。」アーデスワットが、抗議の声をあげつつ


「そんな事より今そこに在る脅威よりもッそこに在る...だッ!!!!」とソコニ=アルナが突っ込む


「私は、人妻だッ!!!!そんな冗談よりも、裏切者の尻穴を掘ってやるぞ。ついてこいッ!!!」


「《お調子者》(ストゥルティ)に後れを取るなッ!!」


「「「へーぃ。挟撃しまーす!!!!」」」


直進する、アンザス機とリン=山崎が、互いに互いの死角をフォローしつつ、宙に、二つの螺旋を描きながら蒼空に上がる。


その光景を確認しながら、三機のカルペ・ディエムが、展開したビームシールドをそのままに実体弾兵装をランドセルから取り出すと、

弾帯を通常炸薬から、ビーム攪乱幕用に換装。


周囲の戦闘宙域に放り込み、舞い踊る光の鞭の影響範囲の攪乱を開始。


交互に繰り返されるビーム攪乱幕により、宙域の光鞭の光に陰りが観え、その影響範囲が減じられ始める。


(・д・)チッ


面倒な...。あのエンブレムは...ピエロと矢の刺さった林檎…。


第三部隊《仏頂面》トルウスと第二部隊《不敗》インヴィクトゥスの奴らか???


私も舐められたもんだな、複数で掛かれば倒せると、思ったかッ!!!


激昂しつつ、フットペダルと操縦桿を傾け、《サン・ヴァントル》(腹無し)の真価を見せてやるぞとばかりに、後方へと敵に囲まれない様に後退しつつ、


ビームウィップが、回避不能、予測不能の間合いで多重展開される。


光の鞭をそれまでの当てずっぽうの乱れ撃ちから、直撃する直前までその動きを変えず、相手が切り払い防ごうとした瞬間に、

其之弾道を曲げて防御をすり抜け、撃墜する...


それまでの動きと異なるその単純な攻撃に...


「拙者の尻は出ているか?尻を撃てッ!!!!!」


(。´・ω・)ん?


尻を撃て????????!!!!!!!!尻ッ???


なんかわからんが????了解したぞ。


「各機、《お調子者》(ストゥルティ)の尻を狙い撃てッ」


光の鞭の狙いを一身に受けて、突撃するアンザス機に、その攻撃が迫る。


左腕に展開したビームサーベルを振るい、切り払いを行おうとした瞬間に、その狙いが大きく湾曲し、曲がった弾帯が、


シールドを構える副腕に直撃する。粒子の粒を巻き散らしながら、次々と着弾するその光鞭に襲われ、防ぎ切れなかった一撃が抜けて


装甲各部がその余波を受けて融解し始める。


その一手前に、背後からソウハ=クワナイとソコニ=アルナが、同時にその尻穴に向かって、弾体を射出。


狙い能わず命中した。ビーム攪乱幕が、光鞭に襲われる。尻の窮地を救うう。


攪乱幕により散乱し始めたその光を抜けて、背面部の全スラスターを点火、一本の槍と化したアンザス機が疾駆する。


其れに併せて、時間差で射出された、鉄の拳、アイゼルネ・ファウストが、前面から後部に向かって展開されたシールドに向かって、直撃、


その迫撃を受け、加速する機体が、前から迫る光の鞭の影響範囲から抜けると、


銃口を前面に構えた、銃身がすぽっと、腹無しの腹部に突き刺さり、その引き金を引く、銃口から吐き出される光りの放射が狙いを外れて、


背後に控える船団に向かって降り注ぎ、爆裂の華を咲かせる。


(。´・ω・)ん?


