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5年間気になっている職場の先輩を、サンタクロースから奪還します!

作者: くにたかあきな

出勤前のコンビニで山崎先輩と目が合った。

声をかけようとしたが、買い物を済ませた山崎先輩は私に会釈してコンビニを出た。

山崎先輩は私の3つ年上で、職場の男性社員には珍しく寡黙で不思議な雰囲気の人。

私は先輩を目で追い、所在ない右手でホットティーを掴み支払いを済ませた。

「おはよう、北村さん」

「え?山崎さん、私を待ってくれたのですか?」

「あぁ、今週は北村さんと話していないと思ってね」

山崎さんは何でもないような口調で職場の方向に歩き始めたので、私も並んで歩く。


「もう12月ですね。山崎さん、今年のクリスマスはどう過ごしますか?」

「今年もイブの夜はサンタクロースの手伝いだな」

真顔でぶっきらぼうに答えるので、ふざけているのか本気なのかよくわからない。いや、内容からしてふざけているのか。

「毎年それですよね。私が新入社員の頃から言っていますよ。サンタさんの仕事をサポートする副業でしたっけ。そもそも、うちの職場は副業禁止ですよね」

「そこは問題ない。サンタクロースに各国への領空侵犯やプレゼントを渡すときの不法侵入などの法規制は通用しない。よって、サンタクロースをサポートする人間にもそのような規制は通用しない」

「ハイハイ、そうですか。その副業は毎年同じ仕事ですか」

「一昨年はサンタが通報されないように、警報装置のセンサーを解除する仕事だ」

「山崎さんが通報されなくてよかったですね」

「去年は、サンタクロースが子どもの枕元まで行けるように、家の外からENT(イーエヌティー)2(ツー)式ワープゲートを開く仕事だ」

「いきなりSFになりましたね。ENT2って煙突のことですか」

「今年は全世界に散らばっているサンタクロースの勤務状況を管理する仕事だ」

「現場仕事からマネジメント側になりましたね。来年になったらどこまで出世するのでしょうね」


あぁ。本当はこんな下らない掛け合いをしたいわけじゃない。

ねぇ先輩、想像で1人のクリスマスを紛らわすくらいなら、私と一緒に過ごしませんか。

ただ言いたかった。

信号が青に変わると職場のビルが見えてくる。私は慌ててスマホの画面を先輩に見せた。


「あの、24日にクリスマスコンサートがあるんですけど、山崎さんも一緒に行きませんか?」

「まぁ、5年間も副業していると要領も掴めてくるわけで、夜しか仕事はないから昼間は時間がとれるけど」

横並びに歩いていた体が向き合った。

二人の顔が赤いのは、きっと寒さのせいじゃない。


クリスマスイブですね。サンタクロースの副業のくだりを思いついてしまってノリと勢いで執筆しました。

今回の「なろうラジオ大賞5」投稿作品は他にもチマチマと執筆中です。

年内に投稿できるように頑張れ自分!

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