イラストレイター様が神な件(イラスト有り)
さっき最初から8月刊行予定という話をしましたが、実のところ私の執筆よりもT編集からはイラストレイターさんのスケジュール確保が難しいという話でした。受賞の段階ではイラストレイターさんこれから打診するところからスタートですからね。
さて、ライトノベルで超大事と言われるイラストレイターさんの選定ですが、私は正直あまり詳しくないというか、ライトノベルを読んでいた時期的に少し古めの好みになってしまうという問題があります。あと特に女性向けイラストレーター詳しくない。
イラストレイターさんの希望あれば伺いますよーとT編集からは言っていただけましたが、分からんって感じなんですね。
作者の脳内だと先述のウマ娘と、時代背景的に森薫の『エマ』混ぜたような感じなので(かおす)。
T編集からうちの本サンプルに送るね!って自宅にESNの作品で女性主人公ものが何冊か送られていたので、この中だとこの人のイラストが好み的なメールをしました。
んで、返信に送られてきたイラストレーターの候補の中に、ウエハラ蜂さんがいました。
ウエハラ蜂さん。
名前は覚えていなかったが私はこの人のイラスト見たことあるぞと。
ゲーム『ツイステッド・ワンダーランド』(以下ツイステ)のイラストをTwitterで見て、上手いなと思ってPixiv見に行ったことあるわ的な。
ツイステは未プレイだけど、キャラが良いよね。
特にスーツ系の制服が良い。
それと刀剣乱舞絵師様じゃないですかー!
TさんからはTL系(女性向けエロあり)の商業でイラスト多く描かれているとの話でしたが、そっちよりPixivのイラストの方が好みではある。
これはまあ私が女性向けひらひらしたイラストをあまり好まないからね、仕方ないね。
だがウエハラさんはスーツが描ける。エロかけるということは肉が描ける。素晴らしい。
という訳でTさんにメールです。
「……イラストのどういった点を好み評価しているかということについて説明しますと、このテサシア・ノーザランのイラストについてわたしが求めていることは本質的にはただ一点で、『誰が最も上手くテールコートを着たルートヴィッヒをイケメンに描いてくれるだろうか』ということのみです。
またそれは顔のみの話ではなく、体を描くのが上手いイラストレイターを好みます。
これはわたしが男性であるというのも大きいかと思うのですが、特に女性向けイラストにおいて美麗なイラストであっても男性の身体がペラい(平面的である)のを嫌う傾向が強いです。
そういう意味で言えばツイステのイラストをPixivに上げているウエハラ蜂さんであれば安心して依頼したいと心から思えます(あの作品はスーツ系制服を着たイケメンの集まるソシャゲなので)。刀剣乱舞のイラストも身体にしっかりと厚みが感じられて良いイラスト……」
長い。
ともあれ編集さんがウエハラ蜂さんにオファーしてくれ、5・6月ごろならスケジュールに空きがあるとのことでイラストを頼むことができたと。
4月末にキャラの設定については文書とZOOMで送っていました。
表紙についてはTさんの方からレガッタのシーンイメージで川辺にヒーローとヒロインいる感じにしましょうと提案ありました。印象的というか、川辺という表紙はあまりないように思うので良いなと。
実はこの段階でオフレコなんですがという前置きとともに、アーススターの女性向け作品はルナという別レーベルにするという話、テサシアはそちらから出すと伺っていたんですね。
なのでTさんに尋ねましたよね。
「ウエハラ蜂さんのPixiv見るとそうでもないんですが商業作品を見ているとめっちゃ花飛ばしてるなというイメージですよね。私が男性であるからでしょうが、あまりめっちゃ花飛んでるのを好まない傾向なのですが、これはTLものだからなんでしょうか。ESNは今のルナマークついているものでもそんなに花飛んでるイメージはなく、新たに立ち上げるESLがレーベルカラーとして花飛ばす仕様でなければ、あまり花を飛ばさないでくれると嬉しいです」
表紙に花を飛ばしたくない圧。飛ばさないでもOKと聞き、ほっとしましたわ。
後は作中の要素として剣を持つ女神の刺繍ってのが出てくるのですが、これを裏表紙か表紙下かに使いたいと言っていただけたのは嬉しかったですね。
書籍化するよという話が1月、執筆で一度目の原稿が完成したのが4月末。実はTさんが5月半ばごろに一回キャララフとか来ると思いますーって私に伝えていたのもあって、実はいつまでたってもイラストがこない感が強く、超やきもきしていました。
キャララフきたのが6月22日でしたからね。
人気絵師様だし忙しいのは存じている! だが間に合うのか? 的な心配はしてました。
キャララフ。テサシアとルートヴィッヒが並んでるラフでしたが、見た瞬間は実のところ「あれ、イメージと違う?」と思いました。
これテサシアの髪色が違ったんですね。私の指示出しが曖昧だったせいなんです。栗色って書いて送ったんですよ。
そうだね! 和の栗色と洋の栗色って別の色だね!
黄土色っぽい髪色がきました。和の栗色ですねこれ!
こっちは洋の栗色を想定していたので、赤茶色って感じのつもりだったので直していただく。これ以降、カラーコード何個か上げてこの辺でと指定を行うようになりました。
でも良いラフ、とっかかりを見ただけですばらしい完成形が期待できるっていうか。それは本当に嬉しい。
それでも細かいところをちょこちょこ言ってます。ルートヴィッヒにもうちょっと厚みが欲しいですとかドレスの形状とかね。
24日にはカバー表紙ラフが来ました。キャララフからの仕事がはやい!
