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080 到着

「間に合った……でいいのか?」


 一触即発。

 まさに今、アレリアの街のキリク王女がいる屋敷は、暴徒と化した民衆軍レジスタンスに包囲され、そのまま戦場になろうとしていた。


「まずは民衆軍レジスタンスを動かしている人間を抑えて……」


 そう考えて悠長に観察していたその時だった。


「は?」


 俺の間抜けな声をかき消すように民衆軍レジスタンスから悲鳴が轟いた。


「きゃあああああああああああ」

「なんだ!?」

「死んでる……!?」


 突然の出来事だった。

 突如人間の二倍、いや三倍にもせまる巨大な騎士が現れ、目をつけていた民衆軍レジスタンスのリーダー格を一撃で葬ったのだ。

 混乱する暴徒たちに間髪入れず次のアクションが発生する。


「卑劣な王女め! こんな卑怯な手で我らの生命をも弄ぶのか!」


 こんな卑怯な手、というのが何を指すのかなど、言った本人も聞いている者たちもわかっていないのだろう。

 だがその言葉の意味などもはや暴徒たちにとってはどうでも良かったのだ。

 ただその言葉で火がついた。

 一気に屋敷に数百の人間がなだれ込んでいく。

 その中にはあの巨大な騎士の魔法人形も混ざっているのだが、もう誰が何を殺したなどというのは誰一人気にする様子などなくなっていた。


「来たぞ……!」

「ひぃ……だめだ! 数が多すぎる!」

「王女様はなんて!?」

「何も言ってねえよ! ただ戦えって!」

「くそっ……! やってられるか!」


 屋敷にいた戦闘要員はどれも戦闘のためのプロには見えない。

 おそらく清掃員やら庭師やらを寄せ集めて武器だけ持たせたんだろうな……。


「見殺しにするのも目覚めが悪い、か……」


 警護すらいなくなった姫様に一応形だけでも付いてきてくれた者たちなんだ。


「ドラゴンブレス」

「ぎゃあ!?」

「なんだ!? どっから……」


 俺自身が姿を見せるのはまだだ。

 偽装のために二つのスキルを使う。

 幸いにしてここは森のすぐそばだからな。


「竜が出たぞぉおおおおおおお」

「竜だと!? いやあれはただのワイバーンだ!」

「ワイバーンだからなんだってんだ!? どっちにしたって化けもんじゃねえか!」


 混乱する民衆軍レジスタンス

 指示を飛ばしているのはカルム卿が出した人間だろう。さっきの突撃の契機となった掛け声もあの男だった。

 だがカルム卿が使いをそれしか出していないとは思えない。

 魔法人形を操っているものがそれと一致するかを含めて確認が必要だ。

 だからわざわざ、森にワイバーンを仕込んでおいたのだ。


「さて……この混乱で何人それっぽい反応をするかだけど……五、六……七、か。多いな。それにもう中にも紛れ込んでるのか……」


 ワイバーンへの反応を見てカルム卿側の人間をあぶり出す。

 具体的には身に危険が迫ったことで咄嗟に魔法人形を出した人間と、突如現れた魔法人形に対して驚きを見せなかった人間。その様子を目視と魔法で観察していたのだ。


「まずは三人」


 森側に潜んでいた三名は距離も近いし周りに見られる心配もない。


「かはっ!?」


 バラバラに潜んでいたが一人ひとり意識を奪い取っていった。

 民衆軍レジスタンスの中にいるのは三人、そして屋敷内にいるのが一人。

 となると……。


「先に中に入るか」


 姿を隠して塀を抜け屋敷に潜入する。

 もうそれを見張る人間も残ってはいなかった。


「逃走経路から姫様の場所も見つけとかないとだな……」


 頭をフルに回転させながら、まずは屋敷内のカルム卿の部下のもとに走った。


https://ncode.syosetu.com/n1926gk/

連載中の作品です。

短編で一位を取った時の話まで更新が終わったので是非覗きに来てもらえると嬉しいです。

ブクマ、感想、評価お待ちしておりますー


7回も殺されたのにパーティーを組んでやるとか、こちらから願い下げだ〜ループする世界で仲間に7度裏切られて死んだ俺、8周目の人生は第三王女の『鑑定』と溜め込んだ莫大な経験値で相棒と共に無双する〜

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