機体同士が接触した衝撃で、互いのコックピット内で、エアバックが発動。その衝撃を殺しつつ、頭を振り、操縦桿に手を掛ける。


「やっべー、勢い余って...。狙いがズレた?」


バーニーアーを吹かせて逆進しつつ、空いた手で発振する光の刃を翻し、敵機の刃と、至近距離で斬り合う。


水平方向に錐揉み状に回転しながら、直近の距離で切り結ぶ、その行為に、以前までの相手の優位性は無く、


それでも接近戦では、互いに光刃を振り乱し斬り合いながら、至近距離からの拡散粒子砲を浴びせかけるも、


螺旋状に展開される発振する刃光を以て、拮抗し迫る一撃を回避し、距離を取るもスラスターを点火し、敵機の軌道に併せて


肉薄し、左右に旋回を繰り返し戦場を舞いながら、光の斬り合いが瞬く、


(・д・)チッ


悪態をついた其之最中で、敵母艦であるアーガートラームから...ジンボ=ジラマは、満を持して出撃する。


奇妙な形をした、大型の華開く、妖花の如きその躯体をもった、それが、戦場の空域をその暴虐を巻き散らす。


ダン・ド・リオンその名の通りの大型機が、戦域に対して、タンポポの綿毛…浮遊する起爆する種子が、戦闘中のカルペ・ディエム共々友軍機を巻き込む様に展開される。


起爆し直撃する瞬間に、咄嗟にそれを察知してビームシールドを瞬間的に広げ防御。


背後から迫るそれに直撃し、敵機が爆裂し、爆ぜた装甲片が、カルペ・ディエムの躯体を叩く。


「正気か?こいつ等、味方毎巻き込みやがったぞ。」


瞬時に戦域で戦闘に臨む僚機達にその脅威が、共有される。


互いに、大型ビームライフルのモードを拡散式へと切り替え、そんな機雷は嫌いだとばかりに、掃海そうかい作業を試みる。


何も観えない暗闇の宙に向かい照射される、光の一射が、機雷を巻き込み、一掃されて行く


「うむ、それは想定内だ。どんな手品を使い。防いでいるのか?不明だが、その張りぼての力、解き明かして見せる。」


まずは...。


三つ、両手に構えた《HHB》謹製のライフルを構え、相手の照射するビーム砲ごと撃ち抜き、刺し貫く収斂された一撃を以て、散乱する粒子を巻き散らしながら、撃墜していく。


今もなお戦う僚機達への援護に入るべく、アイジェスは、その操縦桿を操り続ける。


未だ、機雷の猛威が届かぬ戦場で敵と対するイゴール=マッケンジーは、眼に見えぬ思考砲台、ブラインドアンカーが、敵機の側面や自機の背後に向かって展開され、此方の攻撃が直前で防がれ、


背後からの奇襲により...。僚機達の数を減らすかに見えたが...


「だから、視えてるって言ってるだろッ!!!」


「各機、散弾装備を解禁。実弾兵装と共に拡散モードに切り替え、狙い撃てッ!!!!」


指示する間もなく、襲い掛かる見えぬ死神の鎌を背後も見ずに回避し、後方から前方へと流れていく何かを察知すると逃げ場のない散弾の応射を浴びせかけ、撃墜す。


敵機の数は、いつの間にか、大きく減じられつつあるも、その戦場の中心で、猛威を振るう。獅子の雄叫びが、戦場を覆い始めた機雷により、


雲行きが怪しくなる。


掃海(そうかい)作業に気を取られたカルペ・ディエムに向かい抱き着くようにその動きを止めた瞬間、流れる機雷と共に爆発。


咄嗟にビームシールドを展開しその束縛から逃れ、誘爆圏内から逃れるものの、爆散した機体の破片が、偶然メインカメラ直撃、


大きく視界を減じられた機体に向かい。イゴールが、一時退避を命じ、離脱を促す。


その様な光景が戦場の随所に見られていく…


全てが見えるとしても...。且つて語られた妖異の逸話通り、悟りには...


「はっ悟りの化け物どもめ、いくら悟ったとしても、破裂する破片までは読めまい。手品の種は割れたぞ?各機、死力を以て敵の動きを止めよ。」


「各機へ。《炉心融解》モード起動。」


次々と撃墜されるのも厭わぬ、その軌道に、僚機達が反応し、一斉に、ダミーバルーンを放出。危険を察知して戦闘宙域から急速離脱。


ばら撒かれた、ダミーを追い抜きざまに撃ち抜いた弾体を目標が回避した事確認し、赤熱化するフレームと機体を赤く染めながら、


一気に噴出する粒子量をその勢いを増しながら迫る敵機に、向かい。二筋の銀劫と黒く輝く何かが、瞬き、互いに虹色の熱分解の炎を吐き出し、宙へと上がって逝く。


銀劫輝く、流線型の飛戦体と共に、八面六臂の姿を現したデスペラードの二機のコックピット内部に《Pyrolysis Edgeパイロリシスエッジ》と《Pyrolysis Handsパイロリシスハンズ》の文字が踊る。


