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目撃者はサラ、犯人は……?

……なるほど、面白い推理を聞かせてもらったわ。


私が犯人だと思ったのかしら?でも残念、私に犯行は出来ないのよ。何でって?ふふ、きっと後から分かるわ。


それにしても、肝心のあなたがそんな推理で、大丈夫なのかしら?……だってそうじゃないの。もしかしてあなた、夢遊病だったりするの?夢遊病じゃあなくても、知らない間にどこかへ行っているとか、寝ている間に、……人を殺したり、とか。


冗談?いいえ、冗談じゃあないわよ。ああ、もしも私が警察の人に伝えられたら、これほど楽な事はないわね。今回ばかりは、自分を恨めしく思うわ。もちろん、あなたの事は……ね?


そんな怖い顔をしないでよ。事実でしょう?まあ、怒り狂ったあなたに壊されたくはないから、大人しくしておくわ。見ていたのが私達だけだったことに、精々つかの間の感謝をしておくことね。


私の他に?沢山いるじゃないの。見えないなんて、言わせないわよ?……あら、怪談はお嫌い?私達を幽霊だなんて、失礼しちゃうわ。


……時計の鐘よ、驚かないで。もう五時なのね、早いものだわ。あなた、ご夕食は?……そう、それは良いわね。旦那様も奥様も、最近は寂しそうだから、ちゃんと励ましてよね。もうすぐ支度に来るだろうから、邪魔にならないようになさったら?私も役目を果たさないといけないもの。


役目?そりゃあ私達本来の役目よ。ご客人がいらっしゃるときは、私を使うのがしきたりよ?食材だけでなく、道具、特にお皿まできちんとこだわるの。久しぶりの役目、ワクワクしちゃうわ。


私の長い人生、上にのる料理は豪華なものばかりなのよね。もっと使っても良いのに。……ああ、でも、あの子__包丁のような使い方はダメよ?あなたが殺人に使ったせいで、あの子は警察に持っていかれちゃったの。本当に、あの子も可哀想だわ。


あら、見られていること、気が付かなかったの?壁に耳あり、障子に目あり。戸棚に皿あり、机に皿あり、よ。後半が違うって?細かいことは放っておきなさい。あなたに言われたくはないわ。


……もちろん、私達は人に伝える口もないものね。あなたは、まあ、……例外、なんじゃない?人間は『縁』を大事にするでしょう?そんな感じじゃあないのかしら。


あの日、あなたは家に来たものね。それも夜中に、堂々と。そこを運悪く、お嬢様は見つけてしまった。何も考えずにあなたを招き入れたのよ?子どもというものは、もっと警戒心を持つべきじゃあない?今更あなたにこんなことを言っても、無意味でしょうけれど。


……あら、随分あっさりと認めてしまうのね?私達には伝えられないから、かしら?……まあ、良いわ。


ねえ、何であの子を刺したの?人の心は、私にはよく分からないわ。教えてくれる?



……そう。そう、だったのね。……いえ、私からは何も言わないわ。あなたの好きにしてちょうだい。それよりも、もうすぐお夕食よ。あなたの推理、しっかりと伝えてね。


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