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015 入学試験編⑦

「おい……」

「え?」


 バードラが冷や汗をだらだらと流しながらもこちらを向いた。


「決闘だ」

「え?」

「俺と決闘を行え!」


 決闘……。

 帝国の歴史を学ぶ中で出てきたな。

 貴族には決闘を挑めばその時点での罪に関わらず、望むものを賭けて戦うことができる。行われるのは純粋な戦闘勝負になり、強いものが成り上がるという軍事国家ならではの単純なパワーバランス維持のための制度だった。

 だが最近はこの制度は使われていないという。法が優先するようになり、決闘のメリットはほとんどなくなった。

 そしてこの制度はあくまで、家を賭けた貴族同士の制度。嫡男でもまだ爵位を継いでいない者には適用されていない。


「バードラさん……苦し紛れとはいえこの国を侮辱する行いですね」


 様々な矛盾を抱えた提案にメリリアが呆れた様子でそう告げた。

 だがバードラは怯まなかった。


「おい! 俺と正々堂々決闘を行え! もしお前が勝てばその身の潔白この私が証明してやろう。だがもし私が勝てば! 全ての罪を償いこの国から消えろ!」

「めちゃくちゃ言ってやがるな……」


 アウェンがため息をつきながら呆れる。

 メリリアはもはや信じられないという様子で見つめることしかできなくなっていた。だがすぐ気を取り直したように口を挟む。


「その条件が本当に通ると思っているのですか? 貴族が平民に決闘を挑む場合、負ければ命を、少なくともお家取り潰しを賭けます。本来貴族はそのような強き存在であるからこそ、その地の統治や国を支える役職を任されているのです」

「ぐっ……ではこうしましょう。私が負けた時はそれで構いません。ですが勝てば! この話は全てその男が責任を取るというのは」

「そんな身勝手なことがまかり通るはずが──」

「良いよ」


 メリリア殿下の言葉を遮ってしまって申し訳ないが、バードラを抑えるためには俺が出たほうが早いことがわかる。

 何より決闘ってシステムに興味がある。


「リルトさん……良いのですか? 負ければ要らぬ罪を被りますよ?」

「ええ。ですが私が済ませたほうが姫様やギルン少将のお手を煩わせないかと思いますので」


 アウェンに言われた『覇気』を意識して安心感を与えられるように意識したが、その余波はバードラのほうにいったらしい。


「ぐっ……」

「ほう……これならば……」


 たじろぐバードラに対して、ギルン少将は納得したようにうなずいていた。

 うまくいったようだ。


「……わかりました。時間をかけない方法で行います」

「いえ姫様。ここはこれを試験として利用しましょう」

「ああ。それは良いですね。どのみち次は実技試験でしたね」


 不敵に笑うバードラとその取り巻き以上に、メリリア殿下とギルン少将のイタズラげな表情が印象的だった。


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― 新着の感想 ―
[一言] 現時点で漫画はこの辺り。 そしてこの場で、無能貴族バードラに死刑判決!
[気になる点] 主人公が不正云々の言いがかりと姫様が監察官として見てた彼らの不正は別物なんやから決闘しようが罪は消えないのでは? [一言] 決闘イベントをどーしても作者の方がやりたかったのなら仕方ない…
[気になる点] 決闘受ける意味がわからん
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