百八十度見渡す限り逃げ行く僚機達以外に何もない、その空域で、真下接近、しながら総勢数十機の敵機から通常時でありえない程の熱量を持ったそれを、


振るった熱分解の炎で、焼き焦がし、一射目から二射目の隙に、薙ぎ払うかの様に副腕状の射撃武器から放たれた銀劫と共に、両腕を重ねて発振共鳴させ


其の影響範囲を広げた一射を以て、薙ぎ払う。同時に、僚機達の予測反応範囲外からの強襲。


二機の動きに合わせるかの様に垂直降下で、互いにすれ違う様に、九十度上空から、


何かが来る...。


《ASAP》を先頭に、複数の艦影共に、この宙の上で離ればなれになった。且つてのそれが


黒く染められたボロボロのマントを翻して、迫る。


以前観た姿とは大きく変わった。其の機影は、左右非対称であり、互い違いに別々の機体から部品を掻き集めた様な、その姿を見せ。


各砲門を全開にしながら、空を翔ける。


お互いのコンソール上に、敵味方識別コードと、機体名が表示され、


Σ(゜Д゜)


「「ディエムペルディディだと?!!!(ボギー1だと???)」」


砲撃戦仕様の爆装の実体炸裂弾を巻き散らし、四銃身の乱れ撃ちを繰り返す。機影とすれ違いざまに数機が爆炎の華を花開かせて、四散する。即席の連携にしては...と、


満足気に頷く老人に対して、アイジェスは、「来るぞッ!!!!」「反転してもう一度ッ!!!合わせるぞ!!!」


「ほっほっほ、了解だ...」


「ほぅだが?あれは?確か、禁止したはずの機体だが!?」


敵機達の狙いが、退避する僚機達から、急襲を仕掛けてきた、機体へと切り替わる。


視界の視点が目まぐるしく変わるなか、上下に打ち明け向かって、応撃する火器が、火を噴く。


「...これは一体どういうことだ...艦隊との合流地点で《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共の作戦を阻止すべく参じたが...」


「あの敵味方識別コードが指す。機体は...ドン・キホーテだと?」


驚愕しつつ、言葉を吐くアハト=佐伯に対して、ハルズ=アルマインが答える


「はんッ、無口なお前も話すんだな。そこら辺の事情は...聞かせて貰うが、今は獲物を駆る方が先だ!!!!奴等から奪うぞ!!!!腹が減ったッ!!!」


「ふんッ…」


やや、お互いの思惑が交差する中、四機の機影が舞い踊る様に上下から、《炉心融解》を厭わぬ敵機に向かって襲い掛かる。


四機の機影は、まるで人が動くかの様に、滑らかな、機体操作と、軌道を描き、空を泳ぐ。


蒼空に輝線を描く、十字疵が、広がり、左右方向へと八の字を描きながら、すれ違いざまに敵陣を斬り裂き、


稼働する砲門を開き、湾曲軌道の途中で、その光と火砲を浴びせながら、空を緋色に染めていく。


刃の一部が欠けながらも、その下部へと数本の発振器を捻じ込み粒子の光を増した、その刃が、光輝く爪で、受け止めたサテュラル(虎型)に対して、


触れた刻に、鬨の声をあげるかの様に震えると、実体剣の刀身に貼り付けられた赤熱化する金属と反応し、そのまま敵機を両断する。


半身のフレーム内部に、鉤爪状の副腕を差し込み誘爆する寸前のジェネレーターを引きずり出すと、大きく様変わりした。


ディエムペルディディのシャープな、牙あるその頭部機構の口が開くと、何かを啜る様に、その機体内部に取り込み始める。


その異様な光景に、アイジェスは、何か嫌な予感を覚えつつも、自らも敵機の群に対して何度目かの蹴撃を繰り返す。


光る足刀の刃を見せる。その脚に切り裂かれて撃沈するその機影に、突如、毒虫の針の如き、テールユニット―を射出し、その牙ある、尖塔の如き先端が、


やはり敵機のジェネレーターを抉り、横からかっさらい、そして同じく副腕から伸びる爪で掴み取ると、何かを注ぎこむ様に、吸引する稼働音が、音の無い空間に、無為に消えていく。


その姿を見て、機体の冷却時間をカウントしながら、銀劫の砲撃戦を仕掛けていた。ヴェニ=ヴィディキは、その行為が何を意味することかを理解する。


ディエムペルディディ、地上と宙でそれぞれ機体が分かれ、異なる道、異なる進化の道を進んだそれは...恐らく、真実を知りその道を選ぶ事無く歩んだ、我らと違い。


彼らは、失った機体の部品、燃料を補填する為に...奴等、《人喰い》カルニヴォルス (carnivorus)共を喰らい取り込む道を歩んだのか??


