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「お嬢様は、ずっと病にかかっていたのです…どうぞ、体を楽になさってくださいませ」
私の体にシーツを掛けながら、目にいっぱい涙を溜めている。
そんな顔をされたら、大人しくするしかない。
「今、人を呼んで参りますので、そのままでお待ちください」
私に一礼して部屋を出ると同時に慌ただしく駆け出して行った。
ベッドに再び寝かされた私は可能な限り、首を動かして辺りを注意深く観察してみた。
ここは一体、どこなんだ…?
私の部屋ではないことは確かだし、かろうじて見える窓の外に広がる景色から、ここは日本ではないような気がする。
そして、私は恐る恐る手を天井へ向けた。
「やっぱり手が小さい…っていうか、腕も短い」
先ほど感じた違和感の正体は、これが原因か。
自分の腕が短くなっていたため、通常なら手が届くところが届かず、体勢を崩してしまったのだ。
そのまま、両手で自分の頬を触ってみる。
「なんだこれ!?肌がもちもちしている…っ!」
万年乾燥肌のアラフォーの私のガッサガサな肌が潤っている…!
手の小ささといい、肌の質感といい、まさかとは思っていたが、そのまさかのようである。
「若返っている…?いや、そんなはずはない…」
若返りなんて有り得ない。
そんなファンタジーなことはラノベ…、ライトノベルでしか起こらないだろう。
手元に鏡がないのが非常に悔やまれる。
今、私は何歳に若返っているのだろうか。