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はっとして目が覚めると、見慣れない天井があった。
なんだ、これは…
以前、海外旅行の時に見た宮殿のような装飾の天蓋が見えるような気がする。
そっと自分の頬に触れると、夢でうなされていたせいか、汗でじっとりと濡れていた。
「嫌な夢…」
それでいて、どこか懐かしい感じがする夢だった。
「お嬢様っ!?目を覚まされたのですか!?」
声がした方へ視線を向けると、そこにはクラシカルなメイド服を身につけたお嬢さんが立っている。
どういうことだ…?
状況を理解できないまま、体を起こそうとすると、うまく力が入らない。
それどころか違和感がある。
何かが違う、と思った瞬間、私の体がぐらりと傾くが、すんでのところで、メイド服を身につけたお嬢さんが私の体を支えてくれた。
「お嬢様、大丈夫ですか!?」
先ほどから『お嬢様』と呼ばれているのだけど、私はメイド喫茶に来ていたのか?
いや、それにしては豪華なベッド…というか、なんで、私はベッドにいるのだろうか。
メイド喫茶に、こんな天蓋つきの豪華なベッドがあるなんて聞いたことがないぞ?
「えっと、あの…」
「ダメです、お嬢様!」
お嬢さんから離れようとしたら制されてしまった。