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序章

あぁ、まただ。

また彼女が泣いている。


いつものように、泣きながら何かに向かって叫んでいる。


そんな夢を何度見たことか。

気が付けば、ほぼ毎晩、彼女の夢を見ている。


夢の中の彼女が何故、泣いているのかは分からない。

分からないが、かろうじて聞き取れた言葉は誰かに対する懺悔のようだ。

彼女へ問いかけることもできないまま、私はそこで泣き続ける彼女の姿を眺めるだけだったはずなのに…


この日、初めて彼女が振り返って、私に向かって言った。


『助けて』と。



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