この段階ではルートヴィッヒのスキンカラーとか衣装にアクセント欲しい的な話をしています。うるさいなまこである。
表紙に限らずですが、これ以降も結構細かいイラスト指示とか出してます。
ドレスやネックレスのデザインの写真とかイメージする絵画とか。
Tさん曰く、「キャラの外見とか各シーンのファッションをちゃんと指定してくるの明確でありがたい」だそうで。「男性作者だと特に編集やイラストレーターさんに丸投げも多いですからね」
笑う。
実は私もWEB版だとあまりファッションに文字数割かないようにしています。
一話2000字でテンポ意識してるので、外見描写が長いと話が進まないためというのがその意図です。
ただ他のいわゆるなろう系ファンタジー、ナーロッパと言われるやつよりはベースとしている時代感が明確かなとは思います。
さておき、6月末に表紙イラスト完成と。
ξ˚⊿˚)ξぺたり。
見ての通りですよ、超すばら。神よ神。
そして興奮冷めやらぬ翌日1日、裏表紙のラフが届くわけです。
実は刺繍イラストは間に合わなそうだし別の人に依頼しようかって言ってたんです。ミュシャのイラストをベースにして刺繍っぽく点描みたいにして……的な。
ウエハラさんやってくれると思ってなかったよね。超びっくりした。ちなみにTさんもびっくりしてた。
しかもチーフのデザインだしミュシャの絵でも正方形の小さめの作品イメージしてたらがっつり縦長のいわゆるミュシャのポスターデザイン。やべえ。背景のアザミの感じとかを慌てて連絡。
「髪色カラーコード送ってくれます?」
「何番と何番の赤と金橙でグラデーションする感じに……」
面倒臭いなまこである。
これは5日に完成イラスト届いて、Tさんがですね。
「刺繍っぽくするのにノイズ入れますか?」
「勿体無くてムリです……」
と言う訳で裏表紙にすばらな女神ですよ。ちなみにこれ、私のスマホの待ち受けですわよ。
編集さんに貼って良いと言われたので裏表紙も貼りますわよ!
ξ˚⊿˚)ξぺたり。
あああああぁぁぁぁ神。
……ふぅ。
後はちょっと前後して3日に口絵のラフが来て、エンディングシーンのドレス着たテサシアと燕尾服着たルートヴィッヒのイラストでしたね。これが8日に完成と。
ウエハラ蜂さんが何も言わずにラペル(スーツの胸元で折り返されているところ)を拝絹で光沢変えてくれるのとか嬉しすぎる。すばら。テールコートへの解像度が高い。つまり頼んで良かった。
後はあれよ、ルートヴィッヒが白の蝶ネクタイ(ボウタイ)してるんですよ。燕尾服だからね。これが超格好良いの。
私は読者がうまく想像できないかなーってところを本文にわざと書かないようにしていること多いんだけど、蝶ネクタイもその一つなんです。
蝶ネクタイは誰もが知っている。でも格好良い蝶ネクタイを読者が想像できるだろうか。ちょっと芸人的なものが想像されやしないだろうか。
ξ˚⊿˚)ξ「ゲッツ!」
かと言ってボウタイって書いても単語知らない人も多かろう。だけどイラストにあるからね! 読者がイラスト見ればわかるだろうと、本文中に「純白の絹のボウタイ」って付け加えましたよね。
カラーイラストはこの3枚で後は挿絵なんですが、ESNだと挿絵は10枚弱くらいで考えてるらしいんですが、時間的に6枚がギリギリかなあという話でした。
本文挿絵減ってもその分裏表紙描いてくれたのでご褒美です! くらいの気分です、ええ。
これはネットとかでよく言われる話ですが、ラノベの表紙カラーイラスト上手いのに、中のモノクロ挿絵イマイチじゃね? とか言われることって昔から結構あるんですよね。大きな声では言えませんがESNの作品でそう感じたものもあります。
ウエハラさんモノクロ挿絵も神……!
喫茶店(テサシア、ルートヴィッヒ、アヴィーナ)
兄妹(テサシア、マサキア)
ぷりん(テサシア、ミズキ)
私はそう思いませんね(テサシア、ルートヴィッヒ)
乗馬(テサシア、レミー)
キス(テサシア、ルートヴィッヒ)
注:レミーは書籍版で追加されたルートヴィッヒの弟、ショタ枠。
で6枚なんですが、どれも……良い……!
これはもう買って見てくれとしか言えませんね。
あと、この作品はラストがAnd they lived happily ever after「そして彼らは幸せに暮らしましたとさ」で終わっているのですが、これを横書きで1ページ使ってくれというオーダーをしています。
口絵がエンディングシーンなので、これをモノクロ加工してそのページに利用することをこちらから提案して採用されたので、実質挿絵は7枚ですね。
って書いてたら23日に自宅に届いた献本で、後書きイラストにノックアウトされたんだけど……!
神か。神だった。
という訳でモノクロ8枚な感じで。
結構、編集さんにはとりあえず色々言ってみるとかする。
今も、この表紙をグッズ化して下さい! とか言ってる。
ξ˚⊿˚)ξください!
作者:グッズ化して下さい!→T編集:グッズ化して下さい!→広報だか営業担当の人
って感じの流れ。ウエハライラストグッズ欲しいわぁ……。売れればグッズ化しやすくなるのだろうか。売れろ。
続く。