023 魔法訓練②
「それでは、はじめ」
開始の合図とともに一つ、特大の青い結晶が弾け飛んだ。
「メリリア、合格」
流石だ。氷結魔法で凍らせ、あとは軽い衝撃を与えればそれで終わり結晶は壊れる。
魔法が得意なものにとっては造作もないことだろうが、この授業の狙いはそこじゃないな。
「アウェン、魔法はどのくらいできるんだっけ」
「あー……一応風魔法で簡単な防御くらいはできるけど……攻撃はほとんどこれだからなあ……」
背中に背負った黒い剣を指して言う。
それでも十分だろう。
「剣で補助してもいいと思うよ。斬撃だけ風魔法として飛ばせる?」
「一応やろうと思えばできるが……威力が低くて曲芸にしかならねえぞ?」
「多分大丈夫。あそこにある緑の石を狙ってそれをやってみて」
「あ? こうか?」
アウェンは背中の剣を抜き去り、その勢いのまま上段から振り下ろす。
風の刃となった斬撃は吸い込まれるように緑の結晶を打ち砕いていた。
「おおっ!?」
「アウェン、合格」
「すげえ……なんでだ?」
自分が一番驚いているアウェンに種明かしが行われた。
俺からではなく、サラスからだが。
「この課題は、魔力の多寡を測るものじゃない」
「うぉっ……後ろからボソっとしゃべるのなんとかならねえのかおめえは」
アウェン、基本的に正面切っての戦闘専門なんだろうなあ……。
アウェンのつっこみはお構いなしに、サラスはマイペースに話を続けた。
「魔力は相性。各物質や人物には、弱点となる属性が存在する」
「弱点……?」
「攻撃の通りやすさが物質によって違うんだ。軍事においてその弱点をいかに隠して、いかに暴くかが重要になるから、その見極めの課題ってこと」
「ほー」
俺から補足するとアウェンが感心したようにつぶやく。
「あの石にはあえて弱点となる属性や、破壊に必要な威力を固定してるものもある」
そんな話をしているうちにどんどん結晶が破壊されていっていた。
「ミレイ、合格」
「アイナ、合格」
「ルート、合格」
しかしこの状況で魔法を維持しながら正確に誰が放った魔法かを見抜くアイレス教官、本当にただものじゃないな。
「よし、俺もやるか」
相性を見抜く試験だと言うなら簡単な魔法で済ませられるだろう。
赤い結晶に目星をつけ、簡易の火魔法を放った。
──だが
「おっと、悪いな。あれは俺が先に狙いをつけていたからな」
横から放たれたギークの魔法に俺の魔法がかき消されていた。
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