あれは?リアクティブジェネレーターの燃料を…業深きそれを補充している?!しかもそれを意識的に、


「やめろ、本国からの指示は届いている筈だ?敵機の技術を、その燃料を使う事は禁忌事項となっている!今すぐ戦闘空域から離れ、離脱せよ。」


(。´・ω・)ん?


「なんか変な爺が文句言ってるぞ?それは聞けんな、話がしたけりゃ、食事の後にしてくれ。今日は最低十機は喰うぞ?!」


「…(同意)」



僚機達が、退避行動に入る中、数機の友軍機が、現場に残り奮戦する姿を幻視した、アンザスは、単騎でカルペ・ディエムを駆りながら、ヴェノムレインと、機械制御式による誘導弾の弾幕で


無理やり戦場に、僚機へと続く道を無理やり切り開く。其処に追撃のビームウィップが、放たれるも、展開したシールドによる多重防御と予測反応による切り払いで凌ぎつつ合流を果たす。


その光景を見ながら、ふんっとその光景を鼻で笑う。アハト=佐伯とハルズ=アルマインは、鋭敏に研ぎ澄まされた。その直感にも似た嗅覚で、《サン・ヴァントル》(腹無し)へと、


視線を向けてその影響下に展開される死線を潜る。


猛烈な飢餓に襲われた二機の機体が、各部から飛び出した。光の鞭を丸でどこにそれが伸び、どの角度で曲がりそして命中するのか?


まるですべてを理解したかの様に、周囲に巻かれた機雷の綿毛を手に持つ獲物で撃ち抜きながら、迫る。


その攻撃を側転する様な動きを繰り返し、攻撃を回避しながら、距離をとるそのモーションに


(。´・ω・)ん?


その動き、うちの部隊で使われている基本モーションの一つだな?


隊長と、イングリットは、母艦の防衛に回っている...というと、その動きは...


「…アニスか?オマエ…」


「はんっ、何だよ。裏切者出したのかよ?お前ら不甲斐ないにもありゃしねぇな。理由は知らんが、喰わせて貰うぞ。」


降りしきる。半誘導の弧を描きながら、命中する寸前に、ビーム攪乱幕の弾頭を投擲し、命中して穴が開いたその網目を潜り抜け


二匹の獣が、迫る。


(・д・)チッ


あの動きと、機体のフォルムが且つてのそれとは大幅に変わっているが?あれは...アハトとハルズか?となると隊長たちも居るのか?


面倒だな…


「新手が来ただと?」


「ジラマ殿…このままだと不利だ。機雷はまだ残ってるか?ここは?本隊との合流へ退避するべしと具申する。」


「ん?まだ売るほどあるぞ?だが...」


「全砲門からの一斉射撃に併せて、全弾投下後、全機離脱。いいな?」


致し方なしと返答を惜しみ、了解した旨を知らせる撤退信号を宙へと打ち上げ、全機の《炉心融解》を一時停止、


《サン・ヴァントル》(腹無し)の一斉放射と共に機雷を宙を覆うほどの広範囲に向かってばら撒き、


其れを盾として、敵艦からの砲撃に晒されていた母艦をビームシールドを構えた友軍機に防御を任せて後退していく。


突如戦域を覆い始めた光の鞭と、機雷の雨を浴びせかけ急速離脱を敢行。


「クソ逃げるなッ寄越せ!!!!!」


「(…)」


交戦的な二人の声が宙に響き渡る中で、敵軍は多大なる損害を出しつつも戦闘空域から離れて行く…


・・・


・・・


・・・


そして物語は続き、その結末を模索する。


毎月、月末最終日に2話更新予定。


誤字脱字、誤りがあったら修正するので、教えてください。

※2025年7月6日2時41分誤植修正

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